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【skeb】何でも好き勝手に『カスタム』できる固有スキルを持ちの、金髪碧眼不老不死合法ロリ勇者なレベッカが、趣味である“露出・屈服・破滅”に興じる話。

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 “今の” 私は勇者レベッカ。


 一ヶ月前は僧侶レベッカ。


 半年前は戦士レベッカ。


 そのまた前は魔法使いレベッカ。


 ここまで職業(ジョブ)を転々と “する” ……いや、“出来る” 者は居ない。

 …だとしたら、私が、私 “だけ” がそれを出来るのか。


 私には持って生まれた “才” があるからだ。


 それは神から授けられた “ギフト” でもあるが、この世界では “スキル” とも呼ばれるものである。


 固有スキル『カスタム』。


 このスキルは、職業(ジョブ)・能力(コンピテンシー)・状態(ステータス)などを “いつでも自由に何度でも” 変更&調整(カスタマイズ)することを可能にする。


 そんなチート級とも言えるスキルにより、私は勇者にも、僧侶にも、戦士にも、魔法使いにも適性を持ち、全ての職業において頂点を極めることが出来るわけだが……。


 どうしてそんなスキルを持って “生まれた” のか。

 その経緯を説明すると長くなるが、“一般的な生まれ方” とは異なると言うか。

 まぁ簡単に言うと、“転生者だから” の一言で片付けられるだろう。


 転生者として『カスタム』のスキルを与えられ、新たな人生を歩み始めた私は “世界最強” を誇示した。

 しかしその、“幼い見た目” からゆえに私を舐める輩も多く、自分でも “大人気ない” と思いつつもそんな輩を “皮肉って叩き潰す” ことを “一つの” 趣味ともしている。


 …さて、“幼い見た目” と “大人気ない” とは共存しないと思うかも知れないが、“金髪碧眼の少女” である私は、実は “不老不死” でもあり、つまり何百年も生きた “合法ロリ” なのである。

 そして、“一つ” の趣味であるならば、別の趣味も存在するわけで……それは追い追い話していくとしようか。


ーーーーー


「くそっ! なんであんな “ちんちくりんのガキ” が…」


 そう言葉を漏らすのは、私が転生する前の地球と呼ばれる星のインターネットでよく見かけるような、比較的 “一般的な人物” だ。

 決して良いと肯定することは出来ないが、それでも一般的と言えてしまうほどに数の居るこの人物 “たち” の特徴。

 ……それは、注目を浴び持て囃されるレベッカに対して、自身の実力や努力などを棚に上げて文句を言う…いわゆる妬みだったり、僻みだったり、ただ不満をぶつけて “発散したいだけ” なのである。


 それは転生した後の、この世界でも変わらなかった。

 私の容姿だけを見て判断する。

 小さいだけで子どもと決めつけ、気に食わないだけでガキと蔑称する。

 それも一人、二人では済まないから “笑えない” ……いや、それを “笑ってあげる” のがせめてもの “優しさ” ではなかろうか。


「……ねぇ、おじさん?」

「なんだよ、うるせぇなぁ〜」


 先ほど “理不尽な怒りをぶつけていたこの人物” は、実は面と向かってレベッカに文句を垂れていたのでは無かった。

 むしろレベッカ本人の居ない場で、聞かれないつもりで言っているのだ。

 なぜなら直接言う勇気もなければ、怒ったレベッカに勝つなんてことは万に一つもないからである。


「……れ、レベッカ!?」

「ええ、ごきげんよう♪ …そして、おやすみなさい♪♪」


バキバキっ、ボコボコっ、ガンガンっ、ドテっ。


「ひぃー。助けてくれーーー」

「ざっこぉ〜♪ 女の子相手にコソコソして、陰口しか言えないなんて…ぷぷぷっ、かわいそ〜〜〜 笑笑 ……でもぉ〜 レベッカちゃんは優しいから、そんな可哀想なあなたのこと許してあげてもいいけど???」

「ほ、ほんとか!?」

「あなた “も” 大人なんだから、“ただで” って訳にはいかないわよね?」


 その言葉には『私 “も” 子供ではなく大人である』という意思が込められており、煽りに煽るレベッカの態度を見れば、その憤った気持ちが収まっているとは思えない。

 だからレベッカは見返りを得ることで気を沈めるつもりなのだろうか、男に対価を要求していた。


「な、なにを差し出せば……申し訳ないがお金はもってない…」

「 “まぁそうよね” 。こんなことしかする事のない底辺が裕福だとはとても思えないし、端から期待なんてしてないわ。それに私には “魔王を倒した” ときに王様から貰った金銀財宝がたんまりあるから、あなたと違って余りに余るほどのお金があるの。今更これ以上のお金を貰ったって困るわ」


 言葉の節々で男を馬鹿にし、自身の自慢を混ぜ込む。


「…くっ……」


 自ら “ガキ” と称した少女に貶され、何の抵抗もできず一方的にボコされる。

 こんな事をされたら、いくら男自身が責められる原因を作ったのだとしても怒りを覚えるだろう。

 しかし、レベッカもそれを分かって…いや、それを狙っているのだから “本当に性格が悪い” 。


「何? その反抗的な目は…もしかして私、何か間違ったことでも言ったかしら???」

「……そんなつもりは…」

「そうだよねぇw でもその目はいただけないなぁ。口ではなんとでも言えるしぃ? 体に覚えてもらうしかないよねぇ???」


ゲシゲシっ、ゴンっ、ビシバシっ、バキっ。


「あはははっ♪ たっのしぃ〜♪♪ もっと、もっと声出して鳴きなさいよ♪♪♪」


ドコドコっ、ガシガシっ、ガキンっ、バコっ。


「…や、やめ。さっき許してくれるって……」

「それは対価を払えればの話。それに命だけは取らずにいて置いてあげるわ♪♪♪」


ドカーンっ。


「うぎゃーーーっ!!!」


 これは間違えなくレベッカの日常風景であるけれど……。

 本人も口にしていた “魔王を倒した” という “現勇者のレベッカ” が、こんな弱い者イジメ…げふんげふん。

 もとい治安維持だけをして暮らしているはずもなく……とは言え魔王も居なくなった今、別段急いでする必要のある事もないので…王様からの命令が下るまでの間は辺鄙な土地にある小さな田舎町で “冒険者ギルドの会長” をして暮らしているのだが……。


 これが、ここからが最初に言っていた “もう一つの別の趣味” 。

 “人生を台無しにするかもしれない状況に興奮をする” 。

 “ドロップアウト(脱落)” したり、“デカダンス(退廃的)” だったり、“デストルドー(破滅願望)” と言ったりもする。

 これでは先ほどまでのレベッカとはまるで真逆の、しかしこれがレベッカの裏の、もしくは “真の性癖” に関するお話でなのある。


ーーーーー


 ここは、辺鄙な土地の小さな田舎町にある冒険者ギルドの会館。

 ……ではなく、その隣にある “勇者レベッカ” の様々な功績と偉業を讃えるために建てられた公会である。

 レベッカが有名であるのは周知の事実として、あの男のような一部のアンチを除き、町の皆からは相当の人気があり、この公会にもたくさんの人が足を運ぶ。


 入り口にはレベッカを模った銅像があり、中へ入るともちろん、魔王を倒した聖剣やその時に身につけていた兜・鎧などの防具だったり、魔法使い時代の杖やローブだったりと歴代の装備が今すぐにでも持ち出して使えるようピカピカに手入れされ、そして飾られている。

 そのほか、王様から賜った数々の勲章や証明書・賞状・感謝状に、トロフィーなどの記念品もズラリと並べられ、その量の多さがレベッカの偉大さを示している……かのように “見える” 。


 そう、まるでそのように “見える” だけであり現実は異なる。

 煌びやかに見えるのは “見せている” に過ぎない。

 レベッカは『幻像スキル』を使い、人々に現実とは異なる幻覚を “見せている” のだ。


 …では、実際はどうなっているのだろうか?

 レベッカだけが認知しているその “現実” をお見せしよう。


 入り口の銅像は、鎧を身にまとい、両手で剣を前に構えた凛々しい姿ではない。

 全裸で、足を大きくガニ股に広げ、手は頭の後ろで脇が丸見えの状態である。

 そのうえ、至るところに “ザコ勇者” や “隠れマゾ” 、“おま〇こ” などの下品で卑猥な落書きが施されている。

 魔王を倒したとされる聖剣は、“聖なる” というのが憚られるくらいに汚く、刃も錆びてボロボロになっていた。


 何の面白味もない、真実だけを言うならば、固有スキル『カスタム』を使えば装備だってすぐに作れるし、もっと言うならば武器や防具は見た身を良くしてくれるだけに過ぎず、レベッカにとっては無用の長物である。

 だから、聖剣を含めた過去の装備に思い入れこそあれど、世間から評価されるほどの大した価値は無いのだ。

 しかし、この “思い入れ” …言い換えるならば “思い出” 。

 その存在こそが、レベッカを興奮させる。

 思い出とは、記憶であり、記録である。

 レベッカを、そしてレベッカの人生を構成する要素の一部であるそれらを “穢(けが)すこと” で、自らを “汚(けが)すこと” へと投影し、興奮しているのだ。


 中でも、トロフィー(杯)の扱いは酷いものだと言えるのではないだろうか。

 なぜなら、何かを受け止めやすい形状からか “公会のトイレ” として流用されており、金ピカツルツルだったはずの表面は、黄ばんだガビガビの状態である。

 それに、もともと便器として作られた物でないから、もちろん排泄物が流れていく穴などは無く、すぐに溢れる。

 幻覚を見せられている者たちからすれば、頻繁に詰まるともっぱらの噂だが、どう言うわけだか “妙な高揚感が得られる” と利用者は後を絶たない。

 皆、目では騙されていても、本能的に高貴なものを汚していると感じ取っているのかも知れなかった。


 しかし、トイレにおけるレベッカが凝らした意匠はこれだけでは済まない。

 壁一面には、注意書きのされた張り紙のように “賞状が” 額などに入れられることなく掲げられている。

 そのため、おしっこが跳ねて所々にシミができ、一字一字丁寧に書かれていた文字は滲んで読めたものでは無くなっていた。

 また、床に敷かれたトイレマットや手を拭くためのタオルを始めとして、掃除に使う雑巾に至るまでの布類の全てに、レベッカの衣類が用いられている。


 そして極め付けは、“過去の装備” だ。

 野晒しにされて風化したとしても、鋼鉄製の剣などが錆びてボロボロになるのには数十年から数百年はかかる。

 …だと言うのに、聖剣がこうも酷い状態にあるのは、便に潜む菌や尿酸等による影響だろう。

 前述の通り、これらの武具や装飾品は館内に飾られているが、それは一度トイレの便器…もといトロフィーの中に入れられたり、ブラシの柄の部分になったりした後のこと。

 そんな大役を果たし、役目を終えた物たちをレベッカは、労いの気持ちとして公会のメインホールに並べているのである。


 これら全てを『幻像スキル』で隠し、自らで自身を貶(けな)し貶(おとし)めるだけで無く、何も知らない町民にまで片棒を担がせ、悦に浸ってオ〇ニーをする “変態” が、勇者ことレベッカその人なのだった。


 そんなレベッカは、恒常的な痴態だけでは飽き足らず、“ゲーム” と称して “様々な遊び” をしている。

 ゲームであるからには “ルール” が必要なわけだが、それらは全てレベッカが考えたものであり、言わば自作のゲームである。


 レベッカによる、レベッカのための、レベッカが破滅するかを楽しむための人生の綱渡りゲーム。


 …そうは言っても、これはあくまで “遊び” だ。

 レベッカには固有スキル『カスタム』があり、これさえあれば “何があっても” 平気という安心感を持ちながら、遊んでいるに過ぎなかった。


ーーーーー


「(よし、周りには誰も居ないな…スキル『ステルス』を発動。それじゃあ “服を脱いで” 。これを “お尻に掛けて” 、背中と頭を通してから “鼻に” ……イ"っ"♡ フゴっ♡♡ ブヒっ♡♡♡ …。“口には” これを…あっ♡ アガっ♡♡♡ ……これは “乳首に” チリンっ♪ ……こっちは “膣に” ブルブルっ! ……最後にこれを “首に” 嵌めてっと♡♡♡ できたっ♡♡♡ 今日は誰が通るかな〜♡♡♡ 私を見つけられる猛者は現れるかしらぁ♡♡♡)」


 …突然で申し訳ないが……レベッカは、この世界におけるレベルの概念を超越している。

 まあこれも、固有スキル『カスタム』によって弄ったのだが、レベルの上限100・平均50という世界で、レベッカのレベルは1000に達している。

 また、スキルにおいては一生でレベルをMAXに上げることが出来る……つまりマスター(熟達)することが出来るのは精々1・2個と言われ、そのため多くの場合レベルの上限10のところ、3レベルが平均とされる中で、全スキルレベルMAXなのだ。


 どうしてそんな事を話したか?

 それはこれから行われるレベッカのゲームで、レベッカがこのレベルを利用しているからに他ならない。


 レベッカの考えたゲームの一つ、それは簡単に言えば “野外露出” である。

 しかし、ただ全裸になって街中を歩いたり、見つからないよう隠れながら決められた場所まで行くといったようなものではない。

 この世界ならではの、“スキルを駆使した” 野外露出ゲームである。


 …とは言え、ゲームの内容はシンプルで “冒険者ギルドの前の立って、出入りする者が30人を超えるまでの間、全裸になってガニ股をした状態でいる事” それだけだ。

 けれども、そんなことをしたらすぐにレベッカだとバレ、地位も名誉も人としての尊厳までもが地に落ち、それはもはや綱渡りではなく飛び降り自〇になってしまう。

 そこで、スキル『ステルス』を “レベル5” で使用し、透明になり姿を隠す。

 スキルは、おおよそ “スキルレベル × 5以下のレベルの人物” に有効なので、この場合25レベル以下の者は『ステルス』を見破ることはできず、レベッカの痴態を見ることは叶わない。

 ただし逆を言えば、それ以上のレベルであれば……だが、こんな田舎町に高レベルの冒険者が訪れることは稀で、そうであるが故にレベッカは “リスクとワクワク” を高めるために固有スキル『カスタム』を発動した。

 一般的な『ステルス』は上記で説明した “透明になり姿を隠す” 効果しか持たないが、レベッカによって『カスタム』された『ステルス』は違う。


 “絶頂すると『ステルス』は解除され” 、“3秒の間『カスタム』を含めた一切の行動が禁止” 。

 その上で、“高位の戦闘用スキルを1つ失う” といったオマケを付けた。


 『ステルス』によって認知はされていなくとも、実際には公衆の面前で露出をしているという行為に、レベッカが絶えられるか否かの綱渡りなわけだ。

 また、露出に際して格好は “ロープで繋げた2つのフックを、鼻と肛門に引っ掛け” 、口には言葉を奪う “開口器” 、それから喋れないレベッカを本人だと知らしめるための “顔写真入りの身分証明証(ギルド会長証)が付いた首輪” を嵌める。

 それに加えて、乳頭には “重金属製の鈴が紐で吊るされたクリップ” を挟み、下半身の穴には “振動するマッサージ棒” を差し込む。

 最後に、“着ていた服を足元に敷き、それを踏んで立つ” 。

 これを露出時の “正装” と捉え、レベッカはゲームに興じるのだ。


ーーーーー


「…あれ? レベッカ様は???」

「見回りでもしていらっしゃるんだろう」

「あのレベッカ様が、どこかでサボっているはずもない」

「それもそうだな」


 そう会話を交わしているのはギルド職員である。

 真面目で仕事熱心だと信頼されている様子のレベッカ。

 しかし当の本人の現在の様子はと言うと……。


「………(…ごめんなさいっ/// 私ったら裸で……/////)」


 “正装” に身を包み……包んでいるかは別として…格好としては “露出時の正装” で、レベッカは冒険者ギルドの入り口横に立ち、中での職員の会話を聞いていた。


「……はぁ…はぁ////(ギルド職員のレベルは把握済み。高くて20レベル程度で、25を越える者は居ないから平気……だから問題は、“私が堪えられるか” …信頼されてるのは知っていたけど、こうも直接言われると恥ずかしいと言うか)」


 レベッカは『ステルス』で身を隠している上に、壁の外から聞き耳を立てているので、全くもって “直接” ではないが、それでもギルド職員本人たちの口から発せられた本音を聞くのには、やはり恥ずかしいものがあるようだった。


「……(やばいっ/// …そんな風に思ってもらってるのに、実際は “見回りなんかせずに露出に興じてる” と思うと、すごく背徳的で……感じちゃうっ/////)チリンっ♪」


 体を震わせると、それに連動して乳頭に挟んだクリップが揺れ、その先の鈴が鳴る。


「ん? なんか聞こえなかったか???」

「そうか?」

「鈴の鳴るような音がしたような…」

「誰か尋ねて来たならドアが開くだろうし、ドアの鐘だって動いて無いぞ?」

「まぁそうだけど…聞き間違えかぁ」

「んんっ///(まずいっ!? 乳首にぶら下げた鈴の音聞こえてるっ!!! 落ちつけ私、鎮まれ体)」


 厨二病のような言葉を発しているのは、レベッカが楽しんでいる証拠だろう。

 口でこうは言うものの、あまり焦る様子はない。

 なぜなら手は封じられていないのだから、いざとなれば鈴を手で止めることが可能なのである。

 それをしないということは、まだまだ余裕があるのだ。


「……ふぅ、ふぅ…(音がした瞬間に場所を特定されたら、いくら高レベルの『ステルス』を使っていたとしてもスキルを見破られてしまうが、少しでも彼らが “建物から出てくる様子でもあれば” 鈴を止めればいいだけ、何の問題もないね!)」


 そう思ったレベッカだが、次の瞬間には建物の中では無く、外へと意識を向けていた。

 …と言うのも、レベッカの前方から一人の冒険者がやって来たのだ。


「あそこが冒険者ギルドかー」

「……(お、見知らぬ奴だな……さて…)」


 この冒険者のレベルが25を越えていれば、レベッカの痴態は丸見えと言うことになる。


カランカラーン


 冒険者は、全裸でガニ股を披露するレベッカには気づくことなくギルドへと入って行った。


「………(まぁ、そうよね。)」


 そんな調子で、2人・3人と通り過ぎる。


「(…ちょっとスキルのレベルを高く設定し過ぎたかな? ……でもそれは想定の内…それよりもだ、私はまだ “全力を出していない” ……次の冒険者には本気でかかってやろうじゃないか!)」


 そして数分後、その時が訪れる。


「遥々ここまで勇者レベッカに会いに来たんだ。ガッカリさせないでくれよ」


 ガッカリとは難しい言葉で、期待通りでも期待以上でも、はたまた “期待外” でもガッカリしないことがある。

 むしろ、という言葉のように返って得られるものがあれば、ガッカリ出来ないのだ。


チリーン♪、チリーン♪♪


「……(冒険者が近づいて来ているというのに鈴を鳴らしてしまったわ/// けれど “仕方ない” わよねっ/// もっとアピールしないと/// ここに私が居るってこと。鼻フックにア〇ルフックまで決めて、ガニ股腰振りダンスをしてること。それで乳が揺れて鈴が鳴っても、それは仕方のないこと)」


チリーン♪、チリーン♪♪


「……(だってあの冒険者は、私に会いに遠くから来てくれたみたいだし、ちょっとくらいサービスしてあげないと可哀想でしょ? ほら、お探しのレベッカはここに居ますよーっと///)」


チリーン♪、チリーン♪♪


「……(まさか目的の勇者が、自らこんな格好をして、痴態を晒しているなんて思わないよねっ/// でもこれが現実でーす/// どうですかぁ? ガッカリですかぁ??? それとも……期待していた憧れの勇者の無様で下品な姿を “見れて” 、嬉しいですかぁ???)」


チリーン♪、チリーン♪♪


「……(ほーら、ほら。こんだけしてあげてるんだから早く気づけっ! 早く見つけろっ!!!)」


 ようやく距離にして10mのところまでやって来た冒険者が、町の喧騒の中に響く鈴の音を耳にする。


「…この音はどこから……」


 そうして音のする方へを視線を動かすとそこには。


「う"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"お"お"お"お"♡♡♡♡♡」


 獣のように雄叫びを上げる一匹のメス(レベッカ)の姿があった。


「は? 何あれ??? 変態???」


 冒険者に見られたと分かった瞬間、レベッカは絶頂していた。

 けれど口枷を嵌めたレベッカは言葉を発せず、ただの音として声を上げる。

 それが獣のような雄叫びとなったのだが、そんなことなど知らない冒険者は呻き声と共に突然現れた痴女をレベッカを認識する以前に、普通の人間としてすら捉えて見ることが出来ず、ただ変態と思うしかなかった。

 そして3秒の時が過ぎ、目の前から姿を消した。


「え、何があった!? あそこに何か居たよな? 俺の見間違いか??? でも何も無いし、疲れてんのかな、俺…」

「……(プヒュー、プヒュー)」


 必死に漏れる声を抑え、いまにも崩れ落ちそうなガクガクの膝で音が鳴らないように耐えるレベッカ。


「……(もうちょっと距離が近かったら終わってた♡♡♡ でもまだ安心できない……今はあの冒険者が居なくなるまで我慢しないと…また音を出したらバレちゃう♡♡♡)」


 しかし運がいいのか、冒険者は自分の見たものを信じれず、疲れて幻でも見たのだと思っているようだし、それにどうやら、この冒険者はレベッカを見たことがないようである。


「…でもあれが、たとえ幻だったとしても……眼福、眼福(ちょっとばかし噂に聞く勇者レベッカに背格好が似ていたような気もするが、そんなはずもない。俺としたことがなんて失礼な)」


 であれば、数々の伝承にそぐわ無い “あの変態” を “レベッカなはずはない” と結論づけてもおかしくない。


「…さてと、気を取り直して勇者レベッカに……」


 そう思って、冒険者が数歩進んだ時である。


ブリゅ、ブリゅブリゅ、ブリゅリゅリゅ…ブシャーーーっ!!!


 突如響いた音は、先ほどと同じ方角から聞こえる。

 だから当然、冒険者はそちらを向いた。


「あ、まってっ/// 見ないでっ/////」


 “こんなに気持ちよく排泄物を出してる音がしてるのに” 、“見ないで” というレベッカの言い分には無理があるだろう。

 そもそも目の前で、女性がう〇ちをしていたら “全力で見る” というのが……。


「止まらないっ///」


ボトボトボトっ、ボフっ…ぷぅ〜〜〜


 レベッカの願いは天にも、目の前の冒険者にも届かず、中身を出し切ってからしっかりガスまで放出して止んだ。


「あっ♡ ああっ♡♡♡」


 レベッカは “スキルだけ” でなく、心まで解き放った様子で放心状態である。

 『カスタム』によって組み替えた『ステルス』の “高位の戦闘用スキルを1つ失う” といったオマケ。

 その “失い方” が、今の “擬似排泄” なのだ。


 レベッカはそれが起こるタイミングを失念していた。

 なので、息を潜めて冒険者が去るのを待てばいいと踏んでいたのだが、ペナルティでもあるオマケはすぐに実行されたというわけである。


「え、あ、まさか。勇者レベッカ!?」


 流石に立て続けで二度も起きたとなれば、鈍感な冒険者であってもおかしいと気づく。

 そして目の前の変態が、あのレベッカであるということも…。


「あははっ、バレちゃったかぁ」


 バレたも何も、途中バラしに行っていたのは…。


「どう? 本当のレベッカは??? ガッカリした? それとも…あっ///(大きくなってるっ/// でもごめんね、私そういう趣味はないの…)スキル『デリート』っ!」

1、2、ぽかんっ!


 冒険者からここ数分の記憶を消去する。


「これで良しっ!…あ"あ"ん"っ♡♡♡」


 それから口枷を嵌め直したレベッカは懲りずに『ステルス』を発動し、最初に決めた30人を越えるまで、ゲームという名目で痴態の披露を繰り返すのだった。


ーーーーー


 そして数日経ったまた別の日。

 相も変わらず痴態を披露するレベッカ。


 この日のゲームは、“態度の悪い外来者” や “レベルの低い新米冒険者” を発見し、レベル3の『幻覚スキル』で “正常に見せた状態” で声をかけるというものである。

 しかしその実態は、“全裸で、ガニ股” のレベッカにとってお決まりの格好であり、“正常” とはかけ離れた状態だ。

 そんな自ら好き好んで変態の格好をするレベッカが、ただ声をかけるだけで満足などするはずは無いだろう。

 そこで声をかける対象に “態度の悪い外来者” 、それから “レベルの低い新米冒険者” を選んでいるのだ。


 前者に対しては、レベッカお得意の皮肉や生意気な態度を取り、“わざと” 怒らせる。

 そのうえで “負けを認め、土下座” して見せる。

 後者に対しては、相手のレベルが10未満の場合に限り “本来の姿” …全裸でガニ股の状態を見せ、さらに初心者冒険者御用達の “ひのきのぼう” をお尻に差し込んで、その冒険者と戦う。

 また、スキルを見破られた場合には例の “正装” に着替え、自己紹介をするといった具合である。



「…こんにちは、お兄さん?」

「はい? 俺ですか…って!? なんで裸???」

「(お、見えるってことは…この人、レベル10以下のザコザコだねっ!)…であれば、いざ尋常に勝負だよ!」


 お尻を振り、ひのきのぼうで襲いかかる。

 町中で急に現れた変態から、説明もないまま襲われるというのは恐怖以外のなにものでも無いだろう。


「え、わっ! 痛っ!?」


 それに加え、単なる木の棒であってもレベッカが使えばそれはちょっとした神器に匹敵するのだ。

 それを新米冒険者が避けたり受け流せたりするはずも無く、勝負は一瞬で決着がついてしまった。


「ふふ〜ん!」


 何とも誇らしげなレベッカ。

 これがまともに服を着て、悪党でも退治しているのだとすれば格好がつくと言うもの。

 しかし、お尻へ棒切れを差した全裸でガニ股の変態が弱い者いじめをしているのだからこの上なく恥ずかしい。

 そしてその、ただ理不尽に暴力を振られただけの新米冒険者はと言うと、こんなふざけた変態に負けて意気消沈といった様子で、冒険者として再起できるかも怪しかった。


「 “今度は” もっとレベルを上げてから挑んで来てねっ! もしも強くなって実力でスキルを見破れた暁には……じゃあ、頑張ってね〜」


 けれどもレベッカは、そんな冒険者のことを一切考えない様子で言葉を発し、そしてひとりでにこの場から立ち去った。

 それにしても、レベッカから声をかけて勝負を仕掛けたというのに、何とも酷い言い草である。

 さらにはまた “今度” と勝手な押し付けをする傍若無人っぷりには言葉が出ない。

 こと冒険者も、レベッカという名の災難が去っていくのを無言で見つめているのだった。


ーーー そして場面は変わり、ゲームは続く。


「誰か手頃な、あからさまに頭の…じゃなくて態度の悪そうな人は居ないかな〜」


 新米冒険者と別れた(置き去りにした)後も、レベッカは次の獲物を探して町を歩いていた。

 路地裏の、人が滅多に通らないような場所を選び進んで行き、一つ、二つと角を曲がったその先に、標的を発見する。


「おっ! み〜つけたっ!!」


 レベッカは徐々に距離を詰め、“わざと” ぶつかる。


「いってぇな、おい、何してくれてんだよ、嬢ちゃんよぉ?」


 ぶつかった相手は、絵に描いたようなチンピラである。


「痛いのはこっちよっ! こんな狭い道にボーッと立って、通行の邪魔なのよっ!!」


 清々しいほどの逆ギレ。

 見事なまでの当たり屋。


「………はぁ? そっちから当たって来て、流石にそれはねーだろっ!」


 全くもってその通りである。


「私とやるっての? この勇者レベッカと」

「げっ…どっかで見たことあるガキだと思ったらあの銅像の……」


 チンピラと言ってもこの町に住んで居る以上、一度くらいはレベッカの像を見たことがあった。


「へぇ、私のこと知ってるみたいね。そしたら特別に手加減してあげるわ」

「…手加減? くそっ舐めやがって……」

「必要ないのかしら?」

「……それで負けても文句や泣き言を言うんじゃねぇぞ?」

「当たり前よっ! あんたなんか素手で十分なんだからっ!! “もし負けたら土下座してあげるわっ!!!” 」


………。


「ま、負けました。ナマイキ言ってごめんなさい」


 そう言葉を発したのはチンピラ…ではなく、レベッカの方である。


「勝った。勇者様に勝っちまった」


 わざとぶつかったのと同様に、わざと負けたとはつゆ知らず、チンピラは喜んでいる。

 そしてレベッカに対し勝者として振る舞い、約束の履行を迫った。


「まさか忘れたわけじゃないだろうな? お前が自分でした発言だ。ほら、土下座してくれるんだろう???」

「…はい、土下座して謝罪します……」


 膝を折り、正座の姿勢を取る。

 両手を前につき、頭を下げるように体を折り曲げる。


「自分からぶつかったのに難癖をつけた挙句、手加減などと条件をつけて勝負に誘い、無様に負けを晒して、自然と土下座をする流れに持っていって申し訳ありませんっ♡♡♡ こんな変態で、ごめんなさいぃぃいい♡♡♡」

「………。えっ?」


 たしかに、“土下座して謝罪” をしている事実に間違いはない。

 むしろ嘘すらつかずに真実を話し、全てのネタバラシをする姿は、レベッカにしては初めてあっぱれ……とまでは言えないかも知れないが、実に勇者っぽくはあった。

 …とは言え、意表をつかれたチンピラはあっけらかんとしている。


「………。(全部、演技だったってこと? この女の手のひらの上で踊らされてたのか???)」

「…ふぅ、満足したっ!」


 何事も無かったかのように立ち上がるレベッカ。


「お、おい待て」


 どうにか取り繕って威勢を張るチンピラ。


「何? もうアンタに用は無いんだけど???」

「お、俺が勝ったんだ。な、何でも言うこと聞くんだろう?」

「…はて? 土下座をするとは言ったけど、何でもするとは言ってないわよ??? まさか見た目だけじゃなくて、本当に頭まで悪いなんて……残念な人ね…」

「勝負だ、勝負しろっ! 勝ったら何でもすると約束してもう一度勝負だっ!!」

「……サッ…」


シュパパパッ…ドサッ……。


「…口ほどにもない。よくもまぁその実力で威勢を張れたものだな。さっきのが手加減だと言ったのも忘れて勝負を挑んでくるとは笑止千万」


 目にも止まらぬ一太刀を浴びてチンピラは気を失い、その場に倒れ込んだ。


「随分とめでたい頭なようだし、目を覚ました時にはきっと今日の出来事なんて忘れてるよね? 酒瓶を横に転がして置いて……よし、これで酔って転んで頭を打って気絶した感じの現場が完成したわ!」


 『ステルス』と違って『幻覚スキル』は “人物の姿が見える” 反面、今回のような直接的な交流が行える。

 見えるものが実態と異なる状態だとは言え、“見える” というのは有名人のレベッカにとってリスクが非常に大きく、身バレはもちろんのこと、実際に見せてしまった者たちに関しては夢・幻では済まない。

 だからこれらの後処理として、この者たちが “変なこと” を言いふらさないように最初にボコボコにして帰すのだが、もしも口にした者がいたら “虚偽の誹謗”とみなして追加でボコボコにするのである。

 もちろん町の人は “あのレベッカがそんなことをする変態なわけがない” と信じて疑わないし、なんなら “治安維持をしているいつものレベッカだ” と処理されるしで、レベッカの株を下げようとする輩だと思われて終わってしまうのだ。

 その点、この程度の後処理で済んだであれば、今回のチンピラは “運が良かった” と言えよう。

 …まぁ、巻き込まれた時点でツイてはいないのだが……


「命までは取って無いんだから、大目に見てよねっ!」


 これがレベッカによる最大の譲歩であるのだから仕方がない。


ーーーーー


 そんなこんなで辺りは暗くなり、夜を迎える。


「…ゲームは1日1時間? 子どもじゃ無いんだから、そんなの私の知ったことじゃ無いわ!」


 日中、好き放題して散々楽しんだはずのレベッカだが、まだまだ遊び足りないようである。

 むしろ、これからが本番でしょ?とでも言いたげな様子で、“次のゲーム” をしに飲み屋へと向かった。


カラン、コロン、カラーン♪


「…あ、空いてますか? は、はい。こちらですね、失礼します……」


 飲み屋に入った途端、レベッカとは思えないほどのしおらしい態度で、まるで “別人みたい” である。


「あ、お酒は結構で……」


 飲み屋へ来たと言うのにお酒は飲まず、ソワソワと落ち着かない様子で辺りをキョロキョロと見渡すレベッカ。


「ったくよー(ガシャン)あの “チビ勇者” のせいで……(ドンッ!!)酒だっ! 酒を持って来いっ!!!」


 …すると、飲み屋の一角に荒れた様子の男を見つける。

 “レベッカとの間に何かあった” ようで、それをお酒とテーブルにぶつけて発散していた。


「……(あっ、居た!)」


 そして、この男こそがレベッカの “お目当ての相手” であった。


「…あ、あの〜 お兄さん?」

「あぁん? 何だよ、俺になんの用だ??? 今ムカついてんだよ! 見て分かんねぇのか!? それとも何だ? “ねーちゃんが” いいことでもしてくれんのか???」

「はい。そのイライラ、私で解消しませんか?」

「は? 自分で言ってること分かってんのか???」

「も、もちろんです……でも、ここではアレですので…人の居ない場所に…」


 そう言って、レベッカは男を店から連れ出した。


「おい、どこまで行くんだ?」

「…そうですね。もう人目もありませんし、この辺りでいいですかね……」

「!?」


パサっ、シュルシュル。


 不穏な言葉とは反対に、レベッカの取った行動は “服を脱ぐ” というものだった。

 無言で衣服を脱ぎ出し、そのままの流れかつ “慣れた所作” で土下座をする。


「も、申し訳ありませんでした……♡♡♡」

「…おいおい一体これは何事だ? 何が起きていやがる……いきなり服なんて脱いで、全裸で土下座!? それに、“無関係のねーちゃんが” 謝ったって仕方ないだろう???」


 男の怒りの矛先は、チビ勇者……つまりレベッカのはずである。

 そうだというのに、目の前のレベッカを “無関係のねーちゃん” とするのは何故であろうか。

 そもそも飲み屋にて顔を合わせた時点で、仇敵であるレベッカだと分かるはずであり、そんな相手の誘いに乗って男が、店の外までノコノコと着いていくわけが無い。


ーーー そう、飲み屋に入った時点で既に、“ゲームは始まっていた” のだ。


 まずレベッカは、『マスク』および『ボイス』のスキルを使って姿や声を変え、別人に偽装して飲み屋へと入った。

 そして “レベッカに恨みのある人物” を探し、接触する。

 『マスク』・『ボイス』のスキルは共に最高レベルでカンストし、当然の相手が見破ることは不可能である。

 こうして、“無関係のねーちゃん” と呼称された姿のレベッカが誕生した。


 …さて、ここまでは今回のゲームにおける “前準備” であって、何の緊張もなければ楽しみもない。

 対象を呼び出し、“本来の姿を晒すこと” こそがゲームの目的なのだ。

 ただそのやり方にも、ひと工夫・ふた工夫を加えるのがレベッカという “変態” の思考回路で、“レベッカ本人であることを隠しながら” 目的を達成する課題を自身へと課した。


 第一段階の “男を連れ出し、二人きりの状況を作ること” に成功したレベッカだが、果たして “レベッカ本人だとバレずに、本来の姿を晒すこと” など可能なのだろうか。


「(…無関係のねーちゃんか。バレてはないようね……)…ねぇお兄さん? “レベッカ” に恨みがあるんでしょう???」

「!?」

「どうしてって顔をしていますけど、あんなに大きな声で愚痴っていれば、嫌でも分かりますよ!(……って本当は、私がボコボコにしたんだからそうじゃないと困るって話よ!)」

「……でも、やっぱり…それとねーちゃんが全裸で土下座するのは繋がらねぇと言うか…」

「…実は……かくかくしかじかで……それで私もレベッカに……と言うことでして……ご協力しては頂けないでしょうか?」

「…俺、頭良くねぇからよ。いまいち全部は分かんねぇけど……つまり、レベッカの評判を落としてやりたいから手を貸してくれって話で、合ってるのか?」

「(こんなに丁寧な説明をしたと言うのに、1割も伝わって…まぁいいか、協力してくれるなら何でも……)…ええ、そんなところです」

「…で、“全裸土下座の理由” と “チビ勇者の評判を落とす方法” は?」

「チッ、そういう所はうるさいんですね……」

「え?」

「いえ、なんでもないです。全裸土下座は私のしゅ…ではなく、これからすることの事前練習です……それはさておきレベッカの評判を落とす方法ですが、私『マスク』と『ボイス』のスキルが得意なんですよ!(嘘は言ってないわ。現にいま使ってバレていないのだしね!)」

「(ん? 聞き間違いか??? いま趣味って言おうとして…)」

「その二つのスキルを使ってレベッカに変装しますから、その状態でお兄さんのしたいように憂さ晴らしをして下さい。その様子を『レポート』スキルで記録し、証拠として拡散すれば、レベッカの名声は地に落ちるでしょう(…実際は、変装するんじゃなくて元の姿に戻るんだけどね……♡♡♡)」

「なるほど! そんな手があったのか、天才か!?」

「(…こいつはバカか……)では早速、スキル『マスク』っ! スキル『ボイス』っ!! …解除(ボソっ……」


 ………。


「うおぉ! こいつはすげーぜ!! ほんとにあのチビ勇者 “そっくり” だ!!!」

「(そっくり? 失礼ね、本物よ! 本物の勇者レベッカを目にしてるのだからひれ伏し…ってそうじゃ無かった。ついいつもの癖で……)スキル『レポート』を発動! …それじゃあ土下……」

「ちょっと待ってくれよ!」

「え?」

「いきなり土下座ってのは味気ないというかなぁ〜 気が晴れないというかなぁ〜 ねーちゃん、俺のイライラを解消してくれんだろ?」

「(気分を害して “やっぱりやめーた” とかなっても困るし、私が本物だと気づく様子もないから……ここは男の言葉に乗っておくか…それに、私にだってもう少し遊びたいという気持ちが…)そうですね。じゃなくて、いいだろう。この勇者レベッカがお前の言うことを聞いてやろうじゃないか!」

「お、いいね! マジで似てるwww 雰囲気が出て、こっちもやる気が出るってもんだ!!」

「…で、何をすればいい?」

「(意味が分からんが)服は…もう、脱いでんだよな……じゃあ、ねーちゃんの考える無様で下品なポーズを取りながら、俺を褒め称えるようなことを言ってくれよ?」

「……無様で…下品なポーズ…(こいつ、結構いい提案するじゃないっ♡♡♡)ええ、分かったわ。あなたの気分が良くなるようなことを言えばいいのね? …あ、そうだわ。これからは、ねーちゃんではなくレベッカと呼んでくれるかしら?」

「……たしかにねーちゃんって見た目ではなくなったし、その方が記録として残った時に都合がいいか。分かったよ、レベッカ。さっさと始めろ!」

「(何よこいつ、いきなり調子に乗って……)はぃい♡♡」


 男に背を向けると、体を少し前に倒してお尻を突き出す。

 尻タブに手を当て、お肉を掴んだ。


「こんばんは。レベッカのし、尻穴ですっ!」


 レベッカはお尻の肉を掴んだ手を左右に動かし、言葉に合わせてお尻の穴を開いたり閉じたりして見せた。


「おお、これは実に無様だ!」

「(満足してるようね!)レベッカの尻穴が…」

「本当にあの勇者レベッカのお尻なのかなぁ? 顔はこっち向いてないから見えないし、怪しいなぁ(にやにや)」

「…しょ、正真正銘レベッカの尻穴です!」

「こんな汚いのがかぁ?」

「(き、汚いって…こいつ言わせておけば……)そうです。この汚い尻穴が、レベッカの尻穴です!」

「尻穴じゃなくて、ケツ穴だ。言い直せ」

「…くっ……こ、この汚いケツ穴が、レベッカのケツ穴ですっ!!」

「上出来だ。……ん? 感謝の言葉は???」

「あ、ありがとうございます」

「…まぁいい。……さて、褒めてやったんだ。今度は俺様を褒め称えてくれよ?」

「(そうだった。元はそれだけのはずだったのに……)お兄さん? …お兄さ、ま???」

「(噂では不老不死のババアだと聞くが、こんなガキの見た目をしたやつだし、お兄さまというのも……いい)それでいい。その呼び方を許可してやる」

「(こいつ、ロリコンだったのか!?)…お兄さまは……お兄さまは……えーっと……」

「どうした?」

「(まるで褒めることが思い浮かばない。貶すことならいくらでも出来るんだけど……)優しくて〜 かっこよくて〜 体が大きくて〜(邪魔)……浮気とかしなさそうで〜(そもそも相手されないよね)」


 “そう” と言っている時点で、それはもう想像でしかない。

 それに “出会った直後で褒めろ” と言うのは、あまり現実的では無かったのかも知れなかった。

 けれども、レベッカが褒め慣れていないのと同じで、男も褒められることに不慣れであった。


「そ、そうかなぁ 照れるなぁ」


 男は満更でもない様子だった。


「(…こいつ、ちょろいぞ……)」

「うんうん。何だかこそばゆいし、そのくらいでいいや。そろそろいいかな? メインディッシュをお願いしても…」

「…土下座、ですね?」

「ああ、こっちも無様に……って、土下座の時点で無様か…そうだなぁ。レベッカを貶し、侮辱しながら謝罪しろ!」

「(侮辱ね! それは私の得意分野だわ!!)やってやるわよ。自分自身を貶すくらい、朝飯前なんだからっ!」

「そうだよなぁ? 人様をバカにするのがレベッカの十八番だもんなぁ? 偽物とは言え、いつも自信満々で偉そうにしているレベッカのこんな姿を見れるなんて楽しみで仕方ない。ほら、早く始めろっ!」

「(初めからコレをする為に “私が” 仕向けてるんだから、アンタに言われなくても)分かってるわよ。そんなに急かさないで貰えないかしら? ……ふぅ…、よしっ!」


 一息つき、一拍置いた後、気合いを入れて、切り替える。


「お、お兄さまに、手も足も出ず負けたレベッカよっ……です。敗北し、無様にもケツ穴を丸出しにして、下品な姿を見せただけに飽き足らず、全裸で土下座までしてます…っ/// お兄さまには敵いもしないのにそれを分からない、バカでアホなマヌケのレベッカが、ここに謝罪をします……いえ、させていただきます。これはやらされているのではなく “自らの意思” であり、勇者レベッカによる心からの謝罪でございます。ただ長生きしているだけのババアのくせに、見た目通りロリの頭しか持たない能無しには、これくらいしか思いつきません。…いかかでしょうか? レベッカに、謝罪の許可をいただけないでしょうか???」

「そう言うことなら、俺様に謝罪することを許そう」

「ありがとうございますぅ♡♡ ……いつも偉そうに平らな胸を張りながら威張ってごめんなさい…今後は小さな背丈に見合った低い態度と姿勢を心がけますぅ♡♡♡」


 レベッカはまさに、言葉通りの低姿勢である土下座をしながら男に謝罪した。


「くははっ! あはははっ!! だめだ、止まらねぇ。笑っちゃいけないのに止められねぇよ。それに、こんなに気分が良いことは生まれて初めてだ。なんたってあの勇者レベッカが俺に頭を下げてるんだぜ? しかも、ただ謝ってるだけじゃない。全裸に土下座…その上、いつも高圧的な態度の自身を顧みて、得意の罵詈雑言で自分を卑下する。こんなのを一生一度でも見れるやつが居るかも怪しいってのに……それを、この俺が…なら、ここで終わらせるのは勿体無いよな? …そうだなぁ。自分を能無しだって言ったか? じゃあそんなレベッカでも理解出来るように手伝ってやるよ。脳に刻めっ! その身でしっかり覚えろっ!! おらっ! おらっ!! 悔い改めろっ!!!」


グリグリ、グリグリ。


 男は土下座をしているレベッカの頭を足で踏みつけ、まるで地面へとめり込ませるように擦り付ける。


「………(い、痛いっ……でも、頭と一緒に “尊厳” まで踏み躙られているみたいで…良いっ♡ これ、良いわぁぁああ♡♡♡)ありがとうございましゅぅう♡♡♡ 足で踏まれて…踏んでいただいて、覚えちゃいます♡♡♡ 頭を上げられない状態で強制的に固定されて、これが基本ポーズになっちゃいます♡♡♡」

「そうか、そうか、そんなに望むならもっとやってやるよぉ」


グリグリ、グリグリ、グリグリグリ。


「はぁ♡♡♡ はぁあん♡♡♡ ありがとうございます♡♡♡ ありがとうございます♡♡♡ ありがとうございます♡♡♡ ……」


 男はレベッカの頭を踏み続け、レベッカは感謝の言葉を発し続ける。

 そしてそれは、男が疲れて足を退けるまで続けられた。


「…こ、このくらいでどうだ? 十分に理解出来ただろう???」


 少し強がって言って見せるが、単に男の体力が限界なだけである。


「(こいつ、もう満足したと言うのか!?)」


 対するレベッカは、こんな変態でも流石は勇者であり、まだまだ元気そうだった。


「(まぁこればかりは仕方ない。最後の仕上げと行こうか…)スキル『ダビング』っ!」


 土下座のまま『ダビング』を発動し『レポート』の記録を複製すると、両手を使って器のような形を作り、その複製体を男の方へと差し出した。


「どうぞお納めください」

「ん? それはレベッカ…じゃなくって、ねーちゃんがチビ勇者の評判を落とす為に使うんじゃないのか???」

「はい、そうですが…これはそのコピーですので……それに、これも何かの縁です。知り合った記念に、お友達からのプレゼントだとでも思って、受け取っては貰えないでしょうか?」

「(これを見て、毎日シコれるってことか!?)」

「(これを見て、毎日シコるんだろうなぁ♡♡)」

「そ、そこまで言われたら断れねぇなぁ」

「(ありがたく思いなさいよ? でも、)それは…決して他の人には見せないでくださいね?」

「どうしてだ? 広く知られた方がねーちゃんの思惑通りなんじゃないのか???」

「…もしレベッカにバレたら、お兄さんの身が危険ですし……たぶん、それ消されちゃいますから(まぁ、万が一にも流出させようもんなら、証拠隠滅のために私が抹消するって話ね!)」

「な、なるほど。それはおっかないな(それに、こんな二度と手に入らないであろう宝物を失うのは避けたい)わかった。気をつける」

「ええ、そうしなさい!」

「え!?」

「(あっ!)ご、ごめんなさい。レベッカに化けてるからぁ〜 間違っちゃったなぁ〜 あはは、あははは〜」

「(…口調だけじゃなく、まるでレベッカ本人のような気迫だった……)」

「じゃ、じゃあ私はこれで。失礼しま〜〜〜す」

「あ、ちょっと待っ…ねーちゃん?」


 男の制止する言葉を無視して、レベッカは夜の闇の中へ走り去って行くのだった。


「…… “裸のまま” って、言えなかった…」


ーーーーー


 レベッカが考えるゲームは、時に “取り返しの付かないほど” とんでもないものだったりもする。

 例えばそれは、レベルには影響を当てえないものの “能力値をリセット” するようなゲームである。


 『チェンジ』とは、基本的に実体のある “物” を対象としてしか使えない。

 そこでレベッカは『カスタム』し、実体のない “もの” まで『チェンジ』の対象にできるよう作り替えた。


 その『チェンジ』を使って、攻撃力や防御力、素早さに賢さなどの “能力値” を対象とし、それらを “ゼリー” へと変換する。

 変換してゼリーになったとしても、元はと言えばレベッカ “の” 能力値であり、であればレベッカ “に” 還元されるべきである。

 レベッカの能力値に比例して生み出されたその膨大な量のゼリーは、レベッカの体に存在する空間……口・食道・胃・小腸・大腸、そしてお尻の出口までを埋め尽くした。


「…お"えぇぇえええ……」


 胃と食道に詰まったゼリーが逆流し、口から吐き出す。


「…げほっ、げほっ…はぁ…はぁ……」


 このゼリーは、レベッカの能力値そのものである。

 だから消化し、吸収すれば “能力を取り戻す” ことができる。

 逆に体内から外に出し、“処理” してしまえば、永遠に失われるのだ。


「…はぁ…はぁ…… 床に落ちたものは汚いから、ね。掃除、しなくちゃ…」


 そう言うと、床に散らばったゼリーを手でかき集め、近くにあったバケツへと掬い入れる。

 “大切な” レベッカ自身の能力値であるのに、まるでゴミのような扱い方だ。


「よいしょっと。うわっ、重っ…」


 レベッカの能力値……言い換えればレベッカの一部、これまでのレベッカ、レベッカそのもの。

 その重みだとでも主張しているかように、ずっしりと感じるバケツを持ってレベッカが向かったのは、トイレであった。


ドボドボドボ、ベチョベチョ。


「…うっ、こっちも限界……」


ブチュ、ブチブチッ、ブリュ、ブリリリリッ、ブピュ〜〜〜〜〜ッ!!!


「うおぉぉぉぉおおお! 止まんねぇぇぇえええ!! うんちゼリィィィイイイ!!! 出るぅぅぅぅぅぅううう!!!!!」


ーーー 10分後。


「ケツ穴、壊れりゅぅぅぅうう〜♡♡ あぁ〜♡♡ どんどん弱くなってるのが分かりゅ〜♡♡ 力も、体力も下がって…もう踏ん張るのもキツぃ……」


ドロドロドロドロ、ブピッ、ブチャ、ビチャビチャッ……プスっ…ぷぅ〜


「……ふぅ、やっと全部出たぁ…それじゃあバイバイっ♡♡♡ 私の能・力・値っ♡♡♡」


 レベッカは、自分自身の手で “トイレのレバー” と言う名の引き金を引いた。

 瞬間、便器に溜まっていたゼリーは勢いよく流れていき、二度と手の届かない浄化槽へと姿を消す。

 そして、ただレベルが高いだけの “無能な雌肉” になったレベッカが誕生した。


ーーー けれども、レベッカのゲームは終わらない。


 そんな状態で外に出て、別とも、続きとも言えるゲームに興じるレベッカ。

 今やレベル1の雑魚冒険者にも勝てないほどの能力値だと言うのに、固有スキルの『カスタム』さえあれば後からいくらでも解決できると予防線を張り、絶対の安心感を持ってレベッカは “1年間の短い旅” に出る。

 不老不死のレベッカにとって、1年なんて一瞬である。

 だから “その間くらいは” と『カスタム』を『カスタム』し、1年間の使用制限を設けた。


 さて、このゲームの目的とは何であろうか。

 まさか “最弱の状態で旅をする” だけで、レベッカが満足するなんてことはあり得ないだろう。


 レベッカは、再び『チェンジ』を発動した。

 それは、“肉体が受けるダメージを、スキルで受けるように変換する” という効果である。

 つまり、攻撃されるごとに “スキル” を失うのだ。


 能力値が皆無のレベッカにとって、通常攻撃なんて合って無いと考えた方が良く、ましてや接敵したら最後、逃げるなんて選択肢はない。

 なので能力値に左右されずに、決まった効果とダメージを出せるスキルはまさに “生命線” なのである。

 それを失うことへの “リスク” と “快感” を胸に町を離れる。


ーーー 遠くで正午を告げる鐘が鳴り、レベッカの旅は幕を開けた。


「…げ、あれは……」


 町を出て、さっそく目の前に現れたのはオークだった。


「…攻撃の手数は多く無いけど、その代わりに体力が高くてタフなんだよね……とは言え、仕方ない。町から結構近いし、倒して置かないと……おいオーク、こっちだ! 『フレイム』っ!!」

「グォーーーっ!!!(ブンっ、ブンっ!)」


 レベッカの先制攻撃は見事に当たったが、事前の目論見通りで一撃では倒せない。


「そんな大ぶりな攻撃、うがっ!(そうだった。いつもの感覚で避けようとしてしまったけど、今の私は……)」


 オークの反撃をモロに喰らう。


「(……この感覚…『エクスプロージョン』を失ったか。いきなり上位スキルとは運がない。これは先が思いやられるな)『ブラスト』っ!」

「グォーーーっ!!!(ブンっ、ブンっ!)」

「ぐっ(今度は『クエイク』か)『アイスキューブ』っ!」

「グァァア(バタンッ)」

「…ふぅ、ようやく倒れたか。それにしてもさっきは危なかった。スキルが代わりに受けてくれるお陰で、私には一切のダメージが無いのはありがたい。そうでも無ければ、能力値の低い私はスキルすら打てずに即死だった……」


 そうは言うが、レベッカは不老不死だから死にはしない。

 けれど、即死と言うのもあながち間違っていない。

 なぜならダメージをくらえば、めっちゃ痛いし、気絶はするのだ。

 その状態で拘束されて連れて行かれたり、もしくは売られて慰みものなんかにされたりしたら、それは死と呼べるのと同じ状況に直結している。


 さらに、負ければスキルを失い、スキルを失えば負けやすくなる。

 負の連鎖による “破滅” へのスパイラル。

 これこそが今回のゲーム内容であり、本質であった。


「…まだ旅は始まったばかりで1年間は耐えないといけないのに、もう3つもスキルを失ってしまった…… スキルの数にも限りがあるし、出来るだけ被弾は避けないと……」


 しかし、それは叶わぬ願いである。

 今の戦闘がそうであったように、受ける以外の選択肢など無いのだから……。


「「「「 キキーっ!!!! 」」」」

「…今度はゴブリンの群れか。」

「ボコっ!」

「ボコっ!!」

「ボコっ!!!」

「ボコっ!!!!」


 スキル『真空波』『エンチャント』『ヒール』『メテオ』を失った。


「ネチョ、ネチョ…」

「スライムならっ!」

「ベチョベチョベチョッ!!!」


 スキル『アブソープション』『ホーリー』『ゴーレム生成』『プロテクト』『斬鉄剣』を失った。


「身ぐるみ全て置いてきな」

「……追い剥ぎ…(パサっ)はい、どうぞ」

「えっ!?」

「『波動砲』っ!」

「ぐわーっ!!!」


「クエーーーーッ!」

「…こいつは、大怪鳥だな。」

「バサバサッ! ガガガガ、ガガガガッ!!」


 スキル『エターナルブリザード』『デス』『ミラージュ』を失った。


「へいへい、嬢ちゃん。おひとりかい?」

「俺たちが遊んでやるよ!」

「く、チンピラが…」

「ドシッ!」

「バコッ!!」


 スキル『ステルス』『れんぞく斬り』『マッピング』『スーパーアロー』を失った。


ーーー そして、1年の時が過ぎ。


「……持ってたスキル全部失ったけど、なんとか帰って来れた… それにしても、懐かしい町ね… あ! ちょうど『カスタム』の使用制限も解除されたみたい… 家に戻ったらスキルも能力値も、いちから『カスタム』のし直しね!」

「…隙あり〜」

「えっ!?」

「えいっ!」

「お"っ"!!!」


 レベッカはクソガキに浣腸され、固有スキル『カスタム』を失った。


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POSTEDJun 1, 2024
ARCHIVEDJun 10, 2026