(SS)ヒカルちゃんの苦悩②
通学路の景色は昨日と何も変わらないのに、ボクの身体だけが致命的に変わってしまっている。最初は戸惑っていた3本足での歩行も、何故か気付くと普通に歩けてしまっている。
校門をくぐり、下駄箱へ向かうと、そこには今まで通り、見慣れたボクの靴箱があった。少し窮屈そうではあるものの、ボクの三足のローファーは普通のサイズの下駄箱にしっかりと収まった。
「おっはよー、ヒカル!」
靴を履き替えようとしたその時、背中をポンと叩かれた。振り返ると、同じクラスの男子、鈴木がニカッと笑って立っていた。
その瞬間、下腹部がキュンと甘く締め付けられた。二つの股間にある秘裂の奥が、熱を帯びてとろりと潤むのが分かる。
「あ……お、おはよう……」
上擦った声が出る。ボクのそんな様子を、鈴木は不思議がるでもなく、「相変わらず可愛い顔してんなぁ」と、ボクの頭をぐしゃぐしゃと無造作に撫でてきた。男友達としての雑なスキンシップなのか、それとも女の子をからかっているのか。彼らのボクに対する認識が全く読めない。
「ちょっと鈴木! ヒカルちゃんにちょっかい出さないでよね!」
そこへ割って入ってきたのは、昨日ボクに数学の質問をしてきた女子生徒、佐藤だった。彼女は鈴木を軽く睨みつけると、ボクの腕に自分の腕を絡ませてきた。
「ヒカルちゃん、行こ!」
佐藤の柔らかな胸が、ボクの腕にむにゅっと押し付けられる。そして、並んで歩くために密着してくる彼女の太腿の感触。シャンプーの甘い香りがふわりと漂う。
今度はボクの男としての本能が爆発した。スカートの下、二つの股間に鎮座する肉の棒が、下着の布地を押し上げる感触に頭がクラクラした。
「あ、うん……行こうか……」
男に対し女として濡れ、女の柔らかさで男として勃起している。一人の人間の中に、完全に独立した男女の欲望が同時に存在し、しかもそれが別々に、あるいは同時に激しい主張を始めているのだ。
教室に入ると、クラスメイトが話しかけてくる。
「ヒカル、ここの現代文の訳なんだけどさ」と男子がノートを見せにくる。彼の腕がボクの肩に触れるたび、女としての部分が疼く。
「ねえヒカルちゃん、今日の放課後クレープ食べに行かない?」と女子が顔を寄せてくる。彼女の艶やかな唇や、ブラウスの隙間から覗く白い肌を見るたび、男としての部分が猛烈に昂る。
この世界では、ボクは頭が良くて頼りになる男友達としての側面と、愛嬌があってグラマラスな可愛い女の子としての側面を同時に持っているらしい。周囲の人間は、ボクが男でもあり女でもあるという事実を受け入れた上で、それぞれ都合よく接してくるのだ。
ボクは必死に冷静さを装い、笑顔を引き攣らせながら彼らの言葉に相槌を打った。しかし、スカートの下では地獄のような快感と苦痛が渦巻いていた。膨張した二本の肉の棒は下着の中で窮屈そうにひしゃげ、潤みきった二つの秘裂からは蜜が溢れ出しそうになっている。男女両方の性欲が、ボクという一つの器の中で限界まで膨れ上がっていた。
授業中も、ただひたすらに発情し続ける身体との戦いだった。
少し窮屈な座面に押し付けられる二つの股間。教室中に充満する思春期の男女の匂い。少し身じろぎするだけで、下着の布地が過敏な部分を擦り上げる。
男としての勃起は治るどころかさらに硬さを増し、女としての蜜は絶え間なく分泌され続けている。三本の太ももが複雑に擦れ合うたび、真ん中の足が左右の足に挟まれるような形になり、その根元にある二つの股間を同時に刺激してしまう。
誰にも聞こえないほどの微かな吐息を漏らしながら、ボクは前のめりになり、机に突っ伏すようにして下腹部の熱と膨らみを隠し続けた。
帰りのホームルームが終わり、解放のチャイムが鳴った時、ボクはまるで長距離マラソンを走り終えたかのように疲労困憊していた。
「ヒカルちゃん、一緒に帰ろ!」
「悪い佐藤、今日ちょっと……ボク、急ぐ用事があって」
これ以上誰かと一緒にいたら、本当に気が狂ってしまう。いや、人前で暴発してしまう。
ボクは逃げるように教室を飛び出した。
もはや周囲の目など気にする余裕はなかった。スカートの中で、熱く硬くなった二本の肉の棒が擦れ合い、濡れた秘裂がぐちゃりと不快な音を立てる。下着はすでに分泌液で重く湿り気を帯びていた。
早く、早く帰りたい。
家に着いて、この服を脱ぎ捨てて、誰もいない部屋で、自分の身体を――。
そこまで考えて、ボクは自分の思考にゾッとした。
(ボクは、何をしようとしているんだ……?)
しかし、その疑問すらも、下半身から突き上げてくる強烈な男女両方の性欲の波に飲み込まれ、すぐに消え去ってしまった。二つの股間は、いっそ限界まで暴発させてほしいと悲鳴を上げている。
家の玄関が見えた時、ボクは安堵のあまりへたり込みそうになるのを必死に堪えた。鍵を開け、逃げ込むように家の中へと入る。
ただいまも言わずに、ボクは自分の部屋へと続く階段を全力で駆け上がった。
ドアを閉め、鍵をかける。
静寂に包まれた部屋の中で、ボクは荒い息を吐きながら服を脱ぎ捨てる。既に身体は準備万端になっていた。