Previous Post

堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~Part1/The Fallen Champion and the Iron Man Match of Despair ~Rinka VS Nagisa~ Part 1

Next Post
堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~Part1/The Fallen Champion and the Iron Man Match of Despair ~Rinka VS Nagisa~ Part 1
1 / 10
DESCRIPTION

■試合内容

当サークルで一番の人気シリーズである「堕ちた王者」の最新話です!!


連敗地獄から抜け出せず、とうとう最下位ランカーとなってしまった凛香。

彼女が自身の弱点を克服する為に選んだのは―――プロレス、それもアイアンマンマッチへの挑戦だった!!


という感じで、ゲームのヒロイン同士である凛香VSナギサのアイアンマンマッチをお送りします!!

今回は前日譚から試合の序盤までとなっております。


挿絵は全7枚(Part1なので例のごとく回想絵や立ち絵多め)、SSは約7800文字です(pixiv換算で読了まで約15分)。

それでは対戦よろしくお願いします~。



凛香さんスランプ編こと堕ちた王者シリーズは下記にまとめてありますので、もし良ければそちらも是非~。



■Content of the match

The latest chapter of our circle's most popular series, “The Fallen Champion”!!


Unable to escape her losing streak hell, Rinka has finally fallen to the bottom of the rankings.

To overcome her weakness, she chose... professional wrestling, specifically a challenge in an Iron Man match!!


So, we bring you an Iron Man match between the game's heroines: Rinka VS Nagisa!!

This installment covers the prequel up to the early stages of the match.


It includes 7 illustrations (Part 1, so as usual, plenty of flashbacks and character portraits).

Well then, let the match begin~.


The “Fallen Champion” series, also known as Rinka's Slump Arc, is compiled below. If you're interested, please check it out~.


■まえがき

今回から作中のリーグ名を変更しております。


・JKリーグ→プロスペクトリーグ

・女子リーグ→エリートリーグ


また、それに伴いJKリーグのキャラクターは過去回も含めて全て大学生設定とさせて頂きます。


昨今の情勢を踏まえた垢バン対策が主な理由です。

ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ないのですが、是非今後とも彼女たちの闘いを見守ってあげて頂けますと幸いです。


Starting this time, we have changed the league names within the story.


・JK League → Prospect League

・Women's League → Elite League


Additionally, as a result of this change, all characters from the JK League, including those from past episodes, will now be set as college students.


The primary reason for this is to implement account ban countermeasures in light of recent circumstances.

We sincerely apologize for any inconvenience this may cause, and we would be grateful if you could continue to watch over their battles going forward.



★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。

There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)


★For non-Japanese users★

Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m


---

堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~Part1

The Fallen Champion and the Iron Man Match of Despair ~Rinka VS Nagisa~ Part 1



放課後の教室。

オレンジ色の夕日が差し込む窓際で、凛香はクラスメイトであり、明日の対戦相手でもある少女と向かい合っていた。


「ねぇ凛香ちゃん、明日のアタシ達の試合、クラスのほぼ全員が見に来るみたいよ」


呆れた様な笑みを浮かべながらナギサがそう言うと、凛香の整った顔が驚きに染まっていく。


「えっ、本当? ……なんだか少し恥ずかしいわね」


人気地下格闘技団体であるUBCの元王者である凛香と上位ランカーであるナギサ。

二人は当然ながら校内屈指の有名人であり、そんな彼女たちの直接対決となれば、周囲の注目が集まるのは必然だった。


「残念ながらマジよ……」


「そっか……それじゃ、お互い全力で闘っていい試合にしないとね♪」



爽やかな笑みを浮かべながら友人にそう語りかけていく凛香だが、ナギサはわざとらしく首を傾げて、含みのある態度を示していく。


「それはどうかなぁ~? 」


藤色の髪を揺らしながら、からかうように目を細め口角を釣り上げているナギサ。


「なんてったって、この前の試合はアタシの圧勝だったし~♪

 またドミネーションになっちゃうんじゃない?」


「……ッッ!!!」


冗談めかしたその言葉に、凛香の身体はビクッと不自然に強張ってしまう。


からかわれているのだと頭では理解していても、少女の脳裏には前回の試合で味わわされた屈辱的な思い出が、まるで昨日の事のように鮮明な映像となって蘇っていた。






(あの時は……本当に、何も出来ずに……)


脳裏に蘇ったのは、過去にナギサと対戦した時の凄惨な記憶。


自身の領域であるボクシングルールであったにも関わらず、本職がレスラーであるナギサを前に手も足も出ず滅多打ちにされ、快楽と苦痛の中で幾度となく絶頂ダウンを奪われた苦い惨敗の光景。


現在絶賛8連敗中の彼女にとって、それは泥沼への入口となる2連敗目の出来事だった。




「ふふっ、冗談よ♪……流石に媚薬5倍のハンデはやりすぎだったわよね」


「え、えぇ……」


だが、凛香はギュッと拳を握りしめて嫌な記憶を頭の隅へと追いやり、強気に言葉を返していく。


「で、でも……明日はナギサちゃんが媚薬を飲むハンデ戦なんだし、今回は私が勝たせて貰うわよ!」


「へぇ、言ってくれるわね……アタシも全力で勝ちに行くからね!」


お互いの闘志を確認し合うように視線を交わすと、二人はどちらからともなく吹き出し、夕日の差し込む教室に年相応の無邪気な笑い声を響かせていった。






夕日が差し込んでいた教室から一転、帰宅後の凛香を待っていたのは、重く冷たい空気が張り詰めた空間だった。


「ただいま…………ねぇ由乃、明日の試合なんだけど」


リビングでくつろいでいた妹に凛香が声をかけると、由乃は振り返りもせずに冷たい声で言葉を遮っていく。


「あたし……行かないからね」


「えっ……由乃?」


凛香が言葉を返すよりも早く由乃は勢いよく立ち上がり、姉に向かって悲痛な叫びをぶつけていった。


「おねぇ、馬鹿じゃないの!? プロレスルールで勝てるわけないじゃん!!

 相手はプロレスの上位ランカーなんだよ!!?」


目にはうっすらと涙を浮かべ、薄い唇を強く噛み締めている。



「しかも…………おねぇ、まことにまで負けたクセにっ!!」


「……ッッ!!!」


図星を突かれた凛香は、反論の言葉を見つけられずに息を呑む。

脳裏によぎったのは、先日の余りにも無様な敗北の記憶だった。





思い起こされるのは自身の後輩であり、リーグ最下位でもあったまこととの試合。


これまで負けた事がない相手だと高を括っていたものの、蓋を開けてみれば手も足も出ず徹底的に蹂躙され、余りにも惨めな失神失禁KO負けを喫してしまったという残酷な現実。


現在絶賛8連敗中の彼女にとって、それは泥沼のどん底へと突き落とされた8連敗目の試合であり、かつての王者が最下位ランカーへと成り下がってしまった屈辱的な出来事であった。




「とにかく…………あたし、絶対に行かないんだから!!」


それだけを言い捨てて、由乃は自室へと駆け込んでいく。

バタン、と乱暴に閉められたドアの音が、静かな家の中に虚しく響き渡った。



「由乃…………」


一人残された姉は、閉ざされた扉を見つめながらポツリと妹の名を呟く。



(確かに勝ち目は薄いかもしれない…………でも、スランプを抜け出すにはこうでもしないと)


凛香とて、無謀なのは百も承知である。

だがそれでも尚、自身が抱えている問題を解決する為に、彼女は敢えてこのルールでの闘いを選んだのだった。






──────────試合当日、UBC特設地下リング──────────


「皆様、大変長らくお待たせいたしました!!

 只今より、本日のメインイベントであるスペシャルマッチを開催いたします!!」


会場の熱気が最高潮に達する中、リングアナウンサーの声が高らかに響き渡る。


「なんと本日の試合は、勝敗が決しても時間内は闘いが継続される30分間のアイアンマンマッチ!! 逃げ場のないこの鉄人戦で、果たして彼女たちはどのような闘いを見せてくれるのでしょうか!?」


観客の期待に満ちた歓声が地鳴りのように響く中、青コーナーの入場ゲートにスポットライトが当てられていった。




「まずは青コーナー……現在8連敗中と泥沼のスランプに陥り、ついには最下位ランカーにまで堕ちてしまったこの女!!」


入場曲と共に、黒髪の少女がゆっくりと姿を現す。


「もはやUBC1のジョバーと呼ばれつつある彼女ですが、果たして今宵はその不名誉な称号を返上する事が出来るのか!!?」


ボクシングで鍛え上げられたしなやかで均整の取れた肉体と、それに不釣り合いなほどの豊満な双丘が、歩みを進めるたびに大きく揺れて観客の目を喜ばせていく。


「プロスペクトボクシングリーグ現在9位……”堕ちた王者(ブロークンチャンピオン)”こと、凛香選手~~~~~~!!!!!」




艶やかな黒髪を下ろし、プロレス用の白いビキニコスチュームに身を包んだ彼女。


その美貌は未だ健在であるが、表情にはかつての王者の余裕はなく、どこか悲壮なまでの決意が滲み出ていた。




「続きまして赤コーナー……プロレスのリングでボクサー相手に遅れを取るわけにはいかないと語った彼女…………しかも本日は、なんと試合前に特製媚薬を飲み干すという驚異のハンディキャップを背負っての参戦だ!!」


対角線のゲートから、藤色の髪を揺らしながら少女がリングへと歩みを進めていく。


「圧倒的なハンデを抱えた状態でなお上位ランカーの実力を見せつけてくれるのか……それとも媚薬の魔力に屈服させられてしまうのか…………」


その愛らしい顔立ちは、試合前に摂取した薬の影響で既に熱っぽく赤く染まっており、潤んだ瞳からは年齢にそぐわない妖艶な色気が放たれていた。


「プロスペクトプロレスリーグ現在2位…………”藤舞う蹴撃姫(ダンシングウィステリア)”こと、ナギサ選手~~~~~~!!!!!」




呼吸をするたびに白く美しい肌がわずかに汗ばみ、下腹部は切なく疼いている。


真剣勝負をするには余りにも不利な状況であるにも関わらず、それでも尚ナギサはサディスティックで好戦的な笑みを浮かべていた。






「ボクサーとレスラーという違いはあれど、二人ともUBC有数の人気ファイターであり、かつプライベートでは友人同士でもあります!!」


実況の興奮冷めやらぬ声が会場の熱気を更に煽っていく。


「ですが……本日の舞台はプロレスルールのアイアンマンマッチ!!

 制限時間30分の間、どれだけフォールやギブアップを奪われても試合は終わらない、まさに地獄の鉄人戦です!!」


その余りにも過酷なルール説明に、観客席からはどよめきと期待の歓声が入り交じった声が沸き起こる。



「無謀にもこのルールを提案したのは凛香選手との事ですが……実は彼女、過去にもプロレスでの試合を経験しております!!」


その言葉に合わせるように、会場の巨大スクリーンに過去の映像が映し出されていく。




それは、凛香がプロレスでのデビュー戦に挑んだ時の記録。


エリートリーグの上位ランカーであるカンナに手も足も出ず、関節技で徹底的に絞め上げられ、最終的には変形スコーピオン・クロスフェイスで惨めにタップアウトを奪われてしまうという、屈辱的な敗北の光景。


現在絶賛8連敗中の彼女にとって、思えばそれは、誇り高き王者が泥沼の連敗地獄へと転がり落ちていく、長く苦しい悪夢の始まりを告げる最初の敗北であった。




「…………ッッ!!」


大画面に映し出された自らの無様な姿と、会場に響き渡る苦痛に歪んだ悲鳴。

それを見た凛香の身体はビクッと不自然に跳ね、一瞬だけ動きを止めてしまっていた。




「なお、凛香選手とナギサ選手ですが……実はこの試合が初対戦ではなく、過去にボクシングルールで闘っております!!」


スクリーンが切り替わり、ナギサと凛香が闘った時の映像が映し出されていく。





「その際は媚薬5倍というハンディキャップが災いしたのか、凛香選手は本職であるボクシングにも関わらず、レスラーのナギサ選手に手も足も出ず滅多打ちにされ、絶頂失神KOされるという衝撃の結末を迎えました!!」



「…………ッッッ」


自身の痴態が連続で映し出されていくのを見せられて、苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべる凛香。


だが、そんな彼女の精神に追い打ちをかけるかの様に、巨大スクリーンは次の映像へと切り替わっていった。





「また前回の試合では最下位ランカーのまこと選手にすら手も足も出ず、とうとう怒涛の8連敗という泥沼に沈んでしまった凛香選手…………もはや完全にジョバーへと成り下がってしまった現状を反映してか、本日のオッズは非常に偏ったものとなっております!!」





「媚薬というハンデがあるにも関わらず、8割の観客がナギサ選手の勝利を予想…………加えて、ナギサ選手が5ポイント以上の大差で勝利することに、実に3分の2の人間が賭けております!!」






リング中央に歩み寄り、二人の少女が至近距離で視線を交錯させていく。

そして互いの肌が触れ合いそうな距離まで近づいた時、藤色の髪の少女は愉しげに口を開いていった。


「しかし凛香ちゃんって……本当にいいカラダしてるよねぇ♡」


数分前に飲み干した媚薬の影響でナギサの身体は既に熱を帯び、瞳にはひどく淫靡で好戦的な光を浮かべている。


艶やかな唇をペロリと舌なめずりするその仕草は、年齢にそぐわない妖艶な色気を放っていた。



「それにしても、敢えてアイアンマンマッチを指定するとか…………凛香ちゃん、結構大胆な事するよね」


アイアンマンマッチ。

それは3カウントを取られても、惨めなギブアップ宣言をしたとしても、制限時間が訪れるまでは絶対に試合が終わらない、逃げ場のない鉄人戦である。


凛香が敢えてこの過酷なルールを選んだのには、とある理由があった。



「まぁ……私にも色々あるのよ」


彼女が8連敗を喫してしまっている最も大きな原因。

それは自身が”格上”だと認識した相手の前に立つと思考が停止してしまい、無抵抗のサンドバッグと化してしまうという悪癖にある。



(厳しくても、この位しないと私は…………)


彼女は、相手に屈服しギブアップしようとも強制的に試合が続く絶望的な状況に自らを追い込むことで、決して心を折れないようにするという、荒療治による克服を目指していたのだ。



「ふーん……貴女なりに色々考えがあるんだろうけど…………」


友人の抱える苦悩と悲壮な決意を感じ取ったのか、ナギサは一瞬だけ優しく微笑みかけていったのだが─────その直後、瞳の奥に獰猛な肉食獣の如き妖しい光を宿していく。


「でも、アタシは手加減しないからね?

 今日は時間いっぱい、た~っぷり可愛がってあげるから♡」


「……えぇ、望むところよ」


全てを見透かされたような視線に背筋へ冷たいものが走るのを感じながらも、凛香は自らを鼓舞するように力強く頷き返していく。


(ルールはアイアンマンマッチ…………ナギサちゃんに媚薬が効いている序盤の内に、少しでもポイントを稼いでおかないと!!)




覚悟を固めた直後、凛香はふと視線を後ろへと向けていく。

そこには、心配そうな表情を浮かべながらも真っ直ぐ自分を見つめている親友、あきらの姿があった。


──────だが、いつもその隣にいるはずの人物の姿はどこにも見当たらない。


【あたし、絶対に行かないんだから!!】


昨晩、自宅で背を向けられた際の冷たい声が脳裏に蘇る。


愛する妹がいないという残酷な現実に胸の奥がチクリと痛むのを感じながらも、少女は逃げ場のない鉄人戦に挑むべく、自陣である青コーナーへと戻っていくのだった。



カーン!!!






試合開始を告げるゴングが鳴り響いてから数十秒後、リング上には早くも少女の苦悶の悲鳴が木霊していた。


「あぐっ……がぁっ…………んんんんっっっ!!!」






「あ~っと凛香選手、いきなりドラゴンスリーパーに捕まってしまったぁ!!」


早々に繰り出された大技で会場の熱気は更に一段高まり、配信の同時接続数やコメントの量もますます増えていく。


「開始直後のロックアップでは凛香選手が押し込む場面も見られましたが、気づけばあっという間に背後を取られ、完全に極められてしまっております!!」


エスケープの絶望的なリング中央で、凛香の肉体は背後からナギサに抱え込まれるようにして大きく反らされていた。


相手の脇下に首をガッチリと挟み込まれ、頸動脈と気管を同時に容赦なく絞め上げられている。



「んっ、ぁっ…………んぁぁっっ………………」


ボクサーである凛香にとって未知の角度へ背骨を曲げられる痛みと、急速に失われていく酸素が彼女の思考を徐々に奪っていく。



「がっ……ひゅぅっ……んんぅっっ…………」


「アハッ、いい顔ね♡……ねぇ凛香ちゃん、もしかしてこんな序盤でオチちゃうの?

 それとも…………ギブアップ、する?」


そんな中、頬を朱に染め余裕の笑みを浮かべるナギサはサディスティックな囁きと共にさらに腕の力を強めていく。



「あ゙っ……ゔゔっ……の、のぉっ…………だ、だれがっ…………」


酸欠で視界が白く明滅していく中、少女は必死に首を振り、弱々しい声でギブアップを拒否し続けていた。


(泣きたいくらい痛いっ……けど、ギブアップなんて絶対にしないんだから!!)






「ふふっ……それじゃ可愛い頑張りに免じて、そろそろ解放してあげよっかな♡」


数分間にも及ぶ凄惨な絞め上げの末、ナギサは満足げな笑みを浮かべながらドラゴンスリーパーを解いた。


そして拘束から解放された凛香の肉体は、糸の切れた操り人形のようにキャンバスへと崩れ落ちていく。


「あ゙ゔっ!!…………がはっ、げほっ……こひゅっ…………」


極限まで奪われた酸素を貪るように、肩を大きく上下させて激しく咽せ返る少女。


ボクサーとしての本能が警鐘を鳴らし、すぐに立ち上がって構えようとする凛香であったのだが─────未知の角度で反らされ続けた背骨の激痛と極度の酸欠により、足に全く力が入らない。


「ぁ……ぅ…………たた、なきゃ…………」


ガクガクと震える膝に手をつき、懸命に立ち上がろうと藻掻くものの、その身体は半ば膝立ちの無防備な体勢のまま硬直してしまっていた。


(早く立たないといけないのに……足に力がっ…………)




「出し惜しみはしないわよ……♪」


その絶好の的を、上位ランカーである彼女が見逃すはずもなかった。


「あ~っとナギサ選手、距離を取ったかと思いきや一気に駆け出して行きます!!

 もしやこの技は…………!!?」


愉しげな声と共にナギサが助走をつけると、片足を凛香の立てた膝に乗せ、それを踏み台にして高く跳躍する。


「やぁぁぁっっ!!!」


自身の二つ名である”藤舞う蹴撃姫(ダンシングウィステリア)”の由来ともなっているその必殺の膝蹴り──────シャイニング・ウィザードは、美しい藤色の軌跡を描きながら、対戦相手の顔面を正確に撃ち抜いていった。




「がひゅっっっっっ!!!!」


「決まった~~~~~!! ナギサ選手、ここで伝家の宝刀シャイニング・ウィザードを早くも繰り出していきました!!!」




顔面を的確に打ち抜かれた凛香の身体は、まるで弾かれたように後方へと勢いよく吹き飛ばされていく。


「ふぁぁ…………ぁ……………………あ゙ゔっっ!!!」


そしてキャンバスに背中から激しく叩きつけられると、その雌としての魅力に溢れた肉体は、ピクピクと不規則な痙攣を繰り返していった。



「あ゙っ……ぅ゙ぁ………………」


「凛香っ!!!」


セコンドである親友の叫びも届いていないのか、黒髪の少女は焦点の合わない虚ろな瞳を天井に向けており、半開きの口からはだらしなく涎が垂れ流されている。


ドラゴンスリーパーによる極度の酸欠と、脳を激しく揺さぶる必殺の膝蹴り。

その二つが合わさった結果、地下女子ボクシングの元王者は完全に意識を刈り取られ、無残にも失神してしまっていた。


「あ~っと凛香選手、完全に目がトんでしまっております!!

 もしや…………既に失神してしまっているのかぁ!!?」






”藤舞う蹴撃姫”の放ったシャイニングウィザードの圧倒的な威力を前に会場がどよめく中、ナギサは倒れ伏す凛香の胸元に自らの身体を重ね合わせ、余裕の表情で片足を高々と持ち上げてフォールの体勢に入る。


「ワン!!…………ツー!!……………………スリー!!!」


カンカンカーン!!!


「なんと……試合開始から僅か3分51秒!!

 ナギサ選手、早くも先制の1ポイントをもぎ取っていきました!!」


予想外の瞬殺劇に会場が大いに湧き上がっていく。


そんな中、藤色の髪の少女は相手の身体に覆い被さったまま、気を失っている凛香の頬をペチペチと軽く叩いていった。



「…………あぅ…………ふぇっ!?…………なぎさ、ちゃ…………」


頬への刺激で強制的に意識を浮上させられた凛香は、霞む視界の中で色っぽく微笑む友人の顔を捉え、ぼんやりとした声を出してしまう。



「ふふっ……おはよ、凛香ちゃん♡ 目は覚めた?」


媚薬の熱に浮かされ、ほんのりと上気した頬を緩ませながら、ナギサは自らの下で無防備な姿を晒す友人の姿を見下ろしている。


その瞳には、弱りきった獲物を前にした捕食者のような嗜虐的な光が浮かんでいた。



「あれ、ゴング…………しあい、は…………!?」


失神している中でも鐘の音は聞こえていたのか、試合が終わったと勘違いしている素振りを見せる凛香。


哀れにも”この試合のルール”を忘れてしまっている少女は、脳を激しく揺らされた影響で未だ状況を正確に把握できておらず、なぜ対戦相手が自分に馬乗りになったまま妖艶な笑みを浮かべているのか理解できていない。



「まだ終わりじゃないわよ…………」


そんな困惑する黒髪の少女に対し、ナギサは耳元に顔を寄せて、甘く、そして残酷な事実を囁きかけていく。


「なんてったって……貴女が選んだ、アイアンマンマッチなんだからね♡」


「…………ッッ!?」


その瞬間、凛香の背筋にゾクッと冷たい悪寒が走る。


例えどれだけ無様な敗北を喫しようとも、どれだけ心が折れようとも、30分という時間が経過するまではこのリングを降りる事は決して許されない。


自らが望んだ底なしの泥沼の中で、堕ちた王者は、これがまだ始まりに過ぎない事を本能で理解する。



「それじゃ……二本目、いこっか♡」


逃げ場のない鉄人戦は、まだその凄惨な幕を開けたばかりであった。






【堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~】Part.2へ続く_____

https://syusyokunuts.fanbox.cc/posts/11569304



■あとがき

ここまでお読み頂き誠にありがとうございます!!

これから彼女達の闘いはますます激しくなっていきますので、是非お楽しみに~。

(よければアンケートもお願いします)


Thank you so much for reading this far!!

Their battles will only get fiercer from here on out, so please look forward to it~.

(If you'd like, please fill out the survey too)



作中に出てきた凛香のプロレスデビュー戦


レスラーであるナギサにボクシングで負けちゃった試合


堕ちた王者シリーズまとめ







HATE(ヘイト) PIXIV FANBOX 104 favs
VIEWS1
FILES10 files
POSTEDFeb 28, 2026
ARCHIVEDFeb 28, 2026