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リアルこちょこちょ鬼ごっこ
(F/F, FFFFFF/F)
足黒女子高等学校というのは、地元では有名な不良高校だった。
校内を覗いてみれば、名前を書けば入学出来るという都市伝説さえ真実であるかのように思えるだろう。
だが、それは過去の話なのだ。
足黒女子高校は今や進学校である。
なぜ、足黒女子高校は浄化できたのか。
それは、恐怖の鬼ごっこが開催されたからに他ならない──。
◯
誰も予測できぬタイミングでそのアナウンスは校内に流れる。
「今月の鬼ごっこ開始を宣告します。ターゲットは、一年一組沢田さん、一年三組八木さん、一年三組横野さん、二年一組の山口さん──」
名前を読み上げられた生徒は素行不良生徒として認定され、そして──。
「以上の生徒は、鬼ごっこ対象者となります。昼休み終了まで鬼たちから逃げてください。捕まったら罰ゲームです。なお、本日の罰ゲームは"こちょこちょの刑"です」
放送はそこでぶつりと切れた。
教室中が慌ただしくなる。
対象者となった生徒たちが昼ごはんそっちのけで教室を飛び出していく。
皆、捕まりたくないのだ。
捕まれば、鬼たちによるどう考えてもやり過ぎでエグい罰ゲームを執行されるのだから。
罰ゲームを受けた生徒たちはもれなく全員…改心している。
鬼は、比較的勉学に真面目に励む生徒の多い進学コースの生徒たちの中から、立候補者を募って選ばれている。
無論、鬼の細かな情報は非公開だ。
ただ、言えることは鬼たちは皆…学校の評判を落とすような不良生徒たちに対して容赦がないということだった。
「はぁ?ちっ。だるいな…」
"七海ミズキ"は舌打ちをして席を立った。
彼女もまた、対象者に選ばれた一人だった。
ミズキは見た目の良さも強さもピカイチで、校内のカーストトップに君臨し、喧嘩も負け無しだ。
この足黒女子高校生のガンとさえ呼ばれている。
本来ならば真っ先に鬼ごっこのターゲットに選ばれているはずだが、彼女がターゲットに選ばれることはこれまでなかった。
学校側がミズキを恐れて忖度してターゲットから除外しているのではないか。そんな噂も流れていた。
そんなミズキが対象者に選ばれたことで、校内はざわついた。
ミズキは近くの椅子を蹴って、教室から出た。
なんでよりにもよって罰ゲームがくすぐりの時に──。
イライラが止まらない。
これまで、くすぐりの罰ゲームなんてなかったのに。
他人からくすぐられるのは、ミズキが一番嫌う行為だ。
いくら友人からのおふざけであろうともミズキはくすぐりだけは絶対に許さない。
つい口角を上げてしまうのも、変な声を出してしまうのも、あの他人の指がモゾモゾと表皮を這い回る感触も、何もかもが嫌いだ。
廊下の奥に真っ黒いマスクで口元を覆い、真っ黒い制服に身を包んだ異様な風体の女子生徒たちの影が見えた。
鬼だ。
「ちっ。早速か…」
ミズキは立ち止まり、向かってくる鬼どもの方を向き、首を左右に捻った。
そもそもこんな鬼ごっこに真面目に参加する気などない。
かと言って──
ミズキは窓から校門の方を見下ろした。
校門から脱出を図ったのであろう一人の女子生徒が待ち構えていた二人の女教師に取り押さえられているのが見えた。
逃げようとしたらああやって教師たちに取り押さえられるのだ。
今日の門番は、体育教師の多田と音楽教師の宮村だ。
脱走を図った鬼ごっこ参加者の女生徒は、うつ伏せに倒された状態で背の高い多田に馬乗りになられ、引き上げられた両腕をただの膝に引っ掛けるように固定されている。
これで腕を下ろすことは叶わない。
脱走を図った女子生徒は哀れにも無防備な状態でこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと容赦なく腋の下をこちょぐり倒されている。
「ぐぁぁぁあははははははははははははははは!!?わかっだ!!わかったわかったわかったからぁぁぁぁぁっ!!」
女子生徒の悲痛な叫び声は窓越しにも聞こえてくる。
多田の体育教師のくせに器用そうな長い指が愉しげに腋の下をガシガシと掴むように、神経に食い込んでいる。
「ぎゃはははははははははは!!?ギブ!!ギブギブっ!!ギブでいいからぁぁぁぁああははははははははははは!!?」
女子生徒は、パンツが見えているのもお構いなしに両脚を激しくじったばったと暴れさせている。
そこへ、音楽教師の宮村が膝のあたりに座り込んだ。
そして。あろうことか靴を脱がし、プロ級のピアノの腕前を持つその指で足の裏をこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと引っ掻き始めた。
「うわぁぁぁぁああああああああああああああああああはははははははははははははは!!?ちよ!?あっ!?やばいやばいやばいっっ!!!やばぁぁぁぁああああああああ!!!」
もはや女子生徒は悲鳴に近い声をあげていた。そうでもしないと狂ってしまいそうなのだろう。
それでも女教師たちは愉しげにその指を踊らせ、食い込ませ、女子生徒にお灸を据え続けている。
わらわらと、五人の鬼たちが女子生徒を取り囲んだ。
そうだ。
脱走を試みた罰のあとは…鬼たちによる鬼ごっこの罰ゲームが待っている。
二人の教師によってお仕置きされた女子生徒は制服がはだけた状態でひぃひぃと息を切らしている。
声は聞こえないが、自分を取り囲み、両手を突き出して指をモニョモニョ蠢かせている鬼たちに向かって命乞をしているのが分かる。
無駄だ。
鬼たちは──
──容赦しない。
「うぎぃぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!?あっ!!?あっ!!?ああああああああああ!!!無理無理無理無理無理無理無理ぃぃっ!!!うははははははははー!!?」
それはまるでリンチだった。
いや、まるでではなく、リンチである。
指と爪を使ったこちょこちょリンチだ。
女子生徒は長い髪を振り乱し、死にそうな顔をして狂ったように暴れている。
四方八方から伸びる指が女子生徒のウィークポイントであろう部位に喰らい付き、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと嬲っている。
「ターゲット"七海ミズキさん"。そこで大人しくしていなさい」
いつの間にかすぐ目の前まで迫っていた鬼が静かに言った。
「うるせーんだよ。誰に口きいてんの?」
ミズキはいつもの調子ですごんで見せた。
「集団なら勝てるんだろうけどタイマンは流石に調子乗りすぎでしょ。お仕置きしちゃうよ?」
ミズキは拳を鳴らす。
だがそれでも、鬼は動じない。
教室から、廊下中から、生徒たちがミズキの攻防を見つめている。
大勢が見ている前で、恥はかけない。
「言っとくけど、私にはルールとか関係ないから」
ミズキが鬼に向かって一歩、踏み出したその時だった。
「ひゃっ!!?」
突然、背後から柔らかな何かが脇腹に触れ──
──クニュクニュクニュクニュクニュクニュクニュクニュクニュクニュクニュクニュっとリズミカルに脇腹を揉みしだいた。
「ひゃっ!?ちょっ!?ふにゃははははははははははははははははは!?」
力がヘナヘナと抜け、ミズキはそのスタイルの良いボディを左右に振るようにして暴れた。
「ちょっ!?」
ミズキは壁に手をつき、なんとか倒れずに持ち堪えた。
「くそっ。なんなんっ──」
ミズキは振り向くと、そこにいた生徒の顔に思わず絶句した。
他の鬼と同様に黒ずくめであるが、ミズキには分かった。
こいつは同学年の"山原美沙"。風紀委員長だ。
その冷徹さは学内随一であり、どんな些細な拘束違反も許さない。遭遇すれば確実に罰を与えられるとして生徒たちから恐れられていた。
噂では、この鬼ごっこを提案したのも美沙だと云う。
「山原っ!?」
「こんにちは。七海ミズキさん」
美沙は指を開いたまま、両手を前に突き出した。
「ちょっ!?」
その動きに、ミズキはつい腰を引いてしまう。
「おわぁっ!?」
美沙の手が素早く伸び、ミズキの腹をワシャッとひと掻き、さらにもう片方の手が横っ腹をこちょりっとひとくすぐりする。
ミズキは子供のような悲鳴をあげて飛び上がった。
周囲の注目がさらに集まる。
「ちっ!見てんじゃねぇよ!!ひゃあっ!?」
ミズキが周囲を睨むと、
今度は胸のあたりをこちょこちょと不意打ちでくすぐられた。
「なっ!?うぜぇんだよっ!!」
ミズキは声を裏返して怒鳴った。
何故か、美沙のくすぐりはいちいちくすぐったい。
まだほんの少し、触れられているだけなのに。
「見つけられてよかった。貴女を探してたから」
美沙は冷静に、静かにそう言った。
「はぁ!?」
「今回の罰ゲーム…くすぐり地獄は私が考案した。確実に貴女を更生出来るように」
「な、なんだよそれ…こ、こちょこちょなんかで私をやれると思ってんの!?」
「怯えてるように見えるけど?」
美沙はそう言って一歩、ミズキに近づいた。
ミズキは反射的に後退してしまう。
「爪を伸ばすのって本来は校則違反だけど…今回は特別に許可をもらって少しだけ伸ばさせてもらった。爪に厚みを出すためにマニキュアも塗ってある。爪ってこれくらい伸ばしておくのが一番…くすぐりには効果的なんだよ」
美沙は自分の丸く尖った形に整えられた艶々の爪を眺めた。
「分かるよね。貴女を仕留める準備が出来てるってこと」
「は、はぁ!?そんなので本気で…うぁっ!?」
美沙の手が、ミズキの腋の下を突いた。
速すぎて目視できない。
「くそっ!!マジで殺す…!!」
これ以上、見せ物になってたまるか。ミズキは拳を握りしめた。
ミズキがその拳を突き出そうとした時──
美沙の両手がズイと素早く飛んできて、ミズキの横っ腹に爪を立て、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょっ!!!っと掻き回した。
「はえっ!!?あへへへへへへへへへへへっ!!?」
横っ腹に蟲が這い回るようなくすぐったさが走り、ミズキはくねくねと奇妙なダンスを踊らせ、後方にバランスを崩す。
バランスを崩したミズキはどんっと背後にいた鬼にぶつかった。
「はっ!!しまっ…」
背後から、ズクリと両手が腋の下に差し込まれる。
「ちょっ!!?」
柔らかくてしっとりとした嫌な指の感触が脇の下に走る。
そしてその指どもは…
モニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョっ!!!っと腋の下をほぐすようにくすぐった。
「ちょぉおおおおおっ!!?」
ミズキは情けない声をあげ、がくんと崩れ落ち、膝をつく。
そこに。
前方から伸びてきた美沙の手が腰骨を捕まえた。
「はぅっ!?」
グリッ!!っと親指が腰骨の窪みに押し込まれる。
「ぎゃっ!!?」
異様な脱力感を含んだくすぐったい一撃が腰骨に注がれ、ミズキはびくんっと腰を浮かせ、そのまま力が抜けて仰向けに倒れた。
「くっくそっ!!?」
ミズキがなんとか起きあがろうとすると、腋の下に手を差し込んだままの鬼がまた指をモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョモニョ!!っと動かした。
「おひょひょひょひょひょひょっっ!!?」
ミズキはビクビクと手脚を痙攣させ、なんとか指から逃れようともがくが、そうすると美沙が腰骨をさらにグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリッ!!っとほじくってくる。
「ひぃぎぃぃぃいいひひひひひひひひひっ!!?い、いい加減にぃぃっ!!ぃひひひひははははははははははは!!?」
ミズキがギロリと美沙を睨むと、そこで二人の指がピタリと止まった。
「はっ!?」
まさか今更脅しが聞いたのかとミズキが唖然としていると──次の瞬間…
腋の下に差し込まれた指がゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ!!っと神経をくすぐりほぐし、
腰骨の親指がグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ!!っとツボをえぐった。
「はっ!!?うわぁぁあはははははははははははははははははははははは!!?ぎゃーっっははははははははははははははははははは!!?」
油断し切って緩んでいた身体に注がれるこちょこちょの暴力。
ミズキのくびれた腰がねじれ、長い脚がばたばたと暴れる。
「くすぐりには緩急が大切だからね」
美沙はそう言いながら、今度は横っ腹をカリカリこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと素早くくすぐり回す。
もちろん、脇の下ゴニョゴニョも続いている。
「あひゃひゃひゃっっ!!?ふ、ふざけんなぁぁぁぁあああっ!!!っっははははははははははははははは!!?いひひひひはひひ!!?」
美沙の爪がカリカリと横っ腹を引っ掻くたび、ゾクゾクとした寒気を含むくすぐったさが刻まれる。
腋の下をゴニョゴニョと揉むように、ほぐすようにくすぐられるたび、ミズキの身体から体力と筋力とが吸い上げられていく。
ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョ!!
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!
「あああああああっ!!?あははははははははは!!?やめっ!?やめぇぇぇぇへへへへっ!!?えへへへへへはははははははははははははは!!!」
ミズキが二十の指によるこちょこちょ攻撃に無様に暴れ、悶えている間に──
──ぞろぞろと鬼たちが現れ、ミズキを取り囲んでいた。
その数は、十人。
鬼たちは両手を突き出し、ウニョウニョこちょこちょと指をうねらせている。
見ているだけで悶えてしまいそうな光景だった。
「はぁはぁっ!!ふざけんっっにゃあっ!?」
ミズキがなんとか起きあがろうとすると、また腋の下をモニョリと揉まれ、神経に指先が食い込んで力が抜ける。
「七海さん。潔く改心して」
美沙が奇妙なくらい優しい口調で言った。
「はぁはぁっ!!!だ、誰がこんなっ…!誰がこんなっっ…」
「そう。じゃあ…」
美沙が手を挙げる。
それを合図に、待機していた十人の鬼たちが一斉にその手をミズキに伸ばし──
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょーっ!!!っとくすぐった。
「ひっ!?うわぁぁぁぁはははははははははははははははははは!!?やめろぉぉぉっっ!!!ってあれっ!?」
ミズキは確かに感じた。全身を這い回る百の指の感触を。そのくすぐったさを。
だが、まだ指は一本も触れていない。
百の指は、ミズキに触れるか触れないかのところでこちょこちょと蠢いているだけだった。
「なっ!?なんっっ…」
「七海さん。お仕置きの時間だよ」
美沙がぱちんと指を鳴らす。
その瞬間──
「ひっ!?」
百の指が、ぐわぁっと首に、腋の下に、肋骨に、横っ腹に、お腹に、脇腹に、足の付け根に、足裏に喰らい付き──こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉーっ!!!っと全身をくすぐりつくし始めた。
「ぎょぇええええええええええええっっ!!?うわぁぁぁぁぁあはははははははははははははははははははは!!?や、やめっっ!!?死ぬっ!?うわぁぁぁあははははは!?はは!?はははは!?はははははははははははーっ!!?」
十人の鬼たちに埋め尽くされながら、ミズキは壊れたように暴れる。
あらゆる方向から指が伸び、爪を使って引っ掻いたり、指先や指の腹で揉んだりしてくる。
逃げ場など、ない。
「これに懲りたらしっかりと校則を守って生活すること。わかった?」
腹部に爪を立て、ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャと掻き回しながら美沙が言った。
「かははははははははははははははははっ!!?ふ、ふざけにゃってっ!!言ってんっっだろぉぉぉっっ!?かはっ!?っはははははははははははははははははははは!!?」
苦しい。だけど、こんなものに屈するなんてプライドが許さない。
無数の指に埋め尽くされ、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと嬲られながらもミズキは怒鳴って見せた。
「全く…もう少しお仕置きが必要みたいだね」
美沙はため息を吐き、シャツを捲りあげた。
そこから、するすると美沙の手が、無数の指たちが入り込んできた。
「ちょっ!!?ちょっ!!?何やってっ…!?」
生の表皮に、いくつもの指の感触が、爪の感触が走りそして──
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉーっ!!っと容赦なく素肌を這い回り始めた。
「にょぉぉぉぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!?やばいやばいやばいやばいぃぃぃぃぃぃっ!!!いやぁぁぁぁぁぁあああああああーっ!!!!」
悍ましいものでも見たかのようなミズキの絶叫が廊下に響き渡る。
ひんやり冷たくてスベスベした指が、ツルツルとした硬い爪が、腋の下をこちょこちょ引っ掻き、胸をワシワシと掻き回し、脇腹をモニュモニュと揉み、腹部をゴショゴショと泡立てるようにくすぐる。
「ひぃぃぁあああああああああああああああああああああああああーっっ!!?やめっっ!!?やっっ!!?やめろやめろやめろやめろぉぉぉおおおおおおっっっ!!!っっはははははははは!!?はははは!?ははははははははは!!?」
素肌に他人の指や爪が這い回っているだけで狂いそうなのに、それに加えてさっきよりもきょうれつになった強烈になった くすぐったさが染み込んできて、死にそうだった。
「楽しそうじゃんか」
大人の女の声がした。
鬼たちのこちょこちょが止まった。
「はぁはぁはぁっ!!!な、なに…!?」
ミズキは息を切らし、声のする方を見た。
体育教師の多田が、ミズキを見下ろしていた。
「はっ!!?」
真っ赤だったミズキの顔から、血の気が引いていく。
さっき見た校門前の処刑が頭をよぎる。
「七海ぃ。あんたいっつも授業サボって…しかも私の言うことも聞かないよねぇ」
多田は、ミズキを跨ぐようにした。
「お仕置き…しておかないとね」
多田が腰を下ろし、ずしんっと長身で筋肉質の多田の体重がミズキの腰あたりにのし掛かる。
「ぐぇっ!!?」
「良い子になれるように…先生が手伝ってあげるから」
多田は、その大きな手に揃う体育教師とは思えない柔らかくて長い指をこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと踊らせた。
「ひっ!?ちょっ!!?もういいっ!!もういいからっ!!くすぐりはっっ!!」
ミズキは目に涙を浮かべ、必死に首を横に振る。
だが、鬼に押さえつけられており逃げることは出来ない。
「遠慮すんなよ。いつも通り反抗して良いんだよ?」
多田の指が迫ってくる。
ヤバい。
明らかに、ヤバい。
指を見ているだけで分かる。
こいつのくすぐりは多分──人が死ぬやつだ。
「や、やめっ…は、反省してるから…はんせい…」
もはや完全にミズキの心は折れていた。
ミズキはもはや、魂の抜けた死体。
死体となったミズキの身体そのワキのあたりに──
「こぉちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉーっ!!!」
多田の大人の長い指が喰らい付き、ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョと指先でほぐすようにくすぐり処し始めた。
「ひぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!?ごめんなさいごめんなさいごめんさぃぃぃぃぃっっ!!!いひひひっ!!?いひゃぁぁぁあああああああああああ!!?」
ミズキは喉が潰れるほどの叫びを吐き出した。
体育教師"多田あゆか"の大人の指が滑らかにうねり、指先と爪の先で腋の下を掻きむしる。
「あへへへへへへへっ!!?うへへへへへっ!!?おひょおおおほほほほほほほほほほほほほっ!!?おほほほほははははははははははははははははははははははははははーっ!!?」
いくらもがいても指からは逃げられない。
まるで巨岩の下敷きにされた状態でこちょこちょされているようで、気がおかしくなりそうだった。
「可愛い顔できるんじゃんか。ほらほら先生にもっと見せな?」
多田はその大きな手を肋骨に滑らせ、肋骨の隙間に指を食い込ませると、指先でゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュと神経をほぐしくすぐった。
「はぎゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああっ!!?うああああははははははははははははははははははは!!?うへへへ!?うへっ!?やべっっ!!?もうやべでぇぇぇぇぇっっ!!!」
ミズキの身体がびくんびくんと暴れ、甲高いメスの声が上がる。
息が出来ない。
指先が肋骨の隙間に食い込むたび、意識がぶっ飛んで狂いそうになる。
「これからは悪さしないって誓うか?」
多田は脅すように指先に力を込め、さらに肋骨の隙間の神経を犯す。
ゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュゴリュっ!!
「あーっっ!!?あはははははは!?あはははははははははははははははははははははは!!!ちかうっっ!!ちかうちかうっっ!!ちかいますぅぅぅぅっっ!!!あはははははははははははは!!?」
目からは涙を飛び散らせ、鼻からは鼻水を垂らし、口からは唾液をぶちまけながらミズキは叫んだ。何度も何度も。
「よろしい。そろそろだな」
多田は大きな手で鼠蹊部を掴み、指の腹で器用にグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュと揉み込んだ。
「ほあああああああああああああああああああああああああああああっ!!?ちょっ!!?あっ!!?うああああああああああああああああああああははははははははははははーっ!!?」
多田の大人の指の力で敏感な鼠蹊部の神経を揉みほぐされ、下半身から無理やり力を吸い上げるようなくすぐったさが炸裂する。
ミズキの下半身から完全に力が抜けた時、生温かい液体が股を伝った。
「これでおしまいだからなー。ほらほら頑張れ頑張れ」
多田は他人事みたいに涼しい顔でそう言いながら、エグい指遣いで鼠蹊部を揉み続ける。
グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ!!!
「ふへへっ!!?うへへへへへへへはははははははははははははははははははははは!!?もうやめっっ!!?やめでぇぇぇぇ!!!いやぁぁぁぁぁあははははははははははは!!?」
ミズキは虚ろな目を歪めながら、掠れた笑い声を上げ、下半身をびくつかせている。
もう本当に、死にそうだった。
心はもう、死んでいた。
「はいっ。お疲れ様っ」
チャイムが鳴ると、多田は手を止めて立ち上がった。鬼たちも姿を消した。
ミズキはしばらくその場で、ビクビクと痙攣したまま伸びていた。
ミズキは翌日からまるで別人のように校則厳守の生徒となったとか。