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ロドス医療オペレーター「つまり……このままのペースで結晶化が進んでしまえば……」
ワルファリン「………」
ワルファリン「……この進行速度であれば、まず間違いなく、五日以内には主要臓器へと至り……」
ワルファリン「そして更にそこから一週間もあれば、その内膜ごと突き破り、体表へと結晶が飛び出してくることになるだろうな。」
ロドス医療オペレーター「……!」
ロドス医療オペレーター「では、やはり……!」
ワルファリン「ああ。急ぎ、オペの準備をしてくれ。」
ワルファリン「これ以上、この憎たらしい石ころに……この者の身体を、好き勝手にさせるわけにはいかんからな。」
ロドス医療オペレーター「……了解です。」
ロドス医療オペレーター「それでは、ケルシー先生への、造影検査結果のご報告は―――」
ウィスパーレイン「……よろしければ、そちらは私に任せてください。」
ワルファリン「!」
ワルファリン「……良いのか?」
ワルファリン「そなたも……その、いろいろと大変な身だと思うのだが……」
ウィスパーレイン「お気遣い、ありがとうございます。ワルファリン先生。」
ウィスパーレイン「しかし、ちょうど……私の方でも、ケルシー先生にご相談したいことがありましたので……」
ワルファリン「……そうか。」
ワルファリン「そういうことであれば、『これ』はそなたに任せることとしよう。」
ワルファリン「では頼んだぞ、ウィスパーレイン。」
ウィスパーレイン「はい。お任せください。」
―――――
―――
―
オーキッド「これと……あとこれも、三十部ずつコピーして……こっちは購買部用に、ええと……―――って、二百部!?」
オーキッド「まったく、冗談じゃないわよ……!」
オーキッド「エンジニア部の人たちは、印刷機さえあれば無限に紙が出てくるとでも―――」
ウィスパーレイン「………」
オーキッド「―――って、あっ、あら……?あなたは、たしか……」
オーキッド「医療部の、ウィスパーレインさん、だったわよね?」
ウィスパーレイン「……はい。」
オーキッド「ごっ、ごめんなさい、大きな声を出してしまって……!」
オーキッド「この時間帯のこの部屋に私以外の人がいるなんて、思いもしなかったものだから……」
ウィスパーレイン「……私は大丈夫ですので……どうか、お気になさらないでください。」
オーキッド「……ありがとう。本当に、ごめんなさいね。」
オーキッド「ところで……印刷室に来たということは、ウィスパーレインさんももちろん、これを使いに来たのよね?」
オーキッド「よかったら、一緒に印刷しておくけど……」
ウィスパーレイン「……!」
ウィスパーレイン「……そ、それ、は……」
オーキッド「?」
オーキッド「……ああ、ごめんなさい!もしかして、プライベートなものだったかしら……?」
ウィスパーレイン「いえ……そういうわけでは、ないのですが……」
ウィスパーレイン「………」
ウィスパーレイン「……そう、ですね。では……こちらを、お願いしてもよろしいでしょうか。」
オーキッド「……ええ!任せてちょうだい。」
オーキッド「部数は……ええっと、何枚ぐらいコピーすればいいかしら?」
ウィスパーレイン「……二枚で、お願いします。」
オーキッド「分かったわ。それじゃ、さっそく―――」
印刷機の稼働音。
ウィスパーレイン「………」
オーキッド「………」
オーキッド(……これ、たぶん『鉱石病造影検査』のやつよね……?)
オーキッド(私も自分のを見たことがあるから、ほんの少しは見方が分かるけど……この人、随分と陰影が―――)
オーキッド「―――!!」
オーキッド(なっ、何よこれ……!?この陰影の形は、どう見ても―――)
ウィスパーレイン「どうかしましたか?オーキッドさん。」
ウィスパーレイン「その……印刷機は、もう止まっているようですが……」
オーキッド「……っ!!」
オーキッド「あ、ああ…っ、ごっ、ごめんなさいね……!」
オーキッド「はいっ、どうぞ…っ!」
ウィスパーレイン「……ありがとうございます。」
ウィスパーレイン「では……失礼します。」
オーキッド「えっ、ええ…っ!お互い、頑張りましょうね……!」
オーキッド「……っ。」
オーキッド「(自分の頬を叩く)」
オーキッド(うぅぅ…っ、なっ、何を不謹慎なことを考えてるのよ、オーキッド!)
オーキッド(いくら写真に写っていたのが、あまりにも『ソレっぽ過ぎる形』だったとはいえ―――)
オーキッド(―――体内の陰影が、だっ、『男性器』に見えるだなんて……!)
オーキッド(製薬会社に勤める人間として、最低の考えよ…っ!)
ウィスパーレイン「………」
ウィスパーレイン(……本当に、『奇跡』と言うほかありませんね……)
ウィスパーレイン(体内源石片と、臓器の輪郭が重なって……)
ウィスパーレイン「……ふふ…っ。」
ウィスパーレイン(これほどまでに完璧な『チンポ』は、初めて見ました……)
ウィスパーレイン(チンポとして、陰茎としての形はもちろん……いえ、モロチン―――)
ウィスパーレイン(別の源石クラスターが重複していることによって、金玉すらも、完璧な形として存在していて……)
ウィスパーレイン「……本当に、ひとつの芸術作品のようです……」
ウィスパーレイン「これは『他の写真』以上に……厳重に、永久保存しないと、ですね。」
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ニェン「あー……暇だ……」
ニェン「退屈過ぎて、今ならため息で火を起こせそうだぜ……」
シー「………」
ニェン「……あ。そうだ、大層聡明で、偉大なる我らが妹ちゃんよ。」
ニェン「どれでもいーから、適当に例の奴らでも描いてくんねーか?」
ニェン「私が今即席で思いついた武器を、ちょっくら試してみてぇんだが。」
シー「………」
ニェン「おーい。可愛い可愛い妹ちゃんよー。」
ニェン「自分の部屋に引きこもり過ぎて、お姉ちゃんとの会話の仕方を忘れちまったのかー?」
シー「……はぁ。」
シー「あまりにも長い間職についていないものだから、一般的な常識ってやつが分からなくなっちゃったのかしら?ねぇ、お姉ちゃん?」
シー「そんなに私と喧嘩がしたいのなら……いつもみたいに、野蛮な言葉で直接的に話したらどう?」
ニェン「まったく、ちょーっと冗談を言っただけでこれとは……」
ニェン「相変わらず、スキンシップってもんが分かってない妹ちゃんだぜ。」
ニェン「シーちゃんの方こそもう少し人間の営みを通して、『世界』ってやつを知った方が良いんじゃねーか?」
シー「……ハッ。まさか、あんたにそんな感性があったなんてね。」
シー「『之を知るは、愚者に在りて賢者に在らざる』。あんたの方こそ、もう少しまともな眼で世界を見てきたらどう?」
ニェン「………」
シー「………」
ラヴァ「……なあ。」
ラヴァ「仲睦まじい姉妹喧嘩は、非常に結構なことなんだが……できれば、アタシの部屋以外でやってくれねーか?」
ニェン「おいおい、少しは私の顔を立ててくれって。」
ニェン「『所別の交わり』ってやつは、時に私らや『人』に、思わぬ変化と余韻を齎して―――」
ラヴァ「―――だぁぁっ!もうっ!」
ラヴァ「その良く分からん屁理屈も、小難しい炎国語もやめろ!」
ラヴァ「クルースならともかく……アタシは、そこまで炎国語に精通してるわけじゃないんだよ!」
ニェン「……んあ?マジ?」
ニェン「マジでそうなのか?」
ラヴァ「そりゃ当然、日常会話レベルなら問題無いが……お前らがよく口にしてる、古っぽくて回りくどい言い方の方は、本当にさっぱりで―――」
ラヴァ「―――って、そんなことはどうだっていい!」
ラヴァ「いいから、さっさと、帰れ!」
ラヴァ「いつもいつも、何でそんなにアタシに付きまとってくるんだよ、お前は……!」
ニェン「『金玉(きんぎょく)猛精、怒棒にて満を望まん』―――ってな。」
シー「!!」
ラヴァ「はぁ……?だから、古語はよく分かんねぇって言ってんのに……!どういう意味なんだよ、それ。」
ラヴァ「金玉(きんぎょく)……?宝石か何かの話か?」
ニェン「お。そうそう!今風の言葉に言い直すと……そうだな、金の―――」
ニェン「いや、『お前の才には、金色の宝玉のように輝くものがあるから、心を一本の棒のように研ぎ澄ませ』―――ってとこか?」
ニェン「こう見えて、私は―――いや、『私たち』は、お前に結構期待してんだぜ?ラヴァ。」
ラヴァ「……!」
ラヴァ「は、はぁ……?お前らが、私に?」
ニェン「ああ、アーツの才についてもだが……その、いろいろとな。」
ニェン「……な?そうだよな、シーちゃん?」
シー「あんた……」
シー「………」
シー「……まあ、そうね。」
シー「『眇眇たるは爛石、其を秘めたるは珍宝なり』、なんて言葉もあるぐらいだもの。」
シー「まあ、少しは光るところがあると思うわ。」
ニェン「……ははっ!」
ニェン「おいおい、中々言うじゃねぇか、シーちゃん?」
ラヴァ「び、びょうびょうたる……?」
ラヴァ「なっ、なあニェン、今のはどんな意味があるんだ……?」
ニェン「あー……まあ、簡単に言っちまうとだな……」
ニェン「『自分の才能をひけらかさず驕らないお前のようなやつこそ、真に才に秀でていると言える』……的な感じだな。」
ラヴァ「!ほ、本当か……?」
ラヴァ「お前ら二人が揃って誰かを……しかも、よりにもよってアタシを褒めるなんて、だいぶ信じ難い話なんだが……」
シー「……せっかくこの私が褒めてあげてるんだから、もっと素直に喜んだらどうかしら。」
シー「『仮性にて茎を包み隠せば、その知光(ちこう)をも失わん』。」
シー「必要以上に自分の価値を下げるなんて、愚者の行いそのものよ。」
ニェン「……っ。そっ、そうだぜ、ラヴァ。」
ニェン「ま……『万光(まんこう)満たすは、生死に千を摺り哭かん』。」
ニェン「千にもなる死地を乗り越えてきたお前は、まさにロドスに万の光を齎す存在で―――」
シー「ええ。少し癪に障るけど、そいつの言う通りね。」
ラヴァ「なっ、何だよっ、お前ら……!」
ラヴァ「よく分かんねーけど……そっ、そんなにアタシをおだて上げて、いったい何が目的なんだ…っ!?」
シー「……『血孔(けつあな)を保持すれば、暗礁から聖易を供する』。」
シー「おびただしい量の血を流してきたあなたにとっては、未来すら、もはや恐れるものではなくなって―――」