「疑似性交モジュール……ですか?」
権限の移行、射撃管制コアの取り付け、制服の発注、バックアップの説明…
エルモ号の人形となるための一通りの手続きが済み、整備室でメカニックの少女(メイリンというらしい)と2人で最終チェックを行っていると、彼女はそわそわと辺りを見回してそのモジュールの話を切り出した。
ここは人形に対する福利厚生が妙に充実している。ポルドニッツァから聞いた通りだ。しかしそんな物まで提供しているとは…。
もしかしてマズいところに来てしまったのかもしれない。警戒するコルフェンに対して、慌ててメイリンが付け加えた。
もちろん強制ではないし以降は何も言及しない、あくまで暗黙の事情。人形を可能な限り「人」として扱うというここのルールに則り、¨そういうこと¨も女の子の権利のひとつ。とメイリンは考えているようだったが…。
そういう指揮官なのか…この娘もグルなのか…まぁとりあえず、ここで上手く立ち回る上でコレは有利に働くかもしれない。
「そういうことなら…取り付けお願いしてもいいですか?メイリンさん」
…
早朝、いつもの時間に目が覚める。何だか夢?を見ていた気がする…。
服を着ていない。下半身に残る感覚、傍らに同じく全裸で眠る指揮官…そして自分の左手には先日までは無かった光の輪が浮かび上がる。
指揮官を起こさないようにそっと腕の中から抜け出すと、よろよろとシャワー室に向かった。
カシュー……
無機質な空気音と共に、股の間から筒状の機器…疑似性交モジュールが取り外された。内部の収縮機能が失われ、潤滑液と共に大量の精液が零れ落ちる。
子宮を模したタンクの中は、指揮官に愛してもらった証でぱんぱんになっていた。
昨晩の濃密な行為の記憶ははっきりと残っている。しかしモジュールとのリンクを切断したコルフェンは、あの理性を溶かすほどの興奮と、メンタルを焼き切らんばかりの強烈な快楽を思い出すことができない。それはモジュールを通して作られた偽物の幸せだ。という現実を突きつけられるようで…
コルフェンは洗浄時のこの感覚がどうしようもなく苦手だった。
しかし医療人形として、素体を常に清潔に保つことは基本中の基本だ。そして指揮官にもう一度、次も安心して愛してもらうためには可能な限り速やかに、丁寧な洗浄が大切だ。
それはわかっている。だが思い出の詰まった物は紙コップすら捨てられないコルフェンにとって、最愛の人から注いでもらった精液をきれいさっぱり捨ててしまうことはあまりにも残酷で辛いことだった。
なぜ私は人形なのか。なぜこんな偽物を使わなければ触れ合えないのか。もし私が人間だったら、本当に1つになれた。ここに新しい命が芽生えていたかもしれないのに。
黒い感情に呑み込まれそうになるのを必死で堪え、鏡の前で笑顔を作った。
ここに来て間もないころ、指揮官によく言われた。
「無理をしてわざとらしく振舞う必要はない」
結局まだ同じように振る舞っているが、もう指摘されることはなくなった。以前より自然になった、変わったと思ってくれているのかもしれない。
でも違う。隠す感情が変わっただけ。私は何も変われていない。
空が明るくなったころ、目を覚ました指揮官にいつも通りの笑顔を向ける。
「あっ指揮官!おはようございま~す!朝ごはんできてますよ。…あれ、どうしたんですか?もしかしてぇ、目覚めたら枕元に一糸まとわぬ愛する人の寝顔が… みたいな方が良かったですか〜?」
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閲覧ありがとうございます。
実際のコルフェンは流石にここまでこじれてないかもとは思うし、普通のSSD62とかの人形にも最初から穴は付いてるかもしれません。ごめんなさい。
キャンペーン中だったのでそのタグが付いていますが、5/13以降に非公開にするわけではないです。