「暇っスねー。もう今日は客来ないんじゃないっスか?」
閑古鳥が鳴いており、BGMとして流れる陽気なジャズだけが虚しく響く店内を眺めながらオレ、山本将吾は呟いた。
数ヶ月前から始めたこの輸入雑貨店でのバイト。
客入りがほとんどないため楽なのだが、楽すぎるというのも退屈だ。
すると、オレの隣にいたもう一人のバイトが反応する。
「もー、だめだよ〜山本くん? 店長がいないからって適当にしてたら〜。一応あたしたちお金もらってるんだからさ〜」
茶髪のゆるい雰囲気の女、日向萌はオレより一つ年上でここのバイトの先輩だ。
頭はあまり良くなさそうだが、胸だけはでかい。
「つってもただボケーっとしてるだけなんてつまんないっスよ。先輩、もう店閉めてメシでも食いに行かないっスか?」
「ダーメ。ちゃんと時間まで働かなきゃ〜。あと、山本くんはチャラいからご飯もダメ〜」
「ええ? どこがっスか? 真面目な好青年じゃないっスか」
「金髪でピアスつけてたらチャラ男でしょ〜。それに真面目な好青年は自分でそれ言わないよ〜」
楽しそうに会話に応じてはくれるが、しっかりと線を引かれているのを感じる。
なんとかして落とそうとこれまで話し続けてきたが、ガードの固さはなかなかだ。
まあこんなのよくあることだから今更気にしたりはしないが。
この店はこうしてオレと先輩の二人だけになることが度々ある。
元々店長が道楽でやってる店らしいから従業員もほとんどおらず、店長が店を空ける日はいつも二人だ。
といっても客は全然来ないから何も困るようなことはない。
「つーかこの店ってどうやって生計立ててるんスかね。店の売り上げなんて雀の涙ぐらいじゃないっスか」
「なんか店長ってすごいお金持ちらしいよ〜。儲けとか最初から気にしてないんじゃない〜? ここの商品も店長が海外旅行しながら面白いものとか珍しいものとか集めてきてるって前に言ってたし」
「へー」
改めて店の中を見てみると、海外の土産物屋で売ってそうな変な木彫りの人形だとか、変な仮面だとかそんなのばかりが目に入る。
珍しいといえばそうだが、どれを見ても売れる気は全くしない。
「でもさ〜、これだけ色々あったらお宝が混じってたりしないのかな〜? ほら、なんとか鑑定団みたいなテレビに出てくるような曰くつきのすごいものみたいな〜」
「いやいやまさか。そんなのあるわけないっスよ。こんなところにあるものなんてどれもガラクタばっか……」
するとそのとき、店の入り口が開いてチリンチリンとベルが鳴った。
どうやら客が来たようだ。
オレと先輩はすぐに姿勢を正すと入り口に向かって口を開いた。
「いらっしゃいませ〜」
「…………」
店の中に入ってきたのは、珍妙な格好をした女だった。
年はオレたちと同じぐらいで、細く華奢な体型だ。
長い黒髪が目を引き、それに負けず劣らずの綺麗な顔をしている。
だが何より気になるのは、身につけている巫女装束のような着物だ。
コスプレなのかなんなのかわからないが、着ている本人は大真面目な顔をして店の中を観察している。
しばらくは何やら真剣な眼差しで商品を見ていたが、やがて女はこちらに向かって歩いてくると無表情のまま口を開いた。
「……失礼。ここに邪気の宿る魔具があるはず。差し出してほしい」
「はい?」
女の言葉にオレと先輩は間の抜けた返事をしていた。
いきなりやってきて何を言い出すんだこいつは。
邪気の宿る魔具って、漫画の設定かよ。
オレたちが困惑しているのを察したのか、女は言葉を続ける。
「……私は退魔の巫女、神凪雫。この建物からは邪気を感じる。おそらくなんらかの魔具が持ち込まれている。……このままでは危険」
大真面目にそんなことを言われても知らんとしか言いようがない。
しかし、真剣な顔で語る女……雫に感化されたのか、先輩は雫の手を取って頷いていた。
「わかったよ、雫ちゃん! どれかわからないけど、一緒に探すよ〜!」
「……感謝する」
「いや、先輩マジっスか?」
「ほら、山本くんも手伝って〜」
先輩は雫と共に辺りをガサゴソと漁り始める。
おいおい、本気かよ。
なんか面倒なことになったと思いつつ、雫のことを観察する。
どこからどう見ても普通ではない変な女だ。
艶やかな長い髪と巫女服はそこはかとなくエロさを感じるが、身体の方は貧相であまりそそられない。
ずっと無表情で口数も少ないしオレの好みではないな。
「も〜、山本くんもちゃんと探してよ〜!」
「あー、はいはい。わかったっスよ」
オレは適当に近くにあった箱を開けて中を見てみた。
すると、その中には黒い変なツボが入っていた。
赤と青の線がぐるぐると渦巻いている模様が描かれていてなんか不気味だ。
こういう変なものはいくらでもあるからいちいち何か言ってはキリがないが。
オレはツボを手に取って掲げながら雫に尋ねてみた。
「これとかどうっスか? 変なツボっスけど」
「……っ!? それに触れては駄目っ……!」
それまで無表情だった雫は急に焦ったようにこっちに手を伸ばしてきた。
するとその瞬間、突然ツボが光を放ち始めた。
「うわっ、なんスかこれっ……!?」
「ま、まぶしいっ……!」
「……っ、間に合わないっ……!」
オレたちが困惑の声を上げると、今度は体が宙に浮かび上がり、ゆっくりとツボの中に吸い込まれ始めた。
「う、うわあぁっ!」
「きゃああぁっ!」
「っ……!」
あまりにも異常な現象にパニックになったオレたちは悲鳴を上げながらツボの中に吸い込まれていく。
明らかに人が入るようなサイズじゃないのに、オレたち三人は頭からツボの中へと落ちていき、そのまま全身飲み込まれてしまった。
真っ暗闇なツボの中が視界全面に広がっていくと共に、オレは意識を失った。
────────
「……っ!」
「いてっ!」
「きゃあっ!」
壺から放り出され、床に倒れ伏す。
どうやら意識を失っていたらしい。
打った頭を押さえながら身体を起こして周りに声をかける。
「……二人とも、無事? ……? ……なに……? 声が、おかしい……」
自分の声が、妙に高く聞こえる。
喉に手を添えると、喉仏のない細い首に触れ、強い違和感に襲われる。
おかしいのはそれだけでなく、手も普段の自分のものとはまるで違う細く華奢なものへと変化していた。
そして何より、胸元に大きな膨らみがあるせいで足元がよく見えない。
これはどう見ても、女性特有の胸の膨らみだ。
それに、この服は間違いなく先輩の着ていた服。
「こ、これは……いったい……」
「な、なんスかこれぇ!? なんでオレが雫ちゃんの巫女服着てるんスか!?」
すると、隣で身体を起こしていた雫が自分の体を見ながら驚愕したような声をあげている。
さっきまでの物静かな様子とはかけ離れた言動に思わず目を丸くしてしまう。
「あちゃ〜……こうなっちゃったか〜……わたし、男の子の体になっちゃってるし〜……困ったな〜」
その隣では、金髪の男性が悩ましげな表情で思案に耽っている。
その顔は、どう見ても普段鏡で見ている自分……山本将吾の顔だった。
「まさか……私たち、体が入れ替わっている……? んん……先ほどから……口調が……おかしい……」
私は思わず自分の口を手で押さえた。
どうやら入れ替わってしまったのは体だけじゃなさそう。
口を開くと自分のものとは思えない口調で言葉を発してしまう。
いや、口調だけでなく頭の中もだ。
自然と私なんていう一人称を使ってしまっているし、いつもの自分では考えられないほど理路整然と物事を考えている。
この感じは先ほどまでの雫の様子に近しい。
つまり、私は今現在体は先輩、頭の中は雫になってしまっているということだ。
しかし、私には自分が山本将吾だという自覚がある。
今までの山本将吾として生きてきた記憶だってちゃんと残っている。
つい先ほどまでこの店のバイトを先輩と一緒にやっていたことだってちゃんと覚えている。
ただ、体も思考もいつもの自分からかけ離れており、何が何だかわからない。
「いやいや、えっ? マジっスか? 何が起きてんスかこれ?」
元の私のような軽薄な口調で雫の体が喋る。
先ほどまで真面目な巫女としての姿しか見ていなかった私にとっては非常に違和感の強い状態だ。
「えっと〜、一旦ちゅうもーく! 何が起こったか説明するから、わたしの話聞いてね〜」
先輩のようなおっとりとした口調で元の私……山本将吾の体が喋る。
金髪の軽薄そうな男性が女性のような口調で喋っているため、こちらも非常に違和感が強い。
「一旦状況を整理するね〜。わたしたち、さっきこのツボの中に吸い込まれちゃったよね〜。それは覚えてる?」
「うっス」
「…………」
私は黙って頷く。
私が触れた途端に壺が輝きだし、その中に飲み込まれるという怪現象が起きた。
信じられないがそれは紛れもない事実だ。
「それで、こうやって外に出れたんだけど〜、多分このツボに宿っていた邪気のせいでわたしたちの体と性格と意識がごちゃ混ぜになっちゃったっぽいんだよね〜」
「うえー……マジっスか……」
「…………」
体と性格と意識の入れ替わり。
言われただけではあまりにも非現実だが、実際にこの身に起こってしまっている以上疑いようがない。
「一応わたしはさっきの巫女の神凪雫なんだけど〜、体は男の子の店員さんで性格の方は女の子の店員さんになっちゃったみたいだね〜。あ、そういえば二人の名前聞いてなかった。軽く自己紹介してもらってもいい?」
私は雫の体をした相手……おそらく先輩と軽く目を合わせると、まず向こうから口を開いた。
「えっと、一応オレ、この店でバイトしてる日向萌っス。あ、ちなみに女店員の方っスよ。体は雫ちゃんで、性格は山本くんのものになってるみたいっスね。なんか違和感すげっスわ」
軽く頭を掻きながら自己紹介する雫の体の先輩。
私も彼女に続いて口を開く。
「……私の名前は山本将吾。ここでバイトをしている男店員。体は萌先輩で、性格は巫女さんの……雫の性格になっている。……私も、先ほどから強い違和感を感じている」
先輩の体で、私は落ち着いた口調で言う。
自分のものとは思えない自己紹介をしてしまい、自分でも困惑している。
何故だか必要最低限の言葉しか発したなくないという気持ちから、自然と口数が少なくなってしまう。
これが雫の性格なのだろう。
何も考えず口を開いていたいつもの私とは全然違う。
「おっけ〜。日向さんに山本さんね〜。よろしく〜。……って、こんな状況で呑気すぎるよね、あはは、ごめんごめん」
元の私、山本将吾の体の雫が笑いながら頭を下げる。
単純で楽観的な先輩の性格になってしまっているせいだろう。
先ほどまでずっと真剣な顔をしていた雫と同一人物とは思えない。
「なんとかして元に戻らなきゃいけないよね〜。どうしようかな〜……」
「いやマジで頼むっスよ。こんな入れ替わりなんて冗談じゃないっス。体は巫女のコスプレみたいな雫ちゃんになってるし、性格はチャラ男の山本くんみたいになってるし、もうめちゃくちゃじゃないっスか。なんとかしてくださいよ」
「それはわかってるんだけど〜……あ、ていうか今コスプレって言った? わたし、本職の巫女なんですけど〜?」
「あ、いや、オレはちゃんと本物の巫女だって信じてるっスよ? ただ今の性格で気を抜くとこの格好とかコスプレ衣装に思えてきて……別に悪気はないんスよ。ほら、山本くんもなんとか言ってくださいよ」
先輩のような口調で喋る山本将吾の体の雫と、山本将吾のような口調で喋る雫の体の先輩が急にこちらに話を振ってきた。
違和感だらけの光景で頭が痛くなりそう。
自分だって違和感だらけで手一杯だというのに。
「……私は、女性の体になって困惑している。……元に戻せるのなら、戻してほしい。」
「え? それだけっスか? いつものいらんことまで喋りまくる山本くんはどこ行ったんスか」
「……これが雫の性格。今の状態では、あまり喋る気にならない……」
「あはは、まあわたしの性格ならそうだよね〜。こうやって客観的に見るとなんか面白いかも〜」
楽観的な会話を続ける二人を横目に、私は冷静に思案していた。
一体どうすれば元に戻れるのか。
おそらくあの壺を利用しない限り元に戻れないと思われる。
私は床に転がる壺の前まで移動し、慎重に観察する。
さっきの光は完全に鎮まっており、ただのおかしな模様の入った黒い壺にしか見えない。
雫はこの壺には邪気が宿っていると言っていたけれど、私にはそんなものは感じられない。
「……この壺を使えば、元に戻れると私は考えている。……貴女はどう思う? 雫」
私は先輩の声で、山本将吾の体の雫に尋ねる。
雫は悩ましそうな顔をしながら口を開いた。
「うーん、それはわたしもそう思うんだけどね〜。今はそのツボから魔力が抜けてるっぽいから改めて魔力を込める必要があるんだよね〜」
「どうすれば魔力を込められるんスか? 雫ちゃんは知ってるんスよね?」
「まあ心当たりはあるけどさ〜……」
山本将吾の体の雫は口を濁しながら黙ってしまった。
元に戻れる方法があるならば、早急に試すべきだと私は思うけれど、彼女は違うのだろうか。
「なんスか、勿体ぶらずに言ってくださいよ」
「う〜ん、仕方ないな〜……言うけど怒らないでよ〜?」
山本将吾の体の雫は軽くため息をつきながら言った。
「……えっとね〜、入れ替わったわたしたちでエッチをして、中出しした精子をこのツボに入れればいいと思うんだけど〜……」
雫の言葉に、先輩の体の私と雫の体の先輩は思わず黙ってしまった。
エッチとは、つまり性行為だ。
入れ替わったこの状態で性行為をしなければいけないというのは、尋常なことではない。
「いや、いやいやいや冗談じゃないっスよ! それってこの雫ちゃんの体でその山本くんの体に抱かれろってことっスよね!? 勘弁してほしいっスよ流石に!」
「……念のため確認する。ふざけているわけではない?」
「ふざけてないよ〜! 男女の交わりって本来は命を生み出す神聖な行為なんだからね! 今回のツボによる肉体と精神と魂の混線でわたしたち自身が魔力を帯びてるからそれを利用して交わることで魔力を宿した精をツボに込めることができるの! これが今一番合理的な解決法なんだってば〜!」
山本将吾の体の雫が必死に説明する。
その理屈は私にはよくわからないが、本職の巫女だという彼女が言うのだから疑っても仕方ない。
ならば私のするべきことは一つだ。
先輩の体の私は、着ている服をその場で脱ぎ始めた。
「ちょっと待てぇ! 山本くん何いきなり脱ぎ始めてんスか!? それオレの体なんスけど!?」
「……この場で誰かが性行為をして中出しをされる必要がある。この場には男が一人と女が二人。男の雫が参加するのは必須。女は私と先輩のどちらかが参加しなければいけない。……先輩が嫌がるならば、私の役目」
「そりゃ嫌っスけど! 自分の体で勝手にセックスされる方が100倍嫌なんスけど!? つーか、男なのに女の体でセックスすることに躊躇いとか葛藤とかないんスか!?」
雫の体の先輩は私の行動に憤慨しているようだ。
言われてみれば確かにこの体は先輩のものだ。
許可なく性行為に及ぶのは問題かもしれない。
しかし、自分が性行為に及ぶことに葛藤の類はほとんどない。
元々私は貞操観念がしっかりした人間ではないけれど、それ以前に必要であるならば躊躇う必要がないという価値観が今の私の中には存在している。
これは雫の性格の影響だろうか。
「とにかく、その体にやらせるぐらいならオレがやるっス。雫ちゃん、いいっスか?」
「まあ仕方ないよね〜。まさかわたしも男の体で自分の体とエッチするなんて思ってもなかったけど〜、あはは」
雫の体の先輩が、山本将吾の体の雫に確認を取る。
結局二人に性行為を押し付けることになってしまった。
少し申し訳ない。
「うぅー……なんかオレの真似しながら喋る山本くんに犯されるみたいで気持ち悪いっス……」
「それを言うならチャラ男の真似しながら喋るわたしを犯さなきゃいけないわたしの気持ちも考えてほしいんだけどな〜」
先輩と雫はお互いに愚痴を言い合いながら服を脱ぎ始めた。
二人の言うことも尤もだ。
単純な体の入れ替わりだけでも違和感だらけだというのに、それに加えて性格まで交換されているこの状況での性行為はあまりにも倒錯している。
雫の体は、口数少なくいつも無表情で真面目な彼女本来の様子からはかけ離れた軽薄な言動ばかりだし、山本将吾の体は、その男性らしい風貌に全く似合わないおっとりとした女性らしい言動をしている。
しかもその意識はさらに別人のものであり、こんな状況での性行為をしなければならない当人たちの心情を如何ばかりか。
私には想像もできない。
「ほら、脱いだっスよ……早く始めろよ」
帯を緩めて袴をたくし上げた雫の体が、軽薄な敬語口調をやめて男らしく喋り始める。
私はいつも性行為のときはああいう喋り方になる為、私の性格になっている彼女も同様に振る舞っているのだと思われるが、こうやって客観的に見せられると少し羞恥を覚える。
会計の台に手をついた雫の体が、下半身を丸出しにして山本将吾の体へと背を向けている。
「ん〜……あっ、なんか勃ってきちゃった〜。あははっ、男の子って、こんな感じなんだ〜。ちょっと楽しくなってきちゃったかも〜」
一方、同様にズボンを脱いで下半身を丸出しにした山本将吾の体は、その股間の男性器を勃起させて興奮を露わにしている。
女性らしい口調ではあるけれど、その男性器の大きさは凶悪で、小柄な雫の体に収まるのか我ながら心配になってしまう。
「まずはちょっと触るからね〜。いきなり入るかわたしも不安だし〜」
「……んっ……ふっ……」
山本将吾の体が、背後から雫の体の女性器に指を這わせてほぐしていく。
雫の体からは少女らしい喘ぎ声が漏れ出し、感じているのが見て取れる。
「……あはっ、自分の体が喘いでるのを見るのって変な感じ〜……なんか、あそこがもっと熱くなってきちゃった」
「んっ、あっ……え? マジ、かよ……」
雫の体の女性器を触っているうちに山本将吾の体の男性器はさらに大きく勃起していた。
雫の体はそれを見て頬を上気させながらも少し慄いている。
「じゃっ、そろそろ挿入するからね〜。あはっ、なんでだろう……わたしすっごく興奮してるかも。こんなの初めて……んっ」
「んぎぃっ!? あがっ……!?」
後ろから山本将吾の体が男性器を雫の体の女性器に挿入し、ついに性行為が始まってしまった。
逞しい山本将吾の体が、小柄で華奢な雫の体を犯している。
私は今、元の自分の体が少女を犯している様子を第三者視点で眺めているのだ。
……なんなのだろう、この胸のざわめきは。
「ん〜っ、膣内、結構きついけど……これ、意外と、気持ちいいかも〜……」
「んっ、くぅっ! な、なんだ……これっ……こんなっ、んあぁッ!?」
山本将吾の体は調子に乗って腰を振り、その度に雫の体からは甲高い嬌声が発せられる。
私はただ見ているだけなのに、自然と呼吸が早くなり、熱が頭に上っていくのを感じていた。
「ふっふっ……今まで思ったことなかったけど〜、わたしってもしかして結構可愛い? なんか犯し甲斐があるよね〜、あはっ!」
「んひっ、あばっ、これ、しゅごしゅぎるっ、きもち、よしゅぎてぇっ!」
顔中涙まみれで支離滅裂な言葉を発する雫の体を、山本将吾の体はとても楽しそうな様子で犯し続ける。
気づけば私は自分の股間に指を伸ばし、自然と性器に指を擦り付けていた。
「んふうっ、ふっ、もう出そうっ……腰、止まんないし、もうこのまま出しちゃうからね〜、いいよね日向さんっ!」
「だ、だしてぇっ! オレのなかに、だしてぇッ!」
山本将吾の体は雫の体に激しく腰を押し付けていく。
顔を真っ赤に染めた淫らな二人の絡み合いはついに絶頂に至ろうとしていた。
「で、でるっ! うっ、ぐっ、うぅッ!!」
「あっ、イクッ、イクゥぅッ、んんあぁあぁッ!!?」
一際大きな声を上げた雫の体がビクビクと震えた後、ゆっくりと力尽きたように台の上に倒れ込んだ。
山本将吾の体が息を整えながら雫の体から離れると、その股間の膣からは白い液体が流れ出ていた。
「あはぁ……気持ちよかったぁ〜……でも、もっと……まだ、足りないなぁ〜」
山本将吾の体がこちらを振り返る。
その目は完全に据わっている。
とても元は巫女だったと思えない、性欲に飲まれた獣ような男の目。
たった今射精したばかりだというのに、股間の男性器は大きく勃起している。
何故だか私は、その元は自分のものだった男性器から目が離せなくなっていた。
「……山本さんも協力してくれるよね〜? 役目、果たしてくれるよね〜?」
「……んっ、はぁ……それが、私の役目なら、仕方ない……」
私は先輩の体で、履いていたスカートを脱ぎ捨てた。
体が熱い。
着ている衣服がもどかしい。
そのまま下着も脱ぎ捨て、下半身を露出させた状態で山本将吾の体の雫と向かい合った。
体は元の私。
中身は巫女の少女。
性格はよく知る先輩。
色んな意味で倒錯した存在が、その勃起した男性器を私に向けてきた。
私の……先輩の体の女性器は濡れそぼっていて、私の呼吸に合わせてヒクッと震えている。
股間に何もないなんて変な感覚。
でも、今の私は何故だか無性にここを満たしてほしいという感情に支配されていた。
「山本さん、もう濡れちゃってるね〜。チャラ男だったのに恥ずかしくないの〜?」
「……別に……ただの、生理的な反応」
期待が胸に広がっているのを隠して、私は真顔を維持していた。
しかし、顔は赤いし息は乱れてるし足先まで愛液が垂れているしで、向こうには気づかれているかもしれない。
「ふ〜ん。まあわたしは気持ちよくなれればそれでいいけど……ねっ!」
「ッ……! あっ……!」
その瞬間、ずんっと強い衝撃が股間から響く。
私の……先輩の体の女性器に、元の私の……山本将吾の体の男性器が挿さっている。
まさか、本当に女性の体で性行為を体験することになるなんて……。
「んっ、ふうっ……日向さんの膣内もすごーい! 柔らかくうねってきもちいいっ! わたしの体の膣とは全然違うよ〜! あはっ!」
「あっ、んっ、くっ……んあっ……!」
山本将吾の体が腰を動かすと、私の喉から勝手に声が漏れてしまう。
深く刺さった固い男性器が、私の膣の中を暴れ回る。
これが、女性の性行為の感覚。
当たり前だけど男性側での感覚とはまるで違う。
「日向さんって、おっぱいもおっきいね〜! あはっ、きもちいい〜!」
「あっ、胸、触れられると……んんっ!」
山本将吾の体は私の服をはだけさせると乱暴に胸を揉んできた。
大きすぎる胸が形を変えるほどに強く握られ、私はまたも声を漏らしてしまう。
駄目だ、この体は。
触られる度に気持ちよくなって、声が抑えられない。
「んっ、ふうっ、男としてエッチするのってサイコ〜っ! ねえ山本さん、この体もうわたしにちょうだ〜い! ねえ、いいでしょ〜?」
「そ、そんなのは……駄目に、決まって……んあぁッ!」
「いいじゃ〜ん。また、こうやって可愛がってあげるからさ〜。ほら、チンポ気持ちいいから男やめて女の子になりますっていいなよ〜。じゃないと中に出してあげないよ〜?」
山本将吾の体はどんどん腰の動きを強めていく。
私は快感に乱れるだけのただの女だった。
中出ししてほしい。
この、私の膣の中に出してほしい。
その気持ちから、自然と口が開く。
「……ち、チンポが、気持ちいいので……男性をやめて、女の子になります……だから、中に……」
言ってしまった。
元は山本将吾だったのに、女の……先輩の体で、勝手に宣言してしまった。
その瞬間、私の頭の中は溶けるような快楽で満たされていた。
「んっ、言えたじゃ〜ん。それじゃあ、ご褒美あげるからね〜! んっ、ぐうッ、おおッ!!」
「あっ、んんッ! ッッ……!!!」
私に強く腰を打ちつけていた山本将吾の体が震えた瞬間、私もそれに合わせて大きく震えた。
私の中に挿し込まれた男性器の先端から、熱い液体が迸っていく。
膣の中が、山本将吾の精液で満たされていくのがわかった。
私、出されてしまった。
もとの自分の体に。
微かな後悔と大きな満足感に包まれながら、私はゆっくりと意識を手放した。
────────
「……ふんっ……うわっ、めっちゃ出てくるんスけど……どんだけ出してんスか」
股の下に置いた壺に向かって、雫の体の先輩が膣に出された精液を流し込んでいる。
それを見ている山本将吾の体の雫は、傍目から見てもとても落ち込んでる様子だった。
「うぅ〜……本当にごめんなさい〜……途中から自分を制御できなくて〜……これじゃあ巫女失格だよぉ〜……」
どうやら私や先輩を激しく犯してしまったことを悔いているらしい。
確かに先ほどまでの彼女は尋常ではない程に獣じみた性欲を露わにしていた。
入れ替わる前の彼女の様子から考えればとても信じられないほどに。
「このツボ、入れ替えた人間の性欲を増幅させる効果があるみたいだね〜。作った人はちょっと趣味悪すぎだよ〜」
山本将吾の体の雫は拗ねるような仕草で愚痴をこぼしていた。
なるほど、私が先ほど急に強い性欲に襲われて性行為に夢中になってしまったのもそれが原因か。
「山本くんの体がチャラ男なせいなのもあるんじゃないっスか? 性欲めっちゃ強そうだし」
「……私のせいだと?」
「いや、山本くんのせいとまで言ってないっス。山本くんの体のせい。ちょっと雫ちゃんをフォローしようとしただけじゃないっスか。そんな怖い顔しないでほしいっス。……ほら、山本くんも精液入れてください」
雫の体の先輩が股間に当てがっていた壺をこちらに渡してくる。
私は黙ったまま股から流れる白い精液を壺の中に流し込む。
こうしていると自分が女性の肉体になっていることを痛感する。
しかし、それに対して違和感はあっても特に嫌悪感はない。
心が凪いでいるかのように特に何も感じない。
このような特殊な状況においてもこうして冷静でいられるのは雫の性格のおかげだろう。
彼女の性格と入れ替わったのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。
ふと、奥の方に視線を向けると、いつの間にか山本将吾の体の雫が一人で何かしていた。
「雫ちゃん、なにしてるんスか?」
「この壺の効果をメモに残してるの〜。もし万が一また手違いで邪気が暴走しちゃったときに近くにいた人がなにもわからないと困るでしょ〜? こうやって箱の中にメモを入れておけばとりあえず安心」
「……なるほど」
確かに何も知らない人間がこの壺の効果に巻き込まれてしまったときのことを考えれば理に適っている。
できればもう二度と暴走しないように厳重に封印してほしいものだけれど。
するとそのとき、精液を入れられた壺に異変が起きた。
「……っ! 壺が……光っている……!」
私の股から流れる精液を流し込まれた壺は、最初のときのようにまた光り輝き始めた。
すると、私たちの体が宙に浮かび上がっていく。
この感じ、また壺の中に吸い込まれていくようだ。
魔力が足りて、再び効果を発揮し始めたのだ。
「これで、元に戻れるんスよね!?」
「うん、大丈夫なはずだよ〜!」
山本将吾の体の雫の声に私たちは安堵する。
この奇妙な現象ともこれでお別れだ。
そう思うと少しだけ名残惜しいような気もする。
先輩の体をもう少し目に焼き付けておくべきだっただろうか。
そんなことを考えていたそのとき。
「おかあさんおかあさんっ! ここだよ! このお店、おもしろそうなのいっぱいあるんだよ!」
「すみませーん、うちの子がどうしてもここに入りたいって……」
ドアのベルが鳴り、小さな子供とその母親らしき声が聞こえてきた。
何が起きたのか私が理解するより早く、二人の体は宙に浮かび上がっていた。
「え? なにこれ!? ぼく飛んでるよ!」
「う、嘘? なによこれ……!?」
私たちが壺に吸い込まれていくのに紛れて、親子二人も一緒に吸い込まれていく。
「いやいや、やばくないっスか!?」
「……これは、まさか……」
「う〜ん……まずいかも」
私たち三人は状況の変化を感じ取りながらも何もすることもできず、ただ流れに身を任せることしかできなかった。
今度は五人で壺の中に飲み込まれていき、視界が真っ暗になっていくのを感じながら私は意識を失った。
────────
「いたっ!」
「ひゃっ!」
「いてっ!」
「きゃっ!」
「……っ!」
ぼくたちはツボの中からドサッと床におとされた。
ぼくはあわてて体を起こして自分のことをよく見てみた。
ながい髪、巫女さんの服、女の子の体。
だれがどうみてもこれはぼくの本当の体じゃなくて、雫の体だった。
「ちょっと! 戻れてないじゃん! もうやだよぉ!」
ぼくはなんだか泣きそうになりながら声を上げた。
なんか、さっきから頭の中が幼くなったように感じる。
まるで小さな子どもみたいに。
そういえばさっきツボにのみこまれるとき、小さな男の子とそのお母さんらしき人がいっしょにのみこまれるのが見えた。
たぶん、あの子の性格になっちゃったんだ。
つまりぼくは今、雫の体で幼い男の子の性格になっちゃってるんだ。
まじめな女の子の体に幼い男の子性格なんて、また変な組み合わせになっちゃったみたいだ。
「あらあら……私、男の子になっちゃったの? 嫌だわもう……」
隣では、小さな男の子が大人の女の人みたいなしゃべり方で座り込んでいた。
この子のおかあさんの性格になっちゃってるのかな?
中身がだれかまではわからないけど。
「今度は日向さんの体っスか。しかも性格は山本さん……。こりゃ、どうしたもんスかね……」
その隣では先輩の体が元のぼくみたいなしゃべり方をしながらあぐらをかいている。
しゃべってることを聞くと、たぶんあの中身は雫だと思う。
「あ、あれ〜? わたし、お母さんの体になっちゃってる〜? なんで〜?」
そのさらに隣では、大人の女の人が先輩みたいなしゃべり方をして首をかしげている。
たぶんあれが男の子のおかあさんの体で、中身は男の子かな?
「……何が起きた……? こ、これは……私の体が……男性に……何故……? それに、この口調は……?」
そのまた隣では、元のぼくの体が雫みたいなしゃべり方でまじめな顔をしていた。
なにが起きたかわかってなさそうだから、中身は男の子のおかあさんだと思う。
「あー、一回聞いてもらっていいっスか?」
先輩の体が、元のぼくみたいなしゃべり方で手をあげながらみんなの前に出てきた。
たぶん雫だ。
「一回状況を整理したいんで、自己紹介タイムにしたいっス。オレは神凪雫。体は日向さんになってるっスね。性格は山本さんっス。山本さんと日向さんは名乗り出てもらっていいっスか?」
先輩の体の雫に言われて、ぼくも名乗りあげた。
「はいはーい! ぼく、山本将吾だよ。体は雫で、性格は男の子になっちゃった。なんか、幼くてうまくきもちがコントロールできないかも」
雫の体でこんなしゃべり方しかできないのはさっきとはまたちがった形で変なかんじだ。
すると、隣の男の子も手をあげた。
「私は日向萌よ。体はこの男の子で、性格はこの子のお母さんになっちゃったみたい。うぅ、小さな男の子の体って、すごい違和感ね……」
男の子の体の先輩は、見た目にまるで合わない大人の女の人のようなしゃべり方で、見ているこっちもおかしく感じる。
そんなぼくたちの様子を見ていたほかのふたりは、こまったような顔をしながら手をあげた。
「……質問。今なにが起きているのか、簡潔に教えてほしい。この体についても、この口調や思考についても」
「わたしも知りた〜い! 体はお母さんになっちゃってるし、頭の中もいつもと違ってなんか大人のお姉さんみたいになっちゃってるんだけど〜?」
「了解っス。信じられないかもしれないっスけど、オレら体と性格と意識がごちゃ混ぜになってるんスよ……」
先輩の体の雫は、かんたんにいま起きていることをふたりに説明した。
「すご〜い! それじゃあわたしは今、体はお母さんになって性格は萌お姉ちゃんになってるんだね。あ、そうだ、わたしの名前だよね。わたしは仁科勇気。よろしくね〜」
「……私も理解した。非現実的な現象だけれど、この身に起きている以上は信じるしかない。……私の名前は仁科貴子。この子の母親」
貴子さんの体の勇気と、元のぼくの体の貴子さん。
性格は先輩と雫。
人がふえてきたからか、さっきよりもっとゴチャゴチャしていてなんだかわけがわからなくなってきた。
おちついてかんがえてみよう。
ぼく、山本将吾は巫女さんの雫の体になって、まだ幼さのある勇気の性格になっている。
先輩は小さな男の子の勇気の体になって、大人の女の人らしい貴子さんの性格になっている。
雫はむねの大きな先輩の体になって、チャラチャラしたかんじの元のぼくの性格になっている。
勇気は自分のおかあさんの貴子さんの体になって、おっとりとした先輩の性格になっている。
貴子さんはチャラチャラした男の人の元のぼくの体になって、まじめでおちついている雫の性格になっている。
「うーん、ちゃんとかんがえないと、だれがだれかわかんなくなっちゃいそうだよ」
「そうよねぇ……」
「五人ともなるとかなりまぎらわしいっスね」
勇気の体の先輩と、先輩の体の雫がうなずく。
はやく元にもどらないと。
後からきたふたりも、まきこまれてしまったんだから、元にもどるために協力してもらわなきゃいけない。
問題は、その協力してもらうことなんだけど……。
「……聞かせてほしい。元に戻るためにはどうすればいいのか。貴方たちの話では、既に二回入れ替わっている。おそらく、入れ替わる方法を知っていると考えられる」
「そっか〜、確かにそうだよね〜。わたしたちが入れ替わったときあのツボに吸い込まれちゃったし、あれを使って何かするの?」
二人から問いかけられ、ぼくたちは顔を見あわせる。
なんてこたえればいいんだろう。
すると、先輩の体の雫が、頭をボリボリとかきながら口をあけた。
「あー、それなんスよね。まあ簡潔に言うと、この入れ替わった体でセックスする必要があるんスよね」
貴子さんの体の勇気はあたまにはてなを浮かべている。
「せっくす? 何それ〜? ねえお母さん、せっくすってどういうことをするのかわたしよくわからないんだけど〜」
体は貴子さんで性格が先輩でも、中身は小さな男の子なのだから、セックスということばの意味もしらないのはしかたない。
元のぼくの体の貴子さんは無表情で先輩の体の雫を見ていた。
「……ふざけているわけではなさそう。貴方たちからしても、ここでふざけて得はないはず」
落ちついてかんがえて、雫がウソを言ってるわけじゃないってわかったみたい。
ぼくもさっきまで雫の性格だったからわかる。
すると、元のぼくの体の貴子さんはいきなり服をぬぎはじめた。
ぼくは自分の体でいきなりに裸になられてはずかしくなってしまい、おもわず声をあげた。
「わ、わぁっ!? いきなりぬがないでよ!」
「……この場にいる男性は二人だけ。うち一人は私の子供の体。性行為なんてさせるわけにはいかない。……ならば私がやるしかない」
「も、もちろんそれはわかっているわ。それにしたってもう少し心の準備とかあるでしょうに。相変わらず雫ちゃんの性格は思い切りがいいわねぇ……」
勇気の体の先輩もすこしこまったように苦笑いしている。
さっきぼくがいきなり服をぬごうとしたときの先輩もこんなきもちだったのかもしれない。
「その前に一旦移動しないっスか? また客が来て邪魔されたら堪ったもんじゃないんで」
「たしかに! 雫、あたまいいね!」
先輩の体の雫のいってることは、たしかにそうだ。
すごくかしこくてぼくはびっくりしてしまった。
「ふふっ、雫ちゃんの体でそんな子供っぽいこと言い始めると少しおかしいわね」
勇気の体の先輩がなぜだかわらっていて、なんかちょっとムカッとした。
ぼくたちは入り口のカギをしめて、奥のそうこに行った。
ここならだれもこない。
すると、元のぼくの体の貴子さんが口をあけた。
「……私はいつ始めてもいい。相手は誰がする?」
「それじゃあオレがやるっス。面倒っスけど、流石に責任取らなきゃいけないんで」
先輩の体の雫がだるそうに手をあげた。
それを見た勇気の体の先輩は少しイヤそうな顔をしている。
「また私の体で行為をするの? 嫌よそんなの。それに雫ちゃんが無理に責任を取る必要なんてないわ。最初に壺に触ったのは山本くんなんだから」
「ええー!? ぼくのせいじゃないよっ! 先輩がさがせって言ったんだもん! ぼくわるくないもん!」
「言い訳しないの! ちゃんとみんなに謝りなさい!」
「ぜったいぼくわるくないもん、うぅ、うぇぇ〜ん!」
勇気の体にせめられて、ぼくは涙がこらえきれなくなってしまい、とうとう泣いてしまった。
なんでこんなことで泣いてるのかわからなかったけど、とにかく泣くことしかできなかった。
「……あのー、親子喧嘩なら他所でやってくれないっスか? つーか、自分の体がこんなガキみたいに泣いてるとこみたくないんスけど……」
「いや、あの、ついお説教しなきゃって思っちゃって、ごめんなさい……というか、私たち親子じゃないわよ!」
「……外での説教は迷惑にもなり得る。これは、客観的発見。私も肝に銘じる必要がある」
「うえぇぇん! えぇぇんっ!」
「よしよ〜し。将吾お兄ちゃんは悪くないよ〜。大丈夫だからね〜」
貴子さんの体にやさしくなぐさめられ、ぼくはすこしおちついてきた。
まるでおかあさんみたい。
なんだかあまえたくなってしまう。
でも、よくかんがえるとこの人の中身は勇気なんだよね。
自分よりずっと小さな男の子になぐさめられてるんだって思うと、こんどははずかしくなってきた。
「も、もうへいきだよ! ぼく泣かないもん!」
「そっか〜。よしよし、偉いね〜」
うぅ、先輩の性格の貴子さんの体、あまえたすぎる!
でもがまんがまん。
「もういいっスか? とにかくオレたちでやるしかないんで。さっきの感じだと二回分の射精は必要ぽいんで頼むっスよ仁科さん」
「……了解。男としての性行為の経験はないけれど、善処する」
そう言うと先輩の体の雫と、元のぼくの体の貴子さんは奥のほうに移動して服をぬぎはじめた。
元のぼくと、先輩の体が、エッチな手つきでおたがいの体をさわっていく。
うわぁ、なんか見てるだけでドキドキしちゃうよ。
あ、そういえばツボの力でぼくたちの性欲がつよくなってるんだっけ?
そのせいか、ぼくはまたむねがあつくなって、お股をいじいじとさわってしまっていた。
「……はぁっ、はぁ……これ、子供でも、こんなことになるの……? 男の体って……」
隣を見ると、勇気の体がズボンの中でちんちんをおおきくさせて、苦しそうにあえいでいた。
さらにその隣では貴子さんの体がぼくみたいにお股をいじいじとさわっている。
「なにこれ〜? 股間触ると気持ちいいんだけど〜! わたし、すごいこと発見しちゃったかも、あはっ!」
気づくと、雫の体のぼくと、勇気の体と貴子さんの体は、おたがいを見ながらオナニーでもするみたいにお股をさわていた。
うう、だんだんがまんできなくなってきた。
ぼくも、セックスしたいよぉ。
最初にうごいたのは、勇気の体だった。
「……大体、あっちの二人だけで済ませようっていうのがおかしな話なのよ。この子の体にだっておちんちんがあるんだから、使った方が効率的に決まってるわ。はぁっ、はぁ……」
「んっ……たしかに! あたまいいね! あれ? でも勇気の体って精通してるのかな?」
「あっ……せいつう? どういう意味?」
「精通っていうのはね、おちんちんから、白いのがビューってでるようになることをいうんだよ。男の人は大きくなるとみんな精通するんだよ」
「あ、それならわたし精通してるよ〜! 前に朝起きたらあそこから変な液体が出ててびっくりしちゃった〜。お母さんに聞いてもはぐらかされたけど、そっか〜あれが精通だったんだ〜」
「……そう。それなら、何も問題ないじゃない!」
勇気の体が、雫の体のぼくのことを押し倒してきた。
小さな体でもどかしそうにズボンを下ろすと、ピョコッとかわいらしい子どもちんちんがでてくる。
それを見ていると、ぼくもお股がぐじゅぐじゅにぬれてきてしまう。
ぼくは袴をたくしあげて、ぬれたお股を勇気の体に見せつけた。
「ねえ、はやくやろうよ、セックス!」
「い、言われなくても……んっ、ああっ、すごい、これが、男の感覚なのね……!」
「んんっ、ちんちん入ってきたぁっ!」
勇気の小さなちんちんが、雫の体のお股の中に挿さっていく。
勇気の体はとてもきもちよさそうな顔で、ぼくに向かってヘコヘコと腰をうごかしている。
「二人ばっかりずるい〜! わたしも混ぜてよ〜!」
「んっ、ふぅっ、それなら触ってあげるわよ。その熟女の胸、たっぷりとね……」
「んっ、ぼくもぼくもー! いっしょにお股もさわってあげるね、んっ」
雫の体のぼくと勇気の体は、貴子さんの体の胸をかたほうずつもんだ。
ぼくはさらに空いている手で貴子さんの体のお股もいじいじとさわってあげた。
「んあっ!? ……あはっ、すごい、きもちいい〜! もしかしてこれがセックス? 知れてよかった〜!」
貴子さんの体がきもちよさそうにあえぐ。
大人の女の人がそんなことを言っていると、なんだか無知シチュみたいでドキドキする。
「んっ、はあっ、はあっ、貴女の膣内、気持ちいいわよ、雫ちゃん……あれ、勇気くんだったかしら……」
「んっ、あっ! ち、ちがうよ、ぼくは山本! まちがえないでよ、貴子さん!」
「私だって貴子さんじゃないわよ。私は萌。……って、私、山本くんとセックスしてたの!?」
「ほんとだ! ぼく、先輩とセックスしてる! やったー!」
「はぁ……そんなつもりはなかったのに……でも、顔は雫ちゃんだし、性格は勇気くんだし、もうどうでもいいわ」
「そーそー! 気持ちよくなれれば、どうでもいいよね〜! あはっ!」
だれがだれかもよくわからなくなりながら、ぼくたちはセックスをつづける。
はなれた奥のほうからは、ふたりの声も聞こえてくる。
「んっ、んあっ! 山本さんの、チンポ……入れられる側は、こんな、きもちいいなんて……き、聞いてねえぞ……あぁッ!」
「ふっ……ふっ……男性器の挿入、想像以上の快感……これは、危険……でも、腰、止まらない……っ……!」
先輩の体と元のぼくの体がきもちよさそうにセックスしている。
あの中身はだれとだれなんだっけ?
わからないけど、なんかもうぜんぶどうでもよくなってきた。
貴子さんの体が言ってるみたいに、きもちいいならどうでもいいよね。
「あっ、んっ、おちんちんが、熱くなって……これ、射精するのね! 私、男の子の体で射精しちゃうわぁ!」
「だしてっ、だしてっ! ぼくの中に、だしてぇっ!」
勇気の体がラストスパートをかけるみたいに、腰を大きくうごかし始めた。
雫の体のぼくもそれにあわせて腰をふる。
「……何か、込み上げてくる。んっ、これが、射精……我慢、できない……っ!」
「んくっ、あひぃっ! だせぇっ! オレの、おまんこのなかにぃっ!」
元のぼくの体と先輩の体も同じようにうごきが激しくなってる。
そうこの中はどんどんあつくなっていた。
「あっ、わたしも、なにか、きちゃいそうっ……」
「三人で、一緒にイキましょう!」
「うんっ、イこうっ!」
「よくわかんないけど、わたしも、行く! あっ……あぁッ!」
勇気の体は貴子さんの体のおっぱいにしゃぶりつきながら、雫の体のぼくの中に固いおちんちんをこすりつけてきた。
お股のきもちよさがどんどんおおきくなっていく。
もうげんかい。
イクっ……!
「でるっ、射精っ、イクッ、んっ、おぉッ!!!」
「あっ、んッ、んひゃあぁあぁッ!!!」
「んんっ、なに、これッ……んッあはあぁあぁッ!!?」
三人で大きな声をあげた瞬間、雫の体のぼくの中に、ビューって精液がながれこんできた。
ぼく、また中だしされちゃった。
しかも今度はちいさな男の子に。
でも、ぜんぜんいやなきぶんじゃなかった。
ぼくはとってもごきげんなきぶんのまま、そのままスヤスヤとねむってしまった。
────────
「……私の子供の体で勝手に性行為をした挙句、私の子供に勝手に性行為について教えた……母親として、遺憾極まりない」
「ご、ごめんなさい……ほら、山本くんも謝りなさい!」
「えー!? ぼくわるくないもん! 先輩がやったんじゃん!」
「あなたが誘ってきたんじゃない! ちゃんと非を認めなさい!」
元のぼくの体の貴子さんの前で、雫の体のぼくと勇気の体の先輩は正座させられていた。
雫の性格だからおちついているように見えるけど、もしかしたらすごく怒ってるかもしれない。
でも、先輩が押し倒してきたのがわるいんだからぼくのせいじゃないもん!
「……あのー、後にしてもらっていいっスか? まずは元に戻るのが先決だと思うんスけど」
先輩の体の雫がすこしイラっとしたかんじの顔で言った。
たしかにそのとおりだ。
ぼくたちは立ちあがってそうこを出た。
あのツボはまだお店のほうにおきっぱなしだから、はやくあの中に出された精液を入れないと。
扉をあけてお店に戻ると、そこには意外な人がたっていた。
「おおっ、留守にして悪かったね。ちょうどさっき戻ったところ……ってうわぁっ!? 君たちなんて格好をしているんだ!?」
おどろきながらぼくたちを見ているこのおじさんは、このお店の店長だ。
ぼくたちがそうこでセックスしてるあいだに帰ってきていたらしい。
「ごめんなさいね店長。ちょっといろいろあったものだから……」
「もうっ! ぼくたち大変だったんだよ! 店長のへんなツボのせいで!」
「は? 君たちはいったい誰だ? というか、ちゃんと服を着たまえ!」
半裸でゾロゾロと歩いてきたぼくたちに店長はこまったように声をあげる。
店長、ぼくのことも先輩のこともわからないみたいだ。
まあ体が雫と勇気になってて性格も勇気と貴子さんになってるから元のぼくと先輩の面影なんてどこにもないししかたないけどね。
「あの店長さん、ちょっといいっスか? ここに黒いツボがあったはずなんスけど……」
「おお、萌ちゃん。その壺ならついさっき売れたところだよ」
「………………は?」
いま、なんて言った?
「さっきたまたま飲み屋で出会って一緒に飲んでた人が僕の商品に興味を持ってくれてね。そのままついて来てくれたんで店に入ったら、何故かあの壺が床に転がってたんだ。君たちがやったのか? まあいいが、その壺を一目見た途端、大層気に入ったみたいでね。無事にお買い上げいただいたよ」
「そ、その人の名前は!?」
「ん? そういえば聞いてなかったな……学校に勤めているという話はしていたが……」
先輩の体の雫が焦ったように外に駆け出した。
ぼくたちもおいかけて外に出る。
まわりを見回してみたけど、ツボを買っていった人はもうどこにもいなかった。
「これって、もしかして……」
「元には……」
「戻れないってこと!?」
ぼくたちは絶望てきな顔でおたがいを見ていた。
「いやだよー! こんな巫女さんの体のままなんて! どうせならおっぱいおおきい先輩の体のほうがよかった!」
「私、男の子の体のまま!? 嘘でしょ!? あぁ、頭が痛くなってきたわ……」
「うーん、流石にこれは参ったっスね……こんな体じゃ巫女の活動はできないし……似た効果を持つ魔具があればいいんスけど……いやぁ、望み薄っスね……」
「わたしずっとお母さんの体のままなの〜!? これじゃあ学校に行ってもみんなに笑われちゃうよ〜やだ〜!」
「……こんな、男性の体のままなんて……夫になんて説明すれば……」
全員でおもいおもいに叫んでいた。
体も性格も全部ちぐはぐで、ぼくたちはこれからどうなるんだろう。
────────
ぼくたちが入れかわってから、一週間がたった。
またあのときみたいにぼくたち五人はお店にあつまっていた。
「……それじゃあ山本さんと日向さんはここに泊まってるんスか?」
「ええまあ……こんな体じゃあ家にも帰れないし……大学にも行けないから休学してるわ」
「それもこれも全部店長のせいだからね!」
ぼくはキッと店長をにらみつけた。
ぼくたち五人をすこしはなれたところから見ていた店長は、急にはなしをふられてワタワタとしながら頭をさげた。
「いやぁ、まさか僕が持っていた壺のせいでこんなことになるとは、みなさんには本当に申し訳ない……。それにしても未だに信じられんよ、体と性格が入れ替わるとは。そちらの子供が萌ちゃんでそちらの少女が将吾くんだというのもまだ慣れん」
「まあ無理ないですよ。私だって男の子になってるっていうこの現実をまだ受け止め切れてませんから。それに、ここに住まわせてもらってるんですから店長には感謝してます」
「いやいや、僕に協力できることがあったらなんでも言ってくれ」
勇気の体の先輩は店長に感謝してるみたいだけど、ぼくはまだ店長のことをゆるしてはいない。
「仁科さん親子の方はどうっスか? 自宅に帰ったみたいっスけど」
「……夫に説明して、なんとか三人で生活している。……最初は浮気を疑われたけれど」
「お父さんったら酷いよね〜。お母さんに対して『誰だこのチャラ男は!?』なんて言って。わたしとお母さんで必死に説明してなんとかわかってもらえたみたいだけど、まだ不信感は拭えてなさそうだよね〜」
「でもそれも無理ないわよ。私だって怖くてまだ家族にこのこと言えてないもの」
「ぼくもー」
元のぼくの体の貴子さんと、貴子さんの体の勇気はふたりでため息をついていた。
なんだか苦労してるみたいだ。
「オレの方は一応本家に帰ったんスけどね。大ポカやらかしてるんで流石にめっちゃ怒鳴られたっス。いやーダルかったっスね。まあその後あのツボの捜索を頼みつつ代替品を探してもらったんスけど……」
そう言うと先輩の体の雫がポケットからなにかビンみたいものをとりだした。
中には白い粉がたくさん入っている。
「今日集まってもらったのはこのためなんスよ。なんでも、この粉を振りかけられた人間は体と性格が入れ替わってしまうらしいっス。あのツボと似た効果っスね」
「ほ、本当!? それじゃあ私たち元の状態に戻れるのね!?」
「すご〜い!」
「……流石は巫女」
みんなから歓声があがる。
やっと元に戻れるんだ。
もうこの体がなごりおしいとか、そんなこと言ってられない。
はやく元に戻るんだ。
「あ、店長さんは巻き込まれないように倉庫の方にでも隠れてもらっていいっスか?」
「わ、わかった」
店長が部屋からでたのを見て、先輩の体の雫が粉を手に取る。
「行くっスよ……」
ちゅうにまかれた粉が全員にふりかかった瞬間、ぼくたちの体が光りはじめた。
これは……。
……………。
……ど、どうなった?
私は急いで自分の体を見下ろした。
そこにあったのは、Tシャツを着た小さな男の子の体。
これって……。
「も、元に戻れてないじゃない! 私、勇気の体になってるんだけど!? というか、性格も貴子さんになってるわ!」
「うわぁん! 山本くんの体になっちゃったぁ! また男の体だぁ、もうやだよぉ! うえぇん!」
「ご、ごめんなさ〜い! また違う入れ替わりになっちゃった〜! わたしも貴子さんになっちゃってる〜」
「……私は萌お姉ちゃんになったみたい……それに、頭がとても冴えてる……自分が幼い少年だったなんて思えないほど……」
「オレ、今度は巫女さんの体になったんスか? うわっ、なんスかこのチャラチャラした口調、だりー……」
「も、もう一回やるよ〜」
貴子さんの体が再び粉を振りかける。
しかし。
「今度はわたし貴子さんになってるよ〜! 性格も先輩だし〜」
「……山本くんの体のまま……性格は雫に変わっているけれど……」
「ま、また失敗みたいね。私、勇気くんの体に……」
「うおっ、今度は雫お姉ちゃんになったんスか? オレ」
「もうやだよぉ! はやく戻してよぉ! うぇぇん!」
「も、もう一度やるわ。今度こそ……」
勇気の体が再び粉を振りかける。
「あらあら……私、また勇気になってるわ。いつになったら元に戻れるのかしら……」
「僕は今度は仁科さんの体か。いい加減疲れてきたよ……ん? この性格って……」
「ぼ、ぼく、また山本さんの体に……ってちょっとまって! 六人いるよ!? なんかへんだよ!?」
「あれ、このオッサンの体ってもしかして……」
「……貴方、いつからそこにいた?」
「い、いや〜、元に戻れたのかな〜って思って様子を見に来たら、なんか混ざっちゃったみたいで〜……わたし、雫ちゃんの体に萌ちゃんの性格になっちゃったみたいだね〜、これが入れ替わりなんだ〜、あ、あはは……」
「店長! なにやってるんですか! 事態をややこしくしないでください!」
「もう勘弁してくれーっ!」
「もう一回やるよー!」
それから私たちは延々と粉をかけ続けた。
こんなランダムな入れ替わりで本当に元に戻れるのか、私は気が遠くなりそうだった。
そして、とうとう粉がなくなるまで入れ替わり続けても、私たちは元には戻れませんでしたとさ。
……ちなみに、買われてしまった壺によって学校を舞台にまた体と性格のシャッフルが引き起こされてしまうのだけど、それはまた別のお話。