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ここにとにかく速さを求めるレーサーがいた。
車体はとにかく軽く調整し、念入りなシミュレーションを重ねてきた。
そして今日、彼女はレーシングベビーカーGPへと挑むのだった……
レーシングベビーカーGPは本物の自動車レースでも使用される部品を使った特注のベビーカーに乗り込んで行うレースである。ベビーカーは市販のものよりも軽い素材で出来ているため押し心地は軽やかではあるものの、所詮は人力であり乗ってるのも体重が50kg近くある御睦学園の生徒であるためとってもゆっくりとしたスピード……というより普通にただの散歩である。参加は自由であるものの学園外の目立つ場所でベビーカーに乗るのが恥ずかしいからか参加する人はほぼいない。レース自体も優劣をつけると泣き出してしまう子もいるため最後は仲良く横並びでゴールする。
カーレーサーだった父親の影響で幼い頃からモータースポーツへの強い憧れを持つあすかちゃん。ただ、一度でも御睦学園に入学した生徒は18歳になってもに公的には乳幼児として扱われるため運転免許を取得することができない。自分で自動車を運転できない彼女に残されたのは、赤ちゃんでも乗ることが許される車……ベビーカーでのレースしかなかった。それがどんなに屈辱的なことであっても、本物の自動車に使われているシートに座り、おもちゃのハンドルを握っている時だけは本当のレーサーになれるのだ。