夏休みの宿題を片付ける方法(サンプル)お題単語男皮モノSS お題『宿題』
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「ちょっとアンタ!もう8月入ったわよ!」
「ん~?・・・だから?」
部屋でのんびり漫画を読みながら寝転んでいると、姉ちゃんが部屋にズカズカ入って来た。
「夏休みは7月から始まってんのよ!?」
「うん・・・だから?」
「だ、か、ら~・・・・・・夏休みも半分が過ぎかけてんのに、まだ宿題に手を付けてないのかっつってんのよー!」
「ぐあああああっ!!?」
姉ちゃんが卓袱台をひっくり返す。ジュースはペットボトルだったからまだ良かったものの、スナックは床にぶちまけられて調味料の粉が飛び散ってグチャグチャだ・・・
「いい加減にしてよ!毎年毎年一週間前ぐらいまで放置して~・・・お母さんの命令で毎年手伝わされるこっちの身にもなってよ!」
「え~・・・だってせっかくの長期休みなんだから遊べないと勿体ない・・・」
「ぬわぁにが『せっかくの長期休暇』だ!普段の休日と変わらずゴロゴロ漫画読んでるだけの癖に!!」
「ぐっ・・・」
確かにインドア派の僕は、どこか出掛けたい場所も特に無い。オタクには聖地巡礼という旅行のモチベもあるけど、他の季節ならまだしもこんなクソ暑い中どこかに行きたいなんて全く思わない。運動部じゃなくて良かったとつくづく思う。学校への行き帰りだけでも死ねる。
「ふー・・・どうやら、最終手段を講じる日が来たようね・・・」
「さ・・・最終手段?」
「弟よ、あなたは不思議に思わない?」
「何を?」
「このお姉様も同じ自堕落なクソオタクの割に、毎年最初の一週間で宿題を終わらせている事を!」
「あー、そういえば・・・とっくに終わってるんだから僕の宿題を見てやれってお母さんが言ってるのを聞いたような・・・」
「今まではアンタには使えない手段だったけど、良いツテが出来てね・・・これならアンタにも私と同じ勉強方法を実践させられるわ!」
「へー?そんな魔法みたいな方法があるの?是非使ってみたいな~」
勉強は面倒臭いけど、早く終わらせられるってんなら僕としても願ったり叶ったりだ。
「言 っ た な ?」
「ひっ!!?」
「二言は無いな!?」
僕の軽口に、姉ちゃんの視線がギラリと光る。あまりの圧力に、僕は思わずコクコクと無言でうなずくしかない。
「じゃあ早速・・・脱げ!」
「・・・はい?」
「服を脱げ!」
「はい!!?!?」
「良いから脱げ!別の物を着せるんだよ!」
「わーっ!!?やめて!僕は弟だよ!!」
「安心しろ!お前のロクに運動しない貧相な身体なんかに欲情などせんわ!!」
「それはそれで男としてショックーだけどー!」
痺れを切らしてボタンに手を伸ばす姉ちゃんを何とか落ち着かせながら、渋々自分の手で服を脱ぐ。
下着も脱いで全裸になれとまで言われてまた躊躇うけど、異性としての情緒の欠片も無い姉の無表情に観念して、黙って遂行した・・・
「こいつを着なさい!」
「へ!?こ、これ・・・何!?」
僕に手渡されたのは、首から下の全身タイツだ。股間部分以外がちょっと日に焼けた感じの健康的な肌の色を模した、妙にリアルな出来だ。表に向けると中身の無いフニャフニャなチンコも付いてるし、うっすらと割れた腹筋も作られ、乳首も突き出ている。まるで本物の皮膚みたいだ。
「これを・・・着るの?」
「そうよ?ただでモテモテボディを手に入れられるなら悪くないでしょ?」
ま、まぁそう言われると悪い気はしないけど・・・でも姉の前でこれを着させられるのはどんな羞恥プレイ・・・
気恥ずかしがりながらチラリと姉ちゃんの方を見るけど、無表情で微動だにしない。
本当に僕の裸に対して何とも思っていないんだという事が嫌でも分かり、こっちが意識するだけ無駄な気がして、大人しく背中にある腰まで伸びる裂け目を開いてタイツに脚を入れる。
ペラペラのタイツの脚に僕の脚を通すと、厚みがあるのか元の脚より太く、そして筋肉質で筋張った脚に替わる。
凄い・・・ペラペラの状態の時からリアルだと思ったけど、着てみると更にリアリティが増す。内側はシリコンみたいな感じだけど、本当に作り物の皮膚なのか?
「うっ・・・」
両脚を入れ、ペニスサックのような股間部分に自分のチンコを入れるのに、少し悪戦苦闘する。フニャフニャのチンコをペラペラのチンコに入れようにも柔らかい同士で上手く合わない。
試行錯誤をしている内に自慰みたいにチンコを擦ってしまい、少し勃起し始めてしまう。だけどそれで自分のチンコが少し硬くなったので、ようやくペニスサックに上手く入った。一回り太く立派なチンコになった。
こんな吐息も絶え絶えな羞恥プレイを見ても微動だにしない姉ちゃんが末恐ろしい・・・
もう姉ちゃんは気にせずさっさと着よう。そう思って裂け目から手も入れていく。腕も少し筋肉質で太くなり、おなかには腹筋が浮き出す。触ってみるとしっかりデコボコしていて、これが自分の本当の身体だったら自慢になる。
ひょっとしてこうやって自己肯定感を上げる事で勉強への意識も相乗的に上げようとしてるのかな?なんて思っていると―――
「わっ!!?」
後は背中を閉じるだけになったタイミングで顔を上げた途端に、顔を何かに覆われて視界が暗くなる。顔だけじゃなく頭部全体に何かに触れている感触がする。覆面らしき物を被せられた?
「ん~っ!?む~!!?」
「すぐ整えてあげるから大人しくしてなさい!」
姉ちゃんに不機嫌そうな声で命令され、肌に重なる覆面が上下左右にグニグニ動いて本物の顔と擦れ合うのを大人しく味わう。
(あ・・・)
色々弄られていると、薄く開いた目の前に穴がずれ込み、外が見え始める。
「目を瞑ってなさい」
覆面とのズレで肌が突っ張る感覚も無くなって来た所で新たな命令が下り、大人しく目を瞑る。口や瞼に丁寧に覆面の一部が押し付けられる感覚がした。
「ひゃっ!?」
「黙って動くな!」
覆面を整えるのが終わったかと思ったら、急に首周りに液体か何かが触れたような感覚がした。姉ちゃんの声で大人しくしていると、裂け目があった背中も閉じられて同じ液体が触れる感触がした。
「ふー・・・完了!鏡を見てごらん!」
姉ちゃんがやり切ったような溜息を吐き、目を開けて良いと言う。
目を開けると、姉ちゃんが部屋のタンスの扉を開けて鏡が見えるようにしている。
「えっ・・・!!?」
僕は息を呑んだ。鏡に映っているのは僕のはずなのに、僕じゃなくなっていた。
少し長い短髪に切り揃えた清涼感のある黒髪、ガッシリした顎の細面、男らしい太眉、真面目そうな切れ長の目・・・
身体も筋肉質なスポーツマンで、まるで僕と似ても似つかない少年が、僕と鏡合わせの位置に立っていた。
「だ、誰だ!?・・・いや、僕は知っている。この顔を知っているぞ!」
左頬をツンツンと触ると、鏡の中の彼も同じように触れる。動揺して呆けたように口を開ける鏡の中の少年は、僕の知らない顔じゃなかった。だけど、現実世界で出会った顔ではない。
「これ・・・もしかして『ポロマリン』に出て来る若狭雅樹!?」
『ポロマリン』とは、漫画雑誌『週刊少年キャプテン』で連載中の水球を題材としたスポーツ漫画だ。少年キャプテンのスポーツ部門を担っているような人気作品で、比較的最近始まった連載だけど雑誌全体でNo.1人気の異世界航海冒険漫画『ガレオン・オデッセイ』にも引けを取らない。
若狭雅樹はライバル校の1つ・進学校で有名な石菅高校水球部の副部長だ。学年だけ見れば僕の一つ上の先輩だ。
2クールだけ製作済みのアニメにはまだ登場していないんで声は分からないけど、少なくとも僕の腑抜けた声がこの顔の口から出るのは違和感がある。
細々解説してしまったが、要は『進学校の生徒』そっくりに作った着ぐるみを着せられたのだ。漫画より現実に近付けている分リアルな顔立ちだけど、面影は見分けが付く程しっかりある。
「どう?そっくりでしょ?ほら、私の部屋から姿見持って来たよ!」
そう言って姉ちゃんは少しズラした卓袱台の前に姿見を置いた。
「さ、とりあえず宿題のドリルを開いて少しでも手を付けなさい!」
「う・・・分かった・・・その前に服を・・・」
ここで渋れば遠慮なく僕のカバンを漁ったり身体を掴んで無理矢理動かしたりするだろうから、大人しく姉ちゃんの指示に従う。
「う・・・キツい・・・」
僕の本来の姿はヒョロヒョロの割に長身だから若狭先輩との身長差は多分ほとんど無いけど、ガタイは筋肉で盛られている。若狭先輩の身体を着る前に元々着ていた服を身に付けてみるけど、緩めのトランクスやハーフパンツはギリギリ大丈夫だけどシャツやTシャツはパツパツだ。自分の身体じゃなくなった事は嫌でも分かる。
(う~・・・)
僕の成績は可も無く不可も無く・・・やれば別に躓いて進まないって事はあまり無いけど、量の多さで面倒臭いという気持ちが上回って中々手に付かない。
3,4時間かけて姉ちゃんに睨まれつつ何とか一番得意な理科のドリルは終わらせたけど、まだ現代文、古文、日本史、世界史、英語、そして最も苦手な数学二種のドリル、更にドリル以外の宿題も色々残っていると思うと、終わりが見えなくて気が滅入り出した・・・
「はー・・・ちょっと休憩・・・」
「・・・ま、良いでしょ。今日はせめてもう一冊ドリルを片付ける事!」
(出来ればこれで終わりにしたかったんだけど・・・)
姉ちゃんが出て行く様子は無い。僕がドリルを解いている間に自分も半年後の受験に向けて赤本を開いて受験勉強をしている。・・・確かに人生のターニングポイントである受験シーズンにも僕の宿題を手伝わされるのはキツいよな・・・ちょっと罪悪感が湧いた・・・
「頭使ったんで栄養補給・・・」
ベッドにゴロンと横になりながら、袋詰めのチョコの個包装を剥く。間食はする方だけど太らないのは僕の数少ない取り柄の一つだ。しかし―――
「うっ・・・」
卓袱台を挟んだベッドの反対側に姿見は立ててある。そのため、顔を横に向けたらすぐ今の自分の状態が目に入る。自分の姿をしていない自分の状態が。
(若狭先輩がお菓子食べながらゴロゴロしてる・・・)
鏡に映る僕じゃない少年の姿に背筋が凍る。栄養士を進路の一つとして視野に入れている若狭先輩はドリンクや合宿時の食事メニューも取り仕切っていて(味はあまり気にしないので微妙なのが部員の不満点)、どう考えてもこんな風にお菓子を食べながらゴロゴロするような人間じゃない。いや、架空の人間だけど。
解釈違い・・・普段の僕の行動と若狭先輩の姿が全く噛み合わなくてゾワゾワする・・・
思わず、もう一回菓子の袋に伸ばそうとしていた手を引っ込め、上体を起き上がらせる。
「お?効果が出てきたようね」
僕の動きを見て、姉ちゃんがムカつくしたり顔をしている。
「まじめに勉強するタイプのキャラの姿でサボるの、罪悪感が凄いでしょ?受験生の私の手を煩わせるより」
「ぐっ・・・」
そういう事か・・・と、僕を若狭先輩の姿に化けさせた真意を理解する。ついでに一応受験生に悪かったなと思っていた事も見抜かれた・・・
姉ちゃんも漫画に登場する真面目に勉強するキャラや才女キャラのコスプレをして勉強をする事で、コスプレ相手のキャラがサボっている所は見たくないとケツを叩き、最小限の休憩だけで宿題を早々に終わらせたりテスト前の追い込みをしたりしているとの事だ。
顔とかは僕のままの普通のコスプレだったら僕には通用しなかった方法だけど、最近、今の僕のように更にリアルなコスプレを追及出来るツテを得たらしく、試作品の実験台がてら僕に化けさせたようだ。僕が宿題をやるようケツを叩くのに使えて一石二鳥だと。
「言っておくけど、姿見を見ないようにする気だったら、姿見の置き場所を変えるなり首を向けさせるなりして無理矢理見させるから」
「ぐっ・・・」
どうやら逃がしてくれる気は無いらしい・・・
「お父さん達には話を通してあるわ。そもそもお父さんのツテで手に入れた着ぐるみだし。だから遠慮なく、宿題が全部終わるまで脱がせないから!」
「はぁ!?勉強する時だけじゃなくて、ずっとこのまま!?」
「食事はもちろん排泄も普通に出来るし、原理は良く分からないけど身体を洗う時もちゃんと中の体まで洗えるみたいよ。それがちゃんと機能するかも試して欲しいって言われてたから丁度良かったわ」
「こっちは何一つ丁度良くないんですけど・・・」
首周りや背中の目立たない境目を確認すると、やはり裂け目が開かない。あの液体の感触は接着剤だったか・・・素肌にはくっついてないみたいだけど・・・
「いや、こんな着ぐるみ普通に思いっ切り引っ張れば裂けて・・・」
試しに頬を引っ張ってみると、仮初めの皮膚がズレて本物の唇や瞼が剥き出しになる。やはり接着剤でくっついているのは着ぐるみの境目の生地同士だけで、素肌とはくっついていない。
「もちろん引っ張れば破れるけど、意図的に破ったら何十万かする製作費弁償させるから」
(生々しくて現実的な方法で防がれた・・・!)
姉ちゃんの容赦の無い一言を聞いて、頬から慌てて手を離す。バイトもしていない学生に、何十万も弁償させると来るか・・・もしこの着ぐるみを手に入れたツテで弁償代分バイトさせるという事になったら、一体何をやらされるのか・・・
どうやら夏休みの宿題を終わらせるまで、若狭雅樹先輩と文字通り一心同体でいなければいけないらしい・・・・・・
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