パカラ...パカラ...パカ...
薄暗い夜道の中を高速で走る1台の馬車があった。しかし、魔獣が蔓延る危険なこの世界において、夜間に移動することは大変な危険を伴う。
ガルルル...
獲物の存在に気づいた魔狼たちが涎を垂らしながら馬車に並走し始めた。腹を空かせた狼たちは馬車を引く馬を食い殺し、箱の中に入っているであろう二足歩行の生き物をいたぶってやろうと舌なめずりする。しかし残虐さをもった魔獣たちのその願いは叶えられることはなかった。
斬ッ!
なぜなら、群れを率いていたリーダー格の個体の体が一瞬で一刀両断されたからである。
キャウンッ!?グギャッ!?
さらにそれを皮切りに、馬車を取り囲んでいた魔狼たちは次々と悲鳴をあげ地面に倒れ伏す。彼らの体には、まるで幾つもの刃に切り刻まれたかのような鋭い傷がついていた。
「これで全部ね」
魔狼たちの襲撃にあった馬車の中から女性の声が聞こえる。馬車を操っていた御者はその言葉に恭しく礼をした。彼も彼が操る馬も、魔狼に襲われたばかりにも関わらず全く怯えた様子はない。彼らは理解しているのだ。自分たちの主人が馬車に乗っている限り、この馬車を害することが出来る者などいないということを。
「.........」
一方、御者に声をかけた女性は馬車の揺れを感じながらゆっくりと目を閉じる。ウェーブがかった緑色の髪をした美しい容姿だ。
ヒュオォォ...
彼女は外から聞こえてくる僅かな風の音に耳を澄まし、自分の魔力を風に同調させる。もしこの場に一般的な魔法使いがいたとすれば、女性の規格外の魔力量と制御技術に腰を抜かしたことだろう。女性は周囲の風を操り、馬車の周囲半径300mの距離の索敵を行っていた。さらに、馬車の進行を妨げるような魔獣には無数の風の刃が殺到しその身を切り刻む。魔狼たちが優秀な嗅覚を持ってしても為す術なく排除されたのは、この非常に知覚しづらい風魔法の攻撃が原因だったのだ。確かにこれほどの実力があれば、夜間の移動であっても魔獣に怯える心配はない。
ガラガラガラ...
夜の闇を引き裂くように、馬車が街道の上を疾走する。
「失礼、少し止まっていただけますか」
身分が高い者のために設置された小さな門の警備を任されている兵士が、近づいてきた馬車に丁寧な口調で話しかけた。
ブルル...
御者は言われたとおり手網を引いて馬たちを止める。兵士は御者に軽く手を挙げると、中に入っている人物を尋ねた。
カシャン...
その時、馬車に備え付けられた小窓から魔狼を蹴散らしていた女性が顔を見せる。
「っ!?こ、これはサクラティス伯爵様!失礼致しました!」
女性の顔を見た兵士はすぐさま背筋を伸ばし最敬礼の姿勢をとった。
「先触れを出さずに来て悪いわね。ちょっとタミラに用が会ってきたのよ。通ってもいいかしら」
「はっ!少々お待ちください!おい、門を開けろ」
ギギィィ...
現場責任者である兵士の言葉によって門が開けられ、馬車が走れる道が見えてくる。
「ありがとう」
顔を見せた女性は敬礼する兵士たちに軽く微笑みながら再び動き始めた馬車の揺れに静かに身を任せた。
パカラ...パカ...
「はぁ...」
兵士たちから『サクラティス伯爵』と呼ばれた女性、エルミアは、馬車の窓を閉めると物憂げな表情でため息をつく。
エルミア・サクラティス。建国当初から仕える貴族サクラティス家の当主であり、軍の中でも強い発言力を持つ人物だ。類まれなる戦闘力と指揮能力を有し、その端麗な容姿も相まって兵士や騎士からは絶大な人気を誇っている。もし彼女を女性と侮る者がいれば、次の瞬間には得意の風魔法の餌食になっていることだろう。
「.........」
そんな有名人のエルミアがお付の者も持たずどうしたのだろうか。それはこの街を治める人物に関係があった。
「タミラ...何があったの...」
エルミアが馬車の中でポツリと友人の名前をつぶやく。それはこの街を治めるローズワルド家の女当主、タミラ・ローズワルドだ。エルミアとタミラは養成学校に通っていた頃からの友人であり、時には首席の座を賭けて争った良きライバルでもあった。軍に所属してからも交友関係は続いており、若かりし頃は肩を並べて戦場を駆け巡ったものだ。互いに出世し前線に向かうことはほとんど無くなったが、今でもエルミアは誰に背中を預けるかと聞かれたら迷わずタミラの名前を挙げる。しかし、エルミアが絶大な信頼を寄せる友人に異変が起こったのは少し前のことだった。
"リオ王国から友好条約の締結の申し入れがあった"
貴族の間でその情報が流れたのはいつのことだっただろうか。近年急速に勢力を拡大し国土を広げているリオ王国。いくつもの国を併合・属国化していくかの国の勢いに、特に軍部の人間は密かに警戒心を強めていた。エルミア自身は条約の話があがった貴族会議には参加しておらず、軍の代表として出席していたタミラから話を聞くという形で情報を得たのだが...
グググ...
リオ王国のことを考えているうちに、エルミアの手に力が篭っていた。細く美しい指が固く閉じられる様は、エルミアの心中に渦巻く激情を表しているようだ。しかし、それも無理はない。リオ王国から持ちかけられた友好条約の内容は、あちら側だけ一方的に有利なものばかりだった。あの内容を考えたリオ王国の者は、よっぽどの戦好きか馬鹿に違いないだろう。タミラ伝いで条約の中身を知ったエルミアは、それが開戦を望むリオ王国からの挑発としか思えなかった。その事を知った上から下まで全ての軍人が強い怒りを覚え、リオ王国を仮想敵国として密かに軍事訓練が始まったほどだ。しかし一方で会議に出席した一部の貴族からは、リオ王国との条約締結について検討するべきであるという声があがったという。エルミアから見れば、その者たちは愛国心を失った売国奴としか思えない。だからこそ彼女は軍部の内外の親しい貴族たちと団結し、自らの利益しか考えていない裏切り者の声を封殺しようとした。エルミアは反対派の貴族たちの署名を集め、タミラに密かに書類を送っていた。特に王家からの信頼が厚い彼女に、どうかこの書類を王の目に届かせて欲しいと頼んで。
「サクラティス伯爵、ローズワルド家のお屋敷に到着致しました」
エルミアがしばらくの間物思いにふけっていると、御者から声をかけられる。それを聞いたエルミアは目を開け、エスコートはいらないと御者に一声かけて馬車から1人で降りた。
スト...
パカラ...パカ...
所定の位置に停めるため、エルミアの乗っていた馬車が彼女を置いてゆっくりと動き出す。馬の蹄の音を聞きながらエルミアは目の前の屋敷にゆっくりと近づいていった。
「サ、サクラティス伯爵様!?」
屋敷の前に来た馬車へ警戒心を強めていた門番たちがエルミアの姿を見て慌て出す。1人が急いで中へ駆け出し、重要人物の来訪を屋敷の者へ伝えに行く。残された門番の中から入り口の警備を一任されている部隊長を見つけたエルミアは、緊張した面持ちの彼に穏やかな表情で話しかけた。
「久しぶりね」
「は、はっ!サクラティス伯爵様、ご無沙汰しております!」
その場に直立する部隊長は、額に汗を滲ませながらハキハキとした声で挨拶を返す。
ガチャガチャ...ガチャガチャ...
すると屋敷の方から鎧の音をたてながら門番の1人が走ってくる。戻ってきた部下から耳打ちされた部隊長はホッとした顔をし、「どうぞお通りください」と体の向きを変えエルミアに歓迎の意を示した。
「仕事の邪魔をして悪かったわ」
エルミアは自身の非礼を詫びると、舗装された石畳の上を歩き屋敷の玄関まで向かう。
ガチャ...
近くまで行くとエルミアを歓迎するかのように内開きの扉が開かれる。エルミアはブーツの音を鳴らしながらローズワルド家の屋敷に1人入っていくのだった。
「ローズワルド伯爵、久しぶりね」
中へ入ると当主のタミラと2人の娘、そして屋敷で働くメイドたちがずらりと並んで出迎えてくれる。エルミアは友人であるタミラのことを家名で呼び挨拶をした。メイドなど他の者がいる前では公の態度をとる必要があると思ったからだ。
「久しぶりだな、エルミア❤」
しかしタミラはエルミアをファーストネームで呼び、この場はプライベートの対応を取って構わないことを暗に示してくる。
「急に押しかけて申し訳ないわ」
それを感じ取ったエルミアは少し砕けた口調へ変えながら、まずは急な訪問で困らせたことを謝罪した。
チラ...
しかしその間にも屋敷の者たちからなにか情報を読み取れないかと、密かに娘やメイドたちに視線を送る。
(見た事のないメイドがいるわね...)
エルミアは何度もローズワルド家に訪れているため、メイド長のノエルを始めとしたほとんどのメイドとは認識があった。以前訪ねてきたのは半年ほど前だっただろうか。その間に雇用したであろう新人メイドが2名加わっていたが、まだ幼さを残す年齢の少女の他に自身と年が同じくらいの女性がいることが気になった。
(かなりの美人ね...タミラが容姿で採用するとは思えないけど)
新人にしては年齢が上の女性を観察するエルミア。貴族に仕えるメイドというのは新人から教育し、同じ者を雇用し続けるのが一般的だ。
「......❤」
クス...❤
その時新人メイドがエルミアの視線に気づき、微かに笑みを浮かべると優雅な所作で会釈してきた。
タプン❤
すると今にもこぼれ落ちてしまいそうな爆乳が体の動きに合わせ小さく揺れる。
「エルミア、どうした❤」
「っ!...いえ、なんでもないわ」
一瞬視線をメイドの胸に送っていたエルミアはタミラから話しかけられたことで我に返った。
「長旅で疲れていることだろう❤部屋を用意したからまずは休んだらどうだ?❤」
「...そうね。そうさせてもらうわ。今回しばらく滞在させてもらっても構わないかしら?」
「もちろんだ❤」
タミラの提案に、エルミアは少し考えた後頷く。数日の間この屋敷にいる許可を取り付けた彼女にメイドが近づき、来賓用の部屋へ案内してくる。エルミアはそのメイドについて行きながら、自分を見送るタミラたちの様子を最後にもう一度確認した。
「.........❤」
チラ...❤
するとタミラはメイドたちに意味深な視線を向けている。メイド長のノエルと何か業務の確認をしているのだろうか。友人の浮かべた表情にまた違和感を感じながらも、エルミアはその場を去っていく。
「行きましたね❤」
エルミアがいなくなると、彼女に注目されていたメイドが声を出した。
「カリファ様ぁ❤」
ガバッ❤
すると先程まで貴族の風格を纏っていたタミラが一瞬で顔を蕩けさせ、頭の後ろで手を組みながら股を開いて腰を落とし、ヘコヘコ❤と腰を動かし始めた。
「はぁ...❤はぁ...❤」
「ご主人様ぁ❤」
娘のカンナとユーナ、そしてメイド長ノエルを含めた他のメイドたちもタミラと同様のポーズを取り、頬を赤らめ目を潤ませながらメイドに扮したリオ王国の諜報員、カリファに服従の意を示す。
「タミラ様❤先程の演技お上手でしたよ❤最後の視線は少し怪しかったですけどね❤」
スッ...❤ナデ...❤ナデ...❤
カリファはタミラの元へ歩み寄ると、姿勢を低くした彼女の頬を優しく撫でる。
「〜〜〜〜っ❤ありがとうございますっ❤」
ビクビクッ❤ビクッ❤
本来であればメイドが主人にこのような態度を取るなど不敬極まりないが、タミラは心底嬉しそうな声で礼を言いながら体を震わせていた。
プシッ...❤
大きく開いた足の間の布がその部分だけ色濃くなっている。カリファから頬を撫でられただけで軽く絶頂し、股を愛液で濡らしてしまったのだ。
「ですが、媚香の効果はあまりなさそうでしたね❤本来であればもう少し反応してもおかしくないのですが...❤」
ムンムン...❤ムン...❤
屋敷の中にはカリファが持ち込んだお香が焚かれており、どこにいても甘ったるい匂いが充満していた。その香りには興奮作用があるはずだが、エルミアの態度からは体の異変というのは起きてなさそうに見える。カリファは腕を組んだ状態で顎に指を当てその理由を考えた。
タプン❤
「ほぉぉぉっ...❤」
より強調されたカリファの胸を間近で見てしまったタミラはプルプル❤と揺れるそれに視線が釘付けになる。メイドの中にはカリファの胸の揺れで絶頂に達してしまう者も現れた。
「エ、エルミアは風魔法で常に薄い膜を張っているため媚香の香りを吸い込んでいないのだと思われますっ❤」
タミラは長年苦楽を共にしてきたエルミアの技をあっさりとカリファに教える。既に彼女にとっては親友の秘密を守ることより目の前のご主人様からご褒美を貰うことの方が重要になっているのだ。
「あら❤そうだったんですね❤」
カリファはタミラの言葉を聞いてうんうん❤と頷く。タネが分かってしまえば対処法などいくらでもある。
「カリファ様❤妹のユーナを使ってはいかがでしょうか❤この子ならエルミア様に警戒されず近づくことが出来ます❤」
するとタミラの後ろで腰をカクつかせていたカンナがそのようなことを言い出す。小さな時からエルミアに可愛がられていた彼女だが、カリファのお気に入りになるために妹のユーナを差し出すような提案すらしてしまうようになっていた。
「あら❤素晴らしいアイデアをありがとうございます❤カンナ様❤」
カリファはその作戦を採用することにし、案を出したカンナにご褒美として吐息を吹きかけてやる。
フゥゥゥゥ...❤
「んほぉぉぉぉっ!?❤あ、ありがたきお言葉ですぅぅ❤」
ビクビクッ❤ビクビクッ❤
カンナは体を大きく仰け反らせて絶頂しながらそう叫んだ。
「それではユーナ様❤お願い出来ますか❤」
カリファは母と姉の痴態を凝視しているユーナへエルミアを堕とす手伝いを頼みつつ、彼女の頭を優しく撫でる。
ナデナデ...❤
「...は、はいっ❤頑張りますぅ❤」
(とりあえず明日にタミラの考えを確認して、送った書類がどういう状況になっているかを確認しないと...)
エルミアは装備を外し用意されていたラフな格好に着替えながら、明日の段取りを確認していた。兎にも角にもまずはタミラの意思を改めて聞くことが最優先だ。"親リオ王国派閥"に鞍替えすることを表明した彼女の真意を。
コンコン...
その時、エルミアの部屋に来訪者が訪れる。
「どうぞ」
ガチャリ...
エルミアが入室の許可を出すと扉が開き、小柄な人影が隙間からひょこ...と顔を覗かせた。
「ユーナちゃん。どうしたの?」
「えっと...❤エルミア様とお話しに来ました...❤」
「あら」
少し顔を赤らめ恥じらった様子でそう告げたユーナに微笑ましい気持ちになるエルミア。赤ん坊の時に抱っこしたこともあるユーナはエルミアにとって娘も同然だ。ユーナを部屋の中に招き入れると、備え付けのソファに座るよう促す。
「そう言ってくれて嬉しいわ。久しぶりね、ユーナちゃん」
「は、はい...❤お久しぶりです...❤」
ソファに座ったユーナは少し俯き加減でエルミアの挨拶に頷いた。他の者であれば失礼だと感じたかもしれないが、少し恥ずかしがり屋で大人しい性格ということを知っているエルミアは気を悪くすることもなく話しかけていく。
「最近はどう?タミラはちゃんと屋敷に帰ってきてるかしら?」
「えっと...❤お母様は家にいないことも多いけど、この前一緒に買い物に行きました...❤あの、良かったらこれエルミア様に...❤」
スッ...❤
ユーナはおもむろに何かを取りだし、エルミアの方に差し出してくる。
「これは?」
「エルミア様に似合いそうなデザインだったので、私のお小遣いで買ってもらって...❤」
ユーナが持っていたのはシンプルなデザインをした指輪だった。緑色の綺麗な水晶がはめられており、風属性のエルミアに確かに似合いそうだ。
「私に?ありがとう。大事にするわね」
エルミアはユーナから指輪を受け取ると、左手の中指にはめてそれを彼女に見せる。伯爵が付けるには少々粗末なものかもしれないが、娘のように可愛がっているユーナからのプレゼントということでエルミアの気持ちは高揚していた。
「ありがとうございます...❤そ、それと実は私も香水をお母様に買ってもらって...❤...今もつけているんですけどどうですか...?❤」
ユーナはエルミアに手首を向けて尋ねてくる。この年ならばお洒落に興味が出てくる頃かと、エルミアは自身の過去を懐かしみながらユーナの手に顔を近づけた。"匂いを嗅ぐために風魔法の膜を切って"。
モワァァァァ...❤
「っ!?❤」
その瞬間エルミアは部屋の中に漂っていた媚香の甘い香りを吸い込んでしまう。
ビクッ...❤
(な、なにこれっ...❤)
エルミアは自分の体の"ありえない感覚"に戸惑い、思わず声を詰まらせる。
「エルミア様?❤」
「...っ❤そ、そうね...いい匂いだと思うわよ...?」
しかしユーナに名前を呼ばれ、少しぎこちない口調ながら何とか返事をした。
コンコン...
「失礼します」
ガチャ...
すると部屋に再びノックの音が響き、エルミアが誰かと尋ねるとメイド長のノエルが入室してくる。
「ローズワルド伯爵がユーナ様とサクラティス伯爵をお呼びです」
「タミラが...?...分かったわ。ユーナちゃん、行きましょうか」
エルミアは少し不思議そうな表情を浮かべつつも、ユーナに声をかけ部屋を出ていく。
サス...
(...まさかね)
部屋を出る際自分の下腹部を撫で、何かを確認しながら。
「お二方をお連れしました」
ノエルが執務室の前で止まり、エルミアとユーナを連れてきたことを告げる。
(ここも同じ匂いが...)
エルミアは廊下にも充満する媚香の香りに頭がクラクラしてきた。
「入ってください❤」
「失礼します」
ガチャ...
中から女性の声が響き、ノエルが執務室の扉を開ける。
(今返事したのはタミラの声じゃなかったような...)
鈍い思考の中、エルミアが聞こえてきた声に違和感を覚えるが...
「お待ちしておりました❤サクラティス伯爵様❤」
「あなたは...」
部屋に入ったエルミアを待ち構えていたのは、彼女が注目していたカリファだった。少しボーッとしていたエルミアだが、メイドの姿を見た瞬間何か嫌な予感を感じ、警戒した様子を見せる。
「流石の反応ですわ❤ですが...❤」
「サクラティス伯爵。動かないでください」
「っ!?」
しかしカリファが何か含みのある言い方をしたかと思うと、エルミアの隣からノエルの声が聞こえてきた。エルミアが急いでそちらに視線を向けると、そこにはユーナの首に仕込み刃を押し付けるノエルの姿が。
「あなた何をっ!?」
「動けばユーナ様の命はありません。彼女を助けたければご主人様の指示に従ってください」
エルミアに冷たい視線を向けるノエル。
「エ、エルミア様ぁ...❤助けてください...❤」
ユーナはプルプル...と震えながらか細い声でエルミアに助けを求めてくる。
「安心して下さい❤サクラティス伯爵様がご協力下されば、ユーナ様に危害が加わることはありません❤」
「くっ...それで?何をさせるつもり...」
エルミアは時間を稼ぎながら密かに魔法を準備し、ノエルを吹き飛ばしてユーナを救出しようと考えた。
「っ!?」
(魔力が練れない...!?)
しかし何故か魔力を上手く扱うことが出来ず、これまで何万回も繰り返してきたはずの魔法の発動に失敗してしまう。それもそのはずだ。エルミアがつけている指輪は魔封じの指輪と呼ばれる魔道具なのだから。
「そんな怖い顔をしないでください❤サクラティス伯爵様にお願いしたいことは一つだけ❤とても簡単なことですから❤」
微笑みを浮かべるカリファと対照的に、状況の悪さに気づいたエルミアの表情はどんどん険しくなっていく。
「...さっさとその内容を言いなさい」
ユーナの命を守るためにまずは敵の要求を受け入れることにしたエルミアは、鋭くカリファを睨みつけながらそう言った。
「ありがとうございます❤それでは...❤私の胸に顔を埋めて10秒間深呼吸をしてください❤」
「...は...?」
しかしカリファから告げられたのはエルミアが想定していたどの内容とも全くかけ離れたもの。流石のエルミアもポカンと口を開け固まる。
「それはどういう...」
「ご主人様の指示に従いなさい」
「...っ」
理由を尋ねようとしたエルミアの言葉はノエルに遮られてしまう。
「はい、どうぞ❤」
カリファはエルミアに両手を広げ、優しい微笑みを浮かべたままエルミアが近づいてくるのを待つ。その姿は非常に美しく、この光景だけを見れば聖母が抱擁するシーンのようだ。
タプゥン❤
しかし母性の象徴である豊満な胸が揺れると、聖母には感じられない淫らな魅力が溢れ出す。
「っ!?❤」
ドキッ...❤
艶めかしく震える乳房に、何故かエルミアの心臓はトクン...❤と高鳴りを見せた。戦場で培ってきた直感がこれは危険だとエルミアに警鐘を鳴らすが、ユーナを助けるためという理由を手に入れてしまった彼女の体は心の奥底に湧き上がる欲求も相まって、ゆっくりとカリファの方へ近づいていってしまう。
スン...❤スンスン...❤
「あっ...❤」
1歩近づくにつれ、カリファから放たれるミルクのような甘い香りがエルミアの鼻をくすぐる。
(やっぱりこのままいくのは危け...)
ムギュッ❤
パフ❤
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?❤」
ビクビクッ❤ビクンッ❤ビクッ❤
彼女の理性が最後の抵抗を見せるが、その時には全てが遅かった。エルミアの顔はカリファの胸の中に閉じ込められ、極上の柔らかさと甘いフェロモンの香りをたっぷりと味わわされる。
ムギュムギュ❤ムニュゥゥン❤
カリファはエルミアの頭に手を置き、彼女の耳元でエルミアの秘密について囁く。
「そういえば、エルミア様は不感症だそうですね❤」
「っ!?❤」
(な、なんでそれをっ...!?❤)
ほとんどの人間に対して隠し通してきた事実を告げられ、エルミアは目を大きく見開いた。エルミアに子供がいない原因であり、媚香によって体に火照りを感じた時彼女が「ありえない」と断じた理由だ。貴族として子供を産むというのは重要な責務の1つだが、情事の中どれだけ相手が手を尽くしてもエルミアの股が愛液で濡れることはこれまでなかった。そのため夫との仲は疎遠になり、性行為というもの自体から長らく遠ざかることになる。
「おぉぉっ!?❤んんっ❤あんっ❤」
しかし今の彼女はどうだ。カリファの胸に埋まる顔は真っ赤に染まり、腰をくねらせながらビクビク❤と全身を震わせているその姿は、どう見ても快楽に悶えているようにしか見えなかった。実際女性器は既に愛液でたっぷり濡れており、下着が吸い取りきれなかった分が太ももを伝ってきている。
「ですがご安心ください❤"その程度の理由"では全く問題にはなりませんから❤私のおっぱいでたっぷり気持ちよくして差し上げますわ❤」
ムニムニィ❤パフパフ❤ムニュン❤
一瞬でエルミアの体を開発したカリファは胸の中で震える彼女の顔を胸の谷間に押し込め、そのまま乳房で挟み込んだ。
「んほぉぉぉぉぉぉ!?❤」
(クるっ❤何かクるぅぅぅぅ!?❤)
ビクビクッ❤ビクビクッ❤
極上の女体に包まれたエルミアは、人生初の絶頂に達する。未知の感覚であった快楽が全身を駆け巡り、これまで知らなかった「気持ちいい」という感情に細胞の一つ一つに至るまでが酔いしれた。
フワァァァァァァ...❤
クンクン❤クンクン❤
更におっぱいフェロモンが絶頂を迎えたエルミアの興奮をさらに高める。優秀なメスにのみ許される魅惑の甘い香りの前では、多少問題を抱えた女性だろうと大した違いを持たない。
フーッ❤フーッ❤フーッ❤
エルミアはカリファの胸の中で荒い呼吸を繰り返し、自らフェロモンの魅力に沈んでいくのだった...
「ちゅぱ...❤んふ...❤カリファしゃまぁ...❤」
「んちゅ...❤ご主人様のおみ足っ...❤最高です...❤」
執務室の机に腰かけたカリファにキスをされるユーナと、床に跪き足を舐めるノエルの嬌声が部屋の中に響く。床に座り込みその光景をぼんやりと見つめるエルミアは、全てが仕組まれた罠だったのだとどこか他人事のように事態を把握する。
「まさかお前が腰を抜かしている姿を見られるとはな❤」
その時、執務室にローズワルド家の当主タミラが姿を現す。一糸まとわぬ姿で均整のとれた裸体を晒す彼女はエルミアを見下ろし、艶やかな笑みを浮かべる。親友のあられもない姿を見た時、エルミアは何故ローズワルド家が親リオ王国派に乗り換えたのかを理解した。この家に住む女は全員、ただ目の前に君臨する美女に篭絡されたのだ。
キュン...❤
それを理解した瞬間、性に目覚めたばかりのエルミアの子宮が甘い疼きを起こす。
「エルミア、これで理解できただろう❤私とお前どちらが間違っていたか❤」
タミラはそう言うとエルミアの横を通り過ぎ、主従の関係にあったノエルの横にしゃがみこむと、カリファのもう片方の足を嬉しそうにペロペロ❤と舐め始める。
「あぁっ❤カリファ様の足ぃ❤」
頬ずりしそうな勢いで奉仕をするタミラの声は、心の底から幸せを感じているものだった。エルミアの方に突き出した尻はフリフリ❤と媚びるように振られ、かすかに見える女性器はトロトロになっている。
「...あは...❤ははは...❤」
乾いた笑い声をあげるエルミアの中で、彼女が大切にしてきた何かがガラガラ...❤と崩れる音が聞こえてきた。
「ふふっ❤」
カツッ...❤カツッ...❤カツッ...❤カツッ...❤
そんな彼女に近づいてくる人影。その美貌でローズワルド家全員を虜にしたカリファである。カリファの美しさはエルミアの弱った心にはあまりにも刺激が強すぎた。
「女神様ぁ...❤」
カリファに後光がさしているような錯覚さえ見えるエルミア。その瞳には目の前の美女への狂信の色が浮かび上がっていた。
「あら❤嬉しいことを言ってくださいますね❤ですが私は神ではありませんよ❤」
カリファはエルミアを見下ろすと、後ろを向いてゆっくりと彼女の顔へ腰を下ろす。
「あぁぁぁぁっ...!?❤」
顔に迫る肉付きの良い尻と芳醇なカリファの香りを前に、エルミアは祈りを捧げる聖職者の気持ちを理解出来た。
ギュムゥゥゥゥ...❤
国の行く先を憂い友人を尋ねてきた1人の貴族が、また1人敵国の手先になってしまったのである。
「それでは、この地域はこの貴族の意向に従うことが多いのですね?❤」
「はいっ❤その通りですぅぅ❤」
サラサラ...❤サラサラ...❤
執務室の椅子に座ったカリファが情報を聞き取り、本国に報告できそうなものをまとめていく。
フスーッ❤フスーッ❤フスーッ❤
カリファの質問に答えるエルミアは顔を腋に挟み込まれ、汗で蒸れた濃厚なフェロモン臭に脳を犯されながら自身の知っている情報をどんどん吐いてしまう。
「いい報告書になりそうですわ❤もっと知っていることを教えてください❤」
「は、はひっ❤何でも話しましゅぅぅ❤」
リオ王国の領土がさらに広がる日はそう遠くないかもしれない...
※いただいていたリクエスト
ギャランドゥ先生に書いていただいた「貴族家の女当主とその娘たちが新たに雇った美人メイドに魅了され売国奴になってしまうお話」が素晴らしかったので後日談を書いていただければと思います。
あらすじは、作中でタミラに手紙を送ってきた長年苦楽を共にしてきた同僚であり友人の貴族の女性が、リオ王国との条約推進派に転身したタミラの真意を確かめる為にローズワルド家を訪れる。
甘い匂いが充満し、快楽に蕩けた笑みを浮かべるローズワルド家の面々を不信に思い、原因を探るが、自らもカリファによって魅了されてしまい、堕とされる…みたいな感じでお願いします。
堕ちた後のローズワルド家の様子も描写していただければと思います。
タミラの同僚・・・お姉さん気質。「〜ね」「〜よね」「〜かしら」みたいな口調でお願いします。
堕とし方についてはタミラと同じ匂い調教でお願いします。