午前3時15分。
住宅街の外れ、ぽつんと残された古い公衆電話ボックス。その前に、震える指でシャツの最後のボタンを外した男が立っていた。
雷門太郎。今では優秀な、全国出場アメフト選手であり……マゾ奴隷として、調教され二か月目の少年。
今日は、本物の奴隷となるべく今までで一番重い命令をされた。
言われた通りの時間、場所。頭の中では何度も「今ならまだ、やめられる」という選択肢が点滅したが、結局一度も本気で消すことはできず、今にいたる。
オレは、あの人の所有物になりたい。
脱ぎ棄てた服の代わり、首輪一本だけを自分で巻いて、裸のまま歩き出す。
冷たい夜風がチンポを直撃し、思わず小さく声を漏らした。足元のコンクリートが冷たく感じられた。
「……はぁ、はぁ……」
息が白い。心臓が耳の奥で暴れている。辺りを見回しても人影はない。それでも、いつ誰かに見られるかという恐怖が、全身の皮膚をざわつかせていた。
『証明写真機で、撮影して来なさい。出来上がった写真をもって、帰ってくるまで服はお預けだ。』
命令を頭に思いだしながら、モン太は小銭を片手に握りしめ、よろよろと歩き出した。やがて、古びた証明写真機が一台。
まさかこんな時間にあり得ないけれど、カーテンの中誰もいないことを確かめてから、急いでブースの中に入る。蛍光灯の白さが裸の肌を容赦なく照らし出した。入る前に、誰かに見られてないかもう一度だけ確認して、カーテンを閉める。
鏡に映る自分は、首輪だけを残した惨めな裸の男。すでに半分ほど勃起してしまっているチンポが、情けなく揺れている。
コインを入れる音がやけに大きく響いた。
「は、はやく撮るんだ……撮らなきゃ……」
呟きながら、冷たい専用のイスに座り込む。膝を抱え、股を開く。チンポが太ももの間でみっともなく主張している。顔は真っ赤で、目が潤んでいるのが自分でも分かった。
顔しか映らないから、ごまかそうと思えばごまかせる。バカみたいに命令通りに、ずっと裸でいる必要なんてない。だけど。
シャッター音。
フラッシュが一瞬、世界を白く塗り潰す。
<これで いいですか>
液晶にうつった自分の顔を確認することもなく、はいを押す。ほんのチラッと見えたそれは、完全に壊れたマゾヒストの顔をしていたようにも思う。
カコン、写真が吐き出された音を聞いて、モン太は崩れるように床に膝をついた。息が荒く、涙が頬を伝っている。興奮と屈辱と恐怖がぐちゃぐちゃに混ざり合って、頭が回らない。
だけど、休んでいる暇なんてない。預かったお金は、2回分。早く、次のを撮らないと。
大切な写真。一生を終わらせる、大事な写真。
モン太は、先ほどまで尻を乗せていた椅子の上に乗ると、今度はカメラに向かい、尻を向けて、そして自分の手でそれを大きく広げて…。
こうして、正式に彼は「人間」であることを棄てた。