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10年ぶりに、私はおじいちゃんの村に来た。
子どもの頃は、両親に連れられて毎年夏休みに訪れていたが、ある年からなぜか行かなくなった。
その理由は、わからなかった。
はじめは何度か両親に訊ねたが、はぐらかされるうちに、私自身すっかり忘れていた。中学生になると、友だちと遊びに行くほうが楽しくて、おじいちゃんの村に行きたいとは思わなくなった。
そんな私が大学生になり、ひとり暮らしを始めた頃、おじいちゃんから手紙が届いた。
なんだろうと思い開封すると、遊びに来いという内容だった。
両親には知らせるなという追記を怪訝に思ったが、懐かしさのほうが勝ち、電車とバスを乗り継いでたどりついた村。
その村はずれには、昔と変わらず、いっぷう変わった像があった。
おかっぱ頭のセーラー服女学生を、大まかにかたどったような金属製の像。村を訪れるのは10年ぶりなのにピカピカで、まるでつい最近設置されたかのようだ。
よほどこまめに手入れされているのか。あるいは、毎年作り変えているのか。
子どもの頃は、そんな話は聞かなかったが。
おじいちゃんの家に向かう道すがら、立ち止まってその像を眺めていると、いつのまにか私の背後に老婆が立っていた。
「おまえさん、源爺の孫娘かの?」
「はい、そうです……けど」
私が答えると、老婆が皺だらけの顔を、さらに皺くちゃにして笑った。
「助かったわ、よう引き受けてくれたのう。今年は悪しきものから村を護る女学生像の中身たる成人した娘が足らず、困っておったのじゃ。なぁに、長い人生のなかのたった1年の務めじゃ。よろしく頼むぞよ」
「えっ……?」
わけがわからず、訊き返した直後、首すじにチクリと痛みを感じ、私は意識を失った。