堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~Part2/The Fallen Champion and the Iron Man Match of Despair ~Rinka VS Nagisa~ Part 2
■前回
■試合内容
当サークルで一番の人気シリーズである「堕ちた王者」の最新話です!!
連敗地獄から抜け出せず、とうとう最下位ランカーとなってしまった凛香。
彼女が自身の弱点を克服する為に選んだのは―――プロレス、それもアイアンマンマッチへの挑戦だった!!
という感じで、ゲームのヒロイン同士である凛香VSナギサのアイアンマンマッチをお送りします!!
今回は試合の中盤戦で、ドミネーション要素多めかもです。
挿絵は全5枚+α、SSは約12000文字です(pixiv換算で読了まで約24分)。
それでは対戦よろしくお願いします~。
凛香さんスランプ編こと堕ちた王者シリーズは下記にまとめてありますので、もし良ければそちらも是非~。
■Content of the match
Here’s the latest chapter of “The Fallen Champion,” our circle’s most popular series!!
Unable to escape her losing streak, Rinka has finally fallen to the bottom of the rankings.
To overcome her weaknesses, she chose to take on a challenge—professional wrestling, specifically an Iron Man match!!
So, we’re bringing you an Iron Man match between Rinka and Nagisa, two heroines from the game!!
This installment covers the middle of the match and might feature a lot of domination elements.
There are a total of 5 illustrations +α.
The “Rinka's Slump” arc, also known as the “Fallen Champion” series, is summarized below, so please check it out if you're interested.
Well then, let's get this match started!
★最後にアンケートがあります。プラン内容の方針を決める要素になりますので、よければ皆さんのご意見を教えていただけると幸いです。
There is a survey at the end. This will be a factor in deciding the content, so if you would like to give us your opinion, please do so. (Japanese)
★For non-Japanese users★
Please take a moment to translate and read this short story on sites such as https://www.deepl.com/translator m(_ _)m
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堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~Part2
The Fallen Champion and the Iron Man Match of Despair ~Rinka VS Nagisa~ Part 2
「あれ、ゴング…………しあい、は…………!?」
失神している中でも鐘の音は聞こえていたのか、試合が終わったと勘違いしている素振りを見せる凛香。
哀れにも”この試合のルール”を忘れてしまっている少女は、脳を激しく揺らされた影響で未だ状況を正確に把握できておらず、なぜ対戦相手が自分に馬乗りになったまま妖艶な笑みを浮かべているのか理解できていない。
「まだ終わりじゃないわよ…………」
そんな困惑する黒髪の少女に対し、ナギサは耳元に顔を寄せて、甘く、そして残酷な事実を囁きかけていく。
「なんてったって……貴女が選んだ、アイアンマンマッチなんだからね♡」
「…………ッッ!?」
その瞬間、凛香の背筋にゾクッと冷たい悪寒が走る。
例えどれだけ無様な敗北を喫しようとも、どれだけ心が折れようとも、30分という時間が経過するまではこのリングを降りる事は決して許されない。
自らが望んだ底なしの泥沼の中で、堕ちた王者は、これがまだ始まりに過ぎない事を本能で理解する。
「それじゃ……二本目、いこっか♡」
逃げ場のない鉄人戦は、まだその凄惨な幕を開けたばかりであった。
「早速ポイント取られちゃったけど……身体は大丈夫?」
青コーナーでロープに力なくもたれかかる凛香のもとへ、セコンドについているあきらが心配そうな顔で身を乗り出してきた。
アイアンマンマッチにおける数少ない救済措置とも言える、ポイント変動後に与えられるわずか1分間のインターバル。
束の間の休息を無駄にすることなく、彼女はすでに汗だくになっている親友の身体をタオルで拭き取っていった。
「えぇ……さっきは油断しちゃったけど、まだまだ試合はこれからよ」
顔面を的確に撃ち抜かれたシャイニング・ウィザードのダメージにより、ズキズキと痛む頭を押さえて顔を歪めてはいるものの、凛香の声にはまだ確かな余裕が残っている。
そしてドリンクを軽く口に含ませてから、反対側のコーナーで熱い吐息を漏らしている対戦相手を鋭く睨みつけていく。
(ナギサちゃんの顔を見るに、既に媚薬は身体中を巡っているハズ……なら、一発でもいいのが当たればきっとこっちのペースよ!!)
瞬殺といっていいほど呆気なくポイントを奪われた直後であるにも関わらず、少女はまだ試合を諦めてはいない。
その琥珀色の瞳の中には、強く熱い闘志の炎が未だ力強く揺らめいている。
「セコンドアウト!!」
そして、レフェリーの声と共に1分間の短い休息が終わりを告げ、終わらない地獄の鉄人戦、その二本目が再び幕を開けようとしていた。
(今日こそ…………絶対に負けないんだから!!)
「ファイッ!!」
レフェリーの鋭いかけ声と共に、アイアンマンマッチの二本目が始まっていく。
「やぁぁぁっっ!!」
媚薬の影響が色濃い序盤に勝機を見出している凛香は、合図と同時にボクサー特有の鋭いステップで前へ出てナギサとの距離を詰めていく。
だが、彼女が繰り出したのはいつものパンチではなく──────
(テクニックじゃ向こうのが上…………なら、体格差で押し潰すっ!!)
ナギサより上背のある自身のフィジカルを活かし、低い姿勢から力任せのタックルへと飛び込んでいった。
「凛香選手、意表をついた鋭いタックル!! これは決まったか~~~!!?」
自身の得意分野を投げ捨てての奇襲である事に加え、この日の為に特訓を積んでいたのでそれなりの形にはなっているのだが──────
「あはっ♡」
──────しかし、それは本職のレスラーから見れば、余りにも直線的でお粗末な代物でしかなかった。
「凛香ちゃん、素直すぎ♡」
「えっ……!?」
ナギサは突進してくる凛香の身体を闘牛士のようにひらりと躱すと、すれ違いざまに彼女の背中を押し込み、キャンバスへと思い切り叩きつけていく。
「がはっ……!!」
勢いよくうつ伏せにマットへ激突し、息を詰まらせて動きを止めてしまう凛香。
その無防備な背中へと、少女は藤色の髪を揺らしながら馬乗りになって腰を下ろしていく。
「さぁ、お楽しみの関節技いくよ♡…………可愛い声、たっくさん聞かせてね?」
「あっ……ぁ、いや…………」
数秒後に訪れる事態を察した凛香が足をバタバタと動かすも、それに構わずナギサは相手の両脇下から自らの腕を差し込み、顎をガッチリと持ち上げて後方へと大きく反り上げさせていく。
そして、キャメルクラッチが逃げ場のないリング中央で完璧に極まった瞬間、会場内に少女の絶叫が響いていった。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!!!!」
「ナギサのキャメルクラッチが完璧に決まった~~~~~!!
凛香、苦悶の表情を浮かべて泣き叫ぶ事しか出来ない!!!」
ボクシングの試合では決して味わうことのない、背骨と首の関節を同時に極められる未知の激痛。
その余りの痛みに耐えきれず、凛香の口からは自然と情けない悲鳴が漏れ、瞳からは大粒の涙がポロポロと零れ落ちていく。
「あはっ、いい声♡」
友人でもある対戦相手の可愛らしくも哀れな鳴き声に、媚薬で昂ぶったナギサの嗜虐心が大きく唆られ、その綺麗な顔に満面の笑みを浮かべていく。
「ロープはまだまだ遠いよ~……ほらほらっ、頑張れっ♡ 凛香っ♡」
「あ゙っ……あ゙ゔっ…………ゔあ゙あ゙あ゙っっっ!!!」
ナギサは時折、手綱を引くように意図的に腕の角度を強めに揺さぶり、その度に大きく跳ね上がる凛香の悲鳴を心底愉しそうに味わっていた。
「どう凛香ちゃん…………ギブアップ、する?」
60秒以上に渡って柔らかな乙女の肉体を弄んだナギサは、妖艶な声色で対戦相手に降伏を促していく。
まだアイアンマンマッチは序盤であり、技から抜け出せない以上ここで一度ギブアップして体勢を立て直すのも悪くない選択肢に思えたのだが──────元王者の少女は、声を震わせながらその提案を蹴り飛ばしていった。
「だっ、誰がっ……こんな技っ、全然っ……効いてないん……だからぁっ……」
打撃で脳を揺らされて不可抗力で意識を刈り取られる「KO負け」とは異なり、自らの口で敗北を宣言する「ギブアップ」という行為は、自身の無力さを完全に認める極めて無様なものであると、凛香は考えている。
(ギブアップなんてっ…………絶対にするもんですかっ!!!)
それ故、大勢の観客の前で痛みに耐えかねて自ら白旗を揚げるなど、元王者としてのプライドが許さなかったのだった。
「へぇ……可愛いこと言ってくれちゃって♡
それなら…………もっと反らしても良い、って事よね♪」
「えっ、いやっ…………あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!!!!!!」
ちっぽけなプライドの代償として更に鋭角に背骨を反らされ、少女の目から大粒の涙がボロボロと溢れ出していく。
「凛香っ、ロープはここよ!!
何とか這いつくばってここまで来なさい!!!」
セコンドの指示通りに何とか抜け出そうと藻掻くものの、技術面では比較にならない程の差がある上に、ここはロープから最も遠いリングのド真ん中。
「凛香っ!!……ギブアップか!? まだやるか!!?」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ…………ノッ、のぉぉぉぉっっっ…………!!!」
持ち前の精神力でレフェリーの問いに否を突きつけてはいくものの、到底自力でロープまで辿り着ける状況にはない。
(駄目っ………これ、抜け出せないっっ!!!)
その為、少女は自らの上で獰猛な瞳を浮かべている対戦相手の気が済むまで、情けない絶叫を上げ続ける事しか出来ないでいた。
ゴングが鳴ってから8分が経過した頃、観客席の一角を陣取っていた凛香とナギサのクラスメイト達の間には、開始当初の熱狂とは異なる異様な空気が漂い始めていた。
「うわ、ナギサちゃん容赦なさすぎ……」
「凛香ちゃん、手も足も出てないっていうか……これ流石にヤバくない?」
無理もない。
彼女たちの視線の先では、かつて校内中から羨望の眼差しを集めていた地下ボクシングの元王者が、文字通り防戦一方のサンドバッグと化していたのだから。
「凛香選手、ここまで良いところなく一方的にやられてしまっております!!
まだ2本目を奪われていないのは流石ですが……もはや身体は限界かぁ!!?」
散々えげつない関節技で痛めつけられ、辛うじてギブアップだけは拒んで耐え忍んできたものの、意地を張り続けた代償として彼女の肉体には取り返しのつかないダメージが深く刻み込まれてしまっていた。
「ぜぇっ…………はぁっ……………………」
滝のような汗を流し、全身をガクガクと震わせながら、トップロープに腕を絡めて力なくもたれかかっている黒髪の少女。
失ったポイントはまだ1点のみだが、明らかに満身創痍なその姿は、戦況がスコアの差以上に絶望的であることを雄弁に物語っていた。
「さっすが凛香ちゃん♪…………思ったより大分粘るねぇ~♡」
一方、媚薬の火照りすらも心地よいのか、ナギサは息一つ乱さず余裕の笑みを浮かべながら獲物を追い詰めるように歩み寄っていく。
「それじゃ……お次はこれなんてどうかな?」
そして接近戦の間合いまで距離を詰めるやいなや、藤色の髪の少女は動く気配のない対戦相手の豊満な胸へと、無慈悲なエルボーの連打を容赦なく叩き込んでいった。
「あうっ、んぁっっ、ゔゔっっ!!」
「ナギサ、ここに来て鋭いエルボーの猛ラッシュ!!
凛香は為す術なく打たれるがまま~~~~!!!」
連続する鈍い打撃音と共に少女のたわわな胸が大きく弾み、周囲に雌のフェロモンを纏った汗が飛散していく。
「んゔぅっ、あゔっ……がはぁっっ!!!」
(ヤバっ、これっ……キくぅっ……!!!)
ロクに防御すら出来ず打たれっぱなしになってしまっている凛香を見て、ナギサはここが攻め時だと確信し、ラッシュの肘を止めていく。
「ぁ……ふぇっ…………!?」
エルボーの嵐が収まった安心からか、呆けた表情を浮かべている凛香だが─────
───────ナギサはロープの反動を利用して助走をつけると、その無防備な首元目掛けて強烈なラリアットを振り抜いていく。
「ぁ、ちょっ…………ぐはぁっっっ!!!!」
強烈な一撃をモロに食らってしまった凛香は半ば白目を剥いてしまっており、背後のリングロープをギシギシと揺らした末に力なくキャンバスへと崩れ落ちていった。
「凄まじいラリアットが炸裂~~~~~!!
凛香選手、これには堪らず倒れ込んでしまったぁ!!!」
「あはっ、ダウンしちゃった♪
でも、今はプロレスだから…………キツイのいっちゃうよぉ♡」
ボクシングであればレフェリーによってダウンカウントが数えられる場面。
だがここはプロレス、それもアイアンマンマッチ。
故に、ピクピクと小刻みに痙攣している凛香の顔面へと、ナギサは容赦のない低空ドロップキックを突き刺していった。
「んぶびゅっっっっっっ!!!!!」
見目麗しい美少女の口から発されたとは思えない程の無様な悲鳴が会場に響き渡ると共に、完全に脱力していく元王者の肉体。
そして当然ながら、その意識は深い闇の中へと堕ちていった──────まるで、自身の二つ名を体現するかの如く。
「ぅ…………んぁっ……………………」
完全に意識を刈り取られた凛香の口元から、もはや言葉とは呼べない弱々しい呻き声だけが漏れ出していく。
白目を剥きながら小刻みに痙攣してしまっているその姿には、かつて”堕ちない少女(アンブロークン)”と呼ばれた王者の面影など微塵も残されてはいなかった。
「ふふっ…………さいっこう♡」
普段の涼しげで知的な美貌とはまるでかけ離れた、友人の官能的な痴態。
その得も言われぬ光景を目にしたナギサは、体内を巡る熱が一段高まるのを感じ、アメジスト色の瞳に獰猛で淫靡な光を宿していく。
「はーい、凛香ちゃん…………こっちでちゅよぉ♡」
そして彼女は失神して身動き一つ取れない友人の腕を無造作に掴むと、まるで壊れたおもちゃでも扱うかのように、ズルズルとリングの中央へ向けて引きずり出していく。
「それじゃっ…………フォール行くよーっ♡」
リングの中央で大の字に転がされた凛香の肉体を見下ろすと、藤色の髪の少女は彼女の豊満な胸の上に、自らの片足をドンッと無慈悲に踏み乗せた。
本来の両肩を押し付けるフォールとは程遠い、相手を完全に踏み台として扱う屈辱めいたピンフォール体勢。
「んぅっ………………」
しかし、意識のない凛香にはその足を跳ね除ける力など当然残されておらず、レフェリーはリングマットを勢いよく叩き始めていった。
「ワン!!……………………ツー!!………………………………スリー!!!!!」
カンカンカーン!!!
「ここでスリーカウント~~~~!!!
凛香選手、為す術なく2ポイント目を奪われてしまった~~~~~!!」
「意識は…………大丈夫そうね。
まだ時間があるとはいえ、そろそろ反撃しないとポイント厳しいわよ!!」
青コーナーのパイプ椅子にぐったりと座り込んだ親友に対し、セコンドのあきらが必死に檄を飛ばしながらアイシングを行っていく。
「ぜぇっ……はぁっ…………わ、分かってるっ……わよっ…………」
口ではそう強がるものの、その声には深い疲労の色が滲み出しており、小刻みに震える膝を止めることすら出来ていない。
ボクシングとは全く異なる筋肉を酷使させられ、本職のレスラーによる容赦のない攻撃を浴び続けた結果、少女の肉体はまだ試合開始から10分も経っていないにも関わらず、既に満身創痍の様相を呈していた。
(ナギサちゃん……ハンデがあるのにここまで強いなんて……どうしよう…………)
媚薬というハンデを最大限に活かせる序盤は自分が優位に試合を進めるつもりでいたのだが、蓋を開けてみれば一方的なドミネーション。
そんな余りにも情けない己の姿に打ちひしがれる中、ふと、弱った心にとある光景が浮かび上がっていく。
【おねぇ、まことにまで負けたクセにっ!!】
ふいに脳裏にフラッシュバックしたのは、昨晩、愛する妹の由乃から投げつけられた余りにも冷たく、そして鋭利な言葉。
(ッ…………!!)
かつての王者がリーグ最下位の選手にすら手も足も出ず、無様に失神失禁KO負けを喫してしまったという救いようのない現実。
その残酷な記憶が呪いのように彼女の思考に絡みつき、弱り始めた精神を更に追い詰めていく。
(そもそも、最下位ランカーの私がランキング2位のナギサちゃんに勝つだなんて……最初から…………)
辛うじて”その次の言葉”だけは思い浮かべるのを留まったものの、少女の心の中にはある予感が、逃れようのない暗雲となって立ち込めていた。
「ファイッ!!」
レフェリーのかけ声と共に、アイアンマンマッチの三本目が幕を開ける。
「さぁ始まりました三本目!!
凛香選手、そろそろポイントを取り返したいところですが……」
(弱気になっちゃ駄目っ……今は、一本でも取り返さないと!!)
直前のインターバルで心を覆い尽くしかけた暗雲を振り払うように、凛香はギュッと薄い唇を噛み締め、自らを鼓舞して前へと一歩踏み出していく。
「やぁぁぁっっ!!」
そして試合の主導権を奪い返すべく、彼女は渾身の力を込めたラリアットでナギサの首元へと突進していったのだが────────
「あはっ……わかりやすっ♪」
「えっ……!?」
自らを奮い立たせての必死の反撃は、余裕の笑みを浮かべたナギサにいとも容易く躱されてしまう。
それも当然である。
何故なら、凛香のプロレスにおける基礎的なステップや技の入り方は、他ならぬナギサが教えた部分が多いのだから。
「アタシが教えた通りに動いてるだけじゃ……何回やっても当たらないわよ♪」
すれ違いざまに背後へ回り込みながら、ナギサは鼻で笑うように残酷な事実を囁く。
「くっ、そんな…………あぁっっ!!」
ラリアットを空振り、体勢が崩れた所を狙われた凛香の肉体は、またしてもキャンバスへと崩れ落ち、そして、その背中にナギサの白い膝が容赦なく突き立てられていく。
「それじゃ……今度も、た~っぷり鳴かせてあげるね♡」
妖艶な声色で放ったその言葉と同時に、ナギサは凛香の両腕と両足を同時に掴むと、後方へと激しく引っ張っていく。
そしてプロレスの基本にして強烈な背骨への拷問技である──────弓矢固めが、余りにもあっさりと極まってしまっていた。
「えっ、ちょっ…………あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!!!!」
キャンバス上で美しく弓なりに反らされた、雌としての魅力に溢れる豊満な肉体。
だが、その芸術的なまでの造形美とは裏腹に、少女の口からは余りにも無様で情けない絶叫が撒き散らされていく。
「あ゙あ゙あ゙っ……ん゙っ……ん゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙~~~~!!!」
「凛香、またしてもナギサの関節技に捕まってしまったぁ~~~!!
元王者の威厳はどこへいったのか、為す術なく悶絶させられてしまっております!!!」
友人の可愛い悲鳴を間近で拝めて満足気な表情を浮かべているナギサだが、ふいに無邪気な思いつきが脳裏によぎっていく。
「あ、そうだ♪」
黒髪の少女が脳内に迸る激痛に涙を流しながら耐え忍んでいる中、背後にいるナギサの手がスッと伸び、凛香の顎を強引に掴み上げる。
「んぅっ…………!?」
そして、そのまま無理やり顔の向きを変えさせられた先──────そこには、息を呑んでリングを見つめる大勢のクラスメイトたちの姿があった。
「ッッッッ……!!!!」
(皆が見てる……こんな、情けない姿は見せられないっ……のにぃっ…………)
友人達に見られているという事実が、凛香に悲鳴を堪えさせていく。
彼女は必死に歯を食いしばり、一瞬だけ漏れ出る悲鳴を抑え込んだ。
だが、そんな元王者の健気な抵抗は、藤色の髪の少女からすれば余りにも滑稽で、嗜虐心を唆る最高のスパイスにしかならない。
「あはっ、必死に声抑えちゃって♡ …………無理しなくていいんだ、よっ!!!」
「んっ…………っっっっ!!?」
サディスティックな欲求を刺激されたナギサが容赦なくさらに深く身体を反らせた瞬間、耐え忍んでいた凛香の喉の奥から、またしても絶叫が弾け飛んでいく。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっっ!!!!」
「どう、凛香ちゃん…………いい加減にギブアップ、する?」
耳元で囁かれる甘く残酷な問いかけ。
「のっ…………の゙お゙お゙っっっ……………………」
身体は既に限界を超えているにも関わらず、自らの矜持を守るべく、必死に首を振って耐えようとする凛香。
だが───────ナギサが更に手綱を引き絞るように肉体を極限まで反らせると、ついにその精神に限界が訪れていった。
「あ゙っ……ゔあ゙っ…………あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっっ!!!」
パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!!
それは、かつて”堕ちない少女(アンブロークン)”と呼ばれていた少女が、完全に屈服してしまった瞬間だった。
激痛に耐えかねた凛香の右手が、無様にキャンバスを何度も何度も叩きつけていく。
「ぎぶっ……ギブっ、ギブアップぅぅぅっ…………!!!」
そして大粒の涙を流し、顔をぐしゃぐしゃにしながら、ついに自らの意思で降伏の言葉を叫んでしまった。
「あ~っと凛香選手、たまらずタップアウト!!
必死に粘ったものの、ついに自らの意思で敗北を認めてしまった~~~~!!」
不可抗力である失神KO負けとは全く異なる、明確な”敗北宣言”。
クラスメイト達の見守る前で、生配信を含めた大勢の観客達の前で、凛香はとうとうその言葉を口にしてしまっていた。
「はい、よくできました♡」
「ぁっ…………ぅっ、ゔゔっ………………」
屈辱的な敗北宣言と引き換えに、ようやく弓矢固めの地獄から解放された凛香。
しかし彼女に立ち上がる力など残されておらず、全身の痛みと屈辱で瞳から涙をポロポロと零しながら、ただキャンバスの上で小刻みに震え続ける事しか出来ないでいた。
─────────由乃の部屋─────────
昨晩、姉に酷い言葉を投げつけてしまった罪悪感からか、由乃は自室のベッドの上で落ち着かない様子でスマートフォンを見つめていた。
「昨日はあんなこと言っちゃったけど…………ハンデもあるんだし、おねぇ、もしかしたら勝ってたりして……♪」
かつての王者だった自慢の姉の姿を脳裏に描きながら、少しの期待と不安を胸に、由乃はアイアンマンマッチの生配信画面をタップする。
だが、彼女の目に飛び込んできたのは───────期待とは正反対の、余りにも残酷な光景だった。
「ぎぶっ……ギブギブギブアップ~~~~~!!!」
スマホのスピーカーから響き渡ったのは、かつて”堕ちない少女”と呼ばれていた姉の、完全に心が折れきった悲痛な降伏宣言。
「あ~っと凛香選手、またしてもタップアウト!!
これでナギサ選手が怒涛の4ポイント連取だ~~~~!!」
「なにこれ…………うそ、でしょ…………?」
由乃は画面に映し出された信じられない惨状に、思わず絶句する。
目に映っていたのは凛々しく頼れる姉ではなく、顔を涙と涎でぐしゃぐしゃにして、相手の技に捕らえられ、情けなく泣き叫んでいる姉の無様な姿。
「しかも、このポイント差って…………おねぇ、また一方的にやられてんじゃん」
配信を開いたのは、ほんの数秒前の事である。
だが、画面の隅に表示された残酷なスコアボードが、この試合がいかに一方的で、惨めな蹂躙劇であったかを雄弁に物語っていた。
「あれあれ~? こんな技、全然効いてないんじゃなかったっけ?」
「あ゙っ……ぅ…………ゔゔっっ…………」
画面の向こうで、ナギサが小悪魔じみた笑みを浮かべてかつての姉の強がりを嘲笑っていく。
しかし、画面の中の姉は背骨を極められた痛みと屈辱で声も出せないのか、ただキャンバスの上でぷるぷると弱々しく震えるのみで、言い返す事すら出来ないでいる。
「おねぇ…………」
その余りにも惨めな姉の姿に、由乃はスマートフォンを握りしめたまま、ただ呆然と画面を見つめ続けることしかできなかった。
青コーナーのパイプ椅子に、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる凛香。
「ぜぇっ…………はぁっ…………はぁっっ………………」
度重なる関節技の拷問と容赦のない打撃を浴び続けたその肉体は、もはや完全に限界を迎えつつあった。
(もう、こんなに点差が開いちゃってるのに……私は、まだ1ポイントも…………)
荒い息を吐きながら、少女は焦点の合わない瞳でキャンバスを見つめていく。
アイアンマンマッチはまだ折り返し地点を過ぎたばかり。
だが彼我の実力差を骨の髄まで痛感させられ、肉体的にも精神的にも徹底的に痛めつけられた結果、身体だけでなく心の方も既に限界が見え始めていた。
「凛香っ、しっかりしなさい!!」
そんな中、虚ろな目をしている親友の頬を、セコンドのあきらが両手でパチンと叩いて発破をかける。
「確かにナギサちゃんは強いけど……でも、そんな強敵に真っ向から立ち向かうために、貴女は今日の試合を組んだんでしょ!?」
「あー、ちゃん…………」
「なら、貴女が本当に頑張るのはここからよ!! 立ちなさい、凛香!!」
肌が触れそうになる程の至近距離で真っ直ぐに親友の瞳を見つめ、あきらは声を張り上げていく。
そして、そんな熱い叱咤激励を受け、凛香は必死に声を絞り出して頷いた。
「そ、そうよね…………ありがと、あーちゃん。私、頑張る……ね……!!」
あきらの言葉に応えるように無理やり口角を上げてみせた凛香だったが、その瞳の奥に、試合開始のゴングを待っていた時のような強い闘志の炎は、もはや宿ってはいなかった。
「ファイッッ!!!」
短いインターバルが終わり、運命のゴングが鳴り響く。
ふらつく足取りで歩みを進める凛香に対し、ナギサは余裕の笑みを浮かべながらシュッシュッと軽くシャドーボクシングの動きを見せつけていった。
「せっかくだし……お次は凛香ちゃんの土俵で遊んであげよっかな♡」
「ッッッ!!」
「お~っとナギサ選手、大胆にもボクサー相手に打撃戦を要求していったぁ!!!」
ナギサからの予期せぬ打撃戦の要求。
それを受けて、あきらの言葉でギリギリ繋ぎ止めていた少女の心に、一縷の望みが灯っていく。
(私に勝ち目があるとしたら…………ここしかない!!)
以前のボクシング対決は媚薬5倍のハンデで負けてしまったけれど、何の縛りもない状態であれば、流石に負ける訳がない──────そう信じて、黒髪の少女は重い拳を握りしめ、相手への距離を詰める。
「やぁぁっ!!」
だが───────その甘い考えは、早々に裏切られることとなってしまった。
「あはっ……遅すぎっ♡」
渾身の力を込めてパンチを放つ凛香に対し、ナギサは上体を軽く逸らして躱すと、その無防備な太ももへ向けて鋭いローキックを容赦なく叩き込んでいく。
「あ゙ゔっっ!!?」
ボクサーである凛香にとって、下半身への直接的な打撃は完全なる未知の領域。
加えて既に満身創痍の肉体では、打撃戦においてもナギサの動きを捉える事が出来ず、少女はそのまま相手の好き放題に蹴られ続けてしまう。
「あぐぅっ……ゔあ゙っっ…………ん゙ん゙ゔっっ!!!」
「凛香、本職である打撃戦にも関わらず、完全に翻弄されてしまっております!!」
ただでさえ度重なる関節技で疲労困憊だった足は数発のローキックで容易く削られ、自慢のフットワークすら完全に封じられてしまう。
「あ゙ゔっっ…………くぅっ……!!!」
「ほらほら、どうしたの?…………自慢のパンチ、全然当たってないよ?」
もはや拳の間合いからすら離脱されており、完全に防戦一方となっている凛香。
(そんなっ……打撃でも、敵わないなんて…………)
負けるハズがないと思っていた打撃戦ですら何も出来ず滅多打ちにされる現実を突きつけられて、少女の動きが更に精彩を欠いていく。
そして、ローの痛みで意識が完全に足元へと向いたその瞬間───────ナギサの脚がムチのようにしなり、ガードの下がった凛香の側頭部を、強烈なハイキックで的確に捉えていった。
「がはっっ!!!」
「ナギサの華麗な右ハイが炸裂~~~~~!!
凛香、これには堪らず崩れ落ちていく~~~~!!!」
脳を揺らされ、力なくキャンバスへと崩れ落ちようとしている最中──────ついに、少女の悪癖がその顔を覗かせていく。
(ぁ……だめっ…………あたま……ぼーっと、してきた…………)
心の拠り所としていた打撃でも完敗を喫してしまった事で、少女の本能は対戦相手の事を”完全なる格上”と認識してしまい、思考が停止し肉体の動きも止まってしまう。
そんな、ただ虚ろな目で跪く元王者の顔面へ向けて───────”藤舞う蹴撃姫”は無慈悲に助走をつけると、崩れ落ちた凛香の膝を踏み台にして宙へと舞い上がり、必殺の一撃を完璧なタイミングで叩き込んでいった。
「あ゙っ……こひゅっ…………」
「凛香っ!!!」
本日二度目となるナギサのフェイバリット──────シャイニング・ウィザードを顔面にモロに食らった凛香の肉体は、親友の悲痛な叫びをよそにド派手に吹き飛ばされてキャンバスへと転がっていってしまう。
「ぅ…………ぁ……………………」
美しかった琥珀色の瞳は無惨にも白目を剥き、白くきめ細やかな、そして至る所に紅い打撃の痕が残された肌をピクピクと小刻みに震わせ、誰が見ても完全に失神してしまっている凛香。
通常のプロレスルールであれば、ここで悠々と上に乗り、屈辱的なピンフォールへと移行する絶好の場面である。
だが──────藤色の髪の少女は、あえて倒れ伏す友人を見下ろしたまま、レフェリーに向かって冷酷にダウンカウントを要求していった。
「レフェリー…………カウント、お願いねっ♡」
「ッッ!!…………1………………2……………………」
ナギサの意図を汲み取ったレフェリーが、キャンバスを叩きながらカウントを数え始めていく。
「な、なんと…………ナギサ選手、敢えての10カウントKO狙いかぁ!!?」
実況の声と共に、予想外のパフォーマンスに会場中が更なる盛り上がりを見せていった。
「3……………………4………………………………」
「凛香っ!!……なにノビてんのよっ、早く起きなさいっ!!!」
着々とカウントが進み、親友が必死の叫び声を上げるものの、それでも少女の肉体はピクリとも動かない。
そして──────無情にも、その鐘の音は高らかに響いていく。
「8……………………9………………………………10!!
10カウントKOにより、ナギサ選手に1ポイントッッ!!!」
カンカンカーン!!!
「な、なんと……凛香選手、得意の打撃戦であるにも関わらず、手も足も出ないばかりか、挙げ句の果てに2分と保たず完璧にノックアウトされてしまいました!!!」
そして決定的な10カウントのゴングが鳴り響いた、その直後。
完全に屈服してしまった精神に呼応するかのように、あるいは、もはや自らの敗北を受け入れてしまったかのように──────ピクピクと痙攣する凛香の股間からキャンバスへと、徐々に無様な染みが広がっていく。
「あっ…………ぅ……ゔぅっっ………………」
純白のコスチュームをじゅわりと汚していく、屈辱的な温度。
完全に意識の底へと沈んでいるはずの凛香だが、”何か”を感じ取ってしまったのか、ただ無意識のままその瞳に大粒の涙を流し続けていた。
「おねぇっ………………」
画面に映し出されているのは、かつての威厳など欠片も残されておらず、ただただ無様に蹂躙され、情けない姿を晒してしまっている姉の姿。
どう考えても、ここから逆転など起こり得る筈がない。
その残酷すぎる現実を理解してしまった少女は、画面越しに突きつけられた凄惨な光景に、ただただ涙を溢れさせることしかできなかった。
一方、熱狂に包まれるリング上では──────
「さぁ~て…………残り12分、どこまでポイント伸ばせるか楽しみね♡」
ご機嫌な様子で小悪魔的な笑みを浮かべるナギサの足元で、凛香の意識は依然として深い闇の中へと堕ちてしまっている。
「ぁっ…………んぅっ………………」
肉体はとっくに限界を迎えており、精神は本能レベルで完全に屈服してしまい、もはや逆転が不可能な程のポイント差がついていても──────それでもなお、試合はまだ終わらない。
なぜなら─────他ならぬ彼女自身が、そのルールを選んだのだから。
「アイアンマンマッチ……最後までた~っぷり愉しみましょうね、凛香ちゃん♡」
妖艶な色香を纏った女の宣告と共に、残り12分間にも及ぶ【堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ】の、真の地獄が幕を開けたのだった。
【堕ちた王者と絶望のアイアンマンマッチ~凛香VSナギサ~】Part.3(Fin)へ続く.