Skebにてご依頼いただきました!
(納品期限間に合わなくて落としたやつです…orz)
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前回の続きで「退学し、バイトで稼いだお金を貢ぐ代わりに顔に唾を吐いて欲しいと懇願する元彼。惨めな姿を笑いながらも口に唾を溜め、思いっきり唾を吐きかける中州じゅりあ(制服)と撮影する今彼」
唾は今彼との惚気話を挟みながら3,4回吐く感じで。
また匂いを聞く描写を入れて欲しいです。(原文)
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1.〔薄5裏文化祭プラス〕 今カレと一緒に校内売春 ← 元カレが参加して中出し
2.〔追加エピソード1〕 元カレからリベンジポルノ → じゅりあ金的膝蹴り
3.〔追加エピソード2〕 じゅりあペニバン装着 → 元カレのアナル犯し
4.〔追加エピソード3〕 ←イマココ!!
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中州じゅりあ 追加エピソード3
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その日、じゅりあは日曜日にもかかわらず制服に身を包み、登校していた。
校門を入り、真っ直ぐ文化棟へ向かう。
向う先は文芸部の部室。
長閑な午後の―――12時50分。
待ち合わせは13時だったが、約束の相手はきっともう来ているだろうと思った。
ドアノブに手をかける。
やはり鍵は開いていた。
(あー綺麗…… 絵になるなぁ……)
じゅりあはそう心の中で呟いた。
窓際に1人、本に視線を走らせる女生徒の姿があった。
午後の陽射しに包まれたその姿に憧憬すら覚える。
文芸部3年・白井悠理(しらいゆり)
いつも長髪を片側に結んでいるの物腰の静かな人物だ。
同じ文芸部であるじゅりあにとっては先輩である。
もう少しその読書姿を眺めていたいとも思ったが、じゅりあは早々に声をかけた。
なにしろ日曜の学校に、先輩を部室へ呼び出したのは彼女の方である。
「悠理先輩こんにちは~、お待たせしちゃいました…?」
「じゅりあちゃん、こんにちは。
ううん、本読んでたから。とてもいい天気だね」
「ですね~!」
じゅりあは扉に鍵をかけると窓際へと進み、悠理の対面の椅子を引いた。
「ああ、あの、あのっ、今日はわざわざ来ていただいてすみませんっ…!!」
途端、どもるじゅりあを、悠理は手をあげて制すると立ち上がって戸棚からティーカップを2つ持ってきた。
カバンから水筒を取り出して注ぐ。
紅茶のいい香りと湯気が立つ。
紙皿にいくつかのクッキーを並べ… 更に別の個包装を取り出す―――
「あと、ミックスナッツ。ごめん、甘い方が好きだったかな?」
「ああああっ!!
ごめんなさい…悠理先輩…、
私自分が話したいことばっかり考えて~、何も持ってきてないん…ですけど……」
「いいって、いいって(笑)
とりあえず、紅茶飲んで、落ち着こっか。ね、じゅりあちゃん」
「は、はい…」
「また元カレくんのこと…かな?」
「そ、そうなんです…!」
同じ文芸部であっても「中州さん」「白井先輩」と呼び合う2人の距離が急速に縮まり「じゅりあちゃん」「悠理先輩」と呼び合うようにまでなったのは、じゅりあの元カレ・飯田沖三が起こしたリベンジポルノ事件がきっかけだった。
…
……
………
じゅりあは高一の秋、中学時代から付き合っていた飯田沖三と別れ、初瀬裕真と付き合い始めた。
華やかな容姿を母親から、物静かな父親から読書趣味を受け継いだじゅりあは、見た目とは裏腹に内向的な性格をしていた。『文芸部には見えない』とよく言われるが、いやいや籍を置いているわけでもなければ、幽霊部員でもなく、ちゃんと活動している部員なのだ。サッカー部の沖田と別れ、漫画オタクの裕真と付き合ったのは、裕真の方が一緒にいてよほど気楽だと思えたからだ。彼の前では無理に飾る必要も無く、自分でいることができた。要するに馬が合ったのである。カチリと音が聞こえたと思うほどぴったりと。
じゅりあは幼い頃、派手な母と、物静かな父にどこか歪さを感じていた。
決して仲が悪いわけではないのだが、どこか似つかわしくないのだ。
そしてじゅりあはどちらかと言えば、知性を感じさせる父親の方が好きだった。
ある日、じゅりあは父の書斎で『ある物』を見つけてしまう。
『それ』は1つだけではない、何冊もあった。
奥に。
手の届かない場所に。
それは隠されるようにあった。
それらの中身は全て、半裸の女性が鞭を持つ、いかがわしい写真集であった。
裸の女性が縛られているものもあった。
恐怖も嫌悪もなかった。
じゅりあはただ理解できなかったために、それを母親のところへ持っていった。
母は優しくじゅりあを諭し―――
じゅりあはいつのまにか両親に感じていた歪さを感じなくなっていた。
『似つかわしくない』ではない。
『似つかわしい』のだ。
『見た目』ではないのだ。
母曰く―――、
本当に好きな人ができたら、彼の部屋でこっそり『それ』を探してみなさい。
性の嗜好なんて、どんなに仲良くなっても、なかなか言い出せないもの。
でも人には必ず『好み』がある。
フェラが好きだったり、制服が好きだったり、実は痴漢ものが好きだったり、ね…。
『もし結婚を考えたなら、その前に必ず確認しておきなさい。
口では嘘を吐けても、“コレクションは決して嘘をつかない” から―――』
とは実の母の教えである。
じゅりあは裕真の部屋を訪れた際、それを実行した。
裕真が部屋を開けているときにこっそりと……
でてきたのは…
『ボクの彼女は他人棒に興味津々!』
『ボクの目の前で他人棒を咥える彼女』
『他人棒だとすぐイク彼女 ~下の口は正直だなァ~』
『彼女の股間と僕の心にささる他人棒』
『両手に他人棒シリーズ①~⑫』
『他人棒お持ち帰り……』
ブルマとか、スク水とか、アナルに興味があるとか…、せいぜいその程度しか予測していなかったじゅりあにとって、目の前に居並ぶタイトルは完全に予想外で、不意打ちで、衝撃的だった。
(他人棒、他人棒、他人棒……なにこれ、他人棒ばっかじゃん!!
つまり…、裕真は私が他の人にヤラれてるところが見たいってコト……?!)
それからじゅりあは悩んだ。
それなりに悩んだ。
どうやら『他人棒』とは『寝取られ』という、それなりに人気のあるジャンルに属するものらしい…… じゅりあはそれを見てしまったことを裕真に言い出すことはできなかった。そして今まで通り、恋人であり、普通にデートをして、普通のエッチをして、楽しい時を過ごしていた。
他人棒というワードに悩まされつつも、あっというまに半年が過ぎていった。
ある日、エッチの最中に裕真がスマホを手に取りもじもじしながら、
「撮りたいんだけど…」と訊いてきた。
前カレの飯田は撮られるのは嫌だと言っても、ごねにごね、いつしか当たり前のように撮るようになっていた。「記念だよ」とか「俺だけのオカズだから」とか毎回いいようにはぐらかされ、別れた今となっては汚点でしかない。
別れたのであればデータは消すのがマナーだとは思うが、飯田があのデータを消しているとはとても思えなかった。
まさか他の人に見せたりなんてことは……。。。
裕真とは趣味も合うし、身体の相性もいいと思っていた。
けれど、こうして『撮りたい』と口にしたのは初めてだし、他人棒に関しては放置したままである。もしかしたら身体の相性がいいと思っているのは自分だけで、彼の方はそう思っていないのかもしれない…。
「やっぱ、ダメだよなー……」
「いいよ。裕真が撮りたいなら…もしかして、裕真、
私のえっちな動画…他の人に見せたかったり…する?」
「え…? いや、そんなまさか―――」
百歩譲って『撮っても良いけど絶対他の人には見せちゃダメだよ』というのが常套句だろう。意表を突いたじゅりあの問いかけに、本心で答えたのは、じゅりあの中に入っていた裕真の肉棒だった。
それはすでに勃起状態であったはずだが、突如、それは膨れあがり、更に硬度を増した。
「うわっ…」
「ひゃんっ」
「はあっっ…はあっっ…はあっっ…」
下の裕真が情けない声で腰を浮かせ、じゅりあもまた喘ぐ。
「ンッ、あっ、ハァァッ……」
「えっ、ちょっ、ンッ――裕真ッ」
裕真が、興奮で我を忘れたように、荒い息を吐きながら腰を突き上げる。
じゅりあも喘ぐ。
まるで天井まで押し上げる気かと思ってしまうほど、突き上げてくる。
ガチガチだ
ガチガチのガッチガチ―――
じゅりあはこれまで何度も繋がってきたはずの肉棒が、
まるで初めての味わうモノのように感じた。
硬い、そして、太い。
これが、本当の、勃起―――……
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
じゅりあは、裕真のスマホを撮ると動画モードにして持たせる。
「ほら、ねえ、撮って」
「うんっ、はぁっ、はぁっ、あぁっ―――」
「でもこんなエッチな動画他の人に見せたら、他の人も、私に挿れたくなっちゃうね。
私のおまんこに他の人のオチンチン、挿れられちゃってもイイの?!」
「じゅりあ゛ああっ、あ゛゛あ゛あっ…………」
裕真はがっしりとじゅりあの腰を掴むと、体を激しく痙攣させた。
腹の中に噴き出す熱い精液に、じゅりあも達し―――
どさりと、その身体を横たえた。
ようやく息が整って裕真の顔に手を伸ばすと、彼は失神していた。
それから、じゅりあはついに、半年前、裕真のコレクションを見てしまったことを話した。とはいえ、二人は空想の中だけで他人棒を楽しみ、実際に行為をしようとは思わなかった。
輪高で『裏文化祭』が開かれていることを知るまでは――――――。
裕真が実際に会員になってみると、そこには同級生たちの素肌が晒されていた。
裕真は興奮して歯止めがきかなくなり、じゅりあはナンパしてきた男とホテルに行き、彼の目の前でセックスをするようになった。行為はどんどんエスカレートし、2人が付き合い始めてから一周年記念にと、ついに相手を顔見知りである同級生へと変えた。
じゅりあの輪姦プレイ。
同級生らを相手に、校内売春。
それは分岐点だったのか、あるいは転げ落ち、辿り着いた場所だったのか。
そこには二人の命運を大きく変える出会いが待ち構えていた。
裕真は二次研の親友たちではなく、裏文の会員に、何人か集めてくれと頼んだ。
そして、人づてに集まった男たちの中に、じゅりあの元カレである飯田が混ざっていたのだ。飯田はかつて行為を撮影したときのように強引に、我が儘に、じゅりあに中出しをせまった。一人だけ特別扱いするわけにもいかず、じゅりあは他の参加者たち全員に、中出しを許すしかなかった。
裕真にとって飯田は、心中穏やかざる相手である。
飯田はじゅりあの元カレであり、じゅりあが処女を捧げた初体験の相手であった。
しかしそんなことを気にしている余裕はなかった。
彼女が同級生たちの前で肌を晒している。
普段であれば制服のスカートをまくってパンツすら見せない相手に、だ。
そんな相手に股を開き、尻の穴まで見せ、ちんぽを突っ込まれ喘いでいる。
なぜ、こんなことを実行しているのか、実行してしまえたのか。
この学校だ。
全部この学校の所為だ。
それはほとんど自棄だったのかもしれない。
溢れ出る憎しみと疑問と後悔と懺悔に苛まれながら、同級生たちのチンポを突っ込まれ、咥え、喘ぐ彼女の姿に興奮を抑えきれない。
ずるり―、彼女から引き抜かれるちんぽと、彼女の性器を白い粘液が繋ぐ。
中出しは計画になかった。
もし口内射精されたとしても吐き出す予定だった。
じゅりあは、元カレの飯田に生で挿れさせたことはないと言っていったし、なにより、まさに今この場で、飯田自身がそう証言している。
これまでの第三者にも生でさせたことはあっても、中出しだけは許したことはなかった。
他の男の精液は決して飲ませなかった。
それだけは彼氏である裕真の特権なのだ。
なのに、飯田のせいで、次々と中出しされていく。
じゅりあに愛情すら抱いていない、ただ目の前にある穴を利用するだけ。
たったの2,000円で。
立ちバックで代わる代わる突っ込まれていたじゅりあが、仰向けに寝かされ、今度は正常位で突っ込まれた。
「あ゛あ゛っあ゛―――あんっ―――」
じゅりあの声が、裕真の脳を揺らす。
力任せの、まるで暴走機関車のような荒い腰振りに、じゅりあの大きな乳房が男たちの目の前で跳ね回る。回りから次々と腕が伸びてきてその乳房を掴んだ。
喘ぎ越えをあげていた口には勃起した包茎チンポが押し込まれた。
「んんん゛―――!!ンンン”―――!!」
一際大きくあがったそれは、彼女の悲鳴ではない。
感じているのだ。
この淫乱女め!!
おい嘘だろ。
彼女の喉が鳴っている。
包茎チンポから出される精液を飲み込んでいる。
約束した―――ッ!
他の男の精液は飲まないって約束したのにィィィ―――!!
居並ぶ男子たちの股間のモノは、依然どれも天を仰いでいた。
一度始まった宴は止められない。それらが全て頭を垂れるまでは。
また1人、彼女の中に出した。
もっと顔射とか~~!!
輪姦と言えば…ザーメンシャワーぶっかけ大会とかぁ~~~~!!!
同級生のザーメンどろどろに塗れる彼女を撮りたかったのに、内側ばかりが汚されていく。
じゅりあの白い肌と、男の肌がぶつかり、擦れ、汗が弾ける。
「イッ…ン"ッ―――!!!」
じゅりあが激しく身体を痙攣させた。
びくんっ―――
びくんっ―――
男たちの中心で、何度も何度も、ビクビクと身体を痙攣させている。
長い、オーガズム。
「これ、大丈夫なんw」
「イってるだけっしょwww」
裕真もそんな彼女の姿を見たのは初めてだった。
1人の男子がそんなことはお構いなしにじゅりあの脚を持ち上げ、突き入れた。
じゅりあは身体を仰け反らせ、その口から裕真が聞いたこともない呻きが轟き――、
その声は雷のように裕真の全身を貫いた。
これは夢か現か―――。
裕真の切先からボタボタとカウパーが溢れている。
心臓がばくばくと音をたて、動けない。
カメラを持つ手だけがガクガクと震え、自分のイチモツの感覚さえ分からなかった。
これは今までのプレイとはまったく違う。
越えては行けない一線を越えたのだと分かった。
興奮は限界を超え、まるで部屋中の酸素がなくなってしまったかのように息苦しい。
『おまんこに…だしてください…っ…』
『あっ――あんっ―――、んっ―――いいっ―――』
『だして―――もういっかい―――だして―――』
じゅりあの声がどこか遠くに聞こえる………。
その日撮った映像は初瀬裕真にとって、『生涯の宝』となった―――
―――のだが、しかし、事はそれだけでは終わらなかった。
プレイに参加した元カレの飯田が、二人に尋常ならざる憎悪を抱いたからである。
飯田はじゅりあと裕真が、同意の下で他人棒を楽しんでいることなど知るよしもなかった。
じゅりあに売春させて金を稼ぐクソ野郎の裕真。
平気で男たちに中出しさせるクソビッチに成り下がったじゅりあ。
とにかくむかついてしょうが無かった。
飯田は以前、じゅりあと付き合っていた時のセックス動画をネットに流した。
印刷し、校内にばらまいた。
悪意と中傷に満ち満ちた文面に、じゅりあの携帯番号とメアドを添えて。
それからじゅりあはあからさまな性的嫌がらせを受けるようになった。
俺も2000円でヤッたと言いふらすヤツや、遠慮無く胸を揉んでくるヤツ。
登校したら机や椅子に射精されていたこともあった。
携帯アドレスには変態メールが殺到した。
とはいえ、ここは近隣にその悪名轟かす輪高である。
校内でセックスしてるカップルはそこら中にいたし、同級生には江尻ヒメカという教室で輪フェラをやっちゃうような子もいた。それに『裏文化祭』という卑猥なフェスティバルが流行っていたおかげで、決して絶望的というわけではなかった。
なにより、彼氏が他人棒嗜好だったのが、じゅりあの心の支えとなった。
とはいえ、自分のセックス動画が出回ってしまったショックは大きかった。
アイコラで裸にされた女子を何人か知ってはいたが、動画で揺れているのは間違いなく自分の胸である。
フェラ動画を流失させられた女子もいるが、こんな悪意に満ちたものではなかった。
中学時代の同級生から『抜いた報告』が何通も届いた。
動画の存在がすぐに親にばれてしまったが、なんとか耐えた。
心が折れたのは、家に押しかけてきた弟の友人たちに、
「あのっ…、俺たちも中出しさせてもらえますか!?」と言われた時だ。
鼻の下を伸ばしキラキラと目を輝かせるガキども。
その後ろで無表情で佇む弟。
まるで心の入っていない人形のようだった。
「こらっ!あれは全部作り物なの!ウソなの!」
じゅりあは笑顔でゲンコツをくれてやった。
「えー、でも兄貴のダチが2000円で中出ししたってぇ~~~」
「だからね、それも全部ウソなの!
ウソかほんとか見分けられられるようにならないとダメだぞ!!」
必死だった。
必死に取り繕った。
正直なところ、輪光市は不良の巣窟だったこともあり、その民度はかなり低い。
最近になって大改革が進められ、治安は見違えるほど良くなったが、数年前は女の子は暗い道を決して一人で歩くなと口をすっぱくして言われたものだった。
しかしじゅりあは今になって、その恐怖を肌に感じていた。
校内のほうがまだ安全で、街中の男たちの視線が怖い。
拉致され、レイプされるかも知れない。
傍目にも分かるほど憔悴しきったじゅりあに話しかけてきたのは、同じ文芸部の先輩、白井悠理だった。彼女は2年前、不良グループ『悪鬼』の幹部と付き合っていて、そしてその彼は殺されたという噂があった。
そしてその時、彼女もまた輪姦されたのだと。
彼女はそれは本当のことだと告げた―――。
それはともかく、悠理が言うには、当時、彼の趣味で、彼の仲間たちとよく複数プレイをしていて、親交があるのだという。つまるところ、じゅりあが陥っている事態の収拾に『彼ら』が役に立つかも知れないというのだ。
「もし、できるなら…白井先輩っ…お願いします…助けてくださいっ…!!」
「ごめん、あんまり期待されると、困るけど…」
そう言いながら悠理はどこかへメールしていた。
輪光市では今、徒党を組むことが完全に禁止されている。
輪高、征関、撲斗、三麓…いくつもの不良グループが跋扈していたこの街に、今は1つのグループも存在していない。
しかし人が絶えたわけではない。
『悪鬼』を名乗れずとも、その血は輪高の中に確かに流れていた。
「ネットに拡散されたのはかなり難しいけど、印刷物とか、携帯に保存してあるのは、大抵なんとかできるだろうって」
「ほ、ほんとですか―――!!!?」
「たぶん…彼らがそう言うなら。
あ、あと、元カレの…飯田くんだっけ?はどうしたいのかって」
「えっと…、殺したりはできないですよね…?」
「中州さん…怖い…」
「じょーだん!冗談ですよっ…!
えっと、できれば二度と顔を合わせたくないので……、
ボコって、退学させて欲しいんですけど…」
「ん。」
悠理がメールを打ち、携帯をしまうと、
じゅりあの瞳から涙が溢れた。
次から、次へと、止め処なく。
悠理はハンカチを差し出し、じゅりあの頭をぽんぽんと撫でると、本を開き読書を始めた。
それはじゅりあがいつも見ている、普段の先輩の姿だった。
じゅりあが泣き止むまで、悠理はただ黙って側にいてくれた。
「先輩…あの、お礼とかってどうしたらいいんでしょうか…」
「お礼とか、別にいいよ。部活の後輩助けるだけだし…」
「え、でも……」
「あ、そっか、彼らは~~~… うーん、どうかな…」
「お礼ってやっぱり何か必要ですよね…?
お金でしょうか?」
「分からないけど、んー、私がエッチしとけば大丈夫かなぁ…」
「えっ…、えっと…あの、
白井先輩も、そんな冗談言うんですね…」
「んー?まあ、ずっとしてなかったしー、たまにはいいかなーって」
(じょ、冗談じゃ……ないの…?)
そんなこんなで『彼ら』は動き、じゅりあに襲いかかった災難はあっというまに終息していく。ちなみに『彼ら』には報酬として3Pを要求され、じゅりあは勉強代と思って受け入れた。が、そのことは白井悠理には秘密である。
………
……
…
「ふぅ~~………」
「じゅりあちゃん、それで、今日はどうしたのかな?」
午後の陽射しと、紅茶でようやく落ち着きを見せたじゅりあに、悠理が問いかける。
「元カレくんは無事退学になったし…
問題無かったはずだよね?」
元カレ退学と、問題解決の報告を受けたのが2ヶ月ほど前の話である。
「悠理先輩…実は…言ってなかったんですけど…」
じゅりあは語り出す。
あの日、何があったか。
いっそ死んでくれとまで思った元カレの金玉に膝蹴りを食らわしたこと。
その時はスカッとしたものの、膝に球の潰れた感触が今でも残っていて悩まされていること。そのあと、今カレとラブホに直行したら、元カレが付いてきて3P紛いの行為をしてしまったこと。
「え?元カレとしたの…?」
「したっていうか、してないっていうか…、
して…はないんですけど」
「どういうこと?」
「ペニスバンドってあるじゃないですかー?
あれを私がつけて、元カレのアナルに………
だから、しては、ないですよね?」
「ええええ…、なんでそんなことに…
え、なんでペニスバンド…??!
えええっっ…なんか、すごい予想外の展開してた~~(笑)」
「それで、その、写真とかも撮ったんですよ。
だって恥ずかしいじゃないですか?
男が、女にアナルをヤられてる画像とか撮られたら」
「そうだね…」
「私はただもうアイツには金輪際関わりたくないだけなんです…。
分かります?分かりますよね??ねぇ悠理先輩っ!!」
「分かる、分かるよ。落ち着いて。
でもそのあとも何か関わってきてるの?
アナルやっちゃって、もう縁が切れたんじゃないの?」
「それがですねー…あのあと1ヶ月くらい経ってから―――、
なんかアイツ、お金持ってきたんです…」
「え?お金?あ、慰謝料とか?」
「慰謝料なら全然いいですよ。喜んで受け取りますし」
「えー、じゃあ…なんだろ…」
「金玉蹴って、アナルやった時に、私むかついたから唾かけたんですよ。
アイツの顔に、ペッペッって。
私が男だったら、ただ殴ってやればいいだけなんですけど…、
私じゃ殴れないじゃないですか」
「うん?」
「だから、唾吐いて、こう、侮辱というか、したんですよ。
そしたらなんか、その…すごく…キモいんですけど…」
そういってじゅりあは両腕で自分の肩を抱いた。
思い出したことで鳥肌が立ってしまったのだと傍目にも分かった。
「じゅりあちゃんの話…さっきから予想外すぎて全然先が読めない(笑)
1つ気になるから聞いてもいいかな?」
「悠理先輩の話だっていつも予想外すぎますよ!!
なんですか?」
「えと、どうしてペニバンなんて持ってたのかなって」
「ああああ、それは、ちょっと、今カレと、SMっぽいことしてただけです!!」
「他人棒趣味もそうだけど、今カレくんもけっこう…アレだよね(笑)」
「><;… 話進めてイイですか?!」
「うん(笑)」
「それで、アイツがお金持ってきた理由が…なんだったと思います!!??」
「全然分からない。」
「このお金で『また唾吐きかけて欲しい』だったんですよ!!」
「ほらっ!もう完全に予想外だよっ!!!」
「ですよね!頭おかしいですよねっッッッ!!!」
「おかしいよ!!」
「でも、話の流れからすると…、じゅりあちゃん、やっちゃったんだよね…?」
「だって…、だって…、4万も入ってたんですよ??
退学してからバイトして…、アイツその給料袋そのまま持ってきたんですよ…」
「え、待って、じゅりあちゃん…、なんかすごい、私も怖くなってきたんだけど…、
あああ、鳥肌立ってきた。ねぇ、もしかして今日の相談ってホラーなの?」
「違います。ちゃんとした相談です…。
それで、裕真呼んで、3人でホテル行って…
私と裕真がしてるところ、見ながら……、
あの、部室誰もいませんよね?!」
「いないよ(笑)」
小さな部室で隠れる場所などなかったが、じゅりあは机の下や棚の影を確認し、扉の鍵を確かめる。
「それで、その、私が唾吐きかけるじゃないですか~~……
アイツ…すごい勃起してるんですよ…」
「やっぱりホラーじゃん~~!!」
「悠理先輩~~マジメに聞いて下さい~~~!!」
「ごめん…(笑)」
「それで、ほんとに気持ち悪いんです……、
私が唾吐きかけるたび、すごい興奮して…、自分でシゴいて…射精してるし……」
じゅりあはそう言いながら両手で口元を覆った。
その目尻には涙が滲んでいる。
悠理はなんと声をかけていいのか分からず、ただ黙った。
しばらくの間、部室にはじゅりあの小さな嗚咽だけが続いていた。
「ごめんなさい、それで…、えっと…」
悠理はじゅりあの空になったカップに紅茶を注いで渡す。
「それで、それからまた1ヶ月がすぎて…、先週また…来たんです…。
ただ、断れば良かったんですけど、その、今度は7万入ってて……」
「ぶほっ…ごほっ…けほっけほっ…」
悠理は不意に口にしていた紅茶を噴いて噎せ返った。
「悠理先輩、私、ちゃんと言ったんですよ!今回も!前回だって!
退学してバイトしたお金、こんなことに使わないで、
ちゃんと家に入れなさいって!だって親が可哀想じゃないですか!
だから、ちゃんと言いました!!」
「でも聞いてくれなくて、しちゃったんだね?」
「はい…。だって7万ですよ??
断れなく…ないですか???」
「また、バイト代をそのまま持ってきたの?」
「そうなんです。
でも、アイツとはエッチはしてないですよ?
私には指1本触らせないし、私もアイツには絶対触らないし、
私はただ、アイツ唾吐きかけるだけ……」
「えと、その時、じゅりあちゃんは…?」
「えっと…裕真とシテます…」
「ラブホで?」
「ラブホで」
「えっと、実際にはどういうことするの?
じゅりあちゃんが元カレくんをイかせるわけじゃないんだよね?」
「えっと、私は裕真と、しながら……アイツはそれ見ながら、はぁはぁ言って自分でシゴいてます…。それで気持ち悪くて唾吐きかけると、まるで火に油を注いだみたいに、興奮するんです…。裕真としながら吐いたり、水着に着替えて吐いたり…、あとは…ナースとか、警官とか…、とにかく私に唾を吐きかけて欲しいって言うんで、
裕真とコスプレえっちしながら気付いた時にペッペッっと……」
「裕真くんは、なんて言ってるの?」
「何万も貰ってるんだから、まあ、少しくらい嫌でも…我慢しろって…」
「わかってくれないんだね」
「はい…、でも…、裕真の言うことも確かに、そう…なので……。
私が我慢すればいいとは思うんですけど…。
アイツっ…、まじなんなんですかっ?!
気持ち悪いから気持ち悪いって目で見てるのに、それ見て更に興奮するんですよ?
唾吐かれて、興奮して、
私が吐いた唾まみれで、その唾が乾いてきて、臭くなって、
臭いって言うと更に興奮するんですよ?
なんで…どうして…私が、
私の唾を、臭いって言わなきゃならなんですか…??(ぐすっ…)
そんなこと、ありえます?!」
「ええっ…」
「それに、アイツとはちゃんと別れたんですよ?
私はアイツにあんなことまでされたのに…、それなのに…、
もしも今アイツとラブホ入ってるところを誰かに見られたら
私どうしたらいいんですか?ほんとに死ぬしかないですよ!!」
「じゅりあちゃん…」
「私がアイツに唾吐きかけてるところ、ビデオに撮ってるんですけど、
もしかしたらアイツ、将来、脅迫のネタに使うつもりなんじゃないかと思うんです…。
リベンジポルノも実は冤罪とか言い出して、全部私の所為にして、自分は被害者だって……。
でないと私の唾に7万も出すはずがないと思うんです…。
悠理先輩、私の唾って7万も価値あるんですか…?」
「うーん……、、、
じゅりあちゃんが、本気で、今、
すご~~く、悩んでることはよく分かったよ……」
肩を震わせ、また嗚咽し始めてしまいそうなじゅりあに、
悠理は今日がいい天気で本当に良かったと思った。
今、彼女を包んでいる暖かい陽射しが、大きな慰めとなってくれていることは疑いようがない。
売春や援交で体を売り、自分の価値を見失ってしまう女子は多い。
短時間で大金が、ましてや、唾を吐くだけで大金が貰える、ともなれば、価値観が崩壊してもおかしくない。
しかもその相手は元カレで、二度と顔を合わせたくもない相手である。
どんな葛藤が待ち受けているのだろうか―――。
悠理にも彼氏と仲間たちとの複数プレイを受け入れるのに悩んだ経験があった。
性を現金に換えることこそしなかったものの、アブノーマルな性行為における自己決定権を見いだすまでにはそれなりに時間を要した。
あの時もし、スワッピングまで受け入れてくれた羅城せつらという友人がいなければ、今の自分がどうなっていたか、悠理には分からなかった。
(―――なんて格好良く自分語りをしてみたけど…)
悠理は少し頬を赤くし、片手で覆った。
正直なところ『なんとか受け入れた』なんていうのは嘘で、『溺れてしまった』と言った方が正しいだろう。
いつだろう。
自分の中に眠っていたマゾの大華がバッと開いたのは。
でも多分、堕ちたのは―――、実際にマワされる前には、もう―――
目の前に勃起ちんぽが何本も並ぶ光景を目にしたときだろうか。
両手に熱い肉茎を握らされたとき?
大きな亀頭を代わる代わる口に含まされたとき……??
分からない。
分からないが、あの時の大興奮は今でも忘れない。
『次、こっち―――』
そう、頭を抑えられ、別のちんぽを口にする。
自分はなんて淫らなことをしているんだろう!!!!
ジュボジュボ―――自分の口がちんぽを咥える音が頭に響き、脳汁が溢れ出る。
目を開けていられず、ブラックアウトした世界で、
ただ、ちんこを咥える口だけが、自分の存在の全てのような錯覚を覚える。
溢れる。
溢れ出る。
クスリなど使っていない。
天然の脳内麻薬。
今でも思い出すと興奮してしまう。
濡れる。
股間が疼く。
じゅりあは輪姦プレイをしたと言っていた。
彼女はどうだったのだろうか、この興奮を味わったのだろうか。
彼女なら理解ってくれるのではないだろうか。
誰とも、せつらさえ、共有できなかったこの想い―――
もしかして貴女なら―――
ねぇ、
ねぇ、
じゅりあちゃ―――
「悠理先輩…、私…ほんとにアイツと付き合ってたことがあるんでしょうか……。
もう昔好きだったかどうかも、なんだかもう思い出せなくて……。
私…道行く人に…なんか、嫌な顔している男に、唾を…吐きそうになることがあるんです…。
そうしたら喜んで貰えるんじゃないかって…、
それに、教室にもむかつく男子っているじゃないですか……」
悠理にとって、同じマゾ仲間であるせつらは大きな共感を示してくれる良き理解者だった。それだけではない。
『彼』を喪った同じ痛みを共有する仲間でもあり、地の底から救い出してくれた恩人であり、かけがえのない友、もはや愛していると言っていい程に大切に思っている、が、しかし、輪姦されたことも、3Pすらしたことのない彼女では、この興奮を真に共有することはできないと感じていた。
なにからなにまで共感して欲しいなど、おこがましいにも程があるが、『それ』は悠理にとってあまりに大きすぎる変革であり、まさに性器の大発見(誤字ではない)であったため、拭いきれない寂しさを感じていたのは紛れも無い事実であった。
だからといって、目の前の後輩に―――
今、自分になにかしらの救いを求めているじゅりあに、マワされることの楽しさ、興奮、快楽の共感を求めるのはあまりに自分本位ではないか。
じゅりあは既に、元カレと今カレからその性をこれでもかというほど毟り取られている。
私が今、しようとしたことは、あまりに残酷な追い打ち―――
今はただ聞き役に徹しようと悠理は思考を切り替えた。
多分濡れてしまったと思うが、今日はシートを付けていたっけ…。
元カレくんは中学からずっとサッカー部だったらしいが、とても健全なスポーツマンとは言えないようだ。彼の作ったのリベンジポルノは悠理も目にしたが、その陰湿さは目を覆いたくなるものがあった。
その後の展開、つまり、大金を積んでの一連の流れが、もし本当にじゅりあを壊そうとして仕掛けているのであれば相当にやばい。
正真正銘のサイコパスである。
何が何でも逃げるべきだし、あるいは今度こそ、『彼ら』に頼むべき案件なのかもしれない。
「でも…、先週…、終わったあと、
『また1ヶ月頑張って稼いできてね!!』…って言ってしまったんです…。
ちょっとした憎まれ口のつもりだったんです。
でも、もう自分で分からないんです。
私、キモいとか死ねとか、唾吐いたりとか、全部裕真の目の前でやってるんですよ…。
こ~~~んな、眉釣り上げて。
そんなことしたくないのに…
もうやめたいんです。
ただもうアイツを視界に入れたくないんです。
アイツの視界に入りたくないんです…、
なのに…
気がつくと、唾を溜めているんです…。
悠理先輩…、私…どうしたら…いいんでしょうか…」
「んー……」
悠理は正直なところ、元カレくんがサイコパスであるとはあまり考えていなかった。
変態であることは疑いようもないが、訊いている限りでは、じゅりあがここまで脅えなくてはいけないような脅威であるとは思えない。
1ヶ月に1度、1時間かそこら唾を吐くだけで何万も貰えるなら、客観的に見てもそれは『おいしい』と言える。
その資金で、楽しく遊べるだろう。
しかし、それをそれとして割り切れずに、自分を見失ってしまうのでは意味が無い。
「んーと…じゅりあちゃんたちがやってきたことって、
一応、Win-Win-Winの、トリプルWinの関係だと思うんだよね」
ゆりは紙とシャーペンを取り出し、ささっと図を描き始める。
「①他人棒【じゅりあちゃんとヤれて】→Win
②じゅりあちゃん【まあ気持ち良くて、裕真くんが喜ぶしってことで】→Win
③裕真くん【①他人棒×②じゅりあちゃんが見れて】→Win
倫理的にどうとかそういうことはともかく、私は、みんな楽しんでるならいいんじゃないかなとは思ったよ」
「あー、はい。
そう…、ですね」
「でね、それを、今のケースに当てはめてみると、
①元カレくん【じゅりあちゃんに唾を吐かれて】→Win
②じゅりあちゃん
【そもそも元カレくんと会いたくない→Lose
裕真くんに唾や暴言を吐いてるところを見られたくない→Lose
①と気持ち良くなってないどころか、病んできている→Lose】
③裕真くん【大金貰えて】→Win
今の状態ってじゅりあちゃんだけWinになってないんじゃない?」
「あ…」
「Win-Win-Winのときは、じゅりあちゃんが他の人とすることで裕真くんを喜ばせてあげられてるけど、今回の場合、裕真くんを喜ばせてるのはじゅりあちゃんじゃなくて…、お金が…だよね…? ここって結構大事なとこだと思うんだけど…」
「はい……」
「じゅりあちゃんも大金でWinになるならいいんだけどね…。
おいしい話なのかもしれないけど、ちゃんと考えて。
受けている精神的ダメージが大きすぎるでしょ?
釣り合ってないよね?」
「でも……」
「じゅりあちゃんが、どうしてもそのお金欲しいなら、割り切るしかないけど―――」
それに―――
(そんなに深刻に考えなくても、元カレくんってさ、実はただの唾液フェチなんじゃないの?)
(酷いことされたんだし、単に慰謝料だと思って貰っておけばいいんじゃない?)
(本当に唾を吐きかけるだけでいいなら、私が替わってあげてもいいけど・笑)
そんな言葉を悠理は呑み込む。
大金を貰って唾を吐き、情緒不安になっているじゅりあに、割り切らせるための言葉はいくつも浮かぶものの、悠理がそれを言わないのは、そのリスクに責任が持てないからだ。
元カレくんがサイコパスである可能性はゼロではないのだ。
それに唾吐きバイトなど、敢えて推すべき内容とも思えない。
やはり、きっぱりと縁を切るのがベストだろう。
それはじゅりあも分かっているには違いないのだが…。
どう言えば納得させられるのかが分からない。
「あの、悠理先輩、すみません、ちょっとトイレ行ってきます…」
「あ、うん」
じゅりあが部室から出ると、悠理はふぅぅと一息ついて、外を眺めた。
暖かな陽射しの中、一部の生徒が部活動に励んでいる声が聞こえている。
長閑。
先ほどから文化棟から眺める景色の一部に、一組のカップルが寄り添う姿があった。
登校している生徒はほとんどいないため、誰にも見られていないと思っているのかもしれないが、ここからは丸見えである。
長い時間をかけた手マンでようやく彼女をイカせたらしい男が、今度は自分の番とでも言わんばかりにフェラを要求しているようである。
ズボンこそおろしてないものの、何度も彼女の頭を自分の股間の前に引き寄せている。
悠理は視線を室内に戻し、椅子を浅く座り大きく伸びをした。
そのままの姿勢で固まった悠理は思考の海に潜った。
じゅりあは気付いているのかいないのか、元カレくんも元カレくんだが、今カレくんも相当…アレである。
彼女があそこまで情緒不安に陥ってしまうのは、今カレくんの責任も多分にあるのではないか。
恋人が他人に取られることに興奮する嗜好を持つ人はいる。
淫らなところが見たい、あるいは被虐嗜好だったり、自分のものであることの再確認や、他人のものを欲しがることが動機になっている、なんてことがあるかも知れない。
自分の妻に興味がなかった夫が、妻が不倫を始めた途端、愛情を取り戻したなどいう話を読んだことがある。
かく言う悠理も、そんな嗜好を持つ彼氏と付き合った一人なのだが…。
そのおかげで何人もの男たちと関係したが、思うに、やはりその男たちの中にも、各々の『嗜好』があるということだ。
男たちの半数は特になんのこだわりも見せないとしても、残りの半数は、必ずバックでしたがる、最後は口の中に出したがる、そういったなにかしらのこだわり、執着と思えるような嗜好を持っていて、そして、そういう人たちは、本当に毎回、それ、をするのだ。
口の中でイキたがる人は、毎度毎度、口の中に出す。
よくもまあ飽きもせずに。
彼らは、そうせずにはいられないのだ。
悠理は『顔射の豊木』と呼ばれた先輩のことを思い出していた。
黎の友人の一人である豊木先輩は、顔射が好きで最後はかならず顔でフィニッシュする人だった。しかし一度あらぬ方向に飛んでしまい、まったく顔にかからなかったことがあった。彼はそのことをもの凄く悔しがり、あまりに尾を引いたために『嘘だろ、まだ言ってるのかよ』と皆に笑われ、挙げ句『顔射の豊木』と呼ばれるようになってしまった。
そのおかげで次のプレイでは、みんなで顔射してきて、メガネは勿論、顔中ドロドロにされたのを覚えている。
今となっては懐かしい思い出だ。
黎がいない今、もうあんなプレイは二度と―――…
話を戻そう。
元カレくんが、唾液フェチだとして―――、それはそれで『なぜ、唾を吐きかけられるという行為に興奮するようになったのか』に俄然興味が湧く。
一般的でない異常嗜好には、必ずそうなるに至る『契機』があるはずなのだ。
遺伝子の影響という説もあるかもしれないが、例えば『顔射』に執着することが、遺伝子によるものだとは考えにくい。
自我の芽生え、思春期、人格形成期、初めて見たエロ本など、心に奥深くに焼き付いてしまった情景、といったほうがしっくりくる。
元カレくんの場合は、何なのだろう。
唾を吐かれることに興奮を覚えてしてしまうような…そんな体験とは、なんなのか。
大好きな子がナメクジに上からぼたぁと唾をたらしている姿を眺めていた、とか。
近所に住む憧れのお姉さんの部屋で下着を漁っているところを見つかってしまい、押し倒されて顔に唾を吐きかけられた、とか。
あるいはお姉さんが、道路でぺっとやった先にたまたま彼がいて、顔にかけられてしまった、とかだろうか。その時のお姉さんは彼に唾がかかってしまったこと謝罪するどころか、彼に対して汚物を見るような侮蔑の表情を向けたのではないだろうか―――。
実は昔、虐められっ子で、女子たちに唾を吐かれていた。しかも元カレくんはその女の子とのことが好きだった―――、というのはちょっとしっくりくる。
しかし、元カレくんがじゅりあと付き合っていた時期にその嗜好を表に出さなかった理由はなんなのだろうか。
恥ずかしくて、付き合ったばかりの彼女に唾を吐きかけてくれとは言えなかっただけだろうか。別れたら今だから、言えるのだろうか。
あるいは金玉を蹴られたとき、彼の中でなにかが芽生えてしまったのだろうか―――。
(にしても…、本気で気持ち悪いと思って睨むと、それで更に興奮されるってやばい…
想像してみたらすごい恐怖かも―――… え、ちょっと待って…、
『拒絶』に『勃起』で返すって、構図だけみたらレイプじゃん!!
あれ、でも…唾以外の接触はないんだよね…、
なにこれ、リモートレイプ…? んーリアクションレイプ…?
だめだぁ…、混乱してきたぁ……)
今、じゅりあが脅えているのは、自己の尊厳の喪失でも、元カレとのプレイでもなく、
自分の『唾』が大金に変わるという、自己価値を異常変容させてしまう、得体の知れない恐怖なのかもしれなかった。
「……先輩…… 悠理先輩…っ!」
「あ、おかえり」
「え?悠理先輩、もしかして、いま眠ってました?」
「ううん、寝てないよ、少し考え事してた」
「ね、悠理先輩、あれ……」
じゅりあの視線を追って窓の外を見ると、先ほどのカップルが対面座位で繋がっていた。
石段の上では男は思うように動けず、女の方が腰を振っている。
(え、あれ…、久坂…みいこさん?)
先ほどは後ろ姿で分からなかったが、悠理は女生徒の顔に見覚えがあった。
『神羅雪』に入りたいと、せつら、羽織、そして悠理の所まで仲介を頼みにきた不良少女である。その頃、神羅雪はすでに輪光の外へ拠点を移していたし、もしもそんなグループに所属したと知られれば退学処分もありえる。
そのため丁重にお断りしたのだが、なかなかに食い下がったので記憶に残っていた。
最近、陸上を始めたと、風のウワサに聞いたのだが…(※裏文化祭P.46参照)。
悠理は久坂みいこのことには言及せず、じゅりあと顔を見合わせて肩をすくめた。
この学校の廊下には『校内での性行為禁止!!』という貼り紙がされているほどだ。
それほど珍しい光景でもない。
しかし祝日とはいえ、校舎から見えるあんな位置でヤッちゃうカップルは……いろいろと足りていない。悠理とじゅりあこそ撮らなかったものの、他の誰かに一部始終を撮られていてもおかしくない。
「じゅりあちゃんさー…、元カレくんのこと……」
「はい?」
「あんなことや、そんなことしちゃってるうちに、情が湧いて…、
元カレくんのこと少し可愛いなんて思ったりなんてことは…」
「ないないっ!ないです!それは絶対無いですっ―――!!」
「だよね」
敢えてトンチンカンなことを言って、気持ちをはっきりと自認させることも必要だろう。
「じゃあさ、これくらいの小瓶を用意して、そこに唾液溜めて、
今度はそれ売ってあげたらいいんじゃないかな?
あとはご自由にお使い下さいって(笑)」
「うう、悠理先輩…、それ冗談で言ってるんですよね…??
笑いたいけど、笑えないです~~。。」
「うーん、ダメか~」
「あの、でもありがとうございます。
先輩に話聞いて貰えて、落ち着いてきました」
「そっか、なら良かった。
ごめんね、あんまりいいアドバイスできなくて」
「いえ、ほんとのほんとに助かりました!!
さっきのもそうだし、悠理先輩に聞いてもらえるだけでも、すごく、
ほんとに、嬉しいです」
「私に唾かけないなら、いつでも聞くよー」
「ブフッッ…、それは、笑えます!(笑)」
(うわッ……なんかすごい…唾…とんできたんだけど………)
「あの、悠理先輩…、先輩って今、彼氏いないんですよね?」
「うん」
「もしかして亡くなった彼氏さんに操立ててたりは……」
「そういうのは特にないかな」
「あの、もし、良かったらなんですけど、、」
じゅりあは口ごもる。
程なくして、
「あの、ほんとにもし、気が向いたらでいいんですけど、
私の彼と、シます…?」
「えっ?」
「あああッ、すいません、ほんと!変な意味に取らないで欲しいんですけど!!
先輩が男日照りだからとかそういうんじゃなくて―――!!!
あああああああいや、ほんとに!!変な意味じゃなくて!!
私ってほら!いつも『貸し出される』ほうじゃないですか!!
だから『貸し出すほう』の気分がどんななのかなって、ちょっと気になって…。
それで、その悠理先輩なら、その裕真とシても、、、いいかなって……」
「あはは…それは、光栄かもね」
「すみません、なんか生意気みたいで…、で…、どうですか?!
冗談とかじゃなくて、私、結構、本気で言ってるんですけど!!」
「そうだね~~、もし、私に彼氏がいて、
スワッピングとかならしても良かったかもね~(笑)」
「スワッピングですか!!!
流石悠理先輩!レベルが違うっす―――!!」
「じゅりあちゃんは、このあとどうする予定?」
「だいぶ気分も落ち着いたので…、
少し部誌の寄稿書いてから帰ろうかなって思います。
悠理先輩は、どうします?」
「じゃあ、私ももうすこし読書していこうかな。
そうだ、寄稿、元カレくんのことネタにして書いてみたら?
客観的に見れて、気持ちの整理がつくかもしれないよ?」
「うーん、、そうですね…。。。
少し考えてみます…」
じゅりあはシャーペンを片手で回しながら、窓の外を眺めた。
まさにその時、先ほど階段でヤッていたカップルが――…
女が男を平手打ちし、ブッと唾を吐きかけ去って行った。
無理矢理、中出しでもしたんだろうか。
ああっ!!
そうそれ!!
それだよ!!
それこそ正しい唾の吐き方ではないのか―――!!!
(100歩譲って―――、
大好きな彼女に唾かけられて喜ぶなら、まだ分かりそうなきがするけど…
付き合ってもいない元カノに唾かけられ興奮って…
まったく理解できそうにないナァ…)
悠理とじゅりあはそれぞれ、文芸部員としてあまり思いたくないことを思った。
事実は小説よりも奇なり―――。
中州じゅりあ追加エピソード3
~終~
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
「うん、なんかもう文芸部やめそう…最近の寄稿BLばっかだし…」
「まじかよw BLって部誌載せられんの?」
「裏部誌ならw」
「じゅりあの影響で俺も同人小説書きはじめたんだけどさ、
やっぱ難しいわ、これまでずっと読専だったし…」
「えー裕真の小説読んでみたいし、頑張って!!」
「なあじゅりあ今度、モン姫のコスしてくれない?んで、5Pしよw」
「5Pって…、えっと、あと3人は誰…?」
「モン姫さ、今二次研でめっちゃブームなんだよ。
じゅりあがコスしてくれたら絶対盛り上がるんだよなぁww」
「土井君たちかぁ、そういえば…最近土井くんたちに、
すごいいやらしい目で見られてる気がするんだけど…気のせい…?」
「ああ、そうだ。
この前あいつらにじゅりあとのハメ撮りみせちゃって…。
で、あいつらじゅりあで猿みたいにオナニーしまくってるらしくて。
ったく、二次研の名折れだよな」
「じゃあやっぱり、思いきり視姦されてたんだ……。。。
もぉ…なんでハメ撮り見せちゃうかなぁ…」
「だよなぁ―――、あいつらだけはじゅりあとヤらせる気なかったのに……うう」
「…でも土井くんたちじゃお金とれなくない?」
「うんまあ、そこは、1回目はタダってことで!
2回目からはちゃんと金取るから!
絶対盛り上がるって!!じゅりあのモン姫コスで5P!!
な、じゅりあ頼むよ!(モミモミ」
「まぁ、裕真が…そこまでいうなら…イイケド…。
うわ、あんたまだいたの…もうじゅうぶん唾かけてやったじゃん…
さっさと帰れよクソ虫!!(ペッ (ペッ (ペッ 」
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●