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「低級妖魔退治?なんで私が?」
バーを訪れた私は知り合いの退魔師から依頼の話を聞いていた。
「・・・低級妖魔ではあるんだけど能力が厄介でね・・・それで何人も返り討ちにあってるの・・・ふぅ・・・」
「それでその有様というわけですか・・・」
彼女は一週間前に会った時はすらりとしたというより痩せすぎだった身体は、
今は見る影もないほどに太っている。
それも胸とお腹と顔を中心に。
「そろそろ限界みたいだからあなたを呼んだって訳よ・・・お願いできるかしら?」
「はぁ・・・さっきも言ったけどそもそもなんで私なんですか?他にも退魔師はいるでしょう?」
「この地域にいる退魔師で残ってるのはあなただけなのよ・・・」
そう言って彼女は他の席に目線を送る。
その先のテーブル席には女性の退魔師と思わしき人物が二人いた。
だが、彼女たちはこちらに見向きもせずお酒を飲み続けている。
彼女たちはでっぷりと太っていて、退魔師としては致命的といえる体型をしていた。
頬に肉がついているせいか目は細くなり、顎も二重になってしまっている。
服の上からもわかるくらいのお腹や二の腕には脂肪がたっぷりついていて、 腕を上げるだけでぶるんっと揺れるほどだ。
胸は顔よりも大きくテーブルにドスンと乗っている。彼女たちが動く度にお腹と胸についた贅肉が激しく揺れている。
「あぁ・・・あの人たちですか・・・」
「そう・・・彼女達はこの近辺で活動している有名な退魔師なんだけど・・・派手に負けたらしくてね・・・」
「負け・・・ですか?」
「えぇ・・・彼女達曰く『あれは悪魔』らしいわ・・・」
「悪魔・・・」
低級妖魔ではないのでは?と思ったが口には出さない。
「それで私が呼ばれた理由はわかりましたけど・・・そいつは何処にいるんですか?見たところこの付近にはいないようですけど・・・」
軽く周囲の魔力を探るがそれらしい気配はない。
「それが・・・分からないのよ・・・ただ、『この辺りにいるはずだ』っていう情報しかないの・・・」
「わからないって・・・そんなあやふやな情報でよく依頼しようと思いましたね・・・」
「仕方ないじゃない!こっちだって必死なんだから!」
そう言いながら彼女はビールを一気に飲み干した。
「ぷはぁ~・・・まぁいいわ。とにかく引き受けてくれるのよね?」
「うーん・・・どうしようかなぁ・・・」
正直面倒くさいというのが本音だ。
確かに私は最強の退魔師ではあるが、別に正義感が強いわけではない。
妖魔を倒して人々を護りたいなんて考えたこともないし、そもそも興味がない。
ただ、仕事として割り切っているだけだ。
「ねぇ・・・どうしてもダメ?」
上目遣いで彼女が言う。
(ぐっ!?)
正直可愛い。
それにこんな風に頼まれると断りづらい。
「はぁ・・・分かりました。受けますよ」
結局押し切られる形で依頼を受けてしまった。
「ありがとう!助かるわ!」
私は店を出ると魔力を探りながら町を歩き始めた。
「この辺りにいるはずなんだけど・・・ん?」
魔力が集まっている場所があった。
そこは小さな墓地で、いくつかの墓が並んでいた。
そのある十字架の上に黒い靄のようなものが渦巻いているのが見える。
(あれか・・・)
それはまるで闇のような色をしていて、見ているだけで気分が悪くなりそうだ。
私はゆっくりと近づいていくと、その黒い靄に話しかけた。
「ねぇ、あなたが低級妖魔なのかしら?」
すると黒い靄はゆっくりと形を変えていき人の形へと変貌していった。
その姿は一言で表すなら『悪魔』だ。
頭部からは二本の角が生えており、背中には大きな黒い翼が生えていた。
全身には青い筋が入っており、全身は黒い肌で覆われている。
目は真っ赤で怪しく光っていた。
(こいつが低級妖魔ね・・・確かにちょっと強そう)
一瞬そう思ったがあることに気づいた。
「・・・小さっ!」
その妖魔は身長1mほどしかなく、とても妖魔とは思えないほど小さかった。
「あら・・・あなた人間?珍しいわね」
妖魔が口を開く。その声は見た目に反して女性の声だ。
「あなたがこの辺りの人を襲ってるっていう低級妖魔かしら?」
「低級妖魔?・・・あぁ・・・そういうことになってるみたいね」
「どういうこと?」
私は警戒しつつ質問する。
すると彼女は笑いながら答えた。
「ふふ・・・私は低級なんかじゃないわ・・・それに人を襲ったりもしていないわよ」
「じゃあなんでここにいるのかしら?」
「うーん・・・そうね・・・しいと言えば『人間観察』かしら?」
「・・・どういうこと?」
「そのままの意味よ。私は人間が好きだから、こうして近くで観察してるの」
そう言いながら彼女は私の身体を舐め回すように見てきた。その視線はまるで蛇のようだ。
(うっ・・・なんか気持ち悪いわね)
正直あまり関わりたくないタイプの妖魔だ。
だがここで逃げてしまっては退魔師としての名が廃る。
「それで、あなたの目的が人間観察ならもう十分見たでしょう?大人しく魔界に帰りなさい」
そう言って私は退魔師の力を解放していく。
だが、その魔力を感じ取ったのか妖魔はニヤリと笑みを浮かべた。そしてゆっくりと口を開いた。
「あなた・・・いいわぁ・・・」
「・・・?」
何を言っているのか分からず私は首を傾げる。すると彼女は続けた。
「あなたのその強い退魔師の力・・・そして、その美しい容姿・・・あぁ!最高よ!!」
(な、なにこいつ?)
突然興奮し始めた妖魔に私は少し恐怖を覚えた。だがすぐに気を取り直すと再び警告する。
「いいから大人しく魔界に帰るか、それともここで私に退治されるか選びなさい」
「ふふ♪どっちも嫌よ♪」
(こいつ・・・)
まるで話が通じない。なら仕方がない。実力行使でいくしかなさそうだ。
「ふぅ・・・仕方ないわね」
私は構えると戦闘態勢に入った。
低級妖魔である以上、退魔師である私が負けることはまずないだろう。
私は手から光弾を放つと、それを妖魔に向けて放った。
光弾は真っ直ぐ飛んでいき命中したように見えたが、妖魔に当たる直前に弾けて消えてしまった。
「・・・無駄よ」
「なっ!?なら・・・!」
私は次の攻撃をしようと力を貯めたときだった。
(体が重い・・・?)
私は自身の腕を見た。
明らかに太くなっている。
「こ、これは!?」
お腹を見るとぶくぶくと脂肪が付いていて、胸も大きくなっていた。
「うふふ♪驚いたかしら?」
「は、早く戻しなさい!!」
私は慌てて退魔師の力で敵の能力を抑えようとしたが、上手くいかない。
それどころかどんどん力が弱まってきている気がする。
「無駄よ。その光弾はね・・・あなたの身体を太らせるためのものなの♪」
(な、なんですって!?)
「ふふ♪あなたはもう一生太った身体で過ごすことになるのよ♪」
「ふ、ふざけないで!早く元に戻しなさい!!」
私は必死に力を使おうとしたが、やはり上手くいかない。それどころかどんどん身体が重くなっている気がする。
そしてついに立っていられなくなり膝をついてしまった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒くなる呼吸に合わせて身体中に肉がついていくのを感じる。
顔や腕、足などに付いた脂肪はまるでスライムのようにぶるんっと揺れている。
着ていた服もきつくなってきていて今にも破れそうだ。
胸に至ってはもはや巨乳を通り越し爆乳と呼べるレベルになっている。
(くっ・・・こんなはずじゃ・・・!)
私はなんとか立ち上がろうとするが力が入らない。それどころかどんどん太っていくばかりだ。
「ふふ♪かわいらしいわね♪」
妖魔が近づいてくる。
「こ、来ないでください・・・」
なんとか立ち上がるが足元はおぼつかない。
一歩進むだけで息切れしてしまうほどだ。
そしてまた一歩踏み出したときだった。
ずぶっ・・・! 私の足が地面にめり込んだ。まるで沼にでもはまったかのようにズブズブと沈んでいく。
(な、なにこれ!?)
私は慌てて足を抜こうとするが全く動かない。それどころかどんどん深くなっている気がする。
「まずい・・・このままじゃ・・・!」私は必死になってもがくが状況は悪化するばかりだ。
その間にも私の身体は沈んでいき遂に首まで浸かってしまった。
「あらあら大変ね」
妖魔はそう言って笑う。その姿はまるで悪魔そのものだった。
「こ、このぉ!」
私は最後の力を振り絞り魔力を放った。だがそれはあっさりと弾かれてしまった。
(そんな・・・)
絶望に打ちひしがれる私を見て妖魔はニヤリと笑みを浮かべるとこう言った。
「ふふ♪いい姿になったわね♪決めたわ。あなたはあたしの家畜ドレーになって貰うわ!」
「ど、ドレー・・・?」
聞き慣れない言葉に私は首を傾げた。だがすぐにその意味を身をもって知ることになるのだった。
「そう♪私の家畜よ」
数週間後・・・
私は低級妖魔の家にいた。
「ほら!荷物を運びなさい!」
妖魔が命令してくる。
「は、はい・・・分かりました・・・」
私は言われるままに荷物を運び始める。
あれから私は毎日妖魔にこき使われていた。
食事の準備や掃除などは全て私がやらされている。
最初は抵抗していたが今ではすっかり慣れてしまった。
それに最近では妖魔の命令に従うことに快感を覚え始めてしまった。
「ふぅ・・・これで最後ね」
私は最後の荷物を運び終えると一息ついた。
すると妖魔が近づいてきて私の身体に触れた。
「うん♪今日もいい太りっぷりね♪」
「ありがとうございます・・・」
そう言って頭を下げる私を見て妖魔はニヤリと笑みを浮かべた。
(あぁ・・・もっと太りたい・・・)
そう思いながら私は心の中でほくそ笑んだのだった・・・。