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「「…床、固いと思うから、良かったら……私の膝の上、乗ってもいいよ」」
固い、無機質な床に寝転がり始めたクラスメートに向かって、私はそう提案した。
(っ………)
言った途端、心の中で顔に火がついてしまう。私はなんて恥ずかしいことを提案しているのだろう。女子だけでなく、男子たちもいるこの空間で。男の子と付き合ったことも、手を繋いだこともないのに、自分の膝の上で寝ていいよ、と私は言っているのだ。
「え………」
「…渚、私たちはいいけど…男子もいるんだよ?」
「無理しないでいいよー」
私が気を遣いすぎて無理に提案しているのだと思ったらしい。加羅ちゃんや恵奈ちゃんが優しい言葉をかけてくれる。…でも、私はしっかりと"選別"をしなければいけないのだ。恥ずかしくても、適性を見極めるために。私の大きな身体に乗せられて、どういう反応をするのか。
「「ううん…だって、私の身体だけでこんなに場所取ってるのも申し訳ないし…お願い、そうさせて」」
そう言いながら、左手の方にいる男子たちを何気なく見下ろす。何とも言えない表情をした男の子たちが、私から降ってきた視線に気づくとどことなく目線をそらしてしまう。
照れている、のかな。私みたいなちんちくりんに、それはないか。
「…渚がそこまで言うなら」
「男子たち、変な気起こさないでよ!」
「起こさねえよ!」
「………」
本心の所では、固い床に寝るのはきつかったのだろう。皆、私の提案に素直に従ってくれた。からかう加羅ちゃんに後藤くんがいつものように言い返す。ちょっと変になっていた空気がたちまち元通りになった。
「「じゃ、じゃあ、……登ってこれる…?」」
2cm以下のクラスメートの前で、紺色の制服スカートとソックス姿で、女の子座りをしている私。右の脚は女子たちの前に、左の脚は男子たちの前に投げ出されている。私の足指たちはクラスメートの身体よりも大きくて、横倒しになった足の裏の幅でさえみんなの身長を凌駕している。
普通、自分の足の裏を人に見せることなんてない。普段見せることのない部位を見せるというのはどこか恥ずかしくて、足の裏なんてものをみんなの目の前に置くなんて失礼でもあって。
そんな巨大な足に、私はクラスメートたちを登らせようとしている。おっきな身体を、怖がらず登ってこれるか知りたいから。
「………う、うん」
「…ほら、せっかく渚が言ってくれてるんだから、みんな登ろ!」
「っ、そうだね!」
一瞬戸惑いの表情を見せた皆だったけど、すぐに気を取り直してくれた。麻衣ちゃんが先頭を切って、ソックスに包まれた私の右足の裏を、ちょうど土踏まずの当たりから登ろうとする。
「「…っ……」」
(ひぁっ……!!)
足の裏が小さな手に掴まれた感触に、思わず声を上げそうになってしまう。強烈なくすぐったさに対する悲鳴を、私は何とか心の中に押しとどめた。私が声を出したら、その大きさでびっくりさせてしまう。
ソックスの生地は手をかけて登りやすいようで。梯子を登るみたいにすいすいと登っていく麻衣ちゃんの姿を見て、女子も男子も、次々に私の足の裏を登り始める。
「「っっ~~~~!!!」」
(ひゃっ、やっ、くすぐったっ……♡♡)
あまりに繊細で強烈な刺激たちだった。無数の小さな手が、私の大きな足の裏に躊躇なく刺激を与えていく。高い壁に手をかけて登る人間に、私がくすぐったいかどうかへの配慮なんてあるはずがない。みんな、思い思いに体重をかけてパラパラと登っていく。無秩序で無遠慮な小さな感触が束になって、ソックス越しに私の足を刺激する。
(こ、これ……やば………)
うう、くすぐったすぎて耐えられないかも…!!
クラスメートのみんなが、自分の足の裏にしがみついて登っているという状況だけで顔が真っ赤になりそうなほど恥ずかしいのに。それに加えて、この刺激地獄。足裏をもぞもぞと這い回る存在が同じ人間だったみんなだとは到底思えなくて、しかしそれが現実で。あまりのくすぐったさに足全体をぐねぐね動かしたいのに、両足を擦り合わせて掻きたいのに、そんなことをすれば登っている途中のクラスメートを巨足で擦り潰すことになってしまう。
(…………)ごくりっ…
軽い気持ちで想像した未来があまりに残酷で、生唾を飲んだ。
…そもそも気づけば、なんて危険なことをしてるんだろう。今、私が何気なく足をこすり合わせたり、このまま足の裏を地面につけて立ち上がってしまえば、みんなの身体は簡単に潰れてしまう。今や圧倒的な巨体となってしまった私の体重を、みんなの身体は絶対に支えきれない。
それだけではなく。自分の足の匂いをソックス越しにほぼ直接嗅がれているという異常な状態なのだ。それにすら気づいていなかった。女子ならまだしも、男子にまで…。昨日の夜にお風呂に入ったきり、少し汗ばんでいるかもしれない。ほら、今、足の指の付け根に手をかけて登っているあの子に、足指の匂いを嗅がれている。
(さ、さいあく……)
何故、危険性や恥ずかしさに気づかず、こんなことをやすやすと提案してしまったのだろう。普通に教室でみんなと過ごしているときには、考えられないこと。
…その理由が、頭の隅っこで何となく理解できている気がした。そして、その理由に気づきたくなかった。
だから私は、思考を止めて、足裏の登頂に成功した小さなみんなに向き合う。
「「み、みんな…気を付けて、ここまで上がってきてね」」
ぽん、ぽん、と。
私は、横倒しになっている自分の太ももを軽く手のひらで叩いて、まるで平気な振りをしてそう言った。
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ぼんっ…!ぼんっ…!!
巨大な手のひらが、自分たちが立っている地面の向こうに叩きつけられる。その仕草はとても軽くて何気ないものに見えたが、柔らかな地面に与えられた振動が直に響いてきて、思わずバランスを崩してしまう。
「うあっ…!!」
つんのめって前のめりになり、手を地面について転んでしまう。その瞬間、紺色の巨大な布の感触がぐにっ…と僕の手を力強く受け止めてくれた。その向こうにある肌色の大地の感触までもが手に伝わってくる。自分の顔がそこに近づいたことで、甘酸っぱい香りが鼻の奥にまでツンと入り込んできた。
(っ………)
クラスメートだった女子の足に急接近し、思わず顔が赤くなってしまう。いや、既に急接近どころか、足の上に登っている状態なのだが。今まで、そこまで親しく話してきたわけでもない望月渚、望月の身体をここまで近くに、密着した状態になるなんて、かなり倒錯的な状況であることは確かだった。
30人を超える集団生活の中で、特に仲が悪いわけでなくとも、あまり関わることなく1年が過ぎてしまう関係性というのは稀ではない。僕と望月の関係性もそんな感じだった。
『尾川くん、昨日休んでた授業のプリント取っておいたよ』『あ、ありがとう』一度隣の席だった時期に、僕が風邪で休んでいた授業で配られたプリントを取っておいてくれて、授業中のメモまで書いてくれたことを思いだした。背の低い望月は、純粋で優しい女子というイメージが強かった。
望月は女子の中でも結構可愛い方だと思う。でも、マドンナ的な人気があるという感じではなく、どちらかというと小動物っぽい雰囲気で愛されているような女子だった。他の女子からは妹みたいに可愛がられていたし、男子からも好意的に見られていただろう。
自分も、比較的好意的に見ていたが、それは異性としての好きという感情では無かった。こう言ってしまうと失礼かもしれないが、異性としての色気を感じるというよりは、やはり妹のような可愛らしさが先行してしまっていたから。
そんな望月の身体が、
「「み、みんな…気を付けて、ここまで上がってきてね」」
圧倒的な巨大さをもって、僕らの前にそびえ立っている。
「っ……はあっ、はあっ…」
「…………」
周りの男子たちは、やっと足裏の壁を登り切って息を切らしているもの、無言で望月の上半身を見上げているもの、など。男子同士で会話は無く、どこか気まずい空気が流れていた。
全員、正直照れてしまっているのだ。今まで小動物のようだったクラスメートのちっちゃい女子が、いきなり100倍くらいの巨大な身体になって目の前に現れたのだ。誰か得体の知れない存在に監禁されているのか分からないが、それは望月も同じなようで、しかしその体格差だけが異常だった。
これだけの体格差で狭い空間に閉じ込められていると、何が起こるか。一番直接的なのは、匂いと体温だった。
足に登り始めた今はともかく、先ほどまでは望月の身体から5メートルくらいは離れた場所に立っていた。しかし5メートルというのは僕の基準でしかなく。望月からすれば、自分の身体の数センチ先にクラスメートたちが立っているようなものなのだ。普段教室で生活しているときにはあり得ない距離感。その距離感は、望月の身体から香ってくる匂いの強さを何百倍にも増幅させる。…そもそも、女子の匂いをこんなにも強く、直接嗅いだことが無いのだ。上空から香ってくる爽やかなシャンプーの香り、目の前の紺色ソックスの奥から香ってくる甘く濃い汗の匂い。その匂いの強さは女子特有のフェロモンと表現してもよく、それがクラスの妹的存在だった望月の身体かが香ってきているという事実が、あまりに恥ずかしくて照れくさいのだ。
そして、体温。望月自身が気づいているか分からないが、この謎の空間自体が既にかなりの熱気に包まれている。100倍の体格を持つ人間の体温のエネルギーはものすごく、30度後半の熱気が常に巨体から放たれているために、クラスのみんなはじんわりと汗をかき、うだるような熱気に頭をやや浮かされていた。
そんな、巨大な望月の匂いと熱気に包まれている中で、
「「みんな疲れてない…?私、動かないから安心してね」」
望月が心から心配しているような声色で、上空から優しく話しかけてくるのだ。いつも教室の中で聞いていた望月の声が、この巨大でフェロモンたっぷりの身体の持ち主であることに強く結びつけられる。それを自覚するたび、今の状況に男子として少しばかりの興奮を感じてしまっていることに罪悪感を覚えた。
「っ………」
そんなことを皆思っているのか、気まずい空気が漂って男子同士の会話は完全に止まっていた。皆無言で、望月のハイソックスの上をバランスを取りながら歩いていく。
むにっ、むにっ……
足を踏み出すたびに、望月の巨大なふくらはぎの感触に押し返される。何気ない部位であってもやたら女子っぽい良い匂いがして、それでいて、ふくらはぎの筋肉ががっしり力強く足元に広がっていることが、ちょっと怖かった。当たり前だけど、今の望月は僕らの何百倍もの力を持っている。いくら元々の身長が小さいといっても、この体格差では、今望月が勝手に立ち上がっただけで僕らは地面に叩き落とされ、きっと無事では済まないだろう。
ある意味、望月に生かされているような状態。ある意味緊張感のある状況で、さらに上空から、
はあっ……♡
無意識に漏れた吐息の音と生暖かい風が、僕らに降り注いでくるのだ。その何気ない息は、元々の同じサイズで生活していたら絶対に耳には届いてこないくらいの小さな音。しかし今の望月の大きな声帯、巨大な口から漏れ出る呼吸は、クラスメート全員の耳にしっかりと届いてしまう。
んんっ………ふぅ………♡
くすぐったいのか、時折無意識に唇の端から漏れ出る声。少しだけ唇をすぼめて、息をつく音。まさか全員に聞かれていると思っていないであろう望月が少し可哀そうに思えてくる。
これは、良くない。望月の匂いと熱気に包まれて、巨大な脚の柔らかさの上にいて、上空から本人の息が降り注いできて。なんだかおかしな気持ちになってきてしまう。今まで一度も望月に対して性的な感情を持ったことが無かったはずなのに、ここまで"女の子の身体"に包まれてしまったら、何も感じない方が難しい。
そして、追撃のように。
「「あ…みんな、着いたみたいだね」」
(…ちょ……これ、やばい……)
広くて大きな太ももの上にたどり着いた僕は、その強烈な柔らかさに動揺する。学校指定の制服のスカートは、紺色のやや分厚い生地。すべすべとした感触のスカート生地の下には、地面に横倒しになった望月の巨大な太ももが広がっていた。そこに立っている僕は、足を少し踏み直すたびに、ふにぃっ…♡と台地が容易に沈み込むことに胸をバクバクさせ始めていた。
だって、今からこの上で、寝るって話なんだよな…?
床の上で寝始めたクラスメートに気を遣って、自分の脚の上に登っていいよと言った望月。いつも人を気遣っていた望月らしい、健気で優しい提案だった。…自分の身体に男子がおかしな気持ちになるなんて想像していないという無垢な気持ちがあるのだろうか。そうでも無ければ、クラスメート全員を自分の太ももの上に寝かせようなんて発想が生まれるわけがない。
(…う………)
もう、ダメだった。今からこの上で体を横たえる想像をしただけで、僕の股間は固くなり始めていた。周りに悟られないように、周囲の男子とは反対の方向を向く。みんなは何を考えているのだろうか。この状況に何も動じていない?…そんなわけがない。対岸の太もも上の女子がどう思っているのか分からないが、少なくとも、こちら側の男子たちの間には変な気まずい空気が醸成されていて。
そこに、
「「…ほら、そこで休んでていいよ。私はこの体勢で休めるから…」」
優しい口調かつ音量の大きな声で、望月が上空から話しかけてくる。…そう言われてしまったら、いつまでも立っているわけにもいかない。男子たちは各々の様子を見計らいながら、どこか恐る恐るといった雰囲気で、腰を下ろしていく。僕も一人だけ立っているわけにもいかず。
望月の太もものベッドの上に、あぐらをかいて座り込む。
むにゅっ……♡
(だ、ダメだろこれ…!)
座り込んだだけで、僕の臀部に望月のむちむち柔らかな太ももの感触が密着する。今まで触ったことも無い女子の太ももは想像以上にふわふわむっちりで、触れ合っている部分がみっちり熱い。下から漂ってくるのは、足の上に登ったときよりもさらに女の子フェロモン度が高い、甘い蜜のような香り。こんな濃い香り、恋人でもないクラスメートの男子に嗅がせて良いものじゃない。あまりに生々しくて、直接的で。
「「…尾川くんも、寝転がっていいよ」」
「っ…え、あ、うんっ…!!」
唐突に自分の名前が、望月の口から発せられ。完全に動揺した僕は、裏返った声で慌てて返事をする。上空を見上げれば、望月が優しい表情をしながら、こちらを見下ろしていた。これだけ巨大な存在に、自分のことをピンポイントで認識されることの気恥ずかしさ。自分の振る舞いを望月に見られていたことに照れた後、自分がおかしな気持ちになっていたことを悟られていないか、にわかに不安になる。
…周囲を見れば、男子たちは既に望月の太もものベッドの上で寝転んでいた。そんな、簡単に…。絶対にやましいことを考えている男子もいるはずだ。いや、それが普通だろう。あまりに距離感の近い状況で、望月を女の子として意識しないなんて不可能だった。
「「……?」」
「あ、あはは……」
寝転がらない僕に、望月は微笑みつつも首をかしげる。こっちの気なんて全く気付いていないかのように。無垢な表情を向けられ、ここで寝転がらない方が明らかに失礼であると、そう思ってしまった。
巨大な視線を浴びせられるプレッシャーを感じつつ。
僕は、紺色のスカート生地の上に、身体を横たえた。
ふにゅぅっ……♡♡
(ああっ……!!うぅ………)
マシュマロのように柔らかな地面が、むっちりと熱を持って僕の全身を受け止めてくれた。膝枕どころではない、太もも全体を使った甘く倒錯的なベッドが、全身を刺激してくる。
(だめだ、だめだっ…!!)
一瞬で勃起し始めた自分の股間部を隠そうと、身体を横向けにして丸くなろうとする。しかしその一挙手一投足が、望月の太ももに当たる度に、ふにっ…♡むにっ…♡と、逃れようのない甘美な柔らかさを味わわされるのだ。
どんな体勢になろうが、太ももの熱と感触と匂いから逃げることは出来ない。あの、小動物のような、悪く言えばちんちくりんだった望月が、100倍の体格になっただけでこんなにも女の子らしく、えっちで、男を変な気分にさせるだなんて。
「「ふぅー……んん………」」
そして上空からは、なお無意識な吐息の雨と、時折眠そうに可愛らしい声を上げる望月の存在感が、ずっと降り注いでくる。自分を包み込む太ももを意識しないようにしても、望月の息と声に常時包まれているこの状況では、それも無理だった。頭上で可愛らしくあくびを嚙み殺す望月の太ももの上で、自分は寝かされている。強烈な事実をクラスメート全員が感じさせられたまま、恐らく男子全員が変な気分にさせられていて。その全員分の気持ちを、望月の片方の脚の太ももだけで相手をしているという事実がさらに倒錯的だった。
何の意識もしていない望月の脚の上で、全員の気持ちが転がされ続けている。
無意識にえっちな気分にさせられるというのは、"弄ばれている"と表現しても何らおかしなことは無い。
クラスの男子全員が、望月一人の身体に弄ばれている。
(考えちゃダメだ……このまま、無心で眠らないと……)
固くなって戻らない自分の股間を必死に隠しながら、僕は目を瞑って眠りに付こうとする。バクバクし続ける心臓がそうさせてくれないのは分かっていたが、しかし望月に対する罪悪感が、このままドキドキして寝転がり続けることを拒否していた。
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視点が高いというのは、ただ高度が高いというだけではない。色んな物事を、俯瞰して把握できるようになるんだ。
今まで小さな身長でみんなを見上げるばかりだった私は、初めてみんなのことを上から見下ろしたことで、新しい発見を感じていた。
(尾川くん……恥ずかしがって縮こまってるけど……)
自分の太ももの上で、もじもじと何だか恥ずかしそうにして、なかなか横にならない男子が一人。名前は知っている。尾川くんだ。そんなに仲が良かったわけじゃないけど、もちろんクラスメートの一人としてちゃんと認識している。
尾川くんが今何を考えてまごついているのか。…さすがの私でも、その心の中は分かる。いきなりクラスメートの女子の脚の上に登らされて、100倍サイズの太もものベッドの上に乗せられているのだ。背のちっちゃい自分だけど、女子の太ももという身体の部位が、男子にとってデリケートな、精神を刺激する対象のものであるということはさすがに理解していた。
(…隠してるけど、これ、ぜったい……)
尾川くんは他の男子に背を向けて、何となく股間を両手で隠しながら、やはりもじもじしている。…男子には隠せているかもしれないけど、真上から見下ろしている私の目にはバレバレだった。
不自然な、股間の盛り上がりに。
(…………)
男子のそういう姿を認識したことが無かった私は、それを見て、気持ち悪い、とか、怖い、とか、
そういう感情が不思議なくらい湧いてこなかった。
(なんか……可愛い……かも)
お人形サイズになった男子が、私の太ももに乗せられただけで、多分エッチな気分になっちゃっているのだ。ただの太ももなのに、チビで色気のない私の脚なのに、今まで対等なクラスメートだった尾川くんが、座っているだけの私の脚に興奮しちゃってる。それを隠そうとして必死に振る舞ってるけれど、興奮している対象の私に簡単にバレちゃってるところも、可愛かった。
だって。尾川くんは、どれだけエッチな気分になったとしても、私に何をすることもできない。100倍という絶望的な体格差で、私が今脚を組んだだけでぷちゅっと潰れてしまいそうな小さな身体で、尾川くんが変な気分になったとしても私を襲うことなんて到底叶わない。それはもう、一生。生まれたときの体格が違うのだから。
じゃあ、もし尾川くんを選んだとしたら、どうなるのだろう。
おっきな私の身体に照れっぱなし?スカート越しに座ってるだけでエッチな気分になっちゃうなら、生の太ももに触れさせてあげたらもっと興奮しちゃう?手の上に乗せてあげて、話しかけたら?尾川くんの身体を包み込めてしまうくらいの巨大な唇で触れたら、もっと恥ずかしがるのかな。
想像がどんどん膨らみ、頭の中で尾川くんの可愛らしい反応を思い浮かべてしまう。今までそこまで話したことがなかった男子を、想像の中で弄んでしまうなんて。異常な背徳感に、しかし私はそれを嫌な感覚だとは思えなくなっていた。
「「…尾川くんも、寝転がっていいよ」」
思わず。太ももの上であぐらをかいて座り続けていた尾川くんに、話しかけてしまった。
「っ…え、あ、うんっ…!!」
脚の上から、か細い尾川くんの声。ああ、声もちっちゃい。私より力が強かったはずの男子が、あまりにもちっちゃい。…もぞもぞしてる。あ、寝転がった…♡ちょっとくすぐったいかも。今、すっごくドキドキしてそう。そんなに私の太ももが好き?もっといっぱい、触らせてあげようか?
(……うう……もっと、色々試したい…かも……)
30分後。
こちらの世界の力の"書き換え"により、私の太ももの上でぐっすりと眠りについた、"元"クラスメートたち。一人の女の子の太ももの広さに収まってしまうその人間たちは、まさにお人形のようだった。
(…明日は、…私にエッチな気分になっちゃう子がどれだけいるか…試してみたい)
5人を選ぶというのなら。一人くらい、そういう可愛い反応をしてくれる子がいてもいいんじゃないのかな。…尾川くん以外にもいるかもしれない。うん。女の子たちは、一回別の部屋に移動させてもらおう。麻衣ちゃんは選ぶの決定だけど。
そう思い、私は、事前に知らされていた別の隔離部屋に、女子たちだけを転送してもらった。私はこの部屋に座っているままだが、そう念じるだけで、この世界の"誰か"が特別な力を使ってくれたらしい。
そして、この部屋にいるのは。女の子座りをしている私一人と、その太ももの上でぐっすりと眠りについている元クラスメートの男子、16人。
あと30分ほどで、みんなが一斉に目が覚める。
(っ………)
私は生唾を飲み込み、自分のスカートの裾を指で摘まむと。
スーーーッ………
テーブルクロス引きのように、男子達を太ももの上に乗せたまま、スカートの布だけを器用に脚の付け根の方に滑らせていった。
---続く---