とある日の午後、僕が今いる所は施設に隣接するボロ蔵の中・・・。 山積みになった段ボールとガラクタ・・・ その上に積もり積もった埃が蓄積した空気の悪い室内で、僕と加奈子おばあさんは蔵内の清掃をしていた。 僕達は三角巾とマスクを装備し、はたき・掃除機・雑巾等を使い、大量の埃が舞う中で清掃作業をしていた。 清掃を終えると倉庫内の喚起をし、今度は倉庫内にあるガラクタを、捨てる物と残す物を仕分ける作業に入った。 僕はとある箱を開けると、古い赤と黒のランドセルが所狭しと詰まっていた・・・ 僕は加奈子おばさんに、その箱を見せながら
「加奈子おばさん! これ、残しますか?」
と言うと、加奈子おばあさんは中を覗くと、少し郷愁に浸ったような表情で
「ああぁ・・・ これは、もういらないねぇ・・・。 うん、いらないいらない!」
「はーい・・・ よいしょっと!」
僕はそんな掛け声をかけながら、ランドセルの詰まった箱を捨てる物エリアへと仕訳けた・・・ とまあ、こんな感じで作業をしているのだ。 物を捨てる捨てないの判断はすべて加奈子おばあさんが決めるため、やたら作業に時間が掛かる・・・。 そんな作業に僕は
(めんどくさいなぁ・・・ 全部ガラクタなんだから、いっきに全部捨てりゃあいいのに・・・)
心の中で愚痴を言った。 倉庫内にあった大半の物は、汚い玩具・汚い破れた絵本や漫画・小中学校の汚い教科書やドリル・小中学校の使い古された汚い上履き・体操着、汚いシミのついた臭い衣服・・・ そんなゴミ同然なものは当然捨てる物エリアに仕訳けられていった。
(ここにあるものは全部、施設で暮らしていた児童の私物なんだろうな・・・)
逆に残す物も結構山済みで、真新しい玩具、未使用な上履きと靴と体操着、未使用の衣服、読める絵本等はすべて残す線へと仕訳けられていった。 そして加奈子おばあさんは、缶クッキーのような箱を開けると・・・
「え!? 拳銃!? あ、いや違うね・・・ エアーガンだわ・・・。 これ確か遠藤君がお小遣いで買ったお気に入りの玩具だったねぇ・・・。 遠藤君、元気にしてたらもう30いくつかぁ・・・ 今何やってんのかねぇ・・・」
加奈子おばあさんは郷愁にふけながらそんな事を言うと、そのエアーガンを残す物エリアへと仕訳けた・・・。 僕はある事を加奈子おばあさんに聞いてみた。
「あの・・・ 残した物はどうするのですか? また倉庫に保存しなおすのですか?」
「ああ・・・ 倉庫には保存しないよ。 この倉庫空にする予定だから・・・」
「へぇ、この倉庫を空にするんですか・・・。 うん? じゃあ、その残した物はどこに置いとくのですか?」
「ああ、それわね。 国道をずーっと上った先に、ガラクタOFF・・・ じゃなかった! hardOFFって言う、色んな物を扱う店があるのよ。 で、ここにある残した物をぜーんぶその店に下取りしてもらうの!」
「ああ、hardOFFですか・・・ 東京にもいっぱいありますよ。 で、この残した物を全部下取りするんですか?」
「うん、玩具に本に靴と服・・・ ちょっと古いけどほぼ未使用のやつばかりだから、まあ・・・ 5万は査定してもらいたいわね!」
「ご、5万・・・!? ですか・・・」
僕はそんな査定が付くとは到底思えなかった・・・。 未使用のスニーカーや衣服は価値あるが、いくら未使用と言っても、どこぞの学校指定の体操着や上履きや運動靴・革靴と言った物がほとんどで、玩具だってあまり綺麗とは言えない・・・。 僕は未使用の靴や衣服を手に取り、よく見てみると
(ちょっと待てよ・・・ いくら未使用と言っても、なんか臭いし変なシミが付いてるし・・・ 恐らく何十年近くは放置されたんだろうなぁ・・・。 これ全部下取りしても5万は到底届かない・・・ どんなに高く見積もっても1個300円くらいが妥当なんじゃないかな・・・?)
なんて思ったとき、僕は苦笑してしまった。 そして再び仕分け作業に取り掛かると、また大きく重たい段ボール箱を引きずり、中身を確認すると、本が縦にびっしり詰まっていた。
(いや、本ではないな・・・。 何かの記録帳だな)
本縦にはタイトルが記されておらず、僕は端っこの方の本を取り、タイトルを確認すると
(昭和22から30年の活動記録表・・・? どんな内容なんだ?)
僕はパラッと本を捲ると、現代っ子には到底読めないような昔の文字、そこに白黒写真が袋に収められていた・・・。 白黒写真には、坊主頭の男の子・オカッパ頭の女の子がニコニコしながら農作業の風景、食事の風景、遊んでいる風景が撮られていた。 僕は軽くペラペラと捲りながらボーッと見ていると、加奈子おばあさんが僕の様子を見て
「義典くーん? 何かおもしろい本でもあった?」
僕は慌てて本を閉じ
「ああ! すいません! ちなみにこの箱に入った本はどこに置きますか?」
「どれどれ・・・ あ!? これ! ずいぶん前から探してたのよー! 誰がこんな所に・・・。 そりゃ、こんな所にしまい込んだら見つからないはずよー・・・」
なんて言いながら適当に記録表を取って開き、ペラペラと見始めると
「いやー、懐かしいねー・・・。 これはね、ここがまだ児童施設だった頃の記録表なのよ・・・」
「あー、やっぱり・・・」
加奈子おばあさんはまた、郷愁に浸る表情で本をペラペラ捲ると、急に僕に話しかけ
「あ! ほら見て! この可愛い女の人、誰だと思う?!」
と言いながら、写真に映った若い女性職員を指さし、僕に見せてきた・・・。 もしやと思い写真の女性と加奈子おばあさんを、交互に見ると
「あー、加奈子おばさんですか?」
「正解! 可愛くて美人でしょう! ウフフフフ・・・」
「そうですね・・・。 アハハ」
特段すごい美人って言うわけじゃなく、町中を普通に歩いてるような平均的な女性だった。 この女性が加奈子おばあさんの若かりし頃の姿であったわけだ・・・。 加奈子おばあさんは郷愁的な表情で
「懐かしいわねー・・・ この頃は本当に賑やかでねー・・・。 朝も昼も夜も、子供がギャンギャンワーワー騒いでは、私達が注意してねぇ・・・」
「あの、この本の昭和22年って事は、この児童施設・・・ 戦争が終わった2年後に設立されたんですね」
「そーよー・・・。 その時代に私の両親がこの『やすらぎの家』って言う施設を作ったの・・・。 戦前私の家系はこの辺の大地主だったんだけど、アメリカがいろんな改革しちゃってみるみる没落していってね・・・。 そして、ちょうどその頃は空襲で両親を失った戦災孤児が、駅だ路地裏に放置されててね、見かねた両親が余った土地でこの施設を作ったってわけ・・・」
「へぇ、じゃあここは結構歴史ある児童施設なんですね」
その時、加奈子おばあさんはちょっと寂しい表情で
「ううん、児童施設だった・・・ のよ。 義典君が初めてここに来た、次年の3月に児童施設はやめちゃったの」
「僕が初めてここに・・・? あ、確か小さい時に両親の都合でここに預けられたんでしたっけ・・・ 全然覚えてないんですよね」
「義典君、すんごく小さかったからねぇ・・・。 真白ちゃんに義典君がまたここに来るよって言ったら、すっごく喜んでねぇ・・・。 ウフフフ、だってあの時の義典君・・・ 小鴨みたいに真白ちゃんの後をヨチヨチ着いてきて、食事もトイレも遊びも常に一緒だったのよ? 離れてる所、見た事なかったわ! ウフフフ!」
そう言っておかしく笑うと、僕は苦笑しながら
「そうなんですか・・・。 えーっと、何も記憶にないです・・・」
と言った。 そこで僕は続けて、こんな質問を加奈子おばあさんに投げかけた
「あ、そういえば・・・ どうして児童施設を閉めちゃったんですか? まだ建物は使えそうですが・・・」
加奈子おばあさんは、寂しいような思い残すような、そんな表情をしながら
「そうねぇ・・・ まず一つは、義典君も思ったと思うけど、ここはなーーんにもない所でしょ? スーパーもない、コンビニもない、イオンもない・・・ それどころか学校すら遠い町の方にあって、バスに乗って30分、そのバス停まで歩くのに30分・・・! 立地がすごく不便なのよ。 そして二つが農産のお手伝い・・・ 創設から自分達で自給自足っていうのが、この施設のモットーなんだけど、都市部の偉いお役人さんから『これは児童労働なんじゃないか?』なんて注意されちゃってね・・・。 三つは・・・ まあこれが一番の理由なんだけど、後継者がいないのと、私の高齢化だねぇ・・・ もうワンパク児童達を育て上げる体力が無くなっちゃって・・・。 だから義典君が夏に初めて来た、次の年の3月に児童施設を廃止して、それまで在籍してた子達を甲府とか東京の児童施設に移したのよ・・・。 だから、ここはもう私の広い一軒家でしかないわ」
そう長話をした。 農業のお手伝いが児童労働がうんぬんと言うのは、やはり時代なのかなぁ・・・ などと子供ながらに思った僕だった。 だが、加奈子おばあさんの話を聞いた時、僕はふとこんな疑問を思った・・・ それは
(あれ? この施設が加奈子おばあさん個人の自宅なら、シロ姉さんと麻里はどのような経緯でここで暮らしてるんだ? あとシロ姉さんって大人だよな・・・?)
ふとそんな事を思った・・・。 日本に個々点在してる児童施設は、18歳になったら自立して出て行かなければならない、とテレビで知った僕だった・・・。 僕は続けて思案し
(あ、そうだった! ここはもう児童施設じゃないんだから、そーゆーのはもう関係ないんだっけ・・・。 あれ・・・? でも麻里はどうして、児童施設じゃなくなったここに預けられてるんだ? それと、お父さんと加奈子おばあさんの関係って何だ? 父さんはちゃんとした両親が甲府に住んでるし・・・)
まあ父さんの事はいいとして・・・。 3人の間柄は僕から見ての視点だが、親しい親類関係には見えないし、僕みたいに短期滞在というわけではない・・・。 前に2人の部屋を軽く覗いたが、生活感溢れ、あらゆる物と小物が置かれた部屋で、ここで長年生活してることは確かだ・・・。
(それに、麻里の部屋にはランドセルも宿題もあったし・・・ 近隣の学校に通ってることは確かなんだが、加奈子おばさんの先程『ここは不便な場所だから、在籍していた子達は都会の児童施設に移った』と話していたが、麻里はなぜ不便なここに?)
そんな思案をボーッとしていると、加奈子おばあさんから
「義典君? どうしたの? 立ったまま黙っちゃって・・・」
「あ! いえ、すいません・・・。ちょっと考え事を・・・」
そう言って僕は作業を再開した・・・。 この奇妙な3人暮らしについて、加奈子おばあさんに聞こうとしたが、まあ・・・ 両者共のっぴきならない事情と言うか、複雑な家庭環境があるのは確かだ・・・。
(まあ・・・ 他人のプライベートを何でもかんでも聞くのは野暮だからな・・・)
なんて思いながら、僕は加奈子おばあさんと共に倉庫の整理を手伝った。
・・・
・・・・・・
長時間に及ぶ倉庫の整理が完了すると、僕はクタクタになった・・・。 倉庫の整理と、この前やった鶏小屋の清掃とは、また違う疲れ方だった・・・。
それからはいつも通り、3人で夕食を取ると、個別に風呂に入り、自室にて軽く夏休みの宿題をやると、僕は疲れてベットに横になった・・・。 二段ベッド上の天井を見つめながら、僕はこんな事を考えた。 考え事と言うのはもちろん
(ただ・・・ 2人がどうしてここに暮らしてるかも気になるけど・・・。 小さい頃、僕はここに来たことがあって長期間泊まったりもしたそうなのだが、全然覚えていないんだよな・・・。 結構小さい頃の記憶はある方なのだが、例えば僕が4歳の時、キャンプで父さんが僕の顔に虫を付けてきて大泣きしたのは鮮明に覚えている。 だが、ここの施設の事はまったく記憶ににない・・・ どんな生活をして、何を食べたりとか、どんな人がいたのかも・・・ シロ姉さんとも親しかったようだが、それもまったく記憶ににない・・・)
「これは、父さん・加奈子おばあさん・シロ姉さんの作り話しでしたー! ・・・なんて言う嘘だったら、納得するくらい記憶ににないだよなぁ・・・。 フワァァァ・・・ ハァ・・・」
あくびをしながら時計を見ると、午後9時半・・・ 普段はこんな早く寝ることなんてないのだが、倉庫整理で疲れたためかベッドに横たわると、ジワジワとまぶたが落ちていき、そのままスヤスヤと眠りについた僕だった・・・。
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これは、とある数年前の夏休み・・・ 風間一家はこの夏、5泊6日の長野縦断旅行を計画した。 東京都三鷹市に住むこの一家の旅行日程は、初日に甲府郊外にいる父方の両親の家に泊まり、2日目は父親が幼少時代の親友の両親が運営している児童養護施設『やすらぎの里』へ泊り、3・4・5日目は長野県の諏訪市・松本市・長野市などの観光スポットを巡る予定だった。
そして今日が旅行初日・・・ 無事、昼頃に風間一家は甲府郊外の最初の目的地へと辿り着いたのだった。 たが・・・ ここへ来た途端、母親は旅の途中であるにも関わらず、ありえない発言をした。 車を駐車した時にその発言を聞いた父親は、怒りと困惑な表情になりながら
「はぁぁあ!? ちょっと待てよ! いきなりアメリカ行きの飛行機に乗るって、どーゆ―事だよ!?」
「ほんっっっとごめん!! ニューヨークファッションショーに刺繍デザインの子が交通事故で重傷になっちゃって! 私が代わりに行く事になったの!」
「待て待て待て! 今はせっかくの旅行なんだぞ・・・! 君じゃない誰かが行く事はできないのか・・・!? よりによってこんな日にさぁ・・・!」
「そのね、誰かが行く事はできるのよ・・・ わんさかいるのよ・・・。 でも、ごめん! デザインリーダーの人が私を直々に指名してくれたの! このショーが成功したら、デザイン業界で名が知られる、またとないチャンスなの! さっき電話でもう契約しちゃったから、今から新宿に行って、深夜のアメリカ便の飛行機に乗るから・・・!」
「はぁ!? じゃあホテルはどうするんだ!? もう予約済みなんだぞ・・・!」
「キャンセルで! キャンセル代金も自分が払うから! ・・・ごめん、この埋め合わせはいつかするね。 なんせ私も突然の連絡だったから・・・! じゃあ、義典の事よろしく頼むね・・・! 旅行楽しんで!」
この両親はその後、数分間喧噪した後、ついに父親は
「はぁぁ・・・! たく、もういい! 勝手にしろ! どこにでも行っちまえ!」
父はそう投げ捨てセリフを言うと、2人の口喧嘩は終わった その様子を風間義典は困惑した表情で立ち尽くし、両親のやり取りをジーッと見つめていた・・・。 この頃の風間義典はまだ言語が理解できなく、赤ちゃんのあどけなさが残る幼児ではあるが、父と母の間でただならぬトラブルが起こったという事は理解していた。 母親は早速携帯でタクシー会社に電話し、タクシーがやってくると、早々とその場を去ってしまった・・・。
・・・
・・・・・・
そして次の朝・・・
祖父「じゃあ気をつけて運転するんだぞ」
祖母「これから長野に向かうんだってねー。 真紀ちゃんの事は残念だったけど、じゃあ楽しんできてねー。 それと、運転は飛ばさないで安全運転を心掛けて行くんだよ」
父「うん、じゃあ行ってくるよ。 今年の冬か、来年の春くらいにまた顔出すよ。 そんじゃ!」
そう言うと父は窓を閉め、車を次の目的地へと進めた・・・ そこが『やすらぎの里』であった・・・。 そこまでの道のりは車で走れば大した距離と時間ではなく、40分くらいでその目的地へと辿り着くことができた。 2人は車から降り児童施設の玄関に着くと、この施設長である中年おばさんの加奈子さんが出迎えてくれた。 子供達からは加奈子おばさんと呼ばれるその人に、父親は愛想と元気よくおばあさんに挨拶した。
「あ! 加奈子おばさん! お久しぶりですー!」
その挨拶に加奈子おばさんは、にこやかに笑いながら
「あんらまぁ! ほんと久しぶりねぇ! あら・・・? この子が息子さん? へぇー、可愛いわねぇー・・・!」
そう義典君を見下げながら言った。 そんな感じの挨拶すると加奈子おばさんは早速、この親子を施設へと案内した。 親子を居間に案内すると、そこには多数の子供達が広いちゃぶ台に座り、賑やかに騒がしく宿題をしていた。 そしてその数時間後、やすらぎの里の習わしでもある農業・畜産のお手伝いは、施設に入所している子供達はもちろん、ここへ遊びに来た風間親子であっても例外はない。 風間親子は牛舎にて乳絞りの仕事を与えられ、早速そこへ足を運ぶと義典君は鼻を抑えながら
「パパー・・・。 ここ臭いよー、出たい・・・」
「ハハハハ、牛舎の中だからな。 直に慣れるよ。 ここで俺達がいつも食べてる 牛乳、チーズ、ケーキ・・・ みーんな牛さんが頑張ってお乳を出してくれるから食べられるんだぞ」
「ふぅーん・・・」
そして、風間親子は一緒になって牛の乳を絞ったのであった。 その時である! 牛の尻付近で乳搾りをしてい義典君は、なんと牛が脱糞し ドサドサドサ! と大量の糞が頭に降ってきたのだ! 義典君は最初、この降ってきた物体の正体がわからず、その数秒後に強烈の臭気を放つ糞だとわかると、大泣きしてしまった・・・。 対する父親はその様子に大笑いし、生涯忘れる事なく笑い話の種にしたのであった。 そんなこんなで親子のお手伝いが終わり、お風呂に入ると、施設の職員・児童と共に夕食を食べ、親子に特別宛てがわれた部屋にてスヤスヤと就寝した。
・・・
・・・・・・
そしてその早朝・・・ 義典君はお父さんに叩き起こされると、この施設毎日恒例のラジオ体操に強制参加させられたのだった。 そして、昨夜の夕食と同じように全員で朝食を取ると、親子は部屋に帰って施設を出る準備をした。 父親は自分達の服や小物をバッグにしまい、寝泊まりした部屋に忘れ物がないかをチェックし、一通り準備を終えると
「よし! これで忘れ物は無しっと! ハァーー・・・ あいつは今頃アメリカに着いてる頃か・・・ 連絡取るには国際電話ってやつと契約しなきゃいけないんだっけ・・・ まったく」
父親は寂しそうにそんな事を呟きながら、なんとなく携帯を開くと
「え・・・? 何だ? 不在着信が・・・ 27件!? ちょっと待て待て待て?! 何が起きたんだ?!」
父親の突然の慌てぶりに、義典君は遊んでた玩具から視線を離し
「うーん?」
と言いながら、父親が携帯電話の画面を見ながら取り乱す様子をジーッと見つめていた。 父親は連絡主を確認すると
「え? 全部・・・ 上司からじゃん・・・ 何だ? 俺今、休暇中なんだけどな・・・? 何連絡してきたんだ・・・?」
そして父親は上司に電話すると
「あ、おはようございます! はい! はい、はぁ・・・ アハハ、すいません。 ちょっと今、新聞もテレビも自由に見られる環境じゃなくて・・・ はい、はい・・・。 あー、それって、昨日入港予定の大型タンカーですよね? それが何か? え・・・? え!? えええぇぇぇ!?」
父親の驚き声に義典君は肩を ビクッ とさせると、父親は携帯電話で話しながら慌てて部屋を出た! それにヨチヨチと歩きながら義典君も後に続いた・・・。 父親が向かった先は施設の居間で、そこに置かれていたテレビを点けると・・・ テレビ画面には、海岸らしき場所に乗り上げた大きなタンカーが映っていて、バタバタバタとけたたましい中継ヘリがその様子を映しており、ヘリに乗ったリポーターが
『昨日昼頃に富津岬周辺に座礁した石油タンカーは! 今だ解決の目処は立っておらず! 現場の声によりますと! タンカーの船底は非常に損傷しており! 東京湾に油が漏れ出す事態になれば! さらなる被害が拡張し! 東京湾の凄まじい環境破壊は間逃れませんとの事です! 現在、海上保安庁と海上自衛隊が周辺のetc』
何て言う大規模な海上事故が起きていた・・・。 父親は携帯電話ですぐさま
「ええ! はい・・・ はい! 行けます行けます! 渋滞に会わなければ、そちらに・・・ 10時頃までには着くと思います! はい!」
父親は壁に掛かった時計を見ながらそう言うと、続けて
「はい! 全然大丈夫ですよ! じゃ、着いた時に追って連絡します! はい! はい! というか、あの機械扱えるの・・・ あの部署で自分しかいませんし、絶対行かないとダメですよね? 田中さんは退職したし・・・。 アハハ! ですよねぇー! はいはい! ではまた・・・!」
ピッ・・・ 父親は携帯電話を切った瞬間、深刻そうに頭を抱えた・・・ そしてこんな事を口にし
「ちょっと待ってくれよー・・・ あーわ言ったけど・・・ この状況で仕事なんかできないよー・・・! 第一、義典はどうすればいいんだー・・・」
そして数分頭を抱えた後・・・
「しょうがない・・・ ここは恥と迷惑をしのんで・・・ 頼んでみるか」
父親はテレビの前から重い腰を上げ、居間から出た・・・。 もちろん頼む相手と言うのは
・・・
・・・・・・
父親と加奈子おばさんが台所のテーブルで対面し、何やら深刻そうに話し合っているのを義典君はジーッと見つめていた。
父親「etcで母親もアメリカ行っちゃいましたし・・・。 甲府にいる両親に預ける事は真っ先に考えたんですが、両親も明日には京都の旅行に行くので無理ですし・・・。 それにあのクラスのタンカー座礁は東京湾では例がなくて、もしかしたら1週間近く船で作業しなくちゃいけないかも・・・ ですし・・・。 しかも、その間家に帰れるか・・・ いや帰れないでしょうね」
加奈子おばさん「いやー大変ねぇー・・・! それじゃあ、義典君はその間ずーーっと1人ぼっちって事になっちゃうわねぇ・・・」
父親「そうなんですよ・・・。 それで、もちろんダメもとでのお願いなんですが・・・ 義典をここでetc」
そんなやり取りを数分間した後、父親は先ほどまでの深刻な顔からパーッと明るく喜び
「え!? ほ、ほんとですか!? いやーありがとうございます!!」
と、父親はそんな感謝を言いながら、加奈子おばさんの手を握った。 加奈子おばさんは笑いながら
「ここは児童施設だからね。 子供が一人二人増えたところでそんな変わりゃしないわよ」
かくして義典君をこの施設に1週間半近く預かる事に決まったわけだが、当の本人はそんなやり取りを理解できるはずがなく、その様子を義典君はただジーッ見ていた・・・。
そして施設の駐車場にて・・・ 父親は自分の荷物を持ち一人勝手に車に乗りエンジンを入れると、義典君が慌ててトトトトッと走って車に乗り込もうとした! だがその行動は加奈子おばさんに阻止され、父親は運転席の窓を開け
「義典! 加奈子おばさんの言う事しっかり聞くんだぞ! わかったな! じゃあ加奈子さん、義典の事よろしく頼みます・・・。 あ、ちなみにこれ・・・ ささやかな額ですが受け取ってください・・・」
加奈子おばさんは困惑しながらお金の入った封筒を受け取り返答すると、運転席の窓は閉まり車は走って去っていった・・・。 この突然の出来事に義典君は泣いて追いかけたが、その途中でorzになりワンワンと大泣きが続いた・・・。 加奈子おばさんは、かわいそうだけど自分ができることはないねぇ なんて思いしばらく見守っていて、騒ぎに気付いた施設児童最年長の篠月真白が心配しながら、加奈子おばさんに
「加奈子おばさん・・・ あの子~、どうしたの~?」
加奈子おばさんは義典君に同情しながら、これまでの経緯をかくかくしかじかと説明すると、篠月真白は悲しい顔つきになり
「そんな、ちょっとそれは・・・ かわいそうだよ~・・・。 いくら仕事だからってあんな小さい子一人にするなんて・・・」
数分間2人は義典君の様子を見ていたが、加奈子おばさんの携帯電話が鳴り、それに対応すると他の職員から呼び出しをされてしまった・・・。 連絡に対応し電話を切ると
「ごめん、真白ちゃん。 義典君の事・・・ お願いできる?」
真白は困惑しながら
「え~?! お願いって言われても・・・ 何をすれば~?」
加奈子おばさんは日差しを手で仰ぎながら
「今日は熱いからねぇ~、ちょっと熱中症にならないように、近くで見守っててほしいのよ。 それじゃあ、私行かなきゃいけないから!」
「え? え~?!」
加奈子おばさんはその場を離れてしまった・・・。 真白はとりあえず玄関から黒い傘を取り、今だ泣き止まない義典君の近くの真ん前に行って傘を開き日向を遮ると、義典君の頭を優しく撫でた・・・。
それから義典君は施設のお客様対応ではなく、保護児童と同じように生活する事になったのだが、激変した生活環境からか、両親のいない寂しさかは不明だが、事あるごとに泣き散らしていた・・・。 昼食のお残しを注意されて泣いて、昼食後に寂しくなっては泣いて、夕食をお残しを注意されて泣いて、お風呂で泣いて、就寝中に泣いて・・・ しかも就寝中に泣いたのが深夜ちょっと過ぎぎだったので、これに起こされ不機嫌になった男の子達から男子寮を追い出されてしまった・・・。 騒ぎを聞いて起きた真白は、自身の膝の上で義典君をぐずらせ、頭を撫でながら
「もう~・・・ ちょっとは優しくしてくれてもいいのに~・・・ まだこんな小さな子なんだから~」
その後、義典君がぐずるのを止むのに2時間近くかかり、その間真白は眠らずつきっきりで義典君の相手をしていたのだ・・・。
・・・
そして夜が明けた次の日の朝、義典君は女の子達と施設近くにある畑仕事に従事させられ、トマト畑の周りに生えた雑草を抜く作業をしていたのだが・・・ とある女の子が義典君が引っこ抜いた雑草を入れる藁皿を見た瞬間
とある女の子「ちょっと義典君!? これとこれとこれも・・・ ほとんどトマトの苗じゃん! 抜くのは雑草だけだって言ったよね!! さっき教えてたでしょ!?」
そう強い口調で叱られた・・・ 生まれて初めて畑仕事に従事し、まして赤ちゃんから間もない義典君には、雑草と苗との違いを理解にするにはまだ難しかった・・・。
とある女の子B「えー!? ちょっとさぁー・・・ これ半分は苗じゃん・・・」
とある女の子C「うわぁー、根っこから引っこ抜いた苗はともかく・・・ 引きちぎった苗はもう育たないよ・・・」
するとわらわらと女の子達が義典君の周りに集まってきて、非難する者や笑ってバカにする者や養護する者も様々だったが、義典君はそんな娘達に囲まれ、やはり大きな声で泣いていまった・・・ ただ、子供達が丹精込めて種付けし育てたトマト苗を、義典君が引きちぎって台無しにされて怒るのも無理はなかった。 騒ぎを聞きつけた加奈子おばさんと真白がその場に駆け付けると、加奈子おばさんはその場を諫め解散を促し、真白は義典君を連れて縁側で一緒に座り、ポロポロ涙を流す義典君の隣で、真白は頭をよしよしと撫でながら優しい言葉をかけていた・・・。 加奈子おばさんはその様子を見て、目の下に大きなクマを作っていた真白の姿を見た時、ある事を思いついたのだった。
なんだかんだで午前中のお手伝いが終わり、みんなで昼食を取った後、真白は午後のお手伝い版を見に行くと、どこのお手伝い場所にも自分の名札がない事に気づいたのだった・・・。 そこにちょうどよく加奈子おばさんが現れ、真白は加奈子おばさんにこの事を報告すると、こんな返答をされ
「ああ、実はね・・・ 今からあなたは、義典君係に任命しようと思うの!」
真白は首をかしげながら
「義典君係・・・? それってどうゆう・・・」
「まあ、言葉通りね・・・ 義典君は両親の都合で一週間近くここに滞在するって話しはしたでしょ? だからその間、一日を通してあの子のお世話してほしいの。 その間、施設のお手伝いはしなくていいし、あなたたちの専用の個室も用意するわ。 どう? やってくれる?」
真白は加奈子おばさんの話を聞いて困惑しながら
「えーっと~・・・ つまり一日中のベビーシッターみたいな・・・ 感じですよね~? そんな重い仕事、私にできるかなぁ・・・」
「いやぁ、そんな難しく考えなくていいわ。 ただ義典君と一緒にいればいいだけだから・・・ あの子、あなたの事好きそうだし、あの子もそんな手のかかるヤンチャっ子には見えないし・・・。 まあ、難しかったらいつでも私に言ってやめてもいいから!」
「そう・・・ なんですか? でも何でよりによって私に~? ここの職員の方のほうが〜・・・」
「ここさ・・・ 来年いっぱいで閉所するの・・・ 聞いてるでしょ? だから職員はそんな人数もいないくて、そこまで手が回らないのよ。 あ! ちなみにね!」
加奈子おばさんはニヤニヤしながら真白の耳元に近づき、ヒソヒソとこんな事を言い
「それにね、これみんなに言い触らさないでね・・・? 一日中あの子のお世話をしてもらうから、夜間分と1週間分のお駄賃も加算します・・・。 つまり、いつもお手伝いで貰ってる4倍のお駄賃あげるって事! ね? すごくいいでしょ?」
実は施設の畜産・畑仕事は決してタダ働きと言うわけではなく、子供の長期休暇の労働時間はだいたい週3〜4日位でで、幾ら貰えるかは児童の年齢・働いた日数やその他諸々計算されて、月約4000~12000円位のお駄賃が支給されるのだ。 ちなみに真白は去年真面目に働き、施設最年長なだけあって満額の12000円、それが4倍であるから・・・ すると、真白は苦笑し困惑しながら
「アハハハ・・・ そんな事言われると、なんだがますます責任の重い仕事な気が〜・・・」
「まあ、さっきも言ったけど気軽に引き受けたっていいし、大変で嫌になったらやめてもいいから・・・。 でもたぶんこれは、あなたしかできない仕事だと思う! だから・・・」
そうして数十分間、2人はその義典君係について労働条件やお世話方法の仕方で話し合い、真白はその仕事を引き受けることにした。 引き受けた理由は3つ、施設の実施する畑仕事から一時解放されるのと、それが免除されるにも関わらず高いお駄賃が貰え、真白自身も面倒見が良く子供好きであったためだった。 加奈子おばさんが真白にこの係を頼んだのも、それを見込をしてなのだ。
そして真白と義典君は、加奈子おばさんに施設奥にある2人専用の個室が与えられた。 そこで2人は義典君を父親が迎えに来るまでの間、この部屋で共同生活をしてもらうことになった・・・ しかもその部屋はつい昨夜まで風間親子が寝泊まりししていた部屋だった。 その直後、午後の畑仕事お手伝い開始時間になると、施設のみんなが畜産・畑仕事にゾロゾロ歩いて向かう姿を、窓から横目に眺めていた真白は満面のニヤけた表情になった。 すると、お気楽な表情で上半身のジャージを脱ぎ捨てると、灰色のピチピチのタンクトップ姿になった・・・ そして部屋の畳に寝転がり グッ と伸びをすると
「ウウウウンンン! ハァ~! 幸せだなぁ~・・・。 これで倍のお駄賃が貰えるんだもん! 私だけいいのかな~! ウフフフ!」
と上機嫌だった・・・。 すると真白はすくっと起き上がり、義典君に向くと、ハキハキと元気よく
「あ! そういえば自己紹介がまだだったね! 私は篠月真白! 真白って呼んでね~! 短い間かもしれないけどよろしくお願いします! 義典君!」
と言って握手をした・・・。 真白は上のジャージを脱ぐと灰色のピチピチタンクトップ・・・ そのタンクトップを押し上げんばかりに膨らんだ大きな巨乳・・・ 義典君はその巨乳に視線が釘付けになっていた。 なんと義典君は視線だけじゃあ満足できずなんと!
モミッ・・・ モミッ・・・
と、手を伸ばし揉んでしまった! だが年代の義典君は決してよこしまな感覚で触ったのではなく、道端のボールを触れるような感覚でモミモミしているのだ。 その証拠に義典君は真顔で
「おねーちゃん・・・ これ、なにー? おっぱいー?」
真白はあまりの出来事にビックリし苦笑しながら
「あ、ああ、アハハハ~・・・ うんオッパイだよ~」
と言いった。 当たり前だが、これが長年顔見知った施設の子だったら手を払いのけて、結構強めに叱っているだろう・・・ だが義典君はまだ赤ちゃんのあどけなさが残る男の子、とてもそんな事はできなかった。 そして、そんな事できないのがもう一つ・・・ 義典君は真白のオッパイを揉み揉みすると、次は
「えへへ! おっぱい♪ おっぱい♪ おっぱいぱい♪」
と、リズムよく両手の平でパンパンと叩いた・・・。 すると義典君は急に上目遣いになり、両手を上に広げ
「うぅぅ・・・ おねーちゃん、抱っこしてー・・・」
と物欲しそうに言った・・・。 真白はこの瞬間
「ハァァァアアアァァァ~❤///」
心の中に秘めていた母性が猛烈キュンキュンになった! 正直な話、義典君はそこいらの子供と比べても、かなり容姿端麗の男の子なのだが、あまりの美しさに女の子として見間違われても不思議はなかった・・・。 そう、真白は義典君を一目見た時から、他の子とは違う特別な感情で見ていたのだ・・・。 もちろん真白は義典君のお願いに答え、目を❤なんかにさせながら両手を広げ
「うん! さぁおいで!」
すると義典君は頭と言うか顔から、左右たわわ間の巨乳に バフゥンッ! と突撃し、真白は思わず義典君の頭を ギューーッ! と夢中になって抱きしめた! ・・・しかし数秒間オッパイに顔を埋もれていた義典君は、苦しそうに体をばたつかせ
「おねーじゃん・・・! 息がぁ!」
左右の谷間から上に ポンッ! と、むりむり顔を出すと、義典君は涙目で見つめながら
「プハァアア!! おねーちゃん! 苦しいよぅ・・・!」
怯えて困ったような表情をしながら言った。 真白はふと冷静になり慌てて
「あぁーーー・・・! ごめんね! 苦しかったねぇ~! よしよしよし~!」
真白は申し訳なさそうに慌てながら、頭を撫でた・・・。 義典君は困った顔をしながら数回深く呼吸すると、真白はちょっと暴走してしまったと反省した・・・。
・・・
・・・・・・
そんな共同生活が始まった次の日の朝、施設の子供達・職員は今日も畜産・畑仕事に従事していたが、義典君と真白は免除され、今日も部屋でゆっくり過ごす予定だったのだが、外へとお出掛けしにいった・・・。 なぜなら今日は気象庁によると日本全国の天気は、曇り一つない晴れ・・・ 気温は32~35℃を超える地域が大多数と伝えた。 ここ八ヶ岳下腹部にある標高高いこの地域でも、かなりの猛暑になると加奈子おばさんが朝礼で話していた。 そして案の定、時計が10時を回った時、カンカン照りの太陽が施設の周辺の大地を照らしていた・・・ 真白と義典がいる部屋の気温はなんと29℃・・・! 湿度も高めで風もそれほどないので、窓を開けても暑さは大して変わらず・・・。 しかもこの部屋にはクーラーはなく、扇風機すら置かれていないのだ! SDGSだ地球温暖化だ騒がれる前はクーラーはどころか扇風機すらいらない地域・・・ だったらしく、それに施設の全室にクーラーを置く資金は、この施設にはなかった。 そんなわけで真白はこの蒸し暑い部屋でうだうだ過ごす気にはなれなく、義典君を連れてある所へ向かった・・・ そこは・・・
真白「うぅぅぅーーん! 冷たくて気持ちいなぁ~!」
義典「うわぁー!」
バシャンバシャン!
施設から約1キロくらい離れた所にある小さな清流に入り、冷たい川水の冷気・マイナスイオンを存分に浴びていた。 この清流は川幅約3mくらいの小さな清流で、水質は主に八ヶ岳からの雪解け水と地下からの湧き水である。 清流は深い森に囲まれ日が差さなく、かなりの冷水であるため少し浴びるだけで体がブルブルと震えるほど冷える・・・。 2人は川の水が溜まった入り江のような場所で、水浴びをしており、真白は服を着ながら裸足で水に入り、義典君は服を濡らさぬようブリーフ1枚で浅瀬に座りバシャバシャと水浴びをしていた・・・。
昼食は川岸でシートを広げ、真白が作ったおにぎりを2人で頬張り、その後も涼しい川岸のそばで真白は本を読み、義典君はその膝元でスヤスヤと昼寝をしていた・・・ すると義典君はちょっと苦しそうに起き上がり
「おねーちゃん・・・ ウンチ、出る・・・」
「うん、じゃあトイレ行こっか! 私もちょうどトイレに行きたかったんだ」
そう言葉を発した数分後・・・ 先ほどいた地点から、川岸を少し下って歩くと、整備された散策道の脇にやや古めの公衆トイレが現れた・・・。 小さな鉄筋建物の小屋に和式トイレ一つ、小便器二つが設備されていて、いわゆるオーソドックスな男女共用トイレだった。 2人はそのトイレに入り個室を開けると、一段高い和式トイレが現れた・・・ 真白はちょっとお腹を押さえながら
「はい、いってらっしゃい。 それとね・・・ 私もおトイレしたいから、なるべく早く済ませてね」
「はーい!」
すると義典君は個室にトコトコ入ると、ドアを閉めずに和式トイレを背にしながらブリーフを脱いだ・・・。 その行動に真白姉さんの頭に?が浮かんだが、なんと義典君はそのままお尻を ストンッ と一段高い和式トイレの便器に直接座ってしまった! その間違った使い方に真白は困惑し
「えー!? ちょ、義典君!? 和式トイレはそうゆう使い方じゃないんだけど~・・・! お尻が汚れちゃうじゃない・・・」
義典君はそんな事まったく気にせず、真白に満面の笑みになりながらプリプリと排泄していた・・・ 真白はその様子に笑いながら
「プッ! ウフフフ! 施設の子達は別だけど、今の子って和式トイレの使い方知らないって、本当だったんだ・・・」
真白は膝を折ってしゃがみ、義典君に視線を合わせると、ある事を疑問に思った・・・ それは児童施設の洋式トイレは、真白と義典君がいる部屋辺りの一カ所にしかないのだが、男子寮のトイレではどうやって用を足していたのだろうか?
「この様子だと、やっぱり座ってやってたのかな~? うへぇ、義典君ばっちいぃ・・・」
なんて苦笑しながら言っても、義典君は満面な笑みをしながら排泄していた。 そして義典君の出した糞の臭いが真白の鼻孔を刺激すると、義典君は腰をグッと捻って、前方のトイレットペーパーを取り、お尻を拭くと
「おーわり!」
なんて元気よく言いながら、立ち上がった。 便器には黄色い水たまりに親指二本分の一本糞が転がっており、義典君は流すレバーを押すと糞は サーッ と臭いだけ残して前方の穴へと流れていった・・・。 義典君は笑顔で
「終わったよぉ、どーぞ!」
真白は笑顔になりながら
「はーい! 綺麗に使ってくれてありがと~!」
真白も同じくウンコで、お腹の中には2日分のデカい老廃物がお腹に鎮座していた・・・。 もしかしたら結構長期戦になるかもしれない、長く個室に籠もってると義典君が心配するかも・・・ なんて思った舞白は顔を赤くしながら
「おねーちゃんも、ウンチだからちょーっと長くなるね! どこにも行かないで、じーっと待ってるんだよ? そてと、川には絶対入っちゃだめだからね! わかった? わかったら返事!」
義典君はニッコリしながら
「はーい! 頑張ってねー」
そんなよくわからない応援聞いて、苦笑しながら舞白は個室に入って行くのだった・・・。
バタン、ガチャ・・・
扉を閉め鍵を掛けると真白は、ふと急にこんな心配と不安が頭をよぎった・・・。 それは毎年夏に必ず起こる、幼い子供の水の事故・・・ そんな悲しい事故が週に1回はニュースで流れている事を思い出した・・・。 そしてこの近場には、先程入って遊んでいた川がすぐ隣に流れており、この付近の川流れはやや急で、大人ならともかく子供だと・・・ もし義典君がヨチヨチ入り込んでしまったら、間違いなく無抵抗に流される! こんな不安が頭をよぎった直後、真白は素早くパンツをもう一度履き、扉を開けた。 そして・・・ 義典君を個室に招き入れ、真白は顔を赤くしながらこんな事を言い
「いーい? 義典君・・・ ずーっと後ろ向いててね? 前向いちゃダメだからね? ・・・そうだ! ダルマさんが転んだって100回言うまで振り向いちゃダメ! わかった?」
「ダルマさんが転んだ・・・? 百回ゆーの?! うーん・・・ おトイレで? でもいいよ! 百回言うね!」
義典君は息を吸うと、ダルマさんが転んだを連呼しながら、後ろを向き目をつむっている。 真白はその様子を見て安心し・・・ いや、ほんとは恥ずかしくて仕方がないのだが、義典君の命を考えればそれほど大した事でもない。 そして遂に真白は義典君が一緒にいる空間で和式トイレに跨り、パンツを脱ぎ、お尻を露出し、お尻を便器に落とした・・・。 肛門口が刺激された事で、お腹の中に溜まった悪臭ガスが
プスゥゥゥゥ・・・ プスゥプスゥーー
と放出しされると、個室内は一気に臭くなり、腐った卵のような臭気を漂わせた。 もちろんその悪臭は、ダルマさんが転んだを連呼していた義典君にも届き、その悪臭に少々困った顔をしながら
「うぅーん・・・? おねーちゃんおならしたのぉ? 臭いよぅ・・・」
そんな事を呟き、義典君は思わず振り向くと・・・ その視線の先に真白が大きな尻を和式トイレに下していた! でっかい白桃のお尻を丸出しにしてる姿に対して、義典君はこんな誤った発言をし
「あらぁ? 真白お姉ちゃん、何してんの? そじゃなくてトイレは座ってするんだよぉ? お尻が丸見えだぁ・・・。 あ、オシッコ出てきた」
シャアアアアァァァァ・・・!
真白は放尿の最中に義典君が振り向いた事に気づき、顔を赤くしながら
「あ、あのね、義典君・・・ このトイレはこーやって用を足すんだけど・・・! あとさ! 後ろ向かないでって言ったよね!」
そう顔を赤くしながら叱ると、なんと義典君はケタケタ笑いながら
「エッヘッヘー! でっかいお尻ー! ケツでか星人だぁ! みさえー」
「あ、あ、あのね! 義典君!/// 後ろ向かなきゃ怒るよ!///」
義典君は従う気はなく、続けてふざけながら
「クマの子見ていたかくれんぼ♪ お尻を出した子一等賞♪」
なんて歌いながら、真白の大きなお尻を両手でリズムよくペチペチと叩いた・・・ 言う事を聞かない義典君に、少しキレた真白は
「この・・・」
なんて呟き、数歩下がりお尻を上げると、義典君の眼前に肛門を突き付け
「いい加減にしないと! 牛さんみたいにくっさいウンチ落とすよ! ブリブリって!」
何故か効果は絶大だった・・・ 義典君は今だあの時、牛糞まみれになった事をトラウマになっていて
「いやぁ! ごぉ、ごめんなさーいぃ・・・! もうしませぇん!」
なんて悲痛に言いながら後方へ後ずさり、怯えながら謝罪した。 真白は先ほどと同じ位置に跨り、優しい声で
「義典君・・・ お姉ちゃん牛さんみたいにウンチするから、後ろ向いて大人しく待っててね。 お願い・・・」
「うぅん、僕の頭にウンチしないでね・・・」
「言う事をちゃんと聞く子にはしません!/// ・・・てか、するわけないでしょ///」
真白はふと冷静になると、先ほどの行動がすごく恥ずかしく感じ、さらに顔を真っ赤にした・・・。 そして両足を少し広げ、また肛門を刺激すると、2度目の
ブゥゥゥウッ! プスゥゥゥーー・・・
腸内の悪臭漂わせるガスを放出させると、義典君はなすすべがないので鼻を抑えながらお尻を睨んだ。 すると大腸に溜まっていた排泄物が肛門に到達し、肛門口を モッコリ と火山口のように膨らませ、そして強く力むと
「ウッ! ウゥゥンーーー・・・」
肛門口をゴムのように広げながら ムリムリニチニチニチィ と極太ウンコが這い出てきた・・・。 肛門口からゆっくりと顔出し、粘膜をゴムのように広げながら
ムリムリムリムリィ・・・!
と出てきた。 その光景に目を奪われた義典君は、なんと膝を付き肛門口から出てくる極太ウンコを間近で覗いた。 プルプルで綺麗かつ光沢あるピンクの肛門口から出てくる、悪臭漂う汚い黒茶の極太ウンコ・・・ まるでそのギャップが逆に癖になるような、そんな光景を目にし
「すっごぉい・・・」
とだけ呟いた・・・。 極太ウンコは、ピンクの粘膜をウネウネと波打ちながら這い出てきて、便器の水溜りへとウンコの先端が チョコン と付いた。 すると、優雅に巻くように本体中心が横たわると、重さの重力で ビチャ! と派手に落ちた。 真白は不意に
「ウゥンフアァァァ・・・♥」
まるであえぎ声のような、心地い吐息を発してしまった。
また真白は残便感を感じ取り、また軽く力むと
「ウゥ! ウゥーン・・・」
肉団子のようなミニウンコを出すと
ブゥウウウウ!
と大きなオナラを放った。 真白はスッキリした溜息を一つ、前方のトイレットペーパーを巻き、お尻を拭こうとすると、自身のお尻をまじまじと覗いている義典君を目にし
「こーら! 覗かないで! よりによってこんな汚い尻なんか、見ないで・・・」
なんて言いながら顔を赤くし、サワサワ と肛門口を拭くと、パンツを上げ、スカートを戻した。 真白は手でレバーを押すと、極太ウンコは排水口へと流れていった・・・。 結局最後まで後ろを向かなかった義典君に対し、真白は軽蔑的な視線を投げながら
「もう! 義典君のエッチ!」
と言った・・・。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
あれから数日、2人の共同生活もだんだんと自然体になっていき、一緒に添い寝、一緒に食事、一緒に畑仕事、一緒にテレビを見て、一緒に遊んだりと、一緒にトイレ、一緒に風呂・・・ まるでこの2人は一緒にいるのが当たり前で、別々で行動している時はほぼなかった。 そして義典君がここに預けられた初日は、あんなにワンワン泣いてたにも関わらず、今では泣くことはほぼ無く、真白と共に元気よく過ごしていた。 対する真白も初日にわんわん泣く義典君を見て、翌日に義典君係なるもの引き受けたとき『結構手間のかかる子なのかなぁ・・・ よし!』などと思い覚悟していたが、いざ2人一緒に生活しだすと泣く事はなく、むしろ言う事は素直に聞き、少し内向的で、笑顔を絶やさない子供であったと数日後にわかるのだった。
そして共同生活数日後、今日は遠くの畑にて2人で作業をしていた。 作業内容はこの間のような、苗かも雑草かもよくわからない草抜きではなく、実った作物に付いた虫を払いのける作業をした。 この作業に関しては義典君は優秀で、むしろ真白や施設の女の子達がもっとも不得意とする作業だった。 義典君は自慢げに藁皿いっぱいウネウネ動く虫を見せつけると、真白は若干引きながら
「うへぇ・・・! いやでも、す、すごいじゃない~! いっぱい取ったんだね~! えらいえらい!」
と言い頭を撫でた・・・ それに義典君は満足げな表情で
「虫取るのおもしろい!」
「ほんとにすごいなぁ~・・・ これね、誰でもできる作業じゃないんだよ?」
真白はそう言うと義典君はニッコリし、また作業へと戻って行った。 それから数十分後が経った頃・・・ 今日の空模様はなんだか曇りっぽく灰色空で、しかも八ヶ岳方面からドンヨリした真っ黒い雲が急速に近づいてきて、そして
ピカッ!!!
と、辺りが一瞬白くなった数秒後・・・
ゴロゴロゴロゴォォォォオオオオオオォォォォゴロゴロ!!
雷が鳴った・・・ 真白はこの怪しい空模様に対し
「あ~、義典君! 今日の作業はもう終わりにしようよ! この天気・・・ 雨がすっごい降るから、急いで施設に帰ろ!」
空をジーっと見ていた義典君も
「うん・・・ カミナリ怖い」
そうして2人は帰る支度をして、畑から出ると
ピチャッピチャッピチャッ、ピチャピチャピチャ! ザァァァァアアアアアアーー!!
と、勢いよく雨が降ってきた!
施設に着いた頃は2人ともびしょ濡れだった・・・ しかも幼い義典君は走っても大人の早歩きくらいのスピードしか出ないので、いつもの倍くらい素早く帰るのに時間が掛かってしまった。 山間部のためか、ここら辺のゲリラ豪雨はとても冷たく、そんなゲリラ豪雨をまともに打たれてしまい、2人ともパンツまでグショグショに濡れていた・・・ 体感温度も雨が降る前は曇りでも汗が出るような蒸し暑い温度だったが、今はクーラを入れた部屋のように冷えていて、びしょ濡れになった義典君は
「ヘックション!」
と、大きなくしゃみをした。 真白はそれを心配しながら
「あら~、冷えちゃったね~・・・。 服脱いで急いでお風呂に行かないとね~」
「うん・・・」
義典君はプルプルと震えると、真白は雨にも関わらず施設内が妙に シーン・・・ と静かなのに気づいた。 こんな天気になると、施設内は騒ぎ声や歓声やらがうるさいくらい響いてるのだが・・・ 真白は不思議に思い
「あれぇ・・・? 子供達はどこに行ったのかな~・・・ こんなに雨が降ってるのに・・・」
なんて疑問に思ってると、廊下から加奈子おばさんがやってきて、びしょ濡れになった2人に労いの言葉を掛け、タオルを持ってきてくれた。 真白は施設の様子を聞くと、加奈子おばさんは苦笑しながら
「ああ、今日は市民プールの子供無料日だから、職員と子供達はみんなプールの方に行っちゃったわよ。 でも、こんな雨じゃあ泳げないし、かと言って帰るわけにもいかないし・・・ 大変ねぇ。 全然晴れ目が見えないから、まだまだ降るねこりゃ」
そう言うと3人は外の様子を見た・・・ 今も空は雷がピカピカと鳴り響き、雨がザァーザァー降っていて止む気配がない。 加奈子おばさんは2人に続けて
「あ! そうそう! みんながずぶ濡れで帰ってくると思ってね、さっきお風呂沸かしたのよ。 もうすぐ沸くと思うから、広い方のお風呂入っちゃって! こんな豪雨じゃあ、みんなはまだしばらく帰れないと思うから・・・」
広い方のお風呂というのは、主に施設の子供達が入るお風呂の事で、一つしかない大きなお風呂を時間を決めて男女別に使うのだ。 だが2人が専用の部屋に移ってからは、別の狭いお風呂に入っていたのだ・・・ すると真白は喜びながら
「え!? ほんとですか!? やったー!? じゃあ義典君、今から広いお風呂の方入っちゃおうか~! 今は子供達いないから私達専用お風呂だよ! ウフフフ」
そして2人はお風呂場の脱衣所へと向かい、脱衣所に着くと義典君は早速全裸にさせられ、お風呂場へと放り込まれた・・・。 真白は義典君の服を自分達の部屋の方にある洗濯機へと入れに行った・・・ 義典君は風呂場の蓋を取ると、かけ湯し、温かい風呂へと入った。 冷えた体に温かい風呂はとても気持ちよく、義典君は思わず
「ハァァァァ・・・」
と、気持ちい溜息をこぼした。 だがその数十秒後、幼児の体なのですぐホッカホカに温まり、誰もいないシーンとしたお風呂はちょっと怖く感じ、風呂をそろそろ上がろうとした瞬間、曇ったがガラス戸から人影が写った・・・ 義典君はその人影が真白さんとすぐにわかった。 そして
ガラガラガラ!
と、真白はガラス戸を開けると
「うわぁ~、暖かいなぁ~」
「!?!?」
真白は体にバスタオルを巻きお風呂場にテクテク入ってくると、その姿に義典君はたいそう驚き興奮してしまった。 実はこの2人、同じ部屋に暮らしていて常に一緒に行動してるとは言っても、風呂やトイレは流石に別々で入っていて、お風呂を一緒に入る時と言えば、真白が服を着ながら義典君の体を洗ってあげる時だけである。 真白はバスタオルを外さないでシャワーでかけ湯した時、バスタオルは肌にくっついた・・・ たくさん食べ農作業に従事されている体は、締まっていてかつ豊潤で、義典君はその美しい肉体に目を奪われていた・・・。 真白はシャワーを止めると
「ふぅ・・・」
なんて言いながら、風呂場に歩み寄り、お風呂に入ってる義典君に小股が見えないように淵を跨ぐと、バスタオルを巻いたままお湯に浸かった・・・。 マナー的にはアウトなのだが、義典君がいくら子供と言っても男の子であるには変わりなく、まだ思春期が若干終わってない十代後半の真白は、全裸で入るのは流石に抵抗があった。 そんな真白は湯船に入ると、義典君と同じく極楽な表情をしながら
「ハァァァアアアア・・・」
と気持ちの良い溜息をついた・・・ 義典君は真白のたわわに実った巨乳を横目でチラチラ覗きながら、今までの暑さを忘れて入っていた・・・。 そして真白が体を洗うため洗い場の前に立つと、身にまとっていたバスタオルを脱ぎ、巨尻を露出させた・・・ 義典君は真白のお腹からお尻にかけてのウェーブがかった芸術的な女体の神秘にまた目を奪われていた。 真白はその大きなお尻を風呂椅子に乗っけて、頭と体を時間かけて洗い出した・・・ やがてそれが終わると義典君は興奮しながら驚愕した!
(!?!?!?)
なんと真白はバスタオルを身にまとうのを忘れて義典君の方に向かい、なんと風呂淵に手を置くと、左右のたわわに実った巨乳をブランブランさせながら
「ふぅ~・・・! 義典君~、今日はいっぱい汗かいたでしょ~? 体洗ってあげるから、おいで!」
何て言った・・・ 義典君はあまりの光景に返事ができず、その巨乳を目を丸にしながらがん見していた・・・。 すると真白はバスタオルを忘れ、素っ裸でいることに今気づき、慌てて左右の巨乳を
「あ! キャ!///」
なんて言いながら両手で隠し、急いで洗い場に放置したバスタオルを巻きに戻った・・・。
義典君この夜、何度も何度も真白の大きな巨乳を思い描き、チンチンを大きくしながら眠ったのだった・・・。
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チュンチュンチュン・・・ チュンチュン!
窓に日が差し朝になった・・・。 僕は鳥の声と共に眩しい陽の光に起こされ、時計を確認すると午前5:10を回った頃だった・・・。 あの夢・・・ 先ほど見ていた夢は中途半端に終わってしまったが、もちろんまだ続きがあるのだ・・・。 そう、さっきまで見ていた夢は幼少の頃この施設へ預けられた頃の記憶、自ら消去していた記憶が、あの夢のおかげで今この瞬間に蘇ったのだ・・・。
(そうだよ・・・。 うん・・・! 昨日まで忘れてたけど・・・ 確かに僕はここへ預けられて、長期間過ごしたことがある・・・!)
あの夢で僕は確証した。 夢はシロ姉さんのオッパイで突然終わってしまったが、もちろん続きがある・・・。 あの風呂の後、何日間かは一緒に遊んだり、一緒にご飯を食べたり、一緒に寝たり・・・ 本当に楽しい時間だった。 僕はこんな日々がずーっと続くと思っていたのだが、そう長くは続かなかった・・・ なぜなら、父さんと母さんが迎えに来たからだ。 今年の夏の始まりの時期に、僕とお父さんがここへ来る途中、車中で父さんが
『あの時のお前、篠月お姉ちゃんにずいぶん懐いててな・・・。 帰る頃だっけ? お姉ちゃんと離れ離れになるのが嫌で、ワンワン泣きながら抱きついてたんだぞ?』
て言った話を覚えているだろうか? あの頃は何も覚えてなく、何も言わなかったが・・・ 実はワンワン泣きながら抱きついていた、というのはちゃんとした理由があって、もちろん離れ離れになって寂しいという思いもあったのだが、いくら子供であってもそんな理由でギャン泣きはしない・・・。 だって
(僕はあの時、シロ姉さんの事を・・・ 本物のお母さんと決めつけて接していたのだから・・・)
僕がこの施設にに初めて来た日・・・ この頃の僕はまだ言語もろくに話せず理解できず、赤ちゃんからほんの少し成長しただけの、ほんとに小さな男の子だった。 なので、両親の仕事など大人の世界の事情に関してはまったくの無知であった・・・ のだが、児童養護施設に関しては何らかのアニメかドラマかの媒体で知る事ができ、そこは両親を失ったり捨てられたりした子供達が共同で生活する場である、と言う認識は持っていた。 そして施設を訪ねて2日目・・・ お父さんは仕事(海上保安庁)の上司から連絡が来て、例の東京湾石油タンカー事故で緊急的な呼び出しをくらい、加奈子おばさんの許可を得て、僕を施設に置いて帰って行った出来事だ・・・。
(にしても、今思うとひどいな・・・ いくら仕事のためだって言っても、5才近くの僕をここに置いていくなんて・・・ そりゃあ、捨てられたと思うわけだよ・・・)
さっきも説明したが、この頃の僕は言語をろくに話せず理解できず、大人の事情なんてわかるはずもなかった。 そして、父さんが僕をここへ置いて1人車に乗って去って行くのを見た時、僕は捨てられたと思い込んでしまい、絶望して大泣きしてしまったのだ。
(そして1人この施設に残された僕は、ここの施設の子供達と同じように、共同生活が始まったのだが・・・ もちろん、馴染むことなんて出来なかっただよな・・・)
鮮明な記憶はないが、施設生活が始まった1日目、事あるごとに泣きじゃくっていたのを、微かに覚えている・・・。 両親に捨てられたと思い込み、見ず知らずの土地と建物、見ず知らずの大人達と子供達に囲まれながらの生活は、ストレス、不便、悲しみ、苛立ち、あらゆる感情が湧き上がってきて、泣くという手段でしか発散できなかったのだ・・・。
(それから出会ったのが、当時の真白姉さんだ・・・)
何故かはわからないが施設生活が始まった翌日から、とある個室で真白姉さんとの共同生活が始まり、寝食共にすることとなった・・・。 シロ姉さんは特に今と変わらず優しく語りかけながあら接してくれて、僕を優しくお世話してくれたのを思い出した・・・ 温厚で優しく、一日中一緒に遊んでくれたりもした。 しかもあの豊満な・・・/// 豊満かつ柔らかいオッパイで僕を優しく包み込んで甘えさせてくれたり、美しい容姿で優し微笑みかけてくれるその姿に、不安定になった僕の感情を慰めてくれた。 それに比べ、僕の実の母親は昔も今もデザイナーの仕事で忙しく、幼少の頃は甘えたり遊んでもらった記憶はかなり少ない・・・ 今では忙しい母親の事情も多少はわかるが、幼少の頃の僕にとっては冷たく遠い存在の母親に見えたのだ・・・。 そんなこともあって、僕はなんと・・・
(シロ姉さんの事を、今日からこの人を母親にしよう! ・・・なんて、決めつけてしまったんだ)
子供ながらの自由すぎる感覚ではあるが、当時の僕は本気でそう思った・・・。 共同生活をしていくうえで、もちろん夢で見たシロ姉さんの排便シーンやお風呂シーンなんていう、エッチなイベントシーンが2度ほどあった。 ひょっとすると、あの時僕はシロ姉さんを母親と認識すると同時に、性的な目でも見ていたのかもしれない・・・。
(僕は生まれて初めて欲情した女性でもあったわけだ・・・。 もしかして、もっと長く施設生活が続いていたら・・・ 生乳くらいは自由に・・・/// いやいや! いくら僕が子供だからって、流石にシロ姉さんもそこまで許しはしないだろう!)
僕は頭をブンブン横に振りながら、よこしまな考えを止め
(でもあの時、僕にとってシロ姉さんは本当に大きな存在で、この人がこの施設にいなかったら、施設での生活はろくなもんじゃなかったかもしれない・・・。 両親の緊急的な仕事が終わるまで、シロ姉さんと共に一週間生活した結果・・・ この人と遠く離れ離れになるなんて考えられないくらい、依存というか親しいという言葉では表現できないくらいの人だったのだ・・・)
でも遂にその時が来た・・・ あれは夏のとある日の午後・・・ シロ姉さんと共にお昼を食べた後、部屋に戻る途中シロ姉さんは加奈子おばさんに話しかけられたのだ。 僕はシロ姉さんに先に部屋に戻っててと言われ部屋に戻ると、話を終えたシロ姉さんが部屋に入ってきて、僕に笑顔で・・・ だがその笑顔はどこか、寂しいような、悲しいような、儚い笑顔と表現するのだろうか? ともかくシロ姉さんは、そんな何かの感情をいっぱい含んだ笑顔で
『義典君・・・ あのね・・・ ご両親が帰ってきたよ! さ、服とか玩具とか・・・ 忘れ物しないようにリュックに入れようね〜』
僕はこの言葉を聞いた時、目を丸くしながら『え?』なんて言ったと思う・・・。 この時僕の感情は、両親が迎えに来てくれた安心感と、今さら何しに来たんだという小さな憤り、シロ姉さんと離れ離れになると言う喪失、そんな感情が僕の心にグチャグチャと複雑に交差していた。 玄関を出ると車の前で両親が立ち話をしており、そこに加奈子おばさんは・シロ姉さんが加わり、軽く4人で立ち話をしていた。 やがてそれが終わると、遂に車に乗って帰る時間になり、僕はあらゆる感情が爆発し、シロお姉さんに抱き着きながら泣き喚いたのだった・・・。
(あの時は・・・ 一日中泣いたんだっけ・・・)
そして、僕がこの施設で過ごした記憶を消すに至った出来事が起きたのだ・・・。
それは、あの夏に施設で過ごした日からちょうど1年後の夏、シロ姉さんや施設での過ごした日を1日たりとも忘れる事はなかった。 僕はこの時、小学1年生になっていた・・・ この頃からようやく言語や文字だとかを理解できるようになり、父さんに今年の夏休みもまたあの施設で過ごしたいと言った所、父さんはケタケタ笑いながら牛のウンコの事をまた笑われ、僕は少し怒ってせかすと
『あれ? あ、確かお前に言ってなかったっけ・・・? あの児童施設は今年の春に閉所したんだ』
『・・・? 閉所?』
『そう、潰れたって事だよ・・・。 だから、今あの施設に行ったって誰もいないぞ。 お前を1週間世話をしてくれた篠月お姉さんも、閉所と同時に東京に働き出して、加奈子おばさんも詳しい状況はわかってないみたいだし・・・』
僕はこの話を聞いた時、脳内からハンマーで叩かれたようなショックに見舞われた・・・。 まるで大きな失恋・・・ ではなく、それとはまた違う・・・ 大きな喪失感が僕を襲った。 そのショックが原因かはわからないが、その日から施設の事を思い出したり、シロ姉さんの事を思い出すことは、今日この瞬間までなかったのだ・・・。