no preview
DESCRIPTION
アンケートにて募集していた5周年記念ssです。
お陰様で今年も数多くの投票・シチュを頂きました。ありがとうございます!
構想も大方固まったので、随時連載していきます。
~~~~~~~~~~~
物語が始まるのは、いつだって突然だ。
ふとしたきっかけで主人公が選ばれたり、すさまじい能力に目覚めて大活躍したり、皆から英雄として羨望の視線を浴びたり……。
ただ、そんな中でも一点、頭に入れておくべきことがある。
どんなに優遇された主人公であっても、世界すべてが思い通りとはいかないということだ。
(あれ……俺、寝てる?)
気づいたときには、深い眠りの中にいた。
寝ていることを自覚できてはいるのだけど、明晰夢、と呼ぶにしては何もない。
夢の中でくらい、もっといい思いをしてもいいのに……。
「……、……様」
ただ今この状況も、真っ暗な闇の中で揺蕩っているようで心地よく感じられる。
そのままじっと身を任せていたかったのだけど──
「……様、勇者様!」
さっきから、誰かに呼ばれてる?
言われた覚えのない言葉の響きながらも、それが自分に向けられていることは何となくわかった。
ただ声に心当たりもないし、そもそも眠ってるそばで一体何を……?
「ん……?」
重い瞼を開けると、一気に明るい光が入ってきた。
ぼやけた視界の中に映るのは、やけに高い天井と、きらきらした光の差し込む窓。
どうやらステンドグラスになっているようで、鮮やかな色彩が網膜に降り注いでくる。
そして、白い服を着た女性がこちらを覗き込んでいた。
「よかった……お目覚めになられたのですね」
ほっとしたように胸を撫でおろす女性。
真っ白い修道服を着込んでいて、聖職者
ただ、シスターと表現するにはもっと高潔で位が高そうというか……。
「聖女」という言葉が相応しいだろうか。
「ここは……?」
のそりと起き上がって辺りを見回すと、教会の聖堂の中だった。
普通だったら観光地や遺産に指定されているだろう荘厳さで、しかし古びた様子は一切なく、むしろ新品同様に輝く白い柱や埃一つない内装からは神聖さすら感じられる。
手をついた絨毯はしっかりしつつも柔らかな手触りで、広い床にぴったりと敷かれた様子からして、この場所のためだけに作られた特注品なのだろう。
ただ、そんな床の上には直径3メートルくらいの円の中に複雑な図形が組み込まれた魔法陣が描かれていて、自分がその中心に横たわっていた。
「っ……!」
「召喚の影響がまだ残っているのでしょう、じきに落ち着くはずです」
身体にうまく力が入らずグラリとバランスを崩しかけたところを、聖女が腕を伸ばして支えてくる。
ほどなくしてこちらの体勢が落ち着くと、触れているのも恐れ多いとばかりに彼女は手を引っ込めた。
どうやら、俺はかなり重要な存在と思われているらしい。
「突然のお呼び立て申し訳ありません。ですが勇者様のお力がなければこの世界は……」
床に膝をつき、かしこまった態度のまま語る女性。
雰囲気も、そして話している内容も浮世離れしていて、まるで劇のステージにでも放り込まれたみたいだ。
どこを見渡しても客席も舞台袖も見当たらないし、周りにあるものすべてが本物にしか思えないけど。
「えっと、ここは……どこなの?」
「エリヴァ王国領のマルクト教会です」
自分の知っている世界では一度も聞いたことのない単語たち。
一体、自分はどこにいるのだろう?
目の前にいる彼女も一言で表現するなら美少女だけど、服装も容姿も、そして長く艶やかな銀色の髪も、同じ日本人だとは思えない。
まったくの別世界。言葉が通じているのが奇跡なくらいだ。
ただ、それはそれとして。どこか既視感のあるシチュエーションでもあった。
マンガとか、コントローラーを握った画面の向こう側とか……。
「勇者様をお呼びするようにと女神からの神託を受けまして、こうして召喚を……」
「あ~……」
ようやく理解した。
これ、いわゆる異世界転生だ。
召喚された影響なのか、自分がここに来る直前まで何をしていたのか思い出せないけど……まぁ別にいいだろう。
少なくとも、こんな人類の希望みたいな扱いをされてなかったことは間違いない。
大事なのは今この状況をどうするかだし。
「俺が勇者でいいんだよね?」
「はい!女神様の祝福を感じますし、間違いありません」
女神……たぶん、ここに自分を送り込んだ存在のことだろう。
ファンタジー世界にはよくある概念だし、どこかの勢力と対立して戦いになってるのも、どことなく聞いたことのある流れだ。
そして、人類の切り札として俺が送り込まれたのだろう。
勇者として、この世界を救うために。
「半年前、この世界に突如として現れ、支配を宣言した魔王を倒して頂きたいのです」
「なるほど……」
要するに、RPGの世界だ。
魔王を倒すために冒険して、世界を救う。とてもシンプルで基本的な物語。
そして、ここが教会でスタート地点、と。
まだどこか現実感が薄いけど、だからこそゲームをプレイしているような感覚で思考が適応していく。
「もしかして、君や俺の能力とか見れる?」
「はい!」
彼女が小さく呪文を呟くと、俺の目の前に淡い光の文字列が並びだす。
もちろんこんな現象は初めてだけど、そこには見慣れた表記が並んでいた。
いわゆるステータス画面のような感じ。
「初歩的な魔法ですので、覚えれば勇者様もすぐにできるかと」
自分の名前の下に、体力や魔力など基本的なステータスが記されている。
それぞれの数値の大小については……よく分からないから今は考えないでおく。
重要なのは、スキルの欄だ。
『成長加速』『能力伝播』
おそらく、特別な存在……勇者として与えられる、レアスキル。
これがなかったら、俺はただの一般人と大して変わらないだろう。
短い文字列を目で追って、確認して……。
(結構いいんじゃないか?)
少しばかりテンションが上がった。
まず成長加速、つまりステータスの伸びが良くなるということ。
これなら戦闘をする中で、シームレスかつ真っ当に強くなっていけるはずだ。
(使いこなせなくて負けるとか、一番ダメだからね)
強すぎるスキルは敵味方関係なく目立つうえ、むしろ逆用されて危機に陥る……みたいなのがある種のテンプレだし。そんな懸念も一気に払拭された。
ステータス自体が強くなれば、戦闘を繰り返すだけでどんどん先へ進んでいけるはずだ。
(もう一つのスキルは……あまり聞いたことのない名前だな)
おそらく、成長加速がパーティーに加わったメンバーにも適用される、みたいな感じだろう。
自分1人だけがどんどん強くなって、戦力の偏りが生じないように。
性に合ったというか、今後の旅路に便利なものが得られたかもしれない。
想定通りの効果を発揮すれば、勇者として過不足なく活躍できるはずだ。
「わかった、魔王を倒して世界に平和を取り戻そう」
「ありがとうございます!私もお力添えさせていただきますね」
安堵と笑みを浮かべて、自分とともに魔王討伐の旅に出てくれるという聖女。
初期からパーティーメンバーが1人加わってくれるのはありがたい。
俺はこの世界のことを何も知らないし、誰かガイドしてくれる人が必要だった。
それに、こんなに綺麗な人が一緒にいてくれるなら、長い旅路も少しは気が楽になるだろう。
「その……あらかじめ、お伝えしておきたいことが」
「ん?」
他にも重要な事柄がある気配をさせて切り出しつつも、もじもじと、やけに言いにくそうにしている聖女。
軽く下を向き、頬を赤らめながら説明する。
「現れた魔王ですが、どうやら世界の理を歪めてしまったみたいなのです」
「……ほう?」
俺が来る前から、何らかの事態が進行しているらしい。
表情からして、意外と深刻そう?
「すでに一部の人間には影響が現れており、一刻も早い討伐が求められる状況で──」
「……えっと、その」
かなり言いにくそうにしてるし、こちらから彼女に問いかける。
正確には、話を聞いているうちに気になってきたというか……。
「もしかして、貴方にも影響が出ていたり?」
「っ!?」
俺が指さしたのは、彼女の胸元だった。
反応からして図星だったらしい。
「申し訳ありません、この服でも隠すことがかなわず……」
恥ずかしそうに胸をかばいながらうつむく聖女。
整った顔立ちに、均整の取れたスレンダーな肢体。
真っ白で聖職者らしい服装の上からでも分かる、モデル体型と呼べるだろう抜群のプロポーション。
にも関わらず、少し不釣り合いなサイズの乳房がついていた。
「清らかに過ごすべき私が、こんな色欲を煽るような格好をするべきではないのですが……」
服ごしにもはっきりと分かるほどの胸の膨らみ。
いや、そこまで大きいわけではないのだけど、さっきからずっとそわそわしてるし。
最近はイラストとかでもバストがインフレしてるし、自分からするとそこまで悪目立ちするほどでなないようにも思えるけど……。
恥ずかしそうに腕で膨らみをかばっている素振りは、元からそのサイズじゃなかったことを言外に語っていた。
「元々、このような大きさではなかったのです。この半年間で一気に成長しました」
恥ずかしそうにしつつも、ぽつぽつと思い返しながら語る聖女。
「魔力の量が、そのまま乳房の大きさに反映されてしまうのです」
「え?」
想定外の発言に、思わず聞き返してしまう。
魔力、つまりMPってことだよね。
そんな基本的なステータスと、バストサイズが一緒になって変化する?
「胸だけではありません。能力の秀でた者が、それぞれに連動して変化が生じているようで……」
「ちょ、ちょっと待って!?」
立て続けに告げられる情報に、脳が混乱を深めていく。
彼女の姿からして胸だけかと思っていたのだけど、実際はそうじゃないらしい。
理解したくない話だけど、自分のステータス一覧を眺めているうちに、脳が自然とその意味を咀嚼していく。
だって数字だし。これらの値が3サイズみたいなものだと思えば、なんとなく解釈することは可能だった。
彼女の言葉を脳内で整理しつつ、確認するように問いかける。
「今見せてもらった能力と、体型が連動してるってこと!?」
「はい、勇者様の仰る通りです」
混乱しつつも、自分の身体を見下ろす。
今のところ、とくに変化はなさそうだ。異世界から来たから異変の対象から外れているのだろうか?
……いや、まだ自分はレベル1なんだから、影響が出るほどの数値をしてないだけかも。
「魔王のもとへ辿り着ければ、この問題を解決する方法も見つかるはずです」
確かに、元凶ははっきりとしている。
世界の支配を宣言したのも、歪めたのも、すべて魔王だ。
この場にいる誰も悪くないし、文句を言ったところでどうしようもない。
勇者として魔王を倒すために向かうわけなのだから、俺が解決すれば済む話だ。
……と、ここまで考えたところで、ある可能性に思い至る。
「ということは、他にも変化した部位があったりして」
さらに図星だったのだろう、ピクリと身体を震わせる聖女。
しかし、彼女は胸のとき以上に強い反応で身体を緊張させながら、顔をそむける。
「あるにはあるのですが、お見せするのはちょっと……」
服の上からは見えない、その奥で何かが起きているのだろうか。
辱めたいわけじゃないけれど、だからといって説明されないと、こちらも分かりようがない。
「しかし、ご一緒に旅をするわけですし、いずれ明らかになることですから……お伝えしなければなりませんよね」
聖女は決心をした様子でこちらの手を取り、自分自身の身体へと近づけていく。
掴まれた俺の手は、目立っている胸ではなくそのもっと下、太腿の間へと導かれていた。
それに気づいた次の瞬間には、スカートの布に指が触れる。
「ちょ、ちょっと……!?」
あまりにも想定外の行動に、声がうわずる。
しかし、手を止めるわけにもいかない。というか、そんな余裕がない。
俺は、思わず彼女から目を逸らして──
ふにゅん
「へ?」
予想もしていなかった感触に、気の抜けた声が出た。
手のひらにすっぽり収まるくらいの柔らかな肉の手触り。
小さいけれど、服ごしにもわかる程度に、確かに存在する膨らみ。
「ご覧の通り、私は女神に仕える身であり、女神の祝福を受けております」
両手をしっかりと押し当てたまま語る聖女。
指を動かすと、それがひとつの塊でないことも感じられる。突起が1つと、奥にある柔らかな玉。
手ごたえだけで何かが分かってしまう、自分にとって触り慣れたもの。
でも、彼女には本来あるはずのない器官。
「それゆえに聖なる力……聖力が強く、勇者様を召喚できました。ですが、それを反映して、私の股間には……」
彼女は顔を赤くして、無理やり、叫ぶように声を絞りだした。
「だっ、男性器が、生えてきてしまって……!」
恥ずかしそうに頬を赤くしながら告白された肉体の異変。
対して俺は、言葉を出すこともできなかった。
ステータスが影響といっても、胸と同じようにどこかが大きくなるとか、それぐらいだと思っていた。
「そんなバカな……」
聞いたことのない状態異常。
いや、ステータスと連動しているのだから治る類のものじゃないのか。
世界の法則みたいなものなのだろう。
「このような異変が蔓延したことで、世界中が大混乱に陥っており、世俗の様々な面に歪みが生じていて……」
聖女の説明は、もう頭に入ってこなかった。
つまり……魔王を倒すまで、生えている彼女とずっと過ごすことになる?
いや、そもそも魔力や回復魔法を持つ女性は、みんな生えていることに……。
「っ……!」
フラッ……ドサッ
「ゆ、勇者様!?」
異世界転生して、勇者になって、世界を救う……ここまでは王道だったのに。
自分は、とんでもない世界に放り込まれたらしい。
俺はあまりのショックに絨毯に倒れ込み、そのまま気を失った。
判明している影響
魔力……バストサイズ
聖力…男性器のサイズ
勇者
性別:男
レベル 1
体力 58
魔力 10
攻撃力 23
守備力 35
聖力 8
運 12
魅力 26
スキル
成長加速……ステータスの伸びが著しく高い。
能力伝播……パーティーメンバーなど、関わりの深い相手に自身のスキルが作用する。
特記事項
とくになし。平均的な身長、体型の青年。
聖女
性別:女→ふたなり
レベル 3
体力 42
魔力 95
攻撃力 11
守備力 22
聖力 55
運 3
魅力 17
特記事項
高い聖力を反映してふたなり化
女神に仕える生活を長らく送っており、その精神は高潔そのものである。
肉体に影響が現れてからは、胸の重さや蒸れ、服のサイズが合わなくなったのが悩み。