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「ARグラス?」
蔵人がボソッと呟く。
「うん?なんだ?ARグラス?」
その呟きに航河は反応して蔵人が見つめる目線の先を見ると、そこではARグラスの体験イベントを行っていた。
「よかったらそこのお兄さんたち体験していかない?」
2人して見ていたせいか人当たりが良さそうな販売員の青年に声を掛けられた。
「どうする?やってみる?」
「いいじゃん。やってみろよ」
折角とまずは蔵人が用意されていた椅子に座る。
「おっ、すげぇふかふか」
思ったよりもその椅子は深く、座り心地は快適で蔵人は体を預けてリラックスした。
「このARグラスは今後スマートフォンのように普及すること間違いなしの商品ですよ!未来のメガネをいち早く体験出来るお兄さんはラッキーですね!では早速こちらをメガネをかけるみたいに着けてみて下さい!」
蔵人は販売員からARメガネを受け取る。見る限りでは普通のメガネとは何も変わりない。販売員の言葉に少しワクワクして蔵人は装着した。すると目に映る景色に視界の邪魔にならないようアイコンのようなものが浮かび上がっていた。右上あたりには時計が表示されていて、よくSFドラマやアニメなどで見るような光景に蔵人のテンションはあがる。
「おおーすげぇー!」
「まだまだこれだけじゃないですよ。何かアプリを起動させてみてください」
販売員に言われた通り蔵人は空に手を伸ばして、スマホでアプリを起動させるみたいに指でタップをする動作をした。するときちんとメガネは反応してアプリが起動する。
「おおー!すげぇー!」
「ではスワイプして次の画面にしてみて下さい」
販売員の言葉に蔵人は素直に従いスワイプすると視界に3つのアプリが横並びに現れる。
「ではどれかタップしてみて下さい」
蔵人は言われた通り左にあるVマークのアプリを起動させた。するとその瞬間蔵人の視界に7色に発光する映像が襲いかかる。
“お前はご主人様の忠実な奴隷”
“お前はご主人様を愛する淫乱ホモ奴隷”
“お前はご主人様の命令に従う構成員”
“構成員として命令に従うことは幸福”
“全てをご主人様と組織に捧げろ”
いくつものコードが潜むその映像は、一瞬にして蔵人の目から脳へと刻み込まれた。
「うぁッ、あっ、あぁ…あぁ…♡」
そしてご主人様の情報と組織の構成員としての在り方をインプットされ、蔵人は完成した。
「おい、蔵人大丈夫かよ」
蔵人の様子が先ほどと明らかに違うことに気づいた航河は心配そうに声をかける。蔵人はARグラスを外して、何もなかったように返事をした。
「ん?俺は大丈夫だよ。そんな顔してどうしたんだ?」
「え、いや、お前が苦しそうな声出してたから」
「あぁ、凄すぎてなんて言うか言葉にならなくて呻いちゃったんだよ」
笑顔で答えた蔵人はそのまま立ち上がり今度は航河に座るように勧める。
「それよりさ、すごいからお前もやってみろよ!」
それに示し合わせたかのように販売員の青年も乗っかってくる。
「お連れさんもどうぞどうぞ。座ってARグラス体験してみてください」
笑顔の2人に戸惑いながらも航河は座り、渡されたARグラスを装着する。だが、航河はここで気づくべきだった。構成員2人の股間が膨れ上がっていることに。新たな仲間が増えることに興奮する2人をよそに、航河の視界にも近未来な映像が映し出された。