デザームより雷門の戦力分析を任せられたマキュアは、彼らの強さの秘密を探るため、深夜の部室棟へと潜入していた。
(必殺技の練習ノートとか見つかればベスト、ね)
音を立てずに廊下を進み、ロッカールームの扉を押し開ける。室内には、昼間の激しい練習を物語るような、汗のツンとした匂いが濃く残っていた。
端から順番にロッカーを調べていく。幸い、どれも施錠はされていない。
例のGKの少年のロッカーを開けると、目論見通りディフェンス技の練習記録を発見した。
(やったっ! やっぱりマキュア、天才❤)
すかさず端末で撮影する。これでデザームにも良い報告ができるはずだ。
「……もう少し、何か掴めるかしら」
欲が出て次のロッカーを開けた瞬間、あまりのムサ苦しい臭気に思わず小さく咳き込んだ。
中には、今日の練習で汗をたっぷり吸ったユニフォームがそのまま放置されている。ネームプレートを確認すると、あの巨体で鈍足なDFのものだった。
(あいつ、こんなに汗を吸ったユニフォームを持ち帰らないなんて、信じらんないっ!)
心の中で激しく悪態をつく。
──しかし、何故だろう。強烈な臭いに顔をしかめながらも、そのユニフォームから視線が外せない。
ロッカーを開けた瞬間から、その野生的な臭いに脳の芯まで上書きされていくような、妙な感覚に襲われていた。気がつけば、下腹部がじわじわと熱を帯び始めている。
(ちょ、ちょっとだけなら……いいよね)
抗えない衝動に駆られ、汗の臭いが染みついたユニフォームを掴むと、鼻を埋めて思いっきり吸い込んだ。
その瞬間、身体の奥の熱が一気に跳ね上がり、痺れるような快感がつま先まで駆け抜ける。
(あぁっ……だめなのに、マキュア、この汗臭いの……大好きぃ❤)
完全に理性を匂いに塗りつぶされた彼女は、本来の任務も、ここが敵陣の真っ只中であることも忘れ、濃厚な男の臭気に包まれながら、自らの熱を鎮めるように耽溺していくのだった────。