突き抜けるような空とどこまでも続く海。頬を撫でる風は優しく、太陽の日差しは穏やかで心地よい。
まさしくこの世の楽園のような場所であるが、そこは全ての色を失っていた。
空も、海も、大地も。舞い散る木の葉や林立する建物さえも。
白と黒のモノクロで作られた世界は美しくも無機的で、退廃的だ。
耳をすませば木々のさざめきや波打つ音が聞こえてくるが生の気配は感じない。
どこまでも精巧に作られたジオラマのような世界――。
「お茶でもいかがですか?」
ぼんやりと微睡んでいるとふと後ろから声をかけられた。
こちらを見下ろす男は眼鏡の奥の瞳を細め、柔和な笑みを浮かべながら紅茶を差し出す。
当然、それにも色はない。一見するとお湯のようにさえ見えるが匂いは紛れもなく紅茶のそれだ。胸のすくような心地よい香りを胸いっぱいに吸い込み、少女はほぅっとため息をつく。
「ありがとうございます、リコリスさん」
リコリスと呼ばれた男は小さく会釈をし、彼女の隣に腰を下ろす。
白く透き通った肌。黒を基調とした眼鏡とその奥で輝く紫の瞳。
モノクロの世界の中でそれはひどく美しく映った。
「なにか?」
「いえ、ただ……見ていただけです」
リコリスはそれ以上言及することなく静かに微笑んで海を眺めた。そのまなざしはどこか憂いを帯びている。
「やはり見慣れませんか?」
胸中を見透かしたような言葉にリコリスは曖昧に頷き、色のない紅茶を啜った。
色と喧騒に溢れた世界の住人であった彼にとって、ここはさぞかし退屈に思えることであろう。
「少し、身体でも動かしますか?」
少女が指を振るに合わせて地面がせり上がり、海が割れる。パズルを組み替えるようにして風景が作り替えられていき、やがて生み出されたのは絢爛豪華な遊園地だ。
回転木馬やジェットコースター、水路を行きかうゴンドラやぷかぷか浮かぶバルーンも見て取れる。そこには先ほどまで影も形もなかったはずの鳥たちの姿もあった。
が、やはり色がないと迫力も半減だ。むぅ、と唇を尖らせる少女をよそにお茶請けのクッキーを齧る。
「私はこのままで構いませんよ。何もしない、を楽しむのも人生の醍醐味ですからね」
その言葉に少女は少しだけ救われた様子で胸を撫でおろし、再び世界を作り替える。
彼女――マトリカリアは正真正銘この箱庭の主だ。一見すると年若い少女にしか見えないがその実は白鯨と呼ばれる不老不死の存在である。
世界の始まりと同じくして生まれたとされる彼女はまさしく理外の存在であり、超越者に他ならない。
そんな彼女がなぜ自分を見初めたのかは未だによくわからないが――ともあれ、今の生活に不満はない。彼女と過ごすようになってからそれなりに長い年月が経つが充実した日々を送れている。
「あの」
ふと、マトリカリアが声をかけてきた。
ただでさえ小さな身体を縮ませて、少し気後れした様子で上目がちにこちらを見つめる。
「よろしければ、もう少し傍にいてもらえませんか?」
「えぇ、構いませんよ」
外見相応の少女じみた愛らしい嘆願に首肯を返し、彼女の方へ身を寄せる。指先がコツンと触れればどちらからともなく指を絡ませ、身体を密着させた。
「……」
「……」
互いの温度と匂いを感じながら、言葉を交わすでもなくただただぼんやりと景色を眺める。先ほどまで味気なく思えていたモノクロの世界が色づいていくような錯覚さえ覚えるがそれはきっと隣に相手がいてくれるからだろう。
気づけば彼女はこちらの肩に頭を乗せ、猫のように目を細めていた。愛らしさに頬が緩みつい頭を撫でそうになるが寸前になってハッと思い止まる。
「どうしてやめてしまうのですか?」
「いや、それは……」
雨に濡れた子犬のようなまなざしを向けてくる少女にグッと言葉を詰まらせてしまう。
「どうぞ、続けてください」
有無を言わさぬ物言いについに屈し、おそるおそる彼女の頭を撫でる。
自分のうねるような髪質とはまるで違う、腰まで伸びたストレートの髪。絹糸のようにサラサラとした心地よい手触りについ口元が緩んでしまう。
彼女の方もまんざらではないらしく、うっとりとした様子で目を細めていた。髪に触れていた手が耳に移ってもまるで変わらない。
ツンと尖った耳を優しく揉みこみ、柔らかな頬に触れる。くすぐったそうに身悶えする彼女に愛おしさを覚えると同時、少しばかり悪戯心も湧いた。
「んっ」
首筋をなぞるとビクッと肩を震わせ、潤んだ瞳をこちらへ向けてくる。自分と同じ淡い紫色の瞳は宝石よりもずっと澄んでいて見つめているとそのまま吸い込まれてしまいそうだ。
精巧に整った面立ちも相まって人形のような印象を受ける。けれどもそこから伝わってくる熱と鼓動は自分のそれとなんら変わらない。
スベスベもちもちとした柔らかな頬の感触を堪能し、ぷるんと艶やかな唇を親指でなぞる。わずかに覗く白い歯と小ぶりな舌に魅入られたのも束の間、かぷっと甘噛みされた。
かぷかぷっ。ちゅうちゅう。
口端から唾液が滴るのも厭わず指をしゃぶり続け、熱っぽい吐息を零す。
「ぷぁ……っ」
指しゃぶりを終えてなお、歯形の残る指と濡れた唇を唾液の糸が繋いでいた。その様にごくりと喉を鳴らすや否や、マトリカリアがズイッと身を寄せてくる。
彼女が何を望んでいるのか――わざわざ言葉にするまでもない。
小さく頷き腰を抱き寄せるに合わせ、世界が音を立てて作り替えられていく。
空は崩れて天蓋となり、木々は群れなし壁となる。空に輪を描く鳥たちはいつしか煌めくシャンデリアとなり、二人を照らした。
そうして出来あがったのは十メートル四方の空間。大きなベッドや煌びやかなシャンデリアで彩られるそこは比喩表現などではない、文字通り二人きりの世界である。
***
不老不死の存在である白鯨たちは他者と交わらずとも種の存続が可能だ。人を象った姿であるが故生殖器こそあれど繁殖欲求は極めて乏しい。
しかし、それがそのまま性欲がないこととイコールにはならない。
「では、よろしいですか?」
ベッドに腰かける二人の傍らには小さな小瓶が並んでいた。中身は特殊な催淫剤であり、白鯨はそれを飲むことによって他者との交合が可能になる。
二人は同時に頷くと小瓶の中身を一気に煽り、ベッドに倒れ込んだ。
「いつぶり、でしょうか……?」
「最後にしたのは確か、数か月前だったかと」
「……もっと、したいですか?」
「あなたがそれを望むなら」
薄く微笑むマトリカリアはのそりと身を起こし、手を首の後ろへ回した。
しゅる……と音を立てて紐がほどければ重力に従って身を包んでいたワンピースがすとんと落ち、薄い裸身が露わになる。
小ぶりながらも確かなふくらみを宿す乳房の先では薄紅色の乳輪が花開き、小さな乳頭はリコリスの死線を受けるに合わせて徐々に膨らんでいき、ツンと屹立する。
緩やかながらも催淫剤の効果は発揮されつつあるらしく、彼の逸物も雄としての滾りを見せつつあった。自分で興奮してくれているのだという誇らしさと愛おしさが込み上げ、下腹がキュンと疼いて切なくなる。
「……っ」
大人びた黒のローレグショーツへ手をやり先と同様紐を解けば、毛の一本も生えていない稚い割れ目が露わになった。芥子粒のような陰核は包皮に包まれ微かに震えており、肉に切れ目を入れたかのような縦筋からはとろりとした愛液が垂れている。
「ふふっ」
艶っぽい微笑を浮かべた彼女は右足を掲げたかと思うとそのまま彼の肩にかけ、自分の方へと引き寄せた。陰唇に息がかかるくすぐったさに悶えたのも束の間、柔らかな舌が割れ目をなぞる。
舌全体で押し込むように舐めたかと思えば舌先でくすぐるようにつつき、陰核を唇で食む。ガクガクと震える彼女の身体を気遣ってか腰へと手を回し、鼻頭が食い込むほどに陰唇へとむしゃぶりつく。
「んぁっ♡」
舌が膣中に潜り込んできた瞬間腰が抜けそうになり、咄嗟に彼の頭に手を置いた。一方のリコリスは彼女の反応を上目がちに確かめながら舌を巧みに動かして膣中をまさぐる。
茹るように火照った膣中は小粒のひだがびっしりと生え揃っており、四方八方から舌へと絡みつく。絶えず溢れ出してくる愛液は甘露に等しく、喉を通るたびに幸せを感じる。
「あっ、そこ……ッ♡」
柔らかな舌は指よりも太く、逸物よりも柔軟だ。
一際敏感なGスポットを舌先でノックすれば膣中がキュキュッと締まって愛液の量が増す。丸めた舌先で引っ掻くように抜き差しすれば鼻にかかった甘い声が溢れる。トドメとばかりに膨らんだ陰核を歯で軽く押し潰してやれば華奢な矮躯がクンッと弓なりに反り上がった。
「はぁ、ぁぁ……ッ♡」
絶頂が近いのであろう。
気づけばマトリカリアはつま先立ちになり、腰を浮かせてぷるぷると悶えていた。
「いいですよ、イって」
舌を膣中から引き抜き、がら空きの陰核にチュッとキスをする。そのまま強く吸い上げてやれば彼女の目が大きく見開かれ、
「~~~~~~~~~~ッ♡」
ブシャアッ、と大きな音を立てて潮が噴き上がり、リコリスの身体を濡らした。至近でシャワーを浴びたかのように全身びしょびしょになった彼はそれでもなお嫌な顔ひとつせず、眼鏡についた水滴をシーツで拭う。
一方のマトリカリアはもはや立つことさえ危うい状態で、肩にかけている脚もずり落ちつつあった。時折ビクッと腰を跳ねさせては小刻みに潮を噴く様が否応なくリコリスの中に眠る“雄”を刺激する。
「続き、しますね」
肩にかかる脚を掴んだリコリスは優しく微笑みながら彼女の陰唇へと手を伸ばし、ゆっくりと人差し指を潜り込ませる。すでに絶頂を迎えた膣肉は激しく蠕動し、痛いほどの締めつけを与えてきた。
動かすことさえ難しいほどの抵抗感を覚えながらも指を軽く抜き差しし、指の腹で膣ひだを撫ぜる。緩慢であるが的確な愛撫に彼女の中の“雌”も次第に熱を帯び、子宮の疼きが増していく。
頃合いを見計らって中指を潜り込ませれば見事な一本潮が噴き上がった。唇を噛みしめてよがる彼女を尻目に膣中をまさぐり、陰核を親指で軽く叩く。
芥子粒ほどだったはずの陰核もいつしか赤く充血し、木苺のような様相を呈していた。そこめがけてフッと息を吹きかけてやれば膣の締まりが増す。
「少し、休ませ……ッ♡」
涙を滲ませたどたどしく呟きながらもその奥では被虐欲が見え隠れしている。その証拠に膣の締めつけと愛液の量は増すばかりだ。
わざとゆっくり指を抜き差しすることで快感を持続させ、絶頂への階段を昇らせる。十分焦らしたところでGスポットを強めに押し込み、トドメとばかりに陰核を勢いよく吸い上げてやればグンッと腰が跳ねた。
「ふぁあああああああああああああッ♡」
甲高い嬌声と共に盛大な潮を噴き上げ、全身をガクガクビクビクと震わせる。まともに呼吸することさえできないのかハッハッと荒い息をつき、前のめりになってリコリスへと身体を委ねる。
Gスポットをぐりぐりと押し込まれれば腰が抜けそうなほどの気持ちよさが込み上げてきて、その上で陰核を吸われると意識までもが飛びかけた。目の奥でパチパチと火花が弾け、強張っていた身体が弛緩していく。
ブシャブシャと勢いのよかった潮もいつしか小刻みに噴くのみとなり、ついにはぴちょん……と名残惜しげな音を最後に止まった。ようやく絶頂の波から解放されたマトリカリアは全身汗みずくになってベッドの上へと倒れ込み、ぐったりとしながら天井を眺める。
「気持ちよかったですか?」
応えようにも上手く声が出せず、力ない頷きを返すことしかできない。それでも彼には十分だったらしく、指についた潮をぴっぴっと払うや上にのしかかってきた。
彼はそのままマトリカリアの肌へと舌を伸ばし、汗の雫を掠め取る。
胸や首筋のみならず、ちょこんと窪んだ臍や鼠径部さえも。股の付け根を舌先でなぞってやれば足指がピンと伸ばされ、腰がググっと持ち上がる。
期待と涙を滲ませた視線を前にリコリスは静かに微笑み、彼女の股座へと逸物を寄せた。剛直と呼ぶにふさわしきそれはともすればマトリカリアの手首よりも太く、亀頭に至っては赤子の握り拳ほどはある。
どくどくと激しく脈打ち、青筋をびっしりと浮かび上がらせる様はひどくグロテスクであったが同時に目が離せないほど魅力的だった。
これから自分を犯すであろうそれを前に期待と興奮が高まっていき、口中に唾液が溢れていく。心臓は今にも飛び出さんばかりに早鐘を打ち、閉じきっていたはずの淫裂は微かに開いて愛液を滝のように滴らせる。
「ひぁっ♡」
ぺちんっと小気味よい音を立てて陰唇に逸物が叩きつけられ、心地よい痺れと熱に思考が微睡む。
ずりずりと淫裂を剛直で擦れる度、たまらないほどの切なさともどかしさに見舞われた。さんざ焦らされた子宮が痛いほどの掻痒感と熱を帯び、呼吸が乱れて荒くなる。
「焦らさ、ないで……」
けれども彼が応えることはない。なぜならそれは彼が求める答えとは違うからだ。
それを口にしない限り自分の望みが果たされることはない。それを理解していればこそ羞恥に悶え、視線を尖らせる。
こく、と。白い喉が微かに上下した直後、
「……入れて、ください……っ♡」
耳を澄まさねば聞こえぬほど微かな懇願が、彼女の口から溢れた。
頬を赤らめ俯く彼女に対し、リコリスはそっと身を寄せると柔らかな頬にキスを寄越す。それは先ほどまでの無礼を詫びるような、誠意と愛情を示すベーゼだ。
恨めしげな視線を寄越していた彼女も次第に気をよくしてきたのかお返しとばかりにキスの雨を降らせ、彼の首へと手を回す。挿入しやすい様にと脚を開き、稚い割れ目を惜しげもなく晒した。
健気な献身に応えるべく腰をがしりと鷲掴みにし、剛直を割れ目へ食い込ませる。
「んぁっ♡」
十分すぎるほどの愛撫を受けていた淫裂は驚くほどすんなりと剛直を受け入れ、一気に最奥まで導いてしまう。子宮を亀頭でコツンと叩かれれば頭がパァッと白み、心地よい浮遊感が押し寄せる。
一方のリコリスもまた、挿入の快感に渋面を作っていた。
彼女の膣は文句なしの名器だ。小粒なひだがびっしりと生え揃っており、しかもそれが独自の意思を持っているかの如く絡みついてくる。危うく挿入しただけで果ててしまいそうになり唇を噛んで堪えるも、そうしている間にも膣ひだがぐねぐねと蠢き逸物を搾り上げてきた。
「ひぁ、ぁっ♡」
ずちゅっと粘ついた音を立てて逸物が抜き差しされ、再び奥を小突かれる。一度ならず二度、三度。
決して激しい動きではなく、ともすれば緩慢でさえあったが今の二人にはそれで十分だった。
緩やかな動きであればこそお互いを強く感じることができる。
逸物の脈動や熱を。
膣肉の戦慄きや蠕動を。
互いの熱が溶けて混ざり合い、異物感も薄れて完全にひとつとなる。
「んぁっ♡ あっ♡ はっ♡」
抽挿に合わせ、マトリカリアの身体が揺れ弾む。それに合わせて胸の膨らみもぷるんぷるんと震え、薄紅色の残像を残した。
「んきゃぅっ♡」
不意打ち気味に乳頭を摘ままれ、痛み交じりの快感にたまらず声を跳ね上げる。敏感な雌突起を弄ばれると被虐の灯が胸の奥で燻った。
最初は遠慮がちであった彼の手つきも徐々に本能を剥き出しにした荒々しいモノへと変化していき、いつしか掌全体を使って乳房を揉みこんでくる。一心不乱に求めてくる姿はたまらなく可愛らしく、彼のすべてに応えてやりたくなった。
白鯨である彼女にとっては肉体さえも仮初に過ぎない。なればこそ彼の“それ”に合わせて形を変えることができる。
「――ッ!」
およそ人間には不可能な、渦を描くような膣肉の蠢き。
右へ左へ。左へ右へ。
絶えず押し寄せてくる快感の波に抗う術を失った彼は先ほどまでの余裕はどこへやら、腰を動かすことさえできずに悶絶する。
それでもまだ男としての意地が残されていたのであろう。グッと唇を噛みしめ、パンパンと勢いよく腰を打ちつけてくる。
「う、ぐっ」
くぐもった呻きとともに、灼熱が爆ぜた。
ビクンッと跳ねた逸物から粘ついた白濁が吐き出され、びちゃびちゃと音を立てて子宮へと降りかかる。
ほんのわずかな微動でも膨大な性感が込み上げてくるというのに激しく腰を打ちつけたのだから当然の帰結だ。むしろ三擦り半で果てなかっただけ上等というモノだろう。
びゅくびゅく、どくどくと溢れる白濁の勢いは留まるところを知らず、子宮と膣を満たすだけでは飽き足らず外にまで溢れてきた。潮でできた濃いシミに白濁が染み込んでいき、シーツがずしりと重たくなる。
「はぁぁ……っ」
ようやく射精を終えると、彼は精魂尽き果てた様子で倒れ伏した。剛直もすっかり萎んでしまい、ぱっくりと開かれた膣穴から多量の精液がどぷっと溢れてくる。
それを名残惜しげに思う一方で、マトリカリアは彼の方へと視線を寄せた。
「まだ、できますよね?」
当然、この程度で終わるわけがない。むしろここからが本番だ。
マトリカリアは子どものように無邪気な笑みを浮かべたかと思うと彼の股座へと顔を寄せ、萎んだ逸物へフッと息を吹きかける。
むくむくと膨らむ逸物へ唇を被せ、包皮を摘まんで持ち上げる。徐々に硬さと勢いを取り戻してきた逸物へ舌を這わせ、愛液と精液を綺麗に舐めとる。
「ん……♡」
エグくて苦みのある味だが不思議と嫌な気持ちにはならない。どころか舐めれば舐めるほど癖になる。
敏感な亀頭をピカピカに磨き上げ、カリ首の裏までしっかりと舌先でこそいで裏筋を舌の腹で押し込む。完全にいきり立った逸物はバネ仕掛けの玩具のように弾んでぴしゃりとマトリカリアの鼻面を打ちつけた。
「ごめ……っ」
謝罪を口にするよりも先に逸物を咥えこまれた。
小さな口を目いっぱいに開けた彼女は逸物を喉奥まで迎え入れ、慣れた様子で頭を前後に揺らす。
「んっ♡ んぶっ♡ じゅるるっ♡ じゅぽっ♡ じゅるるっ♡」
舌にたっぷりと唾液を乗せ、それを潤滑液として逸物を舐めしゃぶる。完全に気道を塞がれるほど深く逸物を突き入れても多少息苦しさがあるだけで死ぬわけではない。不老不死さまさまだ。
きっと今、自分はすごくみっともない顔になっていることだろう。
一心不乱に逸物へとむしゃぶりつき、鼻息も荒くがっついている。羞恥に耐え兼ね目元を手で覆い隠そうとしたが手首を掴まれ封じられた。
「んぐっ♡」
絶頂の余韻から抜け出すなりリコリスはその場に立ち上がり、マトリカリアもそれに合わせて身体を起こす。ガニ股と呼ぶのも烏滸がましい、両足を開いて手を地面につけた体勢。
はしたない。みっともない。だらしがない。
だが、それでも構わない。この場には自分たちしかいないから。
仮にも“白鯨”ともあろうものがこのような淫行に及んでいるなど、他の人間たちに知られれば大問題だ。彼らにとって白鯨とは畏怖と羨望の対象である。
しかし、彼らもまた本質的には人間と同じだ。
心を持ち、感情を持ち、他者を愛し身体を重ねる。
なればこそ、これはなんら不思議なことではない。むしろ健全なことだ――と自分に言い聞かせる。
「んっ♡ んじゅるっ♡ んんぅっ♡」
頭を揺らしながらも逸物へ舌を纏わりつかせ、キツく締め上げる。彼の腰がぶるりと震えれば射精に備えて身を乗り出し、逸物を根元まで咥え込んだ。
「――ッ♡」
ごりゅっ。
喉奥が潰され、気道が完全に封じられる。酸欠と痛みで脳細胞が死滅していく退廃的な快感が押し寄せ、股座から潮が噴き上がった。
それに合わせるが如く二度目の射精が巻き起こり、口腔が白濁で満たされる。水鉄砲もかくやの勢いで放たれたそれが胃の腑へ落ちていく度、ずしりとした重みを感じた。
「んっ♡ んっ♡ んっ♡」
ごくごくと喉を鳴らし白濁を嚥下しながら空いた両手で胸と股を弄る。普段の彼女であれば考えられないほどの乱れ方だが、これもすべては催淫剤のせい――というわけではない。
彼女でさえ自覚しえなかった心の奥底に眠っていた欲が催淫剤によって引き出されたに過ぎないのだ。つまるところ、こうした側面も彼女の一部である。
人によっては嫌悪の対象となるかもしれない。幻滅した、軽蔑した、と離れていくかもしれない。
けれど彼は――リコリスだけは、違う。
「ぷぁぁ……ッ♡」
涙、鼻水、唾液、汗。
ありとあらゆる体液でぐちゃどろになった顔を目の当たりにしてなお、彼の滾りは治まるどころか強まるばかりだ。
むしろ普段落ち着いた姿を見せている彼女であればこそ、乱れている時のギャップは大きくなる。
「そのまま、扱いてもらえますか?」
言葉より先に手を伸ばし、萎えかけていた逸物を優しく握り込む。
シュッシュッと小気味よいリズムで逸物を扱きあげ、敏感な亀頭を掌で揉みこむ。彼が興奮できるようにとこれ見よがしに胸を揉みしだき、硬さを取り戻した逸物を迎え入れる。
赤らんだ亀頭が柔らかな乳房に埋没し、先走りをローションのごとく塗りたくる。淫液に塗れた身体をシャンデリアが照らす様は息を呑むほどに扇情的で、臍につかんばかりの勢いで剛直がしなる。
「いいですよ、出して」
逸物の震えを掌で感じ、わずかに握る力を強めリズムを早めた。すでに二度の絶頂を果たした彼に堪えるだけの余力はとうに残されておらず、低い呻きに合わせて白濁が噴き上がる。
びちゃ、びちゃ、と。
逸物の脈動に合わせて噴き上がったそれは、マトリカリアの肌を淫靡に彩った。スライムのような半固形状のそれは火傷するかと思うほどに熱く、粘っこくて重たい。
顔のみならず胸や胎までもが汚濁の餌食となるが、マトリカリアはむしろ誇らしげであった。
自分の性技で彼をイかせられたことが。彼が自分を魅力的な女だと思ってくれていることが。何より彼の色で染め上げられたことが嬉しくて嬉しくてたまらない。
身体に降りかかった精液さえも愛おしく、指先で掠め取っては口まで運んで舐めとる。ちゅぱちゅぱ、ちゅぱちゅぱと音を立てて。
「次は、こっちの番……ッ♡」
身体に力が入らなくなっていた彼を押し倒し、のそりと上にのしかかる。ギラリと輝く紫の瞳は肉食獣さながら。
四足の獣じみた体勢で彼の上に跨るや逸物の上へと腰を下ろし、そのまま一気に根元まで呑み込む。
「キ、たぁぁ……ッ♡」
挿入と同時に軽い絶頂に見舞われ、またしても潮を噴いてしまう。
ガクガクと膝を震わせつつも前のめりになって彼の身体へ手をやり、厚い胸板を舌で撫ぜる。舌状に広がる雄の味は濃く、舌のみならず脳髄にまで痺れが奔るほどだ。
舌を這わせながらも腰の動きを緩めることはなく、タン、タンとリズミカルに打ちつける。いわゆるスパイダー騎乗位と呼ばれる体位であるがどうやら気に入ってもらえたらしく彼の興奮が膣越しに伝わってきた。
「っ」
乳輪に舌先が触れた途端、彼の身体がビクンッと跳ねた。その反応が面白かったので細めた舌先で乳頭をくりゅくりゅと弄んでやれば逸物がビクビクと跳ね暴れる。
「ここ、よわいんですね……♡」
妖しげな微笑を湛える彼女の姿はまさしく淫婦そのもの。
あどけなさの中に秘められた美しさに魅入られたのも束の間、乳輪もろとも乳頭を食まれる。
「うっ、くっ」
必死に喘ぎを噛み殺そうとするリコリスと、彼を責め立てるのが楽しくて仕方ないというマトリカリア。完全に攻守を逆転させた二人は時間も忘れて睦み合う。
タンタン、ぐちゅぐちゅ、ちゅぱちゅぱ。
卑猥な水音と肉音だけが鳴り響き、微かな喘ぎが合の手を入れる。結合部からは泡立った愛液が飛び散り、肉棒は愛液と精液に塗れぬらぬらと照り輝く。
むせ返るほどの性臭は媚香さながらに互いの性欲を掻き立て、種としての本能を揺さぶる。白鯨であるとか、人であるとかはもはや関係ない。
二人は今や雄と雌というシンプルにして絶対の存在へと回帰していた。
「んっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡」
唇を重ね、舌を絡めて唾液を交換し合う。自分のとは違う味が口中に広がっていく度胸の奥が多幸感で満たされていく。
度重なる絶頂と熱気によるモノであろうか。頭がぼんやりとして思考が上手くまとまらない。目の前にいる相手への愛おしさだけが胸中を支配し、身体を突き動かす。
気持ちよくなってもらいたい。気持ちよくなりたい。
愛してほしい。愛したい。
視線を通して想いを感じ、肌を通して循環させる。
(嗚呼……)
白鯨は本来、生殖行動を必要としない。それは他の未成熟な種とは違って自己完結しているからだ。
それぞれが超越した能力を持ち、優れた知性と力を持ち合わせている。それこそその気になればできないことなど何もないだろう。
――けれど、彼らは人の姿をしている。不完全で、不合理な――およそ完璧には程遠い人間たちと同じ。
なぜだと疑問に思ったこともある。超越の存在であればそれに見合った姿を取るべきだ、と。
だが今に至ってようやく理解へと至った。
それはきっと、こうして愛し合うためなのだ。
白鯨は自己完結した存在だ。だが決して完璧でもなければ完全でもない。
なればこそ他者を必要とする。自分にはない何かを求める。
自分にとってのリコリスがそれだ。彼との交わりは自分にないモノをもたらしてくれる。
狂おしいほどの情愛。切ないほどの恋慕。他のすべてを捨ててでもモノにしたいという渇望。
「~~~~~~~~~ッ♡」
時に、性交は言葉よりも雄弁だ。互いの想いをぶつけ合い、高め合っていく。
壊れるほど激しく求め合い、共に絶頂へと上り詰める。互いにそれがわかっているからかどちらからともなく手指を絡め合い、ギュッと握り締めた。
呼吸が重なり、動きが重なり、ついには鼓動さえも重なった直後――
「……ッ♡」
かつてないほどの絶頂が、両者の身体を循環した。
背が折れるほど身体を仰け反らせるマトリカリアと、腰を持ち上げて精を放つリコリス。自分のすべてが吐き出されていくような快感に腰がビクつき、全身が意図せず強張った。
「――ッ♡ ッ♡ ッ♡」
互いの存在を強く確かめ合うように手を握り合い、言葉もなく絶頂の波に浸る。
忘我と呼ぶに等しきそれの後にやってきたのは心地よい虚脱感だ。
「ふあ、ぁ」
ばたんと倒れ込んできたマトリカリアを受け止め、抱き寄せる。彼女はすっかり疲れ果てた様子であったがこちらに気づくとチュッと淡いバードキスを交わしてきた。
未だ絶頂の余韻から抜け出せない身体は小刻みにビクビク震えているが、その分キスの雨を降らせて情愛を伝える。彼もそれに応えるが如く彼女の身体にキスマークをつけた。
――だが、足りない。
自分の愛を、想いを伝えるには、この程度では到底収まりきらない。
二人は視線を交わし、クスッと微笑み合う。
どうやら考えていることはまるで同じのようであった――。
***
悠久の時を生きる二人にとっては時間などさしたる問題ではない。欲望の赴くままに互いを求め、貪り、愛し合う。
ベッドの傍らには空になった催淫剤の瓶がいくつも転がり、シーツの上には濃いシミができている。部屋はムッとするほど濃い性臭に満たされ、それが天然の媚香として互いの脳と本能を揺さぶった。
「ふっ♡ んぅっ♡ あぁっ♡」
いわゆる背面騎乗位の体勢でリコリスの上に跨るマトリカリアはビクビクと悶えながらも腰を揺すり、物欲しげな視線を肩越しに寄越す。
彼もそれに応えるべく彼女の腕を手綱のように掴んで引っ張り、壊れるほどに激しいピストンをお見舞いする。
「んんぅっ♡」
腰と腰がぶつかり合う度薄い尻たぶが波打ち、華奢な矮躯が大きく弾む。パチュン、パチュンッと小気味よい肉音に合わせて汗の雫が飛び散り、口端から唾液の糸が垂れた。
雄々しく脈打つ逸物の存在感はあまりにも大きく、必然的に意識がそちらへ吸い寄せられる。ともすればサイズ違いとも言えるほど大きなそれは最奥へ深く食い込み、抽挿の度無防備な子宮を執拗に打ち据えた。
子を孕むべき場所を穿たれる度、自身が“雌”であることを否応なく実感させられる。もしもこのまま彼の子を宿せたら――と考えただけで背筋がぞわぞわと粟立ち、下腹が痛いほどに疼きだした。
「イく……ッ♡」
高らかな宣言と共に天井まで届かんばかりの潮が打ち上がる。背骨が折れんばかりに仰け反るマトリカリアの顔は紅潮し、汗と涙でぐちゃぐちゃに汚れていた。
およそ普段の彼女からは考えられない痴態――だが、そんなことなどもはや気にもならない。
「ちょ……まだ、イって……ッ♡」
絶頂の余韻を味わう間もなく乱暴に逸物を突き込まれ、襲い来る快感に身体を曲げては仰け反らせる。壊れた蛇口のように潮が小刻みに噴き上がり、足指の先までもがピンと綺麗に伸びあがった。
対するリコリスも余裕の表情をかなぐり捨て、一心不乱に彼女の身体を求めている。ともすればそれは少女の身体を壊しかねないほどであったが、人間よりも遥かに頑丈である白鯨であれば問題ない。むしろ、その激しささえも快感へと上書きされていく。
「あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡」
小鳥のさえずりのようであった可愛らしい嬌声もいつの間にやら雌の風情を帯び始め、一オクターブほど低くなった。身体を支える余力さえもなくしたマトリカリアはぐったりとした様子で前のめりに倒れ込んでいるが、それを支えているのはリコリスの腕と剛直である。
なればこそ一層強く彼の滾りを感じ、それがまた強烈な快感を呼び起こす無限ループ。
逸物の戦慄きを感じ取った直後、マトリカリアは無意識のうちに膣ひだを蠢かせた。
根元から先端へかけて搾り上げるような動きはおよそ人間には成し得ぬ、まさしく人外の奉仕。
より強い快感を互いに得られるように――そんな健気な姿に呼応するが如く、剛直もついに吐精の時を迎えた。
「~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡」
子宮口にぴったりと密着した亀頭から白濁を注ぎ込まれ、声にならない悲鳴を上げる。幾度目かもわからぬほどの射精であるにもかかわらず勢いも量も衰えず、熱も健在だ。
彼の証が注ぎ込まれるにつれて下腹がずしりと重たくなっていき、それに比例して胸の奥が温かくなっていく。唇を噛みしめ、法悦に悶える彼の顔を見ると一層それが強くなった。
が、そもそもの体格差もあってか彼の滾りをすべて受け止めることはできない。結合部から溢れ出す白濁を見ると申し訳ないやら、もったいないやら複雑な気持ちになってしまう。
「ん、あぁっ♡」
ようやく吐精が収まり、しばらく余韻に浸っていると不意に逸物を引き抜かれた。支えを失ったマトリカリアは前のめりに倒れ込み、慌てて両手を突いて受け身を取る。
四肢を曲げた、土下座ともつかぬ体勢でぶるぶる震える彼女の股座――閉じることを忘れてしまった淫裂はぽっかりと開き切り、ひくひくと痙攣したかと思えば白濁を溢れさせる。
重く、粘ついた精液が膣道を擦る感覚さえも心地よい。疑似的な吐精の快感に打ち震える彼女の股座から噴き出した潮がシーツへと打ちつけられる。
「……」
その様を眺めるリコリスはごくりと生唾を呑み込み、ズレかけていた眼鏡を元の位置へとなおす。並の男であればとうに音を上げていたであろうが彼もまた人ならざる存在だ。この程度でへばるほどやわではない。
とはいえ流石に疲れを覚えたらしく、ベッド脇にあるコップの水を一息に呑み干した。それでも乾きが収まらなかったのか水差しから追加分を補充する。
「ッ」
と、不意に股座に熱を感じた。見れば媚笑を浮かべたマトリカリアが剛直に頬ずりをしている。
「……本当に底なしだな、お前は」
他人行儀な話言葉が抜け、本来の口調が露わになる。この場には自分と彼しかおらず、今更本心を押し隠す必要もない。
苦笑を零しつつ、剛直へとキスをする。掌の中でビクビクと脈打つそれは火傷するのではないかと思うほどに熱く、握り込むことができないほどに太く、大きい。
時折不随意に跳ねて顔をぴしゃりと叩くこともあったが不思議と嫌な気持ちはしない。むしろ聞かん坊を相手にしているような、微笑ましさにも似た感情を抱きつつある。
「ならやめておくか?」
熱いベーゼを交わすマトリカリアの頭を大きな掌が撫でる。頭皮から伝わってくる心地よい感覚に目を細めたのも束の間、潤んだ視線を彼へと向けた。
「冗談。こっちもそろそろ興が乗ってきたところだというのに」
口端に笑みを浮かべたまま剛直に舌を這わせ、挑発的に鼻を鳴らす。
ぴちゃぴちゃとわざとらしく水音を立てて逸物を舐め、誘うように小尻を振る。包皮の裏側にまで舌を潜り込ませ、カリ首を丹念にこそいでやると彼の口から低い呻きが漏れた。
その反応が面白くてたまらず、赤らんだ亀頭へフッと息を吹きつけてやる。度重なる絶頂によって感覚が鋭敏化されていたからかそれだけでも十分すぎるほどの刺激であったらしく逸物が大きく戦慄いた。
「さぁ……次は、何をしてほしい? 口か? 手か? それともまた、私の中で果てたいか?」
年若い外見に似つかわしくない、老成した淫婦の微笑。
しなだれかかる彼女の身体を抱き寄せたリコリスはわずかに逡巡した後、首筋へと顔を埋めた。
流石にそれは予想外であったのかわずかに目を丸くする彼女をよそに深く息を吸い、汗ばんだ肌を唇で食む。少女の肌はどこもかしこもぷにぷにと柔らかく、甘く蕩けるようないい匂いもした。
「なんだ、今日は随分と甘えただな」
「……ダメか?」
「……いいや。たまにはそういう日もあっていいだろう」
そっと彼の頭を撫で、同じく首筋に顔を埋める。鼻腔をくすぐる雄の匂いに頭がくらくらした。
ぎゅうっと強く抱きしめられれば息が詰まるのを感じたが、それさえも心地よい。お返しとばかりにこちらも抱きしめ返し、首筋に噛み跡をつける。
かぷ、かぷ、かぷ。
お前は私のモノだと言わんばかりの可愛らしいマーキング。彼もその意図を察したらしく、首筋から鎖骨――もっと下って乳房にまで噛み跡をつけた。
「あぁっ♡」
痛いくらいに勃起していた乳頭を甘噛みされた瞬間、パァッと目の前が白んだ。痛み交じりの快感が脳を焼き、全身が不随意に痙攣する。
対する彼はそんなことなどお構いなしに乳房をしゃぶり、こちらの反応を上目がちに伺いながら舌先で弄ぶ。
ぷっくりと膨れた乳輪を触れるか否かの距離で焦らし、舌の腹で乳頭ごと押し込んだかと思えば空いた手でもう片方の乳房を揉みしだく。爪で引っ掻くように乳頭を擦られると目の奥でパチパチと火花が散った。
「まる、で……ッ♡ 赤子だな……ぁ゛ッ♡」
乳頭をキュッと指先で摘まみ上げられ、たまらず嬌声を上げてしまう。
自分以上に自分の身体を知り尽くした彼の愛撫はあまりにも的確だ。じわじわと性感を煽りたて、ボルテージを最大限まで高めていく。
いつしか、マトリカリアは無意識のうちに腰をもぞつかせていた。引き締まった太ももに股座を押しつけては前後に揺すり、熱っぽい吐息を零す。
それに気づいたリコリスは含み笑いを零すや乳頭から口を離し、口端から垂れる唾液を拭った。逸物は怒張と呼ぶにふさわしき様相を呈し、臍につかんばかりに屹立している。
視線を交わしたマトリカリアはすぐに彼の意図を読みとったらしく「あぁ」と小さく呟いて身を寄せた。
白魚の如き指が逸物へと纏わりつき、繊細なタッチで愛撫を行う。溢れる先走りを指先で絡め取り、潤滑液代わりとして逸物を擦る。
「我慢などするな。好きな時に出せ」
甘く囁き、そのまま唇を重ね舌を絡ませる。
くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃ、と淫猥な水音が直に脳へと響き、思考を官能へと染め上げる。手指から伝わってくる陰茎の熱と硬さも一層それを助長させた。
シュッシュッと淀みない手つきで陰茎を扱きあげ、時折緩急をつけて締めつけを強めたり亀頭を掌で包み込む。時には逆手で扱いてやると順手とはまた違った快感が得られるのか彼の反応が目に見えて変わった。
「んっ♡ ちゅっ♡ ちゅぷっ♡」
どちらからともなく身を寄せあい、激しいディープキスに興じる。
言ってしまえばそれは粘膜同士の接触に過ぎないはずなのに頭がおかしくなるほどに気持ちがいい。それこそ、人よりも遥かに長い時間を生きているはずのマトリカリアでさえ経験したことがない類のモノだ。
愛する異性との交わりはあまりにも尊く、かけがえのないモノである。それを実感するほど彼に対する愛しさが増していき、もっと尽くしてやりたくなる。
「ん……ふふっ♡ そろそろ限界か?」
気づけば逸物からは先走りが湯水のように溢れ、今にも暴発せんばかりに膨れ上がっている。渋面を作るリコリスからは普段の余裕の欠片も見当たらず、わずかに腰を浮かせる様は滑稽でさえある。
――だが、それも含めて愛おしい。
「あぁ、そうだ」
ふと、なにかを思い出したように逸物を扱く手を止めたかと思うと逸物へと身を寄せ、
「当世ではこういったモノが流行っているらしいが……どうだ?」
と、薄い乳房をもって剛直を挟み込んだ。
否、挟みこむほどのボリュームは彼女にはない。強いて言うなら当てているだけ。
それでも今の彼には十分すぎるほどの刺激だ。
すべすべふにふにとした乳房の感触は手とも膣とも違い、何より愛しい女が自分に奉仕しているというシチュエーションこそが決め手となった。
「う、あぁッ!」
爆ぜるような勢いで噴き上がった白濁が、びしゃッと彼女の顔にかかる。
艶々と美しい髪も、スラリと整った鼻梁も、血色のよい唇さえも――汚濁に染め上げられていく様には、背徳的な美しさがあった。
堰を切ったように溢れ出した白濁は彼女の顔のみならず胸にもかかり、ようやく治まった頃には淫猥なマーキングが色濃く残っていた。
「ん……そんなに気持ちよかったのか?」
汚辱を受けたにもかかわらず彼女はどこか満足げな様子で呟き、肌にかかった白濁を指で掠めて口へと運ぶ。その様を眺めているうちに萎んでいたはずの逸物もいつの間にやら硬さを取り戻し、雄としての滾りを見せる。
その場にぺたんと女の子座りをしていたマトリカリアはそれを視界の端に捉えるや薄く笑みを浮かべ、対するリコリスも彼女の方へと身を寄せて押し倒す。
仰向けになった彼女の脚を抱えて肩にかけた彼は無防備に晒された恥丘へと手を伸ばし、小ぶりな陰核へと指を這わす。ぷにぷにこりこりとした柔らかなそれの感触を指先で堪能しているとマトリカリアの口から鼻にかかった甘い声が漏れた。
「ん……っ♡」
ツンと尖った雌突起は彼女の期待感を表すかの如く隆起している。自然と口の端が緩むのを覚えながら淫裂へと指を潜り込ませ、円を描くような動きで膣中をまさぐる。
中指を根元まで突き込み、ゆっくりと手元まで引いてはまた奥へ。緩慢な抽挿に合わせてこぽ、こぽ、と白濁が溢れてきた。
リコリスはそれらを手指で絡めとるとマトリカリアの口元まで持っていく。彼女は困ったようにはにかんだものの拒むどころか自ら口を開いて受け入れ、くちゅくちゅと音を鳴らして嚥下した。
「酷い味だな……」
「その割には随分と嬉しそうだが?」
精液と愛液の混じった苦しょっぱい味わいはお世辞にも美味とは言い難い。けれども舌の上で転がすにつれて身体が熱く火照っていき、下腹が疼いて切なくなる。
味がしなくなってもちゅうちゅうと指をしゃぶり続けるマトリカリアをよそに、リコリスは空いた方の手で淫裂を開いた。ひくひくと微痙攣を繰り返す淫肉の蠢きは雄の本能をこれ以上ないほどに掻き立て、逸物が痛いほどに張り詰める。
――が、
「ふぁっ♡」
挿入にはまだ至らず、揃えた中指と薬指を膣中へと捻じ込んだ。臍側のザラついたGスポットを指の腹でグッグッと押し込んでやればひしゃげた尿道から小刻みに潮が噴き上がり、彼の身体を濡らす。
わざと浅いところをまさぐってやればもどかしげに腰が揺れ、足指が跳ねる。その反応をひとしきり楽しんだ後はいよいよとばかりに指を根元まで突き込み、鉤状に曲げた指でグッと圧をかけた。
「――ッ♡」
キュッとシーツを掴み身体を弓なりに反りかえらせるのと同時、噴水じみた勢いで潮が噴き上がる。この期に及んでなお平静を保とうとするマトリカリアであったが身体はしきりに痙攣を繰り返し、ぶしゃぶしゃとはしたなくも潮を撒き散らす。
本来であれば彼女は人間など及ぶべくもない上位種だ。そも、平時であればこれほど乱れることはなかったかもしれない。
しかし催淫剤によって感度を高められ、雌としてのスイッチが入ってしまった身体は悲しいほど淫らに変わり果ててしまっている。
「んっ、ぉッ♡」
トントン、と小刻みにGスポットを叩かれただけで達してしまう。先ほどまで見せていた余裕はどこへやら、肌を赤らめながら身をくねらせる様は年相応の少女のように可愛らしい。
一方で稚い身体は熟れた女の様相を呈しており、意志を持ったイソギンチャクのように蠢く膣ひだが彼の指を絡め取る。その締めつけたるや指が取れてしまうのではないかと思うほどで、抜き差しするのも一苦労だ。
しかしそれも織り込み済みであるとばかりに身を曲げたリコリスは彼女の陰核へと唇を寄せ、チュッと淡いバードキスをした。そのまま柔らかな唇で食むように挟み込み、指で押し上げるようにしながら吸い上げる。
「ひ、あぁあああああああああああッ♡」
その時の感覚を一言で例えるならば――まさしく、昇天。
陰核は露出している部分にもいわゆる“根”のような部分があり、彼の指は的確にそれらを刺激してくる。そんな状態で敏感な露出部分を吸引されればどうなるかは火を見るよりも明らかだ。
「やめ……っ♡ 溶け……っ♡」
ふるふると力なく首を振りながら彼の頭を押し返そうとするが、快感で茹った身体では思うような力が発揮できない。
――そも、本当に抵抗の意思を抱いているのかさえ疑問だ。
その証拠に彼女の瞳は恐怖の奥に隠しきれぬほどの期待感と興奮を滲ませている。
「ひぁッ♡ アッ♡ アッ♡ アァッ♡」
啄むようなバードキスとGスポットへの連打。ついには意味のある言葉さえ紡げなくなったマトリカリアは滂沱の涙を流しながら喜悦の笑みを零す。
強く吸い上げるのみならず舌先で転がし、つつき、軽く歯を突き立てる。
痛み交じりの快感に悶える彼女は背骨が軋むほどに身体をたわませ、縋るようにリコリスの頭へ手をやった。頭皮に食い込むほど強く爪を立てられるがそれもまた彼の嗜虐心をくすぐるばかり。
「はっ、ぁ……っ♡ ッ♡ ッ♡」
ようやく陰核への責めが収まった頃には彼女はすっかり息も絶え絶えの様子でぐったりと項垂れていた。制御を失った身体は小刻みな痙攣を繰り返し、緩んだ尿道からは小水が力なく溢れ出す。
ともすればそれは、上位種としてはあるまじき醜態であったかもしれない。
けれどもその淫靡なる姿は何よりも激しく、リコリスの内にある雄としての欲を揺さぶった。
「――ッ♡」
ぶるんっとしなった剛直が恥丘へと叩きつけられる。ただそれだけで達してしまった彼女は足指を曲げては伸ばし、必死に快感を逃そうと試みるがそんなことなどお構いなしにぺちぺちと股座を叩かれる。
焼けた鉄棒のようなそれが打ちつけられる度、衝撃がダイレクトに子宮へと響く。
これからお前を犯すぞ、と。お前を孕ませる気だぞ、と。
声高にアピールする剛直を前に生唾を呑み込み、無意識のうちに腰をもぞつかせる。
(はやく……はやくはやくはやく……っ♡)
目線が彼のそれから一ミリたりとも離せない。
頭の中がぼんやりと霞がかって、呼吸が早まり息が苦しくなる。
こちらを見下ろす彼の瞳は熱を帯び、口端には嗜虐的な微笑が浮かんでいた。
「んひゅッ♡」
尖らせた唇から素っ頓狂な声が上がる。
不意打ち気味に胸を揉みしだかれ、乳頭を引っ張られたからだ。
「や、め……ふぁぁッ♡」
骨の髄まで蕩けきった身体はもはや抵抗力と呼べるモノをすべて放棄してしまっている。口では否定を述べながらも跳ね除けることもせず悶える彼女を前に、彼の口角が一段階上がった。
薄い乳房を優しく揉みこみつつ、指の間で挟んだ乳頭を撫で擦る。
ゆっくり、ゆっくり――徐々に性感を引き出すように入念な愛撫を重ねる。
彼の手つきはマトリカリアに対する慈しみに溢れていたが、この状況においては悪手に他ならない。
「いつまで……んっ♡ 焦らす、つもりだ……ぁッ♡」
剛直は目と鼻の先にあるというのに、いつまで経っても挿入には至らない。せがむように腰を振ってもいなされるばかりで虚しさよりも苛立ちの方が勝ってきた。
それを見越したように乳頭をキュッと摘ままれ、内股になって甘やかな絶頂に浸る。
ふわふわと天にも昇るような心地を覚えるが、子宮の熱は一時的にこそ治まりはするものの解消されるどころかますます強まっていくばかりだ。
気が狂いそうなほどのもどかしさを覚え、ついつい語気が荒くなる。
「いい、から……ッ♡ はやくッ♡ 入れて、くれ……お前の、それを……ッ♡」
「“それ”? もっとわかるように、ハッキリと言え」
こちらの胸中などお見通しであろうに、あえて自分から求めさせようとしてくる。
不敬である。不遜である。無礼である。
――だが、普段の彼が見せぬ獣欲の片鱗がたまらなく心地よい。
「それ、を……お前の、ペニスを……私の中に、入れてくれ……ッ♡」
懇願としても、雄を誘う口上としても不十分――しかし、今の彼女にできる精一杯の誠意がそれであった。
自ら両足を抱え、淫裂を開いて見せつけ潤んだ瞳を向ける。普段とのギャップも相まってその破壊力はあまりにも絶大だ。ビキビキと音を立てんばかりに隆起する剛直が割れ目に触れたのも束の間、一気に最奥まで貫かれる。
「――ッ♡」
完全に出来あがっていた子宮を亀頭で叩かれた瞬間瞼の奥で火花がバチバチと弾け、ふわっと腰が浮く。
待ちに待った挿入によって得られた快感はあまりにも膨大で、脳のキャパシティをわずかに超えていた。全身を固く強張らせぶるぶると痙攣したかと思えばだらりと脱力し、微かに開いた口元から唾液を零す。
が、
「んぎゅっ♡」
続けざまに子宮を叩かれ、強制的に覚醒させられた。
華奢な矮躯が軋むほど強く腰を打ちつけられれば雷に打たれたような刺激が全身を駆け巡り、心地よい痺れと熱が子宮から広がっていく。
パチュンッ、パチュンッと響く小気味よい肉音に合わせて結合部からは泡立った愛液が飛び散り、薄い胎に剛直の形が浮かび上がる。ともすればサイズ違いとさえ言えるほどであったが彼女の身体はいとも容易くそれを受け入れるばかりか、快楽を享受していた。
「ふぁっ♡ あっ♡ あっ♡」
パンパンとリズミカルに腰を打ちつけられ、子宮を小突かれる度鼻にかかった甘い声が漏れてしまう。彼の腰遣いはあまりにも巧みで、こちらの弱点もとうにお見通しであった。
浅いところをカリ首で引っ掻くように抜き差ししたかと思えば不意打ち気味に奥を貫き、降りてきていた子宮を滅多打ちにする。元々の体格差もあってかともすれば強姦じみた風情であったが、それも一層マトリカリアの嗜虐心を加速させる。
肌に食い込む男の指が。胎の内で感じる熱と脈動が。たまらなく嬉しくて心地よい。
「遠慮、するな……ッ♡ もっと、激し、く……ッ♡」
震える手を彼の首へと回し、自分の方へと抱き寄せてキスを寄越す。この期に及んでまだ自分を気遣う素振りを見せる彼に薄く微笑みかけ、大丈夫だと安心させるように頬ずりをした。
わずかな逡巡を経て、リコリスの手が細腰を鷲掴みにした。柔肌にグッと指が食い込むと同時、総身からの震えをきたす。
さながらそれは被捕食者の様相。目の前の強者に蹂躙される未来を幻視したマトリカリアの口には退廃的な微笑が浮かんでいた。
「あ……っ♡」
ゆっくり、ゆっくり。抜けるギリギリまで逸物が引き抜かれる。
彼が何をしようとしているのかを察し、ごくりと生唾を呑み込んだ。衝撃と快感に備えてグッと唇を噛み、下腹に意識を集中させる。
すぅ、と。息を大きく吸った直後、
――ドチュンッ!
下腹が亀頭の形に膨らむほどの勢いで抽挿が果たされた。
脳に信号が届くよりも先に身体が勝手に跳ね、勢いよく噴き上がった潮が彼の身体を濡らす。マトリカリアはまるで他人事のようにその光景を眺めていたが遅れてやってきた快感に脳を灼枯れて声にならない悲鳴を上げて身体が軋むほどに仰け反り、口端からぶくぶくと泡を零す。
「ひぃ、あッ♡ あぁッ♡」
気を失うことなど許さないとばかりに二度、三度と腰を叩きつけられる。テクニックなど知ったことかと言わんばかりの力任せの腰遣いであったがそれが今の彼女にとってはたまらなく“効く”。
幼膣をぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、火照った子宮を滅多打ちにされる。エラばったカリ首で膣ひだを引っかかれると身体が裏返るような錯覚さえ覚え、一突きごとに絶頂を向けて狂ったように潮を撒き散らす。
整った面立ちは涙はおろか汗や鼻水でぐしゃどろになり、とても上位種とは思えぬほどの痴態を晒しているが彼は軽蔑するどころかますます興奮した様子で貪るようなキスを寄越してきた。分厚い舌が唇を割り開き、歯列を擦る感覚に肌が粟立つ。
負けじと薄い舌を絡めてやると軽く甘噛みされ、その痛みでさえ絶頂に至ってしまった。
「~~~~~~~~~~~~~~~ッ♡」
身体がすっかりバグってしまい、絶頂から下りられなくなっている。
気持ちいいのに苦しくて、苦しいのに気持ちいい。
そんな歪な二律背反を抱えながら滂沱の涙を流す彼女を前に、リコリスもさらにボルテージを高めていく。
募る想いを吐き出すように腰遣いを早めていき、呼吸も荒く柔肌をまさぐる。彼女の身体はどこもかしこも柔らかく、いい匂いがした。白磁の肌にキスマークをつけ、噛み跡をつけ、自分のモノであると主張するようなマーキングをつける。
思考する暇さえなくなり、ただただ彼女への愛しさだけが強まっていく。
もっと気持ちよくなってもらいたい。もっと気持ちよくしてあげたい。
そんな献身的な思いとは裏腹に腰遣いは荒々しさを増していき、肌に食い込む指の力も強まった。
好きだからこそ放したくない。ずっと自分のモノにしたい。
独占欲と紙一重の情愛に身を任せ、本能のままに彼女を求める。
「ンンゥゥウウウウッ♡」
ツンと尖った乳頭を甘噛みしてやればマトリカリアは身をくねらせ、腰を跳ね上げた。