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ユリ 中学2年生
いつも通り授業を受けて、空が赤く染まるまで部活して、友達とたわいの無い話をして帰路に着いた筈だった。
「おはよう」
徐々にピントの合っていくユリの視界に映ったのは見慣れた同級生の顔だった。
「山田さん……?」
夢現に寝ぼけた声で同級生の名前を呟きながら、ユリは身体を起こそうとするが、
「あれ……?」
ようやくユリは事態を認識し始める、両腕は背中で組んだ状態から動かせない、視線を下げると胸に食い込む数本の縄を確認する事ができた。
弾けるように意識が覚醒し身を捩らせるように周りを見渡す。
ユリはコンクリートの壁に囲まれた空間にポツリと置かれたベッドの上で寝かされていた。
「私ね、ずっとユリさんにこうしてみたかったの」
未だ現状を認識できず、黙って視線を泳がせるだけのユリに山田さんは話しかけた、瞬間ユリは顔を引き攣らせる。
「ど、どういうこと……?」
「分かってる、いけない事だって、でも我慢できなかったの」
山田さんはユリを無視してそっぽを向き、出口へ向かって歩き出した。
「まって」
何も告げずに去ろうとする後ろ姿を思わずユリは呼び止める、山田さんは不敵な笑みを浮かべ無言で振り返るとじっとユリを見つめた。
「わ……私どうなるの?」
声を震わせるユリに山田さんはますます頬を吊り上げる。
「それはあなた次第よ、ユリさん」
「それってどういう……」
聞き返すユリの言葉を無視して、山田さんは身を返し今度こそ出て行ってしまった、これ見よがしに鍵の閉まる音がガチャリとコンクリートの壁に反響する。
「……」
山田さんの残した言葉の意味は分からない、しかし一つだけ確かな事は次山田さんが戻って来た時ろくなことにならないだろうという事だ、ユリは改めて自分を拘束する縄に視線を落とした。
「山田さんが戻ってくるまえに縄を解かないと」
この犯行はおそらく山田さん1人によるものだろう、相手は同い年の女の子だ縄が解ければユリにも勝機がある。
「んぅ……くっ……」
ユリはガッチリと固められた両腕に力を込め縄を緩めようとぐいぐい軋ませた。
「むっ…………うぅ……」
ギギッ……
ユリの抵抗を受けて縄が乾いた音を立てて軋しむ
「くぅっ……」
ユリは必死に力を込め続けるが、縄に余裕ができる気配は一切なかった。
「んんっ……ふぅ…………はぁ…はぁ…」
それでもユリはもがいた、必死の抵抗に息は上がり不安で涙が込み上げる。
「ダメだ、全然解けない……」
ユリは荒れた呼吸を整えながら縄に視線を落とした、胸の上下に巻き付く数本の縄は緩むどころかもがいた事で余計に体に食い込んでいる様に見えるくらいだった。
「早くしないと戻って来ちゃう」
両手の自由を奪われ拭うことも叶わない涙の粒が落ちた。焦燥に駆られた視線を扉に向けるが、幸いまだ山田さんが帰ってくる気配はない。
「んぅぅ……くそっ……」
ユリは再び身を捩らせ始めた、これでもかと両腕に力を込める、その度に縄がジャージにめり込んだ。
「胸の縄を外さなきゃ」
胸の縄が支えて二の腕を開くことができない、そのせいで手首の縄も抜くことが出来ない、まずは手首よりも胸の縄を外すことが先決だ。
「ふっ…………くっ……」
ユリは胸の縄を外す為、より激しく身を捩り体全体を使ってもがき始めた。
「むっ……くっ…………はぁ…はぁ…」
肩をぐりぐり回したり、僅かに届く指先を引っ掛けて引っ張ったり、状態を逸らしたり、ユリは胸縄を外そうとあらゆる動きを試し必死に身をくねらせもがきた。
「んぅ……むぅぅ…………外れ…てよ……」
しかしユリの胸の上下にしっかりと食い込む縄はどれだけユリが身を捩らせようと、力を込めようと、一向にズレたり緩んだりする気配はない。
それでもユリは諦めずに歯を食いしばり必死に身を捩らせ続けた。
「くぅ…………んっ……んぅぅっ……」
「はぁ…はぁ………はぁ………」
ユリは数十分必死にもがき続けていたがとうとう硬いベッドに倒れ込んだ、結局後ろに回された両腕はピクリともせず、余計にユリの体に食い込み自由を奪っている。
運動部所属で体力や力にはそれなりに自信があるユリだが、その両腕にはもう一切力が入らず、その身をベッドに横たえる事しかできなくなっていた。
ーガチャー
金属音がユリの耳を貫いた。
「お疲れ様、最高だったわユリさん」
山田さんは言うことの聞かない身体を必死に起こして、後ずさろうとするユリを愛おしそうに見つめながら歩み寄った。
「ひっ、やめて……」
顔を引き攣らせて必死に懇願するユリの顔に山田さんはそっと触れた。
「大丈夫よ、もう済んだから」
「んんっ!」
山田さんはユリの鼻と口にハンドタオルくらいの布を押しつけた、後ろ手に縛られ疲れ果てたユリはなすすべもなく、悲痛な呻き声を上げるしかなかった。
「んんぅぅ……ん゙ん゙ぐぅ……」
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「はっ!」
再びユリは目を覚ました、すぐに跳ね起きそこで両手が縛られてないことに気づく。周りを見渡しても山田さんの姿はなかった。
恐る恐る扉を開けてみるもそこにも人の気配ない。
「何だったの?」
拭えない不安を抱えたまま、ユリはその場を後にした。