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■藤田視点
野球部部室。今日は練習が休みだけど、俺は同じクラスの内藤を誘って自主練をすることにした。
「藤田、おまえは本当に練習好きだな」
そう言ったのは内藤貴樹。俺と同じ3年生。とにかく体がでかい。195センチの105キロって格闘家みたいな体つきをしている。
「練習が好きっていうか…毎日体動かしてないとさ、体が鈍っちゃう感覚があってさ…。そういうの嫌じゃない?」
これは俺のセリフ。俺はそこまで大きくないが180センチの75キロ。引き締まってると言えば引き締まってるって感じか。
内藤とは幼馴染で小中高といままでずーっと一緒だった。だから息もぴったりだし、仲良くやってる。
「たしかにな。それに大会も近いし。こういうオフの日こそ練習して追い込まねえといかんよな」
「だろ?さすが貴樹わかってるじゃん。以心伝心ってやつ?なんてな」
「小中高とずっと一緒だから、そういうのあるかもしれんぞ。ははは!」
内藤は見た目どおり豪快な喋り方をする。
「よっしゃ藤田、グラウンド行こうぜ」
「おっけ!」
膝を叩いて立ち上がる。そのタイミングでドアが開いて誰かが入ってきた。
ひょこっと覗いた顔は、見慣れた後輩の顔だった。
「あらら、おふたりで自主練ですか?」
現れたのは稲荷駿(いなりしゅん)。こいつがなかなかのお調子者なんだよな。
*
稲荷駿は俺らの一個下の2年生。身長は170センチの60キロと少し痩せ型。茶色いくせっけと猫が撫でられたときに見せるような糸目。
才能がずば抜けてあるわけではないのだが、入部してすぐの大会では1年生にしてメンバー入りを果たした。それからはあれよあれよという間にレギュラーになって、毎大会ベンチ入り、スタメン入りを果たしている。
うちの監督ってすごく厳しくて、稲荷が入ってくる前に俺たちに対して「いくらうまい1年でも、すぐに大会メンバーに入れたりはしない。基礎練習をみっちりやってもらう」なんて言ってたのに、稲荷に対してはあの甘やかしっぷりなのだ。
でも稲荷がメンバーに選ばれたとき、俺たちを含めて、周りのほとんどの奴らも怒ったりはしなかった。
普通なら「なんでですか!」「1年ですごいやつがいても選ばないんでしょ!」って誰かが声をあげると思ったんだけど…。
…なんでだっけな。あ、そういえば稲荷のやつメンバー発表の場で『僕が選ばれたことについては、なんら変なことではないんです。不思議なことではないんです~。怒ったりしないでくださいね。よろしくお願いします~』なんて言ってたっけ。
そのあとはみんな顔を見合わせて「まあ、不思議なことではないか」「そうだよな。変なことじゃないもんな」と笑い合って終わった。
でも次の日、前日に休んでた内藤が言ったんだよ。
「監督、なんで稲荷がメンバー入ってんですか!おかしいでしょ」って。でも監督は「何がおかしいんだ?」って言ってた。そのあと内藤は俺に向かって「なあ藤田、おかしいよな!?あいつがメンバー入りするなんておかしいよな!?」と肩をつかんで鬼気迫る表情で訴えてきた。
「いや…なにかおかしいか?だってあいつが『なんら変なことではないです』って言ってたから、変なことではないだろ」
俺がそう言うと内藤は呆れた顔をして、稲荷の腕をつかんでグラウンド隅に向かって行った。やばいことになんねえだろうなと見ていたが、数秒で話し合いは終わり、内藤はニコニコした顔で戻ってきた。
「…話し合い終わったのか?」「ん?ああ、終わった。別に稲荷がメンバー入りするのは変なことじゃないよな。稲荷がそう言ってんなら変なことじゃない。ははは、俺の短気なところは直さないとだめだなあ」
まるでさっきの怒りの火をあっさり吹き消されたような感じだった。
とまあ、ちょっと余計な説明も入ってしまって長くなったが、稲荷はお調子者で…『言葉に妙な説得力』を持っているやつなんだ。
*
そして場面は、稲荷が部室に入ってきた頃に戻る。
「ああ、そうだよ。自主練。稲荷も来るか?」
「ええーどうしようかなあ~」稲荷はわざとらしく首を傾げる。
「藤田、俺先に行ってるからな」
「はいよ」
内藤がドアノブに手をかける。
『おふたりとも、今日はせっかくのお休みなんですよ?こんな日に練習なんてしなくてもいいんじゃないですか?』
ドアノブを回しかけた内藤の手が止まる。そのままドアノブは回されず内藤はこちらに向き直す。
「そうかもな。こんな日にわざわざ練習する必要なんて無いよな」
ついさっき、こんな日こそ練習しないとと言っていた内藤は、あっさりと練習をやめることを決めた。
おいおい、そりゃないだろと俺もいうべきだったのかもしれないけど、稲荷の言う通り、大会が近いからと言ってわざわざ休みの日まで練習なんてする必要はない気がしてきた。
「たしかにな。稲荷の言うことが正しい。せっかくの休みなんだ休まないと」
俺と内藤は納得して、練習道具を鞄にしまう。せっかく着た練習着だったが、制服に着替え直さないとな。
『ちょっと待ってください。どうせなんで、おふたりに僕の常識改変能力のテストをさせてもらってもいいですか?』
「常識改変能力テスト?なんだよそれ。藤田聞いたことあるか?」
「いや、知らない。そんな変なことには付き合わないからな」
さすがに聞いたことのないワードが絡んでくることには付き合えない。そんなんで怪我でもしたら今度の大会に出られなくなるかもしれないし。
「あーはいはい。なるほどね。こういうことになっちゃうわけなんだ。さきに僕の言うことに疑問を感じないようにさせなくちゃいけないんだったかー。たまーにうまくいくけど、やっぱり先に言わなきゃだめっぽいですねえー」
おでこを自分で小突いたりしてわざとらしい演技をしている稲荷。内藤と目が合う。
内藤はさあなって感じで肩をすくめる。俺も稲荷が何をしたいんだかよくわからない。
「藤田、さっと着替えて帰ろうぜ」「だな」
『おふたりとも、今から僕の言う事について一切疑問を持たないでください。素直に従ってください』
稲荷が大きな声で言う。
「いきなり大きな声を出すな。別にお前の言うことに疑問を持ったりしねえよ」
「それにお前の言うことには素直に従うし」
「…ぶふっ!はははは!あははははははは!」
今度は大声で笑い始める。本当になんなんだこいつ。
「ははははー…いや、いやいやいやごめんなさい。おふたりともあっさり僕の術にハマってくれたみたいで、ありがとうございます。やっぱり体育会系の皆さんはあっさりとハマってくれるんで助かります。いやーすばらしい。はははは」
なんだかこいつのペースに持っていかれているような気がしてイラつくけど…。
『というわけで、改めておふたりには僕の常識改変能力テストに付き合っていただきます』
「ああ、わかった」「いいよ」
またその変な名前のテストか。でも別に稲荷の言うことに疑問を持ったりするなと言われたし、従えと言われたから、ここは素直に従おう。
『では僕の質問に素直に答えてください。おふたりの恋愛対象は女性ですか?男性ですか?』
「女性だな」「俺も女性だな」
『なるほど、では変えちゃいましょう。おふたりの恋愛対象は今日から男性です』
「わかった。恋愛対象を男性に変えるよ」「了解」
「いいですね。ではちょっときちんと変わっているか確認したいので、スマホでおふたりが付き合いたいなあって思っている人を検索して見せてください」
付き合いたいなって思っている人…か。俺も内藤もスマホを取り出して、検索をする。
「…なんだこの履歴…。グラビアアイドル…流行りの女優…とか、なんで俺こんなん調べてたんだ…うえ」
内藤は自分の検索履歴を見て苦そうな顔をしている。俺もちらっと見たが、なんでこんな項目を検索していたんだって思うようなキーワードばっかりだった。
『俺の恋愛対象は男』だし『グラビアアイドルとか女優には興味はなく』『…筋骨隆々、黒髪、短髪……やっぱり自分がやっている部活と同じ種目の選手なんかはいい』と思うんだ。ささっと調べて画像でそういった選手の画像がばーっと表示されるのを見るだけで、俺の股間は自然とテントを張ってしまっている。
内藤の方はどうなんだ。と顔を見たら鼻の穴大きくしてふんふんと興奮している。スマホの画面を覗けば、すらっとした長身のイケメン俳優が映っていた。最近映画でも主演を務めていた人だな。へーえー…内藤ってそんなのがタイプなんだ。
「じゃあお二人共見せてもらってもいいですか?」
「…おう」「…これだな」
「はあはあなるほどなるほど。うんうんちゃんと変わっていますね。あ、これは僕の趣味なんですが『自分の恋愛対象が変わったことを、立って姿勢良く宣言してもらってもいいですか?』」
「わかった」
まず内藤が立ち上がる。ぴしっと気をつけてをして「私、内藤貴樹は恋愛対象が女性から男性に変わりました」と声高らかに宣言をする。
そして次は俺だ。同じく立ち上がり気をつけをする。「私、藤田純也は恋愛対象が女性から男性に変わりました」…なんだかこうやって宣言をすると、今まで感じたことのない興奮が体を満たしていく。
「ありがとうございます。座ってください」
俺も内藤も息が荒くなっている。内藤なんて鍛えられた厚い胸板が、すごい振れ幅で上がったり下がったりしてる。
かく言う俺も、股間がずーっとテント張りっぱなしで結構きつい。たまにお互い目があって、ちょっと照れくさい。
「いやあ、すごい面白いな。もうちょっといろいろやらせてくださいね」
「ああ…」「わかった…」
ちょっと興奮で頭おかしくなりそうだったけど、稲荷の言うことを聞かなきゃ、従わなきゃということだけははっきりと頭が理解していた。
「おふたりのタイプを見たら、なんだかここで付き合っちゃえば成り立ちそうでしたね」
「あ…」「え…」またふたり目があって急に照れくさくなる。
『とりあえずおふたりともカップルになりましょう。入部当初から付き合っていたということにしてください』
「…あ、ああ」「…わかっ…た」
ちょっと頭が重たく感じる。やらなきゃいけないことを無理やり差し込まれているような…そんな気分になる。
ただ落ち着こうと何回か深呼吸をすると、次第に頭の重さはなくなっていき、頭はとてもスッキリしていた。
内藤も落ち着いたみたいで、こっちに向かってニカっと歯を見せて最高の笑顔を見せてくれた。
こいつの笑顔を見られるのは嬉しい。やっぱり『こいつが彼氏で良かった』と思う。『入部したときから付き合ってる』んだもんな。
俺はそっと手を重ねて見る。それに合わせて嬉しそうに握り返してくれる。また笑顔になる。稲荷の前でのろけちゃうなんてなんかだらしないな。ははは。
「はいはい、ストップストップ。勝手な行動はしないように~」
「ああ、すまんすまん」「ごめんな。『彼氏』の笑顔を見るとちょっとうれしくなっちゃってさ」
「じゃあ次に行きますね。とりあえずここにカップルが誕生したんで~…そうですね、ふたりでちょっと『いちゃついてもらって』もいいですか?」
稲荷の指示のあと、俺と内藤は目を合わせる。なんだか照れくさいな。それからしっかりと向き合う。
内藤のごつい手が膝の上にあった俺の手に重なる。その手は湿っていて緊張しているのがよくわかった。
「…藤田」「…ん」「…すまん、我慢できん」開いてる方の手が俺の頭の後ろを掴むと、そのまま豪快に唇を奪われた。
「んぐぅっ!?」力があまりに強く、離そうとしても離れられない。それから舌がねじ込まれ、無理やり口をこじ開けられる。
「んーんー!」なぜだか体が拒否しようとする。『俺と内藤は付き合っている』はずで『彼氏』なのに…。なぜか体が拒否をする。
『藤田さんだけ、常識改変解除』
稲荷の言葉を聞いた瞬間、体がビクンと震えた。俺は今まで一体何を…?
「んじゅ…っ…じゅる…」「…んぅっ!!?!??!」
なんだ!?なんなんだ!?何が起きている!?頭が一気にパニックになる。俺は内藤に頭をホールドされ、口内を貪られていた。
「やぶぇ…っ…ないと…やぶぇへ…く…っ!!」
俺は無理やりに内藤を押し倒した。そして込み上げてくる吐き気を吐き出す。
「……っ…おええぇ……」何度も嗚咽を繰り返すが、気持ち悪さがとれない。
「おいおい…藤田そりゃひでえんじゃねえか?」
「…ひでえとか…おえ…。…ふざけたこと言ってんじゃねえよ…。何しやがるんだよ…」
「なにって…せっかく稲荷からいちゃついてもいいって言われたからいちゃついてたんじゃねえかよ」
「はぁ!?」俺は思い出す。そうだ、たしか自主練に行こうとしたときに、稲荷が入ってきて…それからの記憶がないんだ。
「あはははは!おもしろいおもしろい!途中で解除しちゃうとこんなふうになっちゃうんだ~~」
この状況にそぐわない明るい笑い声が聞こえる。その方に目をやると、稲荷が手を叩いて笑っている。
「…稲荷…お前の仕業かよ…」
「…はい?なにがですか~?」
わざとらしい演技。何も知らないといったふうに首を傾げている。
「ふざけんな!お前がなにかやったんだろ!元に戻せ!」
「もとに戻せ?ははは、さすがキャプテン。僕がおふたりになにかやったってことはお見通しなんですね~。さすが!」
俺は稲荷のもとに向かい、拳を振り上げる。こんなやつを殴ったとしても、誰も俺を咎めないだろう。そうでもしないと俺の怒りが収まらない。
『内藤さん、藤田さんを取り押さえて』
「…は?……ぐぁっ!?」
その言葉を理解するより前に、俺はあっさりと羽交い締めにされてしまった。
「おい!内藤!はなせ!お前も聞いてただろう!こいつが俺たちになんかしたんだって!」
「聞いてたし、知ってるよ。でも最初に言われたとおりにさ『稲荷の言うことに一切疑問を持たないで、素直に従わないと』…だろ?」
「…は?」
「おお~内藤さん、素晴らしい!脳筋ゴリラでも、ちゃーんと僕の言った覚えていたんですねえ。偉い偉い」
「ははは、なんだか照れるな」
「おい!お前何笑ってんだよ!言ってること変だし、稲荷に馬鹿にされてんだぞ!」
「ん…?俺からしたら稲荷の言うことに逆らってるお前のほうが変に見えるけどな」
ああ、もうだめだ。なにがなんだか理解できない。とりあえず、とりあえず今は、この状況から逃げ出さないと。
「いやあ、本当に面白いなあ。とりあえずもとに戻しますね。『藤田さん、再び常識改変に』」
「なにいっ…て…。…ふざ…け…」
頭がズキズキと痛む。思考と思考の隙間に無理やり何かが押し込まれている…。そんな感覚だ。
「あららら…反抗心が強いと、すんなり受け入れられないのかな。でもたぶんその痛みに耐えられないだろうけどね」
何を言ってやがるんだこいつは。でも今は稲荷に抵抗する余裕はない。ただこの頭の中にねじ込まれる痛みに耐えなくてはいけない。
耐えなくては…くそっ…。しかしその痛みは尋常なものではなく、俺はあっけなく意識を手放してしまった。
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■稲荷視点
翌日。雨で今日も練習は休みとなった。僕は部室に藤田さんと内藤さんを呼び出した。
藤田さんは、どうしても外せない用事があったらしいが『稲荷の言うことには従わないといけないからな』と来てくれることになった。
部室で待っていたら先に内藤さんが来た。
「こんにちは」
「おっす」
「昨日は楽しかったですね」
「昨日?」
「藤田さんの常識改変を解除して、あの人が狂ったところを見たやつですよ」
「ああ…。あれな。見ていて面白かったな。いきなりトランス状態みたいになっちまったもんなあ。びっくりしたよ」
「ですよね。内藤さんを解かないで良かったです。止めてくれる人いなくなっちゃいますから」
なんて話をしていたら、藤田さんも部室に来た。
「あ、藤田さん。来てくれてありがとうございます」
「おう、藤田」
「あれ?内藤もいるのか」
「なんだよ、いたらダメかよ」
「別にそんなこと言ってねえだろ」
「はい、注目」僕は手を叩く。ふたりは僕に視線を向ける。
「昨日は藤田さんの常識改変を途中で解いて、その反応を見ました。さっきも内藤さんと離していたんですが、僕はあんなに狂っちゃう藤田さんを見られて、すごく楽しかったです」
僕は昨日起きたことを説明する。こんなことを聞かされたら、当の本人である藤田さんは「ふざけんなっ!」て昨日みたいに怒っちゃって僕のことを殴ったりするだろう。
だが、まだ僕の術中にある二人にとって、昨日起きたことは『当然のこと』であって、別に何もない日常だったとして処理されている。
「おいおい、恥ずかしいって。俺も急に改変を解かれて、現実に起こってることが理解できなくて狂っちゃっただけなんだからさ」
だから、こうやって自分に起きたあり得ない現象すらも、笑い話として話している。
「やっぱりびっくりしちゃいました?」
「びっくりしたさ。稲荷から常識改変を受けて、いろいろと頭ん中いじられて。それで『内藤と付き合って』『いちゃついていた』のに、そこで急に解除されるんだもんなあ。頭の中ごちゃごちゃになっちゃってさ。パニックになっちゃったよ」
「あはははは。でも僕は見ていて楽しかったですよ。内藤さんも楽しかったって言ってましたよ」
「ああ、楽しかったっつーか面白かったな。いつもは真面目な藤田が、あんな苦しそうに泣きじゃくったみたいになっちまってさ」
「うるせーんだよ」
「はい、というわけでですね。今日は昨日と逆。内藤さんの常識改変を解除したいと思います」
「お、今日は俺か。なんだかドキドキするな」
「今解いても面白くないんで、いろいろやってもらっている最中に解きたいと思いますんで、よろしくお願いします」
「オッケー、了解」
次はお前がああやって狂うんだぞって言われてんのに…ドキドキするとか言っちゃって。ほんっと…単純で面白い。
「とりあえず、今日も『僕の言う事全てに疑問を持たず従ってください』」
「おう」「わかった」
「それと『僕のことは一切認識できなくなります』『ただ、僕の声は聞こえます。その声には必ず従ってください』」
「ん、わかっ…」「りょうか…」「あれ?俺たちってなんでここにいるんだっけ?」「…ん?そういえば、なんでだっけかな。さっきまで誰かと話してたような気がするけど…」
ふたりは突然消えた僕の存在に戸惑いあたりをきょろきょろとしている。さて、指示を出していきましょうか。
「ふたりとも『部室では裸にならないといけません。なので全裸になってください』」
「とりあえず…脱ぐか」「そうだな、部室に来たら全裸にならないとな」
僕の言葉が常識として頭に挿入され、ふたりはそれに乗っ取り動き始める。
雨が降っているせいで、部室の中も少し肌寒い。だがそんなの気にせず、ワイシャツ、Tシャツ、ズボン、靴下…そしてパンツとすべてを脱いでいって、あっという間に全裸になった。
「流石にちょっと寒いな」「鳥肌立っちゃうよ」
内藤さんはさすがという身体。まるで一枚岩だ。それに股間からぶら下げているそれも通常時でなかなかにでかい。
藤田さんも着痩せってほどではないけど、制服やユニフォームに隠れて、いい身体を持っていたんだな。ちんこはまあ普通か。
とりあえず次の指示を出そう。
「では次『裸になったら、性行為をしましょう。内藤さんが受け、藤田さんが攻めです』」
「じゃあ内藤、俺の舐めてもらってもいいか?」「ああいいぞ」
性行為と言われてまず思いついたのが、フェラチオらしい。
内藤さんは藤田さんの前に膝を付き、勃起したちんこを咥えた。
じゅる…じゅる…と舌を上手に絡めながら舐めている。
「ひもひいいか?」「ああ、気持ちいいよ」
まあまあ興奮はするが、ふつうにいちゃついてる感じは見ていてつまらないな。
「『藤田さん、Sになりましょう』『それで思いっきり内藤さんを痛めつけてやってください』『内藤さんはドMになってください』」
僕はふたりの性格を変える指示を出した。
「……」藤田さんは黙ってしまった。そして内藤さんを睨みつけている。そして内藤さんの頭を両手で掴んだ。
「…ん?」内藤さんは戸惑った顔を見せるが、それを無視して思い切り喉奥に突き上げた。
「んぶぅっ!?」「あーこれこれ。ここまで突き上げてやんないと気持ちよくねえんだよなあ」
内藤さんは白目をむきながら口を離せず、まるで藤田さんのオナホのようになっている。
ちょっと性格いじっただけでこんなふうになっちゃうの怖すぎでしょ…。
でも内藤さんもだんだんといい感じにとろけてきている。顔を赤くして嬉しそうにしゃぶってる。
しばらくして、藤田さんは内藤さんの口の中で果てた。どぷっ…どぷっ…と濃い精液を吐き出している。
「んっ…ぐぅぅう…ぶふっ…ぶはっ…っ…げほっ…げほっ…」息苦しさの最中で突然の射精だ。飲みきれずこぼししまっている。
ドゴッ…。…うっわ。いらついた藤田さんは、内藤の腹に思い切り膝を入れた。
「ぐっぅ…っ…はぁ…っっっっ…」内藤さんは苦しそうに腹を押さえてうずくまった。藤田さんはその姿を見て、妙な興奮を覚えているようだった。
とりあえず、次の指示を出そう。…予定では、次の指示の最中に内藤さんを戻して、楽しませてもらおう。
『次、『セックスしてください』『藤田さん、おもいっきり内藤さんを犯してやってください』』
「…ああ。……内藤、ケツ出せ」「…わか…わかった」内藤さんがそのでかいケツの肉を両手で広げ、アナルを晒してくる。
ついさっきイッたばかりだが、内藤さんが晒す醜態に興奮し、藤田さんのちんこはまた勃起しはじめた。
「てめえのクソきたねえアナル、ぶち犯してやるからな」「ああ…へへ。…俺ずーっとお前にぶち犯されたいと思っていたんだよ…頼むよ…」
藤田さんはアナルにちんこの先をあてがう。先走りがぬるぬるとローションの代わりとなっている。
ずっ…ぷ…ぅ…。「んっ…お…ぁ…う…」内藤さんはその体躯に似合わない喘ぎ声を漏らす。同時にきゅうっ…と締め付けられる。
ゆっくりと腰が動きはじめる。ずっ…ちゅ…ずっ…ちゅ……滑りよくストロークが始まる。
「あっ…ああ…いいっ…きもち…っ…いい…。藤田のちんこ…めっちゃきもちいい…」「ああそうかよ。もっと声出して鳴け」
バシィンっとでかいけつが引っ叩かれる。「っひゃい!」「おら!もっと鳴け!おらぁ!」
さて…そろそろお楽しみと行こうか。
『内藤さん、常識改変解除』
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■内藤視点
どっからか聞こえた声で、頭が一瞬でクリアになった。
ずっちゅ…ずっちゅ…ずっちゅ…。俺はその聞こえてくる音を理解できずにいた。
その音に合わせるように体が揺れている。…なんだ。何が起きている。
「おら!何黙ってんだよ!さっさと鳴け!脳筋ゴリラ!」バシィン!と尻を叩かれた。
「ぎゃっい!?な、なんだ!何が起きてんだよ!」
ちょうど俺の前にあったシャドウピッチング用の大きな姿見があった。
そこに映っていたのは、全裸の俺と藤田の姿。俺は四つん這い、その後ろに藤田がいる。
そしてケツに感じる違和感…。俺はそこで自分が置かれている状況を理解した。
「ふっ…藤田っ!なにやっ…っ…おあっん!…やめっ…っ…てぇ!」
「うるせえオナホだな。あんあん喘いで犯されてろ!」
「っああん!そんな突かれたらぁっ!…っああん!!!」
こんな気持ちの悪い状況すぐにでも藤田を突き飛ばしてやめさせたいのに、なぜか藤田に突かれるたびに気持ちいいと感じてしまう。もっと突いてほしいと感じてしまう。
踏ん張って立とうとしても力が入らない。逆に状態が完全突っ伏した状態になってしまい、よりケツは高く突き上げられ、身体に伝わる快感もエグいことになっている。
『もーっと気持ちよくなりましょう。もっと身体の感度あげちゃいましょう』
聞き覚えのある声が聞こえたとあと、藤田が一突き入れてくる。
ドチュン…っ…「……っ…がっ……!?!?」
頭のてっぺんに稲妻が落ちたような感じだった。意識が飛びかけた。目がバチバチする。
「おっ、いい感じに締まってきたな」
どぢゅ…どぢゅどぢゅ…っ。やばいやばいやばいやばい。聞こえてきた誰かの声に今までの思考なんてあっさりと塗りつぶされた。
逃げたいとか藤田をどうにかしたいとか…それらは全部塗りつぶされた。今は…もう…このセックスの快感のことしか頭にない。
「ふ…藤田ぁ…もっ…おおんっ!もっと!んほッぉ゛…い゛っ、ぎ……ッ!!」
今のままでも十分にぶっ飛んじまって、気を失うくらいなのに、あの声はまた聞こえてくる。
『もっと感度上げて。300倍くらい』
「頼む!もうん゛っやめてくう…ん゛っやめ……て…く…っ…ぐ!れ!頭おかしくなる!…っ!」
『やめませんよ。あなたがおかしくなったところ見るの楽しいですから。内藤さん、藤田さん、感度とか性癖戻して、再度常識改変』
「…っ。…あれ?」…ばちゅ…ばちゅん…「…あれ?ん?」「内藤どうした?」ぱんっ…ぱんぱん…ばちゅ…「いやー…あれ?」
あれ?俺、いま寝てたかな?なんか意識飛んでたような気がする。
「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫。別に今変なこと起きたりしてなかったよな?」
「別に何も起きてないだろ。『部室に来て裸になって』『俺が攻めで、内藤が受けになって』『一緒に性行為してるだけだろ』」
「だよなあ」
ちょうど前にある姿見でもそれは確認できる。『全裸になって』『俺が四つん這いになって』『藤田が後ろから俺のアナルを犯してる』…何も変ではない。
パンパンパン…藤田は小気味良く俺のアナルを突いてくる。
「あーイキそう…」
「たっぷり俺のケツに出してくれな」
「わかってるって……あー…っ…イクッ…イクイク…」
藤田は少し震えて俺の中にたっぷりと熱い精を放った。俺も合わせて射精し、部室の床に思い切り精を吐き出した。
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■藤田視点
『ふたりは僕のことを認識できるようになります』
いきなり稲荷が俺たちの目の前に現れる。
『ふたりとも僕の前に整列、気をつけの姿勢』
言われたとおりに俺と内藤は稲荷の前に立つ。全裸のまま、気をつけをする。指先まできちんと伸ばして。
「ここまでくればおふたりともいい感じに僕の言いなりのお人形さんですね。それならもっともっと素直なお人形さんにしちゃいましょう」
稲荷はぐるっと俺たちの周りを回り、視姦していく。
『ここまで実験お疲れ様でした。あなた方おふたりは僕の奴隷として動いてもらうことにしました。まあただ最初にいたふたりってだけなんで、別にな~んも特別だとかそんなことはないんで』
「わかった」「はいはい」
『これから僕の言う事全てに疑問を持たず従うのは当たり前のこと、受け答えはすべて敬語で行うこと。僕の言うことに従うことはこの世の一番の快感ってことで。わかったら宣誓して』
「私、藤田純也は稲荷様のご命令により、稲荷様の奴隷となりました。これからは稲荷様の言う事を聞き、疑問を持たず、全て事に従わせていただきます!」
「私、内藤貴樹は稲荷様のご命令により、稲荷様の奴隷となりました。これからは稲荷様の言う事を聞き、疑問を持たず、全て事に従わせていただきます!」
俺たちがそう宣言すると、稲荷様はとても笑顔で拍手をしてくださった。
こうして『稲荷様の常識改変能力テストの実験台』から始まり、『恋愛対象を変えられ』『入部当初から内藤と付き合っていることにされ』最終的にこうして『稲荷様の奴隷となれた』。
このことは大変に嬉しく思う。それに俺たちにとって『稲荷様の命令に従うことはこの世の一番の快感』なのだから。
おわり