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★短編:アンドロイドに物は言いよう Somewhere Home

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oto様からの小説依頼です。

アンドロイドに物は言いようの世界観を踏襲しつつ、別のとある家庭の話を描いた短編?小説です。


まず、大変遅くなってしまって申し訳ございません。もとより依頼が大量にある中で順番にこなしていくうちにどうしても納品期限一週間前ほどになってしまい不徳の致すところです。

そして次に小説の内容についてですが、やはり少し納得がいっていません。セクハラという言葉が何を定義するものなのかを私はあまり考えたことがなかったので、「本番行為はなし」なのか、「実際的な性的接触はセクハラというよりもはやただの犯罪」うーむ…なんて考え続けていたら2週間経っていました。

実際のかきあげた時間は小説部分が4日(20時間くらい)挿絵が3日(10時間くらい)だったように思います。


そう、挿絵ですね。

最近私は不景気から依頼料引き上げをしていますがそれに伴う小説区分依頼の内容変更をしました。そもそも今回初の小説依頼だったわけですが、「せっかく絵もある程度描けるんだから1枚くらい挿絵がはいってもいいじゃないか」という点に書いてて気づきまして、依頼内容に反することではございますが、今回の依頼だけ対象外なのはおかしいとマイルドな挿絵をサービス(初回小説依頼記念?)でいれさせていただきました。

なのでもしいらなかった場合は大変申し訳ございません。投稿後も編集が可能だと思いますので言っていただければ挿絵は削除します。


そして、文字数ですね。

正直、「2万文字前後なら簡単に書けてお金ももらえてラッキー」と思っていた事実は否めません(私も人なので…)ただ、書いているとやはり楽しい。楽しくてあれやこれやといれているといつの間にか2万5千を超えて、途中で「あれ…これセクハラじゃないような…家政婦とのセクハラ描写を所望されているのに家政婦との描写全然ねぇ…やばくない?」となり、書きあげた部分を削除するのももったいないのでどんどん追加。結果4万3千文字に…

まとめる能力がない私の至らない部分です。申し訳ございません。

読むのが億劫になってしまうことを考えると依頼完遂にはならないのかもしれないと焦りながら納品させていただきます。失礼しました。本当に。


さて、長くなりましたが楽しんでいただけたら幸いです!(本当にいろいろ至らず申し訳ございません

本当にご依頼ありがとうございました!


それではどうぞ!↓

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それは雪の中に咲くクロッカスのような、美しい紫色の瞳をした女性だった。

額を惜しげもなく晒した七三で分けた前髪、肩に当たらない程度のセミロング。2連で並んだ泣きぼくろ。なんの感情も感じさせない表情にひとつの絵画を見せられているのではないか?と、思うほどその光景はカズキの目に焼き付けられた。


西暦2131年(最寿43年)2月、立花カズキは一機のアンドロイドに恋をした。

そして、それが彼の転落人生の始まりでもある。



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◀西暦2131年3月


「カズキ、今日放課後、部活ねぇ奴らで遊びに行くんだけどお前もどうだ?」


未だ喧騒の鳴り止まない4限目が終わって昼休みになった教室で快活な声をかけられる。

話題を振ってきたのは橋本タツヤ、カズキのクラスメイトである。

弓道部に所属しているカズキが今日休みなのは、他の同じクラスの弓道部員から聞き及んでいるのだろう。

カズキは弁当を広げながら、けだるげにしつつも申し訳無さそうにタツヤに返事を返した。


「すまん、今日は折角の休みだし家でやりたいゲームがあるからさ。」

「なんだノリわりぃなぁ…何やんだ?この間の『サジタルキューブ』か?俺あの塔の魔女大好きなんだが…な?」

「や……ん、まぁそうそれだよ。」


カズキは嘘をついた。

もちろんそのゲームには今すごくハマってはいるものの、しかし別の理由で家へ早く帰りたいのだ。弓道部は普段から夜8時まで活動していることが多い、早く帰れるときには早く帰っておきたいという心情だ。


「ふっなら…説得はやめだ、俺はすでに4周して敵もくっそ強いけどそれでも時間をかける醍醐味があるゲームだからな!もしきつそうだったらいつでも協力プレイしようぜ!」

「ああ、ありがとう。」


カズキは振り返る。

すでに11周してしまっている自分は決してタツヤと一緒にゲームができる日は来ないと。

8周で最大難易度と化す『サジタルキューブ』は最新技術を用いたVRゲームだ。

卒業式やらなにやらで学校自体が最近は忙しいので、結構休校日や部活動が休みになることの多いこの季節は絶好のゲーム没頭月間となりうる……、のだが本当に今日はゲームをしたくて早く帰りたいわけではない。


カズキは今日も冷めても最高に美味しい弁当を口に運びながら過去のことに思いをふけっていた。





西暦2131年2月、立花カズキに転機は訪れる。

今年でもう16、誕生日がきていないので15歳だが、この15年間楽しかったのは小学校六年生くらいまでだった。もちろんそれでも一般的に見れば十分なものかもしれないが、幸せを追求するのは人の性だろう。心のどこかでもっと充実した楽しい日々を送ることができれば、と思ってしまう。


小学6年生の5月13日、父親が死んだ。

それ自体は別段よくある話、というより現代で片親になることなどさほど珍しくはない。子供は社会が育てるもの、あくまで両親二人に子供がおり、育てるという構図は旧時代の名残でしかない時代。

よくあるリストラで、道を誤って酒浸りになり、酔って転んで脳挫傷。

なんとも哀れな最後だった。

もちろん泣いた、寂しくて寂しくて、でもずっと泣いている暇はなかった。共働きではあったものの、父であるシュウジがリストラされてから母のヨウコは一家の大黒柱として働き詰めで、家で一人でいることが増えた。

だからこそ孤独に耐えうる精神力は培うことができたし、あまり帰ってこないとはいえ、唯一の家族となった母に心配をかけることはしたくないため、成績も中の上、上の下くらいでキープしてそこそこの高校に入学した。


それでもどこか空虚ではあった。

自分には夢がないのだ。

なにかに熱く燃えるような日々も、なにかに依存するようなことも何もない。

だからこそこのまま高校を卒業して大学に行って、適当に就職して、という平凡な日々を送るのだと考えていた矢先、急な変化が起きるとは夢にも思わなかった。


『だからね?カズキが喜ぶかな~ってね?』


年甲斐もなく、という言葉がふさわしい、成人女性の明るいはしゃぐような声音がPCのスピーカーから聞こえる。


「別にいいよ、それより母さんは体調大丈夫なの?ずっと働いてるんでしょ?」

『私は大丈夫よ?それなりに上手くいってる、あんなのみたいな失敗はしないわ。』


本人も気づかないほどに、ひゅっと息を吸う。

「あんなの」というのが誰なのかは言うまでもない。

ずっと、カズキの小さい頃から母であるヨウコは口々にいっていた「無責任」「役立たず」「最低の野郎」。それが己が父を指す言葉だと理解している。

カズキには知らない事情があり、知らない現実があるのだろうが、感情論として、あまり聞きたいものではない。

一般的に子供が望む親への感情は「幸福」だろう。

故にその幸福を壊すであろう「親の不仲」は子供にとって非常に恐ろしいものになる。

それはたとえ死別したあとであろうとも、どんなにクズだろうと父は父。

貶められたくはない。故に、カズキは素知らぬふりをして話題を戻す。いつものように。


「……でも、突然なんでそんなおっきな買い物したの?」

『…うーんまぁ今言った通り喜んでくれるかなぁ?ってのもあるし、何かこうカズキの心境の変化を狙ったというか…ね?』


盗み見るような眼差しと言葉尻が不自然に上がる聞き方、昔からヨウコはカズキに対して罪悪感、というか後ろめたさを感じているようで気を使おうと躍起になる節がある。

喜んでくれれば、というのも本当なのだろうとカズキは気付かれない程度に苦笑してため息を吐いた。


「だからって中古でアンドロイドなんて買わなくっても…すごい高いでしょ」

『いいじゃない、買ったんだから有効利用して、あ、でも流石に手を出さないでよぉ?母さん愛する息子が異常性癖なんて嫌だからね?』


いや、クラスに何人かいるから今どき異常とは感じないけど、自分は人間の女性が好きだ。


「いやないよ…ていうかそう思うならなおさら買わなくてよかったじゃん…」

『いやーあんた自炊はしてるみたいだけどたまにめんどくさくなってバランス考えない飽き性なところあるでしょ?私はさ?申し訳ないけど定期的に家には帰れないし、かといって人を雇うとなると高すぎる、そこで女性型ハウスロイドよ!』


まぁ確かに、十分な生活費は共用の口座に毎月振り込まれているので、時折適当な買い食いをして、なんてこともよくある。

継続的な出費よりは、一度に買いきったほうがいいというのも理解はできる。


『ま、何れにせよ?そ、う、い、う機能はない家事アンドロイドだから手の出しようがないけどね、悪いわね』


ただ、お互いに色々思うところはあれど、気を使い合い、愛し合っているのだ、とカズキは納得する。普通に、料理してくれる者(物だが)がいるというだけで便利なことこの上ないわけで。


「いやだからないって…まぁ、じゃあありがたく貰っとくよ。ありがとう。」

『最初っからそういえばいいのよ、もう。…もう初期設定は業者にお願いしてあるし、あとは受け取るだけ、というより家に訪問する感じで来るでしょ。」

「りょーかい。」

『…本当に、ごめんね。』


不意に真剣な声で、消え入りそうな声でつぶやく母親に驚く。

おそらく……だが、不甲斐ない母親だと自分で思っているのだろう。そんなことはないとわかっている。いつの時代でも女が1人で子供を十分に養う、これがいかに大変なことなのかはわかっているつもりだ。


「何謝ってんの、別にいいよ俺は1人で自由で悠々自適に暮らせてるし?」


だからあえて戯けて答える。重くならないように。


『…そう…ね、じゃあそろそろ仕事だから切るわね、愛してる。』

「あ…うっ…うんあいあーい…。」


流石に恥ずかしいので直球早めてほしい。


チャットを切断する。

シン…と静まる室内。

口では煩わしそうに言っていたがカズキにとってやはりこの家は広すぎた。だからこそワクワクしていたのだ。この停滞した日常にたとえ家事ロボットだろうが何か変化をもたらしてくれるんじゃないかと。

まだ2月、温まった部屋をでて、1時間ほど前に作ったポットに入れっぱなしのコーヒーを1階へ取りに行く。冷える廊下の冷たさとは裏腹に心は躍っていた。





翌日。

朝から雪が降っており、いささか人の訪問には適さない。

2000年代初期から地球の温暖化により季節の変わり目が大幅に変わることとなった。温暖化、それに寒冷化が進み、夏と冬が伸び、春と秋が一瞬で過ぎ去る。

都心の方だと、人工的に季節変動をして、気温や湿度をいじっているようだが、ここは少し関東の外れにある準都会。

そんな超技術はサービス対象外だ。


今日は土曜日で、学校もなし、この天気で部活動も当然無理。

屋内部活動ならいざしらず、弓道場は外な上に雪が積りすぎてそれどころではないだろう。朝早くに学校の共通連絡網で電子メッセージが届いていた。

運送会社に今日は午前から家にずっといられるようになったことを告げると、相次ぐキャンセルで午前中は時間ができたのですぐに届けに伺うとのこと。

ということで、暖房の効いたリビングでぼーっとゲームをしつつ待つことにした。


そして、そろそろボスに挑もうかなと思い始めたところで、つまり2時間ほど経った午前11時、家のチャイムが鳴る。

カズキの位置を家が検知して、テレビ画面の右上に監視カメラもとい玄関のカメラの映像を再生する。

人影が見えるのでどうやら件のアンドロイドがきたのだろうと理解して玄関に足早に向かった。


2重ロックを外し、ドアをゆっくりと開けると冷気が家の中に侵入してダボ付いた服装をしていたカズキを殴りつけた。

外は吹雪というよりはシンシンと雪がスローモーションのように降り、不思議と曇りにしては明るいいい天気だった。

これくらいなら少しでかけてもいいかなと思う程度、しかしその考えは一瞬で消し去られた。


ドアを完全に開けると、玄関には雪よけ用の傘を指した美麗な女性が佇んでいた。

顔立ち自体は大和撫子、それでいて服装は洋風の文化が入った明治時代の給仕服のようなメイド服。

時代錯誤がどうとかではない、素直にカズキはつぶやいた。


「きれい…。」


映画やアニメ、ドラマも暇つぶしのように見るカズキだが、まさか自分がなにかに目を奪われる日が来ようとは夢にも思わなかった。それほどの衝撃を受けた。

妙に暑い、先程浴びた寒風はすでに忘れており、茫然自失といった言葉がふさわしい。


「こんにちは、この度立花家に仕えることになったGPHA-3103-69です。よろしくお願いします。」


見た目に反して流暢に語られる数字とアルファベットにカズキは気を取り直す。

好きな女の子に嫌われたくない、かっこ悪いところなど見せられない、と己の服装を恥じつつ、中に入るように促す。


「あっ…えっえぇあっ…はい、こちらこそっ!よっ…ぉしくお願いします!」


普段からは考えられないほどの崩れた言葉。

自分はこんなにコミュケーション能力が不足していたのか?そう疑問に思わざる負えないほど無様な返答になってしまう。

それほどまでに、カズキは恋をしてしまったのだ。愚かな恋を。





それから、というもの、まず部屋に案内する。自己紹介や家族構成、家の中の案内や、普段どういった生活をしておりどういったことを好むかなど軽く伝えた。

真剣に、無表情に、しかし相槌をもって円滑に話を聞く姿は、まるで一種のカウンセラーのように思え、ペラペラと要らないことまで喋ってしまう始末。

しかしながら同時に多くのことを知ることもできた。

ヨウコは何も言っていなかったが、どう考えてもただの家事ロボットじゃない。

アンドロイドというある意味ではもう一つの種族的立場に対し、明るくないカズキでさえも目の前のアンドロイドが並々ならぬ性能であることは理解できた。


「えっと…それで君のことはなんて呼べば…いいかな?」

「では、カエデ、と。」


いやに即答するあたりなにか理由がある名前なのかもしれない。

彼女のシリーズが楓という草木になにか関連があるのかもしれない。彼女のことなら何でも知りたくなってしまう、それは当然なのだろう。

それでいてクラスメイトの女子たちのように、聞いたからと言って「キモっ」と言われ翌日のクラス内カーストが低くなるようなデメリットはない。

一度しか言われたことはないが。


「それはなにか、理由はあるの?」


珍しく沈黙、というか逡巡する態度を見せている。


「…はい、当機は以前、立花本家に仕えていた機体です。立花ヨウコ様が購入なされたアンドロイドは『不幸な』手違いで破損し、『偶然にも』立花本家の傘下である中古家電販売店だったため、『たまたま』余っていた当機が派遣された形です。よって『カエデ』という名前も立花本家に使えていた頃の名残です。」


先程まで浮かれていた態度でいたカズキが少し冷静になる内容だった。

カズキにとって立花本家は「そういう物がある」という認識でしかない。

幼い頃は遊びにいった記憶も無きにしもあらずなのだが、いかんせん思い出そうとすると嫌な記憶なのか靄がかかったように思い出せない。

しかし立花本家に対してなにか直接的な悪感情はまったくない。

強いて言うなら母であるヨウコがあまり良く思っておらず、確か金銭面での援助を断っている、というような形だった気がする。

なぜ断っているのか、は知らない。


「なにか不都合があるのでしたら、固有名称の変更をしますか?」

「いや、いい名前だと思うし…大丈夫。」

「ありがとうございます。」


しかし、こんな美麗なアンドロイドを代わりによこしてくれるのだから、太っ腹だし、もしかしたら血縁から一人暮らしを心配して孫へのプレゼント、といった具合なのかもしれない。顔こそ思い出せないが、たしか豪快な性格の祖父だった気がする。

年の割にかなり若々しい祖父が気を利かせてくれたのだろう。


「とにかく、なんと言っていいのか…ありがたいね。」

「しかし、ヨウコ様にはお伝えしておりません。ヨウコ様は立花本家の力を借りずにカズキ様をお育てになりたいという意志でいらっしゃいます。それを尊重し『あくまで』いらないアンドロイドをよこすことで金銭面ではない補助的なサポートをしたにすぎません。」

「そっか、いずれにせよありがとう。」


カズキは伝えるべきか悩む。

いや、伝えるべきだろう、どっちにしたってこれから先も金曜の夜にはいつも通りビデオチャットをするわけでそんななか彼女の話にならない訳がない。


「来週、そういった経緯を伝えてみるよ。きっと母さんも立花本家のことを見直すと思う。」

「……いえ、伏せておいたほうがよろしいかと思います。最悪当機は返却という形を取られる可能性もありますし、立花本家の方々がプレゼントに泥をつけられた、なんて思われては悲しいですから。」

「うーんそうかなぁ…じゃあまぁ立花本家じゃなくて普通に店の手違いで破損してしまったからアップグレードした、って感じでいいかな?」

「はい、カズキ様の理解、痛み入ります。」

「いやいや、感謝するのはこっちだよ…こんな…美人な…」

「………ありがとうございます。」


一般的に褒めるなんて言葉は恥ずかしくて普段は言えない。

普段は言えないことを口走るのはひとえに目の前のイレギュラーのおかげだろう。

しかし彼女はただただ無表情にカズキを見る。

アンドロイドには嬉しいという感情はないのだろうか?と思案するものの、いささかわからないので今度科研のやつにでも聞こうと考えた。


「それじゃあ、そのカエデさん、これからよろしく。」

「はい、よろしくお願いいたします。」


カエデの表情に変わりはない。

これが初めての邂逅で、カズキと彼女の出会いはより美しく劇的で物語の始まりのような最高の記憶へと昇華された。



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◀西暦2131年3月


卒業式を終えて、しばらくしたこの時期は妙に浮足立つ。

家のドアを開けて、いつもの言葉を紡ぐ。


「ただいま。」

「おかえりなさいませ。」


いつも、帰ってくると何故か玄関にいる。

しかし家に帰ればいの一番に彼女の顔を見ることができる。それだけで嬉しい。

誰かが家にいて、「おかえり」と言ってくれる。これがどれだけ幸せなことか身をもって理解したカズキは微笑んでから自室へと向かった。


制服から着替え、部屋着に戻りリビングへ行く。

彼にとって今日なにか特別なイベントがあるわけではない。ただ人生初の想い人を眺めることができる。それだけで十分だ。だからこそリビングへ行って、素知らぬふりをして家事をこなすカエデを覗き見る。


と、いいつつもカズキも健全な男であり、性欲も人一倍あると思っている。

どうしても視線は胸部や臀部に行き、女性らしさを思わせる動きに股間を熱くさせる。流石にその程度で勃起はしないが、普段からおかずにしているので目に焼き付けておくのは重要だ。


1ヶ月、彼女と出会って色々わかったことがある。

というのも、まず他のアンドロイドはどうか知らないが、性的な欲求はなさそうだし、疎いようだった。

当然と言えば当然なのだが、どうしても好きな人という色眼鏡で見てしまうと気になってくるわけで…。


1つの過去の出来事としてあげる。

今まではシャワーや風呂に入っても、バスタオルで体を拭いたら浴室をそのままでて部屋まで全裸で行き、下着を着用する形だった。

当然カエデがいることを考えていなかったので、そのままいつも通り全裸で浴室をでると、廊下を掃除中の彼女に出くわしてしまう。

硬直するカズキとは裏腹にカエデは最初カズキの身体を1秒ほど見つめたあと特に挙動不審になることなく顔をそらし、というより顔を戻し、掃除に戻ったのだ。


「あっごっごめんっ!」

「……いいえ、こちらこそ至らず申し訳ありません。次からは替えの下着を用意させていただきます。」


と、サラリと流されてしまった。

別に慌ててほしいとか、漫画のように物を投げつけていわゆるラッキースケベ(死語)のような状況(逆ではあるが)になることを期待したわけではない。

できるのか知らないが頬を染めるなんていう光景が見れればよかったが、なんというか興味がない感じだった。

家具の延長線に位置するアンドロイドなのだから人間の性器を見たからってどうということはないのだろう。


だからこそ、監視者のいない今のこの空間が何よりの楽しみであり、早く帰りたい本当の理由でもあるわけだ。


「……カエデさん。」

「はい。」


洗い物をしながら答える彼女の声は耳にスッと入ってくる聞こえの良い声音で、心地よい。


「カエデさんって前は本家にいたんだよね?」

「はい。」

「どんな事してたの?こっちに来るってことは有り余ってるほどロボットはいるんでしょ?なら家事とか供給過多だったんじゃない?」

「………カズキ様の祖父に当たる立花家現当主、立花カツヨシ様の身の回りのお世話をさせていただいていました。」

「どんな?」

「……主に秘書のようなことです。」


カズキは納得した。

カエデにはどこか理知的な静謐さがうかがえる。

まさに男の横に一歩引いた態度を示す、できる女の完成形のような見た目や立ち振舞いだ。


「ところでさ、聞きたいんだけど…」

「何でも聞いてください。答えられる範囲であればお答えさせていただきます。」


「まじ?」と内心小躍りしそうなカズキだった。

実を言うと今日はカエデに性的な問いをしようかと考えていた。

というのも決してカエデに限ったことではなく、男としてやはり女性に興味がある。どういった目線で物事を見ているのか、どういった感じ方をしているのか。

しかしそれを現実の女性に聞くことははばかられる、セクシャルハラスメントになることは間違いないし、一歩間違えればクラス中の笑いもの、悪ければ停学や退学で母親にも迷惑がかかる。

だが、言ってしまえばロボットに言うだけだったら何をしてもかまわないんじゃないか、そう思ったのだ。もちろん授業で基本的なことを習ったし、この行為をする前に下調べとして科研に出向き、気をつけるべきことなどを概ね理解した。

つまりは「行き過ぎたことすると通報されるから気をつけろ!」以上!って感じだと。


「その、あー……カエデさんは好きな人はいるの?」

「……好き、と言うと恋愛感情というものでしょうか?」

「あーうんそう。」

「…いいえ、現在お慕いしている方はいません。」


嬉しいような悲しいような、という感覚だった。

前の職場、つまりは立花本家で何かしら相手がいたなら嫌だったが、同時に今自分のことはなんとも思ってないと言われるとそれはそれで寂しい。


「そっそういえばぁ…さ?今日はクラスメイトの女子が胸の大きさについて語ってたんだけどね?」

「…はい。」


これくらいの質問なら禁止用語?に引っかからないんだろうか?なんて詳しい人間なら思うところではあるが、生憎とカズキはそういった知識面に造詣がない。

だからいきあたりばったりだ。


「やっぱ女の子は気にするもんなの?男もチンコのサイズとか気にするけどさ。」


さらっと「チンコ」と言ったりする。それだけでも異性に性的な話題をふるという言わば言葉によるセックスの前戯のようなものも、楽しくて仕方がないカズキだった。

怒っていないか、失望していないか、そう思いつつしかしどこか好奇心がくすぐられる。

ちらりとカエデを見るとゴミを見るような目つきで…ということはなく無言で無表情に無感情に見つめていた。


「…私は、自分の胸部について思うことはありませんが一般的には気にする女性が多いという統計結果が出ています。また、男性の方が生殖器のサイズを気にする人の割合が多いです。」

「そっ…そっか…その前にさカエデは俺の見てたけどどうだった?」


異性に自分の性器の感想を求める。


「はい、平均的なサイズより少し大きく、好みの分かれるところではありますが女性を的確なオーガズムに導きやすい大きさであると思います。」

「ほっほーん…。」


褒められた、と解釈していいのだろうか?

決して勃起時を見られた訳では無いが、それでもやはり男として大きいと言われると嬉しい。男らしさ、という昨今は廃止が濃厚な考え方でも誇らしくはある。


舞い上がったカズキはソファから立ち上がる。

冷蔵庫の前に行く。

冷蔵庫の反対に料理スペースがあるので、ちょうどカエデと背中合わせになる形と言っていい。

今までは性的な質問が多かった。今日だけでなく、例えば男からの視線の話や好きな異性の話など時折突っ込んだ内容で。

しかし今日は違う。

カズキはおもむろにカエデのおしりに触れる。見えてないことをいいことに。

その柔らかさを直に楽しみたいが今はこれで納得する。


「カズキ様、なぜ臀部に触れていらっしゃるのですか?」


怒るような声ではない。

理解できない行為に疑問を呈するような事務的な対応。予想通りだった。


「あ…えーと…ちょっとよろけただけなんだけど、ふと思い出してね?そのほらそういえば女の子はお尻の大きさも気にしていたことがあったなって思って…さ?」

「…確かに統計的に気にする女性は多いようですが不用意に女性の臀部に触れてはなりません。特定部位への身体的接触は強制性交の罪に問われる場合があります。」

「うっ…」

「至急手を離してください。行動記録に記載の上、ヨウコ様に連絡を入れます。」

「ええぇ!?やっほらうんっ…離したよ?ね?」


唐突な処刑宣告に戸惑う。

しかし落ち着いて、手をどける。

だが同時に今の今までふかふかだった幸福が消え去り、寂しく感じ再度「おっと…」と言って手をつくようにカエデの背後から抱きつき胸に一瞬触れる。


ふにゅ……しゅっ……


これは昨日の夜考えた「ちょっと手違いでぶつかっちゃっただけなんだよごっめーん☆」作戦である。

だが現実は甘くない。


「度重なる身体的接触を検知したので、ヨウコ様に連絡をする義務があります。」


カズキは途端に慌てる。

今までの高揚した気分が嘘のように降下し、絶望の淵に落とされる。

自分の性的な部分を母親に知られるというのは、多くの男性が通る道かもしれない、しかしできれば知られたくないし、自分がロボットに欲情する変態だとは思われたくない。


「いやっほら!あえてカエデを触ることで女性の悩みを聞いたときにスムーズに解決できるようにさ!?」

「ならばまず許可を求めるべきです。実際は行動記録に記載し、ヨウコ様に確認するように促す設定がされているので、そこでヨウコ様に許可を求める形となります。」


そんな事があってたまるかと思う反面、終わったと思ったカズキだった。

秘書という仕事をしているカズキの母ヨウコは電話や連絡に敏感だ。

カエデが送信済みだと言った次点でもう確認しているだろう。


しかし、いくら待っても自身の端末が鳴ることはない。

ラグ?いや、と考える。

カエデは事実送ったのだろう、ということは単純にヨウコはカエデの行動記録を確認していない。のであれば自由にできるのかもしれない…と考える。

ふつふつと嗜虐的な欲求が現れる。

だが同時に、科研の人間にも言われたことを思い出す。「基本的にやり過ぎると行動記録を警察に提出して普通に捕まるからね?」と。

「警察」という単語が出たから印象的だった。


カズキはだから、言葉を飾る。

嘘ではない、誘導する。目的を叶えるために。これは前哨戦なのだ。


「その…さ?そもそもこれって行動記録に書くようなことなのかな?」

「どういうことでしょうか?」


カズキはなおも服の上からその丸尻を撫で回す。

もうヨウコには報告がいっているのだから、ここで撫でなければ損なだけだと開き直る。


「だってさ、この家において今一番命令権を持っているのは誰?」

「立花ヨウコ様です。」

「うん、でもその母さんはいない。なら次点は?」

「…立花カズキ様です。」

「そうだよね。何もルールを曲げたいとかじゃなくて、普段からお世話になっているカエデの衣服はきちんと整っているかな?とか立花本家から送られてきたロボットが人前に出てもおかしくないスタイルの持ち主かどうか?とかそういうのを確認しても問題ないと思うんだよね。」

「………一定の合理性を感じます。いわゆる商品確認ですね?しかしそれは購入者であるヨウコ様が先週、私が初めてここでお努めを始めてから帰ってきたときに確認なされたはずです。」


そう。たしかに確認していた。だが、


「うん、でも一瞬見て『可愛い子ねぇ、まぁオンボロよりはいいか!家事とかよろしく!』って言っただけで確認らしい確認はしなかったよね?」

「…はい。」

「今から全身くまなく、なんて言わないけど僕は暇で、カエデさんは食器を洗い中、なら後側から確認できるものを見ても何ら問題はないんじゃないかな?」

「……理解できます。」


勝った、とカズキは思った。

カズキはスルスルと服をめくる。

カエデはもう許可したこと、といったように抵抗すること無く、すぐに食器洗いに戻り無言のまま受け入れる。


黒い細いタイプの下着がカエデの秘境を隠していた。

そっとなぞる、言うまでもないがこの時点でカズキのペニスはガチガチに固まっていた。流石にここでしごくことはできない。

今はせめて目に焼き付けるくらいだ。

色白な尻が眼前に現れる。

思わずはたきたくなるが流石にそれはためらわれた。


「すっげぇ…きれいだ…。」

「ありがとうございます。確認は終わりましたか?」


カズキは返答が耳に入らないほどに自分の心臓の音で耳がじんじんと痛かった。

おもむろに中指と薬指をクロッチ部分に沿わせ撫でる。

驚くべきことに、というほど驚いてはいないのだが、それでもやはり「あるんだ」という純粋な純然たる事実に打ち震える。

ぷにぷにの恥丘をかき分けて、突起を撫でる。


「カズキ様、確認作業は十分であると判断します。これ以上は個人ルールを逸脱した準犯罪行為になる可能性ぉ…あ………っ」


理路整然とした主張が唐突に途切れる。

何があったのか、といえばカズキで、すでに中指がパンツごと膣口を通り過ぎて膣内に入り込んでしまったからだ。

しまった、なんて言い方は卑怯ではあるが。


にゅぐっ……ぷぷっ……



「…っ」

「おぉお…あったか…とろ…ふわ…あっえぁ!?あ!ごめん!」


ここでとっさに謝るあたりやはり悪人になりきれない性格なのだろう。

カズキはとっさに手を離してしまう。

ぬくもり、というほど暖かくはないが、至高の領域である柔らかさから開放されてしまいすぐさまもったいなさを感じる。だが同時にやりすぎたと感じた。

いくら想い人とはいえ、強姦まがいのことを無理やりだなんて嫌だった、と思うくらいには理性が回復したのだ。

もちろん第三者が見れば、何を今更、と呆れられるだろうが。


「……………いいえ、当機は食器の洗浄を終えました。次の家事に移りたいと思います。カズキ様も手を洗浄した後、楽にしていてください。


少し驚く。

糾弾はない。流石に通報されるかもしれないと頭をよぎったのだがそれもない。

首筋のLEDが黄色く点滅しているということは何かを思考しているようだが、カズキにわかるはずもなく。

ただやっぱりなんだかんだ許してくれる、優しさのようなものを感じ、だからこそ罪悪感が募る。


「あ…う…うんごめん…。」



カズキは先程までの強気な姿勢から一点肩を落とすように洗面所へと向かった。

彼が気づくことはないがその後姿を、強い視線で見送るアンドロイドがいた。

その視線は睨むようでも蔑むようでもなく、………ただ、覗き見るような目だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



数日後の朝、カズキの端末が鳴る。

まだ眠たい目ををこすり、カーテンの隙間からこぼれ出る朝日に眩しさを感じつつ、壁に投影された時計システムの表示する時間を確認すると朝7時ちょっと前。

休日なのでカエデには朝8時に起こしてほしいと頼んでいたがまだきていない。当たり前だ。

そこでふと端末が鳴っていたことを思い出しそっちに目を向ける。

ハッとしてベッドから飛び起きる。

もしかしたらヨウコからの連絡なのかもしれないと焦ったのだ。ついにヨウコが数日前の魔が差した出来事に対してなにか言ってくるのではないか、ということに思い至った。


しかし、簡易表示名を見るとカズキの学友である橋本からだった。


『これから部活なし、あと卒業する先輩方混合で暇な奴らで遊園地行くんだけどお前もどうだ!?』


といういわゆる遊びへの誘いだった。

実を言うと、あの出来事から少しカエデとはギクシャクしてしまい、気分を切り替えたいと考えるようになっていた。

もちろん普通に話せば、返事をしてくれるし、以前よりも更に洗練された家事で楽ではあるのだが、いかんせん無言の時間が多い。

彼女がそういう性格なのか、アンドロイドが皆そういうものなのか、は不明だがカヅキは被害妄想的な無言の圧力をひしひしと感じていた。

だからこそ、これはいいきっかけになるかもしれないと、普段ならめんどくさいと断っていたところだが今日は行くことにする。

帰りになにかお土産でも買ってもいいかもしれない。


『ああ、行くよ。何時にどこ集合?』

『おっ珍しいな!断られるかと思ったぜ。……そう…だな、今んとこ東京駅に11時頃集合ってなってる。クラスの女子も結構来るっぽいぞ!』


返信が早い上にいらん情報までつけてくる橋本の陽キャっぷりにすっかり辟易という感じではあるが、この明るさが今は必要なのかもしれない。

カズキはベッドから降りて着替えを始めた。





少しの遠出、という感じの東京駅は過ごしやすい天気だった。

少しだけ太陽を煩わしく感じるのは普段から部活動以外引きこもっているからだろうか?

本来ならまだ肌寒い季節であるはずなのだが、街行く人はかなり薄手の長袖か、半袖の人間もちらほらいる。東京駅は当然、今日行く遊園地も最新技術である気温や湿度を管理してくれるサービスの恩恵を受けられる。

今日が雨でもない限りまず大丈夫だろう。

雨が降る場合は例え天気を操れるといっても晴れにはしないらしい。

技術的には可能でも植物の生育には良くないし、それに人間も永遠と晴れではバランスが崩れるそうだ。


しばらくして早く来すぎてしまったものの、橋本たちその他とゆっくり合流できて11時10分ごろには全員集まり出発できた。

殆どは同じ学年同じクラスなので見知った友人達がいる。

流石に部活動が違う上級生とは交流がないためよくわからないがある意味こういった場で交流するのが最適解なのかもしれない。


バスや徒歩を使って移動していると、すぐに遊園地に着くことができた。


さすが日本最大ということもあって大きい。

大きすぎるほどに大きいそれは容易にはぐれそうだということを悟る。

だがちらほら見てみればカズキ達一行の中にもなにやらカップルも結構いるような気がする。もしかするとはぐれるのを目的として行動するやつもいるのだろうか?


「なぁ、どれから行く!?」

「私ジェットコースター行きたーい!」

「お化け屋敷以外なら何でもいいよ。」

「逆にお前とお化け屋敷行きたくなったわ!」

「俺はジェットコースター賛成だけど…そうだな怖いから君一緒に乗らない?」

「えーせんぱーい可愛い~!」

「俺は腹減ったなぁそろそろ昼時だろ?」

「俺は前ニュースでやってたゼリープールっていうのに行きたいな…。」


まぁ二桁に登る人数がいるのだからこうなるのも当然で、だが驚くことなかれ、なんと橋本が指揮を取り、不満を出さず順番に回ることとなった。

もはや一種の才能だろう。


「お前すげぇな。」

「はっ、かのスケジューリングの神とは俺のことよ!」

「お前、前の体育でスリーポイントシュートの神自称してなかったか?」


と、くだらない会話ができるあたり、やはり楽しい。

邪推かも知れないが最近、挙動不審気味だった自分を憂いてくれたのかもしれない、そう思ったカズキは少し嬉しくなった。

こういう友人を大切にしようと思う反面、自身がやった準犯罪行為、もとい非現実的な数日前の出来事がどれだけ非常識なことだったかわかる。

だが、同時にこの「普通」というやり取り自体に言いようのない「飽き」を感じてしまう


だから、カズキは転落していくことを知らない。

目の前が未開の崖下へ続く坂で、転げ落ちていっていることに気づかない。


ふと、本当にふと、みんなで移動中に遊園地スタッフに目が行った。

タイトスカートを履いているにも関わらず座り込み、泣く女の子をあやすように優しく振る舞うお姉さん。首筋には仄かに黄色く光るLED。

女児を泣き止ませると、軽く抱き上げて、楽な姿勢にさせて、迷いなく歩先を進める。

迷子センターへ向かうのだろうと容易に想像できる。


カエデという人生での大きな転換点を知ったカズキは、日常に潜むアンドロイドを最近強く意識するようになった。女性型アンドロイド、というよりはアンドロイドという存在そのものを強く認識し始めたという感じだ。

店の店員や、学校の教師、用務員、公共交通機関における案内役、時折工事しているときも基本的に高所作業はアンドロイドがしている。

今まではそれを風景の一部としか認識しておらず、見向きもしなかったが、今は意識的に見るようになった。


だからこそ、遊園地のスタッフであるアンドロイドにも興味が出てしまう。

どれほどの機能があり、どういう仕組みで動いていてどこまで許容できるのか。


自然とカズキはグループから外れ、そして人の波からも外れ、閑散とした広場の隅へと来た。大量の面白い機械がたくさんある遊園地において、こういった休憩スペースはチラホラと人がいるのみだ。しかもカズキ以外には今しがたトイレから出ていって人混みに戻ろうとする中年男性と、ベンチで日向ぼっこしているのだろうか耳が遠い老夫婦。


人目がない、その一点だけでじわじわと悪意がこみ上げる。

自由で、全能であり、普通の人ができない「非日常」を体験したくなる。遊園地で提供される擬似的なものではなく、本物の非日常。


少ないとはいえ、休憩スペースに人がいるのであれば、当然近くにアンドロイドもいるだろう、と考えあたりをくまなく観察する。

カズキはトイレ裏で用具の整理をしている先程の女性型アンドロイドと似通ったアンドロイドを見つけ、たまたま見つけた、という体を装って声をかける。


「あ…すみません。」

「なにかお困りですか?」


にこやかに、こちらが加害欲を持っていることなんて微塵も考えていない表情に少し後ろめたさを感じる。だが、それを上回る性的好奇心。


「実は今、両腕を怪我していまして…。」

「それは大変ですね…中央救護室に至急連絡を入れた後ご案内させていただきます。」

「やっ…違うんです今は治療を終えて回復傾向に向かっているんですが、その実はお手洗いをしたいのですが、手がうまく使えなくて…ですね…?」

「はい。」


このあたりでカエデなら察してくれるのだろうが、「それでどうしたの?」というように少し小首をかしげるアンドロイドスタッフ。

生憎と、カズキは知らないことだが遊園地のアンドロイドの知能は平均的に高くない。なぜなら、遊園地という遊具を提供するこの地において、アンドロイドのスタッフにかけられる費用は多くないからだ。

高く少なく、ではなく安く多くということで、次の展開を予想する能力が低い彼ら一般アンドロイドスタッフには、はっきり言わなければ伝わらない。


「だから…おしっこを手伝っていただけないか、と。」

「……申し訳ありません当機のサービス内容にない項目です。一度中央管理室に連絡を取り、人間の男性スタッフを派遣いたします。」

「あっでもその…そろそろ漏れそうで…今すぐ…できませんか?」


申し訳無さそうな態度でお願いする。

判断を仰がれれば最悪お縄になるが、こんなに人がいる中、通信速度がお世辞にもいいとは思えない。カズキの端末で確認してもさっきから6Gで2本しか電波は建っていなかった。一世代前の通信速度程度に落ちている。


「……当該案件における、緊急性を確認しました。規定により逐次行動記録に記録を取った上で独断での判断で行動するモードに移行します。」


行動記録、という言葉にカズキは反射的に震えるが、よく考えてみれば誰が数千もいるアンドロイドの一体の行動記録を入念に調べるというのだ、と楽観視する。

そしてそれは概ね正しい。


「しかし当機は男性トイレへの通常業務以外での入室を許可されていません。よって男女共用トイレでの処置でよろしいでしょうか?」


カズキは快諾すると同時に「なんで女性用トイレは使えるんだろう?」という素直な疑問を感じたが今はいい。

案内されるがままカズキは周囲を確認して、共用トイレに一緒に入る。

周りには誰もいない。老夫婦も全くと言っていいほど微動だにせず死んでいるんじゃないかとさえ思ってしまう。

だが、入室と同時にそんなことは一瞬で忘れて、密室に二人っきりとなった。


共用トイレは、広く設計されている。

大人から子供まで、障害を抱え車椅子で移動する人にも配慮した親切設計。

正直現代はどこでも高性能なトイレが配備される時代なので、こういった外のトイレに新鮮味を覚えるカズキであった。

隅々まで行き届いた清掃。糞尿などの臭いはせず、きつくないフローラルな香りであり、壁には補助用のロボットアームが設置してある。

トイレットペーパーのクズが転がっていることも、多足類の昆虫が徘徊していることもない。何なら泊まってしまえそうな、そんな良い男女共用トイレだった。


カズキがボケっと部屋を見回していると、アンドロイドスタッフがくるりと身を翻してカヅキと対面する形になる。

視線を一瞬壁に飛ばすと、壁から男性専用の立ち小便器が展開される。

そこにしろ、ということなのだろう。


「それでは失礼します。」


女性スタッフアンドロイドがカズキのベルトを少し緩める。

AVなどで見る前戯や致す前のやり取りが無いのは残念だがあくまで今回の目的はとりあえず「ペニスを触らせる的なエロいことをする」だ。

カズキたちが便器の前に立つと反応して便器が身長に合わせて高さを変える。

優しい、されど丁寧で的確な手付きでカズキのズボンのチャックが下ろされた。


じぃいぃ…ぃいいぃ…じじじぃじじぃぃぃいいぃ…


続いて、下着の隙間に手が入ってくる。

手袋を装着した細い指先が優しくカズキのペニスの中腹に触れ、痛くない程度に強く引いて、ズボンから引っ張り出す。


ぼろっん


自身のペニスが、人ではないとは言え女性に酷似した姿のものに触れられている。

それだけで普段なら勃起モノではあるが、同時にこの状況による萎縮によってどうしても勃起までいかない。


「お客様?」


ぼーっと状況を飲み込めずただされるがままの姿勢になっていたカズキを見上げる形で、女性スタッフが問う。

彼女に視線を向けると、今日見かけた女児への対応のときのように、片膝を上げる形でしゃがんでいるのでどうしてもタイトスカートの奥が見えてしまう。

誰も覗きやしないだろうという先入観からデザインされた遊園地の制服はいささか目に毒だったりする。


「排尿できそうですか?」

「えっあっうん!はい!」


年甲斐もなく「うん」と言ってしまった気恥ずかしさとともに、排尿する感覚になる。一拍遅れて尿道を通る尿は一気に吐き出された。


「その、俺のちんこ…どうですか?」

「どうとは一体何を指しているのですか?」


不意に、カエデにした質問をしてみたくなって聞いてみる。


「大きさとか色とか…好きですか?」

「……それは排尿の介助に必要な質問でしょうか?」

「…えっと…緊張しちゃって…なにか話せればなと思っただけなんです…すみません。」

「…………当機は人間の女性と違い疑似生殖機巧を搭載されていないため、他の男性の性器を確認したことがありません。しかしながら日本人男性における弛緩時の平均ペニスサイズよりは少し大きいのではないでしょうか?」


淡々と吐き出される、機械的とはいえ淫らな言語の羅列。


「好み、という観点ではお応えできません。前述の通り当機は性交渉に至ることが不可能なため過去のデータから算出し自身における「好み」を把握できていません。」

「そっか……。」

「しかしながら、清潔にされている様子ですし、当機のボディは成人女性を基本としているため仮に生殖機巧が備わっていたとして、円滑な生殖行為をすることができる生殖器形状だと判断できます。よって「良いペニス」と当機は判断します。」

「そ……そうなんだ…ありがとう。」


そこまで真剣に答えてくれるとは思っていなかったので単純に驚いたカズキは、同時に長ったらしく述べられたが全体的に高評価なようなのでご満悦だった。


彼女がなぜそこまで真剣に答えたのか、といえば理由はもちろんある。

ただのアンドロイドでさえ、「人間の幸福を願う」という行動原理があるのに、遊園地という人を楽しませることに主眼をおいた施設のアンドロイドなのだから、情報が少ない中でもなんとか相手を持ち上げる、褒めるという行為に真摯なのだ。


びちびちと便器の中に落ちていく小便。

しかし、この状況になるために言い出したのだからさほど膀胱に溜まっていたわけではない。すぐに下火になり終わってしまう。


「終わりましたね。それでは失礼します。」


いつの間にか準備していた、きれいに折りたたまれたトイレットペーパーでアンドロイドスタッフが尿道口をきれいに拭いていく。

自分でやるのとは決定的に違う力使いで亀頭が刺激される。なにより、先程の称賛で緊張などという初々しい感覚は消え去っていた。

それがカズキの限界を超える形となる。


ガチガチに勃起しきったペニス。

血管が浮き出て貼り巡っており、綺麗に、上へと重たい首を持ち上げる亀のように立派だ。

アンドロイドスタッフも流石に一時停止する。


「その…すみません…。」


一応、彼女の出方を見るために謝罪する。

しかし同時にこの状態ではたとえカズキであってもペニスを元通りにズボンへ仕舞うのは簡単ではない。

これこそが目的でもあった。順調に行き過ぎたと思うが自分でよく突発的に練ったにしてはいい計画の進み具合。


「…いえ、男性の生理機能では仕方ありません。当然のことです。」

「でもこれって…その犯罪になりますか?」


いわゆる猥褻物陳列罪。

わかっていたことだ。しかし同時にトイレなんだから勃起しても罪に問われないのではないか?とも思っていた。


「………いいえ、意図的に勃起状態で性器を晒したわけではないので通報義務は発生しません。しかしながらこの状態ではこのまま衣服内に納める事は困難となります。一度ベルトをしっかりと取り外しズボンを履き直す形を取らさせていただきます。」


それなら確実にちゃんとしまうことができるだろう。

だがそれでは困る。


「いや、その…そのまましまっても痛いだろうし…できればその、ここ数日腕が使えなくて射精できてないのでそっちも手伝ってもらえませんか?」

「……それは性処理をしてくれという要求ですか?その場合中央管理室に確認します。禁止用語に該当する発言を確認したため行動記録に記載します。一定の合理性が見られない場合は遊園地内にある警備に連絡した後、警察に通報いたします。」


首のLEDが黄色に点滅し始める。

絶対的ピンチになるがそこまで焦ってはいないカズキだった。そこそこ頭のいいカズキにとって相手を言い負かす大変さは理解しているつもりだ、だが相手の意見を誘導することはそれほど難しいことではないと思っている。


「いや、待って。ここは遊園地で、僕はお客さんだよね?ならお客さんのゆうことを聞く義務があるんじゃない?」

「確かにお客様が最高の時を過ごせるように動くことは絶対事項です。しかしながら法律に定められていないサービスを提供することはできません。遊園地内でお客様の性処理することは風営法に反するものとなります。」

「かもね…」


相手の意見を否定はしない。アンドロイドはともかく人間は時に感情的になり、それが正論だとしても認めることができなくなるのはよくあることだ。

だから落ち着いた様子を見せ、こっちに正当性があるようにAIに誤認させる。

AIはなにもこちらの言語だけを判断基準にしているわけではない。

どんなに低スペックなAIでも正式な出荷をなされている時点で、規定水準を満たしているのだから。


「でもさっき、普段とは違うモードに入って、自分で考えるってしてたよね?僕は今、両腕が上手く使えない。使えたとしても激痛が走る。であるならば一時的とは言え僕は、怪我人であり障がい者だ。ということはスタッフによる介助が必要だと思わない?。」

「はい。」

「それはさっきのお手洗いもそう。他の人に頼める?それだけで捕まっちゃうよ。じゃあ男性型アンドロイドのスタッフを待つ?漏らしちゃうし、目の前に女性型とはいえ『人間ではない人間の代わりになる頼りになる存在』がいるんだったら女性型であることなんて些細な事じゃないかな?」


当然のようにこれは必然だったと伝える。


「一定の合理性を感じます。」

「うん、そこでたまたま生理現象として勃起してしまった。ならまたここから誰かを探す?」

「………統計的に一定時間待てば海綿体から血液が身体に戻り、勃起状態が収束する可能性が高いと判断できます。」

「待ってる間ずっとここでこれ出したまま?」

「…。」

「アンドロイドが人間の形をしているのは人間ができることを代わりにするためだよね?」


巨大ロボットや異形型ロボットが広まらない、大量生産されない理由はそこにある。

この世界は人間が住みやすいように作られている。

2mほどの大きなロボットを作って、その分大きなエンジンを搭載して、大きなものを運ぶのは効率的かもしれない。しかし、それでは家の中に荷物を運ぶことができない。

作るロボットのためにドアも大きくするのか?一体一体ごとに環境を変化させるのか?というより、人間と変わらない姿かたちにすることで「今までの環境を変えること無く人間を手伝えるもの」それが人型ロボットのレーゾンデートル。


「はい。」

「じゃあ今僕にできないことをしてもらうのは、たとえサービスの対象外であっても円滑に進めるため臨機応変に対応するべきではない?お姉さんが、自分で考えて、さ。」

「………はい。」

「そういった一つ一つの細かな臨機応変な対応が「神対応」とか言われてネットで話題となってひいてはこの遊園地の評判を上げる。つまりは君の雇い主である人も喜ぶってことだよ。」


明確なメリットを最後に持ってくることで話の大筋を、良いものとする。

カズキが身につけたある意味処世術をフル活用して誘導していった。


「かしこまりました。一定の合理性を確認できました。絶対的な規則なので行動記録は取らさせていただきます。電波的な乱れから時間がかかること、そもそも問題にするほどのことではない事を考慮し、連絡と通報は中止しました。」

「ありがとう…ふぅ。」


内心だいぶ綱渡りだったな、という感じがカズキにはあった。

いろいろ言葉をまくし立てたが、結局のところ屁理屈。


にゅくちっ……


カズキの未だ長い会話をしていても硬さを失わないペニスが跳ねた。

それはきっと喜びからくるものだろう。

アンドロイドスタッフはするりと竿を優しくつかむと、黙って先端から根本まで動かす。ゆっくりと包皮が剥け、カリ首が露出する。

スースーする感覚を感じながら突然襲ってくる強い刺激にカズキは背を伸ばす。


「痛くはありませんか?」

「はぃ…良いです…けど、経験ないって言ったのに…こういう事はできるんですね…。」

「……はい、当機は性交渉はできませんが性接待を時折管理者から要求されます。」


まじか、とカズキはかの有名な「夢の国」の裏側を知ってしまって少し残念に思った。口ぶりから一度や二度ではないのだろう。


にゅっく…にゅじっ…く…


淡々と作業するような対応。

それもまたいいが、カズキはせっかくだと踏み込む。


「お姉さんの…その乳房とかスカートの中が見れるともっと早く…射精できると思う…。」

「……かしこまりました。本来であれば、指定の場所以外での装備のパージは違反でありますが、共用トイレでは緊急時着替えなども行うことがあるため特例で肯定します。」


カズキの言葉にいやに素直にうなずき、そして「次はないからな?」なんて目で睨みつけてくるアンドロイドスタッフ。

しかしきちんと理由を述べれば、それほど高度な知能を持ってないAIは問答よりも早く解決すると判断したに過ぎないことをカズキは知らない。


しゅるっ…しゅる…


カズキのペニスをしごき続ける方とは逆の手で自分の制服のネクタイの紐を解く。

器用にボタンを外していき、服にゆとりが生まれた。そこでそこそこのサイズの乳房をワイシャツの中からおもむろに出す。


ぶるっ


カズキは目を見張る。それと同時によりペニスの硬度が増していくのがわかった。

女性スタッフの乳房は、若々しい張ったものというよりは、少し劣化した、界隈で言うところのいわゆるタレ乳に該当するような形状の乳房だった。

乳首はついていないが、先端は下を向き、腕を動かすたびに左右に揺れ続ける。


普段から笑顔を振りまき困った人に手を差し伸べているアンドロイドスタッフの胸部には使い古されたような長乳があるということを知って異様に興奮するカズキ。


「勃起率3%向上を確認……事実なんですね。」


すぐに今度はスカートのサイドにあるジッパーを落とす。

中から一気に圧力が逃げるように、一度切れ込みを入れただけでバツっと開いた。それほど足が太いのかもしれない。

スカートを落とすとパンストがあり、その下にはあろうことか下着をつけていない。

薄っすらと陰毛と性器が見える。

カズキのペニスがより一層脈動する。


正直、遊園地のスタッフに手を出すことを決めたのはついさっき、まさか性器がついているとは夢にも思わなかった。


「てっきり…まんこはついてないもんだと…。それに毛も…。」


まだまだ初なカズキにとっては陰毛、女性に毛が生えているというのには素直に頷けない。悪くはないのだが。


「いいえこれは…「まんこ」つまり女性器に該当する機巧ではありません。これは社内規則で伝えてはならないことと定められていないのでお答えしますが、私たちは常に水分をとって機体を冷却しています。休憩なしに丸一日稼働し続けることが可能ですが経年劣化が進みやすくなるという観点から、人間で言うところの水分補給をします。そして排尿というかたちで冷却水を排出します。」

「ということはそれは…」

「はい女性器に似てはいますが人間でいうところの尿道にあたります。一度に大量に出すため、特殊な形態となっており、指が容易にはいるほど太いので洗浄しやすくなっております。」

「ふーん…うっ!」

「また、毛、という呼び方ではありませんが、デリケートな部分を保護するための緩衝材の役目として装着した、と管理者は記録に残しております。」


それは単にそいつの趣味では、と思うカズキは快楽に至高を乱される。

カズキが面白いことを聞いたと思った矢先、ゆっくりとだが確実に興奮の限界へと導かれ続けていたペニスから救難信号が届く。

風俗に関わるアンドロイドではないためぎこちない動きではあるが、童貞であるカズキにとってペニスに自分以外の意志が介在する接触というのは、それだけで性的快楽を感じるには十分だ。


ぐしゅっ…にゅぐばっ…


カウパーが漏れ出て、スタッフの手とペニスの隙間に入り込み、滑りを良くし、刺激をあげていく。

上気したカズキの顔は、いささか情けない様相だった。

しかしちらりと横目で見れば、パンストをおろし、よく見ると生殖器ではない特徴的な女性の股間をさらしただ無表情にカズキのペニスを刺激する彼女の目が飛び込んできた。

普通ならゾッとするような、それこそまさに無機物がこちらを覗くような不気味さを感じるのが当たり前だろう。


だが、この目だ、とカズキはさらなる興奮を隠せない。

カエデと同じ、人間を観察し、どうすればタスクを効率的に終了させることができるかしか考えていない純粋な目。


カズキは咄嗟にスタッフの頭をつかむ。

サラサラとした髪の毛を指に絡ませながら、頭部をがっしりと掴み、対面するような体勢の変化を加える。

強制的なイラマチオ。


「おごるぇっ!ぼぷっ!」


美しい女性が、汚い音を口からこぼす。

カズキの14cmはあるペニスが根本まで飲み込まれる。人間では嘔吐するレベルの衝撃と雄臭さ。しかし女性スタッフは全く動じることはなく上目遣いでカヅキを見つめる。

手は自然とカズキの大腿部に添え、抵抗するような素振りを見せない。


決して、受け入れた、というわけではない。


彼女に、性器を口に入れるという知識はない。管理者もそんなことはしなかった。彼女には。

それが性的な行為という定義付けがなされていない。

忘れがちではあるが本来は性器を口で奉仕する行為はマニアックと称される部類の行為であり、性処理の例にはなり得ない。

それでいて彼女は自己防衛ランクが低く設定されている。

よって口の中に異物が突然入り、口の中の人工粘膜が多少傷つこうと気にすることはない。


だがもちろん、何も聞かれない、なんて都合のいいことはない。


『……お客様、なぜ口腔内に性器を挿入されるのですか?暴行・私物破損の罪に問われる可能性があります。』


彼女は淡々とLEDから電子音声で告げる。

カズキは快楽に支配されつつある脳をなんとか回転させて、必死に考える。

特に何も考えず快楽を貪るためにやった行為なのだから咄嗟には出て来ない、しかし腕は止まらない。考える間も動かし続ける。


機体が勝手に口腔内に異物を感じ、人工の唾液を大量に分泌することで粘りと潤滑性が増す。竿と唇の一瞬の隙間からねとっと唾液が漏れ出る。

それはたしかに唾液ではあるが、カズキの人生で一番分泌されつつあるカウパーも混ざった淫らな液体だ。


にゅぶちゅっ!ちゅるっ!ちゅぼっ!


「えっと……ふっ…そっ…そう、こうしたほうが早く射精できるんだ…よ…ぐっ…!」

『それは理解できます、しかし後始末という観点から非合理的であると判断します。手淫による刺激のほうが手の洗浄、及び尿道球腺液、精液を洗い流すだけで終了します。』


過去のデータから手淫しか経験のない彼女にとっては非合理に思える口淫。


「かもっぉ゛っ…ね?けど、俺は思ぅっ……ほぉっ……何かできれいに包んだっほうが…トイレ内に飛び散らない…だろぉっ!?」


カズキはだいぶ限界が近いのか、言葉が乱れ続けていた。

とっさに出た言葉は最近見るようになったアンドロイドレイプもののAVでのセリフ「おらっ!オナホアンドロイドっ!口の中でしっかり受け止めろ!?こぼしたら始末が面倒だからなぁ!お前はザーメンのゴミ箱だっ!」だ。


ちゅぼっ!ちゅるっ……にゅるろっぶちゅっ!


手での圧力をできるだけ再現するために意図的ではない口淫の圧力でアンドロイドスタッフの顔がゆがむ。いわゆるひょっとこフェラに近い。

竿についたあらゆる粘液がしっかりと唇でこそぎ落とされていき、キレイなはち切れんばかりの竿の中腹が口から吐き出される。

そして勢いよく突き入れられて、ブニブニの舌に受け止められる。


『確かに…より密着した状態でペニスの形状に沿った形に変化できる口腔で刺激を施すことは合理的であるという点は理解できます。』


どういった判断基準で納得に至ったのかは詳しくはわからない。

だがどうでもいい。気持ちよければ。

納得がいったからなのか、口淫のプログラムがないはずなのに、裏筋を舌でなめ、カリ首を刺激し、吐き出されるときには強く吸引してくる。


「ぐっ…ぁがっ!?」


それが最後の我慢を決壊させる。

勢いよく尿道に流入する精液。

すぐに、カズキの人生において、1人で慰め続けた行為とは比べ物にならないほどの興奮で吐き出されるこの一連の「吐精作業」は終わりを迎える。


「あぐぁっあっでっでるっでる!射精る射精る!おっぅおお飲んでっ飲めっ飲み込めっ!」


ぐびゅるっぶびゅうぅびゅっ!!………びゅ……びゅるびゅっ………ぴゅ…


「ほぶっ…ぷぶぼっ…ぷっ…………」


喉奥での衝撃。ガッチリとホールドし、女性スタッフの鼻腔が竿の根本にしっかりと潰されるほどに密着した喉奥での射精。

一気に疑似食道へ流入し、女性スタッフアンドロイドの口腔内を真っ白に染め上げる。

歯の隙間すべてを埋めることができたんじゃないかと思うほどの達成感。

実際は現実的な射精量でしかないが、彼にとってそんなことはどうでもいいだろう。

相手を征服するような達成感と全能感、それは男子高校生には甘すぎる果実だ。

目にはアンドロイドを犯し尽くしたいという純粋な狂気しか宿っていないと、第三者がいれば思うことだろう。それほどの絶頂を迎えた。


「んっんぐっ………ぐっ……ん……。」

「ひっ!?……おぐ……………!?」


最高に敏感になった亀頭を撫でられ、射精を終えてすっきりしたカズキは情けなく女々しい声を漏らした。

蠕動する食道に刺激されるペニス。

ゆっくりと亀頭を撫で回し、射精による硬度の低下で少し余裕のできた包皮内を舌が走る。まるで掃除するように、きれいに拭うと、そのままゆっくりと顔を引いて、口をすぼめながらペニスを吐き出していく。


にゅぷ………にゅる……にゅるろろろるっにゅっ……ぷぶっ……


きれいな、精液や唾液の泡など一切ついていない柔らかくなったペニスが口外に吐き出された。

そこでようやく、カズキはアンドロイドスタッフが自身の精液を完璧に飲み干してしまったのだと気づく。

目の前の牝の体内に自身の子種が残された背徳感ともいうべき幸福。

それと同時に感じる疑問。絶頂してから1分ほど余韻に浸っていたからこそ冷静に考え始められるカズキをよそに、アンドロイドはまるで美味しいものを食べたときにする漫画のように唇の周りを舌で舐め取りきれいにする。もしかするとカズキの陰毛すら飲み込んでしまったかもしれない。


「こぷ……非常に合理的な要求でした。」

「…え?」

「口腔内で射精をすることで精液を一滴残らず機体内に納めることができました。トイレ内に飛び散ること無く、また口腔内は自動で唾液で洗浄されるので、なんの支障もありません。」

「機体内の冷却液と混合しても水分の比率から故障の原因に足りえません。咄嗟の判断ありがとうございます。」


そんな事を考えて飲み込めと命令した訳では無いが、それで納得しているのであれば僥倖だ、とカズキは半歩後ずさる。


「しかし、お客様は両手を負傷なさっているはずです…仮に虚偽情報による利益追求は詐欺罪として処罰される可能性があります。」


お前腕使ってただろ?騙したのか?という意味だろう。

確かに興奮ですっかり腕の負傷から、吐精作業を始めたのだということを忘れていた。


「そっ…そのえと…いっいだっ……いてててっ!」

「中央救護室に至急連絡をいれます。」

「やっその痛いんだけど、その大丈夫!」

「……かしこまりました。」

「その…違うんだ、ただその君の吐精作業があまりにもすごくて痛みを超えるほどに…ね?やっぱり遊園地のお姉さんはすごいよ!怪我を感じさせないほどのサービス(奉仕)…きてよかった!」

「……………………それは良かったです。それでは吐精作業は完了したと判断します。衣服の乱れを直した後、当機は通常業務に戻ります。」


今までで一番長い無言。

無表情でカズキを見つめ続け、口を開いたと思えば納得した様子にカズキは気味が悪かった。これが人間なら実は怒っているんじゃ、と思うし、怒っているとわかるならまだ安心と思えるのだが、何を考えているのか一切読めないアンドロイドの無言は怖すぎる。


アンドロイドスタッフは衣服を完璧に元通りに着直すと、そのままカズキの柔らかくなったペニスをきれいにハンカチで拭き始める。

ここでトイレットペーパーでないあたり、やはり手淫の経験は生かされているのだろう。

すでに力なくしぼんでしまったペニスはまだ少し敏感ではあるが、すんなりと布の刺激を受け入れることができた。

普段読むエロ漫画ならここで再度勃起して…、というふうにいくのだが、まず無理だ。

カズキは一日一回の射精しかできないし、流石に早すぎる。

もう少し時間を置かないと難しい。


「それでは当遊園地をこれからもよろしくお願いいたします。」


きれいな所作でお辞儀をする彼女に見とれてしまう。

アンドロイドで女性ならば誰でもいいのかもしれないと思いつつ、しかしここがトイレであるということを思い出して、なんとも格好の付かないサービスだなと思うカズキだった。


カズキは人混みの方へきれいな歩き方で向かうスタッフの後ろ姿を眺める。

カズキの濃厚なザーメンを胃袋にいれたまま、これから彼女は小さな子どもたちを笑顔にするために会話するのだ。

今日見た迷子の女の子はもしかしたら自分を助けてくれたお姉さんと同じ見た目をしたお姉さんから知らない匂いを感じるんだろう。

きれいなお姉さんの口から、生臭い栗の花の匂いを、対面するそのきれいな女性の胃袋には何億もの精虫がうごめいていて、それが自分の体に入れば子供ができてしまう可能性を知らない。

多くの人の笑顔の裏には淫らな現実が隠れている可能性もあるということだ。


賢者モードのカズキはそんなどうでもいいコトを考えて、トイレをでた。





「おいカズキ!どこ行ってたんだ!?」

「すまん、腹が痛くなってな。トイレでこもってたよ。」


まぁ嘘ではない。実際トイレにはいたわけで。


「そうか…大丈夫か?体調悪いなら今日はもう帰るか?送るぞ?」


相変わらず変に優しいやつだなと思いながら、しかし自分はもう前までの平凡な立花カズキではないんだという謎の思いに駆られて悠々と笑う。

そんな話をしていると、タツヤを呼ぶ声が聞こえる。

どうやら観覧車に乗るようだが、1人たらないらしい。だがタツヤが合流しても結局1人余ることに変わりはない。


「タツヤ、行ってこいよ。俺はいつまた腹痛くなるかわからねぇし、…そのほらトイレくさいからもう少し1人で、な?」

「……お前がそう言うならいいけどよ、体調悪くなったらちゃんと言えよ?何ならそこらのアンドロイドにでも言ってよ、な?」

「ああ、わかってる。」


そう軽く手を上げると、タツヤは一行の方へ走っていく。

もちろん特にすることもないので、後ろからひっそりと他の一般客を混ぜてカズキも観覧の列に並ぶ。

よくよく考えてみれば、セックスもしたことのない童貞の身で、今日、初めてであった女にイラマチオをさせた…その一点だけで満足いくものだ。

だからこそこの酔いを覚ましたくはなかった。

カズキは思案し、そして思い起こす。先程吐精してくれたアンドロイドスタッフが言っていたことを。そこから、近くのゴミ箱にあるあるものを取り、再度列に並んだ。

自分はそういう、エロいいたずらを考える天才なんじゃないか、とすら思えてくる。

ただ先程までと違って1人で乗るつもりというわけでもない。


「すみません。」

「どうされました?」


観覧車の列の先頭。入り口にいる2人のスタッフのうち、片方の女性型アンドロイドに声をかける。先程イラマチオをさせた女性スタッフとは違い、どこか清楚な感じ、黒髪ロングで前髪を一直線に切りそろえた美人さんだ。

胸は絶壁といった感じではあるが、可愛ければ何でもいい。それに今回は胸は関係ない。

その魅力的なぶっとい太ももが囲う部分が見たいのだから。


「実は恥ずかしい話、一緒に乗ってくれる人がいなくて…景色は見てみたいんですが、1人だと怖いですし…。」


と弱々しく語る。

先ほどとは打って変わって、もとより想定されていたやり取りなのだろう。

女性アンドロイドスタッフは手を軽く合唱するようにぽんと叩くと笑顔で答えた。


「かしこまりました!では不肖このミオが一緒に乗りましょう!」


まるで先程までのアンドロイドと同じ所属であるとは思えない感情の豊かさ、いささか驚くカズキだった。

おそらく遊園地内の特定の遊具には担当の係りがいて、客が困ったときすぐに対応できるように高度なAIが搭載されているのだろう。


カズキは感謝を述べると、観覧車に乗り込む。

そのとなりにはまるで最初から一緒に来ましたと言った風に装って、知り合いのように自然に乗り込む女性型アンドロイドスタッフ、ミオの姿があった。

終始周りからは白い目、男性客からは嫉妬の目で見られるが、そんなことを気にするほど平静ではない。これからいろいろなことをするのだから。


一周17分。時間はさほどないが、短すぎるということもない。

少し上がって、外の人に角度的に見えることのない高度まで来たらカズキは行動を開始した。もとより観覧車内にカメラが存在しないことは確認している。


「その、ミオ…さん。」

「ミオでいいですよ!どうされました?」

「この遊園地のアンドロイドの方々はみんな水分補給を良くしているんですよね?」

「よくご存知ですね!そうです!よりお客様を長時間楽しませることができるように、大きめの給水タンクを内蔵していて、活動時間の大幅な向上を図れました!」


元気に答えるミオにカズキは暗い欲望を持って口がニヤけるのを抑える。


「そうなんですね、それで聞くところによると、排水もしやすいように改良されているとか?」

「はいっ!使用済みの冷却液を機体外に排出するための管が通常よりも太くなっています!」


本来なら人間ならここらで、不穏な感じを抱き警戒するだろう。だが彼女は人ではない。またこの遊園地ではアンドロイドの特徴を伝えることを是としている。ならば違和感はないはずだと推測したカズキの予想はあたっていた。


「素晴らしいですねそこまで考えられているなんて…。見てみたいな……。」


聞こえるか聞こえないかの声で、ではない聞こえることをわかった上で最低限の言葉で要求する。まるで聞かせる気はなかったのに聞こえてしまった感を装うために。


「大変申し訳ありません、当遊園地では指定の場所以外でのスタッフの制服を外すことは許可されていないんです。だからお客様に当機の排水作業をお見せすることはできません…。」


申し訳無さそうに謝罪するミオ。


「なんでですか?」

「……そうですね、おそらく公序良俗に反するからだと思われます。」


自分の感想や推測を素早く述べることができる。

これはかなり高度なAIが搭載されていることが伺える。それは当然のことで、あまりにも程度が低いAIを搭載したアンドロイドに遊具の係として配置してしまうと人的な事故が起きた際に対応が遅れたり、悲惨な結果になるかもしれないことを考慮して、だ。

特に観覧車という高度をスリルとして楽しんでもらうような遊具では人一倍安全管理が求められる。


「公序良俗ですか…ですがここは個室であり、誰も見られる環境にない。つまり私有地内の個室は公共の場ではないと考えられませんか?」


屁理屈なのは百も承知だが、どこか吹っ切れているカズキは気にすることはない。


「確かに、ここは私有地ですから公共の場とはいえません。しかし、かと言って当遊園地関係者ではないお客様に排水処理は見せることはできません。」


淡々と申し訳無さそうに謝るミオは本心で謝っているのだろう。

こちらが淫らな目的で要求しているのにもかかわらず、それを知ること無く、客の要求をかなえられない自分に不甲斐なさを感じている。という表情だ。


「……実は僕はアンドロイドを研究したいと将来は思っているのですが、一番の改善点はやっぱり運動効率だと思うんです。」

「それは素晴らしい夢ですね!」


だからアプローチを変えてみることにしたカズキ。


「それでですね?この遊園地は『夢』を叶えてくれる『夢の国』って言われてますよね?」

「はい、そう思っていただけるよう最大限努力しております!」

「じゃあ僕の『夢』を叶えてくれませんか?何も制服をすべて脱いでほしいとはいってないんです。実際の排水シーンを見て、後学のためになればより良い将来を得られる気がするんです。『夢が叶う』といった…。」

「………。」


カズキが行ったのはいわゆる「ダジャレ」のようなもので。

夢の国、とは夢のように何でもできて素晴らしい場所という意味合いがある。しかしカズキが語る「夢」は将来の現実的な夢という意味。

人間にはニュアンスや会話の流れで理解することができる。

しかしアンドロイドにとって同じ言葉は同じ意味を持つもの。


「………かしこまりました。しかしここでは遊具を汚してしまう形となります。一度観覧車を降車してから中央管理室に連絡を取り、非公開の場での……」


要求を通すという第一段階はクリア、次の条件設定が気になるところではある。


「いや、ここにポップコーンの空になった容器があるし、わざわざそんな大事にしなくていいと思う。僕はまだ将来が不安だ。あまり多くの人に僕の事情を知られたくない。ミオさんだから頼んだんだ。」


薄っぺらい言葉、それでも人「様」の言葉。アンドロイドに無視はできない。

夢の国に夢を求めてきた人が夢を知られて嘲笑されるなどあってはならない。

であれば、柔軟な(曖昧な=ファジー)な対応を人工知能ははじき出さねばならない。


「……かしこまりました!行動記録には残ってしまいますそこはご容赦ください。しかし当遊園地はお客様を幸せにする場所です。管理者である方々も例えお客様の意向を示した行動記録を見ても察していただけることでしょう!」


まるで、人間は善人しかいない、そう思っているかのようにはつらつな快諾。

高度なAIだからこそ自己判断で間違う。

行動記録に残ろうと、数百といるアンドロイドスタッフの行動・言動をいちいち把握していることなどありえない。

カズキはそう確信してこの行動に出ていた。


「そっかありがとう。ミオさんは優しいね。」

「ミオでいいですよ!それでは時間が差し迫っているので、失礼いたします。」


ミオはそういうと、素早い人間的ななめらかな動きでスカートをパージしていく。

トイレでいたずらさせてもらったアンドロイドと変わらない。スカートが落ちて、パンストに。それで薄っすらと陰毛の生えた恥丘が見えるようになる。

ストッキングをシュルシュルと脱ぐミオは嫌悪感などない清々しい顔だ。まさに人ではない人外の笑み。


そのまま、彼女がするとは思えない、そう断言できる体勢になる。

いわゆる剣道で言うところの蹲踞。

観覧車というバランスの悪いところで、つま先だけで座席に立つのでよほどのバランス感覚、つまりは高度な姿勢制御能力があるらしい。

カズキはまじまじと股間を見る。

そして何よりその時気づいた、自分の股間も痛くなっていることを。先程、人生最高の射精を迎えたばかりなのに、もう興奮して身体のポテンシャルが追いついていない。

強制的な勃起に、摩耗した血管や海綿体が悲鳴を上げているのだろう。


だがそんなことはどうでもいい。男ならこんな状況何度だって勃って然るべき。


「見えますか?」


なんの恥じらいもない顔で、「くぱぁ」と自身の股の間の秘裂を開く。

女性器とは違う、大陰唇や小陰唇は見られないが、まるできれいな肛門がついているような見た目、しかもひくひくと動いている。

動作チェックなのだろう。


カズキは無言で持ってきたポップコーンの空の容器を、ゴンドラの床に置く。


「もう少しカズキ様から見て奥に置いていただけますか?……ありがとうございます!」


何がありがとうだ、と誰もが思うだろう。

それほどにおかしな光景。大和撫子と言っていい女性が股間をおっぴろげて男性客に見せている構図は管理人たちが見たら慌てる事間違いなしだろう。


「軽く説明を、当機のようなモデルが搭載しているこの排水機巧は特別性です。まず本来は7-8mmほどある尿道ですが、私たちは20mmほどまで自在に太くすることが可能です。」

「へっへ~…。」

「また、口径が大きくなったことで、不純物が入ることを防ぐために普段は8mmほどにまで収縮する上に、入口付近は開閉可能仕様となっております。」


おそらくくぱくぱとしているところが開閉できる、といった部分なのだろう。


「それでは排出させていただきます。何度もできるものではないので見逃さないようにお願いします。上手く「夢」に生かしていただければ幸いです。」


そう言うとシンと静まり返る。

まるでこのゴンドラ内が一種の異界のように思えた。

ちょうど観覧車の頂点。静寂を激しい水音が蹂躙する。


ぶしゅるっ!ぶしゅびっびしゅああぁしゅっびっしゅびぁしゅあぁあぁあああびしゅっ!


いくらそういった行為ができない特殊な構造へと改造されているアンドロイドと言えど、これではただの放尿姿を晒す変態女でしかない。

それを要求した側である自分の変態性はさておき、カズキはじんじんと痛む自身のペニスに自然と手を持っていく。


おおよそ女性がするような勢いではない。

そもそもおしっこではないのだが、それでもそれはまるで高圧洗浄機のように恥じること無く堂々と行われる。

きれいな放物線を描いて、最初こそ少し飛沫が飛び上がっていたものがひとつの流れに任せて動く。

無色の透明な液体がどんどん容器に溜まっていく。

臭いもしなければ汚いものでもない。しかしカズキは清廉潔白といった笑顔で排水するミオに耐えきれず、ついに自身の性器を露出する。


続いて理性を失ったように、ミオの肩に乱暴に手を置き、身体を密着させる。

当然自身のズボンが水浸しになるが、そんなことはもうどうでもいい。

カズキは、強引に、力任せに、乱暴に、…………強姦する。


めりっぶりゅっにゅぐるぶぷにゅっ!ぶぴぃいっぷっ!


「ぐっごめっん!うおぉお!すごっ!?」


カズキのペニスが刺さったのは当然排水中の管の中、つまり人間で例えるなら尿道に挿入したことになる。膣は搭載されていないのだから、自然と異物が当たれば入るのは自明だろう。

まだ排水中であるにも関わらず、無理やり挿入したことで、排水する圧力と、出口の縮小でバランスが崩れゴンドラ内に冷却水が飛び散る。


「ぉっ……」


決してミオは喘いだわけではない。

突然、機体内に侵入した異物。

想定などされるはずもない侵入で拡張される尿道。

搭載されていないとはいえ、あらゆる拡張パーツをいつでも装着できるように機体内にはソケットがしまわれている場合が多い。

膣があれば受信する回路に余剰信号が侵入する。

それは決して快楽ではないが、アンドロイドの演算を乱すには十分な大きさのエラーだった。


『エラー:未知の異物を排水機巧内で検知』『尿道の異常拡張を検知』『測定……排水管の口径が通常の1.75倍に肥大、至急排出』『否定、強制的な侵入と判断』『排水液内に人間の尿道球腺液を検知』『理解』『水溶液比率から測定:問題なし』『エラー:衝撃と異常拡張により不使用設定、膣道感覚機巧に信号が逆流』『理解』『エラー:排水管内の表面に微量な摩耗を検知、自己防衛ランク閲覧………問題なし』『etc…


ぶばちゅんっにゅぷぷぷっぷっ!


一気に腰を引く。

それと同時に、せき止められていた水が一気に吹き出し、まるで大量の愛液や潮のようで、カズキの興奮を一層掻き立てる。

一日一射精の限界を超え、新しい快楽を貪る。先程まで異性との交合なんてしたことのなかったペニスはすぐに限界を迎えるのは当然だ。

だがどうしてももっと、もっと腰を動かしたい。もっと…もっと…アンドロイドを犯したい。

カズキは一瞬ミオの背後にある鏡にカエデが写った気がした。


限界だった。


たった数度の往復で輸精管を精液が通り、前立腺から一気に尿道へ流し込まれる。

相変わらずミオは無言ではあるものの、処理エラーで体を数度痙攣させ、それがなおカズキを絶頂の頂きへ導いていく。


ぷばちゅるっにゅっぐにゅるっ!ぶっちゅっちゅっるっ!ずっぶちゅんっ!ぱっぁん!


「ぉ゛っ…ぃ…………ひゅっ………ぇ……!」

「ぐっあぁあっいくぞっでるっ……でっでぇあっ!?」


むびゅるっ!…にゅびゅっ!…びゅぅうぅううう…びゅっ………ぴゅ……


限界まで腰を引いて思いっきり突き上げ、尿道の奥、給水タンクに不純物とされる精液を注入していく。機体の熱を吸収する液体なのだから、当然生暖かい液体に自身の、より熱いザーメンを混ぜ合わせる汚染的欲求。

美しい女を自分で汚していく征服感は凄まじい。


「ぐっ…あ………ぁ…ぐ…。」


ぶっ……ぶぷぷっ…ぶりゅんっ


脱力。

腰が引け、上手く立つことができない。

幸いここはゴンドラの中で対面した椅子になっているので、そのままミオからペニスを引き出し下半身を露出したまま背後の椅子に倒れ込む。


びしゅっ!


尿道からカズキの性器が抜けると、まだ少し残っていた冷却水が吹き出る。

カズキのザーメンは2回目で濃度が薄くなっているとはいえ、純粋な液体ではないからか漏れ出ては来ない。

一部を分解して行う洗浄でなければまずきれいにはできないだろう。


ミオもまた、バランスを崩して、背後に倒れ込む形となる。ただカズキよりは背後の窓が近かったので倒れる、というよりは寄りかかる形だ。

しかし服は乱れ、脚は完全に脱力した状態での開脚。

まるで潰されたカエルのようにされるがままの脱力状態。


カズキは出し切った。今日はもう何も興奮できないんじゃないか、そう思えるほどに賢者タイムであり疲労感が太ももから腰に来る。実際、見様によっては惚けているように見なくもないミオをちらっと見ても何も感じない。

だからこそ、次に来る糾弾及び処刑に考えが至らない。


「―――――お客様、当遊園地内で指定された場所以外での……性器露出を確認しました。直ちに中央管理室に連絡し、警備、並びに警察を呼びます。観覧車から降車いただいたあと、スタッフのご案内に従ってください。」


何事もなかったようにスッと姿勢を戻してカズキを見つめながらぶつけられる言葉には刃が感じとれた。


「はぁ……はぁ……へぁっ!?あっあああ!いやっ待って!?」

「待ちません、現在中央管理室にコール中。」


ここは電波がいい場所。観覧車の頂上から少し進んだところなので連絡は早い。

カズキがどうしようと、電話はもうかかってしまっている。一分一秒どころかゼロコンマも無駄にはできない。


「やっ違うんだよ!」

「性器の露出、及び射精の確認は事実です。」

「その……これは……ほらっさっき効率の良い冷却方法について考えている的なこと言っただろっ?」


本当は運動効率についてだが、この混乱中に取り繕う暇はない。


「僕は純粋な液体での冷却ではなくっ少し粘性やゼラチン質のある水溶液で冷却するのはどうかって考えていて、この貴重な機会でぜひ試したくなったんだよ!!」

「……たしかに、そういった研究結果は把握できます。しかしお客様の精液はお客様がおっしゃったほど粘性やゼラチン質はありません。サラサラとしていて、精子の数も少ないため濃度も薄いです。」


ずいぶんと突き放した言い方。


「よって理論は理解できますが納得には至りません。」


美女の口から語られる硬い用語とはいえ、あり得ない文言。

だが同時に男として恥ずかしい。お前の精液の品質は良くないと語られたようで悲しい。

やはりまだ慣れていない2回目の射精では精液が薄いのだろう、1度目をミオにしておけばよかったと今更になって後悔するカズキだった。


「ほっほら!今言われた通り僕は種が薄いみたいだし!?アンドロイドの機体内にいれられれば正確な数値とかわかるかなって思ったんだよ!せっかく排水するならそれで確かめるのもありかなってさ!?」

「……当機で実行する正当な理由と判断できません。適切な医療機関に受診して頂き、指定のアンドロイドに吐精していただいたほうが正確に読み取ることができ、お客様の治療の役に立つと思われます。」

「それはっ……そうなんだけ…ど…くっ」


カズキは必死に考えるもでてくる言葉はすでに言った内容と大差ない。


『はい、こちら東京◯◯◯◯◯ランド中央管理室緊急対策対応科、山岸です。TDL-R02630どうされましたか?…ん?この機体番号…ミオか?どうした?大丈夫か?』


どうやら電話がつながったらしい。

LEDから若い男性の声が聞こえる。

おそらく何かしらの、被害者にも状況がつかみやすいようにオープンな回線となっているのだろう。


「あっいや違うんです!」

『おーいミオ―?』


不幸中の幸いか、あくまで音声を再生しているだけでカズキの、つまりは外部の音は遮断されているらしい。

カズキは本当に焦った。

このまま行けば完全にお縄となる。

せっかく、せっかく自分の大切なものを見つけたばかりだというのにこんなことになろうとは。やはりまだ無関係なアンドロイドに手を出すのは早すぎたのか、と後悔する。

脳裏に浮かぶのは、一目惚れした彼女。

カズキが捕まれば悲しむだろうか?喜ぶだろうか?……何も思わないんだろうか?

そう思えば思うほど、より混乱に陥っていくカズキを尻目に、ミヲは淡々と状況を伝える用としていた。


『こちらTDL-R02630です。現在お客様の要望で◯◯観覧車に同席中。同席中のお客様が当機に―――』

「あぁああっ!実は僕父さんがいなくってっ!!それで一生懸命僕を育ててくれてる母さんにも素直に甘えられなくって!だからつい大人の女性感あるミオさんに抱きついたんだ!チャックはそのっさっきトイレに行ったとき締め忘れたみたいでチンコは間違ってでちゃったんだけど!たまたまミオさんが魅力的で勃起しちゃって…それでっそうバランスを崩してっ密着したら入っちゃっただけで!俺童貞だからっ刺激に弱くって我慢できなくってそのまま射精しちゃっただけなんだよ!」ごめんなさい!!!!!!!!」


なにを、言っているのか。

カズキ自身も恥も外聞もないと半狂乱で謝罪する。

まるで赤ん坊のように情けなく。人間の女性が見ようものなら、いや普通の人間であればその姿は目も当てられないほど愚かで稚拙で笑われてしまうようなさもしい行為。


「女の人と付き合ったことないからっそういう行為ではないってわかってるけどミオさんの裸体がエロくてっ!だから興奮しちゃって!!?つい甘えちゃったというか!?とにかくもうしないので許してください!通報しないでください!ごめんなさい!」


カズキ自身も自分がどれだけダサい状況にあるかわからないわけではない。

それでも真実を織り交ぜて、少し嘘もいれて、そうやって自身の思っていた、抱えていたことをゆっくりと語る。それは涙が出そうなほど恥ずかしいが、これでもし捕まるのならもうそれでも良いのかもしれない、と諦めることができる。


『―――大変、この遊園地でのひと時が忘れられない、と。とても楽しいという旨を伝えてきました。』

『……なんだなんだ?お前が間違い電話なんて珍しい。お客様の意見や要望の提出は別途自機で行動記録を提出して指定管轄に連絡だろう?…ま、俺は仕事がサボれていいけどな?なぁ今度飲みに行こうぜ?接待してくれよ?な?』

『以前も伝えましたが当機は東京◯◯◯◯◯ランドの備品です。人間のスタッフの方々との個人的な会食はできません。』

『お硬いなぁ…まぁまだ仕事あるだろ?ちゃんとしろよ?じゃあな』


男の言葉を最後に、LEDが黄色い点滅から白色に戻る。

カズキは脂汗を垂らしながら、何が起こったのか受け入れられずに戸惑う。

なぜ自分は許されたのか、なぜ自分はこんなにも情けない目にあっているのか、そしてなぜそんな自分は今一番生を実感するほどにホッとしているのか。


「……お客様、本来であれば通報義務のある案件ではありますが、お客様が楽しみたいという本心を感じられる理由でしたので通報を中止しました。」

「へ………?」

「当遊園地は「夢の国」と称されるほどお客様に楽しんでいただくことを第一とした場所です。よってお客様が幼少期に辛い経験をなされたことからそれを取り戻せることを第一とさせていただきます。『たまたま』お客様のペニスが衣服から露出してしまうことは確率的にありえないことではありませんし。」


何を言われているのか、カズキにはすぐに理解できない。


「当機はお客様に魅力的といっていただけたことに感謝いたします。また男性は身近な異性で初めての勃起を経験する場合、母親を対象とする割合が10%ほどあります。よって当機に母親を重ね、勃起してしまう可能性は十分考えられます。」

「女性に不慣れな男性がいわゆる「早漏」という状態になることは珍しくありません。『たまたま』ゴンドラという不安定な場所での密着で、通常よりも太く改造されている排水管に性器が挿入されることも全く意図的でない可能性は十分にあります。」

「以上のことから、不慮の事故と処理し、並びに当遊園地を心から楽しんでくれているという証左と判断します。」

「………。」


長ったらしい説明を終えた頃、気づけばミオは身なりをきれいに整え、一緒に観覧車に乗った頃とほとんど変わりない見た目になっていた。

カズキは呆然としていたが、いつの間にかカズキのペニスもまた綺麗に掃除され、ズボン内に収まっていた。

しっかりとチャックはしまっている。不快感は一切ない。


「おかえりなさいませ!お客様!」


終着点、男性型アンドロイドがカズキとミオを迎える。

ミオは扉が開く前に、カズキに一礼すると、大量の水溶液が入ったポップコーンの容器を小脇に抱え、カズキを先に出るように促す。カズキは不思議とゴンドラをでたときに吹き荒れる風になんとかなったことをようやくと理解して意気消沈した。

せめてここで倒れ込まないことで男の最期の沽券、自分自身に対するプライドを守れたような気がする。


「おーい!かずきぃ!!お前も観覧車にってぇええぇ!?」

「……なんだよ…。」

「おまっちょっこっちこい!大丈夫か!?すぐ替えの下着を買ってきてやるからそこのトイレで待ってろ!みんなには先に帰ったって言っとくからよ!?な!?」


タツヤの慌てよう、それで思い出す。

カズキのズボンはミオの冷却水でびちゃびちゃだったということを。

おそらく橋本はカズキが漏らしてしまったのだと思ったのだろう。実際は言い方を変えれば美女のおしっこなのだが。


カズキはちらっと視線を動かしてミオを探す。

観覧車からそれて、いつの間にか小脇に抱えていた冷却水入りポップコーンの容器は持っておらず。カズキと目が合う。

カズキが見てから、目が合うということは、カズキをずっと見ていた、ということなのだろう。

ミオは自然な笑み、まさに今まで通りロボットがする接客の笑みを浮かべたあと、綺麗に再度45度のお辞儀をカズキにしていた。

ただ、ミオの太ももには粘性が低い状態だからこそ、不意に垂れ落ちるカズキのザーメンが垂れ流れ、伝っていた。

その姿を見たカズキは今の今までの窮地をすっかり忘れて、やはり―――――転げ落ちていくのだった。



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◀西暦2131年5月



リビングでカズキはゲームをしていた。

しかし、画面中央に配置されたキャラクターは動いていない。

カズキの両膝の間にいるのは、彼を普段からサポートしてくれる無表情な感情の見えないアンドロイド。

寝そべる形態へと変化できるソファーに寝そべりながら視線をテレビ画面へと向ける。しかしながら、すぐに意識は股の間に同じような体勢でこちらに体重を預けるカエデの姿にいく。

カエデの背中がカズキの股間にいい具合にあたって気持ちがいい。


「カズキ様…手が止まっているようですが…。」

「えっ……うん、でね?そのこの塔の最上階にいる4本腕の人形キャラが俺は好きでね?」

「はい。」


カズキは取り繕いながらコントローラーを操作する。

普段はVRで遊ぶゲームだが、こうやってレトロなコントローラー形式で遊ぶのも乙なものだ。もちろんコントローラーで遊ぶゲームも無くはないが最近は下火である。


ただ、レトロチックな方法でゲームを楽しんでいる、なんて話をしたいわけではない。

カズキの目的は当然カエデとの身体的接触。

睾丸がちょうどいい圧力で圧迫されることで、ついつい股間に血流がいくが、カエデが先程から反応することはない。


「それはそうと、大丈夫?暑くない?」

「密着による冷却効率低下への心配であれば必要ありません。有事の際は当機による判断で離脱させていただきますが…。」


まるで、「離れたくなったら離れる。だから今はくっついていたいの」なんて思えてしまうようなセリフに(まぁもちろん曲解なのだが)カズキは背後でニヤニヤとする。

カズキは変にならない程度に深呼吸する。

せっかく女性と密着しているのだから堪能したい。

女性特有の汗のいい香りなどはしないが、華やかな香りがするのでそういう香水をつけているのかもしれない。身だしなみがいつも整っているカエデなら当たり前の準備だろう。


そもそも、なぜこんな体勢になったのか、といえば、それは当然いろいろ言ったからである。

やれ「ゲームを一緒にしたい」だの、やれ「ビジュアルをきれいに見てほしいからパースの掛からない真ん中で見てほしい」だの、「でも自分も真ん中でプレイしたいから兄弟みたいな体勢になっても問題ないよね?」だの、「家政婦でも家族のようなものなんだから多少の体重の掛け合いは大丈夫だよ」だのまぁ色々と。


ここ最近は事あるごとに色々身体的接触を増やしたためか、カエデもかなりすぐに了承してくれるようになった。そして何よりヨウコが全くと言っていいほど行動記録を見ていないということもわかったので拍車がかかっている。


「カズキ様、今度、深夜に少し用事がございます。お暇をもらいます。」

「え?」


珍しい、というより初めてのことだ。

彼女が自分から予定を生み出すことに驚く。大抵はカズキの予定であり、カズキも言われれば「ああそうだっけ」と思い出す程度。

しかも深夜。邪推するなという方が難しいが、少し心配だった。


「何かあるの?」

「……大規模な定期システムチェックとアップデートです。」

「…なに?」

「当機は立花本家から派遣されているハウスロイドですが、定期的にウイルスに感染していないかのチェックとウイルスバスターのアップデートを受けるように義務付けられています。」


よくわからないが、端末のアプデならたまにカズキもしているので理解を示す。


「それは本家に帰るんだ?」

「いえ、この家のネット回線で可能です。しかし当機はその間、正常起動ができませんので、何かしらの緊急事態の際に対応が遅れる場合があります。よってカズキ様にはご自分で普段よりお気をつけていただきたいのです。」

「……つまり地震とかおきておっきな衝撃が加わったりとかしてもカエデさんは起きない?」

「はい。」

「…………………ふーん。了解。」

「ご不便をおかけして申し訳ありません。」

「いやいや!ウイルスに感染したら大変だもんね!大事だよ!大丈夫!心配しないで!」

「……はい。」


かなりの意気込みを示すカズキにカエデは無表情ながらも不思議に思ったのか小首をかしげるが、そこは流した。

カズキが考えたことは想像に難くない。

カズキはすでに密着状態の興奮など忘れるほどにワクワクして、想像を膨らませ続けるのだった。



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「カエデさん、おっぱい触っていい?」

「………。」


深夜2時、カズキは自宅でカエデに話しかけた。

部屋は静まり返り、月夜が入って薄っすらと内装が見えるものの、証明はないためどこか時間が止まったように感じる。

立花家はさほど大きな家ではない。

もちろん戸建てではあるものの、人が生活できる部屋数は少ない。

キッチンとリビングで一室、カズキの部屋、トイレ、浴室、ヨウコの部屋(シュウジの部屋でもある)、物置だ。

よってカエデの部屋というものが存在しない。

しかしながらヨウコは家に帰ってくることが殆どなく、帰ってきても泊まることはない。断言できるほどにない。

故に、ヨウコの部屋をカエデは間借りしている。

そもそもアンドロイドに部屋なんて必要なのか?という点において、ヨウコが「私帰ってこないし使って使って?」と言った上に、カエデという人間に似た容姿のアンドロイドを廊下で充電するなんて教育上よろしくないということで部屋を与えられたのだ。

よってカエデは普段から、首裏にソケットを装着し、その横から伸びるプラグ挿入口に充電コードを挿してベッドで横になる形で休眠する。


いささか人のベッドでアンドロイドが寝る、というのはおかしな感じだが、シュウジがなくなってからヨウコはベッドを新しくし、したのにも関わらず一度も使ってないのでヨウコのベッドという意識がカズキにもヨウコにもなかった。


そんなどこかいろいろな思惑が働きそうな部屋に忍び入り、休眠中のカエデに話しかける。

しかしカエデは目をつぶったままだ。

起きる気配はない。

これは本来絶対にありえないことなのだが、今日に限ってはその限りではない、とカズキは知っていて声をかけた。

もう限界だった。

好きな人との同居。

監視者の不在。

カズキは基本大人しい性格だが、たまるものはたまる。


「失礼する…ね?」


カズキがなぜこんな強硬手段に出れたのかというと、それはついに以前カエデがカズキに伝えた「アップデート」というものが今日の夜入ると知ったからだ。

アンドロイドには定期的にパッチノートのようなものがはいる。それはどこの家庭でもそうだ。

それ自体は一瞬で終わるのだが、年に数度、契約サービスによっては大型のセキュリティスキャンが施されることもある。

そして今回、立花本家のような情報が命の大家では定期的にウイルスに感染していないか確認する作業が入る。

それが今。


そして、アップデートが入るということは、一時停止、通常の運行ができないということを意味している。それもカエデが前に言っていたことだが、そこが重要なのだ。。

アップデート中は触っても行動記録が残らない。

流石に活動に支障をきたすような出来事があれば別だが、ちょっとやそっとでは動かない。


だからカズキは今日、ついにレイプする決心をしてここに来た。


カエデは普段は少し時代遅れなメイド服で給仕を行っているが、睡眠時はシワになるので、質素な寝具を着用する。

カズキは仰向けになったカエデの上から舐めるように見回すと、服をまくり上げる。

ここで本来人間相手なら、下着が見えて、という展開なのだろうが、カエデは違う。


ぷるんっ


重力に従って、少し左右に広がった、大きな果実が現れる。

決して爆乳と言うほどではない。クラスメイトの中にはもっと大きいサイズの乳房を持った女子生徒が幾人かいる。

しかしその手に収まるサイズ、見ただけでわかる整った色合い。

そしてその先端にあるきれいな色をした乳輪、乳首。

すべてが完璧だとカズキは思った。


「うっ……!」


完全に勃起し、過去最高に膨張したカズキのペニスからはカウパーが溢れ出す。

ペニスが個別の意思を持ったように、「早く食わせろ」と主張しているようだった。


カズキはまだ我慢だと自分自身に言い聞かせ、カエデのスボンを下げる。

普段は長いスカートに隠された脚も、今やカズキがズボンをずりおろしたので一気に露出される。

美しい張りのある腹部、底から流れるような人工筋肉を備えた大腿部、その間には慎ましく秘部を隠す最後の防波堤の下着。

黒いレースの入った細い下着をそっとずらす。

そこには桃源郷が広がっていた。

整った陰毛、その下にある恥丘、そしてそこから顔を出した陰核と唇はもはや芸術的だとカズキは思った。

遊園地で見たアンドロイドスタッフやミオのものも捨てがたいが、これは比べるのが失礼なほどの造形。


カズキはついに、カエデの一糸まとわぬ(性格には服をずらしているので着てはいるが)姿を俯瞰する。

目の前に広がる無防備な女体。

赤く点滅しているLEDがアップデート中により意識を通常起動できないということを語り続ける。


カズキはもう耐えられない、と乱暴にカエデの乳房を握る。

逃げはしないのに、少しでも堪能しようと躍起になる。

それと同時に仰向けで寝ているカエデを組み敷くように乗っかると、カエデの腹部、下腹部、太もも、とペニスをこすっていく。

カウパーがとめどなくあふれているので、当然カエデの清潔な機体は汚染されていく。


「はむっ………んちゅっ……!」


キスをしたくなったが、どこか躊躇いを感じてカズキはゆっくりと硬さを出しつつある乳首にしゃぶりつく。

本来であれば、起動していない状態で性的な刺激による身体的な生理反応などアンドロイドにおいてあり得ない。

しかし、今はアップデート中でスリープ状態に近い。

バックグラウンドでは機体のソフト内を凄まじい速度でチェックしているので、起動してるとも言える。何をいいたいのかといえば人間が睡眠薬を服用して寝ている状態とでも言えるだろう。

睡眠薬を普通に飲んだら人間は眠る。決してどんな衝撃が加わっても起きないわけではない。心臓は動いているし、肺も動いている。脳内では記憶の整理もしているだろう。

普段のアンドロイドの充電中が、ただ目をつぶっているだけ、とするなら今回は本気で寝ているといった感じ。


だから反射的に簡易反応を見せるのは当然で、甘噛みしたり、舐めたり、吸ったり、そういった刺激は徐々にカエデの内燃機関温度を上昇させ、果ては如実に反応を見せ始めるに至る。


にゅっく……にゅるっ……


自然とカズキのペニスがカエデの陰毛付近に到達し、股間に何度かキスをする。

淡い刺激が機体中から加えられて、ゆっくりとカエデの女性器が熱を持ち始めたのだ。

粘性のある液体が垂れ落ち、カズキのカウパーと合わさって糸を引く。


カズキの理性は崩壊する。

ギンギンに勃起したペニスを右手で支え、カエデの機体を反転させる。

カズキとそう変わらない身長の成人女性型アンドロイドを反転させるのは決して容易ではないが、多少乱暴に反転させてもカエデは気づきもしない。

うつ伏せになったカエデを背後から犯す。

寝バック状態で、膣口付近に己が象徴を構える。


「ふーっ………ふーっ………カエデ…挿れる…よっ…!?」

「……………………。」


返事がないのなんてわかっていた。

それでもカズキは今日彼女を凌辱する決意で来た。もう迷いはない。

むしろこの自由な時間をできるだけ気持ちよく過ごしたい。だからこそ早く肉壺を掻き乱したかった。


めり…………みっ……


ゆっくりと腰を前へ押し出す。

まるで拒絶するようにピッタリと閉じたカエデの秘裂がゆっくりと剛直でかき分けられていく。そこに牝の意思は介在しない。あるのは牡による蹂躙のみ。


みっ……めぃぷっぷりゅっにゅぐ……にゅぷぷぷっぷにゅじっぷっ……!ぶちゅっ!


「はっ…………はっ……ぃ…た………はっ……!」

「…………………………………………ぁ。」


天井を仰ぎ見る。

つぶつぶの膣壁がカズキの最後に残った罪悪感すらゴリゴリと削っていき、今にも絶頂しそうだった。1mmでも動かせば射精は確実だ。

衝撃からか、はたまた管理下にない生殖機巧からの膨大なエラーからかカエデが聞こえるか聞こえないくらいの声を漏らす。

そんな反応に気づくことのないカズキは必死に息をして呼吸を整えて、耐える。こんなひと挿しで終了なんて嫌だから。

まだ一日一回射精が関の山、ならばこそその射精は最高のものにしたい。

最後の最後、もうこれ異常ないってくらい絶頂の頂きにたどり着いてからでないとやるせない。


「ふーっ………くっ……なんだ……よ…これっ……!」

「……………………ぅ。」


まるで、膣全体が吸い上げるようにカズキのペニスを噛む。

早く動け、種をよこせ、そう聞こえるような蠕動。

決してそういうプログラムが「意図的に」発動したわけではない。ぷつんと切れてしまいそうなカズキの精神が見せた幻覚である可能性が高い。

それほどに少しの動きで搾り取ってくるような名器。


ミオの尿道も気持ちよかったが、今ならわかる。あれはやはり、「まんこ」ではない。

この、今挿入しているこの肉壺こそが真のまんこだと確信するカズキ。


にゅぐろっ……にゅる…るろるろ…にゅっ……にゅぼっ!


ゆっくりと腰を引く。

一定の速度で抜かないとすぐに限界が来る。

きつすぎて、カズキの包皮がペニスの先端に引っ張られることでも新感覚が生まれて気持ちいい。

ペニスがカエデの機体内に取り残されてしまったのではないか?そう思えるほどの抵抗だった。

行かせるか、ここにいろ、そういう意志を感じる吸い付きにカズキは歯をギシリと強く噛みしめる。

舐めやがって、と。


「はっ……はぁっ……カエデっ…犯す…犯すよ!お前は俺のだってなっ!」

「…………ん………………く…。」


にゅぷぷぷっぷばちゅんっ!


カズキは再度ペニスをカエデに挿れる。

今度は一気に、子宮を潰す前提で、破壊したと思われるくらいに強く叩きつける。

静かな寝室に肉のぶつかり合う音が断続的に響き続ける。

一度走り出したからこそもう止まれない。

もう休むまもなく腰を動かさないと、逆に力の変化でカズキはたやすく射精してしまう。

それを本能で感じ取り、カエデの背後から覆いかぶさる。

右手をカエデの首へ回し、左手でカエデの右乳房を揉みしだく。

大きな桃尻がピストンで打ち付けられるカズキの腰で打ち付けられ、波打つ。


すばちゅっ!……ぱちゅっ!……ぶばちゅっ!……ちゅばんっ!


次第に水音が強く、激しく、淫靡な音へと変貌していった。

膣壁の肉ひだ一つ一つに刻み込む。

自身が主だと、システム上の管理者なんてものは所詮はプログラムに過ぎないことを肉体に教え込む。そう強く思いながらカズキはカエデを貪る。

一直線じゃない幾重にも曲がりくねった膣道を一気に一直線にする際、コリッとしたいくつものまとまったひだがカズキのペニスに走る毛細血管、毛細神経を逆なでしていく。


カズキの睾丸が持ち上がる。

カエデを、カエデの卵子を犯し食い尽くすために醸成されたカズキの若い活きの良い精子が輸精管を駆け巡る。


カズキはもう何も考えられなかった。

ビンビンに勃起した乳首をつねりあげ、カエデの首を腕で締めるようにして弓なりな体勢へ持っていく。

体位の変化が起きたことで一気に奥までペニスが突き刺さる。

しかししっかりとカエデは子宮口で受け止める。


精管膨大部に大量に溜まった濃厚な精液が今か今かと待ち望んだ瞬間が訪れた。


「あっ…ぐっおっぉお゛っぐ…ぁあっでるっ…だすよ!?カエデ!」

「ほっ……………ひゅ………………………ぃ………。」


一拍遅れてせきとめられていた精液が射精管へ流入し、尿道を駆け巡る。


ぶばちゅんっ!!



精液がでるタイミングを見計らって今日一番の力でペニスを突き刺すカズキ。

細長い尿道をプルプルねばねばの精液が押し広げながら通る。

もし仮に意識があれば膣内で精液が尿道を通るのを感じれるほどの脈動。それほどまでに立派な射精だった。


むびゅっ………びゅぐるるるっびゅっびゅぅぅうびゅるっ!……びゅくっ…びゅぶっ!


脳が弾けるように、ピンと姿勢を張っていたカズキが、射精を終え、脱力する。

カエデに完全に覆いかぶさるかたちで休む。

カエデの子宮は、突然入ってきた謎の液体に驚くこともなく、そのまま一滴も残さす飲み干す。尿道にピッタリと吸い付いていたからこそできる芸当だ。


「んっ…………………ぅ………ぉ゛♡」


びしゅっびしゅぁあああっびしゅっ!!


悲鳴を上げるカエデの性器からは愛液が溢れ出すと同時に、尿道から潮が噴き出し、ベッドに水たまりを作っていく。

それでもまだカエデは目を開くことはなかった。


次第にカズキのペニスが柔らかくなっていき、膣圧に負けて吐き出される。


むびゅるっん……ぷっ……


カズキのペニスは射精したはずなのにもかかわらず一滴も精液をつけてはいなかった。全部カエデの膣内に置いてきたのだろう。

それはカズキの一世一代の最高の射精ともいえる精液の濃度が濃かったから、というのもあるが、同時に名器であるカエデの女性器もまた一滴も逃しはしないとこそぎ落とすような動きで肉襞を自動で動かしたからに過ぎない。


ぶっぶぅううっ!ぶりゅっぶぐりゅりゅりゅりゅっぶっぶりゅりゅっぶぅぶりゅりゅりゅ!


カズキはすでに限界のようで気づかないが、明らかに互いに絶頂して静まった後に下品な破裂音とみずみずしい何かが吹き出る音が部屋に木霊した。

それはカエデの肛門が吹き出たもの。

決して糞でも、アンドロイドの疑似排泄物でもない。

ベッドのハズレ、無造作に転がる腸液まみれの機体内温度でほかほかになった、化け物ディルド。

基本の形は直径8cmの球体が連なったアナルビーズだが、ところどころ引っかかりや返しがついており凸凹している。簡単に挿れることもできなさそうだが、抜くこともできなさそうだった。

これが一体何なのか、説明できるのはカエデしかいない。だがカエデもカズキもそれどころではない。


「ぐっ……だめ…だ…まだ……でも…………ちょっと……休憩…ちょっと…。」


カズキは重くなるまぶたを必死に開けようとする。

まだ、まだ堪能しきれてない。もっともっと堪能したい。

だからまだ起きていないと、そう思うのに身体は慣れないセックスの疲れと、射精によるホルモン変化で睡魔がカズキを襲う。


カズキはぼやける視界の中、最期にカエデの首筋のLEDの色が見えたような気がした。しかしそんなことはどうでもいいとにかく休憩だと。まぶたを閉じ、意識を手放してしまう。


深夜の立花邸、寝室では、時折痙攣する成人女性型アンドロイドの無様な姿と、その上で満足した顔で寝る未成年の男がおり、互いに熱をゆっくりと冷ますようにうつ伏せで倒れ込んでいた。

誰もが何があったのかなんて理解する光景だろう。

どこにでもよくある光景だ。今どき珍しくもない。


アンドロイドの首筋のLEDは黄色に点滅していたことを除けば。






Fin

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POSTEDJul 15, 2022
ARCHIVEDJun 10, 2026