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サキュモスハンター【17】 【敗北とイリスの宣戦布告】【4931文字
】
【第16話より】
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イリスはハンターたちを見下ろしながら思う。
「あぁ、でも、ちょこちょここうやって人間で遊ぶのはやっぱり大変よね……♡やっぱり、森の奥じゃなくて、一つ私たちの根城が欲しいところだわね♡そう思うでしょう、バニーちゃん♡」
「はい、はい。おっしゃるとおりです」
ラベリアが、こそこそと寄ってきた。
まるで怯える兎のように背を丸めていたので、頭を撫でてあげる。
「そう、怯えなくて大丈夫よ♡私がひどい子とするのは人間に対してだけだもの♡」
「は、はい、ありがとうございます♡」
「でも、そうよね。森の奥からじゃなかなか思い通りにいかないし。でもね、私たちに文化を形成するのって、正直無理なのよね」
一つ街を根城に変えても、文化が育っことはないだろう。
だが、思い付いてしまったのだから、仕方がない。
「あぁ……♡町一つ、みんなが喘ぎ声を上げて、サキュモスの餌食になる光景……♡すごくゾクゾクしちゃう♡淫気の回収も兼ねて、そして、そろそろ起き始める同僚たちの歓迎会も合わせて……派手にやりましょう♡」
仕方がないのだ。欲求に従わずして、何がサキュモスだ。何がサキュバスだ。
淫であり、魔である我々はただ欲求に従うべき。
「そうと決まれば早速♡お手紙♡みんな~、理性が戻ったらお仲間さんたちに、“一週間後の夜、淫楽の夜に、あなたたちの街にみんなでおじゃましま~す♡”って、伝えといてくださいね♡」
理純果で催眠が解ければ、自然に発動する催眠。
理性が戻っても、快感を伴わない催眠ならかけ続けることができるのは便利だ。
「さて、帰りましょうか♡」
「遊淫牢は解除されないのですか?」
バニーちゃんが、おかしなことを言う。
「なんで?」
「え、あの失礼ながら淫気を使用するのでは?」
「ふふ♡あの子たちがあそこで淫気をばらまいている間はずっと自動継続されるから大丈夫♡というより、淫気があの中で循環して結界を維持するから、外部から破壊しない限り永久に解除されないわ♡もし誰にも発見されなければ、永久にあのままだわね♡」
「そんな方法が……」
「今は違うの?これくらいみんなできていたはずなんだけど。夢牢と違って、壊すのは外から簡単だし」
「あ、あと、伝言が伝わらないのでは?」
「伝わらなかったら伝わらなかったでいいわよ。ただ、命一杯抵抗して敗北した方が、絶望って大きいものじゃない♡」
バニーちゃんが引いてる。
あぁ、ダメだ。酷くサキュモスらしい顔をしてしまったのだろう。
一つ呼吸をして、翼を広げて飛んだ。
目立つので、体のサイズは小さくして。
バニーちゃんはそのまま駆けて、森の中まで消えた。
さて、これから忙しくなるわ。
***
その日、ガレラは昨日の異常な淫気(オーラ)の震源地に関する調査に赴いていた。
もちろん、一人ではない。
10人からなるクランを形成する彼ら『淫滅の炎(リリベル・ヴェイド)』。
小隊に分類される『淫滅の炎』だが、その一人一人の実力は大型クランの上位ハンターにも引けを取らない。
二人いれば小型三体の同時戦闘でも対応できるくらいの能力はある。
誘惑にも耐性がある。
特に、女性ハンターがこのクランでは半数を占める。
男性よりもやはりサキュモスと同性の女性の方が誘惑という面においては強いのは必然だ。
ガレラのクランではツーマンセル、二人一組で必ず行動させている。
そのとき、相方は必ず女性になるようになっている。
「たく、なんで俺らが……」
「愚痴るなよ、ヘルド」
「でもよガレラ、どう考えても昨日のはヤバいって」
ガレラにそういってきたのは、メイガスだった。
短髪に金色の髪、切れ長の細身な顔立ちでもう少し大人びた雰囲気があれば相当なイケメンになれているであろう男。この島では、ある程度のところで成長が止まる。
隊最年長のガレラも今年で28ではあるが、まったく成長していない。
男の成長はある程度のところで、止まってしまう。
それに反して、女性は一番美しいところまで成長し、そこでやっと止まる。
そして、男も、女も、老けることがない。
最年長の長老と言われる南の街の長は200歳を超えているという噂だ。
あくまでも噂でしかないが。
「街の中でもはっきり分かるほどのオーラなんて普通じゃないって。もっと大きなクランに頼むべきだ」
「大型クランももう動いている。森の入り口へ警戒にあたりに行っている。そうなると、震源地の探索には中小クランが出向くことになる」
「あぁ……なんでハンター始めたんだぁ、俺は」
そういって、天を仰ぎ、頭を押さえるメイガス。
その開いた腕を取るように、彼のパートナーであるシエンナが腕を回した。
「私を守ってくれるんでしょう。ふふ」
「ぁぁ……、もちろんだ」
男女二人一組で行動する当クランの方針上、パートナー同士が伴侶であることは必然ともいえることである。
メイガスとシエンナも結婚している。
脱色したような白髪のシエンナ。しかし、その質感は老けたようでなく、みずみずしい白だった。
胸よりも尻の方が大きく、脚力には自信があるらしい。
文字通り尻に敷かれる関係らしい。
シエンナが先にハンターになって、それに付き合う形でメイガスがクランに入隊した。
シエンナ、メイガスともに先鋒のポジションについている。
敵との遭遇時、彼らが接近戦で一番火力を叩きだしてくれる。
「全く、あまりこんなところでイチャつくなよ」
「別にイチャついているわけじゃ……」
やれやれとガレラは嘆息をつく。
他のメンバーがクスクスと、笑い声が漏れる。
少しは緊張が解けたようだった。
メイガスが素でしたことのようで、ある程度こういうガス抜きまで持って行ってくれるのは正直ガレラも助かるとことだった。
そうこう言っているうちに、目的地周辺までやってきた。
「何も、なさそうだが」
「ギルドの報告では、だいたいこのあたりのはずだが」
丘を登る。
平原とは言え、丘陵地帯であるのである程度丘で隠れていたりする。
そして、登ってから周囲を確認すると、一本の木の近くに何かあるのをメイガスが見つけた。
「隊長1時の方角。あれは、……遊淫牢!」
「全員、戦闘態勢!」
全員が武器を構える。
メイガスとシエンナが曲刀と丸盾を構える。
俊敏性を何よりも重視する彼らには一番扱いやすい武器であった。
ゆっくりと丘を下っていく。
ガレラも確認しているが、気配はない。
昨日感じられたオーラもない。
だが、遊淫牢の中にいるなら、オーラを封じている可能性もあった。
そっと近づく。
ピンク色の巨大なシャボン玉のような牢獄。
慎重に接近するが、その中にサキュモスがいないことを確認する。
予想はしていた。
というのも、サキュモスがいるにしては遊淫牢のサイズが小さかったのだ。
いても小型種がいるかどうか。
その小型種もいれば、その牢のなか全部を覆うほどの小さな牢。
「ハンター、だけか」
「にしても……これ壊して大丈夫なのか」
遊淫牢は簡単に壊れる。
夢牢は外部から破壊することは困難だが、遊淫牢は一撃の衝撃で簡単に破裂する。
壊すこと自体は問題ないだろう。
だが、問題は……。
「ひどいなこれ……」
中の音が聞こえないが、三人のハンターがむつみ合っていた。
一人の男のハンターに二人の女のハンターが、むしゃぶりつく。
彼の耳穴から樹液でも流れ出しているのかと思えるほど、女たちはその耳に舌を這わせ恍惚で淫靡なアヘ顔を晒していた。
男も、それが強烈な快感を送り込むトリガーになっているのか、舌が耳の中で這いまわる度に手足がビクビクと痙攣している。
その手足に絡まり合うように女の四肢がまとわりつく。
一呼吸ごとと言って過言がないペースで、潮と射精を繰り返す。
それもすべて淫気での噴射だ。
もう彼らの体の中は淫気が循環している状態なのだろう。
「助けるに、決まっているが……全員、周囲の警戒に、シエンナ、メイガス、頼めるか」
「オッケー」
「了解」
二人は口と鼻を覆えるマスクを取り出す。
その上で、他のメンバーも口を、鼻を覆い周囲の警戒に努めた。
「はぁ!」
「でやぁ!」
シエンナとメイガスの刃が牢を飴細工のように破壊する。
一撃で砕けた遊淫牢。
だが、案の定、噴き出した淫気に最前線の彼らが晒されてしまう。
こういう時に遠距離攻撃ができるものがいるといいのだが。
「はぁぐぅ……♡」
「ぁぁ……♡」
「シエンナ、おぃ……♡ぁぐぅ……♡」
あまりに強烈な淫気。
一瞬でシエンナが呑まれた。
メイガスは辛うじて耐える。
が、シエンナの様子がおかしい。
「ガレラ、すまない……♡すこし外す……♡」
シエンナの肩を抱き、メイガスが木陰に移動した。
「まぁ、しょうがない、か」
「まさか、ここまですごい淫気とは……はぐぅ……♡」
ガレラの相方のリベットがそう言葉を漏らした。
重戦士タイプの槍使い。
彼女が槍を振るえば、小型のサキュモスくらいなら一人で屠れそうなほどの破壊力を発揮し鬼気迫る勢いで周囲の淫の者たちを蹂躙する。
だが、そんな彼女も今は頬を赤らめ乙女の顔になっている。
赤眼赤髪の彼女は、『淫滅の炎』のまさに炎を象徴する存在だ。
美貌もさることながら、その胸の膨らみに惚れ込む男は数多くいた。
だが、まぁ、無数の男どもが群がる彼女を自分のクランにガレラが掻っ攫ったわけだが。
「ぁぁんあぁぁ、ぁぁぁ、ぁぁぁ♡」
「ぐぅ……♡」
シエンナとメイガスの情事がはじまった。
シエンナも理性が残っているのか、声を抑えようとしているが、この強烈な淫気に当てられたのだ。
漏れ出る声にしょうがないと、ガレラも思ってしまう。
「さて、ベルウェル呼ぶしかないな……あと、追加で袋も用意させないと」
「このまま、街に入れるわけにもいかないし、ね」
「しばらく、淫気が風に流れていくまで、待つしかないか……ぁぁ……サキュモスがいなくてよかったが、これはこれで問題ありだ」
メンバー二人に、街への報告を頼んだ。
ベルウェルもここには塚がないので、回収に来させるには連れてくるしかない。
かといって、今、このまま彼らを引きずって連れて行くわけにもいかない。ましてや担いでなどは不可能だ。
上がる嬌声がいい手本だった。
街中にこのままベルウェルで引っ張っていってもまた問題だ。
街中がシエンナとメイガスみたいな状態になってしまう。
正直ガレラもキツイ。
それほどの淫気だ。
そして、それほどの淫気に当てられ続けた三人が元に戻るのかも心配ではあるし、これほどの淫気を放つサキュモスの存在も危惧すべきことだ。
問題ありだ。いや問題しかない。
「はぁ……」
天を見上げた。
陽光が差す平原でガレラの熱い呼気が吐き出される音が漏れ出た。
***
「ん……ここ……は……」
「あ、ようやく起きた?」
「リマ……なんで……ぁぁ……そうか♡」
「あはは……ぁぁ、ごめんね♡助けに行ったのに、なんか、余計大変なことになっちゃったって」
治療院のベッドで目を覚ましたメグル。
傍の椅子にはリマが座っていた。
「ユイナは?」
「さっき、目覚めたところ。私の顔見たら、第一声が、「合わせる顔がない」だって」
「あはは……たしかに、俺も恥ずかしいな」
「忘却草は使われてないからね、三人とも……」
遠くの景色でも見るようにリマは病室の天井へ視線を彷徨わせた。
そう覚えているのだ、何もかも。
メグルとリマとユイナが、今回初めて行為にまで至った。
それも、あんな形の……。
「あぁ、それと襲撃の件だけど、なんだか、治療中に漏らしていたみたい私たち」
「ならよかった、今からでも伝えなきゃって思っていたから」
「今日一日は私も含めて休めとのお達しだそうだ。理性は戻ったけど、心の整理がつかないからね」
「あぁ、まぁ、そうだな」
気まずい。
未だに、あの時の二人の舌の感触が蘇ってしまうほどだ。
つい、耳を撫でてしまった。
「メグル、あの……♡」
そっと、メグルに近づいてリマが言った。
「また、舐めて欲しかったら、言ってね♡」
「な!」
腰を下ろし耳元でそう囁いた彼女に、バッと顔を向ける。
意地悪そうなにやけ顔を見せていたリマにしてやられた。
「なぁ!ぁぁ!からかったな!」
「え~、なんのことかなぁ~、わかんなぁ~い。あはは。じゃねぇ~」
そのまま、病室から出ていくリマ。
扉が閉まる直前、リマの声がボソッと聞えた。
「あぶなかった……♡……はぁ♡」
熱の籠ったリマの吐息を聞いた時、メグルの愚息が大きく膨らんだ。
***
【第18話へ】
次話【大規模大型種討伐作戦と刀】
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