Previous Post

(SS)4本足の後輩ちゃん

Next Post
(SS)4本足の後輩ちゃん
1 / 3
DESCRIPTION

俺は重い瞼を開け目を覚ました。枕元のスマホを手繰り寄せ、薄目を開けて画面を睨みつけると、デジタル時計の数字は正午だった。遮光カーテンの僅かな隙間から白い夏の日差しが一本の線となってフローリングに落ちている。

昨夜の居酒屋でのアルバイトは、まさに地獄の様相を呈していた。金曜日の夜、近隣の大学のサークルと思しき大人数の宴会が三件も重なった。ジョッキを運び、空いた皿を下げ、酔っ払いの理不尽なクレームに頭を下げる。その終わりのないループから解放され、この六畳一間のアパートに辿り着いたのは、空が白み始めようかという時間だった。

あと三時間は泥のように眠っていたい。そう思い、再び重い瞼を閉じようとした矢先だった。

『ピンポーン』

無機質な電子音が、静まり返った部屋に唐突に響き渡った。気のせいだと思いたかった。幻聴であってくれと願った。しかし、無情にも数秒の間隔を置いて、再びチャイムが鳴らされる。

『ピンポーン、ピンポーン』

今度は少し急かすような連続音だ。俺は重い掛け布団を蹴り飛ばし、軋むベッドから体を起こした。乱れた黒髪を無造作に掻き毟り、鼻眼鏡になりかけていた黒縁眼鏡を中指で押し上げながら、のろのろとした足取りで玄関へと向かった。

ドアスコープを覗き込むまでもなく、訪問者の見当はついていた。この暑い休日の昼下がりに、アポ無しで俺の部屋に突撃してくる人間など、片手の指で数えるほどもいない。その中でも、これほどまでに執拗にチャイムを鳴らすのは一人だけだ。

ガチャリと鍵を開け、重い鉄製のドアを押し開く。

「先輩! やっと起きましたかー!」

むわっとした夏の熱気とともに、甘ったるいストロベリーの香水と、フローラル系の柔軟剤の匂いが鼻腔をくすぐった。視線の先には、まるで中世ヨーロッパのお茶会から抜け出してきたかのような、現実離れした少女が立っていた。

淡いピンク色を基調とした、過剰なまでにフリルとレースがあしらわれたドレス。頭には大きなリボンが鎮座し、綺麗に巻かれた茶髪のロングヘアがふんわりと肩に掛かっている。手には日傘、足元は厚底のストラップシューズ。いわゆる「姫ロリ」と呼ばれるファッションに身を包んだ彼女――香取アスカは、俺の顔を見るなり、ぱぁっと花が咲いたような満面の笑みを浮かべた。

「……アスカちゃん。俺、昨日遅番だって言ってなかったか?」

寝起きの掠れた声で、わざと不満げな態度を作ってみせる。実際、身体の芯にはまだ確かな疲労が残っているのだ。

「えへへ、言ってましたよ。でも、先輩の顔が見たくなっちゃって。それに……」

アスカは全く悪びれる様子もなく、むしろその大きな瞳をキラキラと輝かせながら、背中に隠していたコンビニのレジ袋を俺の目の前に突き出した。

「じゃーん! お疲れの先輩のために、私が特製セットを買ってきてあげました!」

袋の中を覗き込むと、高価な部類に入る疲労回復の栄養ドリンクが数本と、コンビニ弁当の中でも一番ボリュームのありそうな幕の内弁当、そしてデザートのプリンまで入っていた。

「先輩、昨日LINEで『マジで死ぬ、足パンパン』って言ってたじゃないですか。だから、これで元気出してもらおうと思って!」

得意げに胸を張るアスカ。そのドレスの胸元は、彼女の華奢な体つきやあどけない顔立ちからは想像もつかないほど、豊満な双眸によって大きく持ち上げられている。ロリフェイスに巨乳という、まるで二次元のキャラクターのようなアンバランスな魅力。それに加えて、この甲斐甲斐しさだ。

他人に対しては常に分厚い壁を作り、決して本心を見せようとしない彼女だが、俺の前にいる時だけはこうして無防備に甘え、尻尾を振る子犬のように懐いてくる。彼女が抱える、誰にも言えない「秘密」。それを偶然とはいえ知ってしまった俺に対して、彼女は恐怖や拒絶ではなく、絶対的な信頼を寄せることを選んだのだ。

「……気ぃ利くじゃん。ありがとな。ちょうど腹減ってたし、助かるわ」

俺がそう言ってぽんぽんと頭を撫でてやると、アスカは目を細め、頬を紅潮させて「えへへぇ」とだらしない声を漏らした。この嬉しそうな顔を見せられては、これ以上不満を口にする気にもなれない。

「ほら、暑いから早く入れよ」

「はいっ!お邪魔しまーす!」

アスカは日傘を畳み、玄関の土間に足を踏み入れた。そして、器用な動作で厚底のストラップシューズの留め具を外し、靴を脱ぐ。

その足元に、自然と俺の視線が落ちる。

真っ白なレースのハイソックスに包まれた、小ぶりで可愛らしい足。一見すると何の変哲もない女の子の足だが、よく見ればその「違和感」に気づくはずだ。

普通、人間の足の親指は、両足を揃えた時に内側にくる。しかし、今玄関マットにのったアスカの足の親指は、どちらも「外側」を向いていた。右足の親指は右外側に、左足の親指は左外側にあるのだ。

それは彼女が、普通の人とは異なる身体の構造を持っているからに他ならない。

「よいしょっと」

靴を綺麗に並べ、アスカはトコトコと軽い足音を立てながらフローリングの廊下を進み、俺の部屋へと入っていく。俺もドアの鍵を閉め、彼女の後に続いた。

部屋に入ると、アスカは一直線に俺のベッドへと向かい、その端にちょこんと腰掛けた。冷房の温度設定を少し下げながら彼女を見ると、アスカはすでに次の行動に移っていた。

彼女はふわりと広がったドレスのスカートを両手で少し持ち上げ、太ももの外側あたりに手を入れる。そこには、外出時に彼女が必ず行っている「儀式」のための装具があった。

「ふぅ、やっぱりこれ外すと落ち着きますね〜」

カチッ、カチッ、というプラスチックのバックルを外す音が部屋に響く。それは、彼女の「外側の足」を折り曲げて固定するための、特注の柔らかいバンドだった。痛くない程度に、しかし歩行の邪魔にならないようにしっかりと固定されていたそのバンドが外されると、ドレスの裾の下から、今まで隠されていたもう二本の足が、するりと滑り出てきた。

ベッドの縁から、白いハイソックスを履いた計四本の足が、だらんとぶら下がる。

香取アスカという少女の身体は、極めて特殊な構造をしていた。結合双生児とは異なり、上半身は完全に一つ。しかし、腰のあたりから下部に二つの完全な下半身が並んで存在しているのだ。

横に並んだ二つのおへそ。なだらかなカーブを描く二つの下腹部。そして、二つの股間。そこには、排泄器官も生殖器官も、それぞれ独立して二セット分備わっている。そして当然、それぞれの骨盤から二本ずつ、計四本の足が生えている。

彼女が常に姫ロリのような、パニエを何枚も重ねて極端にシルエットを膨らませたドレスを着ているのは、単なる趣味だけではない。この四本の足と、横に広い特殊な下半身のボリュームを、周囲の目から完全に隠し通すためなのだ。

外出時は、外側の二本――右下半身の右足と、左下半身の左足を膝から折り曲げ、太ももに沿わせるようにして専用のバンドで固定する。そして、内側の二本の足だけを使って歩く。つまりさっきまで彼女は「右側の下半身の、左足」と「左側の下半身の、右足」を地面につけて立っていて、歩行していたのである。外側の足は普段体重を支えることがないため、内側の足に比べると細く、筋肉の付き方も薄い。だからといって動かせないわけではなく、四本の足すべてにちゃんと神経は通っており、彼女の意志で自由に動かすことができるようだ。

「あー、足伸ばすと気持ちいい……先輩、エアコン涼しいです」

アスカはベッドの上に上半身を倒し、四本の足をパタパタと小刻みに揺らした。内側の少し筋肉のついた足と、外側のほっそりとした足が、不規則なリズムで交差する。初めてそれを見た時は確かに目を疑ったが、今ではもうすっかり見慣れた当たり前の光景だ。その奇妙だがどこか愛らしい動きを眺めながら、俺はローテーブルを挟んで彼女の向かい側に座り込んだ。

「ほら、お前が買ってきた昼飯、食おうぜ。俺マジで限界」

「あ、そうでした! はい、これ先輩の分!」

アスカは身を起こし、ベッドの上からコンビニの袋を俺の方へと押しやってきた。俺はそれを受け取り、結び目を解いて中身を取り出していく。

「お、マジで一番高いユンケルじゃん。弁当も美味そうだし……ん?」

栄養ドリンクの小瓶と、ずっしりと重い弁当箱を取り出した後。袋の底に、何か小さな、四角い紙箱が転がっているのが見えた。弁当のおまけにしては不自然な形状。見覚えのある、大きく「0.01」と書いてある薄っぺらいパッケージ。

俺は無言でその箱をつまみ上げる。

「……アスカちゃん。これ、何?」

「んー? なんですかー?」

アスカは両手を後ろについて身体を支えながら、首をコトンと傾げてみせた。その瞳には、明らかな悪戯の光が宿っている。

「いや、なんでコンビニ袋の中に、ご丁寧にこの箱が入ってんだよ。」

俺が箱を軽く振って見せると、アスカは堪えきれないといった様子で「あははっ」と声を上げて笑った。

「バレちゃいました? コンビニにあったから、お弁当と一緒にスッて入れちゃいました」

「スッて入れちゃいました、じゃねえよ。疲労回復のドリンク買ってきた意味ねえだろ、これじゃ」

「えー? だって、先輩も本当は期待してたんでしょ?」

アスカは立ち上がる。内側の足を床につけつつ、外側の足はゆらゆらと浮いている。四本の足でバランスを取る彼女の姿は、慣れてしまえば何とも思わないが、客観的に見れば異様であることに変わりはない。しかし、今の俺の目に映るのは、そんな特異性すらも凌駕する、彼女の圧倒的なメスとしての魅力だった。

「ほら、先輩の好きな景色ですよぉ」

アスカはニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべたまま、両手でドレスの裾をがしりと掴んだ。そしてそのたっぷりの布地を中のパニエごと胸の高さまでゆっくりたくし上げた。

「……っ」

俺の喉の奥で、ゴクリと唾を飲み込む音が嫌に大きく鳴った。

フリルの海が捲り上げられたその下。白いハイソックスと素肌の境界線。そして何より俺の視線を釘付けにするのは、彼女の特異な身体構造が作り出す、唯一無二の絶景だった。

横に並んだ二つの柔らかな下腹部には、双子のように並んだ可愛らしいおへそ。そして、その下。二つの股間をそれぞれ覆うようにして穿かれているのは、彼女の趣味全開の、小さなリボンがあしらわれたピンク色のショーツだった。右の下半身と左の下半身の股間を包む、二つが繋がった特殊な形状のショーツ。二つの下半身の間の股間には何も無いのでクロッチが不要なのは理解しているが、まるで何も履いていないかのようなエロスを感じてしまう。

「どうですか、先輩。昨日のお仕事の疲れ、一緒に吹き飛ばしてみません?」

アスカは上目遣いで俺を見つめながら、挑発するように腰をくねらせた。二つの下半身が連動して揺れ、ピンクの布地が肌に擦れる。

俺は良く知っている。彼女の二つの下半身はそれぞれ既に準備万端であること。そして彼女は、どちらか一方だけでは満足しないと言う事を。

俺の身体は、数十分前までの鉛のような疲労が嘘だったかのように、急速に熱を帯び始めていた。

fttcll012 PIXIV FANBOX 50 favs
VIEWS1
FILES3 files
POSTEDApr 29, 2026
ARCHIVEDApr 29, 2026