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こんにちは。
今回は、王女の罠の続きになります。
召喚された勇者の力を王国が危険視し、制御するために、王女の魔法によって王女の身につける下着の中でしか生きられなくなったところからで、靴下の中での生活や躾、逃亡による靴下化、靴下としての生活の末、最後には小人に戻されて、王女の足に忠誠を誓うお話です。
16000字程度です。今回で終わらせたかったので、まとめて投稿させてください。
また、先ほど過日送付したコメントを確認したのですが、今週(17、18日)投稿予定と書いておりました。正しくは来週(24、25日)投稿の誤りでして、もしも先週投稿を待っていた方いらっしゃったら、大変申し訳ございませんでした。
今月はあと1回投稿予定でおります。
引き続きどうぞ、よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーー
エルミナがハヤトを靴下の中に封印してから、1週間が経った。
魔人を倒すために1度だけ外に出され、元に戻されたものの、それ以外は常に靴下の中で、エルミナの素足とともに過ごしていた。
早朝。
ハヤトは今日も王女の右足の靴下の中、足指に抱きつくような形で、眠っていた。
「……っぐ……う、ぅ……」
かすかな熱と、湿り気を帯びた蒸れの中で目を覚ます。
目を開けると、暗がりの中、生暖かい、巨大な肌色の壁がすぐ目の前に広がる。
「……う…」
急に現実に引き戻され、反射的に顔をしかめる。
1週間のほとんどの時間を、靴下の中で過ごしているのだ。
「……おはようございます……エルミナ、さま……」
ちゅっ
起床時の挨拶と、目の前の素足への、キス。
ハヤトは嫌々ながらも、目の前の肌に向かって、エルミナから命令されていることを行った。
朝の挨拶は、靴下と素足の肌に吸い込まれ、くぐもった音になり、エルミナまで届かない。
そのため、起きていることを知らせる合図として、起床時には朝の挨拶とともにキスをするように命じられていた。
「…….すー……..すー…….」
しかし、エルミナからの反応はない。
気づかず、まだ寝ているようだった。
寝汗をわずかに帯びた、ピンク色の柔らかい、王女様の足指。
その合間から、饐えた匂いがふわっと鼻腔に侵入してくる。
ハヤトはその匂いに、思わず顔をしかめた。
(…うっ……臭い…..もう、ここに住んで一週間か……)
最初の数日は、靴下の中で発動しない魔法に絶望し、絶望の状況に耐えきれず、何度も叫び、暴れた。
しかし、王女の足元、叫び声は誰にも届かないし、暴れても、おいたはダメですよ、と言われながら足で何度も踏みつけられ、押さえつけられてしまう。
ここでは、エルミナの足が全てなのだ。
カーテンの隙間から、朝の光が一筋差し込む。
ハヤトの起床から暫くして、エルミナがベッドの上で、ゆっくりと目を開ける。
「ん〜……ふわぁ……」
可愛らしい寝顔で薄紅の唇が小さく開き、あくびをひとつ。
「……今日も、よく寝ました……」
お気に入りのシルクの寝間着のまま、寝ぼけ眼で目を擦りながら、彼女はゆっくりと身体を起こした。
そしてそのまま、両足をベッドの外へと出し———
——ズシン!!
自然な動作で、足を床に降ろした。
「……ッふぎゃっ……!?」
右足の靴下の中から、かすかな叫び声が聞こえる。
突如踏みつけられたハヤトが、悲鳴をあげているのだ。
「……今日は夜に財務大臣との会食でしたか、憂鬱ですね......民から税金を取ることばかり提案してくるのですから…….」
しかし、エルミナは足元を一瞥することすらなく、ベットそばに置かれていた靴に足を通し、独り言を呟きながら、そのまま歩き出すのだった。
—————————
ズシン.......!ズシン........!
(……ぐ、ぅ……お、重……!)
右足が床に着くたびに、ハヤトの全身に、まるで天井が落ちてきたかのような質量がのしかかる。
エルミナの足の裏。寝ている時は生温かく、柔らかい肌だったのに、歩き出すと途端にその表情を変え、抵抗できないプレス機と化す。
もう1週間経つが、ハヤトはいまだにここでの生活に馴染めずにいた。
ズシン…….!
(がぁ...!!……だ、ダメだ………これは、慣れるようなものじゃない……!)
ズシン.......!ズシン........!
(…ぐぅ…これから一生、こんな日々が続くのか……?)
足裏全体が床に沈むその一歩一歩、体重のすべてが、ハヤトの身体を圧迫する。
繰り返される踏み潰しは普通の人間には到底耐えられるものではないが、幸か不幸か、勇者の高いステータスが、ここで生き続けることを可能にしていた。
「……っと、忘れてた」
エルミナがふいに立ち止まり、何かを思い出したように、右足を見下ろす。
そしてつま先で床をトントン、と叩いた。
「ハヤト、起きてますか?ちゃんと、朝の挨拶しましたか?」
ハヤトは度重なる踏みつけで既に疲労が溜まりつつも、ご主人様の問いにすぐに答えた。
「……はい、起きてすぐに挨拶させていただきました……エルミナさま……」
ちゅっ
エルミナに話しかけるとともに、足裏にキスを1度行った。
エルミナの問いに、はいの時はキスを1回、いいえの時はキスを2回、足裏に落とす。
これも、靴下の中で生活するようになってから、コミュニケーションの手段として、エルミナに命令されたことだった。
しかし、またエルミナからの返事はない。
代わりに、足指がハヤトを巻き込むように、キュッと締まった。
まるで「よろしい」と言われたように。
「さて、それじゃ朝ご飯を食べに行きましょう」
朝食を取るために部屋を出て、王族専用の食堂にいくだけの移動——
たった、数分の歩行。
ズシン!ズシン!
(ぐっ……!……お、親指の付け根が……っ! 骨が、きしむ……!)
しかし、右足が床に着くたびに圧迫され、何度も全身がつぶされる。
ハヤトは、いまだにこの歩行による踏みつけが、自身のちっぽけなプライドごと踏みつけられているようで、顔が歪む。
(くそ……!俺は勇者として、今までこの国のために必死に貢献してきたのに……!こんな……!)
ズシン......!ズシン.......!
しかし、今のハヤトにできることは何もなく、エルミナによる歩行に、ただなすがままに押しつぶされる。
「……そういえばあの件、もう工事始まったのかしら…..あとで確認が必要ですね……」
食堂に向かう間、エルミナの思考は既に公務のことに移っていた。
靴の中で潰されながらも、必死に生きる小さな存在のことなど、もはや意識にはない。
ズシン.....!ズシン......!
(や、やめ……!くそ……!!)
肺が、押し潰されかける。
口から空気が出ていかず、喉がヒュッと悲鳴をあげた。
だが、エルミナは歩行は止まらない。
ズシン!!……..ズシン!!……….ズシン!!
(ぐ……!くそお……ッ!!)
足指の付け根付近でもがくハヤトのことなどお構いなしに、彼女の足裏は何度も何度も床に踏み下ろされる。
(はぁ…….はぁ……..)
そんな中、ハヤトはようやく、足の親指と人差し指の隙間に逃げ込むことが出来た。
それを歩きながらつま先で感じたエルミナが、口許に笑みを浮かべ、右足を見下ろす。
「ふふ、ハヤト。そうです。私が歩いている時は、その邪魔にならないように、足指の隙間に逃げ込みなさい♪まぁ、踏み心地は悪くないから、私はどっちでも良いのですが…..」
(……く、そ……っ)
暗闇の中、足指の隙間で震えながら、ハヤトは顔を歪ませる。
それは、悔しさか、踏みつけられた痛みによるものなのか。
いや、両方か。
彼自身生きるのに必死で、良く分からなかった。
⸻
王族専用の食堂。
磨き上げられたテーブルには、焼きたてのバタークロワッサンや温かいコーンスープ、フルーツをふんだんに盛られたプレートなどが惜しみなく置かれていた。
豪奢な椅子に座ったエルミナは、ナプキンを広げ、優雅にスープから口をつける。
「ふふ……美味しい♪」
笑顔を浮かべ、エルミナは朝食を楽しむ。
ちゅ…..ちゅ……ちゅ…..
そうして食事をとっていると、右足の裏に、なんども湿っぽい何かがあたる。
ハヤトが、何度もキスをしているのだ。
その仕草に、エルミナはハヤトに、何かいいたいことがあるときは、何度もキスをして意思表示なさい、と命令したことを思い出す。
「あ、そうでしたね、ハヤト。勿論、貴方の分もありますよ♪」
エルミナの、足元。
椅子の下のカーペットには、一口サイズの透明な栄養ゼリーが一つ、置かれていた。
いつものハヤトの朝ごはんである。
早速エルミナは、ハヤトのいる右足の靴を脱ぎ、靴下を履いたまま、つま先でそのゼリーを踏み潰した。
——グチュ……グチュ……
すると、潰されたゼリーが繊維の隙間から滲み、靴下の内側へと染み込んでいく。
「……足指が冷たくなってきました。はい、どうぞ。ご飯ですよ♪」
(う……今日も、これか……)
ハヤトは靴下の中、染み込んできたゼリーを舌で靴下の布地に押し当て、吸い上げるようにして食べる。
ハヤトは王族の魔法により、靴下の外にでると、気が狂いそうになってしまう。
そのため、食事はこうして靴下越しに王女が踏みつぶしたものを、靴下に染み込ませる形で与えられる。
ちゅる…..ちゅる……ちゅー…..ちゅー…….
(うぅ……しょっぱくて…..気持ち悪ぃ……..)
ハヤトはその味に顔を歪めながらも、寝汗が染み込んだ靴下を通して滲み出てきた潰れた栄養ゼリーを、樹液に集るカブトムシのように、必死にすすり続けるのだった。
「……んー、いつもながら、パンの焼き加減が良いですね♪」
エルミナが満ち足りた表情で、最後の一欠片のパンをスープにつけ、味わう。
食事を堪能し、食後のミルクティーをひと口。
目を細めて微笑む彼女の視線は、ふと、再び足元へと落ちた。
「……あら?」
右足の、足の指。
少し動かしてみると、いまだにネバっとした、ひんやりとした感覚を覚え、エルミナは眉を顰めた。
「……まだ、足の指にゼリーの感触が残っていますよ、ハヤト。ちゃんと、吸い取れてないのかしら?」
エルミナは靴下の中のハヤトの場所を確かめるように、足裏でカーペットをぐりぐりと擦る。
「ハヤト?まだなの?早く全部食べなさい?」
ハヤトはその言葉に、早く全て食べねばと、エルミナの問いには反応せず、必死に靴下に吸い付き、吸い取るスピードをあげた。
しかし、それがかえって、エルミナの気分を害してしまった。
問いかけに対する、口づけがない。
また、謝罪や慈悲を乞う場合はつま先を何度も舐めるよう命令していたのに、その反応もない。
彼はご主人様である王女への反応よりもまず、食事を優先してしまったのだ。
エルミナの目が、一瞬で険しくなる。
「……主人の私を待たせて、しかも無視するなんて……どういうつもりですか?」
そう呟き——
ズン! !!!
「——ッぐあああっ!!」
足裏が思い切り床にたたきつけられ、エルミナの全体重が、ハヤトの小さな身体に一気にのしかかる。
肺の空気が抜け、押し潰されかける。
「ハヤト。もう一度だけ言います」
エルミナは目を細めたまま、足元の小人へ冷たく話しかける。
「ご主人様を無視するとは、何事ですか?」
ズシン!!!ズシン!!!ズシン!!!!
食卓の下で行われる、躾としての三連続の踏みつけ。
ハヤトは体勢を立て直す暇もなく、何度もなすがままに踏み潰される。
ぐり……ぐり………
(がぁぁぁ!!……!)
ぺろ、ぺろ…….ぴちゃ、ぴちゃ……..
ハヤトはエルミナの命令を思い出し、すぐに舌を這わせ、許しを乞う。
「…….分かったなら、はやくなさい。」
数分後、懸命な舌の奉仕にエルミナがようやく足で踏む力を緩め、ハヤトに早く食べ切るよう、命令するのだった。
ーーーーーーーーーー
じゅっ……じゅる……
「……うーん、まだ少しベタつくけれど……もういいわ。」
靴下の中、湿り気を帯びた繊維の奥で、ハヤトが食事をしている音がまだするが、これ以上は次の予定に差し障ってしまう。
食事を終えた王女は靴を履き直して椅子から立ち上がり、いまだに残ったゼリーを吸い取る勇者を再び踏み潰しながら、執務室へ向かうのだった。
⸻
「さて……今日も山ほどあるわね」
机の上に積まれた書類の束を見下ろし、エルミナは軽くため息をつく。
彼女は椅子に腰かけ、両足を机の下へと滑り込ませた。
一方、ようやく足汗を含んだゼリーをすべて吸い取ったハヤトは、暗く湿った靴下の内側で、そっと息を整えた。
「ハヤト」
エルミナがペンを手に取り書類に目を通しながら、机の下へ声を落とす。
「貴方も、自分の仕事を始めなさい」
(……また、この時間か)
エルミナから命令され、ハヤトは唇を噛みながらも、自身のやるべきことを始める。
季節は初夏。
歩行や仕事をしていだけで、汗をかき、靴の中は蒸れてきてしまう。
そしてそれを放置すれば、エルミナ王女が足を不快に感じてしまうことだろう。
靴下の中で飼われる者として、そうならぬよう、素足のあらゆる箇所を這いまわり、舌で舐め、奉仕し、綺麗にし続ける。
それが、靴下の中で過ごすハヤトに与えられた仕事だった。
早くも汗ばみ始めた肌に、分かりました、という意味をこめて、一度キスを落とす。
そして、まずは蒸れやすい足指から、汗でしょっぱくなってきた肌を、丁寧に舌でなぞっていき、飲み込んでいくのだった。
(俺は……いつまで、こんなこと……)
ハヤトは心の中で毒づいた。
しかし、舐める舌は止まらない。美しい素足に奉仕できて、満更でもないな、とも考えてしまう。
(かけられた魔法のせいで、こうやって舐めてると……妙に、落ち着くんだよな……くそ……)
こんなこと、過去の自分では考えられなかった。
誇り高い勇者として魔人と戦い、讃えられてきたはずの自分が、今や小人となり、靴下の中から出ることも叶わず、自分より遥かに年下の少女の足を、なすがままに舌で奉仕している。
みじめだった。
(嫌だって思ってるはずなのに……身体は、楽に感じる……)
足指、土踏まず、踵、足の甲.......
ハヤトは不快感を覚えながらも、靴下の中をくまなく移動し、執務中の王女の右足を奉仕していくのだった。
⸻
「……うーん」
エルミナは判断に迷う書類に目を通しながら、無意識に右足を組み替えた。
「……っ」
ハヤトの身体が、靴下の中で振り回される。
それに彼女は気づいていない。ただ書類に集中し、考えごとをしているだけだ。
考えが煮詰まるたび、執務中のエルミナの足はよく動き、そのたびに靴下の中のハヤトは翻弄される。
ぐり、ぐり……
(く、苦し………!)
小さな玩具を弄ぶように、足裏を床に押しつけたかと思えば、次の瞬間には指がしきりに動き出し、つま先へと誘いこまれる。
エルミナは椅子に深く腰掛けて、銀のペンを指先でくるくると回していた。
「ふぅ……この件はどちらかに肩入れすると軋轢が生まれるわね…….どうしようかしら……」
小さく、息をつく。
眉間にしわがより、目を細める。
そして——
トン ……
引き続き無意識に、右足のつま先が床を叩いた。
トン……トン……
机の下で、靴のつま先部分を、規則正しく絨毯の上にたたきつける。
しかしそのたびに、靴下の中では——
「ぐっ……ぅ……!」
つま先に追いやられていたハヤトが、押しつぶされるように呻いていた。
「うーん.......」
トン......トン.......
思案中の彼女が、無意識に動かすつま先。
それはたびたび床を打ち、衝撃と圧が靴下の中にまで伝わる。
「……ん?」
エルミナの表情が、ふっと和らぐ。
何かに気づいたように、視線は書類から動かさず、わずかに口元を上げた。
「あ、また動かしてましたね。そうですね…….ちょっと、気分転換しましょうか。」
そのまま彼女は右足のつま先に意識を集中させる。
指が開く。
ハヤトを挟んで、閉じる。
(あ、あぐっ……! や、やめ……!)
くに……くに…….
足指の間で、ハヤトの身体がくにくにと挟まれ、揉まれる。
ハヤトは逃げだすことも出来ず、熱と匂いと圧力の中で、ただひたすらにもがく。
その感触に、エルミナはクスっと笑みを浮かべた。
「ん〜……やっぱりこういう時、小人で遊ぶと気が紛れるわね♪」
エルミナはつま先をそのまま蠢かしつつ、口元に紅茶を運び、くすくすと笑う。
「大好きなご主人様の足が構ってくれて、嬉しい?ハヤト。くくっ笑」
つま先でいじめられ続け、抵抗しても敵わず、ここが自分の居場所なんだとあきらめ、どうしたら許してくれるかを考えるようになっていく………
——それが、何よりも悔しかった。
ハヤトは自分を虐めてくる足指の間に、顔をうずめる。
「……ふ、う……ん、……は……」
ペロ…..ペロ……
(こんなの……狂ってる……)
(もう俺に、生きる価値なんてないのかもな……)
すると一瞬、記憶の中の過去の情景がフラッシュバックした。
昔たまたま通りかかった村が、魔人の襲撃にあい、撃退し、宴を開いてもらったことを思い出す。
『ありがとう、お兄さん!』
『兄ちゃんのおかげで命拾いしたよ!』
『また是非遊びにきてくれ!兄ちゃんは命の恩人だ!』
過去に言われた幾つもの感謝の言葉が、ふと脳裏に蘇ったのだ。
——ああ。何で忘れてたんだろう。
そうだ。
自分は、確かに誰かの希望になっていた。
助けを求める声に、応え続ける。
それが、勇者ハヤトだったはずだ。
(何、してるんだよ、俺……)
(……このまま……誰にも知られず、こんなガキの足に奉仕して、死んでいくのか……?)
(……違うだろ……!)
靴下の中、足指に這わせていた舌を止めた。
ふと、脱出した後の王族の魔法対策も思いつく。
(いける……ここから、脱出するぞ.......!)
ハヤトは、ついにこの狂った世界からの脱出を決心したのだった。
⸻
深夜。
巡回兵を除き、多くの者が寝静まっている時間帯。
王女の室内の明かりは消され、窓からは月の光が差し込む。
エルミナはベッドに仰向けになり、靴下を履いたままスヤスヤと寝息を立てている。
ハヤトはその中で、この布の牢獄から逃げ出す機会を窺っていた。
呼吸を殺し、動きを悟られないように、慎重に。
(いつもなら、もう寝てる時間のはずだ....今しかない……)
(ここから出るんだ……このまま、ここでずっと飼われるなんて、冗談じゃない!!)
彼は決意を込め、靴下の中、ゆっくりと履き口に向けて進み始めた。
なるべく足に刺激を与えないよう、慎重に、足首へ移動していく。
「すー…..すー……..」
引き続き、エルミナは静かに寝息を立てている。
そしてついに、靴下の履き口まで辿り着き——
「はぁ......はぁ......」
ハヤトは、ついに靴下の外への脱出に成功した。
(……出れた……!)
湿った、澱んだ空気から一転、涼しい新鮮な空気が彼の肌を撫でる。
(涼しい!!)
久しぶりの靴下の外だ。
視界が、とても広く感じる。心地よかった。
しかし———
靴下から離れたことで、あの発作が、魔法が——勇者を苦しめる。
「ぐっ……がぁっ……!」
ハヤトはベッドから飛び降りてすぐ、絨毯の上に膝をつき、胸を押さえた。
靴下の中に、戻りたい———
頭が、おかしくなっていく。
新鮮な、外の空気。
しかし、今の彼の身体には猛毒であった。
身体が激しく、今の空気に拒絶反応を起こす。
(く、くるしい……!く、空気が……肺に、まともに入ってこない……!)
視界が揺れ、頭がぼうっと熱を持ちはじめる。
まるで、身体が「早く戻れ」と叫んでいるようだった。
(……前回とは、違うぞ……!)
ハヤトは震える指で胸に触れ、小さく呟いた。
「……精霊よ、我を癒せ……!」
すると即座に、淡い光が身体を包みこむ。
勇者として以前助けた村で教わった、魔法とは異なる概念の、精霊を駆使した自己治癒の術式。
するとほんのわずかだが、呼吸が楽になる。
「よし、これなら……!」
ハヤトはふらつきながらも、無理やり前へ進める。
とにかく、少しでもここから離れなくては。
(ドアまで……あと、少し……)
だが数歩進むたびに、あの発作がおき、膝が笑い、視界がぶれ始める。
「くっ……負けるか……!」
再び自己治癒を施し、また足を進める。
そして繰り返すこと数分、ようやく、エルミナの自室のドアの前までたどり着いた。
——しかし。
「……はぁ」
背後から、小さなため息が聞こえた。
ハヤトの背筋が凍りつく。
(まさか……)
恐る恐る、振り返る。
月明かりに照らされたベッドの上——
エルミナが、起きていた。
寝間着のまま身体を起こし、腕を組み、不機嫌そうな瞳で、こちらを見下ろしている。
「なにを、してるんですか?」
決して大声ではないが、静寂の中、エルミナの声は部屋によく響いた。
(….まずい……!!)
ハヤトは必至に弁解の言葉を考える。
「エ、エルミナ様……これはですね……!」
しかし、ハヤトの言葉が聞こえているのかそうでないのか、もはやどうでもいいのか、彼女は彼の言葉を遮って続ける。
「わざわざ言いませんでしたけど……..」
エルミナはベッドから足を下ろし、ゆっくりと立ち上がった。
「王族魔法は、かけられた相手がこっそり逃げないように、指定した場所から離れたら、術者が分かるように出来てるんです。」
ズシン……ズシン……
床を踏む音が、やけに大きく響く。
「対策、してるに決まってるじゃないですか。勇者なのに、そんなこともわからなかったんですか?馬鹿ですねぇ笑」
一歩、また一歩。
ハヤトとの距離が縮まる。
「これ......王族への反逆行為ですよね?」
あぁ……..もう、ダメだ。
その言葉に、ハヤトは力が抜け、膝を床につける。
ここから脱出する覚悟も、意思も、目の前に聳える巨人の前に、すべてが崩れていく。
床についた手のひらが、震える。
こうして、ハヤトの自由を求めた一夜は、エルミナにあっさりと見つかり、終わったのだった。
——————————
「……はぁ、どうしてあげましょうか……..」
沈黙の中、ハヤトの目の前まできたエルミナは、膝をつき震えているハヤトをつま先でつんつんとつつきながら、ひとつ、静かに息を吐いた。
ハヤトは反論する気もないのか、ただ床を見つめ、震えている。
その姿を冷たく見下ろしながら、彼女は罰を決めた。
エルミナは足をあげ、ハヤトの頭上にセットする。
ハヤトのすぐ上空が、巨大な右の足裏に覆われた。
「…….もう、敬語もなしでいいか。私、お前には少しだけ期待していたのよ?」
ズシン!!!!!
「ぐわぁぁぁ…………!!」
勢いよく、足を床に叩きつける。
そして数秒間、足が地面についた後、ゆっくりと足があがっていく。
そしてすぐにまた、足が勢いよく下される。
ズシン!!!!!
グリグリ.......
「がはぁ…………!!!」
(これは…….今までの踏みつけは、全然本気じゃなかったのか………..)
ハヤトは倒れこんだまま、またはるか頭上に上がっていった、靴下に包まれた右足の裏を見つめる。
(…….俺、ずっと、あの中にいたんだよな)
今となっては、はるか頭上に浮かぶ靴下の中が、天国のように思えてくる。
(そうか…….俺はあそこで、ある意味守られていたのか………)
ハヤトは、こんなちっぽけな自分が誰かに捕まらないよう、あの中で保護されていたのだと、広い外の世界に出たことで、漸く理解した。
しかし、もはや全ては手遅れだ。
「…….1週間、靴下の中で生活して、危険な外の世界から守られて…..足の奉仕生活にも、ようやく慣れてきたんじゃないかって思ってたけど……….」
ズシン!!グリグリ.....
「ぐう……っ!!!」
また、足が勢いよく落とされ、ぐりぐりと、ハヤトはゴミのように潰される。
ハヤトは歯を食いしばったまま、必死に耐える。
(こんな世界で、この大きさで生きれるわけがなかったんだ.....一時の気の迷いで、俺は、なんて馬鹿なことを……..)
ちゅ.....ちゅ.....ちゅ.....
自然と涙が溢れ出し、今更無駄とわかりつつも、靴下越しに何度も足裏に口付けし、許しを乞う。
「でも……よくも裏切ってくれたねぇ…….馬鹿小人さん.......?」
グリ……..グリ……
「がぁぁぁ、つ、つぶれ……..!!」
しかし、もう慈悲などないとばかりに、容赦なく踏み潰される。
今までの比ではないほどの圧で、床に踏みにじられ続ける。
(……..し、死ぬ…….……..)
「ふん…….これは疲れるからあまり使いたくないんだけど……頭の弱い小人が、もう二度とこんな反逆行為ができなくなるよう、もう一つ、魔法をかけてあげる……..」
エルミナが、薄く微笑む。
「人の姿でなくなれば、もう逃げるなんて馬鹿な事、考えなくなるでしょ?」
「えっ……?」
人じゃ、なくなる?
よく理解できず、戸惑う。
するとエルミナの足が再び上空へ上がっていき、ハヤトが思わず頭上を見上げた時。
———エルミナの掌に、魔力の光が集まっていた。
「これも王族にだけ伝えられている、秘伝の魔法だよ。」
光がゆっくりと彼女の指先に集まる。
「依存対象としたもの、それ自体に形を変えてしまう——禁断の魔法♪」
「や、やめろ……! 待ってくれ……!」
ハヤトは震えながらも、立ち上がった。
何をするつもりのか、正直まだ良くはわからない。
しかし、何か恐ろしいことが……取り返しのつかないことが起きようとしていることは、朧気ながら理解し、必死に訴えかける。
エルミナは、そんなハヤトをゴミを見るような目でじっと見下ろす。
「あ、そうそう。懸念だった残りの魔人も、残りはこっちで処理する算段がついたの.....つまりもう、お前は用済みってコト。」
「……っ」
「今までご苦労さまーwだからぁ、これからはぁ」
ニヤっと笑みを浮かべ、続ける。
「人間を辞めて….. 私の足を包み、汚れを吸い取るだけの存在として、役に立ちなさい?」
「っ……い、いやだぁぁぁぁ!!」
ハヤトは少しでも距離を取ろうと、再び扉へと走り出す。
「——変化魔法、発動!」
彼女の声が響いた瞬間。
ハヤトの周囲一面に光の紋章が広がり、その光に、身体が飲み込まれていく。
「う、あ、あああああっ……!!」
光の中で、身体が軋む。
骨が融け、皮膚が延び、意識が乱れる。
(な……んだ……!?)
肉体の輪郭が、消えていく。
指が消え、腕が、足が、胴体が柔らかくなっていき、布地へと再構築されていく。
「や……だ……! まだ……俺は……!!」
必死に抗おうとするも、喉もなくなり、声も出せなくなっていく。
やがて——
光が収まると、今エルミナが履いている靴下と全く同じ色や形の靴下が片足分、ぽとりと床に落ちるのだった。
⸻
「……ふぅ。疲れた。」
エルミナは魔法を発動し終わり、一息つくと、床にしゃがみ込み、ハヤトがいた位置にあった靴下を、指でそっと摘み上げた。
「ふふ、無事成功!どう?靴下になった感想は………♪」
「5感は残るし、ちゃんと意識もあるよね?」
にこりと微笑み、次いで、右足——今までハヤトを閉じ込めていた靴下をするすると脱ぎ、代わりに、ハヤトそのものが変化したその靴下を履いた。
外見は全く同じのため、今までと違いはわからない。
しかし、実際に履いたエルミナは、前の靴下との違いをしっかりと感じていた。
「……すごい履きやすい。それに、良い肌ざわりね…..さすがは元勇者。さっきまで履いていた靴下も、勇者のおうちだからそれなりに高級な素材だったんだけど.......それを上回ってるわ♪」
くすくす笑いながら、足を地面に下ろす。
「……ふふ、安心しなさい。人間ではなくなったけど、お前の役割は変わらない。これからは靴下として、私の足に奉仕なさい。」
エルミナの若々しい、美しい足の肌から発生する、体温や汗。蒸れや匂い。
それらすべてを包み込むものとして、ハヤトは生まれ変わった。
——もう誰も、彼を勇者と呼ぶことはない。
彼は今——王女の足を包む、ただの靴下になったのだから。
————————————
靴下として履かれ続けて、どれほどの時が経ったのだろう。
視覚含む5感は全て靴下内部にあり、昼か夜かすら、もはや感じることはできない。
目を閉じることも、意識を失うことも許されないまま、王女の生活リズムに合わせて、ひたすら酷使される。
エルミナは、もうハヤトへ話しかけることはなかった。
以前のように名前を呼ぶことも、足元へ声を落とすこともない。
ただの靴下に、かける言葉などないからだ。
今日もいつものように、机に向かい、書類に目を落とし、ペンを走らせ、淡々と公務をこなしている。
言葉もかけられず、靴下の内部しか感じられないハヤトは、エルミナの足の動きがすべてだった。
体重のかけ方や足指の動き、それら一つ一つが、ハヤトにとっては生活を彩る刺激であり、とても大切なことになっていった。
(あ......母指球のところ、少し湿ってきた.....)
次第に熱った足の皮膚からじんわりと湿り気が増していき、ほんのわずかに、ぬるりとした感触が生地の身体に伝わる。
靴下に最適化されたこの身体は、臭いや汗、垢といった足の汚れをすぐ察知して、吸い取る。
しかも幸か不幸か、それらの汚れはハヤトの5感や意識のエネルギーに変換されているようで、もはや洗濯すらも不要だった。
ハヤトは、染み出した汗を必死に吸い取っていく。
次第に吸い取る量を発生する量が上回り、饐えた匂いやしょっぱい味で頭がいっぱいになる。
(臭い......嫌だ......しょっぱい.....ここにいたい.....嫌だ.....)
エルミナの足しか感じ取れない、足が全ての狂った世界で、もはやハヤトは正常な思考も失われていき、次第に自分がどうしたいのかすら、良くわからなくなっていったのだった。
⸻
「っふー……今日は朝から王城内歩き回って、疲れましたね.....」
エルミナの声が靴下内部に届く。
吸い取りきれなかった汗ばんだ足が、何度もぎゅっ、ぎゅっと床を踏みしめる。
するとそれらに残っていた汗が、足の圧で、許容範囲を超えて靴下に吸収されていく。
(あぁ……あぁ……)
(……身体の中....いっぱい……)
気がつけば、ハヤトの自我は、ゆっくりと揺らぎ始めていた。
最初は、いつか元に戻れると信じて、必死に耐えていた。
(大丈夫、俺は勇者だ......)
(俺は人間、俺は人間......)
(こんなガキの、思い通りになってたまるか——)
何度も何度も、心の中で、自分にそう言い聞かしてきた。
しかし、時が経つにつれ、彼の中で自然に浮かぶ言葉は、その時とはまるで異なっていった。
(……でも、ピンク色で、綺麗な素足だよな……)
(こんな高貴な方の……足を包めるなんて、靴下の中でも当たりだよな......俺.....)
(足の汗.....おいし……)
(ご主人様の足が汚いなんて、あってはならないことだ.....汗を、垢を、匂いを.....もっと、沢山吸い取りたい.....)
(ご主人様の履き心地をよくするために、俺に何ができるだろう.....)
⸻
更に、時が経ち。
——彼の中に、靴下としての新たな自我が芽生えた頃。
午後の陽が傾き始めた執務室。
.....なにやら、右足のつま先がくすぐったい。
「.....なにかしら?」
エルミナは靴を脱ぎ、机の下の足元を....久しぶりに自身の足を、じっと見つめる。
すると、たまに右足の靴下のつま先部分が、ぴちぴちと動いていたのだ。
——かつて、勇者と呼ばれたハヤト。
魔法で靴下へと変えられてから、実に3週間が経過していた。
その間に、魂が布へと馴染み、勇者の高いステータスが成せる技か、ついには靴下の身体を動かせるようになっていた。
つま先部分だけフリフリと動く様子は、まるで、尻尾を振る子犬のようだった。
エルミナはその動きを見て、思わず笑みが溢れる。
「ふふ……かわいい♪ペットみたい。」
エルミナはそう言いながら、靴下の大部分を脱ぎ、つま先で履き口に引っ掛ける状態にする。
彼女の艶かしい素足が、眩しく映る。
「一息ついたし、動けるまで靴下に馴染んだご褒美に、少し遊んであげる......♪」
そして——
「それーっ♪」
ぶんっ!
「——ッ!」
エルミナが足を勢いよく振り上げ、ハヤトを遠くに放り投げた。
靴下の身体はふわりと舞い、 放物線を描いて、ぱさっとカーペットの上に着地する。
(……ッ! ……!)
ハヤトは急に足から離され動揺し、彼の中に焦りが生まれる。
(も、戻らなきゃ……!エルミナ様の足元に……!!)
ハヤトは苦しく、切ない気持ちになり、何かが根本的に足りない感覚に陥る。
自分は靴下なのに、ご主人様の足が、そばにない。触れられない。汗の気配がしない——。
それだけで、自分の存在意義が大きく揺らぐのを感じた。
(戻らなきゃ……戻らなきゃ!戻らなきゃ!!!)
ぴょん….ぴょん…..ずり……ずり…….
視覚も靴下内部にあるため、履き口部分を通してかろうじて外の世界を見ながら、布の身体を必死に動かして、跳ねながら、尺取り虫のように這いながら、少しずつ、少しずつ、王女の足元へと近づいていく。
(あと、少し……!)
ぽすっ
ようやくエルミナの足元にたどり着いたハヤトは、 履き口を、エルミナの右足のつま先に被せた。
「……ぷ。いい子いい子♪じゃあもう一回——」
しかし、また足が振り上げられる。
「ほーれ、戻ってこ〜い♪」
ぶんっ!
再び、空中を舞う。
(ま、またっ!?)
ぱさっ
でも——
ぴょん…..ぴょん…..ぴょんっ….ずり…..ずり……
自分を履いてくれることを期待して、ご主人様の素足へ、また一生懸命戻るのだった。
⸻
同じ遊びを数回繰り返し、またつま先に戻ってきたハヤトを見下ろしながら、エルミナは微笑む。
「...ふふっ。あー面白かった。でも、よく見ると糸がほつれてたり、だいぶボロくなってきてるね。ずっと履き潰してたし、しょうがないか。そろそろ捨て時かなぁ。」
捨てる……?
もう、履いてもらえないの……?
ハヤトは、意思を伝えるための言葉や声を持たない。
その代わり、靴下の身体を震わせながら、 エルミナの素足に、何度も、何度も身体を擦り付ける。
すり……すり……。
(どうか、捨てないで……)
(ずっと、エルミナ様の……足の下にいさせてください……)
エルミナはその動きを見て、ふっと鼻で笑った。
「あはは♪分かった分かった。ほら、おいで笑」
すると足を上げて、ハヤトの目の前でつま先を尖らせる。
ハヤトはその意図を察して、喜びで身体をはねらせる。
(やった....ありがとうございますっ……!)
そして、勢いよくつま先へと飛び込んだ。
履き口をぐいと広げ、足先を飲み込む。
つま先部分をふりふりと揺らして——
必死に、嬉しそうに、自らの中へと、王女の足を迎え入れていく。
(俺は……)
(俺は、エルミナ様の……足のためだけに生きる……靴下だ……)
そこには、かつて勇者だった男の影も形もなく、ただご主人様に必死に仕える、生きた靴下が一つあるだけだった。
「……そろそろ、良いでしょ。」
ハヤトが靴下として自ら必死に王女の足を包んでいくのを見て、エルミナはもう逃げ出すことはないだろうと判断した。
椅子に座り微笑みながら、足先をくいっと持ち上げる。
「……もう十分反省できたと思うから、変化魔法を解除してあげる。」
エルミナは、小さく指を鳴らす。
直後、足元に魔法陣が淡く浮かび、ぱっと弾けるような感覚とともに、
靴下だったハヤトの身体は、変化前の小さな人間の姿へと戻るのだった。
(……!?)
手が、ある。足が、ある。
(……戻った……俺、戻された……?)
実に、3週間ぶりの人間の姿。
倒れ込む。
上手く、足で立つことができない。
思わず首だけ動かす。
すると、椅子に座るエルミナの姿が、膝まで見ることが出来た。
この体勢では、その姿の全体を見ることすら叶わない。
まるで、神様のお膝元にいるようだった。
そして、その神様の素足が、今、眼前にある。
全身が震える。
(....エルミナ...様....俺は.....)
発作もまた復活し、ハヤトはずり、ずり、と地を這うようにして、彼女の足の指へとにじり寄った。
⸻
エルミナはわざとらしく首を傾げながら、足を床につけたまま、つま先だけをくいっと持ち上げ、ハヤトがつま先に触れるのを拒否する。
「なーに?近づいてきて....逃げたかったんじゃなかったっけ?」
しかしハヤトはただ、自分の身長より高い位置に浮かぶ、触れられない足の指に手を伸ばし続けている。
その姿をエルミナは冷たく見下ろし、ハヤトを足の指で弾いた。
ぴんっ!!
ハヤトは軽く弾き飛ばされ、泣きそうな顔をしながらも、また足指の元に這っていき、また上空に浮かぶつま先に向かって手を伸ばし続ける。
ぴんっ!!
また弾くエルミナ。
「ハヤト。言いたい事があるなら言いなさい。」
ハヤトはその言葉に土下座をしながら、声帯が戻りつつある掠れた声で、必死に叫んだ。
「……エルミナ様……っ、逃げてしまって、ごめんなさい……」
「許して.....ください.....」
「貴方の足がないと....俺はもう、生きていけません.....どうか....どうか.....!!!」
その叫びを聞き、エルミナは上げていたつま先を、ハヤトの目の前にゆっくりと降ろした。
「あ.....ありがとう.....ございます.....エルミナ様......!!」
ハヤトは這って近づき、ようやく触れられた足指に身体をすりすりとこすりつけ、つま先で何度も口づける。
「ふ……ふふふっ。ばっかみたい笑」
エルミナが、そんなハヤトの動きを見て、思わず吹き出す。
そして、ゆっくりと足を前に進めて、ハヤトの身体を素足で直接踏みしめる。
ズシン…..!
ハヤトはその足裏の中央に身を沈めるも、全く抵抗することはなく、舌でぺろぺろと足の裏を舐め始めた。
(エルミナ様.....踏んでくださり、ありがとうございます!!)
重さが、汗が、匂いが——ハヤトの心を満たしていく。
(ああ……この場所が……俺の、いるべき居場所だ……)
もはやそこには、過去の勇者の面影など欠片もなく、ただ王女の足元で生きることを望む、小さな存在だけがあった。
「ねえ、ハヤト」
静かに、揶揄うような声が降りてくる。
「……お前にとって……..私の足って、何?」
ハヤトはその問いに、ほんの一瞬息を呑んだ。
でも——もう迷いはなかった。
自分でも驚くほど、あっさりと言葉がでてくる。
「……全てです」
何かを確信したかのように、自信のある声で、ハヤトは答えた。
「エルミナ様の足は……私の、全て」
「ご主人様の足以外、他には何も、入りません」
「汗や匂い、垢を食べさせて頂いたり、踏みつけ頂いたり……それが、私が望む世界です。」
「ご主人様.....どうか……どうか、これからも私を……足で思いのままに、お使いください」
その言葉は、もはや祈りのようだった。
自分が崇拝する、女神様への祈り。
——そしてそれを聞いたエルミナは、軽く鼻を鳴らし、ふっと笑った。
「……よろしい♪」
足を、ほんの少し、引いたかと思えば——
ズシン!!
「……ッく……!」
つま先からぐいっと深く、王女の素足が床に踏み込まれた。
「これからもずっと、私の足に忠誠を誓い、奉仕するのなら」
彼女の声が、静かに響く。
「——私の足にへばりついて、生きることを許してあげる♪」
「あぁ!!ありがとうございます!!エルミナ様…….!!」
ハヤトは、その言葉に歓喜し涙しながら、足の裏に一度しっかりとキスを落とし、舐め奉仕を続けるのだった。
その日——
かつて勇者と呼ばれた男は、小人にされ、靴下にされたことを通して———
王女の足に、永遠の忠誠を誓ったのだった。
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こちらでこの話は完結です。
実はパンツ化の話も途中まで書いていて、正直かなり迷いましたが、好みで靴下にしました。
機会あれば、パンツ化の話もIFストーリーとして書こうかと思います。