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神崎健二。日本人。男。28歳。
現在の職業は某中小企業に勤務している検査技師───兼、AV男優。
兼業のAV男優というのは別に珍しいわけではない、というよりこの仕事だけで食っていける者の方が全体の中でもごく一部だろう。
だが、神崎としてはそれで特に不満は無かった。
神崎は報酬だけが目的でこの仕事をしているわけではなく、日常生活に適度な刺激が欲しいという目的の上で従事しており、そしてそれは十分叶えられていた。
男優としてはあまりガツガツした雰囲気や野心を感じさせない。
そんな、どちらかといえば草食系っぽい温和な性格や見た目からか、男優として会う人にはとてもこんな仕事に就くような人には見えない、なんて言われることも多々あり、苦笑してしまうこともしばしばだ。
けれどそれがギャップの魅力として、フツメン系イケメンAV男優などと取り上げてもらえるのだから、世の中何が善で何が悪か分からないものだ。
そんな充実した生活を送っていたある日、神崎の元に思いもよらない仕事のオファーが飛び込んできた。
その仕事とはなんと、男の子とのセックスを題材にしたシリーズものの企画。
男の子とのセックスと聞いて、それを一体誰がするのかとしばらくの間神崎は理解できなかった。
そして、その「誰」が他でもない自分自身であることを理解した後が、神崎にとっての本当の修羅場であった。
確かに適度な刺激を求めてこの世界に入ってはきたが、適度というのはあくまで適度だ。
それまでの人生、同性とそういう行為に及ぶということを想像すらしたことのなかった神崎は考えに考え、悩みに悩み、せっかくこんな自分を指名してくれたのだからと半ばダメ元に近い形で出演を承諾した。
これが成人男性相手のゲイビデオ出演であれば悩む事すらなく断っていたと確信できる程度には神崎は「ノンケ」であった。
紆余曲折を経て迎えた初めての少年との性行為撮影は、反省点が皆無とは言えなかったものの、なんとかこなす事が出来た。
おそらくは共演者であった少年、リョウのおかげでもあっただろう。
中性的で可愛らしいリョウは、ノンケである神崎が最初に触れるには比較的とっつきが良かったし、何より気立てのいい子であった。
リョウとはラインも交換し、時たまおしゃべりをしたり、一緒に遊びに行ったりと交流が続いている。
そんなリョウとの共作であり、神崎健二にとって初めての出演作である少年ポルノ「ミーツボーイズ vol.1 リョウ」がリリースされたのが、数か月前のことだった。
───
「ミーツボーイズ 」の記念すべき第一作の発売からこれまで、神崎の周囲に特別な変化は起きなかった。
仲の良い同業者から「神崎くん、ショタコンデビューおめでとう!」なんてからかいのメッセージが来たり、ファンから作品への感想がツイッターで送られてきたりということはあったけれど。
それらは特に今回の作品に限った現象でもない。
だが、ミーツボーイズは発売開始から円盤、配信問わず売れ行きはなかなか好調らしく、一時は週間、月間ランキングで上位に昇り詰めたこともあった。
その事をマネージャーから嬉しそうに聞かされた時の神崎は、なんとも複雑な心境であった。
おそらくそれは八割がたリョウの人気のおかげであろうし、じゃあ今まで自分が出演した作品は何だったんだという気がしなくもない。
半面、もしこれで売り上げが下火であったらなんだか自分の存在がリョウの足を引っ張ってしまったようでそれはそれで落ち込んでいただろう。
状況としては決して悪いわけではない。
諸用でSODの事務室に立ち寄った時、待ち時間の間に顔見知りの男性事務員が今回の作品に対する購入者からの反響を纏めた資料を紙にして見せてくれた。
勿論興味が無いわけはなく、遠慮なく借りて見てみれば、当たり前だがその内容は殆どがリョウに対するものだった。
『リョウたんかわいいよリョウたん、おじさんのとこにも遊びに来てほしいなあ~』
『リョウくんの肌むっちゃくちゃ綺麗で、女としてすごい凹む・・・・でも可愛い!』
なんてライトなノリの感想もあれば
『あんなにちっちゃなところにお兄さんのものを一生懸命受け入れてるリョウくんに思わず頑張れ!と応援したくなっちゃいました。でもその後の気持ちよさそうなリョウくんを見ながら自分のものをめっちゃ応援しちゃいました。えへ。』
『リョウくんのおちんちんむいむいして、ピンク色の先っぽちゅっちゅしてあげたいよぉ・・・リョウくんのおちんちんミルクはどんな味がするのかなぁ・・・ブヒヒ』
『リョウくんとハメてえよぉおおおおおお!!!!!!!リョウくんの可愛いお口とアナルに俺のキンタマ空になるまでザーメン種付けしてリョウくんに俺の子供を孕ませてえええええええ!!!!!!!!!』
そんなショタコン男性達の魂の叫びまでは想定出来てはいたけれども、意外と女性のファンがちらほらといる事も驚いた。
男性のロリコンやショタコンというのが一定数いることは知識として知っていたが、女性もそういういかがわしい目で少年を見たりするのか。それとも「可愛い」の延長線上にあるものとしてこういう少年男優を愛でているのか。
それはともかく、想定することは出来たとはいえ少年に対する欲望の煮えたぎった脂っこいコメントの数々に読んだだけで軽い胸やけを起こして、傍で一緒に見ていた事務員と目を合わせた。
「こういうの、リョウ君達にも読ませたりするんですか?」
たまりかねて聞いてみると、男性職員はまさか、と首を振った。
「ちゃんと目に余るコメントを排除した天使バージョンだけを見せているから大丈夫ですよ。」
男の子達の為に見せる資料は天使バージョンと呼ばれているらしい。
言い得て妙と言えなくもないが、では今自分が見せられているこれは何バージョンなのだろう。
神崎の頭の中に一瞬「地獄」という単語が浮かんだ。
だが、アダルトサイトは基本未成年は閲覧できないから、確かに自分から見ようと大きく動かない限り、少年達の目にこんな地獄なコメントは触れないだろう。
子供達で商売をする以上はその子供達をしっかり守ろうというこの会社の姿勢には神崎も好感を持っていた。
気を取り直して数少ない自分へのコメントに目を通すと、流石にリョウに対するような熱烈だったり好意的なコメントは少なめだった。
しょせん竿役と割り切れば、特に気にもならなかったが。
『兄ちゃんもげろ』
『うらやま死しそう。リョウくんかわいい。神崎はシね。』
なんていうのはまだ可愛い方で
『子役のほうが演技がうまい。冒頭のドラマパートでの兄貴の棒読みが気になる。』
という言葉には傷付きはしないまでも、若干胸に来るものがあった。
かと思えば
『兄ちゃんのプリケツたまらん。掘りたい。』
『神さんのデカチンがぶっぱなすとこで10回抜いた』
『リョウくんより健ちゃんとヤリたいなーなんてホモのおじさんが通りますよ。』
という、おそらくは男性ファンからであろう、ありがたいはありがたいが素直に喜べないコメントもちらほらとあった。
自分に男性ファンもいる事は知ってはいるけれども。
感覚的には自分をいやらしい目で見る男性の存在が本当は信じられていない。
見なきゃよかった。
とまでは言わないがストレートな感想も言いづらい資料を返すと、ちょうど待っていた事務書類の作成が完了したという通達が届き、その日はそれだけ済ませると会社を後にしたのだった。
───
「感想?うん、読んだよー。みんないっぱいホメてくれてたよね。」
そう言ってにんまりと笑むリョウの顔は、見ている側もつられて笑顔になりそうな眩いものだ。
男の子と2人で入れるラブホというのが数はそう多くはないものの、現在の新宿には探せばすぐいくつかは見つかる。
「ミーツボーイズ、すっごい売れ行きいいんだって!健ちゃんのおかげだよってオレちゃんと言っといたからね!」
ベッドの上でのし掛かって、ホメてホメてと言わんばかりに甘えてくるリョウの小さな体を受け止め、その白い皮膚の滑らかさと高い体温を堪能しながら、神崎は苦笑した。
先日、ふとリョウと話したくなってコンタクトを取ると、じゃあ週末に一緒に遊びに行こうとリョウの方から提案してくれた。
そして待ちに待ったのが今日というわけだ。
待ち合わせ場所に現れたリョウは周囲の他の中学生男子となんら変わらないラフな普段着姿で、完全に只の一市民として街に溶け込んでいたので驚いた。
「別にアイドルじゃないんだからいつも普通だよオレ。」
言われてみれば確かにそうか、と納得しかけたがすぐ隣に並んで自分を見上げてくるリョウは、よくよく見ればやはり滅多には見ない白皙の美少年で、こういう子をしっかりと見定めて発掘するスカウトというのはやはりプロなのだなあと感心してしまった。
一緒にカフェでお茶をしたり、雑貨屋や電気屋を巡り、と子供とはいえ男の子とまるでデートのような時間を過ごし、リョウの好きそうな和食料亭で夕飯を取っていると、気が付けば今日話したかったことを何も話せていないことに気が付いた。
かといって、自分達の仕事の内容など、こんな衆人環視の場では話せない。
どうしたものかと思っていたら、リョウの方からラブホに誘ってきたので神崎も流石に狼狽した。
この時点では「男の子と入れるラブホ」の存在自体、神崎は知らなかった。
勿論、リョウのほうも単におしゃべりをする場所としてラブホを提案したはずもなく。
けれど、「久々に健ちゃんとしたいなー、だめー?」
なんて、こんな可愛い子に無邪気に言われて、到底断れなかった。
感覚的には女性から誘われているのとさほど変わらない。
誘いを受けなければ男として無粋の誹りを受けそうな気さえした。
しかし、リョウは確か女のコが好きな普通の男の子だったはずだが。
仕事でもないのに、あえて自分としたいのか。
不思議に思って聞いてみると、リョウはきょとんとしたもので。
「え、別に、気持ちいいからいいじゃん。おれ、健ちゃんも好きだし。好きな人とするのって楽しいよねー。」
今どきの男の子の価値観はそんなものか、とリョウの奔放さに舌を巻く。
気を取り直し、部屋に入って、軽くお風呂を済ませた後、そのままベッドで、じゃれあいのようなスキンシップを楽しんだ。
自分より何周りも小さい、細っこい少年の体を後ろから羽交い絞めのようにしてやると、腕の中できゃーきゃーとはしゃぐリョウの声に神崎もテンションがあがっていく。
お互いに裸でさえなければ、子供とお兄さんのただの戯れにしかみえなかったろう。
ちっちゃくて形の良い耳たぶを食み、胸板の滑らかな肌を撫で擦っていると、それだけでも十分心地良いものだが、さらに首筋を嘗め回し、おっぱいの突起がぷくりと浮き上がってくるのを指先や舌で転がすのも楽しい。
そうしている間にも、新陳代謝の著しい子供の肌からは若々しい生命に富んだ芳しい匂いが鼻を擽る。
そのまま向かい合わせに抱き寄せ、桃の例えのよく似合う小ぶりなお尻を抱えるようにして両手で揉んでやると、くすぐったそうに身を捩り首筋にちゅっちゅとキスを返してくるのが微笑ましい。
脚を広げさせ、ホテルに備え付けのローションを使って、しっかりと後ろの窄まりを浅いところからじわりじわりと圧し拡げて、自分を受け入れさせる準備を整えていく。それはお互いの快楽のためでもあるし、リョウの体に痛みや傷を残さない為にも手を抜くわけにはいかなかった。
「んっ……んん……あ、はぁ…へへ…ぇ…やっぱ、自分でするのより、きもちいいね……。」
仄かに頬を色づかせて照れ笑いを浮かべるリョウがいじらしくて、後ろを準備しながら少年に寄り添って、舌先を触れ合わせて互いの唾液の味を楽しんでいた。
後ろが軟柔に解れてくると、少し力を込めてリョウの股を左右に開き、おちんちんと、その下で物欲しげにヒクつく窄まりに思わず目を細める。
そこにしっかりと滾った自分の先端を宛がって軽く擦りたててやると、リョウの方から両の太ももを抱えて掲げる。
「健ちゃん………………健ちゃんのおっきいの、はやく、入れてぇ……」
現役AV男優の神崎ですら、思わずごくんと喉仏を揺らす、誘惑の囁き。
未熟とはいえ自分と同じ、おちんちんが付いている生き物だというのに。
女の子のような肉付きの無い、むしろ骨盤の形がうっすらと見て取れるような、華奢な腰つきと透き通るような白い肌。
雄とも雌ともつかないこの小さな可憐な生き物に、今この瞬間だけはどうしようもなく獣欲が滾る
「ふぁ……あっ…ぁ…んふっ…んっ…んぅっ………っ」
入念な愛撫のおかげで美味そうに潤った少年のアナルに、神崎が肉竿を没入させると、リョウはその瞬間だけ軽く背を反らし、後ろを襲う強烈な圧迫感と異物感にただひたすら耐えるだけの静かな息遣いを続けた。
例のビデオ撮影の時。
自分に抱かれながら胸の中であんあんと自分に縋って悦がるリョウに謎の征服感を覚えつつ、その声に股間を刺激されたものだが、撮影でもなんでもないプライベートのこの場で、真正面からかき抱いたリョウの口からは派手な嬌声など聞こえてこなかった。
リョウもリョウなりにやはり男優として演技をしているのだという発見と同時に、リョウの熱々の柔肉の味に歯を食いしばって耐えている自分の方こそ、撮影の時と何も変わらないことに気が付く。
あの時と同じように腰を揺すって中を掻き回して、やんわり、じっくりと可愛がってやると、リョウは大きな声こそ出さないものの、絶えず自分を襲う性感に堪える細い息遣いや、時折良いところに当たる度にぎゅうっと腰にしがみ付いてくるリョウの脚の感触に、今度こそリアルなリョウの官能を感じて、変わらず神崎は昂った。
「へ……ぇ……?な………に………?」
リョウの腰を、桃のお尻をさらに高く抱え上げ、左右の太ももを鷲掴みに拡げさせたかと思えば、神崎はさっきまでより一層激しい勢いで腰を上下にまるで叩きつけるような勢いで打ち付けて、大きな肉杭の先端から根本までふんだんに使ってリョウの事を苛めた。
「ひゃっ……はっ……けんちゃ……どしたの…っ…んやぁ……っ!!」
「大丈夫、キツかったら、やめるから……」
こないだのようなお兄ちゃんスタイルとは違い、いつも女優に対するのと殆ど変わらない大人の男の腰使いで少年を犯すと、あんなに小さくて健気な肛門がこれも女性器と変わらない、いやそれ以上に貪欲な肉孔として神崎の雄を歓待する。
ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅと濡れた音を奏でて愛液代わりのローションがまるで唾液のように二人の敏感なところに絡みついているのが光る。
「は…ぁっ………ぁんっ…ぁんっ…ンッ……んぅ~~~~~~~~ッ」
破裂しそうな真っ赤な顔で震えを起こしながらもリョウは懸命に耐えていた。ただ耐えているだけでなく、自分からも腰を浮かせて神崎の攻めを欲しがっている事は見て取れる。
そう、こういうリョウが見てみたかったのだ。
男として、自分の実力と威力でリョウに演技ではない快楽の喘ぎを上げさせてみたかった。
少々大人げないということは十分分かっていながら。
リズミカルに抽挿を繰り返したかと思えば、時折意地悪くかき回しては角度を変えて、そのたびに竿から伝わってくるリョウの熱は強烈な刺激となって腰を伝っていた。
言葉は発さない代わりに、自分の竿で感じているリョウの姿をじっくりと両の目で捉えていた。
リョウもそれをわかっているからこそ、そこから湧き上がる羞恥も快感に一味を添える。
もう幾度目かの、亀頭によるスイッチ攻めの最中に、リョウはひと際大きく震えを起こして、神崎のものをきつくきつく後ろの穴で締め付けた。
リョウが後ろでイった後も、神崎は自分が絶頂を迎えるまでは決して繫がりを解くことはしなかった。
「はぁ…はぁ………けんちゃん…げんき……すごいぃ…っ……っ……ぁんっ…ぁん…っ」
絶頂後の火照った体のままさらに中をかき回されるのをリョウが楽しんでいると、そのままの勢いで神崎は徐に竿を抜き出し、軽く扱いた瞬間、濃い白濁を放ち、存分にリョウの体に征服の証で染める。
リョウも激しく犯されながら自分のおちんちんを扱いてミルクを放っていたが、量や濃度はまるで比ではなく、神崎の子種は自然とリョウの頭から股間までを無残に濡らしていく。
撮影が始まってから続けているオナ禁の成果は今もしっかり出ていた。たった今台無しになったとも言えるが。
「はぁ・・・っ・・・はぁ・・・・・・っ」
すっかり汗だくになった体で荒い息を吐きながら、雄から人間の男へ戻っていく神崎の胸には男の子相手にしっかり頑張ってしまった後悔と、派手な絶頂による爽快感が鬩ぎあいながら広がっていた。
少しでもリョウが嫌がったり、拒絶の意思を示したらやめようとは思っていたが、リョウの慣れ方からしてそんなことにはならないという漠然とした確信があった。
すると、案の定リョウの体は懐深く自分の雄を受け入れて、なおかつそれを悦んでいる素振りすら見せた。
そして、そんなリョウの媚態に神崎もさらに煽られて・・・。
「んはぁ……すっげぇ……今日の健ちゃん、めっちゃはげしーね……どしたの…?」
「う、うん………一応今、オナ禁もしてるから…そのせいでちょっと暴走したかも……。」
「ぇろ…っ……わっマジだ、すげー濃い。ねるねるゼリーみたい。健ちゃんのせーし。」
まだ神崎の温もりの残った彼の体液をすくって味見しながら駄菓子に例える。
そんなリョウの口ぶりは、嫌がるどころかむしろ楽しんでいるようでしかない。
「あっ…………」
想像を超えたリョウのキャパシティを内心で称賛していると、一度の射精では到底収まらない神崎のものを、起き上がったリョウの手が扱きたてていた。
「へへー!次、オレが乗っかってもいい?今度はオレが健ちゃんのこと、いっぱい気持ちよくしてあげるね?」
「……はっ…はい……………。」
いたずら小僧と娼婦が混ざったようなリョウの不敵な表情に、神崎は大人しく仰向けになって、リョウの為だけの竿役に徹する。
「…ほらぁっ……オレのお尻に、健ちゃんのちんちん、ずぶずぶって入ってくんの………みえる~……?」
「う、うん………すごーく、よく見えるよ……でも、その……あ…っ…」
リョウの言葉通り、確かに今度は神崎がたっぷりと気持ちよくさせられる番だった。
あくまで善意のリョウに対して、神崎はなぜか自分が甘美なお仕置きを受けているような、そんな気がしてしょうがなかった。
───
「どしたの?健ちゃん、オレのエッチ、楽しくなかった・・・?」
あの後もたっぷりとリョウの体を堪能したベッドで、一人ふさぎ込むようにうつ伏せになっていた神崎の背中に、リョウは心配そうにぺたりとくっついてくる。
その肌の感触もまた心悦くて、スキンシップという言葉の意味を感じさせてくれる。
「いや、そんなことないよ。楽しいよ、リョウとするのは。」
「そぉ?そんならいいけど。」
はっきりとした返事をもらって、ご機嫌なリョウが背中にぎゅうっと無邪気に抱き着いてくるのを、思わずそのまま抱き返してキスでもしてやりたい気持ちと、そこまでやったら本当にショタコンデビューを迎えたと言われてしまいそうで振り切れない。
これがあくまで、相手がリョウという美少年だからというのであればまだ救いがあろうか。いや、リョウだって13歳の中学1年生の男の子であって、そんな幼い子に肉欲を感じた時点でショタコンには変わりない。
もしかしたら自分はもうすでにショタコンというやつなのだろうか。
女性だけが好きだったはずのかつての自分はすでにこの世にはいないのか。
リョウの魅力と社会人として真っ当な性癖でありたいという信念の間で揺れ動いている神崎のその様は、まさに企画者の思惑通りであっただろう。
「健ちゃん、ケータイ鳴ってるよ~?」
絶賛賢者モード中の神崎の代わりにリョウが電話を取って渡してくれる。
相手はSODのプロデューサーだった。
「はい、もしもし。神崎の電話です!あ、いえ、こちらこそお世話になっております!はい!」
すぐに頭は社会人に切り替わって、姿勢まで正す。
邪魔をしたら悪い、とリョウが一人で自分の携帯をいじっている間に、話は纏まったようだった。
「SODのおじさん、なんだって?」
何の気無しにリョウが問うも、電話を切った神崎の表情は明るいとは言い難かった。
「ミーツボーイズが人気だから、続編、あと2作は制作決定したって………。」
「えーー?よかったじゃん!!主演作品増えちゃうね!」
「うん………ありがとう………」
神崎の内心の葛藤を知らないリョウは、悪気なく素直に祝福の言葉を投げかけてくれる。
主演といっても、本当の主役は男の子の方で自分は添え物。
いや、そんなことはどうでもいい。
AV男優なんていうのはそもそも大概が主役の添え物であり、顔出しがあろうとなかろうと、竿役であり、汁役に過ぎない。
そこを、良い竿役、汁役であろうと頑張った結果、こんな自分にもファンと呼べる方々がついてくれて、ありがたいことであると常に思っている。
けれど、初のシリーズものの主演が、まさかのショタコンものであるというのは・・・。
これが売り上げ的に後の自分の代表作などになったら目も当てられない。
確かに自分は派手なイケメンというわけではないが、これでも一応女性向けのAVなどにも出演してる以上、男優としての誠実なイメージや清潔感にも気を使っていたのに。
困惑していると、今度は通話ではなくメッセージが送られていた。
リョウと二人でのぞき込むと、そこにはさっきのプロデューサーが次の共演者の簡単な資料を送ってくれたようだった。
柴咲白
一瞬、これが人名であるということを理解できなかったが、すぐ上に
「しばさき しろ」とカナが振ってあり、どうやら次の撮影のお相手となる男児の名前であることが分かった。
しろ君、とはまるで犬の名前のようだが可愛い響きをしていると思った。
そんなことは別にいい。
それよりもその下に書かれている別の情報に神崎は目を剥いた。
名前の下には小さく、だがしっかりとこう書かれていた。
柴咲白
小学4年生。10歳。