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ぬめる暗闇に沈み、サイラの体はすっかり力を失っていた。
悪態をうつ気力すら、もはや残っていない。
粘液に塗れたまま仰向けに倒れた彼女に、数匹のオタマジャクシが這い寄ってくる。その小さな生き物たちは、まるで順番を争うように、サイラの秘部に頭を突っ込み、じわじわと子宮へと侵入していく。
「……っ……う……あ……」
サイラは目を見開き、かすかな声を漏れるが、手足は微動だできず視界は滲んでいく。ただ心臓だけが、不規則に脈を打っていた。
そのときだった。
“ポォン……ポォン……ポポン……”
鼓膜ではなく、神経に直接響くような不快な振動音。
それを合図にしたかのように、体内で熱が生まれ、吸い取られていく感覚が彼女を襲った。
何かが彼女の生命力に直接触れ、それを根こそぎ啜っている。
「あ…ああ……」
小さく掠れた声が肉壁に吸い込まれ、再び訪れる沈黙。
次の瞬間――サイラの腹部がわずかに脈動した。
入り込んだオタマジャクシたちが、サイラのエネルギーを栄養源として、内部で変質を始めたのだ。
皮膚の下で不気味なシルエットが蠢き、やがて「それ」は――
成長した。
ぬらりと、腕が生え。次いで足。
ぬめる体表には奇妙な紋様が浮かび上がり、丸かった身体が、まるで人型のようなシルエットへと変貌していく。
それはまるで、サイラの内部から「新たな存在」が生まれ出ようとするかのようだった。
「……んぎい……ああ……出てくる……」
だが、悲鳴をあげる気力すらなく、くぐもった声をだすしかない。
その声すら、闇に消えていく。
心も、沈んでいく。
意志は、もはや、欠片さえ残っていなかった。
こうして――
ヘビメタ少女・蛇野ヴァイパ・サイラは、敗北した。
体も心も、バスリブ・クロッカーの音と肉に、完全に取り込まれながら。
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