――とちゅんっ♡
「――あっ……♡」
ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ
「はっ……んんっ……はっ……はあっ……♡」
――薄闇の中。
病的なまでに白い肌が、玉の汗を浮かべながら、肉感たっぷりに波打って揺れている。
窓から差し込む僅かな明かりの中、四つ這いになって此方に向けて突き出された尻に向け、無心になって腰を振り続けている。鯉らの太ももとぶつかる度に、とても肉付きの良い尻たぶが揺れ――挿入した肉棒に、膣ひだが絡みついてくるのだ。
雄の肉棒をにゅるりと容易く咥え込んだかと思えば、決して離すまいときつく根元を締め付けて。
「うっ……あぁっ……!」
にゅるるるっ……とちゅんっ♡
「っ……はぁ……っ♡」
腰を思い切り引いて、吸い付くような柔っこくてもちっとした肌をした、重そうな尻たぶに叩きつける。
柔らかにひしゃげ、肉感たっぷりに潰れ、たわわに弾む尻の、ずっしりとした感触を感じながら――肉棒を深々と膣穴につき入れれば。灰色の陰毛の茂る肉厚のおまんこは、絡みつくようにしてうねり、膣全体でチンポにねっとり隙間なく吸い付いて、にゅっこにゅっこ雄に奉仕する様に扱き上げてくる。正しく魔性の膣。
餌に飢えたようなその貪欲な食いつきは……僅かな光の中で、胸元からぶら下がった滑らかな丸さの巨乳が、ゆっさ、ゆっさ、と重たげに弧を描いて揺れる、男の理想郷の様な絶景と、部屋の中を満たす微かな喘ぎ声と混ざりあって。
『雌を犯している』という実感、『自分のチンポで女を喘がせている』という満足感と共に――『人妻の肉穴を犯している』背徳感となって背筋を擽ってくる。
「はっ、はっ、はっ……っ!」
パンッ パンッ パンッ パンッ
「ん゛っ……んっ、んぅっ、ふぅっ……♡」
彼女の方も……それを理解しているのだろう。必死になって声を抑えているのは……せめてもの、夫への誠実さか。それとも、敵方の自分にそんな声を聞かせたくないだけか。
自分も、この快楽に溺れる様に楽しむ事等、到底出来そうにもない。
暗がりの部屋の中――さして親しくもない若い雄に尻を向け、チンポを自らの股で深々と咥え込んで、はしたなく喘ぎ声を上げる。それが彼女にとってどれだけの屈辱であるかは想像するに余りあるからだ。
それでも尚……こうして自分から『魔力供給』を受けているのは。
如何なる手を使っても目標を達成して見せた、その底知れぬ執念から来ているのだろうか――そんな彼女の底知れない情念を感じてしまうと、楽しむなんて出来なくても、余計に背筋に走る快楽を煽り立ててしまうのは、仕方のない事、なのだろうか。
「っくぅっ」
ぐぐっ……ぱちゅんっ!
「ん゛ひぃっ!?」
「も、もう……だ、出しますっ……!」
たんっ、たんっ、たんったんったんったんっ……!
「あっ、あっ、んっ、んぅっ……♡ い、いちいち、言わないで、良いわよっ……!♡」
その折れてしまいそうな細い腰を、両手でしっかりと掴み……最後のスパート。
白く、染み一つない背筋の肌を濡らす、しとどに掻いた汗は。彼女にも余裕がない証。それは、彼女の肉穴の締め付けがより強くなったことで、感覚的にも理解出来ていた。
その白い髪のように、その白い肌のように――本来は愛する夫にしか許さない穢れなき秘裂なのに。他人の肉棒のカリ首でナカの膣ひだを掻き分けられ、溝をぞりぞりと抉られる度に、どうしても感じてしまう快楽に、身体をびくんっ、と震わせ、肉棒を締め付けて来て。
それがダメだと思う程に……快感は、どんどんと昂って来てしまって。
「はっ、はっ、はっ、はっ……!」
「あっ、あっ、はっ、はぁっ……♡」
パンパンパンパンパン……ッ♡
――限界。
「「ん゛ぅっ!♡」」
ばちゅっ!
どぐっ♡ どぷっ♡ ぶびゅっ♡ びゅるる~~~~~~っ……♡
「っあぁ~~~~~~っ……!」
「お゛っ……ほぉぉぉおおっ……♡♡♡」
背後から――腕を回し、目の前の彼女の背中にしがみつく。尻たぶに、腰をしっかりと押し付けたまま。
そのまま――奥底から上がって来た灼熱を、柔かで温かな膣の中に、溢れさせてしまう。
尻たぶをみっちりと押し潰したまま……限界まで張り詰めた快楽を爆発させるのは、膝をガクガクとさせてしまう程に気持ちが良くて。
コレが……魔力供給の為の行為だという事を、忘れてしまいそうになるのを、歯を食いしばりながら必死にこらえる。思い出せ。これは……『クリームヒルト』と共に、この窮地を脱する為の行為だ。
それ以上の感情を覚えるな、と。何度も、何度も……呪いのように、言い聞かせた。
「……っ……!」
そもそも、自分――カルデアのマスター、藤丸立香はこの『特異点』を修正する側であり。
彼女は……その特異点の修正を妨害する、『敵方』のサーヴァントであったのだ。
神代に連なるサーヴァント。その激情によって、丸々国一つ滅ぼした恐るべき花嫁。その手に構えるは……かつて夫が握りしめた竜殺しの剣であり。そして今は、彼女の怒りを持って暴威を振るう魔剣と変貌したバルムンク。
クリームヒルトは……夫、ジークフリートへの愛で、全てを滅ぼした女性であり。
そしてサーヴァントとなった今は――そんな強い感情から出力される、かつてのジークフリートへの怒りと、それ以上の激流の如き深い愛での間でぐらんぐらんと揺れる、情愛のバーサーカーとなった。
自分が知っている彼女は――普段はクール、だがジークフリートの前ではその仮面が零れ落ちて可愛らしい反応を見せる。そんな女性だった。
……しかし。
サーヴァントとなった今でも尚……戦う時の彼女は正に苛烈の一言に尽きる。敵対者を容赦なく、その手にした大剣ですり潰すようにして、容赦なく殺し切るのだ。相手への慈悲を一切見せず。
単純なスペックでは測り切れないその恐ろしさを、今回身をもって味わう事となった。
大量の魔獣の中心で、指揮権を預けられたであろう彼女の存在を確認した時点で召喚した、守りを意識したサーヴァント――マシュを中心としたそのパーティで無ければ、あの攻勢を凌ぎ切る事は出来ず。
自分の傷は首の薄皮一枚では済まず。途中で突っ込んで来ていたクリームヒルトの一撃によって、頭を飛ばされていたかもしれない。
それ程の激戦だったのだ。ごく自然な流れで――自分達の戦っていた廃墟は、戦いの余波に耐え切れず崩壊してしまった。
これが戦う事を意識して築かれた城塞であるならば……あるいは、広々とした戦える原野の一つでもあったならば、話は違ったのだろうが。
生憎と、今回の舞台は世界を揺るがす英雄同士の激突など想像だにしていないコンクリートの密林で――しかも、彼女が待ち受けていたのは、例え単騎でもゲリラ戦で数の有利を埋められるであろう、隠れ場所の多い廃墟。
足場が耐え切れないと悟り、一旦勝負を仕切り直そうと思った所で。
運悪く、自分と、そして……クリームヒルトが崩れた廃墟から、崖下へと落下する事と相成った――不幸中の幸いだったのは、瓦礫で滑るようにして落下する事で、追加で深手を負う事も無く、かすり傷程度の負傷で済んだ事。
……そして。
『――あら、貴方……っはぁ……生きて、いたのね……っ』
――クリームヒルトと、出会えたこと。
カルデアの面々と逸れた自分へ、ここぞとばかり送り込まれた刺客を凌ぎながら――彷徨い歩いた先で、彼女と出会った。
召喚者の送り込んだ怪物は正しく『無差別』に、崖下の渓流付近にいる『人間』を襲っていた。しかし、そこは元から人の居るような場所ではなく。当然……被害は自分と、彼女に収束した……いや。
その怪物を片端から切り伏せていた分、寧ろ彼女の方が目立っていた、と言うべきか。
俺が出会った時には……無数の死体が転がる中、クリームヒルトは返り血と自ら流した血潮で、その髪を赤く染めながら、バルムンクを杖代わりに立っているのがやっと――そんな有様だった。
『まさか……私と纏めて、始末しようだなんて……舐められたものよね……うふふっ……全部、切り殺して、やったわよっ……ざまあ見なさい……っ!』
敵からの裏切りに等しい暴挙に対し、中指立ててその全てを払いのけた彼女は、正しく英雄だった。その代償に……多くを失う事になったとしても。
『――仮契約、しないか』
気が付けば、そう口にしていた。
もう少し敵を疑うとかしろ、と言われてしまうと弱いのだが……それでも、自分の命すらも費やして、裏切りに対し屈することなく戦い抜いた、そんな彼女の姿が――カルデアのクリームヒルトと重なってしまった。
彼女がそう言った通りに――『見捨てて立ち去れ』なんて選択肢、選べなかった。
例え傷が深くても、礼装で回復は出来る。魔力さえあれば、少なくとも消滅はしない。せめてここを出るまでは――自分が手を貸すから、と。
『……冗談でしょう』
しかし――その気高さまでも、カルデアの彼女とまるで同じだとは。
『貴方に……手を貸して貰って、生き延びるなんて……こっちは悪逆の徒。これは、好き勝手にやったツケ……そんな……迷惑かけられる訳、ないでしょうに……』
今にも地面に倒れ、消滅する寸前だというのに……怖気づく様子もない。弱音なんて吐かない。息も絶え絶えの中――何処か穏やかに笑って見せた。
もう言葉で何を言っても、聞いてもらえるかどうか。そう思いながらも、何かないかと頭を捻る。必死になって考えて。
『……一発でも、貴方の元マスターの頬を……殴ってやりたくないですか』
――そこで、その言葉を選んだのは、我ながら経験則だと言えた。
クリームヒルトは……病んではいるが、基本的には気の強い女性だ。
この不意の裏切りに対し――本来なら、素直に消滅を良しとする人じゃない。ただ助けるのではなく。彼女が心の奥で思っていたであろう、その不満に火を点けられたなら……もしかすれば。
『それから、思いっきり……クソ野郎、って。悪口の一つでも!』
我ながら……乱暴と言うか。とんでもなく酷い事言ったと思う。けども。
それ位に、劇薬染みた事で、思い切りクリームヒルトはの心を揺らすしかない。それでいて、あくまで彼女の罪悪感に引っ掛からない程度に。
『……敵に情けをかける……坊やにしては……中々、言うじゃないの』
……大剣に体を預けたまま。
弱々しくも確かに伸ばされた手が、此方の指先を取ったその時、思わずガッツポーズしそうになったのは仕方ないと思う。
こうしてクリームヒルトと二人、逸れコンビでカルデアの面々と合流し、敵マスターを一発ぶん殴る為の旅路が始まった――と。
そう。上手く行けば良かったのだけれど。
問題は……自分が彼女の傷を治療した後に発覚した。
『――それで?』
『はい?』
『私、一応は元マスターと契約されたままだけど……その上から契約結び直す方法とか、御存じなのかしら? カルデアのマスターさん』
『……あ゛っ!!!』
……まぁ、元から契約が結ばれているのだから、さもありなんというか。サーヴァントとの契約が切れてるなら兎も角、結ばれたままのそれを切って、改めて自分と結び直すというのは、自分の様なへっぽこには、ちょっと荷が重いというか。
『……やっぱり考えて無かったのね』
『ど、どどっ、どうしようっ……か、簡易召喚でメディアにルルブレって貰って……いや今のクリームヒルトさんには致命傷だろアホか俺……っ!』
『落ち着きなさい。取り乱して、みっともないわよ。全く……』
思わず頭を抱え突っ伏してしまった……その、直後だった。
『仕方ない。貴方の甘言に乗せられた身だもの――対価は払わせてもらうわ』
……気が付けば。
自分は、クリームヒルトに壁際まで追い込まれていた。所謂、壁ドンという奴で。どこかひんやりとした雰囲気を纏う位に怜悧な彼女の美貌。それを前にたじろぐ事しか出来ない中で……彼女は、ため息一つと共に呟いた。
『魔力に関しては、直接注げばいいじゃない』
『――成程! 血液で!!』
『そうそうっ! 貴方の首筋にこう、かぷっ♡と私がかぶり付いて、頸動脈から溢れ出す熱い血潮を――違うわよ』
……とまぁ、何処か既視感のあるやり取りを挟んでから。
彼女は、徐にその掌を……自分のズボンの股間へと、包み込むように這わせて見せた。
『っ!?』
『私は、多少なりとも動くだけの魔力が手に入る――貴女は、それなりに美しい人妻のカラダを抱ける。WIN-WINって奴ね』
すり、すりと。自分の愚息をズボン越しに、撫で回すその手つきは――しかし、あまり手慣れているとは言えず。しかしその何処かぎこちない動きでも、目の前のクリームヒルトが自分の股間を弄っているという事実が……実感以上の衝撃を自分に与えた。
『……いい。これはあくまで魔力供給。変な勘違いはしないで頂戴。その上で――貴方が勝手に楽しむ分には、別に私も気にしないであげるから……いいわね』
頬を恥ずかしそうに赤く染めながら、此方をジト目で見つめるクリームヒルト。
彼女は……人妻だ。ジークフリートという偉大な英雄の。自分のカルデアにいる二人を見れば分かる。色々と複雑な関係ではあるが、それでも彼女は未だに彼の事を――
そんな彼女に、自分はこんな真似をさせてしまった――それがどれだけの重い事実か。自分には、彼女を焚き付けた責任というモノがあった。
『――分かった。『俺から望んだ事』だ。精々楽しませて貰う』
『……? 何言ってるの、これは』
『俺がクリームヒルトを焚き付けた』
首を傾げる彼女の肩を……今度は、此方から掴む。
驚いた様子のクリームヒルトの瞳を覗き込みながら。出来るだけ目を尖らせ、睨みを利かせる様にしてから、口を開いた。
『そして……貴女という人妻を穢すやり方しか取れなかった。これは俺の責任だ。君は、俺って言う悪いマスターに身を預けるしかない、被害者なんだ――良いね』
……せめて。
それをさせたのは、自分であるという責任を負いたかった、というだけかもしれない。
兎も角。出来るだけ……ロクでもない、その激情に付け込んで美女をたぶらかす、人でなしマスターであるという自覚と共に。彼女に魔力供給をすると決めた。
『……さっきの言葉は訂正させてもらうわね』
そんな自分を見て……彼女は何を思ったのだろうか
『貴方は――どうしようもない……反吐が出る位に、甘いマスターよ』
『……今から魔力供給する。股を開け――クリームヒルト』
『はいはい。顔は見ないでおいてあげるから……さっさとしなさい』
僅かに顔を顰めながらも、彼女は此方に向けて尻を突き出して……この特異点の間だけの歪な肉体関係は、そこから始まったのだ。
それから――もう三日になるだろうか。カルデアに対する妨害、及び現地の味方のサーヴァントの皆への敵の警戒もあってか。マシュ達との合流は、今の所叶っていない。
それどころか……クリームヒルトが殆どを打倒した刺客も、生き残りがしつこく探索を続けている様で。決して効率の良い供給が出来ている訳ではない状況下、快進撃を続けるという事も出来ず。
「――ふぅ」
こうして……バルムンクから、討ち取った魔獣の血を払うまで、それなりの労苦が必要になってくる。全力の彼女であれば、敵の首を刎ね、血を払って次に進むまでワンセットの作業に過ぎない相手なのだが。
渓流のほとり、大岩に背を預けて一息ついた彼女を見ていると、それなりの消耗は避けられそうには無かった。
「お疲れ様。クリームヒルト」
「えぇ。援護ご苦労様」
だがまぁ、それでもサーヴァント。僅かな魔力の供給であっても敵を討ち取る事自体は訳はない。此方の援護もあって――少し、遅々としたモノではあるが、それでも確実に目標の人里へと、自分達は近づきつつある。
目指すは、そこでカルデアの皆と合流する事。もしもの事があれば、そこに戻るのが、今回の特異点での決め事だ。
「じゃあ……行こうか。傷は大丈夫そうだし。今日は後――」
「――待ちなさい」
合流は、早ければ早いほど良い。
そう思って、背後を振り返った所で……声をかけられた
「……」
「する事が、あるでしょう」
……だが。その前に――やらなければならない事がある。
クリームヒルトは今、戦いの後で消耗している。であれば、仮初とはいえマスターの自分は、その消耗した分を補給しなければならない。
忘れていた訳ではない。ただ、戦いの後というのもあって、気分的に良くないのではないかと思っただけで……いや。誰に言うでもないこんな言い訳は良いか。
そうだ。ただ単純に――後ろめたかっただけだ。クリームヒルトに対してこんな事をするのが気が引けて、逃げようとしていただけで。
……これは、必要な事なんだ。
自分に、そう何度も言い聞かせてから……意を決して振り返る。
大岩に背を預けたまま軽く腕を組み、此方に視線を流す彼女に向き直って……声が震えない様に、口を開いた。
「……股を開け、クリームヒルト」
「……ん」
――こうして魔力供給をする時。
クリームヒルトは――黙って見に纏った黒のロングスカートをめくり上げ、剥き出しにした尻を此方に向けてくる。
大岩に手を突いて、此方へと突き出された尻たぶは……太ももの上にどっしりと乗っかっているように見える圧倒的なサイズ。
股間は……僅かな布地一枚すらも纏っていない。灰色の茂みに覆われた肉厚の恥丘は、守るモノも無く剥き出しになってしまっている。スムーズに供給が出来るように、と。彼女は下着すら付けず、常におまんこを晒したまま行動するようになっていた。
……が、色気なんて一切ない。
あくまで魔力供給の為の効率化の為の行為。それ故に……恥部を此方に向けたまま、クリームヒルトはただ黙って此方の動きを待っているのだ。
自分も黙ってしゃがみこんで……指先を伸ばす。
……にゅぷっ……♡
「……っ……♡」
僅かな喘ぎ声から……努めて意識を逸らした。
膣は……先ほどの戦いの直後だからか、大分温かく、そしてぬめっている。
挿入するのにも問題はないだろう。普段は少し指で解さないといけない所を、今回は都合が良かった。
折っていた膝を伸ばし、腰を上げ――そのまま、彼女の尻の前でズボンの前を寛げ、肉棒を取り出す。
「――挿れるよ。クリームヒルト」
「……さっさとしなさい」
短いやり取りの後。
差し出された尻たぶを両手で掴み。
くちゅ――にゅぷぷぷぷっ……♡
「くっ……」
「んぅ……っ♡」
そのまま、奥まで肉棒を突き入れて――腰を振り始める。
「ふっ……ふぅっ……っ……」
ぱんっ ぱんっ ぱんっ
「はぁっ……あっ……ぁっ……♡」
……耳にかすかに聞こえてくるのは、雄と雌の身体同士がぶつかる濡れた肉音と、微かに漏れる喘ぎ声。
お互いに何も言わず、そして目も合わさず。ただ黙って性行為に耽る。それが何時もの事だった。黙って自分はクリームヒルトの尻たぶに向けて腰を振り、彼女も黙っておまんこで肉棒を締め付けてシゴく――確かに感じる『快楽』だけが、お互いを繋いでいる。
言い方が最悪だが、これが気持ち良くないただの『行為』であるならば。自分達も、もっと気楽で、軽く会話でも交わしていたかもしれない。
しかし……いや、だからこそとも言えるか。
俺も、そしてクリームヒルトも……互いに、口から漏れる熱っぽい喘ぎ声を抑える事は出来ていないし。腰を叩きつける度に、彼女の柔らかな尻たぶがふるふるっと自ら震えているのが伝わって来る。セックスの快楽を、彼女も確かに感じているのは分かる。
それが……お互いにとって、面倒この上ない。
少なくとも自分は――彼女との魔力供給を楽しんで良い立場にはない。相手は人妻であり……そんな彼女に股を広げさせ、おまんこに自分の肉棒を深々と咥え込ませている。
その時点で自分は罪深いというのに……その上で、他人の女の肉穴で性の快楽を楽しむだなんて外道にはなれない。
クリームヒルトも……少なくとも、この魔力供給を『良し』とする様な素振りは一切見えず。彼女の方もさっさと済ませたい位の気持ちでいるのは間違いないだろう。
「くっ……クリームヒルト、そろそろっ……」
ぱんぱんっ ぱちゅっ ぱちゅっ ぱちゅんっ
「……一滴も、零すんじゃないわよっ……んっ……♡」
故に――想定していなかった。
クリームヒルトの肉厚のおまんこは――挿入しただけでも、自分のモノにぴっとりと隙間なくフィットしてくる上に。的確に自分の気持ちイイ所を刺激して、締め付けて、吸い付いて来る。
そして、此方は雑に腰を振っているだけのつもりなのに、肉棒が奥に触れる度にクリームヒルトは蠱惑的な肉体をびくん、と跳ねさせ。艶っぽい甘い雌の声を漏らし――その度に彼女の膣は更にキツキツに、ねっとりと、肉棒に絡みついてくる。
冷静に、手早く、事務的に。
正しく性処理。お互いに相手の事を一切見ず、ただ差し出されたまんこに精液を吐き捨てる様な乱暴な性行為。身体以外一切繋がらない様な、酷く冷たい行為――の筈なのに。
そんなお互いの努力を鼻で嘲笑う様な、暴力的な肉の快楽が――脳髄を揺らす。彼女の肉穴が自分の肉棒に最適化されていくのが分かってしまう。他人の人妻の雌穴を、自分のモノにしているという実感が、どうしようもない悦楽を生みだす。
こんなにも――こんなにも。当人たちの意志なんて無視する程に、お互いのカラダの相性が良いだなんて。想像もしていなかったのだ。
「あっ……ぐっ……う゛ぅっ……!」
どちゅんっ!
「ん゛」
ぶびゅるるるっ! びゅぶっ♡ ぶびゅるるるるぅうううっ……!
「くっ……ほぉおおおお゛っ……♡」
「……国道沿いの古い廃ホテルって聞いた時は、ちょっと身構えてたけど……意外と良い部屋が残ってたね」
「正確には、廃ラブホテル、でしょう」
「ま、まぁ宿泊できるなら別にそこは気にしなくても大丈夫だから」
若干、普通のホテルより落ち着きには欠けるかもしれない装飾。店の奥に置いてあった大型の懐中電灯に、天井の明かりから外したカバーをかぶせた即席のライトが、妙にムーディに照らしてる辺り、もしかしたらクリームヒルトの方が正しいかもしれない。
……昼間の一回を終えてからは、道中に特に妨害やら障害も無く。
漸く、峠沿いに出た所で、そこら辺を飛ばしていた不良魔術師(バイク搭乗)にちょっと強めにお話を聞いて、人里の正確な方向や、ここら辺で休める様な場所も聞き出せて。順調そのもの。
日が完全に落ち切る前にここへ辿り着けたのは運が良かった。闇に乗じての不意打ちを喰らう事はほぼなくなったと言って良い。結界が張れるという訳でも無いが、少なくとも屋内に身を隠していれば見つかる危険性も下がるし、進入路も限られてくるから対処も難しくない。
最後までサーヴァントを送り込んでくる訳でも無く、怪物が追加された様子もまるで見えないというのは……流石に、向こうも此方を見失ったのだろう。
取り敢えず……明日迄は、少しは気を抜いていいかもしれない。
部屋の中、多少埃をかぶっている以外は綺麗なスツールに腰を降ろし……彼女へと視線を向ける。
「……ベッドは貴女が使って。ソファは俺が」
「――私はサーヴァント。貴方は生身。さて問題です。疲労が酷いのは何方かしら」
……取り敢えず、生前はやんごとない身分であったの彼女に譲るべきか、という考えからの提案は、正論過ぎる一言で一刀両断された。何も言えず顔で手を覆うしかなかった。
「……馬鹿なの?」
「すみません、大人しくベッド使わせてもらいます……」
「……そう言う事をする為のだから、無駄に大きいのだし。二人で寝る分にも支障はないでしょう。変に紳士ぶるのは諦めて明日に備えなさいな」
紳士ぶったつもりはないのだけれども……だなんて言える訳もなく。黙ってベッドの上に腰を降ろした。もうそろそろカルデアの皆に合流できる――と。知らず知らずのうちに浮足立ってしまっていたのだろうか。
……ちらりと隣のクリームヒルトを見つめる。
彼女の目的を叶える為にも、マシュ達との合流は必要だ。ここまで連れて来た責任を果たす為にも、気を引き締め直さねば――
「……何か?」
「えっ? あっ、いやっ、なんでも」
……なんて考えていたからか。何時の間にか、まじまじと彼女を見つめる事となって。そんな事をしていたから、あっさりと視線に気づかれてしまった。
彼女をじっと見ていた事がバレたのが、なんだか物凄く恥ずかしくて。その照れを誤魔化すように笑いながら、急いで顔を逸らそうとして――
「――動かないで」
そこで。
急に、クリームヒルトに肩を掴まれた。
「こっちを向きなさい」
「――えっと、なんでしょうか」
戸惑いながらも……言われた通り、逸らそうとした視線を、改めて彼女に向ける。
サファイアのように青い瞳
「……結局、最後までその調子なのね。貴方は」
「えっと……何の話?」
「ずっと私に気を使って――いい加減、イラつくのよ」
――瞬間。景色が回る。
えっ、という間もなく……自分は、何時の間にか。クリームヒルトをベッドの上に押し倒してしまっていた。
ベッドの上に寝転がりながら、此方を見上げるクリームヒルト。その顔の隣に突いた自分の両手、そしてそれらを見下ろす自分――一つ一つ、状況に追いついていくにつれ、思考が真っ白になっていく。
なんで。どうして。違う、そんなつもりは、今まで一切なかったのに――
「……そう言う顔よ。本当に」
「あ、ぇっ……」
クリームヒルトの両手が――此方へと伸びて。
掌で、包み込むようにして、頬に触れてくる。
「貴方は、自覚があるの? 今、目の前にいるのは――貴方を殺しかけた女なのよ」
「あ……えっ、いや、そのっ……」
「最初にあった時からそうだった。自分の命を奪いかけた女を助けようとして……おまけに、身体を穢すのは心苦しい、だなんて。よく言えたものよね」
……何処か、責める様な語り口。
なのに――彼女の声は、頬を撫でる手つきは、此方を見つめる視線は……まるで、子供を慈しむ母のように優しい。
「自分の命を、軽く見てる?」
「そ、そんな風には」
「そう、だったら……」
そのまま。頬へ伸びた手が首の後ろへと回って。ぎゅう、と抱きすくめられる。
引き寄せられるままに、彼女の首元に鼻先を埋める形になって――耳元に、暑い吐息が僅かにかかったのを感じた。
唇を寄せられている。その事に、心臓の鼓動が高鳴る。その一瞬を狙い澄ましたかのようなタイミングで――クリームヒルトは、静かな声で囁いた。
「――今すぐ、私を抱きなさい」
直後。
彼女の来ていた黒いドレスが消え失せて――その柔肌が、剥き出しになった。
「……っ!?」
くっきりと見える鎖骨。白く細い喉仏。染み一つない病的なまでに白い生肌。
思わず目を見開く。
咄嗟に彼女から体を離そうとしたが、両手に絡めとられ、思うようにいかない。
なら、一旦腕の中から抜け出して、と思ったが。そうしようと顔を下げた所で……視界に捉えたもの――彼女の胸元に実った、艶めかしい楕円を描くたわわなおっぱいと。その頂点の灰に近い紅色の乳首に、ぎょっとして動きを止めて。
瞬間、両腕が首から離れ、胴を回る様にして捕まえ方が変えられてしまった。
もうこれでは下がれない。サーヴァントの力を相手に、抜け出せる訳もない。
「あっ……やっ!?」
「どうかしら。私のおっぱい。スタイルにはそれなりに自信はあるわよ」
「く、クリームヒルト、どうしてっ……!?」
どうしようもない状況。くすくすと笑うクリームヒルトに、必死に理由を問うた。漸く気が付いた。クリームヒルトを押し倒した――いや、押し倒させたのは、彼女自身だ。
自分を抱け――クリームヒルトがわざわざ魔力供給ではなく、『抱け』とハッキリ口にしたその意味が分からない程、鈍い訳がない。
しかし……自分達のセックスは、あくまで魔力供給の為というのが前提の行為の筈で。性行為を『楽しむ』事になってしまったら。
彼女も分かっている筈だ。そこが、自分が越えてはならないラインだという事を。
「貴方は嫌でしょうね。こんな真似をするのは――でもね。それは駄目」
彼女の瞳が。青い眼差しが、真っ直ぐに此方を見つめている。睨みつけている、と言ってもいいだろうか。吊り上がったその瞳から感じられるのは、激しい怒りか――あるいは、憐憫だろうか。
「怒りなさい。穢しなさい。自らの命を奪おうとした相手に、一度くらい報復なさい。それが出来なきゃ、命を軽んじているのと何も変わらないわ」
「報復って……い、今までので十分なんじゃ……!?」
「それ、本気で言ってるのかしら。あんな苦しそうな面しておいて」
……クリームヒルトは、夫の復讐の為に文字通り身を捧げた女性だ。
それは、言ってしまえば彼女がジークフリートをどれだけ愛していたか、大切に思っていたかの裏返しでもある。情け深い人なのだ。
だからこれは――狂乱の花嫁が見せてくれた本来持ち合わせていた慈悲で。自分が命を軽んじるような事が無いようにと、誰もがしてくれるような当たり前の心配なのだろう。
そう思って貰える事自体は、この短い間にもちゃんと絆を結べていたのだと実感できてとても嬉しい……嬉しいけれど。
だがしかし、やり方が問題だ。
「だ、だからって……もうちょっと、別のやり方がっ……」
「時間があればね。でも明日になれば、貴方は仲間と合流する。そこで、私達の間にあった事はうやむやになる――」
……その言葉に、次に出かけた言葉が詰まる。
そうしようと思っていなかったと言えば――嘘になってしまう。何時もの事だ。水に流して一発殴るお手伝いを続けさせて欲しい。その空気で押し流してしまえば、後腐れもなく共に旅が出来るだろう、と。
そんなつもりはなくとも……彼女の言う通り、自分の命の危機を軽く流そうとしていると見られても可笑しくはない。
ほらね、と言わんばかりに鼻を鳴らす彼女に、何も口にする事は出来なかった。
「――それに、分かるのよ」
何処か、自嘲する様に彼女は呟く。
「どうせ、幾ら口で言っても貴方みたいなタイプは、勝手に突っ走っていくし……カラダで教え込んだ方が早いでしょう――いい? キチンと抱くまで私は貴方を離さない。いいえ、例え此処を切り抜けたとしても……仲間の居る所で、私に魔力供給を要求してあげる」
――ひゅ、と。息が詰まったような気がした。
「他の奴らが寝静まった後……こっそり二人きりで褥を重ねるの。声を抑えるのはもう慣れたけど、流石にスリリングでしょう? 仲間の前で人妻のカラダを貪るだなんて」
ぐぐっ、と。
背中に回った腕に引き寄せられる。耳元で感じる囁きにかちゃかちゃという何かを弄り回す音が僅かに混ざったと思ったら……張り詰めていた怒張が、外へと引きずり出されたのが分かった。
驚く暇もない――そのまま、しなやかで細い感触が、裏スジをつつーっ……と撫で上げ始めるのに、呻き声を漏らす事しか出来なかった。
「服の下に腕を差し入れ、乳房を揉みしだきながら……とちゅん、とちゅん、って、貴方のチンポ専用のハメ穴の奥の方を突き上げるのよ……唇を奪って、私のあられもない喘ぎ声を呑み込みながら、ね」
「そんな事……っ!」
「しないなら、直接要求するわよ――そうなるよりは、今ここで抱いてしまった方がまだいいんじゃないかしら?」
……思わず、ギリ、と音がする位に奥歯を嚙みしめる。
逃げ道を潰し要求を通す、まるで脅迫じゃないかと思いつつも、彼女にこんな要求をするメリットはないのは嫌という程に分かっている。
本来、マスターの事は魔力を供給する為のタンクとして見るのが基本である――そんな彼女が見せた思いやりである事は間違いない。
「……もし、本当に気にしていないなら。それはそれでいい」
「……っ!」
「私はどうせあの魔術師が呼び出した泡沫の夢みたいなものなんだもの。後腐れもなく終われるいい機会よ……せめて自分の為に怒る練習くらいはしておきなさいな。ちゃんと逃げ場は塞いでおいてあげたから、ね」
だからこ、猶更難しい。クリームヒルトのその思いを否定したくは無いし。だからと言って、コレを受け入れるのも絶対に違うし……彼女の言う通り、ここから打開するには絶対的に時間が足りない。
「――じゃ、じゃあっ!」
……せめて、せめて。
そんな『言い訳』で彼女を渋々抱く、そんな事になる位なら。
俯けていた顔を跳ね除ける。驚いた様子で、クリームヒルトが目をまん丸にしているのが分かった。そりゃあ、いきなり大声を上げたのだから当たり前ではあるのだが。
それでも。そんな彼女を真っ直ぐに見つめながら。
「な、何よ」
「あ、明日が最後だからっ……せめて、一回ぐらいちゃんとエッチしたいですっ、俺はそう思ってるので……! させてくれませんかっ! お願いします!」
そう口にして、頭を下げた。
……部屋が、無音で満たされる。
いやもう分かってる。なんか全部台無しにするようなこと言った自覚はある。最初からずっとこう……そう言うラインを超えない様に、ってして来たくせに。彼女の方もそう言うのを配慮してのああいう逃げ道を潰す言い方だっただろうに。
もう完全に浮気のお誘いになってしまった。ジークフリートに申し訳ない。カルデアに帰ったらせめて……事情をすべて話して、土下座の一つでもして謝るしかない。
でも……彼女に、自分の為に体を安売りする様な真似をさせる位なら。せめて自分がカルデアにて夫からバルムンクを浴びた方が幾分かマシだろう。
絶望的な気分の中で……くすっ、という笑い声が静寂を切り裂いたのが聞こえた。
「あ、貴方っ……ふふっ、何をそんな必死にっ……くすっ」
「……だって、そういうのは……良くないもん……」
「ホント、最後まで悪者ぶろうとするとか……分かったわよ。私の負け」
……その言葉に、顔を上げる。
先ほどまでの何処か妖しい笑みは鳴りを潜め。此方を見つめるクリームヒルトは、何処か呆れた様な色を滲ませた笑顔を浮かべていた。
「――いいわよ。今日一晩だけは、私を好きに抱きなさい。どんな思いにも応えて上げる」
……ごくり、と唾を呑む。
感じるのは、自分の様な矮小な小僧とは桁の違う、物凄い包容力。
何処か攻撃的な印象を抱くその装いと立ち振る舞い、顔立ち――しかしながら、此方に向けられた微笑みから溢れだして来るのは、間違いなく……
物凄く、恥ずかしい。恥ずかしいけど……でも、事こうなったらもう全てをかなぐり捨てて行ってしまう他ない。というか、自分でそうなる様に覚悟決めて口火を切ったのだ。
だったらもう、この浮気セックスに前のめりになるしかないじゃないか。なんて最悪な決意だ。でも後戻りは出来ないので仕方ない。
「じゃ、じゃあ、その……っ」
「何?」
「……ま、ママって呼んでいいかなっ……!」
「……はぁ?」
……明らかに声の柔らかさが取れた。
やった。
やったけど……いやもう、ここは突っ張るほかないだろう。
「ま、ママって、甘えながら……セックス、したいっ……!」
カルデアに居た時も、なんていうか……面倒見の良さから、おかあさんっぽいなとは思っていたのだ。母として振舞う人は、頼光さんや、ティアマトがいるけれど――なんというか違うのだ。クリームヒルトのそれは。
後述したお二人が実際カルデアにいる以上、こういう言い方をするのはおかしいのだけれど――リアルなのだ。かなり理想寄りではあるが、身の回りにこういう人っているなって感じの。
そして……そう言うリアルさが、余計にそう言う人に手を出す時の禁忌な感じに繋がって……背徳感を擽ってくるのである。
言語にして説明するのはちょっと難しいが――単語で表すなら、凄まじい『エロス』を感じさせてくれるのだ。
「……なんでも、とは言ったけど。貴方、随分歪んだ性癖してるのね」
「スイマセン……」
此方を見つめるジト目に、素直に首を垂れる。
自分でもキモいとは思う……が、これ以外には考えつかなかったし。
ここまで来たならいっそ行くとこまで行ってしまった方が、変に躊躇わずにせずに済むという打算もあった。途中変な所で足を止めたら、そのまま正気を取り戻し、恥ずかしくなって動けなくなってしまいかねない。流石にそれは嫌だったのだ。
……大きなため息が一つ。ゆっくりと視線を上げる。
此方を見つめる瞳には……何処か呆れが滲んでいるように感じた。
僅かに眉間に皴を寄せながらも、此方を見つめる表情は何処か優しい。それこそ壁に落書きしてしまった子供を前にした時の様な――
「ったく……仕方ないわね」
――もう一度、掌が伸びてくる。
「今まで『良い子』にして来たのは確かだし……一回だけよ。いい?」
白く細い指先が、頭を撫でる。
少し困ったように、クリームヒルトは微笑みかけてくれて――視線が絡む。呼吸が荒くなる。股間を硬く張り詰めさせながら……何時しか、その時が待ち遠しくなって来ていた。
彼女が次に口を開く、その時を――
「――おいで。立香」
「……っ!」
にゅっぷ……ずっぷんっ♡♡♡
「あっ……~~~~~ッ!?♡♡♡」
――頭が、痺れた。
「あっ……あ゛ぁっ……!?」
にゅぷぷぷぅ……っ♡ きゅんっ♡ きゅんっ♡
「お゛っ……ほおォ゛ッ……!?♡♡♡」
お互いに……言葉もなく、仰け反ったまま、動けない。
全然違う――この前までのセックスと、全然。
温かな膣内が……隙間なく包み込んで来るけど、でも、今回はただキツキツに締め付けるだけじゃなくて、膣全体が……優しく、肉棒を撫でてくれている様な感じがするのだ。まるで赤子を甘やかすみたいに抱きしめられて……。
今までのは……確かにただの魔力供給に過ぎなかった、という事を嫌でも自覚する。クリームヒルトの雌穴に、雄として気持ち良くされているというのが……ぞくぞくっ、と背筋を今までにない快楽が上っていくのが、ハッキリと分かった。
ちんちんなでなでされるの気持ちいい。おまんこにゅるにゅるで気持ちいい。吸い付いてくるの気持ちいい。
「こ、これっ……すごっ……」
「り、立香の……奥までぇっ……♡♡♡」
……腰が、全然、動かせない。
いや、そんな問題じゃない――これ、もう、駄目だ。
ぶち、ぶち、と――頭の奥の方で。何か、切れてはいけない物が切れていくような音がしてくる。その度に上って来るものを察知したみたいに……クリームヒルトのおまんこがもっと、ちんちん全体を無数の舌でしゃぶるみたいに、蠢いて。
「あ゛……ぎっ……」
どくんっ――びゅるるるっ♡
「ぁ……あら?」
無理だった。我慢なんて、そんなのは到底無理だった。
「く……う゛ぅ~っ……!」
の中に……吐き出してしまった。
あったかほかほかの中で、蕩ける様なお漏らし射精……勝手に犬みたく全身を震わせてしまう位に、気持ちがいい。気持ちイイのだけれど……
「な……んでっ……ぐぅっ……くそぉっ……!」
それ以上に……惨めな事この上ない。
腰を一回も振る事なく。暴発、だなんて。なんて情けない事を。一応、これでも成人年齢あたりの雄だというのに。苦しくて、泣き出しそうで……でも、流石にここで恥の上塗りをするのは嫌で、必死になって歯を食いしばって――
――ふわり、と。
そこで……頬を包み込む感触に、視線を下へと向けた。
「……もう。なんて顔してるの」
「クリームヒルト……?」
「――ママ、でしょ。全く……自分から甘えさせて欲しいって言ったくせに」
クリームヒルトから向けられたのは……情けない、とか。此方を非難する様なものではない。柔らかに目を細め、慈しむように此方を見つめる視線は、本当に我が子を見るかのような温かな情に溢れていて……
「ママ……」
「大丈夫よ。ほら」
両腕が、再び背中に絡みつく。
そのまま、胸元へと引き寄せられるままに……むぎゅう、と抱きしめられた。
胸の谷間に、すっぽりと包み込まれ……頬や、瞼、肌で感じる柔らかなおっぱいの感触に、どきっとする。真っ白で滑らかな乳肌から香る甘い匂いと、沁み込むような温かな体の温もりに……体の緊張が、自然と解けていく。
そのまま頭を預け、おっぱいに甘えながらクリームヒルトに密着して抱き着くと……よしよし、と頭を撫でられるのを感じた。
「よしよし……無理はしなくていいから。ママのおっぱいに甘えて、好きにおちんちん気持ち良くなさい、ね?」
そう言われ……乳枕の柔らかさに甘えたまま、取り敢えず腰を動かし始める。
でも、やっぱりあんまりにもクリームヒルトのナカは気持ち良くて……激しく腰を振るなんて事は到底出来そうにもなくて……彼女に密着したまま、へこへこ、と腰を情けなく前後させる位しか出来なくて。
ぱちゅ……ぱちゅっ……ぱちゅっ……♡♡♡
「んっ……そう。そうよ。焦らないで良いから……♡」
「ママ……ママっ……うっ……んっ……」
情けない事この上ないけど……でも、彼女の身体に抱き着いて、おっぱいの中で甘えながら……腰をへこへことさせるのは、たまらなく気持ちが良い。
クリームヒルトも、自分の事を両手で、両足で、抱きしめてくれて……頭をなでなで、と撫でてくれて。むちむちとした身体に包まれて……肉棒は、彼女のおまんこに包まれたまま、膣を締めて、緩めて……を繰り返されて、優しくシゴかれて。
あったか、むちむち、にゅるにゅる……ぎゅーっと包み込まれて。幸せで、幸せで、堪らない。今までの冷たいエッチと全然違う。頭の中、ばちばちで、ふわふわとして……気持ち良くて、可笑しくなりそうで。
「ほら、もうちょっと奥……んっ♡ そう、おまんこ上手よ……♡」
ぱん……ぱん……ぱちゅん……っ♡
「ママ、おまんこっ……凄い、気持ちいいっ……!」
「ふふっ……はいはい。ママも気持ちいいわよ……あっ♡ あんっ♡」
耳元で囁く声は……砂糖漬けみたいに甘くて、優しくて……自分の事を全肯定してくれて……ぽそぽそと、耳の奥に注ぎこまれる感覚が、ゾクゾクと気持ち良くて。
ただただ、脳味噌から思考が蕩けて出ていくみたいな、馬鹿みたいな快楽が、身体を満たしていく。
他の事が頭から抜け出していく……『ママ』の事だけで頭が一杯になっていく。大好きで一杯になっていく。苦しい事も何も忘れられる。身体がゆるゆるになっていく。気持ちイイだけしか残らない。
「よし、よし……♡」
――これは、禁忌だ。
頭を撫でる優しい掌。胸を温める母性と……そんな女性に自分のちんちんを甘やかして貰っている性感。相反する要素が絡み、混ざり、溢れて……脳の芯を甘く痺れさせる。
麻薬、と言ってもいい……抜け出しがたい莫大な幸福感。身体の奥に溢れたそれで、ドロドロに梳かされた『余計な何か』が全て肉棒に集まっていく、『充足感』。
「ママ……もうっ……」
「良いわよ――ママのおまんこに、びゅるびゅる~ってしなさい」
限界が来たのは、あっというま。
溺れそうな快楽の胸の中、何とか顔を上げて。
此方を真っすぐ見つめる青い瞳と目が合った。
それだけで、僅かに残っていた焦燥感が、すぅっと収まっていくのを感じる。後は安心しきって、彼女の胸に甘え直すだけ……すっかり頬を赤く染めたママは、そんな胸の中の自分ににっこりと笑いかけてくれて――
「ママ……ママっ……あっ……あぁっ……」
ぴゅるるっ♡ ぴゅるるる~っ……♡♡♡
「んぅ……っ♡♡♡」
――何時の間にか、また漏らしていた。
ぴっとり、と股間を、顔を、全身をくっつけたまま……ママのおまんこに射精。さっきと違って全然苦しくない……ただ気持ちイイだけ。
柔らかなママのカラダの心地よさの中で……腰を震わせ、精液を吐き出す度に……どんどん、何かが出ていく気がする。射精する度に、もっとママに甘えたくなっていく。もっと強く抱きついて……ママの中に、うずもれて。
そこで。
抱きしめられたままの此方に――クリームヒルトが熱っぽい視線を向けているのに、気が付いた。今の自分でも分かる位に……細められた瞳の奥に燃えている。情欲の炎が。
頭の中、僅かに残った真面な部分が、戻るなら今だと告げている。互いに気分が高ぶってここから踏み込めば……もう言い訳が出来ない所まで行ってしまいかねない。
これで言い訳は立った。何ら問題はない。自分が此処で終わりにしたいと言えば……彼女も流石にやめてくれるだろう。
分かっている。分かっているけれど――
「ママ……もっとぉ……」
「全く……はいはい。今日一晩は、甘やかしてあげましょうね……ん……」
ちゅうっ♡
――深々と。
互いの唇同士が重なって……ぎゅ~っと抱きしめられたままで。また、へこへこ、と腰を動かし始めた。
「ん……んっ♡ ん……♡」
ぱちゅ……ぱちゅ……ぱちゅ……っ♡
柔らかな女体に深く包み込まれて。上でも、下でも、深くつながったまま――もう、ここから抜け出せる訳が無かった。この、麻薬みたいな快楽から。
甘く喘ぐ声が、頭の中に満ちていく。もう、ママの事以外は何も見えないし、聞こえないし、感じない。
気持ちいい。気持ちいい。きもちいい……
「……じゃないだろうがっ……!」
翌朝。
クリームヒルトのおっぱいの中で目を覚ましながら――思わず毒づいた。
部屋の中に差し込む朝日に目を細め、体を起こす。礼装も何も身に纏っていない。
何の言い訳もしようのない……事後の格好だ。完全にやらかした。
あの後は……もう何発射精したかも覚えていない。というか、途中からもう自分で動く事すらなく、自分の上に跨ってくれたクリームヒルトのおっぱいを吸いながら、ただただちんちん甘やかされて射精するだけになっていたかのような……
「……っくぁ~……!」
頭を抱えながら、呻く事しか出来ない。
取り敢えず、一回で終わらせておけばよかったのだ。それでどっちも納得出来てそれこそ後腐れなく終われたというのに……完全に溺れ切った。
自分という人間は、もうちょっと紳士な人間だと思っていたが……もうなんていうか自分が信じられなくなりそうだった。
「……うっさいわよ」
「あ、すみません」
が、そんな悔恨は即座に一旦隅へと追いやって、隣に視線を向ける。
朝日の中……自分と同じく、一糸まとわぬ姿のまま、クリームヒルトが体を起こして此方を見つめているのが視界に入った。
差し込む光につやを見せる肌。僅かにぼさつく髪と、ベッドに片腕をついて欠伸を堪える、その気だるげな様子が、酷く生々しいいやらしさを纏っているというか。
……いかん。見惚れている場合か。取り敢えず先ずは頭を下げた。
「……あの、ホント。調子乗って申し訳ないというか」
「良いわよ。私から言い出した事だし――あぁ、いえ。『貴方が私に申し込んだ事』だったわね。そう言えば」
「はい……」
「……ったく」
……会話が途切れる。
ベッドの上に漂う気まずい空気の中、視線をクリームヒルトの方へ。
取り敢えず、何か喋った方がいいかなと考えたが……しかし、この状況で何を話せばいいかなど全く見当がつかない。
必死に頭を巡らせた所で……先に口を開いたのはクリームヒルトの方だった。
「……本当は、魔力供給を言い出したのだって。そのつもりだったのよ」
「……」
「でも、貴方はそれを受け入れた後も……必死になって、堪えて、私の為の魔力タンクとしてだけあろうとした。馬鹿みたいと思ったわ。正直ね」
……その『馬鹿みたい』は何方へ向けられたものだったのだろう。
そう呟いたクリームヒルトは……何処か、哀愁漂う表情を浮かべていた。
必要以上に罪悪感を覚えさせるつもりは無かった。ただ自分は助けたいと思ったからその手を取っただけだ。
しかし……自分の行いはある意味、クリームヒルトの感情を無視していたとも言えるのだろうか。でも、だからと言って彼女の事をどうこうしてやろうとは、本当に思えなくて。
一つ。彼女が大きくため息を吐いたのが聞こえた。
「……見せつけられて、たまらなくなって。そうじゃないでしょって思って。でも結局最後まで、変わらなくて。ホント貴方達ってそう言う所よ」
「えっと……本当にすみません」
「直ぐ謝る所も、嫌な所ばっかり似てて……はぁ、もういいわ」
ベッドの上。
クリームヒルトが腰を上げる。はっとして自分が顔を上げた時にはもう――その身に黒い喪服を身に纏いながら、背を伸ばして立つ彼女がそこに居て。
此方を見下ろすその瞳と、目が合った。
先ほどまでの翳りはもう何処にもない。
相手を一目で威圧する目線の鋭さは――いつも通りのクリームヒルトだ。
「……行くんでしょう。ならさっさとしなさい。早く私とちゃんと契約しないと、本当に仲間の前で『魔力供給』する事になるわよ」
「えっ……あっ、はい!」
その言葉に、跳ね起きる様にして脱ぎ散らかしていた礼装に手をかけ……そこで思う。
クリームヒルトは、ジークフリートを愛している。でも、その一種異常なまでの自己犠牲をも全肯定している訳ではない。複雑な感情が入り混じっている。
復讐を成し遂げた後、死の直前に思った絶望があったからか――猶更に。
もし……彼女が自分に対してあんなことを言ったのが。自分の振る舞いにほんの僅かでもジークフリートの事を思い起こして、放っておけなくなった……だったりしたら。
「……まぁ、誇れる訳もないんだけど」
そこに至るまでの経緯が経緯だ。
それでも。クリームヒルトに、そう思って貰えるような振る舞いが出来ていたというのであれば……
「何ぶつくさ言ってんの。さっさとしなさいって言ってるでしょうに」
「ご、ごめんっ!」
色んな事が物凄い後悔しきりだけど。
せめて……それだけは、良かったな、と思えた。