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「大貴ぃ、俺そろそろ出るぞー」
家の中に響く声。兄である直也が弟の大貴を起こす声。
しかし何度呼んでも直也は起きてこない。
「たくよー、今日から泊まりで出かけるって言ったのに。しゃーねーな、書き置きしてくか」
直也はチラシの裏に親からの伝言と、晩飯のこと、明日帰ってくる時間を簡単に書き残す。
「やべ、そろそろ出ないと遅れる」
戸締りを確認したあと、直也は家を出ていった。
その数分後、家の玄関前に男が一人立っていた。
姿はさっき家を出た直也そっくりの人物だった。
直也ではなくそっくりの人物…どこか本人とは違う雰囲気がある。
出ていった時に持っていた鞄もなく手ぶらの状態だった。
「……」
しかも自分の家であるにも関わらず、玄関の扉をじぃっと見つめている。それからドアノブを触り、鍵穴を触る。直後、その男の指がどろりと溶けたようになり、その鍵穴に入っていった。
ガチャリ…と音がなり、鍵穴から指を抜いた後、ドアノブを捻り家に入っていく。
あれからまだ大貴は起きておらず、一階のリビングは静かだった。
「…」
男はまたじぃっと家の中を観察している。視線がぐるりと一周し、最後に机の書き置きを見つけた。
「…今日から5日ほど父さんも母さんも町内会の旅行でいません。晩御飯は冷蔵庫にあります。米は自分で炊いて食べてください。明日は昼頃には帰ります。あと昨日出かける時間伝えてんだから、それまでには起きてろ。バカ大貴へ。直也より」
書き置きを全て読み終わり、男はその紙を凝視し、紙の匂いを嗅ぎ始めた。
「……川瀬直也。21歳大学3年。弟は大貴。17歳の高校2年。どちらも野球部」
データを読み上げるような無機質な声で、直也のことを喋る。全て喋り終わった後、手に持っていた書き置きを丸めて飲み込んだ。
人間とは思えないこれまでの行動。
この男はさっき家を出た川瀬直也のクローンだった。走って駅まで向かっていく最中、はらりと髪の毛が落ちた。それが、クローンのもととなる物質の上に落ち、その物質は髪から情報を得て、姿を形成した。
得られた情報から家に行き、書き置きの筆跡、僅かについた指紋や物質を持って全てのデータの取得が完了した。
そして、ここにもう一人の川瀬直也が誕生した。
「ふぁぁ…あ…んぅ。寝過ぎた」
川瀬直也のクローンが誕生してから1時間後、弟の大貴が起きてきた。
「…あれ?兄貴いたの?どっかいくんじゃなかったっけ?」
リビングのソファに座りテレビを見ていた直也。
「あ?用事は無くなったよ。てかお前いつまで寝てんだよ、全く」
「昨日寝付けなくてさ。ごめんて」
大貴が全く気づかないほど、直也は直也を完璧にコピーしていた。
「ちょっと出かけてきていい?」
飯を食い終わった後、大貴が話す。
「どこに?」
「町までなんだけど。後輩が買い物付き合って欲しいって」
「ああ、別にいいよ。たまの休みなんだからゆっくりしてこいよ」
「ありがとう。多分夕方には帰るよ」
「わかった」
大貴はささっと着替えて出かけていった。
直也は床に落ちていた大貴の髪の毛を見つける。
それを手に乗せると、ぐじゅぐじゅとスライムのような物体が隆起する。手のひら大の大きさになるとそれをちぎり、床に投げる。
その物体はさらに膨張し成人男性ほどの高さになる。それから細かい部分が成形され、完全な人の形になる。
その姿は、大貴そっくりであった。
「わかるか?」
直也は立ち上がり大貴のようなものに話しかける。
「ああ、わかるよ。川瀬大貴。で、あんたは兄貴。でしょ?」
「大丈夫そうだな。髪の毛3本くらいならいけるんだな」
「みたいだね。これがニンゲンってやつなんだね。初めて擬態したからなあ」
「そんなに難しくはないだろ?」
「まあね。…で?どうすんの?擬態したってことは乗っ取るってことでしょ?」
「ああ、簡単に出来そうだなと思ってさ。俺のオリジナルは明日帰ってくるから明日までできない。だから、先にやるとするならお前だな、大貴」
「おっけ。派手にやる?」
「あまりそういうのは好かないな。まあ多少は楽しんでもいいと思うが」
「はいはい。まあ俺たちはいろんなもんに擬態できるしね」
*
午後4時
「ただいまー」
「お邪魔します」
大貴が後輩を連れて帰ってきた。
「おかえり」
玄関で出迎える直也。
「いきなりでごめんねなんだけど、今日こいつ泊まってもいい?」
「大貴の後輩か?」
「は、はい!えと、大貴さんのひとつしたの栗野隼也です。事前に連絡できてたらよかったんですけど…」
178の大貴よりかなり背の小さい後輩、栗野隼也。申し訳なさそうに頭をぺこりと下げる。
「いいよいいよ、そんなかしこまらなくてさ。全然問題ないよ」
「ありがとうございます」
「大貴、先に飯…なんだ寝てんのか」
「さっきまで起きてたんですけど…」
ソファで寝転がってる大貴の横で、栗野が申し訳なさそうに謝る。
「ううん、栗野くんは悪くないよ。このバカ、すぐ寝るからさ。…どうしようかな、ちょっと先にお風呂入ってきてもいいかな。ご飯はその後にでも」
「はい、僕は大丈夫です」
「ありがとね。じゃあ先にお風呂入らせてもらうよ。そのバカが起きたらバスタオル持ってくるように言っておいて」
「わかりました」
相変わらず起きない大貴。
栗野はさっき直也に言われたことを思い出す。
「大貴さん、お兄さんがバスタオル持ってきてって言ってましたよ」
「…んぅ…ぁそ……」
体を揺すったが、寝返りを打って背を向けてしまった。
「…これ起きないな。…僕が持ってくか」と、直也が向かった方向を頼りに脱衣所に向かう。
浴室のすりガラス越しに直也が入浴中であることを確認する。コンコンとガラスを叩く。
「お兄さん、大貴さん起きないんで僕が来ました。バスタオルどこにあるか教えてもらってもいいですか?」
反応がない。少し不安になる栗野。
「あのー…」
「栗野くん?」
「あ、はい。大貴さん起きないんで…僕が」
浴室内から聞こえる声にほっとする栗野。
「そっかそっか。大貴、栗野くんのこと頼むわ」
「いや、あの大貴さんは寝てて…」
「どうした栗野。バスタオルの場所か?」
誰もいないと思っていた背後から聞こえた声に驚く栗野。振り向くと大貴が立っていた。
「え…大貴さ……え?いつからいたんですか?」
「お前が脱衣所向かうの見てついてきたんだよ」
さっきソファで寝ていた大貴を確認した。この脱衣所に向かうまで、少し迷ったため何度か後ろを振り返ったりもしたが、誰かがついてきたということはなかったはず。
「そう…なんですか…」
「ああ。バスタオルの場所だよな?」
「は…はい…」
突然大貴が後ろに現れた。でもそれは、さっきまで見ていたTシャツと下にスウェットを履いた大貴そのものである。
この世に同じ人が何人かいると言うドッペルゲンガーという話を聞いたことはある。でもそれがここで起きることなんてないだろうし、普通その人を見て、その人と違う人だろうかと考えることなんて、ほとんどない。
とりあえず、触れない方がいいのだろうと判断し、大貴の言うことに従う。
「そこのタンスの下開けてみ。入ってるから」
大貴が指示したのは少し奥にあるタンスだった。
「ここですか?」
「ああ」
ぐいと押すようにそのタンスの前に栗野と入っていく。
「大貴さん入ってきたら僕出られなくなっちゃいますよ?」
「ん?ああほんとだな。でもその方が都合良くないか?」
「え?どういうことですか?」
振り向いたとき、そこに大貴はいなかった。
栗野の目に映ったのは、どろっとしたスライム状の物体。
「ひぃぁあっ!!」
慌てた後ろに下がるがすぐにタンスにぶつかり退路を断たれた。
「や……。…だいきさ…」
「そんな反応すんなよなあ…」
謎の物体から聞こえるのは大貴の声。しかしそこに大貴はいない。
「たすっ…け……んうぶっ!」
ぶわっと広がったその物体はあっという間に栗野を飲み込んだ。
ぐじゅりぐじゅりと湿り気を帯びた音が響く。
数秒後、その物体にがばっと穴が空き、栗野が吐き出される。
「…ぅぁ…げほ…げほ…」
苦しそうに咳をする後ろで、物体は姿を変えていく。あっという間に出来上がったその姿は、先ほどまで飲み込まれていた栗野そっくりだった。
「よう、苦しかった?」
「っ…ぃ……」
いないはずの大貴がいた、大貴がよくわからない物体になった、そして今度は自分そっくりのやつが目の前にいる。
「…ぁ……か…」
声を出そうにも声が出ない。動こうにも体が痺れて動かない。
「騒がれちゃ困るからさあ、ちょっと手を加えさせてもらったよ」
その時、浴室のドアが開き直也が出てきた。
「うまくいったか?」
「ええ、うまくいきましたよ」
「じゃあ俺にも情報くれ」
「はい、わかりました」
直也は栗野(の形をした何か)とキスをする。弟の後輩がいる前にも関わらず、何も躊躇うこともなく。
「ん…サンキュ。…あのバカはまだ寝てんだもんな」
「そうですね。大貴さんは寝たらしばらく起きないんで」
「じゃあちょっと楽しむか」
全裸でいた直也は姿を変える。
「あれ?大貴になった。こいつの記憶を辿ってみたんだけど…なるほどなあ」
大貴の姿になった直也は、床に動けないでいた栗野に近づく。
「俺のこと好きだったのか?いやあ、嬉しいな。そうとわかれば、好きなだけ犯せるな」
「なるほど。今回の泊まりも僕の方から言ったみたいですね」
自分のことをぺらぺらと喋られていることより、目の前で起きている状況が何一つ理解できていない栗野。しかしその心配は全く必要なくなる。
「じゃあ俺のちんこ舐めてもらおうかな」
「は…い……」
栗野は浴室の椅子に腰掛けている大貴のちんこをしゃぶる。大貴の左手の指は触手のように伸び、栗野の右の耳に挿入されている。
「頭ん中直接いじれば簡単に動かせるもんなあ。ちんこうまいか?」
「…はい…おいシい…です…じゅぷ…じゅる…」
好きだった大貴のような形をした物体の性器をしゃぶり、ひたすらに顔を上下させる。
「俺のこと好きだった?」
「…大貴さん…好きです…好き…んっふ…」
無理矢理頭を弄られ言葉を喋らされる。
「なあ、お前も大貴になって後ろからやってやれよ」
「そうですね。じゃあ僕もぉ……」
後ろで見ていた栗野がどろりと溶けて姿を変えていく。
「軽くグロテスクだな」
「よっしゃ変わったかな」
「完璧」
少し狭い浴室に大貴が二人。
「栗野を四つん這いにさせて」
「はいよ」
触手をうねうねと動かし頭を弄る。
「んっ…ぐっ…あ…あ…」
震えながら体勢を変えていく栗野。四つん這いになり後ろにいる大貴にケツを突き出す形となる。
「サンキュー。じゃあ俺はこっちで楽しませてもらうよ」
大貴は自分のちんこを扱いていく。徐々に体積を増すそれは、普段の大貴のものより大きかった。
そしてそれは躊躇なく未使用のアナルに挿入される。
「………ん」
前にいる大貴に感情を制御されている栗野は、無理矢理挿入されようとも、特に反応をしない。
「っうあ…あったけぇ…」
「そっち終わったら交代な」
「おっけおっけ」
浴室内には卑猥な音が響く。
「…っうぅ…でる…」
二人のオナホと化した栗野は、何回も犯されつづけ、顔も体も精液まみれになっていた。
そして乱暴に扱われ、四つん這いの姿勢のまま床に転がされている。
「てか大貴まだ起きねえのか。どうする?」
「これなら楽勝で乗っ取れるな。とりあえずまだやりたいからさ。栗野に行かせとくか」
はじめに直也が大貴を作り出したように、手のひらを広げると、あっという間にスライムのような球体ができ、それをちぎり床に投げる。それから数秒で栗野が出来上がる。
「情報が溢れるくらいあるからあっという間に作れるな。栗野、大貴のとこ行って適当に話し合わせとけ。なんかあったらやっといていいから」
「はい、わかりました」
出来上がった栗野は、リビングに消えていった。
「今更だけどわかりにくいよな。大貴とか栗野とかいっぱいいすぎてさ」
「はは、たしかに。わかりずれえな」
笑いながら二人の大貴は、またちんこを扱き勃起させる。そして放り捨てられていた栗野をまた起こし、口とアナルを犯し始めた。
「大貴さん」
「…んぇ……あれ…寝てた?…んぅ?兄貴は?」
「ちょっと用事できたって出てっちゃいました。ご飯先に食べててくれって」
「…なんらよ…それ…ふぁぁあ…」
それから食卓に座り二人でご飯を食べる。
「お兄さん、料理上手ですね」
「そうかー?そんなかわんないだろ?」
目の前にいる栗野に何も違和感を抱かない大貴。
〜♪
横に置いておいたスマホに着信がきた。
「兄貴だ。なんだろ」
栗野の動きが止まる。
「もしもし?」
『おう、今何やってんの?』
「え?飯食ってる」
『何食ってんだよ』
「何って…兄貴が作った飯だよ」
『あー、冷蔵庫の?味とか変になってなかった?』
「冷蔵庫?なにそれ。俺が帰ってきてから作ってたじゃん」
『は?まだ寝ぼけてんのか?書き置きしておいたろ。晩飯は冷蔵庫にあるって』
「え?ちょっとよくわかんない。何言ってんの?」
栗野が席を立つ。
「大貴さん、飲み物って冷蔵庫にありますか?」
通話をしながらうなずく。冷蔵庫は大貴の背後にあった。そのまま栗野は冷蔵庫に向かう。
それから噛み合わない話が続く。
『んーよくわかんねえ。とりあえず冷蔵庫にも晩飯あるから、ダメにする前に食えよ。明日には帰るから』
そこで通話は終わった。
「よくわかんねえ。てかあれ?なあ栗の…っくぅ……」
大貴が振り向こうとした直前、後ろにいた栗野の手から伸びた触手が大貴の両耳に刺さる。
「大貴さん、立って」
「…は……い」
栗野の触手により脳が制御された大貴は、命令されるがままに行動する。
「脱衣所入って」
「わかり…ま…した」
浴室ではまだ栗野がふたりに犯されて続けていた。
「まだやってたんすか」
「なに?ばれた?」
「直也でしたっけ?こいつの兄から電話かかってきちゃって」
「やば。危なかったんだな。そいつもうこっちで制御できるようにしてんの?」
「両耳入れてるんで、大丈夫です」
リビングに全裸で立たされるオリジナルのふたり。すでに頭は完璧に制御下に置かれているため、触手を入れずとも命令で動く状態にある。
分裂していたものはややこしくなるため、必要最低人数に戻す。
今リビングにいるのは、オリジナルの大貴と栗野。それと直也と大貴、そして栗野のクローンの計5体。
「少し順序が狂ってしまったが、まあいつかはこの地球とやらのニンゲンってやつを、全部乗っ取ろうとしていたわけだから、困ることはないか」
「そうだね。あとどんだけのニンゲンってやつがいるのかわかんないけど…あっという間でしょ」
「そうなんですかね」
「とりあえず…さっさとやってしまおう」
「おっけー」「わかりました」
大貴のクローンは大貴の前に立つ。
栗野のクローンは栗野の前に立つ。
「あー、俺の体でもいっぱい楽しんでやればよかったなー」
微動だにしない大貴に愛撫やキスをする大貴のクローン。
「大貴さんは僕相手にやりすぎなんですよ」
栗野は散々やられていたため、リビングに戻す前に栗野のクローンが体を洗ってやったりした。
「栗野だって洗ってる最中どさくさに紛れて、セックスしてたじゃんかよ」
「お前ら喧嘩すんな。さっさとやれ」
クローンのふたりはどろりと溶ける。足元から絡みつくようにオリジナルを飲み込んでいく。
オリジナルはその感触に時よりピクッと震えている。侵食のスピードは早く1分もたたないうちに全てを飲み込んだ。それから数分で成形され、さっきまでオリジナルが立っていた場所にまた、大貴と栗野が立っている。
「うん…」「大丈夫かな…」
ふたりは胸をペタペタ触ったり、屈伸やストレッチをしてみたりして体の定着具合を確認している。
「どうだ?さっきと違うか?」
「そうだね。やっぱりオリジナル飲み込むと違うね」
「ですね。たぶん新生体の生成もずっと早くなりますね」
「兄貴は明日だもんね」
「そうだな帰ってきてからだな。一応大貴にも手伝ってもらうよ。あと栗野。おまえは明日から学校をメインにやってもらう」
「はい、わかりました」
翌日
「ただいま」
「おかえり」
直也は昼過ぎに帰ってきた。
「昼飯作ってあるよ」
「お、サンキュー。てかお前さ、昨日の電話なに?なんか話噛み合わなかったけどさ」
「ごめん、あれなんか俺寝ぼけてたみたいでさ。頭よく回ってなかった。作ってくれたやつ朝に食ったからさ」
「なんだよ。変なことで心配させんな」
ふたりで昼飯を食い、ソファーでテレビを見る。
移動の疲れから直也は寝てしまった。
大貴は直也がしっかりと寝ていることを確認する。
「兄貴出てきていいよ」と大貴がいうと、大貴の左半分がどろりと溶け、そこから体は分裂し、直也のクローンが現れる。
違う部屋に隠れることも考えたが、万が一に備え大貴の体内に隠れていた。
「このままやっちゃえば?暴れたら俺が止めるから」
「そうだな。まあ楽しめないのは少し寂しいが…」
クローンは直也の頬を優しくさすった。そしてそのまま溶け、毛布のように直也を包んでいく。
そして顔を塞いだとき直也は目を覚ます。
「んぶうぅ!?んっ!!!ぐぅう!!!」
じたばたともがく直也。
「大丈夫?」
「問題ないよ。このままいく」
次第に静かになり、またゆっくりと定着が始まる。数分後、スライムは形を変え、さっきまで寝ていた直也と同じ姿形になった。
「おはよう」
「いいんだよ、そういうのは」
ソファから立ち上がり、昨日のふたりと同じく体を確認していく。
「違うでしょ?」
「ああ、全く違うな」
話の最中、ピンポーンとチャイムが鳴る。
「これがー言われていた資料ですね」
訪ねてきたのは直也の後輩だった。記憶によると、昨日の泊まりの際、ゼミの資料を持ってくるよう頼んでいたらしい。
「ありがとう。拓馬はこのあと用事あるか?」
「いえ、特には。なにかありましたか?」
「ならちょっと付き合って欲しいんだ」
拓馬の後ろで、大貴が作りあげた素体が、拓馬を乗っ取るのは、直也のセリフからわずか3分後のことであった。