快楽刑——。
あらゆる犯罪に対する厳罰化が求められる今、この国に導入された新たな刑罰だ。
この刑は屈辱や羞恥を与えると同時に、犯罪抑止のための見せしめとしても機能している。そして、執行中の映像を販売することによって国の財源を補っている。この理由があるから、いくら少数派が声を上げようと、この刑罰が廃止されることはないのだ。
私が快楽刑執行官になったのは、正義感や性的関心なんかじゃない。
はっきりと言うと、私は犯罪者が嫌いだ。心の底から見下しているし、どんな辛い目にあおうが知ったことではない。快楽刑は、基本的に同性の手によって施される。同情か何かは知らないが、この職に就きたがる女性は少なく、やめる人も多いのだそうだ。そのおかげで、快楽刑執行官は莫大な給料と嘘のような福利厚生が約束されている。
今日は初めての出勤日。しばらくは研修で、周りには同期の子もたくさん居る。あまり気負うことなく、私は前に立つ女性の話を聞いていた。
「……なので、この3ヶ月の研修で3級執行官の資格を取得していただいて……」
話は退屈なものだった。あの筆記試験と面接を突破できた私たちにとって、確認以上の意味を持つことはない。
「はい、午後はは収容所見学となっていますので、十二時半までに、各々指定の収容所に――」
適当に昼食を済ませて、東収容所へ向かうため駅へと向かう。
駅前の広場は平日だというのに人でごった返している。そして、その端に異彩を放つ区画ができていた。
「い゛や゛っっ! もうやだぁぁぁぁ!! む゛り゛た゛か゛ら゛ぁ!!!」
人込みの中央に居るのは、泣き叫ぶ全裸の女。X字の磔台に四肢を繋がれ、ベルトが巻かれている。
大事なところを隠すことすらできず、その姿を晒される。これだけでも耐えられないような仕打ちなのに、それだけでは済まされない。
彼女の隣には制服を着た執行官が立ち、その手に握られたどろどろのガーゼで執拗にクリトリスを嬲る。乳房の先端は吸い出され、常に振動による刺激を与えられている。膣やアナㇽも休むことを許されず、ディルドによって両穴を耕されていた。
見ただけでゾッとするような光景だ。こんなふうには一生なりたくないと、きっと誰もが思っているだろう。
少し、思い出す。
高校生の頃、私はいじめられていた。私をいじめていた女はいわゆる不良というやつで、一年生の秋には学校をやめていった。
もう二度と会うこともない、そう思っていたある日、駅前で信じられないような光景を見た。
「あああ゛っ!! っっっあ゛あ゛……、んんん!!」
気の強そうな顔をぐちゃぐちゃに歪め、あられもない姿を衆目に晒すあの子。
初めのうちは、遠目から眺めていた。だけど、しばらくして私は彼女に近づいて――。
「やっほ。覚えてる?」
声をかけられた彼女は目を丸くして、何かを我慢している様だった。それを見咎めたのか、彼女の陰核を責める道具の振動が一層強くなる。
「あ゛っ……ん、やだっ! やだやだやだやだ!!」
腰を跳ねさせ、がくがくと潮を吹く彼女。それでも止まらない責めに対し、子供のように駄々をこね動かない手足を暴れさせる様子に、もはや昔の面影は感じられなかった。
私は携帯を取り出し、カメラを構える。
「や゛だ゛あああああ!! やめて! み゛な゛い゛て゛ぇ!!」
「いいもの撮っちゃった」
私はその画像をネットに投稿し、それを間接的に学校中に広めた。その小さな復讐こそが、私がこの仕事に就いたきっかけなのかもしれない。
「時間なので、始めさせていただきます。担当の瑞原です」
担当の人に案内され、私たちは堅牢な扉の奥へと進む。私と同じ新人は私を含めて五人、中にはもう仲良くなっている人もいるようで、待機時間には楽しそうな声が聞こえて来ていた。
「この扉の先が、一種快楽刑の執行室です」
一種快楽刑。軽犯罪からそれなりに凶悪な犯罪まで該当する、一番数の多い刑罰だ。罰金刑に該当する犯罪を犯した場合に宣告されることが多いのだとか。
扉を開く。拷問部屋のようなものを想像していたが、中は病院のような白を基調とした明るく、清潔そうな空間だった。細長い部屋の左右の壁には鉄格子で分かたれた独房がずらっと並んでいる。
「皆さんもご存じと思いますが、正式な配属が決まってからおよそ一年間。2級執行官を取得するまでですね。その間、皆さんにはここを担当していただくことになります」
話しながら、独房の間を歩く。
独房の中には分娩台のような形をした拘束台が置かれていて、手足が来るであろう位置には鉄でできた枷が待ち構えている。
「一種は基本的に機械を使った刑罰となりますが、一種も幅が広いですからね。ここでは入り口から見て左側を一番として、その向かいが二番、そこから奥に向かうごとに数字が増えていきます。時間や責めが厳しいものほど大きい番号を割り当てるようにしています」
瑞原さんは八番の房の前に立ち止まる。中には現在刑罰を受けている最中の女の子が見えた。
「……っっあ! んん……、あっ」
足を開いた状態で拘束され、表面が波状に加工されたえた凶悪なディルドが中をかき回す。ディルドには白く濁った本気汁を帯びていて、床には大きな水たまりができている。
「例えば、八番は建造物侵入罪に使われることが多いですね。万引きは窃盗罪の他にこれにもあたりますから、多いんですよ。窃盗で起訴されちゃった場合は二十三番になっちゃいますね」
「……あっ…えっ……やだっ、やめて、い゛や゛ああああああ!!」
女が絶叫する。その理由は明白だった。
透明なドームのようなものに乳房全体が包まれ、搾り取るように刺激を与えられる。乳首には別の機械が取り付けられ、力強くこねくり回す。
クリトリスにもドームが被せられ、激しく回転する。その回転する音はこちらまではっきりと聞こえて来る。
膣を責めるディルドの動きも変わらず、女は悲痛な嬌声をあげる。
「いやあっっ!! いま……いまイったからっ!!」
「慣れちゃったら意味がないので、刑罰にも波をつけるんです。彼女の刑期は50時間ですが、睡眠や食事等の時間はカウントされないので、実際は五日ほどをここで過ごすことになります。でも、休憩時間にもこっそりと責めたりしちゃいます。——ね?」
瑞原さんと目があった女は必死に首を横に振る。
「この子、現役の女子高生なんですよ。何日か前までは服を着て、友達と遊んだりしてたんでしょうね」
「やめて……っ、い゛っ……! いわないで……!!」
「いいんですか? そんな態度とっちゃって」
水原さんがそう言うと女は血相を変えて「ごめんなさいっ! ごめんなさい……!」と、必死に謝罪の言葉を口にする。
「懲罰……ですか?」
「そうですね。懲罰規定は曖昧なので、私たちの匙加減です。彼女、一度懲罰を受けてからは大人しくなっていたんですけどね」
この場合の懲罰は、12時間の懲罰刑と24時間の刑期延長だろう。懲罰刑というのは駅前で見たように、衆人環視の下にあられもない姿をさらされるという刑罰だ。それに、懲罰刑には専属の執行官が付く。本来なら、執行官付は二種からだ。自動刑罰なんかとは比べ物にならないほどの苦痛だったことだろう。
「せっかくだし、懲罰に行ってもらいましょうか。反抗的な態度が顕著、ということで」
「やだ、やだやだやだやだっ!! もうやだぁぁぁぁ!!」
女は髪を振り回し、拘束を引きちぎらんとばかりに暴れる。
かわいそうだとは思えない。犯罪者にふさわしい、妥当な結末だ。
「じゃあ、時間もあるので、次に向かいましょうか」
女たちの嬌声を背中に、一種執行室を後にする。
扉を開く寸前、百番の独房の中の女と目が合った。厳重な拘束に体を預け、がっくりとうなだれている。耳の痛くなりそうなけたたましい振動音。それは当然、彼女の性感帯を責める機械の音だ。
光のない瞳から一筋の涙が流れ、彼女の体が大きく跳ねる。
「っっ……あ゛、あ゛っ!」
息も絶え絶えで、力無く喘ぐ。縋るような視線がこちらに送られてくるが、知ったことじゃない。私は扉の奥へと歩を進めた。
「ここからは、二種快楽刑の執行室となっています」
壁や天井は前の部屋と変わらないが、前の部屋と違い、部屋は鉄格子ではなく透明な壁で分かたれていた。そして、一つ一つの部屋が広い。
「ここからは私たち執行官が直接刑罰を執行します。慣れたら案外楽しいですよ」
瑞原さんの笑顔の奥に底知れない何かが見えたような気がする。
二種快楽系は懲役刑に該当する罪科に対して宣告されることが多い。ここに居るのは全員、それなりの凶悪犯だ。
「ここは、傷害だったかな? 五年の快楽刑を言い渡された子です。現在三か月目なので、まだ新鮮な反応が見れそうですね。では、少しお邪魔してみましょうか」
透明な部屋には手術台のようなベッドがあり、その上に罪人がX字で拘束されている。手足だけではない。腰や首などもベルトで固定され、あれでは身じろぎすらできないだろう。
「……っうぐぁ…あああああああああ!! っあ゛……ああ、っぁああああああ!!」
「っす、瑞原さん。研修ですか?」
雨合羽のような服に身を包んだ執行官の人はフランクな調子でこちらに振り返るが、その間にも手は休ませない。
手に握られた細長い棒のようなものは無防備な女性器の中に突き入れられ、その棒の動きに合わせて女の腰が跳ね上がる。
「高田さん、それは?」
「これはブラシっすね―。電動歯ブラシとか、そんな感じをイメージしてもらえれば」
「敏感な場所に歯ブラシを押し付けられて、それがこんな音を立てて回転するなんて、考えただけでゾッとしますよね」
「いい反応しますよ。とくにGスポットとか」
高田と呼ばれた執行官が手を少し動かすと、即座に女が勢いよく潮を吹く。
「他にはどんなことするの?」
「これの他には、ガーゼとかもよくやりますね。媚薬ローションに顆粒を混ぜて、それで磨いてあげたり。媚薬漬けで寸止めし続けた時は良い顔してましたね」
「や、や゛だぁ……っ!! っつああああああ!!」
「心配しなくても、全部やってあげますよ。これから、何百回も」
話している間に、この人は何回イったのだろう。想像できないような苦痛だろうが、これも因果応報だ。
「ここは三交代制で、八時間ずつで回ってますね。暇になった人がここに来たりもするので、その時は辛いことになっちゃいますね」
「私も来ていいですか」
「瑞原さん、常連じゃないっすか」
絶叫する女など気にも留めず、気やすい雑談を交わす二人。慣れればいちいち反応なんかしない。ただそこにあるだけ、彼女にとっての地獄は、私たちにとってはその程度のものだ。これも当然のこと、誰かを踏みにじった報いだ。
「そろそろ次に向かいましょうか。——と言っても、実は三種はうちにはいないんですよね。なので、口頭での説明になります。
三種快楽刑は無期懲役や死刑に相当する刑罰です。学校の防犯教室で見せしめにされたり、執行官資格の試験の際には実技試験のために呼び出されたり、基本的に彼女らに人権はありません。でも、彼女たちはそれらに呼び出されたら大喜びするらしいですよ。
なぜかわかります? それだけ普段の刑罰が過酷だからです。風が吹いただけで絶頂するような体に開発されて、一級執行官複数人に絶え間なく責められる。気絶も発狂も許されない。
——まあ、そのうち実物を見る機会が来ると思います」
話しながら来た道を引き返していく。かなり時間が余っているような気がするけど、この後は何があるのだろう。
「では、新人の皆さんには快楽刑を体験してもらいましょうか」
「——え?」
耳に入る言葉を信じることができなかった。
「とりあえず、三時間。一種を体験してもらいましょうか。番号はくじ引きで……」
「私、嫌です」
私たちは何一つ罪を犯していない。強制することなんてできないはずだ。
「うーん、えいっ」
瞬間、全身が私から離れていく。糸が切れたかのように私は地面に倒れる。いくら力を入れようと、体は動く気配すら見せない。
「テーザーガンって知ってますか? 似たようなものです」
真上から声がかかる。私は声を出すことすらうまくできなかった。
「まあ、逆らったらこうなりますから。観念してください。——それじゃあ、あなたは特別に二種を体験してもらいましょうか」
その声が私に向けられたものであることは明白だった。今まで見てきた光景が途端に悪夢に変わる。
ふざけるな、おかしい。
叫びたかった。体を振り回して目の前の女を殴ってやりたかった。
だけど、それも叶わず、私にできることは拘束されていく自分の体を眺めることだけだった。
分娩台のような拘束台。私は両手を頭上に上げ、足を開いて大事なところを晒すような格好で拘束されている。手首や足首だけでなく、腰や下腹部、足の付け根や腿までベルトで拘束されていた。
すでに私の体は動くようになっていたが、できることと言えばベルトをきしませることぐらいだ。
人としての大事なものを踏みにじるような恰好に、羞恥や悔しさと共に怒りがこみ上げる。
「お待たせ―、みんなはもう始まってますし、私たちも始めましょうか」
「これ、外してください。こんなの、犯罪ですよ」
「はーい、わかってますよ」
瑞原さんは私の意志など聞き入れないというふうに、何食わぬ顔でゴム手袋をはめる。そして、見るからに毒々しい色をした粘り気のある液体の入った瓶を私の目の前へと持ってきた。
「これ、わかります? 媚薬入りのローションですよ。明日は下着も吐けなくなっちゃうかもしれませんけど、土曜ですから。我慢してください」
「ちょっと、待って――」
私の言葉を無視して、瑞原さんは私の秘部に媚薬を垂らす。そのまま慣れた手つきでクリトリスに塗り込みながら、逆の手で乳首にも媚薬を塗り込んでいく。
「っぅ……」
「声、我慢しなくてもいいんですよ」
触れられた部分が熱い。私の体がとんでもなく敏感になっていることを否応なく理解させられる。
「あれ? もうどろどろですよ」
「うるさいっ……ぁっ、うっ……」
指が私の中を搔きまわしていく。くちゅくちゅと音を立てて、奥の奥、隅々まで媚薬を塗りたくられる。
一定のリズムで抜き差しされる指は膣壁を持ち上げるように擦り上げる。圧迫されたGスポットの感覚は声を我慢することを許さない。
「ひっ……っっ、ん、っっっっ!!」
いともあっけなく絶頂させられる。拘束された下半身は身をよじることすら許されず、がくがくと収縮する膣の感覚を受け止めるしかない。
息は乱れ、頭の中の考えが吹き飛んでいく。
それでも、指は止まらない。
「っつあ!! 待ってっ、いまっ……!!」
「今、どうしたんですか?」
剝き出しの神経のようになった膣内をさらに容赦なくかき回される。
「んぅぅぅ……っ!!」
Gスポットを前後左右にこねくり回されているのがわかる。
触られただけで飛び上がるほど敏感な場所を執拗に責められた私は、あっという間につぎの絶頂を迎える。
「——————っっっ!! ああっ!!」
手足を力の限り暴れさせる。何の意味もない。抵抗なんてできない。ただ受け止めるしかない。
「大丈夫ですか? まだ五分しかたってませんよ」
「ごっ、ふん……」
こんなにしんどいのに、辛いのに、まだ五分。
喉の奥から嗚咽が漏れる。
「あああ―――っ!! やっ、やだやだやだっ!!」
引き出されるように、潮を吹かされる。
絶頂を迎え、限界を迎えた膣内を無理やり擦り上げる。そして先の絶頂が抜けきるよりも早く、再び絶頂させられてしまう。
瑞原さんは私を更に追いつめるように指先の動きを激しくしていく。
「ここ、寂しいでしょう?」
そう言いながら瑞原さんが取り出したのは、小さなキャップのような道具。
「これ、どこに付けるかはわかるよね? これ自体が敏感なところを吸い上げて、そのうえで中のブラシが回転するんです。上下にしごいたり振動したり、もちろん、全部同時にすることもできちゃいます。これ、この前二種の子に使った時は気絶しちゃったんですよ。私も学習しますから、そんな逃げ方は許しませんよ」
思わず顔を引きつらせた私を見て、瑞原さんは嗜虐的な笑みを浮かべる。
「……やめて、はなして、離せ!!」
「人に頼むときはもっと下から行くものですよ」
必死の抵抗など何の意味もなく、キャップはクリトリスに装着される。キャップは中の空気を吸いだし、決して外れないように陰核に吸い付く。
「っつあ゛……っ!」
これだけで軽い絶頂を迎えてしまい、私は恐怖に震え上がる。もし、これが動いたら――。
「っう゛……! ああああああ――――っ!!」
甲高い音を立ててブラシが回転を始める。息を吹きかけられただけで絶叫してしまいそうになるほど敏感なクリトリスは、細いブラシ一つ一つの動きを知覚する。
回転に加えて振動、上下への動きも加わる。
「むりむりむりっ!! これ……っ、やだあ!!」
一瞬で絶頂を迎えた後も、キャップの動きは止まらない。
快感が上塗りされ、何倍にもなったような感覚。それでも一つ一つの絶頂ははっきりと私に伸し掛かってくる。
本来なら一瞬で過ぎ去るはずの快楽の頂点。それをずっと続けるなんて――。
「やっ……もうむり!! とめてとめてとめてっ……ねえ!! あ゛あ゛っ!!」
「——まだありますよ」
瑞原さんの両手にはクリトリスにつけられたものと同じキャップが握られていた。
「っ待って! やだっ、ひっ……」
二つのキャップは私の乳首に取り付けられる。
クリトリスだけでもこんなに辛いのに――。
「や゛あ゛ぁ゛っっっっ!!!」
クリトリスも、乳首も燃えるように熱い。
延々と続く快楽、無限に繰り返される絶頂。
私はがくがくと潮を吹きながら、白濁した本気汁をまき散らす。私の目線からでは見えないが、床には大きな水たまりができているだろう。
「私も指疲れちゃったし、これ使おうかな」
瑞原さんの手には無数のコブが付いた太いバイブが握られていた。それは重たい振動音と共に、私の中に近づいて――。
「っっあ゛――い゛や゛あっっっっっ――――――!!!!!」
太いバイブは私の膣を埋め尽くす。側面の無数の凹凸はヒダに引っかかり、数えきれないほどの刺激を生む。Gスポットも常に圧迫され、前後にこねられる。
そして、バイブ振動が膣全体、その奥の子宮までもを震わせる。
「——ああああああっっ!! やだっ! 止めて、とめてよ!! んうううっっ!!」
全身の性感帯を刺激され、もはやどこで絶頂しているのかもわからなくなった。
それでも一つ一つの絶頂に慣れることはなく、辛く苦しい絶頂を絶え間なく知覚させられる。
「ようやく本番。残りは170分です」
何を言っているのか理解できなかった。
これだけイって、こんなに苦しくて、まだ十分。これ以上の苦痛をあと十七回も繰り返さないといけないのだ。
「っやだぁ……くうぅっ!! や゛た゛!!!」
言葉なんて何も意味をなさない。私はただ、この地獄を受け止めるしかないのだ。
二時間が経過したころ、私の拘束が外れた。
なんでかはわからないが、やっと――。
「ひっ……くぅううう!!」
私の行動は深い絶頂によって阻害される。
「外れちゃいましたね……。ご存じかと思いますが、懲罰規定の脱獄未遂は拘束を解いた段階で適応されます」
「え――?」
「これはかわいそうに、懲罰刑ですね」
「まっ……んあっ!! 私……」
脳が理解を拒んでいる。懲罰刑、私が?
「それじゃあ、行きましょうか、あ、これ付けてくださいね」
猿轡を口に押し込まれ、言葉を奪われる。
責め具はそのまま、私は牢の外へと運び出される。
「んあっ、ああ、ああ!!」
駅前の無数の人通りの下、私はX字の磔台に拘束された。
裸にされ、大事なところを隠すことすら許されず、あろうことかその大事なところを責め立てられる。普通に生きてきた人間がこうなっていい理由なんかない。
「みて、ヤバ」
目の前を女子高生が通り過ぎる。その眼には明確な侮蔑が宿っていた。
「ああ゛っ!! んぐぅっ!!」
人前で潮を吹き、本気汁を垂れ流す。
羞恥で頭がおかしくなりそうだ。
「えぐ、私こんなの絶対無理」
私だって無理だ。
どうしてこんなことに。私悪いことしてないのに。ずっと普通に生きてきたのに。
「やめてあげてー」
「いいじゃん、珍しいし」
携帯のカメラが私に向けられる。
やだ、やめて、撮らないで。
私は違うから、何も悪いことしてないから。
「——————っっあああああ!!」
私の意志なんか関係なく、絶頂させられる。
懲罰刑は残り46時間。
気の遠くなりそうな時間、消え去りそうな意識は、絶頂によって無理やり覚醒させられた。