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好きなシチュ小説 3(挿絵4枚)

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好きなシチュ小説 3(挿絵4枚)
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 サクラと別れ、アパートの前までたどり着いたアミルはよたよたと階段の方へと向かう。平日の昼間というのもあり、1階に人の気配は無かった。アパートが建っている場所は表通りから少し外れた所にあり、人通りが少ないのも相まって1階の入口付近は非常に静かに感じられた。

 しかしアミルはそんな安心感すら覚える静寂とは正反対の少し不安そうな顔で何かを警戒するように周りをキョロキョロと見ていた。


「⋯誰も⋯居なさそうだけど⋯⋯急に出てきたりしないわよね?⋯誰かと鉢合わせするのだけは勘弁よ⋯」


 アミルがこんなにも人との接触を避けたがるのには理由があった。

 それはお腹が本格的に大きくなりだして、まさに妊婦という風貌になった頃、ご近所さん達は言葉こそそんなに交わさなかったが『体に気をつけてね』『無理しちゃ駄目だよ』とすれ違う度に温かい反応をくれた。

 しかしそれからアミルのお腹はあっという間に一般的な臨月の大きさを超えてしまった。ご近所さん達も最初こそ『大きくなるの早いわね〜』と少々驚きつつも変わらず接してくれていたのだが、待てど暮らせどその出産間近にしか見えないお腹がへこむことはなく、むしろ日を追うごとにその大きさを増していき、挙句の果てにそのお腹は双子、三つ子の臨月サイズすらも軽々と超え、尚も成長し続けているともなると近所の人はアミルから少し距離を置くようになってしまった。

 そうなってしまうのも必然で近隣の人だけでなくアミルを視界に入れた人は皆その異常なほど巨大に膨らんだお腹と頭ほどある爆乳を揺らしながら歩く、あまりにも現実離れした身体をした女性に思わず驚愕し言葉を失ってしまうだろう。

 それからというもの周囲の視線は妊婦に向ける微笑ましいものではなく、好奇の目で見られるようになってしまった。アミルも仕方のない事だと納得はしているが、それでもジロジロと身体を見られるのが恥ずかしいことに変わりはなく、出掛ける時は必ず扉を開ける前に外に人が居ないか確認するなど、出来るだけ人と遭遇するのを避けてるようになったのだった。


「まあ⋯こんな巨大なお腹⋯誰だって見ちゃうわよね⋯⋯多分、私も見ちゃうわ」


 そんなことを考えながら階段の前まで来るが、階段を登ることはなく前を通り過ぎ、さらに奥の方へと進む。すると分厚いスライド式の鉄扉が現れる。

 それは1カ月前位から設置工事が始まり、最近ようやく完成した出来たてのエレベーターだった。大家さんからの通達によると、どうやらエレベーターをつけて欲しいとの要望があったらしく設置することになったようだ。詳しい理由は書かれていなかったが、アミルが住んでいるこの3階建てのアパートの高さならば本来設置する義務はなく、維持費も割に合わないはずだ。にもかかわらず設置するということはよっぽどの理由があるのだろうとアミルは思っていた。

 しかし理由はどうあれアミルには非常に嬉しい出来事であり、エレベーターが設置されたことで、きつい階段の登り降りから解放されるということにアミルは安堵の表情を浮かべていた。


「ふぅ⋯このタイミングで設置されるなんて、ほんとに助かるわ⋯⋯」


 エレベーターの扉が開き、アミルはエレベーターの中をじっと見る。


(思ってたよりは広そうだけど⋯⋯)


 アミルはエレベーターの中を注視し、特に横幅を気にしていた。

 この短期間にお腹が著しく成長したせいでアミルは自身の体の範囲をいまいち把握できていなかった。仮にこのまま中に入って前を向く際にお腹が突っかかりでもしたら、方向転換が出来ずに身動きが取れなくなってしまう。そうなってしまうとエレベーターから降りる時に外におしりを向けながら出ることになってしまう。


(ん~⋯けど⋯いくら見ても分かんないわ⋯⋯⋯とりあえず、念には念を入れて後ろ向きで⋯)


 アミルは後ろを確認しながらお腹が扉の縁に当たらないように一歩一歩、バック駐車のようにお尻の方からエレベーターへと入っていく。扉の幅はアミルの妊娠してから大きく広がった下半身を難なく通せるほどの余裕はあったが少しでも体の向きを変えようとすればお腹が当たってしまいそうだった。

 少々手間取りながらもエレベーターに乗ったアミルは一息ついたのち、操作盤に目を向ける。操作盤上部には最大定員が書かれており、そこには『3名』と書かれていた。


「3人⋯⋯」

 

 最大定員が3名とはいえ、設計上3人の人間が余裕をもって入れるスペースが確保されている。しかし現状、アミルには人間があと2人入れるようには見えなかった。理由は言うまでもなくアミルの大きく突き出たお腹だ。その巨大なお腹があと2人は入ることが出来る筈のスペースを埋めてしまっていた。

 

「⋯⋯は⋯入らないわね」


 アミルはどうにかスペースを空けられないかと背中が奥の壁につくまで後退すると幾分かの空間が生まれる。しかしそれでも人肌どうしが触れる合ってしまうほど、ぎゅうぎゅうに詰めなければあと2人の人間が入るのは難しいだろう。


(私が横になればどうかな⋯?というか方向転換出来るかしら⋯)


 アミルは片側の側面に寄り、体を横に向けようとする。


「ひゃっ!?」


 病院で聴診器を体に当てられた時のような、急なヒンヤリとした感覚に思わず声がでてしまった。

 どうやら金属の手すりにお腹の、服に入り切らずに露出した部分が当たったようだった。


(何かと思って、びっくりしたわ⋯⋯⋯というか⋯やっぱりこの幅じゃお腹が突っかかったわね⋯良かった、あのまま普通に入ってたらお尻から出る羽目になってたわ⋯⋯ふぅ⋯)


 すると─


 ──ボコンッ


 「んっ!?」


 アミルが安堵した途端、お腹がぐにぃっ⋯と動く。

 そこから次々にポコポコといくつもの小さな胎動がお腹に波を打つ。アミルの感情に呼応するかのように赤ちゃん達もびっくりしたのか、お腹の中でポコポコと騒ぎ出した。


ポコッ⋯ポコッ⋯ポコポコッ⋯⋯ボコンッ!


「うぅっ⋯んっ!⋯ふうっっ!⋯⋯」


 段々と強くなる胎動をなだめるように必死にお腹を擦る。まるで胎内で泣き喚いてるかのような動きが手のひらに伝わってくる。


「ご、ごめんねっ、びっくり⋯させちゃったわよね⋯んっ!⋯」


ボコンッ!⋯ボコンッ!


「ふぅっっ⋯んぅっ!⋯うぅぅ⋯⋯⋯」


 アミルは激しい胎動に次第に体力を持っていかれ、立っているのが辛くなっていらた。思わず座り込んでしまいそうになるが側面の手すりをぎゅっと握りしめ、なんとか耐える。そして片方の手は絶えずお腹を擦り続けた。


───


「⋯ふーっ⋯⋯ふーっ⋯⋯」


 何分経過だろうか、依然として静かな空間にアミルの息遣いだけがこだましていた。気づけば胎動は、既におさまっていた。

 

「⋯ふぅ⋯⋯ふぅ⋯⋯⋯赤ちゃん⋯泣き疲れちゃったかな⋯⋯」


 体を支える為に手すりをギュッと掴んでいた手は少し痺れていた。アミルは体を預けるように壁にもたれ掛かり、両手でお腹を撫でる。


「⋯⋯疲れた⋯⋯⋯お腹、すごく熱くなってる⋯胎動のせい⋯かな?⋯けど、お腹だけじゃない⋯妊娠してからずっと身体が熱いわ⋯」


 とりあえず胎動がおさまったことで安堵したアミルは徐々に呼吸を整え、落ち着きを取り戻していった。


「はぁ⋯⋯早く2階に行こう⋯もう、何分エレベーターの中にいるんだか⋯」


 アミルは壁に預けていた重い体を起こし、2階のボタンを押す。


─スーッ

カチッ


(⋯あれ?なんか、ボタンを押す直前に扉が閉まったような⋯)


 エレベーターが上昇を始める。 


(エレベーターが設置されて嬉しかったけど⋯他の住居者と鉢合わせた時は気をつけないと⋯さっきみたいな事が起きちゃったら迷惑かかるし⋯⋯けど、こんな身体じゃすぐに出る事なんて出来ないし⋯) 


 お腹を見つめながらそんなことを考えているとあっという2階に到着する。

 顔を上げると扉の上部にある細長い窓からキャリーバック持った女性がスマホを見ながらエレベーターを待っているのが見えた。


「!?」


(⋯えっ⋯そっか、先に扉が閉まったのは上の人がボタンを押したからね⋯言ったそばから人と出くわしちゃったわ⋯)


 エレベーターが上がって来たことに気づいた女性はスマホから視線を外し、前を向く。女性はエレベーターの中にいるアミルと目が合った。彼女は先客が乗っていることに気づき、出る際の邪魔にならないように横にずれた。


(うぅ⋯⋯見られたくないなぁ⋯あんなことが起きてなければ、こうはならなかったのに⋯)


 無情にも扉は開き、アミルはこればかりは仕方がないと諦め、渋々エレベーターから降り始める。


 一方、エレベーターを待っていた女性は普通ならスッと出てくるはずの人が中々出てこないため首をかしげていた。彼女は不思議に思いエレベーターの中を覗こうとした瞬間、中から丸みを帯びたものが顔をのぞかせた。

 それはガレージから車が出てくるように少しづつ顔を出し、その全容を露わにしていく。


「んっしょ⋯ふぅ⋯ご、ごめんなさい中々出てこなくって⋯」


 エレベーターから降りたアミルは自分が出るために横にずれてくれた女性に謝罪をしながら彼女の方を向く。

 するとそこには瞬きを忘れ、口が少し空いてこちらを凝視する女性が立っていた。アミルを見る彼女の目線は全身を舐め回すように上下を行ったり来たりしていた。そして声にならない「ぇ?」という声が聞こえた気がした。

 彼女は扉の窓から一度アミルを見ているはずだが、扉のガラス窓は扉の上半分しかないため身長の低いアミルの姿が彼女には上手く見えていなかったようだ。その状態で中からバランスボールのようなお腹をした女性が出てきて驚かない訳がない。


(そうよね⋯こんな身体⋯驚くのも無理ないわよね⋯⋯⋯それにしても─)


 アミルの体を凝視する女性はアミルよりも少し背が高く、一見スラッとしたモデルのようなスタイルをしていたが、その上半身には彼女の細い身体に不釣り合いな膨らみがあった。それはまるで完熟したメロンのようなサイズをした胸だった。そのたわわに実った果実の丸い曲線を薄いニットのセーターがぴっちりと包み込み、シュッとしたタイトスカートが上半身のボディラインを強調していた。


(凄く大きな胸⋯⋯って今の私が言ってもだけど⋯けど、当時はほんとに羨ましかったのよね⋯)


 大人びた雰囲気を醸し出す彼女だが、顔は思ったよりもあどけなさが残っており、赤紫の髪で編まれたツインテールが彼女の幼さをさらに引き立てていた。


(可愛らしい顔⋯けど、体とのギャップが凄いわね⋯こんなかわいくて綺麗な人、今の今まですれ違わなかったけど⋯ここの入居者なのかしら?)

 

「⋯⋯⋯」


「⋯⋯⋯」


 気づけば2人とも無言でお互いを観察しあっていた。


(⋯ってそうじゃないわっ!そんなジロジロ見たら失礼よっ⋯自分も嫌なんだから⋯)


 我に返ったアミルは一刻も早くこの場から立ち去るべく声を出す。


「す、すいませんでした⋯し、失礼します!⋯」


 そう言って軽い会釈をしたのち、重い体を精一杯動かし急いで立ち去ろうと背を向けた。

 その瞬間ずっと沈黙していた赤紫髪の彼女が声をかけてきた。


「貴方⋯聞きたいことがあるんだけど⋯」


 彼女の声は見た目通りの可愛らしい高い声をしていたが、その声色は少し高圧的な雰囲気を感じた。

 話しかけられるとは思わなかったアミルは意表を突かれ、思わず立ち止まってしまった。


(え、⋯何か気に障ることしちゃったかしら⋯?)


 アミルは先程の高圧的な雰囲気で彼女にこわい印象が付いてしまったが、立ち止まってしまった以上、無視するわけにもいかなかった。アミルは恐る恐る彼女の方を向く。


「な、なんでしょうか⋯?」


「初対面の人にこんなこと聞くのは失礼なんだけど⋯⋯⋯貴方、胸は何カップ?」


(え⁈⋯あっ、そっち⋯なのね⋯お腹の事じゃないのね⋯)


 アミルは予想とは違う質問に驚いた。大概の人はこの現実離れした巨大なお腹に目が行くだろう。しかし冷静に考えてみればその上に乗っているスイカサイズの巨大な胸も、十分に現実離れしている。


(そうよね⋯こんなに大きな胸も普通あり得ないわよね⋯⋯⋯というか、なんでこの人いきなり胸のサイズを聞いてきたのかしら?⋯なんかちょっと睨んでるし⋯)


 彼女は少し眉をひそめ、こちらをジッ⋯と見ている。アミルは彼女の表情から察するに、好奇心で聞いているという感じではなく、疑念を払拭するための問いかけ、というふうに感じた。


(恥ずかしいけど⋯言わないと放してくれなさそうだし⋯⋯まあ⋯ちょうど今日測ったばかりだから⋯えっと、バストが133でアンダーが72だったから⋯)


「Uカップ⋯くらい⋯ですかね⋯」


「ゆ、Uカップ!?⋯ABCDEF………」


 彼女は驚き、確認するように順にアルファベットを言っていく。


「…ST⋯U⋯⋯⋯」


 目的のアルファベットまでたどり着いた彼女は少しの沈黙の後、再び口を開ける。


「sイズは⋯」


「え⋯な、なんですか⋯?」


「ば、バストサイズはいくつなの!?」


 彼女は急に声を荒げ、その大きな声がアパートの廊下に響く。彼女の表情は驚いていると言うよりもまるで怒っているようだった。


「ひゃ、133⋯です⋯」


「133⋯!?⋯⋯⋯⋯⋯⋯て、天然⋯?」


「⋯はい」


 それを聞いた彼女は先程までの怒ったような表情から、意気消沈したような表情になり、よく見ると目が潤んでいた。

 アミルは彼女の言動に終始困惑していたが、悲しそうな顔をした彼女を放おっておけなくなり、とりあえず慰めようと言葉をつなぐ。


「け、けどこれは妊娠してからこんなに大きくなっちゃっただけで⋯私、元々はBカップ位しかなかったんですよ?」


 そう言ってみたが、既に彼女は心ここにあらずと言った様子でアミルの言葉は届いていないようだった。

 すると興奮して体に力が入っていた彼女だったが、一気に空気が抜けた浮き輪のようにフニャっと脱力した。


「はぁ⋯いきなり失礼なこと聞いちゃってごめんなさい⋯他意はないの⋯ただ、どうしても気になって⋯⋯本当にごめんなさい⋯」


「い、いえ⋯お気になさらず⋯私は全然気にしてないですから大丈夫ですよ」


 そう言って彼女はキャリーケースを引っ張り、トボトボとエレベーターで下へ降りていった。

 まるで目の前を嵐が通り過ぎたかのような出来事に、彼女が居なくなった後もアミルはその場に立ち尽くしていた。


「なんだったんだろう⋯今日はやたら色んなことが起きるわね⋯⋯」


 旧友との再会、胎動よるアクシデント、そして突拍子もなく初対面の人に突然バストサイズを聞かれる。

 ただでさえ自身の体の事で頭を悩ましているアミルには、この立て続けに起きた濃密過ぎるイベントで胃もたれを起こしてしまいそうだった。


「はぁ⋯」


 アミルは大きな溜息をつく。

 そしてようやく自宅である201号室へと入っていった。




「ふぅ⋯疲れたわ⋯」


 そう言いながら家に上がり、そろそろお昼の時間かとリビングの時計を見るとまだ11時を回ったばかりであった。

 今朝は健診の時間に間に合うようにいつもより少ない食事で済ませてしまったため、アミルはかなりお腹がすいていた。しかしそれ以上に朝早くからの健診、それに伴う身動きや移動、度重なる出来事で身重なアミルには結構な疲労が溜まっていた。

 ふと顔からツーっと汗が滴っているを感じた。アミルは顔に手を伸ばし、頬から首元にかけて触れてみると、じっとりと汗をかいていることに気づいた。


「さっきの胎動のせいかしら⋯いつもより身体が熱く感じるし、だいぶ汗かいてるわね⋯」

 

 アミルはタオルを取りに洗面所に向かい、棚に積んであるフェイスタオルに手を伸ばすが洗面台の鏡に映る自分が目に留まる。鏡に映し出される自分はアミルが思っていたよりも服が汗で濡れていた。


「わっ、結構汗で濡れてるわ⋯⋯ん〜⋯後でサクラも来るし⋯⋯⋯仕方ない、面倒だけど…シャワー浴びるしかないわね⋯」


 そう言ってアミルはフェイスタオルではなく隣のバスタオルを取りながら心底面倒そうに呟く。

 とっくに立ったままでの脱ぎ着が困難になっていたアミルは数ヶ月前にネットで折りたたみ式のパイプ椅子を買っていた。その椅子に座り、上着を上から引っ張って脱ごうとするがぱんぱんの胸が衣服の下でに主張し、引っ掛かってしまう。

 

「もうっ⋯相変わらず脱ぎづらいわね⋯」

 

 妊娠発覚からほどなくして急成長を始めた胸は、6人の赤子を育てる為にと沢山の母乳を蓄えれるように成長し続け、今回の健診で133cmというグラビアアイドル顔負けのサイズへと変貌を遂げていたことが分かった。

 その豊満過ぎる爆乳を衣服の下に無理やり収めているがゆえに、その膨らみは常にアミルに脱ぎ着の邪魔をしていた。


「んぁっ」


 アミルは前の布をたくし上げ、力強く引っ張って上着を脱ぐ。衣服と一緒に持ち上げられた乳房は窮屈な衣服から解放され、”どたぷん”と、そんな音が聞こえてきそうな勢いで巨大なお腹の上にのしかかる。

 パーカーを脱ぎ、現れた爆乳はその有り余る体積をブラから大幅にはみ出し、今にも溢れ出しそうだった。妊娠初期の頃は胸の成長が妊娠による一時的なものだと思っていたアミルは余計な出費を抑えるべく、日頃から使っている伸縮性のあるスポブラを今も使い続けていた。


 「このブラ、さすがにもう無理があるわね⋯けど大きいサイズのブラって高いのよね⋯それに⋯⋯⋯新しいのを買ってもすぐに着れなくなりそう⋯だし」


 しかし、いくら伸縮性が高いとはいえ限界はある。何度か新しい下着を買おうとしたが、とめどなく成長し膨らみ続ける胸になかなかタイミングを見計らえずにここまできてしまった。


 「だ、大丈夫よ これ、結構、が、頑丈だし⋯」 


 アミルはそう自分に言い聞かせながら、もはや包むというよりかは締め付けるだけになってしまっているブラを脱ぐ。

 次に椅子に座ったまま手を使いタイツをおしりまで下げようとするがこちらも凄まじい変化を遂げた下半身がタイツをパンパンにし、脱衣を困難なものにしていた。すでにおしりは座面からはみ出しており、腰回りが大きく広がったことでパイプ椅子の横幅を超えてしまい、奥まで深く座ることが出来なくなっていた。


「んぅっ⋯胸とお腹に目が行きがちだけど、おしりも凄いわ⋯妊娠したら骨盤が広がるってのは聞いてたけど、骨盤が大きくなってるってどういうことなの?これも個人差のなのかしら⋯?腰回りが大きくなった影響なのか太股も凄いことになってる⋯うんしょっ⋯」


 体を動かすごとにギシギシと大きな音を立てる椅子に妊娠中で体重が増えているとはいえ、女性として自身の体重で椅子が軋むには恥ずかしかった。

 苦戦しながらもおしりをタイツから開放し、続けて広く大きくなった腰回りから続く太く大きくなった太股がパンパンに引き延ばしているタイツを膝まで下ろす。


「んっ⋯っと⋯ふぅ⋯」


 お腹がつっかえ手が届かない部分は足を使って器用に脱いでいく。

 そして最後に残ったタイツ同様に大きなおしりにパツパツに引き伸ばされているパンツを脱ぎ、ようやくお風呂場に入っていった。


───


 「ふぅ…気持ちいい……別にお風呂が嫌いになったわけじゃないんだけど、こんな身体だと⋯この狭いスペースじゃ…もう、くつろげないのよね…」

 

 アミルはシャワーを頭から浴びながら言い訳のような独り言をつ呟いていた。

 普通の人が入る分には十分広さを持つバスルームだったが、アミルは単胎の臨月のサイズを超えた辺りから段々とバスルームが窮屈に感じ、その上お腹をぶつけたりしないよう常に気を張った状態で入浴することになるので段々とお風呂入るのが億劫になってしまった。そして当のお腹はここ数週間でさらにその大きさを増し、以前よりも圧倒的に動きづらくなっていた。

 そんな状況に置かれているアミルには、入浴はすでに至福の時間では無くなっていた。そのゆえ、ここ最近は湯船には浸からずにシャワーだけで済ませる日々が続いていた。


「けど⋯久しぶりにお風呂浸かりたいわね⋯⋯」


 アミルは自身のおしりに目を向ける。少し何かを考えたのち、湯船の中に入って身をかがめた。すると、むぎゅっ!⋯というような音が浴室に響いた。その音は明らかに何かに挟まる音だった。


「⋯⋯⋯⋯⋯そうじゃないかと⋯思ったわ⋯」


..............................


「おまたせ」


 玄関の扉が開き、大量の買い物袋を持ったサクラが顔を覗かせる。

 

「いらっしゃい」


 中で出迎えるアミルはTシャツとショートパンツに着替えていた。いつものパーカーと違い、ジャストサイズのTシャツのため巨大なお腹を全く隠せていないどころか同じく巨大な胸に布をすべて取られていた。ショートパンツも大きなおしりでパツパツに引き延ばされている。そんなアミルの姿を見てサクラは思わず言葉が出る。


「⋯改めてみると⋯アミル⋯あんた、それでよく1人で生活できてるわね」


「え⋯?」


 サクラは先程のように屋外でアミルを見たのとは違い、決して広々とはしていない賃貸アパートの一室、下手に動こうものならいくらでもつっかえてしまいそうな場所がある屋内で見るアミルの体は、外で受けた印象とまるで違う印象を受けた。


「あんたやばいわ⋯」


「あんまり見ないでよっ⋯」


 アミルはサクラを中に入れ、ダイニングのテーブルへと案内する。サクラが着席したのを確認してアミルも椅子に座ろうとするが、お腹が邪魔で机に向かって座ることが出来ないアミルは机に対して体を横に向けて座る。アミルが座った瞬間に木製の椅子が大きく軋む音を聞いてサクラはびっくりし、思わず大丈夫か聞きそうになるが少し恥ずかしそうしているアミルの顔を見て言うのをやめた。


「アミル⋯さっきも言ったけど、ここまでよく1人で生活できてたわね⋯正直言ってそんな体で1人暮らしなんて危険よ、やっぱり入院したほうがいいんじゃないの?」


「だ、大丈夫よ、こんなにお腹大きいけど全然動けるし、お医者さんも赤ちゃんは全く問題ないって言ってたし、私の身体だって特に異常は無いって⋯」


「いや、そんな異常な体で『異常は無い』って言われても⋯あんた本当に体はどうも無いの?その体で立って、ましてや動けてるのすら不思議なんだけど⋯」


 サクラがそう思うのはもっともだった。サクラだけじゃなく医者やアミルを見た人すべてがそう思うだろう。しかしアミルはお腹や胸のとてつもない重量は感じているものの、それによる痛みや異常は無かった。自分でも不思議なくらいに─


(なんともない⋯⋯本当に重い以外の苦労はない⋯腰痛とか皮膚が引っ張られて痛いとか、怖いくらいなんともない⋯⋯まるで何らかの力が私の身体に作用してるような、宿っているような⋯⋯そんな⋯不思議な感覚さえする⋯⋯⋯もしかすると、ほんとに⋯キリコさんが薄っすら言ってたみたいに⋯⋯)


 『たくさん子を産むための身体』もとい『多胎妊娠に耐えうる身体』になっているのではないか⋯そんな妄想がアミルの頭の中にはあった。

 しかし現にアミルの身体はその妄想のような常識から外れた状態にある。


「それに6つ子の事、旦那ってかクロトさんに一切言ってないんでしょ?伝えたほうがいいんじゃないの?」


「駄目よ⋯伝えたら⋯多分、仕事辞めてでも帰って来るわ⋯今回のプロジェクトが成功したら結構なボーナスが出るって⋯6人も産まれるんだから、これかかなりのお金が必要になるわ⋯だから⋯⋯⋯」


「けど、何か起きてからじゃ⋯クロトさんが悲しむよ⋯⋯他人がとやかく言う事のないけどさ⋯⋯クロトさんは仕事よりもあんたが大切だと思うよ」


「⋯⋯うん、考えてみる⋯⋯ありがとう⋯」


「まっ、とりあえず、あんたが大丈夫ってんなら安心したわ⋯あたしはてっきり『あの時』みたく、辛くて夜な夜な泣いてるのかと思ったわっ!」


「ちょ、ちょっと!それとこれとは違うでしょ!」


「⋯⋯⋯」


「⋯⋯⋯」


「「ぷっ!⋯ははは!」」


 先程までの鬱々とした雰囲気が嘘のように2人の笑い声が部屋中に響く。


(⋯やっぱりサクラは変わらないわね⋯)


 サクラの冗談を皮切りにアミル達は昔話に花を咲かせた。


───


 夕日が部屋に差し込むまで喋っていた2人はアミルの空腹の音が聞こえ、サクラは持ち込んだ食材で夕飯を作り始める。

 事前に食が太くなったことを聞いていたサクラは慣れた手つきで料理を作っていき、次々と出来上がっていく様々な料理を次々にテーブルに並べていく。


「料理人になったとは聞いてたけど、凄いわね⋯どれもこれも美味しそう⋯」


「でしょ?」


 なおも料理を作りながらドヤ顔で返事をするサクラ。

 最終的にテーブルにはブロッコリーやアボカドを使ったサラダやレバニラ炒め、筑前煮や豚汁等など妊婦に必要な栄養素を考えた料理が10品以上の並んでいた。

 そしてちょっと張り切りすぎたとばかりにサクラが苦笑いを浮かべていた。


「友達に料理が振る舞えると思ったら、つい⋯」


「大丈夫、大丈夫、残っちゃったとしても私が明日ちゃんと食べるわ、ありがとね⋯こんな栄養満点の料理、ほんと助かるわ⋯こんな身体だから手元とか全く見えないし、そもそもお腹が大きすぎて正面での作業なんて出来なくて、横向いて作業しようにも胸が邪魔で反対側に手が回らないの⋯だから最近は弁当とかが多くって⋯で、でも野菜とかもちゃんと食べてるし、基本的には頑張って料理してるのよ」


 軽い愚痴のような感覚で苦労話をするアミルに、心底この子はよく生活出来てたなと実感するサクラだった。


「まっ!とりあえず、冷めないうちに食べよっ!」


「「いただきます」」


 サクラはいくらなんでも作りすぎた責任を取るため、出来るだけ多くの料理を口に運んだのだが、ものの10分で限界が来てしまい、サクラの箸は完全に止まっていた。

 ふと、アミルの方を見ると体を横に向け、非常に食べずらそうにしながらも依然として食べ続けており、とめどなく箸を動かしていた。


「妊婦って、子宮に胃が圧迫されて沢山食べれないって聞いたことあるんだけど⋯?」


「えっ⋯そ、そうなの?⋯お腹に6人もいるからこの食欲も必然だと思ってわ⋯」


 そんな会話しつつもアミルの箸が止まることはなく、なんと30分足らずで殆どの料理をアミルが食べ尽くしてしまった。


「まさか全部食べ取るとは思わなかったよ⋯」


「サクラの料理が美味しかったからよ」


 そういう問題なのか?サクラはそう言いたげな顔をしていた。


「今日はほんとにありがとう、こんな美味しいご飯を食べさせてもらって⋯あ、材料費出すわ」


「いいよいいよ、これからの為に節約しなくちゃでしょ?」


「ありがとう⋯」


「その代わりと言ってはなんだけど⋯お腹触ってみてもいい?」


「全然いいわよ?」


 サクラはアミルの前に移動し、お腹に触れる。


「あんた体温高くない?妊婦だから?」


「そうみたい、代謝が上がるからなんだって」


 妊婦は代謝の関係で基礎体温が上がると医者から聞いていた。アミルの体温も一般的な人よりかは若干高めではあったが平熱は37℃前後へと上がった。

 しかしアミルは気になることがあった。平熱が上がってるにしてもアミルの身体は常にお風呂から上がったばかりのような温かさをしていた。平熱が高い猫をカイロ代わり出来るように、自分もカイロの代わりになれるのではないのかと思ってしまうほどだった。身体が明らかに平熱以上の熱を持っている確信があるのにも関わらず、何回体温を測ってみても何故か37℃前後の数字しか出なかった。風邪を引いた時の感じとも違い、例えるなら体を温かい膜でつつまれているようだった。


「おかげでパーカーだけでも全然寒くないの、それに身体がこんなにも火照ってるけど気だるさとかはないのよ?」


「だからって、まだ肌寒い3月にあんな腹出しファッションは見てるこっちが寒いよ。流石にお腹は何かで覆わないと体にも赤ちゃんにも悪いんじゃないの?」


「そうよね⋯何かもっとサイズの大きい服買わなきゃね」


─ポコン


「あ、動いた!」


「サクラに挨拶してるのかもね」


「6人も居るのに案外大人しいのね」


「今は落ち着いてるけど激しい時は凄いのよ。それはもう⋯その場から動けなくなるほどよ⋯ほんとにキツイの⋯」


「妊婦って⋯ほんと大変ね⋯⋯ん?」


 サクラはふと、アミルのおしりの方を見ると側面赤みがかっているのに気づいた。それは何かで擦れて、赤くなっているようだった。


「アミル⋯おしりどうしたの?」


 そう聞かれたアミルは顔を赤くしながら答えた。


「実は⋯⋯⋯」


 アミルはサクラが来る前にシャワーを浴びたことを話した。その時に最近の身体の急成長で浴槽に入り切らなくなっているのではないかと心配したアミルは試しに浴槽に入ってみることした。その結果─


「おしりがはまっちゃって⋯しかも体が重くてなかなか抜けなくって⋯」


「まじか」


 それを聞いたサクラはお風呂場を確かめに行った。洗面所は他のアパートと比べれば広い方だろう。浴室の広さは浴槽と洗い場で半々といった感じで、全体の広さもおそらく一般的と言えるサイズをしていた。浴槽もユニットバスによくみられるアーチ型の浴槽だった。


「てか、なんかすごい甘い匂いするわね⋯ボディソープの匂い?」


 一通り見たサクラは自分が昔暮らしていたアパートと比べれば十分な広さをしていると思った。しかしこの広さでも今のアミルにとっては窮屈でしかなかった。ここでバランスボールを正面に抱えた状態で入浴すると思えば考えやすい。蛇口をひねるのすら重労働に感じるだろう。

 サクラはダイニングに戻り、今日ここに来て何度目かの言葉を口にする。


「ほんとによく1人で生活できてたわね⋯」


「意外となんとかなるわよ⋯まあ⋯⋯⋯⋯キツイことに変わりはないんだけど⋯」


「あんたは昔っからなんでも1人で背負い込んで⋯少しは人に頼りなさいよ」


 その言葉に対し、アミルは苦笑いをすることしか出来なかった。


「まっ!とりあえず、じゃあ⋯⋯⋯⋯⋯⋯うちの銭湯行こっか!」



..............................



「わあ~まさに古き良きって感じの見た目ね、こういうの私好きだなぁ」


 アミルが連れてこられたのは隣町にあるサクラのばあちゃんがやっている銭湯だ。意外にもこの銭湯はアミルが住むアパートから10分くらいの所にあり、表通りからは少し外れた山に面した場所にあるため周りは木々に囲まれていた。

 入り口の横には屋根付きの井戸がありとめどなく湧き水があふれ出していて、湧き水を汲む場所も設けられている。


「いい場所でしょ?じゃ、降りるの手伝うからちょっと待って」


 サクラは駐車場に車を止め、アミルを手伝うために車を降りて後部座席の方に回る。ドアを開けると大股を開き巨大なお腹をなんとか車内納めて座っているアミルがいた。助手席を最大限前にずらしてはいるが、それでもスペースが足りずにぎゅうぎゅうになっていた。アミルはそんな恥ずかしい姿を誰かに見られていないかと確認するように周りをキョロキョロしていた。


「アパートから出る時もめっちゃ気にしててけど、大丈夫だって、平日のこの時間はあんまり人居ないから」


「けどゼロじゃないでしょ⁈こんな身体見たらみんなびっくりしちゃうわよ⋯」


「ほんとに大丈夫だって、さっきも言ってけど20時以降は少ないの、閉店2時間前は結構暇なのよ」


 シートベルト巻かれたアミルはその締め付けによって巨大なお腹と爆乳がより強調されていた。


「はい、シートベルト外したよ、手握って」


 アミルは体向きを変え、お腹から慎重に車から降りた。


「ふぅ⋯ありがと」


 中に入ると所々リノベーションされていて、外観程の古さは感じなかった。サクラが言っていた通り今の所はアミル以外の利用客はおらず、番台にサクラのおばあちゃんが座っているだけだった。


「ばあちゃん、ありがと!こっからは私が変わるね」


「ありがとねぇ、じゃあ頼むよぉ」


 サクラのおばあちゃんは番台から降りて外に出ていった。


「サクラ、おばあちゃん何処にいったの?」


「ばあちゃんの家、銭湯の隣なの。今はあたしと2人で暮らしてるの。そうそう、入り口に井戸があったでしょ?あそこから綺麗な湧き水が出ててね、それをこの銭湯のお湯につかってるんだ。元々この銭湯はばあちゃんのお父さんが始めたんだけど、ばあちゃんが小学生位の時に一度、井戸の湧き水が止まっちゃったんだって⋯けど、ばあちゃんが言うには不思議な格好をした人達が湧き水を復活させたらしいんだってさ⋯」


「不思議な格好の人?」


「うん⋯けど、ばあちゃんしか見てないらしくて、家族からは夢でも見てたんじゃないかって」


「へ~不思議話ね」


(というか、サクラのおばあちゃんが言ってた『愛猫神社』が何なのか聞きたかったけど、仕方ないわね。次会った時に聞けばいっか⋯)


 「まっ!とりあえず、ゆっくり入ってきなよ。あ、なんかあったら遠慮なく言いなさいよ?」


「分かったわ。ありがとね」


 アミルは棚に着替えを置き、椅子に座って服を脱いでいく。その様子を見ていたサクラは「器用なものね」と感心していた。

 下着も脱いで、生まれたままの姿になったアミルの身体を見たサクラは、その異質な大きさをしたお腹でありながらも、大きい乳房と広く丸みを帯びた腰回りが相まって、まるで”女性らしさ”を形象化したようにも見えるボディラインだと感じた。そんなアミルの身体の曲線美に思わずサクラは目を引かれた。


「なによ⋯?」


 サクラの視線に気づいたアミルは赤面しながらサクラを睨んだ。


「いや、おっぱいでかいなーって」


「サクラだって大きいでしょっ」


 サクラはアミルよりも背が高く、173cmもあった。スタイルもよく、当然今のアミルと比べたら元も子もないが、それでもグレープフルーツ位の胸を持っていた。高校生の時点でりんごサイズだったこともあり、当時アミルにうらやましがられたのを思い出したサクラだった。


「まったく⋯もう⋯」


 不機嫌そうに浴室へ向かうアミル。窮屈な衣服から解放された胸やお腹、そしておしりはアミルの歩みと共にゆさゆさと揺れていた。

 浴室に入ると、まず最初に中央にある大きな浴槽が目に入る。そしてその両サイドには洗い場があり、奥の方には薬湯などもあるようだった。

 入口の横には給水機が置かれていて、その上に看板に『こちらの給水機はここの天然水(湧き水)が使われております』と書かれていた。


「へー、効能とかも書かれてるわ。体に良さそうね」


 給水機に近づき、水を飲んでみるアミル。


「なんだろ⋯別に特別美味しいとかじゃないけど。なんか体にスッと入っていくみたいな⋯水の冷たい感覚が一瞬で全身に伝わってくるみたいな⋯」


 水を味見を終えたアミルは体を洗うため椅子に座ろうと、シャワーフックにかけられているシャワーを掴みながら大股を開きながら椅子に座る。他に誰も居ないとしても公共の場で股を開くのはお腹が邪魔で仕方ないとはいえ、少し恥ずかしいものがあった。


「ほんと誰も居なくてよかったわ⋯」


 アミルは髪を洗ってから、次に洗顔をし、最後に体を洗い始める。大きな爆乳をパン生地をこねているようにむにむにと洗っていく。すると突然、スーッと入口の引き戸が開く音がした。


(サクラ?)


 扉の方を見ると小学生低学年くらいの女の子が立っていた。少女はアミルを見るや否や目を丸くして近づいてきた。


「おねえさんもおなかに赤ちゃんいるの?」


 アミルと肌が触れ合う直前まで近づいてきた少女は目を輝かせながら聞いてきた。


「えっ、あ、そ、そうなの⋯」


 少女の勢いに若干、気圧されるアミル。


「ママもおなかに赤ちゃんがいてね。しかも2人もいるの!⋯それでね、もうすぐうまれるから、今日から⋯にゅういん?しちゃうんだぁ⋯⋯ママもおなかおっきくてたいへんそうだったけど⋯⋯⋯おねえさんのおなか、ママのおなかよりもっともっとおっきいね⋯」


「私はね、赤ちゃんが6人いるの」


「6人⁈」


 少女には6つ子妊娠がどれほどのものなのか理解出来なかった。しかし少女は2つよりも数が多いので、もっと大変だという事だけは分かったようだ。


「おねえさんはママよりももっとたいへんなの?」


「そうね、赤ちゃんがたくさんいてとっても大変なの⋯」


「じゃあ、わたしがからだをあらってあげるね!」


 子供の無邪気さとは時に怖いものである。

 突然のことで困惑するアミル。少女の言葉に勢いがあったので、てっきり有無を言わずに体を洗いだすのかと思っていた。しかしそんなことはなく少女は真剣な眼差しでジッとアミルを見つめていて、それはアミルの返答を待っているようだった。


(もしかしてこの子⋯私にお母さんを重ねているのかしら⋯)


 少女の母親は双子というのもあり管理入院をするのだろう。そうなると中々母親に会えなくなってしまう。寂しさもあるだろうが、それ以上に少女は大変な思いをしている母親そばに居れない、お手伝いをしてあげれないという、そんなもどかしい気持ちを抱えているように見えたアミルは少女の力になってあげたいと思ったのだった。


(きっと、同じ妊婦で母親のように大変な思いをしているであろう私の力になりたいのね⋯優しい子だわ⋯)


 「分かったわ。じゃあ、お願いしようかしら」


 そう言って少女に体を洗う用のタオルを渡した。すると少女は満面の笑みを浮かべ元気にアミルの体を洗いだした。

 少女はまず、アミルの背中を一生懸命にごしごしと洗う。背中が終わると次にお腹を洗うのだが、おそらく赤ちゃんに気を遣っているようで背中の時とは違い撫でるように洗っていた。アミルはそれがくすぐったくて仕方なかった。


(気遣ってくれてるんだろうけど⋯んっ⋯すごく⋯ん、⋯⋯くぅ⋯くすぐったい⋯)


 一通りお腹を洗い終わり、少女は次に胸を洗おうとアミルの巨大な胸を見つめていた。アミルは少し迷ったが少女を助ける気持ちで了承した。


「おねえさんのおっぱい、ママのよりおっきくて、すごくぷにぷにしてる⋯」


 アミルの胸を触った少女は、その弾力がありつつも柔らかさもある感覚に洗うのを忘れて、頻りにアミルの胸を触っていた。


「あっ⋯ちょっと⋯んぅっ⋯そんなに⋯あんっ⋯」


 少女の小さな手では到底収まり切らない有り余る胸を精一杯掴み、乳首すらも問答無用でむぎゅむぎゅと揉んでくるので乳腺が刺激され母乳がぽたぽたと滴っていた。揉むたびに母乳がピューっと出る光景に何かが目覚めた少女はアミルの爆乳の虜になってしまい、もはや乳しぼりのように乳房を揉んでいた。


───


「はぁ⋯はぁ⋯はぁ⋯⋯」


 数分間じっくりと胸を揉みくちゃにされたアミルは快感による疲労で呼吸を乱していた。揉みに揉まれた乳房は未だ少女の手の感覚が残っており、乳首からは残った母乳がぽたぽたと滴っていた。


「か、体洗ってくれて⋯あ、ありがとね⋯んっ⋯」


「ううん、こっちこそありがとう!おねえさんのおっぱい、おっきくてきもちよかった!」


 やはり、子供の無邪気さとは時に怖いものである。

 少女は満足したようで隣で自分の体を洗いだした。アミルも呼吸を整えたのち、まだ洗ってない個所を洗い、ようやく湯船へと向かった。


「ふぅ~~~やっぱりお風呂は気持ちいわ~」


 お腹が大きくなるにつれ、湯船に入っているというよりはただ浴槽に詰まっているのに近かったアミルは体を思いっきり伸ばしながら入るお風呂に感動すら覚えた。


「はぁ~体が軽いわ~」


 お湯の中でアミルの巨大な3つの球体が浮力を持ち、数ヶ月ぶりかの重さからの解放感を味わっていた。ぷかぷかと浮かぶ爆乳を見つめていると、同じく胸を凝視する少女が横でお湯に浸かっていた。


「わっ⁈いつのまに居たの⁈」


「さっきはいったよ。ねえ、おねえさん。もう一回おっぱいさわってもいい?」


「いやぁ⋯これ以上はちょっと⋯そんなにおっぱいが触りたいなら、ママが帰って来た時に頼んでみたら?」


「でもママ⋯おねえさんみたいにおっきくない⋯」


「大丈夫よ。お母さんは赤ちゃんが出来るとおっぱいが大きくなるのよ」


「ほんとに⁈」


「そうよ。だから次会ったらおっきくなってるかもよ?」


「やったー!」


 アミルは身を守るとはいえ、嘘をついてしまった。妊娠すると胸が大きくなるのは事実だが、アミルのようにとんでもなく大きくなることはないだろう。


(この子のお母さん、こめんなさい⋯)


 喜びに満ちた少女は突然浴槽から飛び出た。すると─


「パパ―!わたしもうあがるねー!」


 少女は反対側の男湯の方に向けて大声を出す。その少女の言葉に凍り付くアミル。


(えっ⋯パパ⋯?)


 冷静に考えてみれば、こんな夜遅くに小学生が1人で銭湯に来るわけがなかった。アミルは先程少女に胸を揉まれて淫らな声を出してしまったのを思い出す。その声を知らない男性に聞かれていたのを想像すると顔の汗がすべて蒸発してしまいそうだった。

 しかし少女の呼び声に返事をする声はなかった。


「あれ?パパ―?パパ―!」


 何度も父親を呼ぶ少女。すると女湯の扉が開き、サクラが入ってきた。


「エイミちゃーん!パパはとっくに上がってるわよー」


「分かったー!」


 少女は転んでしまいそうなスピードで浴場から出ていった。


「アミルもあんまり長く入ってるとのぼせちゃうよー」

 

「もう少ししたら出るわー」


(よかったぁ⋯聞かれてなかったぁ⋯)


 安心したアミルはお湯から体を出し、浴槽のへりに座る。全身があったまり、ほのかに赤みがかった艶やかに濡れた肌は自分の身体とは思えないほど綺麗だった。

 

「改めて見ても、ほんとに凄い身体だわ⋯」


 ここまで身体が急激な変化をしているにもかかわらず、何度見てもお腹に妊娠線も無ければ胸などに肉割れも無かった。

「この大きな胸も巨大なお腹も、私の身体なのよね⋯」


 未だに自身の異常な身体に実感が湧かないアミルは確かめるようにお腹を撫でる。


「ん?⋯⋯なんだろう⋯⋯お湯につかってる時も感じてたけど⋯身体がピリピリしてる?⋯⋯効能なのかしら⋯」


 そのピリピリ感は肌のピリつきではなく、身体の中で熱が駆け巡っているような感覚で、お湯から出ているのにもかかわらずアミルの体温は徐々に上がっていた。


「⋯なんか⋯⋯⋯身体が⋯あついわ⋯のぼせちゃったのかしら⋯」


 全身を駆け巡る熱は次第に胸へと集まっていく。


「⋯胸が⋯ムズムズする⋯」


 次第に鼓動も早くなっていき脈動する心臓の音が身体中に響いているようだった。そして胸に集まる熱はじわじわと胸に溜まって、気づけば乳房がパンパンに張りつめていた。


「なに⋯これ⋯⋯む、胸が⋯ぱんっ⋯ぱん⋯に⋯⋯⋯⋯あ、あっ⋯」


 際限なく溜まり続ける熱が限界を迎えたのか、乳首から母乳が勢いよく吹き出した。


「⋯さ、さっき出たばっかりなのに⋯⋯な、なんで⋯んっ⋯」


 触ってもいないのに溢れる出し、絶え間なく流れ出る母乳はお腹を伝ってポタポタと湯船に落ちていく。それを見てさすがに大浴場のお湯に母乳が混ざるのはまずいと思ったアミルは咄嗟にタオルで胸を押さえつける。


 パンパンに張りつめていた乳房を押さえつけた瞬間、大量の母乳が噴き出したのがタオル越しに伝わってきた。それと同時に先程少女に揉まれた時よりも強い快感が押し寄せてきた。 


「んぅっ~~~!⋯⋯っ!⋯ふぅっ⋯ふ〜⋯ふ〜⋯⋯っはぁ⋯はぁ⋯」


 あまりの快感の思わず声を上げそうになるが公共の場で淫らな声を上げるわけにはいかず、アミルは必死の思いで声を押し殺した。


「はぁ⋯はぁ⋯⋯なにか⋯おかしいわ⋯⋯」


 アミルの身体に何か異常が起きているのは明らかだった。

 鼓動は依然として早いままで、これ以上この状態が続けばもしかしたら倒れてしまうのではないかと危惧したアミルは浴場から出るため立ち上がろうとする。

 しかしその瞬間─


─ドクン!


 押さえつけられていた胸が突然大きく脈動した。


「はうっ⁈」


 アミルは不意の脈動に驚いて声が出てしまう。


─ドクン!─ドクン!─ドクン!


 絶え間なく続く大きな脈動にアミルは押さえる手の力を強める。


ムググ⋯


「えっ⋯⁈」


 アミルは目の前で押さえつけられている胸が確実にその体積を増やしたのを見た。信じがたい光景に目を疑うアミルだったが、腕を押し返そうとする力に乳房の弾力とは明らかに違う力が加わったのを感じた。


ムググッ⋯


「な、何?!まさか⋯む、胸が⋯⋯大きくなってるの⋯?!」


 ただでさえ大きなアミルの胸がドクン、ドクン⋯と心臓の鼓動と共に脈動し少しずつ膨張していた。

 アミルは目の前で起きている事象に理解が追いつかなかった。それでもアミルは困惑しながらも膨らむ胸を必死に抑え込もうとさらに腕に力を入れる。しかし、そんなアミルに追い討ちをかけるかの如く胸はさらに膨らみを増していき、未だ蓄積され続ける母乳がより一層乳房を張りつめさせる。

 とめどない膨張と蓄積で尚も強さを増していく反発力に、押さえていた腕がついに限界を迎える。

 

「もう⋯無理⋯⋯⋯⋯⋯⋯くぅっっ⋯」


 力尽き、だらりと腕を下ろす。腕の拘束から解放された乳房は─ボンッ!っとさらに一回りその大きさを増した。


「はぁっ⋯⋯はぁ⋯はぁ⋯⋯」


 アミルは息を切らしながら自身の胸を見る。どうやら膨張は止まったようだが、膨らみ増した乳房の大きさに驚愕する。

 その大きさはスイカを超え、もはやビーチボールと見間違う程であった。ただでさえ巨大だった胸が一回りも二回りも大きくなったことで、より一層その重量を増していた。乳首からは依然としてぽたぽたと母乳が流れ出ていて未だ張りつめている乳房はアミルの呼吸とともにゆさゆさと揺れ動いていた。


「⋯はぁ⋯はぁ⋯⋯早く⋯⋯⋯出なきゃ⋯⋯」


 アミルは突然起きた不可解な事象で身の心も疲弊していた。疲労で倒れてしまう前に浴場から出ようと手すりを掴んで立ち上がろうとするが、急激に重さを増した胸で全体の体のバランスが乱れていた。

 どうにか立ち上がったアミルは壁を伝い、変わってしまった重量と体のバランスに苦戦しながらもようやく扉の前までたどり着いた。

 

「⋯ごめん、さくら⋯⋯ちょっと⋯のぼせちゃったかも⋯⋯⋯」


 扉を少し開け、火照って赤くなった顔を覗かせるアミル。


「ちょっと!大丈夫なの!?顔真っ赤じゃない!」

 

 疲労困憊の表情をしたアミルに驚いたサクラは急いで駆け寄り、体を支えるべく扉を全開する。

 そこには入る前とは明らかに胸が大きさが違うアミルが扉にもたれ掛かっていた。


「えっ⋯?!⋯アミル、あんた⋯⋯胸⋯大きくなってない⋯?」


「なんか⋯急に、大きくなって⋯⋯もしかしたら⋯母乳が⋯溜まり過ぎちゃったの⋯かも⋯⋯」


「それでこんなに大きく膨らんだりするの?!⋯と、とりあえず今日はもう、うちに泊まりな?ね?」


「⋯うん」


「ひとままず体拭くね」


 サクラはバスタオルでアミルの体を拭いていく。胸の下を拭くため片乳を持ち上がると、サクラはその重さに驚く。


「あんた⋯いつもこんな重いものぶら下げてるの?」


 その重さはまさにパンパンに水を入れた水風船のようだった。それが胸に2つ、しかもそれだけでなくお腹にも巨大な水風船が1つ。その総重量を考えたとき、サクラはアミルの身体が如何に異常なのかを思い知ることになった。


「アミル、あんたほんとに⋯⋯⋯」


───


「はい、ここが私の部屋よ」


 サクラに支えてもらいながら銭湯に隣接する日本家屋に連れられたアミルは、サクラの自室になっている和室へと案内される。年季を感じる畳の上には都会的なベットやタンス、小さなテーブルにはノートパソコンが置かれていた。


「ほら、アミルはこのベット使いなよ。あたしは布団で寝るからさ」


「いいの?」


「あんた⋯その身体で地べたの布団は辛いでしょ⋯」


「そうね⋯ありがと」


 サクラはアミルをベットに腰掛けさせると、タンスの中を漁り始める。


「体の調子はどう?」


「うん、ちょっと落ち着いたわ⋯」


「どうする?明日病院連れてこうか?」


「ううん、大丈夫⋯多分、胸が張ってるだけだと思うわ⋯⋯」


「いやいや、それは胸が張ってるってレベルじゃないわよ⋯明らかに大きくなってるって⋯」


「でも、それ以外は全然なんともないし⋯それに診察は事前に予約入れないと行けないのよ。⋯大丈夫よ。1週間後には定期健診があるから、その時でいいわ」


(けど多分⋯急に行ったとしても、ただでさえハイリスクな6つ子妊娠だし⋯それに、こんなよく分からない身体だから病院も全然受け入れてくれそうよね⋯)

 

「まあ、当の本人がそう言うんならいいんだけど⋯」


 アミルは少し見栄を張ってしまった。確かに身体に痛みや明確な異常が無いのは本当だったが、違和感を覚える部分はあった。

 胸の膨張が始まった時、胸に集まっていた熱は母乳が噴き出した後に少しづつお腹の方へと集まっていった。そして今現在その熱はお腹全体へと広がっていた。胸の時に感じた膨張感こそないが、鼓動が子宮まで響いているのか、まるで子宮そのものが脈動しているような感覚があった。


(大丈夫⋯きっと、のぼせたから感覚がちょっと変になってるだけよ⋯寝たら良くなるわ⋯)


「あ、あった!」


 サクラはタンスの引き出しから一着の服を取り出す。


「はい、アミル。これあげるわ」


 手渡されたのは、畳まれた状態でもかなりの厚さをしたベージュ色のセーターだった。アミルは手渡された服を広げようとするが予想外に大きく、アミルには広げきれなかった。


「なにこれデカ過ぎじゃない?どうしたのこれ?」


「前にダボッとしたオーバーサイズのセーターが欲しくて買ったんだけど、サイズ間違えちゃったんだよね⋯今のアミルなら丁度いいと思ってさ。それにあんたが普段着てるパーカーはあくまで元々着てたMサイズから見たオーバーサイズでしょ?」


「そうね、あれは確かLLサイズだったかしら⋯」


「そのセーターは、ほんとにオーバーなサイズなの」


「いくつ?」


「⋯6L」


「6L?!でっかぁ⋯なんで間違えちゃったの?」


「ほんとは3Lを買うはずだったんだけどね〜ネット注文の時に誤入力したの気づかなくってさ。返品しようかとみ思ってたんだけど、ま、いっか⋯って思って」


 アミルは相変わらず細かい事を気にしないサクラの性格に少し微笑んだ。


「ま、とりあえず着てみなよ」


 アミルは今着ているTシャツの上からセーターを着てみる。6Lサイズのセーターというのもあり、腕の部分が大幅に余って捲らないと手が出せなかった。一番の問題であるお腹の方は完璧にとはいかないが、正面からなら素肌が見えないくらいには覆うことが出来た。


「お、ちょうどいいんじゃない?下から見たらはちょっと⋯見えるけど⋯」


「下はタイツで隠せるから大丈夫よ。ちょっと腕はダボダボだけど全然いいわ。ありがとね、サクラ」


「どいたま。とりあえず⋯今日はもう寝ますか」


 サクラは押し入れから布団を出し、寝床の準備を始める。


「てか、あんた下着も、もう限界でしょ?」


「まあ⋯そうなんだけど⋯そ、そのうち買うわ」


「そ。じゃあ電気消すわよ?あ、一応、小さい電気は付けとくわね」


 サクラは蛍光灯のカチカチッと紐を引っ張って常夜灯にする。


「うん、ありがと」


 2人は横になった。サクラは学生の時にアミルの実家でしたお泊り会を思い出した。思い出話でもしようかと思い、アミルの顔を見ると非常に疲れた顔をして眠っていたのでやめることにした。

 

「おやすみ、アミル」


 サクラは小声でそう呟いた。


(おやすみ、さくら)


 アミルはまだ起きていた。というよりも、未だ鳴りを潜めないお腹の響くような感覚がアミルの睡眠を邪魔して眠れなかった。


(私の身体⋯ほんとにどうしちゃったのかしら⋯急に胸が大きくなるなんて⋯お腹の中もずっと騒がしい⋯胎動よりかはマシだけど⋯⋯サクラにはああいったけど、正直不安だわ⋯⋯⋯けど⋯今日は⋯色々ありすぎて⋯もう⋯つかれ⋯た⋯)


 眠りを邪魔されど、体は疲労困憊のため段々と睡魔が強まりアミルは気絶するように眠りについたのだった。


..............................


 ニャーォ


 アミルは家の外で鳴いている聞き馴染みのある声で目が覚める。


「⋯んっ⋯⋯⋯え⋯⋯⋯⋯なーご?」


 寝たままの状態でベットの裏の障子を開けると、縁側の窓の外になーごがサクラのおばあちゃんに撫でられながらごはんを貰っているのが見えた。


「え⋯あの子⋯⋯なんでここに居るの?⋯⋯そういえば、おばあちゃん⋯なーごのこと知ってるみたいだったし⋯なーごって⋯ごはんを貰いに色んな所を転々としてるのかしら⋯けど⋯こんな隣町まで来るの?」


 サクラが寝ている方を見ると、すでに布団は仕舞われておりサクラは居なかった。アミルも起きようかと思ったが、その前に変な夢を見たのを思い出した。

 夢の中では2人の小さな女の子が立っていて、その2人の女の子がアミルぐらいの身長をした女性と会話していた。さらにその女性の横には少し背の低いもう一人の女性が立っており、肩に何かを乗せているようであった。

 その光景を見ているアミルの視点は何故か異様に低かった。そのうえ全体的に視界がふわふわしていて顔などもうまく見えなかった。しかし彼女たちが会話している後ろ側には、昨日見た銭湯の外観に非常によく似た建物が建っていた。


「なんだったんだろう?⋯あの夢⋯⋯昔観たアニメの1シーン?⋯けど、後ろの建物がサクラの銭湯そっくりだったわ⋯」


 いくら考えても答えは出ず、埒が明かないと思ったアミルは考えるのをやめた。


「とりあえず起きよ⋯」


 アミルが身体を起こそうと毛布をどかす。


「あ、セーター着たまんまで寝ちゃったわね、せっかく貰ったのに早々に毛玉付いちゃったわ⋯」


 そう言いながら上体を起こそうとするが、いつもより身体が重い。アミルは昨日、胸が大きくなったのを思い出す。それのせいかと思い、少し苦戦しつつも上体を起こした。アミルは寝相で乱れたセーターを直し始める。


「あれ?」


 昨日着た時はへそをすっぽりと覆い、下から覗かなければ素肌は見えなかったはずだったのだが、今はいくら引っ張ってもへそを隠すのが限界だった。


「え、な⋯なんでっ⁈」


 洗濯したわけでもないのに一晩でセーターが縮んだとは考えにくかった。もう一つ考えられる可能性は、先述した事象よりも更にありえない事だったが、アミルは恐る恐る”それ”確認する。


「お腹が⋯⋯⋯大きくなってる⋯⋯⋯⁈」




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あとがき


3月中に仕上げると言っといて完成できず申し訳ございませんでした。

言った時点で5000文字位は書いていたまして、そこから少しづつ書いていたのですが同じところを何度も書き直したり、言い回しを変えたりと、中々進みませんでした。

『アミルが銭湯に行く』という話に色々と尾ひれを付けていった結果、物語の時間が1日にか進みませんでした。

書いていく途中で、このままだと大きくなるシーンが無いことに気付いて、

流石にお待たせしてるし、あったほうがいいなと思い、

急遽そういうシーンとそのイラスト差分を足しました。


自分の癖なのか状況を細かく描写し過ぎている気がするのですが、どうでしょうか?

今回も今後の技術向上のため宜しければご意見ご感想お待ちしております。


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POSTEDApr 3, 2025
ARCHIVEDJun 10, 2026