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7時30分より、鎖付きリボンプランにて【若奥様の周りは揉め事だらけ】の掲載を開始します。
よろしくお願いします。
以下、試し読み
「あ、そういえば、今日喧嘩してくるわ」
まるで天気の話をするようにさらっと言ったその衝撃発言に、夫は特に反応することなくご飯を一口食べた。
「そうなんだ。あ、醤油ちょうだい」
「はい。だから夕ご飯、総菜で適当にやっちゃうけどいいよね?」
「いいよ。あ、俺コロッケがいいな」
「わかったわ」
夫は愛香から受け取った醤油を目玉焼きにかけると、白身の部分を箸で切り離して一口食べた。もはや夫にとって、愛香が誰かと殴り合いの喧嘩をすることは珍しいことではなく、それについて話を聞くよりも朝食の方が優先される程度の出来事なのだ。
もちろん、最初からこうだったわけではない。大学で初めて出会った時や付き合った当初は、愛香が誰かと喧嘩をしていたら自分のことのようにパニックになっていたし、愛香が喧嘩で大きな怪我をしてしまった時は、涙を流すことさえあった。
ただ、段々と月日が経ってくると夫も愛香の日常に慣れていった。愛香の異常な強さを目の当たりにして、心配する必要など無いと気付いたのだ。
今では朝食を食べながら軽く聞き流す程度だ。
とはいえ、全く聞かないのもなんだか不自然なので、夫は味噌汁を飲んだ後に聞いた。
「今回の相手は強そうなの?この前の喧嘩は拍子抜けだったって言ってたけど」
愛香は先週にも喧嘩をしていた。ある洋服店で人気のスカートの最後の1着を巡って他の客と言い合いになった時、愛香の「あんたみたいなブスどんぐりより私の方が似合うから、これは私が買うべきよ」というストレートな失礼発言が原因で、喧嘩に発展したのだ。
その時の相手の女は体格も愛香より若干大きく、腕っぷしもあるようだった。だから愛香はかなりの激戦になると予想していたのだが、結果は愛香の圧勝。相手の女が愛香に与えられたのは開幕の頬へのストレートだけで、それ以降は愛香のパワフルなラッシュに全くついていけずに3分も経たずにKOとなった。
呆気なく喧嘩が終わり、愛香は喜ぶよりもむしろ嫌な気分になった。実力差がありすぎる相手との喧嘩は、なんだか弱い者いじめのようで嫌いなのだ。どうせやるのなら互角の緊迫した喧嘩がしたいというのが、愛香の本音だった。
その時のことを思い出し、愛香はご飯を口に運びながら顔を顰めた。
「あんな気分の悪い喧嘩はもうゴメンよ。でも今日の相手は大丈夫そうなの。多分、学生の頃はヤンチャしてきたタイプだと思う」
「そっか。まぁ頑張ってね。愛香が負けるとは思ってないけど」
「当然よ」
愛香は自信溢れる笑みで頷いた。