桜峰学園女子大学
この名門お嬢様女子大は、世界の常識が書き換えられたかのような場所だった。
用務員の彼には、毎日必ず一人にザーメンを提供する義務があり、腕に巻かれたリストバンドがその無射精状態を公に晒す。
お嬢様たちはリストバンドを集めることをステータスとしながらも、がっつかず、奪い合わず、礼節を重んじながらスマートに手に入れることを何より大切にしていた。
廊下で優しく微笑み、教室でさりげなく声をかけ、優美に語りかける。
「ねえ、今日のリストバンドを私にくださるかしら?」
彼はそんな品位ある支配に、日々心身を捧げ続けている。
常に新しい人材が入ってくる人気の職業である一方で、この気品に満ちた容赦ない搾取に耐えきれず辞めていく者が後を絶たず、離職率は非常に高い過酷な職場だった。
彼は今日も、そんな倒錯した不安定な世界に立っている。
お嬢様を見下すようにザーメンの飲み方を指示すると、彼女はその言葉に甘く喜びながら従う。しかしそれは、ただの隷属関係を逆転させた、優雅で残酷な遊びでしかなかった。
リストバンドは日によって変わる色と識別タグ用QRが記されてる。
お嬢様たちは、単に数を集めるだけでなく、いかに偏りなく様々な者からリストバンドを集められるかが重要なステータスだと考えているようだ。
そして彼は、最近気づき始めていた。
この校内にいる用務員たちは全員、毎日射精をしている。ただ、そこには明確なグラデーションが存在した。
お嬢様たちはその用務の内容を細かくチェックしているのだ。
校内の什器の出し入れ、清掃、営繕——そうした日常の取り組み方や所作をじっくり観察し、査定している。
単に射精がしたいだけでこの職場を選んだ人間に対しては、お嬢様たちは義務的に射精させるだけだ。
ただのザーメン人形。
その末路は悲惨なものになる。
一方で、この学園を深く愛し、学園のために真摯に尽くしている者には、お嬢様たちは愛情を持って接してくれる。
それが、この過酷な職場を長く続けていくための、唯一の方法だと彼は理解し始めていたのだ。
つづく