Previous Post

ナマイキカウンター

Next Post
ナマイキカウンター
1 / 3
DESCRIPTION


「ハァ、ハァ・・・」


右側の顔に感じる熱とひどい圧迫感。

塞がった目で視界がおぼつかない。

眩暈がする。・・少し殴られすぎたわ。


「ひどい腫れ方ですね。あまりサウスポーと闘ったことないんですか?

ちゃんとガードしてくれないと・・

片手だけで闘うハンデの意味がないじゃないですか。」


イツキくんが得意げにステップを踏みながら、挑発を飛ばす。

紅のアマチュアグローブが視界の中で忙しなく動き、

私の顔に噛みつこうと機を窺っているようだ。


「おばさん、元プロボクサーなんでしょ?思ったより大した事なくてがっかりです。・・このままノックアウトできちゃうかも?」


(生意気・・っ!)

挑発に乗るように大きく一歩、思い切り足を踏み込む。

相手のリーチのなか。互いのパンチが届くその緊張状態。


フック、ワンツー、アッパーカット!


私のグローブが、その小さな顔を追い回す。

・・が、捕まらない。

青グローブの合間を、端正な幼い顔立ちが煙のようにすり抜けていく。


「・・そうだ。みてくださいよこのグローブ。

殴りすぎちゃって、おばさんの顔の皮脂がたっぷり染み付いちゃいました。

こうなると、しっかりパンチを当てるのが結構難しくなっちゃうんですよ・・ね!」

パチン!



「くぅ・・っ!」


「って言っても、おばさんに当てるのは簡単でしたね。」


私のパンチを当然のようにあしらった、無慈悲で完璧なカウンター。

顔中の汗が飛沫をあげて、リングに飛び散る。

ぐらりと地面が揺れた。


『ダウン〜!!

持ち前の素晴らしいタフネスで持ち堪えてきましたが、

とうとう天才少年の前にその膝を屈しました!

若奥様、立てるか!?』


右の顔を覆う、痺れたようなジ〜ンとした余韻。

素肌のお尻に触れるマットの感触。懐かしい。

現役のプロボクサーの時もこうやって殴り倒されてばっかりだったな。


(悔しい・・・けど・・

 久しぶりの生パンチは・・やっぱり気持ちいいわ)


右足に体重を乗せる。

まだやれる。

まだ、この夜を終わらせたくない。


「・・まぁまぁいいパンチだけど、なんか物足りないのよね。

 重いパンチ、もっと打ってきてもいいわよ」

  

「・・面白いですね。

 その腫れた顔面、もう2倍に育ててあげますよ。」






いつもご支援ありがとうございます。

そろそろこの前寄稿した漫画投稿しようと思います!




tarupo789 PIXIV FANBOX 116 favs
VIEWS1
FILES3 files
POSTEDDec 15, 2025
ARCHIVEDJun 10, 2026