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【skeb】重なる二人 〜 異世界転生した貧乳美少女と絵本の中の変態少女

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 目が覚めた時、私は見知らぬ部屋のベッドに “顔だけが露出したかわいいクマの着ぐるみ” を身に付けて横になっていた。


 ユナ(由那)。

 それが私の名前で、私が “覚えている” 唯一のことだった。


「…ふわぁ〜〜 よく寝たぁ〜 ……ん? あれは???」


 驚くほどに寝覚めが良く、私の頭はすっきりと晴れ渡っていた。

 そして私は、目の前の机に一枚の紙が置かれているのに気づく。


《 やっほー♪ ユナちゃん♪♪ 私は神様だぞっ☆☆☆ 》


「あ、私のことだ」


《 そしてその着ぐるみは、ユナちゃんだけの専用アイテムだよ♪♪ 》


「……アイテム?」


《 前世の記録(前のセーブデータ)と引き換えに、転生特典としてその “クマセット” をプレゼントってコト!? 》


「……それは私のセリフじゃ?」


《 それは “か弱い貧乳美少女” のユナちゃんが、この世界ですぐにゲームオーバーにならないように、着ると “力も魔法も最強になれる” 最強アイテム 》


「……どっちも事実ではあるけど…か弱いはまだしも、貧乳って言うなっ!!!……気にしてるんだから…事実陳列罪で訴えますよっ!!!……まぁ美少女なのは嬉しいけど、それなら転生の際にスタイルもいい感じのにしてくれたって…」


《 ※ 容姿は私の趣味です。》


「この神様がロリコンなだけかよっ!!!……てかさっきから、“アイテム” だとか “ゲームオーバー” だとか、一体これは何なの?」


《 …… “最強になれる最強アイテム” には突っ込んでくれないんだね… 》


「……あれっ? そう言えば、テレビに話しかけてしまう感じで突っ込んでたけど…私、この手紙と会話できてる??? 事前に私の行動や思考を読んでたってコト!?」


《 私、神様ですからっ♪♪ キラっ☆☆☆ 》


「………」


《 さて、ユナちゃんの質問への回答だけど、ここは “ゲーム界” だよ 》


「ゲーム界?」


《 その説明は今からするので慌てないでよ〜〜 》


「…ごめんなさい」


《 いいってことよ!!》


「………(この神様、10秒に1回くらいのペースでムカつくな)」


《 こらっ!!! 》


「!?!?!?」


《 ごめんなさいは??? 》


「…ごめんなさい」


《 よろしい 》


「…神様って怖い」


《 ……… 》


「……神様って凄いなぁ…」


《 ♪ さて、このゲーム界についてだけど……ここは “現在進行形で創造(プログラム)され続けている未完成の世界” 》


「そんな世界が存在するの?」


《 信じられないかも知れないけど、これは本当のことだよ。なんたって、神様である私が言うんだからね!》


「………(少しアレだけど、神様の力は本当だし信じるか)」


《 そんなこの世界には、見つかっていない不可解な未解決の事象(バグ)がまだまだ一杯あってね。神様としてはそれを解決(デバッグ)しないといけないだ。だからユナちゃんにはこの世界を歩き回って、それらを見つけ出して欲しいんだよ。神(管理者)であると私が、その力(管理者権限)を使ってユナちゃんに与えたクマセットは、これをしてもらうためのワールドアイテムで、まさにチート級のお助けアイテム。つまるところユナちゃんは、開発中ゲームのテストプレイヤー(デバッカー)ってわけだね!! 》


「…どうして今になって私が? これまでだって、この世界にはたくさんの人が暮らして居るんじゃないの???」


《 それはユナちゃんが……ううん。これは冒険を始めたらいずれ分かるから、その身で体験して…自分の目で確かめて欲しいな♪♪ 》


「……私に拒否権とかは…」


《 ※ なお、この手紙は5秒後に自動的に消滅するよっ☆☆☆ 》


「ワッ!? 燃えちゃった……」


 そうして私の、ゲーム界での人生が幕を開けたのだった。


ーーーーー


「くらえ、ユナぱーんちっ!!!」


 ばーーーーんっ!!!


「そこだ、ユナキーーック!!!」


 がしゃーーーん!!!


「とどめのユナスペシャル!!!」


 どーーーーんっ!!!


〔 ユナは 勝利した。経験値を かくとくした。レベルが あがった 〕


 神から授かったクマセットの前では、モンスターの存在はあってないようなものだった。

 ユナが通った後には塵一つ残らない。

 一撃でモンスターを薙ぎ倒し、ドロップアイテムは根こそぎ拾って “全て” 持ち帰る。


「……レアアイテムは何もなしかぁ…ドロップ率は何%よ!! ゲームバランスどうなってるの? 確率低すぎない??? ………。」


 返事がないのを承知で、神様に向かって文句を言うユナ。

 あの置き手紙以降、いかなる形においても神様がユナに接触をしたことはない。

 だから今日も独り言として、ユナの文句は空に消えた。


「……まぁ分かってはいるけど、音沙汰なしか…。もしかして、〇んだんじゃないの〜? なんてね、神様がそう簡単に〇ぬわけ無いか。この世界にはまだ

、不可解な未解決の事象(バグ)がたくさんあるって言ってたし、そっちに追われてきっと私の相手をする余裕もないんだろうな〜 あ、でもそしたら、過労〇とかの可能性は……いや、そもそも神様に〇の概念って…」


 そんな哲学的なことに思考を巡らせるほど、転生をしてから5年の歳月が経過したユナの生活は “単調で退屈なもの” になっていた。


〔 盗賊が あらわれた 〕


「うわっびっくりした! まったくもぅ、加工前の女の子と考えごとをしている最中の “無防備な” 女の子には優しくしないと、だめだぞぉ♡」


 この世界はシンボルエンカウントでは無く、ランダムエンカウントである。

 そのため街を出れば途端に、いつどこでモンスターに襲われても不思議では無いのだが、当の本人からすれば目の前にいきなり現れるのだから、いくら年数や経験を重ねたとしても驚くのは仕方がない。

 不意をつかれた形になったユナだったが、そうは言っても一撃であることに変わりはない。


「えいっ!」


 ぎゃ〜〜〜〜っ!!!


〔 ユナは 勝利した。経験値を かくとくした。特殊アイテム:ポ〇ノ小説を ひろった 〕


「やった! レアアイテム!! ……ん? じゃ無くて何これ、“特殊アイテム” ???」


《 ピーン↗︎ ポーン↗︎ パーン↗︎ ポーン↗︎ ♪♪ 》


 突如アナウンスの始まるような音が鳴る。


「えっ!? うるさっ」


 その音は直接、ユナの頭の中に響いていた。


《 ようやく手にしたようだね! あ、神様だぞっ☆☆☆ 》


 久しぶり過ぎて設定を忘れていたご様子の神様。


《 ユナちゃんが拾ったそのアイテムは、ユナちゃんの “運命を左右する” 重要なアイテムだお 》


 重要と言う割にはふざけてるが、これこそが神様の通常運転である。


《 そのレアアイテムとも異なる “特殊アイテム” はね。“強化アイテムの一種” なんだけど、使用することでユナちゃんの “性質を変化させ、成長を促す” アイテムさ 》


 “性質を変化させる” なんてサラッと恐ろしいことを言って退ける神様だが、“成長を促す” と続いているからには好意的に考えているのだろう。


《 例えばだけど、普通の剣じゃ無くて “特殊アイテムの剣” を拾って使ったとしたら、ユナちゃんは剣士としての人生を歩み始めるって感じだね 》


 とてもいい “例え” であるのは確かだが、どうせなら存在するかもいつ拾えるかも分からない剣よりも、いま拾ったアイテムがあるのだからそれについてもっと具体的に教えてくれても、と思うユナ。


《 うんうん。言いたいことは分かるよ。だけど、それを私が話してしまっては面白みに欠けるでしょ? それこそせっかく手元にあるんだから、実際に使ってみればいいじゃないか 》


「………(まぁそれもそうか)」


《 納得してもらえたようで良かった! …と言うことで、特殊アイテムについての説明はこれで終わりだよ!! じゃあユナちゃん、よろしくね〜 》


 一方的に要件だけを伝えると、ユナの反応を待つことなく神様は消えていた。

 それは登場時と反対の下降音によって知らされた。


《 ピーン↘︎ ポーン↘︎ パーン↘︎ ポーン↘︎ ♪ 》


「あ、居なくなったみたい。…にしても、そんな重要なアイテムがよりにもよって “ポ〇ノ小説” だなんて……これを “使った” として、一体どんな成長をするか想像もつかないし、そもそも “使う” ってなに? まさかこの本で敵を殴るなんて某RPGの魔法使いみたいなことは無いだろうし、こんなんでも一応は小説と名乗ってるわけだから、読めばいいってこと??? ……あまり乗り気はしないけど…」


 思考の末、ポ〇ノ小説を読んでみることにしたユナ。


〔 ユナは 特殊アイテム:ポ〇ノ小説を つかった 〕


「……えーっと、タイトルは…」


ーー『クマ娘 メス堕ちダンス』ーー


 ある日 森の中

 クマさんが 拾った

 盗賊を 倒した後に

 ポ〇ノ小説を 拾った


 作者不明の ポ〇ノ小説にゃ

 クマさんの 姿が

 乳を ブンブンブンブンブ〜ン

 尻を フリフリフリフリフリ〜


 別の日 クマさんは

 全裸で 宣言する

 私は 敗北をした

 無様な メス豚です


 また別の日 クマさんは

 再び 全裸で

 クマの着ぐるみの

 上で 踊り出す


 ボロボロの ヨレヨレの

 汚い 着ぐるみ

 最後に それを

 便器に 投げ込んだ


ーーーーーーーーーーーーーーー


〔 ユナは 状態:メス見習いに なった 〕


「何よこれ、“趣味が悪い” 」


 “ある日” から始まり、“ポ〇ノ小説を拾った” までの内容は、まさにユナが今し方体験したままである。

 そして “クマ” と登場したそれは、途中で一人称が私と判明し、そのうえ人の言葉で話し出すため、熊では無いことが分かる。

 さらにはクマさんと称される私は、“クマの着ぐるみ” を身につけているのだと言う。

 こんな “偶然” あり得るのだろうか。


 それでいて、そんな “自身と重なるポ〇ノ小説の主人公” が、裸で踊り、全裸で敗北宣言をし、メス豚とを貶す。

 遂には、アンデンティティとも言えるクマの着ぐるみを便器へゴミのように投げ込んだのだ。


 ユナが “趣味が悪い” と感想を漏らすのも納得のいく内容である。


「……これどうしようかな…」


 おいそれと自身にそっくりな少女の痴態が描かれているポ〇ノ小説を捨てるわけにはいかない。

 もし他の人が拾って読みでもしたらと思うと気が気じゃないのだ。

 いっそ焼却してしまいたいが特殊アイテムということもあって、“誤って” 失わないようご丁寧に加護までされている。


「誤りじゃなくて、心の底から強く願っているのだけど……仕方ない持って帰るか…」


 渋々と持ち物(インベントリ)に入れ、今日はなんだか疲れたと帰路に着いた。


ーーーーー


「……たしかまだ、“続きが” あったな…」


 あれほど “趣味が悪い” だの、“捨てたい” だのと言っていたのに、まるで何かに取り憑かれたかのように “自分を主役にした、作者不明のポルノ小説” のことが頭から離れずにいた。

 これこそ神様の言った、“性質を変化させる” が指す意味である。

 このポ〇ノ小説を手にした瞬間、密かに芽生えていた好奇心。

 無意識のうちにその好奇心に負け、ポ〇ノ小説を開いたユナの心には “新たな超自我” が生まれる。

 “特別な快感と幻想” をもたらすその超自我はユナを内側から侵食し、次第に自我を変容させ、“破滅的露出狂” へと “成長させる” 。


 疲れているはずなのに、ポ〇ノ小説のページをめくる手も、自身の秘部をいじる手も止まらないユナ。


「…私ったら、私みたいな子がこんな事をしてるのを見てオ〇ニーしちゃってるっ//// でも、読むのもするのも止められない……ぐちゅ、んっ/// ぐちゅぐちゅ、んんっ//// …自分より下の存在に土下座するってどんな気持ちなんだろう(ぐちゅ)……人前で裸になって辱めを受けるのって(ぐちゅぐちゅ)………大切なものをゴミのように扱うって(ぐちゅぐちゅぐちゅ)…………ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ……ぷしゃーーーーーーーっ!!!!…はぁ…はぁ……すぅ…すぅ……zzzZZZ」


〔 ユナは 状態:夢見がちなメスに なった 〕


ーーーーー


 果てたのと同時に意識を飛ばしたユナが、次に目を覚ましたのは朝だった。


「……昨日の夜はあんなっ/// 痛っ、寝違えたかなぁ…変な寝方をしてしまったから体も痛いし、なんだか体も重くてだるいし今日は休むか…」


 そんな理由をつけたユナだったが、ベットから出ずに起きていの一番に始めたことは……。


「そうと決まれば、“続き” を読まないと……違うわ。これは…そう、集中する為には気の散るものを無くす方が早いし、延いては見聞を広めることにも繋がるわけで…」


 誰に聞かれるでも、誰に言うわけでもなく、ユナは弁明をする。

「…って、何してんだろう。別に “いけないこと” をしてるんじゃ無いんだから好きにすればいいのに……そうよね、迷惑をかけずに一人で楽しむ分には “平気” よね?」


 次々に言い訳を考えては自身の行動を正当化するユナ。


「ぺらっ、着ぐるみをあんなっ/// くちゅくちゅ …ぺらっ、街の真ん中でこんなっ/// くちゅくちゅ …ぺらっ、子どもの前でそんなっ///くちゅくちゅ ……」


〔 ユナは 状態:マゾメス探求者に なった 〕


 一通り読み終えた頃にはもう、日が沈んで辺りは暗くなっていた。

 しかし、ユナは本を返すともう一度表紙を捲って、狂ったように読み始める。

 飲み食いもせずに何日も何日も、ポ〇ノ小説が擦れて、濡れて、読めなくなるまでそれは続いた。

 その頃には全文を暗記し、ポ〇ノ小説がユナの中に存在するみたくなっていた。


「よしっ」


 何やら更なる決意を固めたユナは、クマセットを身につけてから家の外へと一歩踏み出す。


 世界が変わったのか、ユナが変わったのか。


 外の世界は、目に入るもの全てが違って見えた。

 ただの風景でしか無かった木が今では “身を潜めるのに適しているな” と考えるように変化した。

 道端の木箱も、街灯のない場所も、入り組んだ裏道も、それら全てがユナの欲求を満たすのに “役立つ” としか思えない。


 直前の問いに答えるならば、そのどちらもが変わったのだろう。

 新たな世界に、新たなユナが誕生した。


「……それでもやっぱり、出来るだけ遠くに行かなくちゃね…」


 ユナの知らない、ユナを知らない場所で “見つかっても” と最後の保険を残すために、遠く離れたところを目指すことにする。


「…この家に帰ってくることは……」


 命を落とすつもりは無いが、身を落とす覚悟はある。

 そうであれば、もうここに戻っては来れないかもしれない。

 それに戻って来たとして、その時にはユナが “ユナである” 確証はない。


「…行って来ます」


 これまでの家と街と土地とユナに挨拶をして、人知れず夜のうちに旅立った。


ーーーーー


 野を越え、山越え、谷越えて。

 三日三晩以上歩き続けて辿り着いた田舎の町に心惹かれたユナは、ここで新たな生活を始め、“初めて” 願望を叶えることに決めた。


 いつまで居るかも分からないし “家ですることはない” ため、どんなのでもいいと適当に空き家を借りたユナは、さっそく裏山の森に出かける。


「ここまで我慢したんだもん。もういいよね?」


 まだ少し入ったばかりだと言うのに、ユナはクマセットに手をかける。


「こんなところ誰も居ないよね? はぁはぁ…」


……じじじじっ…


 背中のチャックを下げる。

 開いた箇所から徐々にユナの背中が顔を覗かせる。


「…冷えるなぁ」


 空気が露出した背中に当たって冷たいのもあるが、気温的には25度くらいはあるので決して外が寒いのではない。

 緊張によるものか、それとも興奮によるものか。

 ユナの通常より上がった体温と外気との温度差による冷えを感じているのだ。


…じじ、じじじじ……ふぁさっ。


「…なっちゃった、裸っ/////」


 遂に “露出” をしてみせたユナ。


〔 ユナは 状態:露出狂のメスに なった 〕


「…すごいっ♡♡ これっ♡♡ ポ〇ノ小説で読んだときの何倍もっ♡♡ 想像していたよりも何十倍もっ♡♡ ずっとずっとすごいっ♡♡」


 誰にも見られて居ないとは言え、外で裸になるのは室内でのそれとは比較にならないほどに “開放感” があり、同時に何か不測の事態が起こるやも知れないという “緊張感” と “期待感” があった。


「…せっかく裸になったんだから、すぐに着るのは “もったいない” よね」


 衣服の着脱に、もったいないも何も無いのだが、機会の損失と考えればそうとも思える。


「さすがにここにクマセットを置いていくのは危険だよね。人の気配はしないけど、モンスターに盗られるかも知れないし、万が一遭遇した時に生身じゃ私自身を守れない」


 ユナの強さは100%が、転生特典のクマセットに由来している。

 出発前の “命を落とすつもりは無い” と言うのは、その “心配をしていない” のであって、クマセットありきの話である。

 生身の、裸の状態の今のユナは “ただの少女” でしか無いのだ。

 だから例えクマセットを脱いだとしても、それ置いて何処かに行くのには “そうとうの覚悟ときっかけ” が必要であり、今のユナはまだそれを持ち合わせては居ない。


「よいしょっと」


 ユナはクマセットを抱えて、森の中を歩くことにした。


「ふんふ、ふんふ、ふーん♪」


 多くの意味で解放されたユナは、“外で裸だ” と言うのに鼻歌交じりで散歩、もとい露出を楽しむ。


「とってもいい気分だわ♪♪ …やっほーーーー!!!」


やっほーーー

やっほーー

やっほー

やっh

やっ

…。


 裏山に木霊するユナの声。

 “山に来たからには山彦をやらないと” みたいな考えではなくて、周囲に何も居ないかの確認を兼ねて音を出したのだ。


「…木霊以外の音は無しっと。ヨシ!」


 ユナはクマセットを地面に置く。


「まぁ結構奥の方まで来たんだし、心配する必要も無いわよね?」


 そう言うと、両足を大きく開いて腰を落とし、手は頭の後ろへ。

 すぐにはクマセットを拾えない体勢を取る。


「ふぅ♡ ふぅ♡♡ ポ〇ノ小説の始まりは……」


 ユナは自身の初めてと、ポルノ小説の初めてを重ねる。


「乳をブンブンブンブンブ〜ン」


〔 しかし ユナには 揺れる乳が なかった 〕


「な、何よそれっ///」


 ユナの乳は、100人が見れば100人が “残念” と思うほどに貧乳である。

 普段は着ぐるみのおかげで隠せているが、今のユナはそうでは無い。

 ポルノ小説の中の少女も、はち切れんばかりで有り余るほどのデカ乳を持っているわけではなく、むしろユナのように無い乳を振って見せているだけなのだ。

 けれども自然の重力や引力に任せてブルンブルンと揺れる乳は下品かも知れないが、無い乳を必死に振る姿もまた “惨め” であり、双方に違った良さがあると言うものだ。


「貧乳はステータスなの! 希少価値だってあるのよ!! ぶんぶん、ぶんぶん!!!」


 揺れてるつもりで振り続けるユナ。


「乳振り一辺倒ってのもつまらないでしょうし、お尻も振ってあげる♪ サービスよ、サービス♪♪ ほーら、尻をフリフリフリフリフリ〜」


 ガニ股で前後に腰をへこへこさせながらお尻を振るユナ。


「腰振り、尻振りダンスはどう?」


 “居ない聴衆” に問い掛けているため、当然返事は返ってこない。

 いや、ここで返事や拍手が返って来た方が大問題ではある。


「ヘコヘコ、フリフリ! 続きましてはお尻を突き出して〜」


 足は大きく開いたままのガニ股を保って、今度はお辞儀でもするように上半身を折り曲げて手は足首を掴んだ。


「お尻にちゅうも〜くっ! ふ〜り♪ ふり♪♪ ふ〜り♪ ふり♪♪ 世にも珍しクマの少女、ユナちゃんのお尻ですよ〜〜!! ふ〜り♪ ふり♪♪ ふ〜り♪ ふり♪♪」


 ここまで来て、何をもったいぶる必要があるのかと問われれば答えるのは難しいが、それでも惜しげも無く “痴態” を披露してみせるユナに、一言声を掛けるならそれは “酷く滑稽だ” と言わざるを得ない。

 それでいてユナは、その一言に憤慨するのではなく、おそらく最高の笑みとお礼の言葉を返すに違いなかった。


「あはっ♡ 楽しいぃ〜♡♡ 裸でいるってだけでも素敵なのにぃ♡♡ 大声出してアピールしてぇ♡♡♡ 無い胸を必死に強調してぇ♡♡♡ お尻まで振ってぇ♡♡♡ ……最っ高の初夜だわぁ♡♡♡」


 有頂天のユナは、それから何度か体勢を変え、胸や腰、お尻を振り続けていた。


ガサっ!


「!?」


 ユナの様子が一変する。

 突如、ユナの踊りとは無関係な別の音が森の中から発せられる。

 すかさず足元のクマセットを手に取るユナ。


「誰か居るの?」


………。


 反応はない。


「女の子の裸を覗くなんて “人として恥ずかしい” わよ!」


 どの口が言うのだろうか。

 恥ずかしいことをしている人はユナの方である。


………。


「隠れてないで出て来なさい!!」


………。


 それでも一向にその姿を見せる気配はない。


「……あれっ? もしかして???」


 何も起きない状況に痺れを切らしたユナは、意を決して音のした森の方へと向かう。

 しかし、何者かが逃げる様子も逃げた様子もなく、居たような痕跡も見つけられなかった。


「…気のせいだったのかぁ……まぁテンションが上がってて周りを見れてない状態だったし、あんなことをしていたのもあって少しのことにも過敏になってたけど…ちょっとした音を大袈裟に感じただけってこと? 恥ずかしいなぁ///」


 恥ずかしがるべきはそこではない。


「何だかさめちゃったし、今日はもう帰ろうかな〜」


 興奮した気持ちも落ち着き、火照っていた体も冷めたユナは、快楽に酔っていたのも覚め、興も醒めていた。


「……でも、見られたと思ったあの瞬間が一番興奮しちゃったなぁ…」


 そんな感想を抱きながら、借家へ戻ったユナだった。


〔 ユナは 状態:願望持ちのメス露出狂に なった 〕


ーーーーー


 次の日の朝。


「こんな田舎に来てまでやることなんて無いし……」


 ユナにとって日中の露出はリスクが高くて、まだ手を出せないでいた。

 だから日が沈んで暗くなるまで、もう一眠りすることにした。


「……ふぁ〜 よく寝たぁ〜〜」


 再び目を覚ましたユナは、パンを持って出かける。

 手にしたパンを食べながら、ユナは昨日と同じ裏山の森を進んで行く。


「…今日はこの辺で…」


 ユナが足を止めたのは一つのパンを食べ終わった頃、時間にして10分も経ってはいない。

 つまり昨日よりも随分と麓に近い、人の姿があってもおかしく無い位置である。


「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけ……であれば、露出をする(見せる)なら見られる覚悟を持たないと…」


 元はと言えば “とある小説に登場する台詞” だが、有名なのは “絶対遵守の力を持つ青年” の方かも知れない。

 かの青年は引用することで行為に正当性を与えたわけだが、それに倣って同じ試みをした結果、ユナはこの台詞を捩ることで “謎理論” を展開してみせたのである。

 しかし、当の本人は非常に満足しているようだった。


「我ながら完璧で見事な理論ね! ……したらばさっそく…」


 ユナは理論武装をした変わりに、自らの武装であるクマセットを脱いだ。


「……ふぅ…(ぶるっ)んっ♡♡♡ この感じ、何度味わっても最高だわ♡♡♡」


 露出という行為そのものに興奮し、それだけで軽イキを決め、体を震わせる。

 裸になっただけでイッてしまっては、この先が思いやられる。

 それにこのままイキ続けでもしたら、この場から動くことなど叶わない。


「…っと危ない。こんなんで満足しに来たんじゃなかった……」


 少しでも気を抜けば、ここで腰を抜かすほどに自慰をしてしまいそうな自分にそう言い聞かせて、ユナは森の散策を始めた。


「あるーひー、もりのなかー、ユナちゃんがー」


 自らのバイブルでもある例のポ〇ノ小説を布教するかのように歌いながら歩く。

 ポ〇ノ小説に登場するクマを自身に置き換えて、まるで生まれ変わりか、化身かの如く体現している。

 今や彼女は、露出の素晴らしさや無様で下品に振る舞うことの大切さを説く伝道者である。


「…小説ならここで “負ける” のだけれど、一体何に……」


 最新の注意を払い、周囲に人の居ない森の中で露出をしているのは、ユナが “破滅” を期待する “願望持ちのメス露出狂” の状態であっても、未だ保険を残しているからだ。


「…手頃なモンスターでも居ないのかしら?」


 人型の魔物やサキュバス、高位の存在でもなければ、人の行為や言語など理解できないだろうとユナは考えている。

 だからこの場合における手頃なモンスターとは、スライムやワームなどのことであり、完全に無害ではないとしても脅威にもならない、謂わば “かぼちゃのような観客” になってくれる者のことである。


「まぁそんな都合のいい……」


〔 ピンクスライムが あらわれた 〕


「わっ出たっ!? “ことだまの ちからって すげー!” 」


 仕組まれたようなタイミングでの都合のいいエンカウント。


「まぁ言霊ってより “神の御業” みたいに感じるけど……言ってみるものね…」


 裸でモンスターと遭遇しているのに取り乱す様子もないのは、ユナが “成長している証拠” かも知れない。


「せっかく現れてもらったんだし、待たせるのも悪いわよね」


 モンスター相手にユナが取る行動は、昨日の時点ならば “急いでクマセットを身につけ迎撃する” という選択肢だけだった。

 しかし昨日の今日で、ユナの中には別の選択肢が生まれていた。

 それは “破滅に直結しない限り” との条件付きではあるが、ポ〇ノ小説の内容をなぞって “自然の流れに身を任せる” という選択肢である。

 そして当然、新たな選択肢が生まれたのであればそれを選択するのが人というもの。

 なぜなら、選択しない選択肢を生む必要などないのだから……。


「私は “敗北をした” 無様なメス豚ですぅ////(言っちゃったわ////)」


 かぼちゃのような観客と表現した手頃なモンスターであるスライム相手に何をしているのかと問われれば、本当に何をしているか不明な状態である。

 単なる “自己満足” であり、意味を無していないのだからこその “滑稽さ” がある。

 しかしながらユナにとって、この滑稽なことが何よりも重要であり、意味あることなのだ。


「手を伸ばせばすぐそこにクマセットがあって、こんな雑魚スライムなんて一瞬で倒せるのに……それをせずに裸で土下座をして負けを宣言してる…それも実際には負けていないし、スライムにとっては無意味な敗北宣言という “どちらも形だけ” の行為を、誰に強制されるでもなく、見せたり見られたりするでもなく、ポ〇ノ小説に書かれていたというだけで、ただ私がそうしたいというだけで……はぁ、最高ね♡♡♡ スライムの表情なんて少しも読み取れないけれど、ぴくりとも動かないし、ぽかんと口でも開けているのかな? それともモンスターとして私を襲おうとでも考えて、その隙でも…って隙しか無いか」


 ご丁寧に思考を巡らすユナだが、あいにく単細胞のスライムにはそんな崇高な考えなど無かった。

 彼らはただ “本能に従い、集まり、合体し、獲物を捕らえる” 。


〔 ピンクスライムは なかまを よんだ 〕

〔 ピンクスライムBが あらわれた 〕

〔 ピンクスライムCが あらわれた 〕

〔 ピンクスライムDが あらわれた 〕

〔 な、なんと ピンクスライムたちが どんどん合体していく 〕


「…これ、まずいんじゃ」


 ユナが “手頃” と言ったのは単体のスライムであって、複数の…あるいは合体したことにより単体になったスライムではない。


〔 ピンクスライムたちは キングピンクスライムに なってしまった!〕

〔 キングピンクスライムの れんぞくこうげき 〕


「え、連続攻撃!? そんなの聞いてないっ!?!?!?」


〔 のしかかる 〕

〔 のみこむ 〕

〔 きゅうしゅう 〕

〔 ??? 〕


 この世界のキングスライムは一度に “合体した分だけ” 行動をする。

 土下座の体勢から頭だけを少しうえに上げたの状態で合体の様子を見ていたユナに、それらの攻撃を避けることは出来なかった。


「うべっ!」


 のしかかられて頭を地面に戻される。

 再び土下座を…いや、今度は強制的に土下座の姿勢を取らされ続ける。


「…重いけど、少しひんやりして気持ちいい……」


 この状況でもユナが冷静で居られるのは、すぐに殺されることはないと確信をしているからであった。

 と言うのも、スライムは殺傷能力を持っておらず、呑み込んで自身に取り込んだものを、時間をかけてゆっくりと吸収するとされているのだ。

 だから連続攻撃とは言ったが、“のしかかる・のみこむ・きゅうしゅう” は、この世界のスライムが基本とする一連の動作なのである。


 ユナほどの大きさであれば、吸収し切るのに数年はかかるだろう。

 けれども、その頃にはユナがユナの状態を保ってるとも言えないので、早めに脱する必要こそあれど、それでも猶予として半年は残されている。


「うぉぉおお! 体が持ち上げられて、どんどんスライムの中に入っていくわ!! 以前に足を取られて飲み込まれかけたことはあるけど、その時はクマセットを着ていたからあまりスライムを感じなかった……と言うより、当時は普通に気持ち悪かったけど…直に包み込まれてみると、ひんやりしてるだけじゃなく浮遊感もあって、なんだか暑い夏の日にプールで浮かんでいるような……」


 興奮により火照った体を程よく冷ましてくてたみたいで、スライムに呑み込まれるのも案外と悪くないものだなぁと思ったユナ。

 しかしユナに降りかかるのは、そんな小さな幸せでは無かった。

 そもそもを思い出せばユナはスライムに襲われている状況なのであって、幸せを感じているのは異常なのである。

 合体したスライムは全部で4体。

 そして一つ、“???” と表示された攻撃。

 “?” は判別不明、もしくは受けたことのない攻撃。

 水色の栗型を除いて “鉄の色をしていれば硬かったり” 、“バブル状であれば毒をもっていたり” とスライムは色・形によって異なった特性をもつ。

 そうであれば “ピンク” とは……。


〔 キングピンクスライムの こうげき “さらす” 〕


「晒す!? そんな攻撃聞いたことないわよっ!!」


 呑み込まれたユナがキングスライムの中を移動し、ついに表面に辿り着く。

 顔、胸、お腹と順番に露出する。

 両腕と両足だけを体の後ろに回され、それらだけをキングスライムの中に残して、他の全てを外に出される。

 見た目として一番近いのは “肉鎧” であるが、“盾や身代わり” ではなく、“さらす” という言葉を正確に捉えるなら、このキングスライムの目的は “外気に当てて放置する” とか “誰かの目に触れるところに置く” とかを意味するはずだ。


「……もともと裸で露出していた身だけど…こんなのはないよぅ…////」


 スライムには物理攻撃が効きにくい。

 それは流体であって、受け流す能力が高いからである。

 試しにユナが力を入れてみても波紋のように広がっていくだけであり、あらゆる力は細かい振動に変換されてスライムの中を通り過ぎてしまう。

 かろうじてスライムの輪郭の縁がパチっと火花を散らしたかのように弾けるが、全体の1%にも満たない量が飛散するのみである。


「……何百回、何千回と繰り返せばいつかは…」


 それは途方も無い回数に感じるが、脱出の可能性があることも示している。


「……まぁでも、それなら…」


 ユナにとっての最悪の事態、それは “本当に” 破滅すること。

 たとえ困難であっても、最終的にそれを回避できるのであれば “問題はない” 。


「……もう少しくらい楽しんでも良いよね?」


 これは許可を求めているのではなく、“まだ大丈夫” という自分への確認であり、決意表明である。


……ネチョ…ネチョ…


 森の中をスライムが這う。


……ネチョネチョ…カサカサ…っ!?…ネチョ…ネチョ…


 木々の掠れる音に反応したスライムが進む方向を変える。


「あっ/// そっちは…」


 スライムはユナの歩いてきた道を逆走する。

 つまりは山を降り、人の居る可能性がある場所へと向かってるわけなのだ。

 普段であれば、ただ動く物に反応するだけのスライムを誘導することは簡単である。

 そこら辺に落ちている石でも何でも投げれば、それだけで済むのだ。

 しかし、両手足を呑み込まれた状態のユナにはそれすらも出来ない。

 スライムは自然に身を任せて、ユナはスライムに身を任せる。


「………(……あぁっ…/// もうすぐ麓…)」


 自由を奪われ、強制的に露出させられた状態で連れ回されていると言うのにユナは興奮し、この状態を楽しんでいた。


「……ねぇ知ってるー?」

「なになに〜???」


 しかしそれは、遠くから聞こえた “人の話し声” で一変する。

 “もしかしたら” がユナの興奮材料であって、“実際に” では事情が違う。


「!?(え、誰か来る!? まずい。どんどん近づいて。このままだと…)」


 山の麓、人の声がした町へと続く街道にスライムは向かう。


「(何でっ? 何でこうも一直線に???)」


 冷静でなくなったユナには難しいかも知れないが、スライムの行動原理は至って簡単。

 “どうして人の居る方に” ではなく、“人が居るからこそ” としか言いようがない。


「でさー」

「なるほどね〜」


 スライムが、そして露出・拘束されたユナが近づいていることなどつゆ知らずに会話を続ける通行人。

 歩けば土は舞い、小石を蹴飛ばし、木の枝を踏む。

 スライムはそれに反応し、距離を詰める。


「(まずいまずいまずい)」


 徐々に大きくなる話し声に心臓バクバクのユナ。

 けれどもいくら焦って、慌てたって今更間に合わない。

 それどころか下手に動いて “見つかる” 方が悪手である。


……ネチョ…ネチョ…


「なんか変な音しない?」

「そうかな〜???」

「!?(まさか、気づかれたっ!?)」


 “見つからないために” とユナが物音を立てないよう心掛けたとしても、スライムにそんな意図は伝わらないどころか、スライムにとって関係のないことである。


……ネチョ…ネチョ…


「(……ほんとうに見つかる…バレる…人生終わっちゃう………あはっ♡♡♡)」


プシュっ!


 人としての最後を迎える瞬間を前をして、ユナは後悔をするでも泣くでもなく “イッていた” 。


プシャーーーっ!!


 一度イッてしまえば、気持ちが落ち着くまでイキ続けるだろう。

 であれば、願望持ちのメス露出狂なユナの興奮が冷め止むこともないわけで、イキ続けることは必至である。


「(止まらないぃぃ♡♡♡ 数メートル先には人が居るのにイクの止まらないぃぃ♡♡♡)」


 裸で、スライムに拘束されているのでさえ見られるわけにいかないと言うのに、加えてイッている状態を見られては何の言い訳も出来ずにただの “変態” 認定されてしまう。

 間違っていないのだが、弱みを握られ、脅され、自由を奪われたくは無いのだ。

 これからも “自分の意思で” 楽しみたい。

 それがユナの心からの願いである。

 しかしながら体は快楽に正直で、ユナの言うことを聞いてはくれない。

 その上、スライムも正直である。


「(あれ? スライムの動きが早くなった???)」


 スライムが素早く動くのは、ユナを襲った時のように獲物を捉える時。

 けれども近づいて来ているとは言え、街道を歩く人にはまだ幾分かは距離がある。

 スライムが認識したのは通行人より近い距離の、熱を帯びた動くもの。

 つまりユナの吹いた “潮である” 。


「(まさか私の潮に反応してっ///)」


 自らの痴態で、更なる痴態を晒す一歩を進ませる。


「(イクの止めないとぉぉおお♡♡♡ このまま真っ直ぐ進んで人の目の前に出ちゃうのにぃぃいい♡♡)」


プシューーー、プシューーーーーっ!!!

……ネチョネチョ……ネチョネチョ…


「(もうダメーーーーーぇぇえええ!!!!!)」


ガサガサっ!


「やっぱり何か居るよっ!?」

「早く逃げようっ!」


 通行人は冒険者ではなく村人だ。

 つまり戦闘は苦手であり、モンスターと遭遇したら命の保証はない。

 少しでも異変を感じたら、その場から一目散に去るのだ。


…ネチョネチョ……


 スライムが街道に出た時には、通行人は走り去った後だった。


「……よかったぁ…もう少しで見つかるところだったぁ…んんっ♡♡♡」


 これは本心からの “よかった” なのか。

 “もっとギリギリな状況を楽しみたかった” のでは無いだろうか。

 もしかしたら “見つかってから” すら望んでいたのでは無いだろうか。


「……このままだと次に誰か来たら…」


 事前の確認通り、何百・何千回と攻撃を繰り返し、数時間を掛けてスライムから脱出したユナは、夜も明けて日が昇る頃、クマセットを拾って家に帰った。

 自分を人としての最底辺に下げ、“破滅までの綱渡り” をすることが、唯一ユナを満足させる。


〔 ユナは 状態:破滅寸前の願望持ちメス露出狂に なった 〕


ーーーーー


 それから数ヶ月。

 露出狂に目覚めたユナは、町周辺のありとあらゆる場所で様々な露出を行なった。


 初めこそ山の上まで登っていたユナだが、数日で麓の森の中で始めるようになり、さらに数日後には平坦な開けた場所でも露出するようなっていた。


 とは言え、最初は人通りの少ない街道の横。

 すぐに隠れられる木や岩の近く。

 最後の砦でもあるクマセットからは距離をとってもせいぜい十数メートル。


 それも次第にスリルを求めるようになり、借家にクマセットを置いて外に出たり、周辺を裸で徘徊したりと、より人と近い位置での露出を楽しんだ。


 時にはあの夜、スライムに拘束されたような破滅寸前のピンチに陥ることもあった。

 しかし、こう何度も “ピンチ” になると、非日常が日常に変化し、感覚が麻痺をする。

 

「……なんだか最近 “刺激が足りない” 気がするなぁ… “露出する恥ずかしさ” と “見つかるかも知れないというドキドキ感” も悪くは無いけど、それと同時にもっと “何かあれば” いいのに…」


 この頃のユナは、独り身で露出を楽しむことの限界を迎えていた。

 どう転んでも、どこまでその身を堕としても、“人に見つかること” だけは絶対に避けることを信条のようにして来たユナは、“ただ肌を露出するだけ” では満足できなくなっていた。

 けれども、おいそれと曲げるのであればそれは信条とは呼べない。

 であれば、信条を守りつつも同時に、更なる幸福を得るのであれば “何か別の行為を付け加わえる” しか無い。

 そこでユナがした選択こそが、“汚れる” という行為だったのである。


「 “大切な” クマセットをっと…」


 クマセットはユナがこの世界において命の次に大切なものであるし、もっと言ってしまえばその一番大切な命を守るために必須とも言える代物である。

 しかし今、そんなクマセットを持ち出し、地面にマットのように広げる。


「そして土汚れのついた靴を履いたまま…」


 宝物のように大切に扱ってきたクマセットを土足で踏みつけ、汚した。


「うわぁぁぁぁああ♡♡♡」


 込み上げてくる罪悪感と背徳感に全身がゾクゾクと身震いし、湧き上がる感情に興奮して声をあげていた。


「…露出狂として、痴態を晒す行為は “バレるか、バレないか” を楽しむものだけど、結局は見つかるわけにはいかないから “隠れないといけなくて” 一辺倒だし……それに対してこれは新たな感覚っ♡♡♡ “人としてやってはいけないこと” という面では露出とそう変わらないけど、こうして “大切なものを台無しにしたり” 、“汚くて惨めな姿に身を落としたり” ってのも “人として終わってる” 感じがして…最っ高っ♡♡♡」


 そのままクマセットの上で行進してみたり、わざと汚れを擦りつけるように足でグリグリと踏み潰したり、白かったクマセットは見る見る茶色く、そして終いには黒くなる。


〔 ユナは 状態:露出&メッシー好きの破滅願望持ちマゾメスに なった 〕


 こうして一回り成長したユナは、汚れたクマセットを綺麗に洗っては痴態行為に及び、また汚すことを繰り返した。

 クマセットの上で踊っているとゴブリンとエンカウントし、急いで “汚く汚れたクマセットを身につけ、泥んこの状態で” 戦闘することもあった。


 大切なものを無下に扱い、綺麗なものを汚すことに意味があるのは確かだが、“自らが” 汚れた状態になることでも、ユナは興奮できた。

 

 だからそのまま何日も洗わず、茶色く色の変色したクマセットを着て過ごしたこともあったし、その土の茶色に紛れ込ませて……。


 突然だが、“汚” の終着点とは何であろうか。

 それは奇しくも、植物や肉・魚と同じ終着点だとも言えよう。

 これらの終着点は、“死” ではない。

 その後に食べられ、消化され、出される。

 そう、“排泄物” こそが終着点なのである。


 変態の境地に至ったユナが、“土の茶色に紛れ込ませた” のもそれは言うまでもなく “汚” の終着点、極致とも言える “排泄物” であることはすぐに予想がつく。


「…ああっ/// クマセットが……♡♡♡」


 まるで “なってしまった” かのように言っているが、ユナ自身が “したこと” である。

 両手で持っていたクマセットを “便器の上で” ポイっと手放す。

 すると、当然ながらクマセットはそのまま自由落下し、“うんちが残る” 便器の中へ。


「さっき出したばかりで臭いは十分だけど、やっぱり一人分では量も足りないし…なにより家のトイレじゃ綺麗すぎる……」


 散策、もとい露出をした際に見つけた町の外れにあるトイレへと場所を移動する前に汚物を処理しておくことにしたユナ。


ジャーーーーっ!!!


「とりあえず流すだけ流してっと」


 レバーを引き、水を流す。

 しかしクマセットが穴を塞ぎ、流れるどころか便器の中に汚水が溜まる。

 そのうえ徐々にうんちが溶け出し、汚水は茶色く色付き、更に汚水の様相を強めた。


「ただうんちを流すだけのつもりだったのに、予想に反して “いい感じにっ♡♡♡” 」


 少し待ってから汚水がしっかりと染み込んだクマセットを持ち上げる。


「……水分を含んで重い…けどこれを今から…」


ビチャっ!

ベチャっ!!


 汚水と汚物が床に落ちる音がする中でユナはクマセットに体を通す。


「くっさぁ♡♡♡」


 まるで自分の体から放たれているように錯覚するくらいに全身を包み込む汚臭。


「……着ぐるみだから仕方ないけど、顔のすぐ横まで覆われて…ずっと隣にうんちがあるみたいで…すぅぅぅううう…あはっ♡♡♡ お"え"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"え"え"え"え"え"♡♡♡」


 わざと吸い込み、堪能する。

 ユナはメッシーどころか、匂いフェチ……いや、臭いフェチにも目覚めていた。


「…脱いで裸で行くのも捨てがたいが、今日はこのまま……」


 ひとまず臭いを満喫したユナは、予定通り町外れのトイレを目指して家を出る。


「誰にも会いませんように」


 そうは言うものの、心の中では期待もしていた。


「ごめんなさ〜い♡♡♡ 汚物が通りま〜〜す♡♡♡」


 その証拠に、見つかるリスクを顧みず声を出しながら歩く。

 加えてユナは “自身を汚物と称して” もいた。


ベタっ(ベチョ)、ベタっ(ベチョ)、ベタっ(ベチョ)、ベタっ(ベチョ)……


 とは言え、歩くたびに粘性をもった音がし、絶えず体から放つ汚臭ゆえに “汚物” と呼ぶのもあながち間違ってはいないように思える。


ベタっ(ベチョ)、ベタっ(ベチョ)、ベタっ(ベチョ)、ベタっ(ベチョ)……


「大気汚染に騒音、悪臭…それに土壌汚染も……歩く公害、生きる公害の汚物が通り魔〜〜〜す♡♡♡ なんてねっ♡♡♡」


 我ながら “通り魔” とは上手いことを言ったと、狂ったテンションと思考に汚染されたユナは、災害級の “汚” を振り撒きながら歩いた。

 そして町外れの古びた、誰がいつ使ったかもわからず、一度も洗われたこともないであろうトイレに辿り着く。

 幸いとでも言っておこうか、田舎町で元々人が少ないこともあって、道中誰かに出会うことは無かった。


「う〜ん、誰も居なかったな〜 でも本番はこれから何だからっ♡♡♡」


 ユナがトイレの扉を開く。


ガチャ、ギィーっ(むわぁっ)


 その瞬間、溜め込まれた臭いが解放されてユナを襲う。


「……芳しい…♡♡♡」


 トイレの臭いとしては不適切であるような表現であるが、臭いフェチのユナにとっては本心からの感想である。


「…においが最高なのも然ることことながら、この壁の落書きと縁にこびり付いたうんち……これぞ公衆トイレねっ♡♡♡」


 白く輝きを放っていたであろう陶器製の便器は黄ばんでいるし、すでに詰まっているのか底には溢れんばかりの汚物が鎮座している。


「もう我慢できないっ♡♡♡」


グチョっ!


「んん〜〜〜〜〜っ♡♡♡」


 初めてうんちを踏んだ感触に嫌悪感は無く、更にもう一歩踏み出す。


グチョっ!!!


「これやっばぁ♡♡♡」


グチョっ、ネチョっ、グニュグニュ、ベチャァ…


 その場で足踏みをするユナ。


「なんだか泥遊びみたいで楽しいかも〜♡♡♡」


 遂には手で掬ってみせるユナ。


「うわぁ〜♡♡♡ カチカチのもある〜♡♡♡ まぁそれもそうか。最後にいつ使われたかも不明なトイレに放置されたうんちなんて冷えて固まってて当然か! こっちはコーン? 色の濃い焦茶のもあるし、こっちはお腹下してたのかな? ちょっと黄色っぽいかも……すんすん、すんすん…おっ♡♡♡ これは結構スパイシー♡♡♡ あっ♡♡♡ でもこのうんちのにおいが一番かもぉ♡♡♡」


 色や形、臭いに状態。

 様々なうんちを手に取って比べる姿は、さながら “うんちソムリエ” であった。


〔 ユナは 状態:露出&メッシー好きの臭いフェチうんちソムリエな破滅願望持ちマゾメスに なった 〕


 盛りすぎて最早どんな状態か分かりづらいが、ラスボス前の最終形態であることだけでも伝われば問題ないだろう。

 そう、ラスボス。

 それはこの場において、目の前のトイレに他ならない。


「やっちゃう? やっちゃうよね??? ここまで来たんだし、何を迷うことがあるんだ私。そうだよ。ここで決めなきゃ女がすたる!ってやつだよ」


 誰からも忘れられた可哀想なトイレ。

 私を楽しませてくれたトイレ。

 それに報いるために……。


「……糞お世話になりましたーーーー!!!」


 クマセットを脱ぐと、それを “雑巾” のように使ってトイレを掃除し始める。

 壁を、床を、そして便器を。

 けれどいくら拭いても綺麗になる様子はない。

 それもそのはずで、クマセットの許容量は限界であり、汚水も吸わなければ、汚れていない箇所を探す方が大変な状態である。

 そんな汚れ切ったクマセットでいくら拭いてもそれはうんちを延ばし、擦り付けているに過ぎないのだ。


「あはは♡♡♡ あはははっ♡♡♡ すごい♡♡♡ もうこれがクマの着ぐるみだったなんて誰も信じてくれないよ~♡♡♡ ふわふわもこもこの部分なんてもう完全に無くなってるし♡♡♡ 元の色なんか分からないくらいに汚れてただのうんちの塊♡♡♡ これならまだ生乾きの雑巾のほうが何倍もましだよね~♡♡♡ まぁ私はこっちのほうが断然好きだけどねっ♡♡♡」


 頭がおかしくなっていると言っても、馬鹿になっているわけではない。

 ユナだってこれによって、本気でトイレが綺麗になると思ってやってないのだ。


 クマセットを雑巾の代わりにしていることを楽しみ。

 クマセットがどんどん汚れていくことを楽しみ。

 クマセットがクマセットならぬ何物かに変わる様を楽しんでいる。


「ああ♡♡♡ 私を最強にしてくれるクマセットがぁ♡♡♡ ああ♡♡♡ 私がぁ♡♡♡」


 この世界で目を覚ました時から身に着けていた “アイデンティティ” でもあるクマセットは、“ユナの分身” とも言える。

 そんなクマセットを汚すことで、ユナは疑似的に自分自身を汚していると妄想する。

 “か弱いただの貧乳美少女” を最強の存在にしてくれるクマセットが “ゴミ同然” の扱いを受けているなら、ユナも “ゴミ同然” なのだと思える。

 クマセットが汚物と化したのなら、ユナも汚物と……。


ビリビリっ!

ビクビクっ!!

プシャーっ!!!


 そう意識した瞬間に電撃が走り、体が震え、イッた。


「あぁぁぁぁぁぁぁん♡♡♡」


……バタンっ…


 興奮のし過ぎにより異常に高まった心拍と浅くなった呼吸。

 それに加えてトイレという密室空間によって酸欠を起こしたユナは気絶した。


「………。」


 トイレで倒れたことにより次に目を覚ました時には、クマセットもユナもうんちで塗れ、ところどころ乾燥でカピカピに張り付いていた。


「うわぁ~♡♡♡ 私の汗と潮も混じって、これまたすごい臭いだぁ~♡♡♡ すんすんっ♡♡♡」


プシャ!


「あっ♡♡♡ また出たっ♡♡♡ って、これじゃいつになってもここから出られないっ♡♡♡」


……バタンっ…


「まずいっ♡♡♡ 早く出なきゃ♡♡♡」


プシュ!!!


「また酸欠になって♡♡♡」


……バタンっ…


 起きては気絶、起きては気絶を繰り返し、数日後どうにか外に出た時にはもうひどい有様であった。

 体やクマセットを洗える場所があるはずもなく、ユナは走って家に帰るのだった。


「トホホ、もうこりごりだよぉ~」


 やりすぎた。

 そう後悔したのは時間にして数時間。

 その日の夜には再び町外れのトイレにユナの姿があった。


 連日響く嬌声に、あそこには化け物が住み着いたと噂が立ち、そのお陰で誰も寄り付かなくなったのだが、ユナはそれを知らない。


「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんっっっっ♡♡♡♡♡♡」

  

 そして今日も、元気に嬌声をあげる。


〔 ユナは 状態:トイレの露出&メッシー好きで臭いフェチうんちソムリエな破滅願望持ちマゾメスさんに なった 〕

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POSTEDApr 28, 2024
ARCHIVEDJun 10, 2026