小さい頃からお父さんもお母さんもお仕事で忙しかった。
わたしはひとりでお留守番。
クリスマスの時でさえ、二人はいつもと変わらず忙しくて、ご飯とケーキは用意してくれていたけれど、一緒に食べることはなかった。
さびしくて泣きたくなるのを我慢しながら、ひとりで食べるご飯やケーキ。
プレゼントもわたしが欲しいものをもらったことなんてない。
そんなクリスマスが大嫌いだった…
…
「ほのかちゃん、朝よ〜」
柔らかい布団、厚ぼったい服、少し湿っぽさを感じるお尻。
…そしてベッドを取り囲む木製の柵。
すっかり見慣れた風景の中、いつもと違うところが1つ。
枕の横に大きな包みが置いてあった。
「おはよう〜ほのかちゃん」
「おはよう…お母さんこれは?」
「まぁ!サンタさんがプレゼントを持ってきてくれたのかしら!よかったわね〜!」
お母さんがベビーベッドの柵を倒し布団をめくった。
わたしのパジャマは決して年頃の女の子が着るものではなく、股の部分がボタンで開けやすくなっているロンパース。
「プレゼント開けてもいい?」
「開ける前にお着替えしましょ?そのままだと気持ち悪いわよね?」
「…うん」
ボタンを外すと、寝る前にあてられたときよりも水玉のおむつカバーは膨らんでいた。
「今日のほのかちゃんのおむつはどうかな〜?」
「あらあら、今日もぐっしょり!」
一晩中のおしっこを吸った布おむつはほんのりと薄黄色く染まっていた。
「いっぱいおねしょしちゃったわね」
お母さんはおねしょをしてしまったわたしに対して赤ちゃんに声をかけるようにしながら、てきぱきとおむつを替えていく。
幼稚園の時からしたことがなかったおねしょも、御睦高校に入ってからはずっとしちゃってるし、昼間もおもらしばっかだから、ずっとおむつに頼らざるを得ない。
「新しいおむつにしていくわね。クリスマスだし緑色のカバーにしようかしら」
本当は、おむつなんか必要ない年齢だし、おむつをするのはとても恥ずかしいけれど、ぐっしょりと濡れたおむつから新しいおむつに替えられるのはやっぱり気持ちいい。
「そうそう、今日のお洋服は特別なの!」
「特別?」
「まぁ!かわいいサンタさんね!」
お母さんが用意していたのは、サンタ服を模したロンパースだった。
「お父さんも今日はお休みするらしいし、楽しいクリスマスになりそうね!」
「…うん!」
わたしが赤ちゃんとして扱われるようになってから、学校が大きな休みに入って寮から家に帰っている間、お母さんは仕事を休んでわたしのお世話をしてくれるようになった。
お父さんも今日のようによくお休みをとってくれる。
今のわたしはミルクか離乳食しか食べれないから、クリスマスでもご飯やケーキは食べれない。
それでもお父さんとお母さんがいるだけで昔のようにさびしい思いをすることはないだろう。
今日は楽しいクリスマスになりそうだ…!