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催眠電波という代物がある。
それは多くの場合がただの眉唾で、多少は意識を微睡ませもするだろうが、当然ながら深層にまで届くようなものではない。
だが、その研究は依然軍事利用を主たる目的として現在も続けられていた。
催眠によって通常と異なる常識を植え付けたり、一時的な健忘状態を作り出すことができたのならそれは軍事目的において絶大な優位をもたらすことは明白だからだ。
そしてある大国が、催眠電波を発生させることのできる端末装置の、そのプロトタイプとも呼べるものを作り出してしまった。
「へへ、へへへへへ……!これが……これが噂の催眠スマホか……!これさえあれば……!」
日本においては胡散臭いB級ゴシップ誌のネタとなる程度の知名度でしかなかったものを真剣に信じて調べぬき、とうとうその現物にまでたどり着くこととなった一人の少年。
昨年に両親を飛行機事故で亡くし、その保険金と遺産でもって一人暮らしをしながら高校へ通う一人の少年は、その豊富な資金によって研究員が小遣い目的で横流しをしたプロト催眠スマホを購入するに至った。
両親を失ったことからの逃避か、あるいは単なる思春期のもつれか、卑しい笑みを浮かべながら催眠スマホを眺めるこの少年の目的は……
「拝んでやる……!拝んでやるぞ……!生の……クラスメイトの……!」
「おしがまに悶える姿をな……!」
今、軍事兵器にもなり得る最新技術の結晶を全力でスケベ目的に用いる少年の色欲が牙を剥く。
9:00
一日かけて催眠スマホの扱いをマスターした少年は、野望成就のために学校へ登校していた。
ホームルームの後、朝の始めの授業を受ける彼は教科書の陰でこっそりとスマホの画面を眺めていた。
昨晩のうちに研究を重ね、把握することのできた催眠スマホの機能は主に3つ。
対象への嗜好性催眠暗示電波の照射
蚊程度のサイズの小型ドローンによる対象の追尾
ドローンからの電波照射による対象の体調管理
である。
この催眠スマホはその性能を十全に発揮するために、本体のほかにAI制御で相手を追尾する超小型のドローンとのセット運用が推奨されているのだ。
この小型ドローンによって対象のモニタリングを可能としたり、本体から放つ催眠電波の仲介も可能となる。多機能型アシスト装置である。
その多機能アシスト装置である小型ドローン、文字通りに小さな虫程度の大きさでしかないそれの張り付く相手こそ、今回のターゲットであるのだ。
教室のちょうど中心辺りで板書をとる、まじめで清楚なイメージを抱かせるおとなしげな少女。目視することは難しい小型のドローンがまとわりつく少女の名は「宮崎 萌花」
クラスにおいてはあまり目立つ存在でこそないものの、一部男子の間で知られざる可愛い子として密かな人気を博している彼女に、変態の毒牙が迫る。
「……………………」
かりかりとノートに記入しながら、微かに身を捩らせる仕草を見せる萌花。それはただ一人の男子を除けば気にも留めないような些細な動作。
しかしそれは、彼女の体内である感覚が大きくなっていることの何よりの証左であるのだ。
最初からターゲットとして定められていた彼女は、もう今朝からドローンの監視下にあった。催眠電波の中継装置としても機能するそれは、寝起きの彼女を既に催眠下においていたのだ。
ある特殊な波長の電波によって脳の神経電流を乱し、それを以て対象の行動をある程度制限することを可能とする催眠スマホ。その支配によって彼女は「トイレに行く」という思考をできないように操作されてしまった。
当然朝のトイレを済ませていない彼女の尿意はそのまま、学校に持ち越されている。その状態でどれだけ長く耐えられるのか。
歪んだ欲望のはけ口として選ばれた少女の受難が始まった。
宮崎 萌花(ミヤザキ ホノカ)
催眠レベル 1(軽い健忘程度)
催眠開始から11時間経過
少々の発汗 心拍数の上昇を検知
体調 良好
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12:00
チャイムの音と共に迎えたお昼休み。給食を採用していないこの学校では、生徒たちはそれぞれの持ち込んできた昼食を食べる。
そんな憩いの時間にあって、それどころではない生徒がいた。
「…………っ」
(お腹……苦しい……!トイレ、トイレぇ……!)
授業が終わるなり弾かれたように駆け出し、早足でトイレへと向かっていく一人の少女。
なぜかこれまでずっと、尿意を覚えてながらトイレに行くことを「忘れて」きていた彼女は、今回こそはと強い決意を持ってトイレへ向かっていく。
催眠はその性質上、相手があまりに強い意志を持っている場合は効果を発揮しづらい。それは普通の催眠術であってもそうだし、神経電流に作用するこの催眠スマホにおいても変わりない。すなわち催眠スマホの影響さえも弾いてしまうほど強い神経電流を発していた場合には無力となってしまうからだ。
だがそこは最新軍事機器。その出力は生半可なものではなく……
催眠スマホのレベルが「2」へと引き上げられたその時、萌花の動きはぴたりと止まった。
(あ、ああ……!そうだった。おトイレは……ごはんの後に……しなきゃ……みんなに笑われちゃう……!)
(ごはんもちゃんと……よく噛んで……ひと口300回……)
(お行儀よく……しなきゃ……おトイレなんて……その後……)
催眠スマホが放つ神経電流阻害電波。すなわち催眠電波のレベルを引き上げ、これまでは「これからしようとしていることを忘れる」程度のレベルだったのが今度は「全く違う常識を植え付ける」レベルになったのだ。
それによって人の行動がどう変わるのか。人はその行動原理の多くを常識に支配されており、生真面目な人間ほどそれから外れることを嫌う。
ならばその常識を自在に操ることができたなら?それはその人の行動そのものを操ることと大差なくなるだろう。今起きていることはまさにそうしたことであるのだ。
つまりお昼ご飯もそっちのけでトイレに行こうとした萌花に対し「お昼も食べずにトイレへ行くのはマナー違反。ごはんもひと口300回は噛まないと人からバカにされる」といういびつな常識を植え付けることで休み時間内にトイレへ行くのがほぼ不可能な状態を作り出したのである。
おとなしく、人からの視線を気にする性格の萌花にとって、これほど覿面なものもないだろう。術中に墜ちてしまった彼女はまたもトイレに行けることなく、昼休みを終えるのだった。
宮崎 萌花(ミヤザキ ホノカ)
催眠レベル 2(中程度の思考介入)
催眠開始から14時間経過
中程度の発汗 心拍数の上昇を検知
軽度の多動性 呼吸の乱れを確認
体調 やや悪化
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14:50
「……ふ……ぅ、ふ……っ!」
(と……トイレ……!おしっこ……!あと……10分……!)
(はやく……はやく終わってぇ……!)
ぎゅう、机の下で強く強く前を押さえつけて、もはや板書どころではなく渾身で尿意を耐える萌花。
哀れにも昨晩から一度も排泄を許されず、体内で溜まりに溜まったそれは本来の彼女の限界容量を大きく上回っていた。
さらに常識への介入により、彼女の水筒の中身は利尿作用が高いとされる種類のお茶がなみなみ入っていて、彼女はそれをお昼休み中にすべて飲み干している。
もちろんこれも催眠の仕業であるのだが、それによって彼女の尿意は未曽有の高まりを見せていた。
午後の授業と言う、誰もが寝るか黒板に夢中になるかで周りに目をやっていない状況でなければ気づかれていたかもしれない。それほど彼女の我慢ぶりはあからさまになってきていた。
その尿意をもたらす根源。黄色い欲望で満ちに満ちた膀胱はぽっこりと大きく膨らみ、下腹部を押し上げる。
ぱんぱんに張ったそれを少しでも楽にしようと服のボタンを緩めてささやかな抵抗を繰り広げるが、もちろんそれも焼け石に水。すべての根源である尿意を解消しない限り、彼女がこの痛みから解き放たれることはない。
(お……しっこ……おしっこ……!こんどこそ……ぜったいする……!)
(といれ、はいって……ぱんつおろして、すわって……しゃーって、ぜんぶだすの……!ぜったい、こんどこそ、わすれない……!)
(おしっこ……おしっこ、おしっこ、おしっこ、おしっこ……!)
少女の頭を埋め尽くす「おしっこ」。このような状態では催眠も意味を為さない。
仮に今の彼女にも効くような催眠をしようと思うなら、その脳にもたらす影響も測り知れないものとなるだろう。もうこれ以上彼女に催眠をかけ続けるのは様々な観点から見て危険だ。それはこの催眠スマホがもたらすいくつもの情報からも窺い知れる。
故に少年が打った最後の策は、彼女を対象にした催眠ではなく……
とても規模の大きな、最後の嫌がらせであるのだ。
キーンコーンカーンコーン……
「あぁ、おわった……!おしっこ、おしっこぉ……っ」
思わずはしたない言葉を口にしながら、席を立ちトイレに行こうとする萌花。
だが席を立った瞬間、その動きがぴたりと止まり……
ぐりぐりとつま先で床を擦り、荒い呼吸を整えようと必死の努力を繰り広げていた。
もはや満水の少女の膀胱は、ささいな衝撃ですらも許されない状態なのだ。揺らさないようにそっと、そっと行くのでなければ危うい。
帰りのホームルームもそっちのけ、おしっこで頭とお腹をいっぱいにした少女がやっとのこと歩み出した廊下。そこには信じがたい光景が広がっていた。
がやがやと騒々しい話し声があちこちから聞こえ、広いとは言えない廊下をぎっしりと埋め尽くす人、人、人。
ずらりと並ぶその人だかりの先にあるのは、トイレ。
女子トイレからずらりと伸びて廊下の端まで埋め尽くす、順番待ちの列。
「………………うそ」
それを見た萌花は、絶望した。こんなものを待っていてはいつまで経ってもトイレに入れない。どう考えてもそれまで我慢できない。
そもそもなぜ、こんなにもたくさんの人がトイレに並んでいるのか?そこにはやはり催眠スマホの影響があった。
午後の授業が始まってから、少年はひとつの策を実行していた。それが「萌花以外の全生徒を操作する」ことである。
当然ながら萌花と同じレベルの催眠を全員にかけることは難しいが、ごくごく簡単な行動示唆程度なら多人数相手でも可能だ。その機能によって「6限終了後すぐトイレに行く」という行動を全生徒にとらせていたのである。
そうすることによって何が起こるかは言うまでもない。学校内にある全てのトイレは埋まり、強力すぎて危険な催眠をかけるまでもなく萌花はトイレに入れなくなる。
そうなった彼女が果たして、どこで何をするのか。
絶望に打ちひしがれながらも、それでも最悪の事態だけはと縋るように少女はある場所に向かう。
ぱんぱんの膀胱を揺らさぬようにそっと、ふらふらとした足取りで階段を下りて、萌花は誰もいないグラウンドにたどり着いた。
そして萌花は、グラウンド隅にある体育倉庫の、その裏側へ……
「……っ、ううぅ……!」
(も、もう……ここしか……っ!)
きょろきょろと何度も辺りを見回して、誰もいないことを確認し……
体育倉庫の裏で、萌花は下着をずり下ろしてしゃがみ込んだ。
宮崎 萌花(ミヤザキ ホノカ)
催眠レベル 2(中程度の思考介入)
催眠開始から17時間経過
重度の発汗 心拍数の上昇を検知
重度の多動性 呼吸の乱れを確認
体調 かなり悪化
しゅいいいいいぃいいいいいいーーーーーーー!!!!!しゅうっ、しゅしゅしゅうっ、しゅういいいぃいいいいいいいいいいーーーーーーーー!!!!!
「は……っ!あ……」
「は……あああぁあ……!」
しゃがんだ瞬間、あるいはしゃがむより前から地面に叩きつけられた萌花の長い間熟成された濃厚なオシッコ。
昨晩から溜め続け、お茶によって匂いと濃さを増したそれは泡立ちながらグラウンドの地面を抉っていく。
ずっとずっと我慢していた分だけ心地いい放尿の快感に視界をぱちぱちと明滅させながら、萌花はお腹に力を込めてありったけの力でオシッコを絞り出すのだ。
我慢の果てにたどり着いた至福を、一滴たりとも逃さぬように。
体育倉庫の陰からはみ出すほど遠くにまで版図を広げる黄金の小川を形作りながら、少女は1分以上続く快楽に身を委ねるのだった。
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それから……
排尿後のそこを拭くものを持たない少女が、仕方なしにそのまま下着を履いてそそくさと立ち去っていくのを見届けた後。
体育倉庫に隠れてこっそりと様子を伺っていた少年は、事を終えた後の現場に向かう。
できるだけ間近でそれを拝みたいと倉庫に隠れていた少年。
できるなら生の音を聞きたいと、倉庫の窓をこっそり開けて盛大なその音をしっかと耳に残していた少年。
彼は未だ流れ続ける萌花のオシッコ溜まりに着くと、先ほどの様子を録画していたドローンの映像を再生する。
倉庫の裏でしゃがみ、女の子の部分を晒して、そこから高圧の水流を、盛大な音と共に……
どくん……
萌花の残した黄金の小川に白濁をぶちまけて、少年はその場を立ち去った。
その後、この度撮影された萌花の野ション映像は長きに渡って彼の鉄板ネタとして君臨し続けるのである。
かくして一人の少女を襲った受難はひとまずの終わりを迎えた……
のだが、少年は知る由もない。
このせいで萌花が膀胱炎にかかり、しばらく学校をお休みする羽目になろうなどとは、露ほども。