【第一話】仲間も敵もボスもNPCも背景に映っているだけのモブにすら片っ端から爆乳むちむち高身長美女化MODを適用したせいで自分以外の全ての生き物が豊満抱き枕体型なくせに自分の体格に無自覚な無知むちお姉さんになってしまったRPGゲーム世界に転生する話
身体を優しく揺すられるような、穏やかな感覚で目が覚めた。
耳を澄ませば、がたがたと車輪が砂を噛む音がする。
どうやら、揺れているのは自分の身体ではなく、自分が今乗っている、この乗り物の方らしい。
どうにも記憶がないけれど、もしかすると電車の中で、ふと居眠りでもしてしまっていただろうか。
シートに座っている尻が、振動により小刻みに浮きあがる。
その揺れがどうにも心地よくて、気を抜けば二度寝してしまいそうだ。
僕は、眠気を追い出すように、大きく欠伸をしてから、座ってばかりで凝った肩をぐりぐりと回した。
ぼやけた脳みそに酸素が回り、視界が開ける。
すると、ぱっと目に映ったのは──にやついた面をしたスタイルのいい美女と、木の梁で作られた枠に、白い布を張っただけの、簡素な作りの車内。
正面には干し草が積まれており、それを椅子の代わりにして、長身の女性がどっかりと腰を掛けている。
そんな、現実離れした時代錯誤な光景に、目覚めたばかりの脳みそが、くらりと揺らいだ。
これは──馬車だろうか。
それも、近代に走っていたような、人を乗せるために作られたような文明的なものではなく、荷車として物を運搬するために使っていたものを、人を運ぶために転用しているだけの、中世に見られる簡素なもの。
歴史の教科書か、あるいはファンタジーの世界でしか見ないようなものに、どうして自分が乗っていて、しかもゆっくり居眠りまでしていたのか、どうにも分からない。
目をぱちくりさせながら、蹄がぱかぱかと鳴る音を聞く。
すると、ぼんやりと頬杖をつきながら、運転主の方を見ていた正面の女性が、こちらに向き直り声をかけてきた。
「おう、お目覚めかい、兄ちゃん」
まっすぐ、正面から見ると、改めて身長が高く、そして何より凄まじい美女だった。
羽織っているボロの服は、多少汚れているけれど、そんなものに目がいかないくらい、目の前の女性は、今まで見てきた人の中で一番だと、断言できるほど美しい。
腰まで伸びた白髪は、伸びっぱなしのまま無造作に乱れているけれど、枝毛や汚れ、油っぽさはなく、流水のようにさらさらだ。
体格を隠すように身につけた、ぶかぶかな革のマントも、ところどころに破れやほつれが見え、身なりは無精に見えるけれど──何せ本人の肌つやは抜群で、唇には潤いがあり、白い頬にはシミ一つなく艶々。
荒くれもののようなファッションで、不健康やインモラルを強調しているくせに、指は透き通る白魚のように綺麗だし、睫毛も一本一本手入れされていて、どうにもその姿は矛盾している。
衣装は盗賊をモチーフにしているくせに、中身の女性があまりにも、アイドルや女優で一線を張れるくらい美しいせいで、逆に合っていないコスプレ。
目の前の女性に対して、僕はそんな印象を抱く。
「随分ぐっすり寝てたな……。長旅かい?どっから来たんだ?」
にまにまと、口の端をつり上げながら、彼女は慣れ慣れしく僕に語りかける。
長旅も何も、僕はただ、これに乗って──乗って、どうするつもりだったのだろう。
ふと考えてみても、眠りに落ちる前のことが、全く思い出せない。
どうして僕はここにいるのか、どこに向かおうとしているのか、分からない。
自分の名前、住所、その他諸々、今まで自分がどこでどうやって暮らしてきたのかは、正常に思い出せる。
少なくとも、記憶喪失などではない。
ただ、この馬車に乗るまでのことだけが、記憶が途切れているかのように、不自然に思い出せないのだ。
彼女の言葉に何も返せず、まごつく僕を見て、彼女はからからと笑った。
「かかっ。いやいい、こんなゴロツキに身の上話なんざしたら、後でどんな目に遭うか分からねえ。何も言いたくねえよな、あんたが正しいぜ」
気風よく、彼女はにかりと歯を見せる。
少なくとも、今の僕には、彼女はゴロツキどころか極上の美女にしか見えないけれど。
──なんてことを直接言えば、きっとセクハラになるだろうから、ぐっと言葉を心の中にしまう。
「いや、実は俺も長旅でな、目的地に着くまで暇だから、とにかく何か喋りたいだけなんだ。あんたは気にせず適当に相づち打つか、聞き流してくれればいい」
さっきから頭が混乱していて、ろくに返事もできない僕だったが、彼女はそれでも気にしない、さっぱりとした性格の人らしい。
自分の身に何が起きているのかも分からず、何を話せばいいのか分からない、今の僕にとってはそれが何よりもありがたい。
とにかく、こくこく頷いて首肯すると、彼女は妖艶に目を細め、また愉快そうに笑った。
「なんだ、ずいぶん素直だな。こんな盗賊まがいに懐っこくするとは、王都に着いてから心配なやつだ」
酒焼けしているのか、枯らした喉でつらつらと語る声は、低くしゃがれているけれど、それがかえって心地いい。
荒っぽいながらも耳に馴染む、静かで訥々とした語り口調は、いつまでも聞いていたくなる魅力があった。
「……そういや、行き先を聞いてなかったが、あんたも王都に行くってことでいいんだよな?まあ、安く王都に行く以外に、こんな干し草まみれの荷車に乗る理由があるとは思えねえけど」
──おうと。多分、漢字で綴れば、王都。
果たして、日本にそんな地名があっただろうか。少なくとも、僕の家の近くにはないはずだ。
今の僕に、そんな場所に行く用事があるとは思えないが、けれど僕は現に、そこに行くための馬車に乗っている。
果たして、ここに来るまでの僕は、何をしようとしていたのか。
腕を組み、うんうん唸って考えるけれど、ちっとも思い出せない。
しかし──王都と聞くと、昔によくプレイしていたゲームのことを思い出す。
昔にずいぶんと熱中した、オープンワールドのRPG。
それのオープニングは確か、ちょうど今のように、この世界最大の国である王都に行くために馬車に乗って、ゴロツキと話すところから始まるのだ。
無論、そのゴロツキというのは、こんな長身の美女ではなく、ただのヒゲ面のおじさんだが。
ああ、しかし懐かしい。
あれはパソコンを買いたての頃、折角だから今持っているゲーム機ではできないゲームがやりたいと思って、とにかく評判がよくて安いゲームを探していたところ、たまたまセールで90パーセント引きになっているのを見つけて買ったのだ。
あのときは、こんなに自由度の高いゲームがあるのかと衝撃を受けて、毎日夜遅くまで、時には徹夜してまで夢中になり攻略したっけ。
「大方、ギルドにでも行くんだろ?王都に行く田舎者の魂胆ってのは大抵、冒険者になって一攫千金ってなもんだ」
そうそう、何度も繰り返しプレイしていたから覚えている。
確かにあのゲームは、こんな始まり方だった。
記憶の通りなら、今は悪の魔術師が、魔王とやらを復活させているから、魔物の動きが活発になっている、今から冒険者になるのはおすすめしないと言われるはず。
「ま、気持ちは分かるぜ。けどよ、悪いことは言わねえ、今ギルドに行くのはやめといた方がいい。近頃はどうも妙なことに、魔物どもの動きが活発になってやがる」
やっぱり、記憶の通りだ。
聞いてみれば、セリフも一言一句同じで──いや、待て、そんな事ってあり得るのか?
「こりゃ噂だけどよ、どうも極北の国じゃ、魔術師どもがキナ臭い実験をしてて、その影響で魔物が血気盛んになってるんだそうだ。なんでも、世界征服のために、1000年前の魔王とやらを呼び出してるとか……。へへ、魔物が突然元気になって、噂が立つのは分かるけどよ、にしても下らねえことを言うもんだよな」
芝居がかった手の振り、おどけるようににやついた頬、そして聞き覚えしかない彼女の言葉。
ここまで来たら言い逃れのしようもなく、どれもこれも、僕がプレイしたことのある、あのゲームのシーンをなぞるように作られている。
馬車の内装も、外から聞こえる蹄の音も、今まで思い出せなかったのが不思議なくらいにそのまま。
考えてみれば、彼女の服装だってそうだ。オープニングに出てきたあのキャラは、確かこんなボロを羽織っていた。
──まさか、これはゲームの世界なんじゃないだろうか。
異世界に転生した、なんて荒唐無稽な言葉が頭をよぎる。
それくらい、今僕が置かれている状況は、ゲームとそのまま全く同じなのだ。
だけれど、だからこそ解せない。
だったら、何故──目の前の人は、こんな原作に似ても似つかない、長身の美女なのだろうか?
元のゲームのキャラクターデザインは、海外のRPGらしく、バタ臭いと言っては失礼だけれど、掘りが深く少々ケバ立った顔立ちをしているのがほとんどだ。
少なくとも、今目の前にいる彼女のように、アニメや漫画からそのまま出てきたような美女のキャラクターは一人もいないはず。
「……しかし、ずいぶんと暖かくなってきたな。そろそろ国境を超えた頃か?」
彼女は馬車後部の扉をちらりと開けて、外を覗く。
ここまで来ると、俺みたいな野盗はいないから一安心だ──なんて言いながら、彼女はまたどっかりと元の席に座ると、リラックスしてまた頬杖をついた。
そんな、落ち着き払った女性の態度とは対極的に、僕は混乱を深める。
その動作もまた、ゲームで見た通りだった。
このオープニングは、何度も何度も繰り返し見たから、頭の中でそのまま流せるくらいには覚えている。
登場人物のセリフ、そして動作はもちろん──窓から差す光のちらつき、外でさえずる鳥の声、車輪の跳ね。
覚えている限り、今僕の目に映っているものは、まさにその映像そのものだ。
人為的には再現のしようがない、環境音やちょっとした光の具合まで、そっくりそのままに。
──本当にここは、ゲームの世界なんじゃないだろうか。
妄想じみた考えだとは、自分でも思うけれど、馬車の中での出来事を見れば見るほど、どうにもそうとしか結論を付けられない。
けれど、だからこそ、分からない。
じゃあ、今目の前に座っている女性は、誰なんだ。
気安くにやけ面を晒し、へらへらと笑っている彼女を、僕はじっと睨みつける。
ゲームの映像でも、確かにそこには、盗賊くずれのゴロツキが座っていた。
性格は陽気で気さく、へらへらとしたにやけ面が特徴で、口数が多く喋るのが好きだが、人の話は聞かない。
元々そこに座っていたキャラと、態度や性格そのものは変わっていない。
そして、寸分たがわない動きと表情、言葉。
しかし──その容姿は、元の人物とは似ても似つかない、見惚れるような美女になっている。
意図が分からない。
そうなっている意味が、ちっとも分からなくて、どうにも警戒してしまう。
確かに、そりゃ僕も男だから、こういう時にはむさ苦しい男に案内をされるよりも、こんな風に顔が良すぎてそれだけで結婚したくなるような美女と一緒である方が、もちろん嬉しい。
それは当然そうなのだが──だからと言って、何の説明もなく性転換されていても、素直に喜べるはずがない。
意味が分からない、理不尽なもの。人智の及ばない、理解不能なもの。
人間は、そういったものへと本能的に恐怖を抱く。そんな話を思い出す。
更に、彼女の容姿は──なまじ、見ているだけでうっとりと、警戒心を溶かして陶酔するような、淫魔の如き美貌なのだから、余計に警戒せざるを得ない。
何と言うか、食虫植物が、甘い匂いを出しながら、獲物を誘っているみたいで。
「ふいー……。いや、暖かいとは言ったが、こりゃそれどころか、ちょっと暑いな」
そんな、僕の警戒をよそに、彼女は自らが羽織っている、革のマントに手をかけた。
ちょっと暑くなったから、上着を脱ぐ。
それだけなら、全く何の違和感もない、当たり前のことだ。
だが、僕はびくりと、身体が跳ねさせて、冷や汗をかきながら、警戒して息を飲んだ。
かつてない勢いで、頭が回転している。
──暑いから服を脱ぐなんてシーンが、原作にあった覚えはない。
鳥の鳴き声まで、ゲームのオープニングとぴたりと同じなこの状況で、初めて彼女は、僕の知らないリアクションを見せたのだ。
彼女は、僕が座席を移動して距離を取り、瞬きもせずじっと睨んでいるのを知ってか知らずか、鼻歌を歌いながら、マントを留めているベルトに手を掛ける。
ただでさえ、そのマントはどう見ても、身体を隠すために作られたものだ。そりゃあ、警戒もするだろう。
あからさまに不自然に、胸元に突っ張り棒でも噛ませているかのように、マントが大きく広がっている。
どんな百貫デブでも、どんな痩せっぽちでも、ぱっと見て区別が付かなくなるように、分厚くスカート状に襟元を広げて、本人の体格を分からなくしているのだろう。
身長も誤魔化しやすいように、床に引きずるくらい、脚よりも丈を長くして、人相を誤魔化しているのもポイントだ。
もっと言えば、革はごわごわと硬くて分厚いから、中に武器を隠し持っていても、ぱっとモノを盗んで中に突っ込んでも、一目では決して見抜かれない。
泥棒をするにも、暗殺をするにも適していて、更にはその後、警吏からの追跡を巻くのにももってこいの道具だ。
そんなものを──初対面の人間の前で、脱ぐ。あり得ないことだ。
元のゲームでも、このキャラクターは後々出会い、仲間にすることだってできるが、このマントを自分の前で脱ぐシーンは、好感度を最大まで上げて、その後イベントをこなし結婚して、また上限値が上がった好感度を最大まで稼がなければ見られない。
その性質上、主人公を男キャラにしたら、結婚のイベントを進められないので、マントの下にある身体を見るためには、殺さないといけない。
それくらい、盗賊にとって素の姿を晒すというのは、デリケートなことなのだ。
それを見せるということはつまり、殺されてもいいというほどの親愛があるか──あるいは、得物を取り出して殺す時か。
生唾を飲んで、顔を青くする。
それでも、彼女は上機嫌に、目をじっとり細めながら、鼻歌を歌っていた。
「ん、んん……」
羽織っていた革のマントを、前で留めているベルト。
その金具に指をかけて、彼女は少し窮屈そうな顔をする。
相当、ベルトをきつく締めてしまったのだろうか。
かちゃかちゃと、金属が擦れる音が、やけに響いて聞こえた。
そのマントは、体格を隠すため──とは言うものの、彼女の隠された首から下が、スリムに痩せたモデル体型である事など、目に見えている。
首元や輪郭の、ほっそりとしたラインを見れば、一目瞭然だ。
それこそ、自分の美貌を維持するために、しっかりとした運動と体重制限を施したアイドルのように、無駄な脂肪を落とし、その腰には悩ましいくびれを作っているのだろう。
少なくとも、その絵に描いたような理想の輪郭からして、太っているなんてことがあるはずがなかった。
だから──そんなにゆったりとした、布地の多いマントを羽織っておいて、それでも胸の前でベルトが詰まっていると言うのなら、その中には何かを隠し持っているに決まっている。
唇を結んで、背中に嫌な汗をかく。
数秒後に、銃器を向けられている可能性だって、ゼロではないのだ。
考えすぎか、とも思わなくはない。
そもそもの話、ここが僕がよくプレイしていたゲームの世界だなんて決まってはいないし、彼女が僕の知っている通りのキャラクターだとも限らないのだ。
でも──直感的に、僕はもう既に、ここはゲームの世界であると、何故かそう信じ切っている。
どうしてと言われても分からないけれど、そんな予感がしてならない。
そして、その直感は多分、合っている。
目の前に居るこの女性も、恐らくは、僕の知っている盗賊のキャラクターで間違いない。
どうしてか、そんな理屈もへったくれもない、荒唐無稽な妄想じみたことを、いつの間にか僕はすんなりと受け入れていた。
いや、受け入れているからこそ──そんなものは理屈に沿わない、有り得ないことだと、理性を働かせて現実逃避したがっているのだ。
この世界は、ファンタジーだけどダークな描写も多く、何の能力もない人間が生きていくには、かなり苛酷だ。
軽々しく人が死ぬし、こういう盗賊なんかは、殺し殺されを当たり前の日常として繰り返している。
──いっそのこと、このまま飛び掛かって、そのマントの下に手を突っ込み、隠しているであろうものを先に奪い取ってやろうか。
日常から突然に切り離され、見知らぬ土地に放り出されて、半ばパニックに陥った脳みそは、そんな考えすら思い浮かばせる。
ここは現代の日本じゃないから、身の安全なんか誰も保障してくれないし、今の僕には、何の拠り所もないから、殺されたって誰も気が付かない。
黙りこくって、じっと座っていると、そんな恐怖に思考が徐々に侵される。
「……ん、ようやく外れそ……」
そして、盗賊の胸元で、ぷちんとボタンが弾ける音がした。
──ええい、ままよ。
そうして、焦って席から立ち上がったところで──がたんと、大きく車輪が跳ねた。
前につんのめった体勢のまま、突然の揺れに襲われて、僕は思わず倒れ込む。
それと同時に──どぷん、と水風船が重たく跳ねるような音とともに、隠されていた”それ”が露わになった。
──……は……!?
確かに、思った通り、それは凶器だった。
いくら体格を隠していたって、明らかにマントの内側に収めておくには大きすぎる、女性の凶器。
ほっそりとした輪郭と、理知的で落ち着いた顔立ちには、全くと言っていいほど似合わない──下品なまでの大きさの、デカ乳。
質量保存の法則を無視して、それがどっっ……さりとまろび出た途端、僕の思考は完全に止まる。
スリムな顔立ちからは、全く想像もつかない、下卑たオスの性欲を、粘土にして捏ねくり回したかのような、淫魔じみた身体。
首から下を、むっちむちの淫魔のものに挿げ替えたとしか思えない、中性的な美貌と対極的な、雌性を誇張しきった柔肉の塊が、そこにはあった。
──そのマントは確かに、異常に膨らんでいた。
一応、彼女は女性だから、ある程度は胸があることも考慮してはいたけれど、それにしたってあり得ないと断言できるほど、マントの中には空間があったのだ。
それこそ、僕がマントの中に潜り込めば、余裕を持って雨宿りができるくらいに。
だけど、甘かった。
ベルトが弾けて、ようやく出てきた、彼女の素の体型は──豊満なんてものじゃない、もはやオスから精子を抜き取るためだけに存在するような、下劣さと美しさを両立する、抱き心地の極致。
気ままな精霊のように、ある種神秘的なミステリアスさを湛えた、理知的な女性という首から上の印象を、まるっきり台無しにするような、サキュバスも裸足で逃げ出す、文字通り途方もなく贅沢すぎる、贅肉の塊。
規格外で売り物にもならないサイズの、大玉のスイカ並の質量をこさえた、長すぎる谷間と、太すぎる乳の付け根を持った彼女は──何も、隠してなどいなかったのだ。
ただ、マントの下には、オスのちんぽ殺しの、魅惑の脂肪をぶら下げていただけ。
ある意味、人死にが出そうなサイズの、馬鹿みたいにデカい乳を、ただ押さえつけていたに、過ぎない。
──頭が、真っ白になった気分だった。
脳みそが、突然に弾け出たおっぱいに、塗りつぶされたのだ。
だから、せめて倒れ込むにしても、身体をねじって彼女を避けようだとか、そんな事を考える余裕すら持ち合わせてはいなかった。
「んあ……?」
──あ、いけない、と思った時には、もう遅く。
僕は、勢いがついたままに、その乳に向かって、飛び込んでしまったのだ。
視界が一瞬、大福餅の生地のような、もちもちすべすべの、真っ白いものに埋め尽くされる。
比喩ではなく、本当に、目の前の全てが、おっぱいの肉に満たされたのだ。
──言うまでもなく、その乳が、自分の頭よりもずっと大きいことが、まず証明される。
その、恐怖すら覚えるような、底なしの乳沼に向かって飛び込む時──僕は、恐怖を抱くことすらできなかった。
例えば、針山に向かって、頭から転んでしまったとする。
その時、人間は何かを考える前に、本能的に危険を察知して、現状を認識するよりも先に、手をついたり頭を引くなりして、それを無理やりにでも避けようとするだろう。
しかし、今の僕は、その全く逆。
目の前の光景の意味を理解するよりも先に、彼女の肢体の持つ圧倒的な母性と、むんわり蒸れ散らかした乳肌の淫靡さに屈服して──むしろ、磁石に誘引された金属のように、自ら乳肉に引きずり込まれていった。
「おっ、とと……」
その時の感触を、もし擬音にするならば、”ぽよん”とか”ぱふん”なんて生易しいものではなく──”どぼん”という風になるだろう。
スライムでできた生ぬるい沼の中に、正面から飛び込んで、包まれた。
汗とフェロモンに濡れそぼった、ぴっちりと閉じたメートル級の谷間が、脂肪を波打たせて僕の頭を丸呑みする──そんな規格外の体験は、まさに底なし沼に溺れたという錯覚を抱かせるには、十分すぎる。
その温かさ、そして心地よさ。
ただただ、柔らかくてふかふかしたものに、正面からうずもれるという、その安心感と快感は、誰しもある程度は味わったことがあるだろう。
例えば、干したての毛布に飛び込んで、くるまりながら昼寝をする。
その快感を──もう、何百倍にも、何千倍にもしたような心地が、一瞬で脳みそを破壊し尽くして、立っていられない。
あんまりに圧倒的な恍惚に、腰を抜かし、骨を蕩かして、離れなければいけないと分かっていても、動くことができなかった。
──そうして、息をするのも忘れるほどの、衝撃と幸福に包まれた瞬間、身体の奥底から安心感がこみ上げて、理性が何かを思うよりも先に、当たり前に呼吸をしてしまう。
すぅ、はぁ、と、寝息のように穏やかな深呼吸。
油断しきった呼気を、谷間の中で吸い込んだ途端──べたついた、砂糖まみれの練乳を、一気に口の中に突っ込まれたような甘ったるさに、脳みそをこてんぱんに破壊される。
厚い革のマントの下で、じっくりと熟成するように、暑く蒸れてじとついた乳の谷間。
その中に溜まった、生クリームのようにしつっこい乳の匂いを、何の覚悟もなしに吸い込んでしまい、頭の中で白いスパークがばちばちと弾ける。
興奮どころか、困惑と恐怖でいっぱいで、がちがちに固まった身体を、無理やりほぐしきって、強制的に眠気をもたらす、乳臭い匂い。
それはまるで、何千倍に薄めて使う強烈な媚薬を、原液のまま口に突っ込まれたように──興奮して、勃起して、そして射精するという、人体のプロセスを完全に無視して、ゼロの状態から高めることなく、強制的に前立腺にアクメの信号を叩き付けた。
つまるところ、僕は──女性の乳肉に向かって、いきなり飛び込んで顔をうずめた挙句、谷間の匂いを嗅いで乳肌に頬ずりをしながら、お゛♡と短く喘ぎ、いきなりのことで勃起もできていないちんぽの先から、精液を垂れ流し、深い深い脳イキ乳臭アクメを、数分かけて消化した。
馬車の中で、砕けて悶えっぱなしの腰を、何とか膝立ちで持ち上げたまま、女性の胴に必死ですがりついて、腰のくびれにしがみついて、だ。
──痴漢、なんて軽い言葉で言い表していいものではない。
いきなり何の言葉もなく、胸に向かって抱き着いて、ものも言わずぶるぶる震えながら、精通するように射精を始めるなんて、その場で蹴り殺されたって文句は言えない。
最も情けをかけてくれたとしても、馬車からすぐに蹴り出して、衛兵に突き出すのが関の山だろう。
カップラーメンが作れるほど長い時間をかけ、女性に抱き着き精液を金玉から抜ききった僕は──幾分か冷静さを取り戻した頭で、人生が終わったであろうことを実感した。
パンツの中がひどくぬるついているが、それに気持ち悪いと思う余裕もなく、僕は乳肌から顔を離そうと、腕を女性の腰からどけて、壁に手を突き立ち上がろうとする。
けれど、乳肌は汗に濡れていて、そして肌のキメが細かすぎて、何よりも肌の潤いと艶感が強すぎるがゆえに、どうにも吸い付いて離してくれない。
金玉の奥にへばりついた残り汁をぴゅっと噴き出しつつも、べっちょりと乳肌にディープキスをかまされる、媚肉の無間地獄から、どうにか抜け出して──ちゅぱ、とハリの強すぎる乳肉に、名残惜しくキス音を鳴らされつつ、あえ、と間抜け面を晒し、谷間の中から顔を上げる。
ゲームの世界に転生したのか、そうでないのかも分からない、こんな意味不明な場所で、おっぱいに向かって転んだせいで、人生を棒に振り、何もかも終わるのか。
ともかく、この人に衛兵に突き出されるにしても、この場で殺されるにしても、こんな迷惑をかけてしまったのだから、どちらにせようんと謝ってから、大人しく沙汰を待とう。
そんな諦めの念を覚えつつ、にやけた口角を底まで下げて、軽蔑と嫌悪の視線を向けているであろう、女性の顔を、恐る恐る見上げた。
すると、自分のだだっ広い乳肉の上を、見知らぬ男の涎と涙でべとべとにされた、女性は──
「……くくっ、はっはは!」
──可笑しそうに、愉快そうに、笑っていた。
自分の膝をぺしぺしと叩き、声を上げて呵々大笑する姿には、不快感など一切伺えない。
彼女は、ますます混乱するばかりの僕を、肘をつき脚を組み替えながら、けたけたと見下ろす。
「なんだお前さん、無口な奴だと思ったが、意外に愉快なところもあるじゃねえか。くっくく、大方、俺がベルトを外すのに苦戦してるのを見かねて、手伝ってやろうと立ったんだろうが……まさかそのままスッ転ぶとは!」
そして、軽蔑するどころか、目尻を下げ口元を綻ばせ、ますます気に入ったと僕の背中を叩いた。
案外ドジな奴だな、いやそっちの方が愛嬌があるってもんよ──と勝手に頷く彼女は、僕が乳肉の中に顔を突っ伏したことも、それで腰に抱き着きながらどぽどぽと身勝手にノーハンド射精をしたことも、全く触れたりはしない。
口ぶりからして、僕が彼女の胸に飛び込んだのも、ベルトを外す手伝いをしようとしたと、そう解釈してくれたのだろう。
こんな真似をしでかした張本人の、自分が言う権利はないだろうが──あまりにも、不自然なことだ。
いくら何でも、自分の乳肉を嗅ぎまわされて、腰を撫でられセクハラの限りを尽くされても、一切の苦言も呈さず、笑って済ませるなんてことはあり得ない。
もしかして彼女は、あまりにも情けない僕のことを気遣って、あえて触れずにそっとしておいてくれているのかと思い、ごめんなさいと小さく謝るが──
「かっかっか、別に気にすんじゃねえよ、そんぐらいのことで気を悪くしたりしねえさ」
──汚されたおっぱいを一瞥することもなく、何の事で謝られているのかも気づいていないという様子で、手をぱたぱた振って。
「別に、間違って女に抱き着いちまった訳でもねえんだし、そんなにおどおどすんなよ」
ゴロツキの男相手に、心配性な奴だな、と最後にそう吐き捨てた。
──言うまでもない事だが、彼女はどこからどう見たって、女だ。
その顔立ちは確かにマニッシュで、化粧の仕方次第ではイケメンの男にも見えるかもしれないが、その体つきが明確にそれを否定している。
だが、彼女は自分のことを、男だと宣ったのだ。
強烈な違和感。自分の性別すら、正しく理解していない、彼女の態度。
よたよたと、後ろに身体を引きずり、何とか腰を持ち上げて、元の席へと戻る。
──ああ、そうだ、そうだった。今の言葉を聞いて、記憶がうっすらと、蘇り始めた。
ぞわぞわと、全身の毛が逆立つような、興奮とも狂喜とも、恐怖とも絶望ともつかない感覚が、背骨を通って全身に突き抜ける。
ああ、そんな、そんなことって。
そんな、恐ろしくおぞましく──僕のちんぽに、都合のいいことなんて、本当にあっていいのだろうか。
「……お、日が差してきたぜ。ここらはだだっ広い平原で、どこも日当たりがいいから、暮らすにゃもってこいだ。作物もよく育つし、水もあるから食料が安い」
女性は、ひとしきり僕の方を見て笑うと、また元の場所に座り直して、脚を組み窓枠に肘をつく。
今まで見えなかったマントの下には、どうも薄っぺらく無防備な、安物のシャツを着こんでいたらしい。
ただでさえ布地が薄く、おまけに乳肉のせいで胸元の生地が伸びきっているため、汗でぴたぴた張り付いたシャツが、あからさまに乳の形をくっきり浮き出させていて、裸よりもよっぽど卑猥だ。
日に焼けていない、真っ白な白玉色の肌は、一見するとシャツと同じ色に見えるけれど、よく見れば健康的な血色の良さが浮き彫りになっており、乳肌の色まで透け透け。
言うまでもなく、乳房の中心には、誰が見たって分かるほど、くっきり乳首の形が見える。
どうやら彼女は、乳肉に脂肪を蓄えすぎているせいで、乳首が肉に飲まれて奥に押し込まれている、陥没乳首らしい。
──見れば見るほど、そりゃあ盗賊でなくたって、こんなものを下着にしていれば、厚手のマントで隠すに決まっていると思うような、馬鹿みたいな露出度だ。
ブラジャーすら着けず、言い訳みたいに一枚だけ羽織ったシャツは、首元がざっくり空いているため、深すぎる谷間が丸見え。
そんな無防備なシャツの下で──ふるふる、ふるふる、呼吸に合わせてたぷついているのに合わせて、目線が右往左往。
自分の置かれている境遇や、現状への疑問も全て忘れて、おっぱいを目で追う以外のことができなくなる。
──そうだ、この光景を、僕は一度だけ、見たことがあったのだ。
すっかり忘れていたけれど、そうだ。
本来ここにいるはずの盗賊の男を、ミステリアスな魅力と暴力的な発育が目立つ、この白髪の女性に置き換えたオープニングを、僕はいつしか、この目で見た。
そう、老練で渋い魅力を持った男の盗賊を、こんな抜き目的のエロゲーにしか出ないような、現実には絶対に存在しない、あり得ないド爆乳とくびれを両立した、オナペット女に仕立て上げたのは──他でもないこの僕だった。
「なあ、どうせお前さん、田舎から来たんだろ?王都に着いたら驚くぜ、見渡す限り人ばっかりで、ギルドなんて脚の踏み場もありゃしねえ。辺境の農村なんかとは、活気が違うってなもんよ。ま、人が多すぎてむさ苦しいのは、玉に瑕だけどな」
彼女の乳肉は、あまりにも、あまりにも大きすぎる。
両手を使っても、片房も持ち上げられるかどうかというほどの、迫力満点な巨大さと重さを、正確に例えるなら──水を5リットルは入れた水風船、といったところだろうか。
よくもまあ、こんな大きなものが隠せていたなと思うけれど──同時に、こんなに柔らかく、力を入れれば素直に潰れてくれるものなら、隠せもするかと納得する。
時折、彼女自身の腕が乳にぶつかった時、ぷよんと腕の形に凹むのを見て、なおのことそう思った。
けれど、そのくせ乳肌にはハリがあり、グミのような弾力も持ち合わせているのだから、その揉みごたえは想像するだけでちんぽに悪い。
あの、人間の頭より大きな乳の塊に、頭から飛びついて、両腕で思いっきり揉みしだきながら、甘臭く群れた乳の匂いを、肺一杯に吸い込めたらと、そう思わずには居られない。
ただでさえ、その乳は見るからに、殺人的に重い。
あんなものを思いっきり叩き付けられたら、僕の首なんかはぽっきりと折れてしまうんじゃないかと思うほど。
その上で、オスのちんぽに媚びを売るような、圧倒的な柔らかさを湛えながら、女性の乳は白くぴっちりしたインナーの中で、ばるんばるんとうるさく揺れている。
一瞬、さすがにニセモノか見間違いかとも思ったけれど、あんなに真っ白くて、つきたての餅みたいに柔軟なくせに、潤いのある熟れた果実のようにぷるっぷるなもの、女性の柔らかな脂肪以外に何も思いつかない。
視線も思考も、目の前に突然現れた、乳肉の塊に釘付けになる。
それほどに、彼女の乳肉には、オスを惹きつける引力があった。
──つくづく、性欲をそのまんま絵柄に塗りこめて、性欲だけでストーリーを考え、性欲のままにセリフを喋らせる、ちんぽを気持ちよくシコるための、下品なエロ漫画のような体型。
無垢な青少年が見たら、あまりにもちんぽに理想の女体像を深くちんぽに刻まれて、もう二度と三次元の女性を孕ませられなくなる、十八禁の絵──目の前の女性は、その中からそのまま飛び出してきたような体格をしている。
目の前で、実際に息をしている女性に対して、あまりにも失礼で不適切な表現だ。
だが、その表現は、どうしようもなく正しいのだ。
何せ、この人は──”性欲だけを詰め込んで、ちんぽから精液を抜くためだけの、エロ漫画からそのまま飛び出してきた”。
言葉通り、そうなのだから、仕方がない。
「……んあ、何だその目は。俺の言うこと、疑ってやがんのか?」
彼女は、そんな僕の目線に気がついたのか、じっとりと眼を細め、僕を睨み返す。
反射的に、慌てて眼を逸らすけれど、もう遅い。
もはや、彼女の身体をじろじろと眺めていたことは、言い訳のしようもなく、確実にバレている。
言うまでもないが、初対面の女性の身体を、性欲の籠もった視線で眺め倒すなんて、失礼極まりないことだ。
例え、その女性が──暖かな温度やじっとりとした湿度すら感じる、ふくよかな乳の谷間を、惜しげ無く自分から晒していたって、真っ白くてもちもちとした、甘え甲斐のある太腿を見せつけていたって、関係はない。
むしろ、そんな言い訳をする方が、痴漢しているくせに被害者のせいにする男のようで、余計にタチが悪いだろう。
もちろん、言い訳をするつもりは、僕にはない。
──そんなことを、する必要がないからだ。
にやついた顔のまま、自慢の爆乳を誇示するように、ぐっと胸を反らし、偉そうに足を組んでいる彼女の目を、じっと見つめ返した。
視線を引いて見てみると、長いマントに隠れていた、彼女の全身がよく見える。
僕は、まずその山のような乳房に目を奪われてしまったけれど──尻や太腿の肉も、見れば見るほど、絶品だ。
むっちりと潰れている分もあるけれど、乳房の巨大さに負けず劣らず、どっしり深くて、横に広い。
骨盤の横幅と、安産型の肉付きを感じずにはいられないほど、分厚くてむっちりしている。
もう、目の前の女体に見蕩れて──言葉が、浮かばない。
僕が知っている、あのゲームの世界は、本来はこんな、こんなものではなかった。
あれは、硬派なゲームだったのだ。
基本的に、出てくる人間はむさ苦しいおじさんばかりで、若いイケメンの男すら多くはいない。
女性のキャラクターと言えば、魔法使いか村にいるNPCくらいのもので、戦闘をするにしても強くはないし、はっきり言って、可愛げのあるグラフィックでもなかった。
けれど、今目の前にいる、白髪の女性は──男なら誰だって一目惚れするぐらい可愛くて、美しくて。
そして何より、RPGではなく抜き特化のエロゲーに出てくるべととすら言えるぐらい、下品におっぱいがでかく、性欲を煽り立てるようにケツもでかい。
それでも口調は男っぽいまま、ざっくばらんな態度で、油断しきった体勢を取るのだから、なおのこと質が悪い。
半端に元のキャラと動きが同じせいで、女性なら警戒して当然な、例えば下着が見えてしまうとか、胸の谷間を晒してしまうとか、そういったことに無頓着すぎて、目のやり場に困ってしまう。
──そう、彼女は自分のことを、男だと思っているのだから、それは仕方のないことだ。
そこを変えるのは、あまりにも手間がかかりすぎたから、僕は確かに手を付けていない。
「かかっ、お前さん、よっぽどの田舎から出てきたと見えるな。まあ見てろ、そろそろ来るはずだからよ」
からからと、女性が笑う。
こんな薄着の服を着ながら、大股を開いて肉付きのいい肢体を惜しげ無く晒す、極上の肉体を持つ美女と、二人っきりの密室で過ごすというのは、嬉しいけれど居心地が悪い。
気風良く、盛んに話しかけてくれるのは嬉しいけれど、どうにも馬車の中は狭くって、目線の逸らしようがない上に、換気が悪くて空気が籠もる。
藁の乾いた匂いに混じって、おそらくは彼女の体臭と思しき、オレンジのように爽やかだけれど甘い香りが漂ってきて、余計に意識を持って行かれる。
どっぷんどぷんと、荷台の揺れから一拍遅れて、重たく柔和に弾む乳肉。
まともな欲を持った男なら、誰でも当たり前に誘惑してしまう情景を見せつけておいて、何の警戒もなく、隠そうともしない油断っぷりを見せて、苛立ちにも似た性欲がむらむらと沸き上がる。
彼女の態度はまるで、男を男として見ていないというか、そもそも自分が女性だと自覚すらしていないような、自分の身体に途方もない性的魅力があることを理解していないような。
へらへらと笑いながら、おっぱいをだぷだぷ上下させ、乳汗のフェロモンをまき散らしながら──警戒心のかけらもなく、蒸れた谷間に風を送るように、ぱたぱたシャツを煽り、乳肉をますます揺らして見せるのだから、もう堪らない。
不躾と分かっていても、目を逸らせない。
必死に勃起を隠しながらも、喉を鳴らし、血走った目で、彼女の身体を上から下まで舐め回すように眺める僕は、もう言い訳のしようもなく痴漢魔だ。
──でも、もしも、僕の考えていることが、真実なら。
それらの懸念は、全部、全部覆される。
目の前で爆乳をどっぷんどっぷん揺する、こんなどうしようもなく美しい女と、馬車で二人っきりのまま過ごさなくてはいけないのも。
視線を女体に釘付けにして、いやらしく女体を目に焼き付ける、どうしようもない痴漢魔として、彼女に嫌われることも。
僕の想像通りなら、そのどちらも、あり得ない。
「……お、噂をすれば、だな」
突然、馬車が行進を止める。
まだ、王都に着いた訳ではない。
これは、原作にもあったイベントだ。
盗賊さんは、外をちらりと見てから、またいそいそと革のマントを羽織り、ベルトを苦心して嵌めている。
さっきみたいに、また手伝ってくれるか、という盗賊さんの軽口に、僕は何も返せない。
どくん、どくんと、心臓ではなく下半身が脈打っている。
血が送られるたびに、ちんぽが酷く勃起して、へその方に向かって、先走り汁を吹きながら、跳ね上がる。
あまりに気が動転して、ふ、ふーっ、ふっ、ふうーっ、と、呼吸のリズムを定められない。
──原作の通りなら、王都に近づいたことで、冒険者である男たちが、この乗り合い馬車に上がり込んでくるのだ。
頑強な鉄板を何枚も張り合わせた、厚い鎧を着込む屈強なベテランの冒険者である彼らは、魔物の討伐を済ませた後で、王都に帰る途中だった。
そこで、たまたま王都行きの馬車を見かけて、相乗りをすることになる訳だ。
その時、主人公──つまり僕は、憧れの冒険者たち、それもギルドから討伐を依頼されるような、熟練の戦士たち前にして、彼らの顔を見渡す。
そんな僕は様子を見て、目の前のゴロツキが冒険者たちに話を振り、彼らの武勇伝やルーキーの頃の思い出話、伝説のドラゴンと魔王の噂を教えてくれる。
これから始まる冒険への期待を、最大限に高めてくれる、いいイベントだ。
幾多もの傷を顔にこさえながらも、悠然と自分の髭を撫でながら、若者に激励をかける、渋く気のいい戦士たち。
そんな彼らが、一歩間違えば死んでいた、危険な山場を超えた話を、仲間と共に楽しそうに語る。
冒険というものの苛酷さと、仲間がいることの心強さ。
ギルドでの生活を始めようとする僕に、彼らはそれを教えてくれるのだ。
「……ああ、四人で十二ゴールドだな。ほれ、きっかり」
記憶の通り、荷台にかかった幕の向こうで、四人ががやがやと会話する声が聞こえる。
やっぱり、セリフも何もかも、ゲームと同じだ。
だが、その声には一つだけ、原作と違うところがあった。
それは、誰がどう聞いたって、女の声だった。
──もう、胸が引きつって、呼吸すらうまくできない。
熱病に浮かされたように、顔を真っ赤っかにして、汗をだらだらと流しているのが、自分にも分かる。
ああ、もう、僕は。
膝の上で、ぎゅっと拳を握り込み、背中をぴんと伸ばす。
ただ、イベントが進むのを待つことしかできない、僕の耳に──ばさりと、荷台の幕をめくる音が、聞こえた。
「おう、先客がいたか。邪魔するぞ」
見なくても、分かる。
腕っぷしには太く筋肉がつき、腹筋の割れた戦士たちが、四人乗り込んできた。
体重と鎧、武器とバックパックに詰め込まれた荷物の分、ぎしりと重く、馬車の底面が軋んで、ぐらりと軽く、乗り込み台の方へと馬車が傾く。
「ん、見ない顔だな……さては、王都への出稼ぎか?」
乗り込んできた、その屈強な戦士に、ぽん、と肩を叩かれながら話しかけられて、僕は恐る恐る、そちらの方を向いた。
──ああ、やっぱり、と。
僕は、いやに静かにそう思いながら、染み渡るような極度の興奮に、深く深く、身震いを起こした。
その腕は、確かに屈強だ。
ぴかぴかの鎧も着ていて、いかにも熟練の冒険者といった風情がある。
戦闘で鍛えられたのか、体格は抜群に優れていて、例えば僕がその身体に全力でタックルをぶつけても、体幹をぐらつかせることもできはしないだろう。
全て、真実だ。嘘をついてはいない。
腕は屈強だ──女性にしては、という枕詞がつくが。
ぴかぴかの鎧を着ている──身を守るためではなく、引き締まった肉体美と、メリハリの効いたデカチチを誇示するための、乳首と股間を隠しているだけの、痴女みたいな金色のビキニアーマーを。
体格が立派だ──白髪の美女と同じく、身長が高くて下半身が牛のようにぶっとくて、確かな筋肉の上に脂肪が厚く乗っており、体重が重そうという意味で。
その戦士もまた、元のキャラクターとは似ても似つかない、爆乳女になっていた。
いかにも強気そうな釣り目が特徴的な、端正で格好いい顔立ちは、女性からも黄色い声を上げられそうな、男性的な美も纏っている。
けれど、首から下はやはり、重たく弾むむっちむちのデカパイに彩られ、顔立ちと全く不釣り合いだ。
「リーダー、ラッキーだったな、こんな所で馬車を拾えるなんて」
後ろから、声が続く。
凛とした声に、甘いマスク。
目元にある刀傷が、特有の色気を醸している、二人目の戦士──当然のように、130センチはありそうな、牝牛じみた乳をぶら下げた女が、ずけずけと上がり込む。
一段と、空気が甘ったるく匂い付いた気がする。
くらくらするほど、雌の匂いが濃い。
唖然と座ったまま、その女戦士を見上げる。
馬車の荷台は、僕が立っても天井までは余裕がある程度にはスペースがあるが、件の女戦士たちは、屈まないと入れないようだ。
二人と比べれば、僕の身長はまるで、十に届くか届かないかの少年。
大人と子供ほどの体格差と、甘えたい欲望がむくむくと湧き上がる、母性的な女体に脳みそが溶ける。
ぐい、と女たちを押しのけて、後ろからまた、二人の女。
スカートなんか履いたら、肉が後ろにせり出しすぎて、パンツが丸見えになるんじゃないかというほどの、デカケツ女が上がり込む。
紐が埋まって見えなくなるほど柔らかく、横乳にビキニアーマーを食い込ませて、媚びるように柔乳からフェロモンを振りまく女たちに、眩暈がする。
気が付けば──車内は満員だ。
本当なら、十人は乗れてもおかしくないけれど、なまじ乳がでかくて場所を取り、腰がぶっといせいで座席を巨尻が埋め尽くしてしまうから、もうこれ以上は入れない。
と言うより、もう肉がところどころぶつかって、乳がひしゃげている。
僕は、狭い水槽に閉じ込められて、上からスライムを流し込まれているような、そんな錯覚を覚える。
もう、掻き分けても掻き分けても、僕は馬車から降りられない。
むんわり蒸れて完熟した、雌の淫肉に埋め尽くされて、座っているだけでも、縮こまっていないとデカ乳にぺしゃんこにされてしまいそう。
手をかければ、どこまでも指が沈んで、むっちり跳ね返してくれる、至高の特濃雌脂肪に溺れかけるなんて──そんな贅沢な状況、有り得るのだろうか。
いや、有り得るのだ、僕のせいで。
僕はようやく思い出した。
自分が、何をしでかしたのかを。
──そうだ、僕はこのゲームを、改変した。
片っ端から、ネット上にあるMODを入れまくったのだ。
女体化MOD。擬人化MOD。爆乳化MOD。巨尻化MOD。太ももサイズ変更MOD。立ち絵変更MOD。
ありとあらゆる手を使って、女性キャラも男性キャラも、見目麗しい二次元美女に変え、乳をでかくして尻を肥らせ太ももを厚くし──この世界にいるキャラクターを、一人残らず、こんな体型に変えた。
もう、虱潰しに、顔を良くした。
MODに立ち絵が用意されているキャラは、それに差し替えた。そうでないモブキャラは、一人残らず好みのキャラの画像を引っ張ってきて、それに変えた。
もちろん、乳の小さい女性など、一人たりとも居ない。
どんな辺境にいるNPCだろうが、無限沸きするモンスターだって、擬人化して美女にして、乳を盛った。
それから、この世にいるキャラクターは、全員結婚できるようにした。
本来このゲームは、男と男では結婚できないのだが、この世界ではそれも無視して結婚できる。
何故なら、元男だろうが何だろうが、今は顔がよくて乳のでかい雌でしかないからだ。
また、当然モンスターとも結婚できるようにした。
オークもスライムも、ゴブリンもデーモンもドラゴンも、もちろん魔王もその側近も、全員余裕でメートル超えの爆乳を持った、見目麗しい雌になったからだ。
──僕は、エロMODというものを知ったから、ついちんぽの赴くままに、やりたい放題してしまったのだ。
今はもう、このゲームは本格的なファンタジーなどではない。
どこを見渡しても、どこに行っても、僕好みの豊満むっちむち美女しか居ない世界で、好きなように女を見繕い、結婚するだけのゲーム。
緻密な設定と骨太な難易度に支えられた、名作のRPGを──抜きゲー以下の頭の悪さをした、ちんぽを勃起させるためのゲームに、僕がこの手で貶めたのだ。
──そんな世界に、僕は今、転生した。
この星には、オスは僕一人だけしか存在せず、残る全ての生き物は、僕が声をかければ、ねだったままに結婚を了承してくれる、孕ませ甲斐のある女のみ。
一人も、男なんていない、世界に。
ひたすら、僕のちんぽにだけ都合が良くなるように、改竄されまくった世界に、放り出された。
藁の上に座ったまま震える僕は、ちんぽが脳みそを乗っ取ったような、そんな感覚に陥っていた。
「隣、座るぞ」
戦士はぐらつく車内を何の苦もなく歩きながら、ぐい、とこちらに身を寄せる。
時折尻が浮くくらい、馬車の揺れは激しいけれど、彼女の足取りがふらつくことはない。
惚れ惚れするほど、素晴らしい体幹だ。どっしりとお尻が大きく脚が太い、ボトムヘビーな体格だからこそ、下半身に馬力があるのだろう。
見るからにもっちりとふくよかで、柔らかみのあるまろやかな曲線を描いてはいるが、その脂肪の奥には相応の筋肉があるらしい。
──性的な視線を、抑えられない。
それほどに、グラマラスだけど引き締まっていてほしい部分は痩せている、砂時計のような彼女の身体は、男を惹きつける魔性を持っていた。
「んじゃ俺はこっち、失礼」
逆隣を陣取る彼女も、また唸る程凄まじい体型だ。
こちらの彼女は、全体的にむっちりと、腹にも健康的に脂肪を蓄えた、全身抱き枕のようなとろふわ肉質の、土偶みたいな身体をしている。
──ずしんと、音が聞こえるような威容だ。
僕の腰ほども太さがある腿肉は、ただ直立しているだけで、股の間でみっちりと隙間なく潰れている。
もったりと重たい、クロテッドクリームを思わせる匂いをした、雌肉がぷるつく艶々駄肉の柱。
それが四本、僕の眼前を取り囲むようにして、並んでいる。
一つずつ、味比べをするように、撫でまわしたい気分だった。
しかし本当に、巨大としか言いようがないくらいの、デカケツだ。
広すぎる骨盤と、そこに分厚くたっぷりと、不格好に見えないギリギリまで盛り付けられた脂肪のせいで、座るだけでも僕の倍は面積を取ってしまう。
もし彼女が、僕にちょうどいいサイズの、普通の椅子に座ろうとしたら、どう座っても尻の肉が左右にはみ出てしまって、上手く座れないだろう。
それこそ、ちょうどよく腰を落ち着けるには、丸椅子を二つ使って、尻たぶを片方ずつ乗せてやらないといけないくらいに、彼女らの肉はあまりにも豊満すぎる。
そんな特大ボリュームのヒップを、彼女らは僕の目の前に、ずんと突き出した。
言うまでもなく、僕の隣に座るためだ。
絶景、とも言える光景が、広がっている。
女戦士たちが身に着けているビキニアーマーは、金属の面積なんかほぼゼロに近く、局部をほんのちょっと隠している以外は、生尻を丸出しにしている。
珠のような汗が浮き、じっとりと艶めかしく濡れた、運動したばかりの、生々しい巨尻。
鎧の意味を全く成していない、まんこ隠し布の横から、むっちり肉の乗った女性器の土手をはみ出させて、僕の隣に狙いを定めている。
視界が、ほんのり赤ばんだ肌色で、いっぱいになる。
プラネタリウムで天井を見上げたら、いっぱいに夜空が浮かんでいるように──視界の端から端まで、むっぢんむぢんのオナホ肉。
思わず引っぱたいて、ぶるんぶるん波打たせてみたくなる、交尾専用の孕ませ女体が、こちらに向いている。
ひどく雌臭い匂いまで嗅がされて、空になったばかりの金玉が、ずっしり重く肥え太る。
──僕は、生唾をゆっくりと飲み下す。
そして、しばらく迷ってから、控えめにぽんぽんと、僕の隣の藁束を叩いた。
二人を受け入れて、ここに座っていいと、誘ったのだ。
下心が、全くないとは言わない。
いや、それが大半を占めていると言ってもいい。
その極上などという陳腐な言葉では語り尽くせないほど、あまりに極上すぎる二つの女体を、こんな間近で堪能できると言われれば、命を差し出したって、僕はそうするだろう。
馬車は、狭い。
一応、隣に座られても、どうしたって身体が密着してしまうということはないが、それでも顔に乳の体温が伝わるほど、近くに座らなければいけないのは確かなことだ。
色もサイズも感触も、そして匂いまで違う二つの爆乳を、目と鼻の先で、オナサポするようにみっとり揺らして貰うなんて、そんな贅沢はない。
それも、今までアイドルやら女優やらの写真で、いちいち大騒ぎしていたのが馬鹿らしくなるような、ため息が出る美女のおっぱいだ。
更に、それもただの乳ではない。そんじょそこらの巨乳なんかとは違う──二人合わせたら、ともすれば3メートルにとどくんじゃないかというほどの、クソほどでっかい乳肉。
乳脂肪のキメまで細やかすぎる、揉みごたえも蕩け加減も抜群の、ふわとろ生クリームおっぱいなのだから、もう。
顔を真っ赤にして俯いたまま、気持ち身体を縮こめて、なるべく両隣を開ける。
その態度からして、もはや僕は『貴方の女体に興奮しています、そのデカパイに犯されたくて堪りません』と、口に出さずともそう白状しているようなものだ。
もし隣に腰を下ろせば、もう死んでもいいからと、思いっきり乳肉を鷲掴みにして、指の隙間に乳肉が満ち溢れる感覚を、じっくり堪能されてしまうに決まっている。
ちょうど顔のあたりにある乳肉に、おもっくそ頬ずりをかまされて、乳肌にちゅぱちゅぱ吸い痕を付けられ、これは僕のおっぱいだと、卑しく自分勝手にマーキングされるに、決まっている。
僕なら、そんな席を差し出されても、立っているからいいと断るとか、座りたいからと仲間に譲るとかして、絶対に座ろうとはしないだろう。
だが、それを見た、二人は心得たように頷いて、そのまま僕の間近に、腰を下ろそうとして──途端、もう二人の女戦士さんたちに、ぐいと肩を掴まれどかされて、席を奪われかける。
見つめられるだけで、心の奥底から魅了されそうな、アメジスト色の瞳の、双子の高身長エルフ。
わざわざ言うまでもなく、脂のたっぷり乗った尻肉を揺らして、じっとりと濡れそぼった視線を向けてから──また二人に突き飛ばされ、席を奪われる。
それを何度か繰り返してから、やっと渋々双子のエルフたちが身を退いて、向かいの白髪の盗賊さんの隣に座ることに決まった。
二人の女戦士は、むふんと満足気な顔をして、ちらちらと僕の方に、熱い視線を送る。
──ぞくぞくと、悪い快感が身を包む。
確かに今、彼女らは、僕の隣に座るという権利を得るためだけに、取り合いをしていた。
誰もが羨むような、スタイル抜群の美女たちが、あからさまにデカパイにセクハラをかましてきそうな、僕の隣に座って、悦に浸るためだけに。
また、思い出す。
そう言えば、そんな機能も入れていたかもしれない。
この世界の住人は、無条件で僕への好感度が最大になる──つまり、結婚を申し込めばすぐ了承してくれて、いつでも子供を産んでくれるくらいには、僕のことが大好きになるという、チート。
それも、同じく適用されているとしたら──もう、滅茶苦茶だ。
今から僕が、やおら立ち上がって、ここにいる全員にいちいち抱き着いて、尻に顔を埋めながら太ももにへこへこと腰を振ったって、誰もそれを拒否しない。
この世界にいる人間は、いつ何時であろうと、どんな相手であろうと、好きなように甘えていい。
十年連れ添ったラブラブな妻にそうするように、初対面の人間に交尾をおねだりして、乳を揉みたくりながら子宮に種を仕込みまくっていい。
その辺を歩いているモブも、偉い聖騎士様も、怖くてアウトローな殺し屋相手だって。
──もし、PCにあるセーブデータの通りなら、この世界は、そんな倫理もへったくれもない、僕のちんぽのためだけにある楽園だ。
でも、それはあくまで、ゲームの中だから、加減せずそんな真似ができるのであって、それが現実になったとしたら、話は違う。
いくら何でも、そこらで歩いている魔物や人間を、勝手に捕まえてお嫁さんオナホにしていいだなんて言われても、はいそうですかと了承できる訳がない。
この人たちも、今はデータの存在なんかではなく、ここで確かに呼吸をして生きている、れっきとした意思のある人間なのだ。
駄目だ、こんなの。
こんな世界に居たら、頭がおかしくなる。
元々、このゲームは硬派なファンタジーなのだ。
それを狂わせたのは、他でもない僕なのだから、僕にはそれを治す責任があるだろう。
少なくともこのまま、この人たちの好感度を無理やり弄くって、僕のことを好きになってもらうだなんて、そんな洗脳じみた行為は今すぐにやめるべきだ。
身震いを起こしながら、やっぱりこんなのはいけない、僕はここで馬車を降りてやると、そう意気込んで立ち上がろうとしたその時。
──もっ……ちりと。
全身を上から抑えつけられて、洗ったばかりの真綿のクッションを、思いっきり抱き潰した時のような、至福の柔らかさが、頭から腹から腰にまで、全身に広がった。
うっとりと、震えあがるような身もだえが、ひどく濃ゆい肉感に潰れて、消える。
それから、女の匂いが身体中に広がって──僕はようやく、立ち上ろうとした身体ごと、彼女らの重たく巨大な尻に、のしかかられ挟み潰されたのだと、そう気が付いた。
確かに、二人が余裕を持って座れる程度の、隙間はあったはずだ。
だが、女戦士達は、僕に身体を押し付けるかのように、尻肉が僕の身体に乗るほど密着しながら、藁の上に腰かけたのだ。
なんで、どうして、離してよ──という悲鳴すら、ほんの少しも上げらないほど、ねっちり雌肉で練り潰されて、腰ががくがくと震える。
丸太みたいに太ましい、ぶっとい二人の股肉が、僕を縛り付けるように挟んで犯す。
広い骨盤に塗りたくられた、至福の贅肉が、硬い座席で扁平に潰れて、これまた僕の腰をがっちりとホールドする。
腕は後ろに回したまま、二人の重たい背中に縫い付けられて、自由に動かすことができない。
そして──首から上は、どっぷんどぷんと、身体のラインを優に超えて、横にはみ出たなまちちに、きつぅくプレス。
抱き潰す。両腕をいっぱいに広げて、腹肉も乳肉も、全部抱く。
モノにする。僕のものだと全身で表明するように、性欲たっぷりに無茶苦茶に抱き着いて、とにかくオスの欲望を満たしてやる。
心の奥底で渦巻いていた、そんな浅ましい欲望を──はいはい、だったらそうしてあげますよ。どうせすぐに、泣きながらちんちん辛いですって、喚きながら謝るくせに、と鼻で笑うかのような、尻肉圧迫天国。
ただ、僕を挟み込む形で、密着するように座られるだけで、生意気なこと考えてごめんなさい、もうおっぱいやだ、ふともも怖いと、ちんぽに分からせられる途方もない肉感に、屈服する。
ほんの今まで、身の程知らずに孕ませたがっていたくせに、ちょっと尻肉に踏み潰されただけで、もう謝って、逃げ出したくなっている。
マゾオス、ばぁーか。
そんな嘲るニュアンスがあったかどうかは知らないが、二人は示し合わせたように、腰をほんのちょっとだけ持ち上げ、また潰すようにむぎゅりと尻を振り下ろし、ぐりぐりと腰を塗り付けた。
──さっきからずっと、思っていたことがある。
どうやらこの人たちは、まだ自分が細身の男だと勘違いしているから、距離感を分かっていない。
身体が触れない程度に、ちょっと距離を取っていても、その胸にはスイカよりも大きな乳がついているから、もっと離れないと乳肉がぶつかるという事が分からないのだ。
尻もそう。ちんぽをすんなり咥えこめるよう、広く幅を取る骨盤に、ぶっとく皮下脂肪をこさえているせいで、やたらと尻肉が幅を取っていることが分かっていない。
だから、普通に座ろうとしても──こんな風に。
プレス機が巻き込み事故を起こすように、小さな男の子を、雌肉で挟み潰していたって、気づかない。
む゛う゛、む゛う゛、と必死に呻いて、乳肉の隙間で助けを求める。
頭をみっとり、しつこく柔らかい、スライムおっぱいににゅりにゅり舐めずり回され、許容量を超えた快感に喘ぎ散らかす。
それでも、乳肉の層はあまりにも分厚くて、絶叫したってほんの少しも外に声が漏れたりはしない。
汗臭い──もとい、やたらと甘ったるい、ショートケーキみたいな匂いがする、雌臭いおっぱいの匂いを、必死になって肺いっぱいに吸い込む。
吸い込む度に、脳髄を媚薬漬けにされるような、知能も何もかも精液に溶けてしまう快感に、思いっきり喘ぎ声を上げて、必死になってかき集めた酸素を、おっぱいに全部奪われてしまう。
そうしたら、また一ミリの隙間もなく僕の頭を包み潰す、いじめっ子おっぱいの間で、フェロモン99%、空気1%の気体を夢中になって吸い込み、おっぱい中毒になる。
それを、ただひたすら繰り返していた。
「…………ぅぃゃ……………………って話が………………聞いたことが…………」
「ぁぁ……………………の外で………………山の…………穴に……………………」
女体の檻の外では、何か途切れ途切れに、話声が聞こえる。
凶悪な快感に、知能をすっかり溶けさせられている僕を、まるっきり無視して、皆は何かを話しているのだ。
──ぁ、と心が折れる音がする。
今までずっと、皆は基本的に、イベントの通りに動いて、セリフを話していた。
多少のイレギュラーはあるようだが、基本的には僕の行動に関係なく、ゲームでプログラムされていた通りに動く。
元々、これはゲームの世界なのだから、仕方のないことだ。多分、ちょっとやそっとの事では、覆せないことなのだろう。
だから──何とか、誰かに助けを求めて、おっぱいの下から抜け出さないと、僕はずっとこのまま。
馬車に乗らされている間、延々とこの乳肉に蒸しあげられて、みちみちの下半身に磨り潰され続ける。
僕は恐ろしくなって、無我夢中で、何とか気づいてもらおうと、身体をめちゃくちゃに振り回して助けを求めた。
もちろん、腰も尻肉に抑えつけられ、腕は腰の括れに絡め取られて、自由に動かせる部分なんて一つもない。
それでも、僕は脚をばたつかせ、二人の太ももに、僕の細くて頼りない脚を擦り付ける。
それから、腕も何とか背中の隙間から伸ばし、腰の括れに這わせて、どうにかこうにか、腰を抱き寄せるぐらいのことだけはできるように。
とにかく、必死になって、身体のありとあらゆる部分を、振り回した。
まずは、脚。
何とか、隣にある太腿の上に乗り上げて、恋人つなぎするみたいに脚を絡めて、内腿をぎゅっと噛みしめるように絞めて──あっあっ、太腿ぶっとい、内腿死ぬほどもっちもち、すべすべすぎて力抜ける──。
それから、腕。
すべすべと、交尾前に女体を品定めするように、くびれた腹肉を撫でまわし、くすぐって、時に強引に抱き寄せて──あ、あ、この女体マジで孕ませたい、腰つきえろすぎ、脳みそぷちぷち潰れる──
女体の隙間で、足掻けば足掻くほど、僕は勝手に自滅女体オナニーをさせられて。
う゛♡う゛♡と喘ぎながら、腰を仰け反らせて、ぷるぷる首を振れば──熟れた果実みたいに、ハリに溢れた極上の乳肉に、思いっきり往復ビンタされるように、頭をおっぱいでシェイクされて、あ、これやば、頭おかしく、あ゛♡あ゛♡あ゛~~~っっ……♡♡♡
「………………そういや……………………ってのが……………………」
「から北に………………村が………って……………………………………」
どっぴゅ、ぴゅるる、びゅるるん……。
頭の中で、空しく射精音だけが響く。
誰が、何を言っているかも分からない。
ただ、おっぱいがじっとりと蒸し暑くて、雌肉がへばりついて、僕の神経を甘ったるく苛む。
誰も、僕が空イキ射精に苦しみながら、びゅくびゅくと腰を悶えさせていることになんか、気づかない。
多分──これも、女体化のせいだ。
さっき盗賊さんの胸に飛び込んだ時も、そうだった。
おっぱいも尻も腰も、元のキャラクターの体型とは全く違うから──何か、当たり判定のようなものが狂って、触れられても分からないのだ。
だって、元々そこには何もないのだから。
何もない、虚空を触られているようにしか、彼女らは思わないのだろう。
がたがたと、馬車は揺れている。
車輪ががたつく度に、乳肉が僕の頭を挟みながら、上下にずぅりずぅり舐め回してきて、しつっこく顔面をパイズリされ続ける。
そのたびに味わわされる、脳みそが直接イくという、危険な快楽。
これを味わったら、もう二度とまともな人生が遅れなくなるような、麻薬じみた絶頂に、何度も何度も心が折れるような気分を味わう。
この天国から解放されるまで、あと何分?それとも何時間?
脚をねちねち絡め、必死に腰にしがみつきながら、僕は一秒でも早くこの天国から解放されることと、一秒でも長くこの地獄に浸っていたいということを、同時に思う。
「……………………って…………ああ………………」
「……いや…………らしい………………………………」
──冒険は、まだ始まってすらいない。
ゲームで言えば、これはオープニング。
全部見ても五分ぐらいで、スタートボタンを押せば、一秒で飛ばせるような、ほんの短いものでしかない。
何かを操作することもなく、片手でおやつでも食べながら、コントローラーを置いて、ぼんやり眺めている程度のイベントでしか、ないのだ。
だと言うのに、僕は巨大な乳肉の塊に埋もれて、もっちもっちと太ももに咀嚼されるのが、辛くて辛くて、幸せで幸せで堪らなくて。
すりすり、すりすり、身体が勝手に、母性まみれの二人の女体に甘え倒し、身悶えの代わりに脚をたっぷり二人の下半身に絡め散らかして、どぷ、どぷ、どぷ、と壊れた蛇口のように、触ってもいないちんぽから、精液を吐き出し続ける。
──これは、僕のせいだ。
僕が色んなものを弄ったせいで、彼女らは僕のちんぽを狂わせて、マゾ性癖を植え付ける、快楽中毒必至のきつぅい雌肉拷問をかましていることにも気付かない。
普通に暮らして、普通にコミュニケーションを取っているだけで、僕のちんぽはこれから一生、こんな風に乳肉に無理やり幸せにされすぎて、弓なりに背筋を反らしてイキ狂うことになるのだろう。
この世界では、きっとこれが、当たり前のことなんだ。
オスを押さえつけ騎乗位レイプをするための、下半身にどっぷり肉をこさえた、孕ませ欲求を引き立てる雌に踏み潰され、精液をぶびゅぶびゅ漏らしながら、必死にもがくことしかできない、そんな人生が待っている。
脳みそをぐっちゃぐちゃに掻き乱す、処刑じみたレイプをされていても、誰にも気づかれずに幸せになることしかできない。
そんな予感を植え付けるには、十分すぎるほど十分な、旅の始まりだった。
馬車が、左右に跳ねる。
その勢いで、隣にいる二人が、身体を僕とは逆方向にを倒して──むちゅっ……ぱ♡としつこく吸い付くキスみたいに、乳肌を名残惜しくもちつかせながらも、ようやく乳肉を頭から離してくれる。
ぷは、と吸い込んだ新鮮な空気は、何だか苦いような味がした。
今まで吸うことを許されていたフェロモンが、べとべとの水飴みたいに甘ったるかったせいで、空気さえも苦く感じてしまうのだ。
早く、早く逃げ出したい。
もう気持ちいいのは十分だ。とりあえず、どこか一人になれるところへ行きたい。
これ以上、豊満にもちつく身体に潰されて、雌の悦びをめいっぱい叩き付けられたなら──もう、人間に戻れなくなる。
それ無しでは生きられなくなって、もう二度と、この世界から離れられなくなる。
もう、永遠に──この楽園世界に、閉じ込められたままにされてしまう。
そんな思いをぶつけるみたいに、へろへろに枯れきった声で、乳の隙間から──たすけて、だして、と声を出そうとする。
すると、その一瞬。
乳の隙間から見えた、正面の盗賊さんの目が、僕とばっちりと合って。
明らかに、僕が快楽中毒に陥る様子を見て──にやあ、といやらしく目を細め、口の端を釣り上げた。
──え、と小さく声が出る。
しかし、その一瞬後には、弾んで戻ってきた乳肉が、どっ……ちゅん……♡と容赦なく僕の頭を叩き潰し、また蒸し暑くて甘ったるい、雌肉牢獄の中に放り込まれる。
その隣、エルフの双子たちは、全く僕に気が付いていない様子だったのに。
盗賊さんだけは、どう見ても僕に気づいていて──でも、助けを呼んでも、全く無視されている。
彼女だけは、意図的に、僕が快楽漬けの雌肉廃人になることを、楽しんでいる──。
そもそもにやけ面がデフォルトの彼女が、たまたま僕の方を見て笑ったぐらい、偶然あることだとも思うかもしれないが、そうではない。
その瞬間の彼女の笑顔は──まるで、ベッドの上の恋人を、あられもなくイかせた後、潮を吹いてぐったりと寝ころんだところを見るような、あからさまに粘っこいもの。
今までに見せた笑顔とは、全く種別が違う、性的な感情が込められた視線だった。
それが、何を意味しているのかは分からない。
と言うよりも──もう、脳細胞がぷちぷちぷちぷち、しつこくしつこく丹念に、乳肉にズリ潰されて、何かを考えるということができない。
僕の脳みそは、雌肉の犯されて、脳内麻薬をどばどば排出するだけの、役立たずでしかない。
早く、もう何でもいいから、この女体でできたアイアンメイデンから、出してほしい。
でないと本当に、ちんぽがおかしくなって、むっちむちの女体に潰されることだけが生きがいの、乳肉のペットにさせられてしまう。
この世界から脱出するどころか、冒険が始まる前に、ちんちんが終わらせられてしまう──。
「………………でよぉ…………いい稼ぎが……………………」
「へぇ……………………が好きでさ………………………………」
──馬車が目的地に到着するまで、あと二時間と四十五分。
その間、僕が太ももと乳肉の隙間から、抜け出せることはなかった。