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<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㊺~最後の1年~

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<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㊺~最後の1年~
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入れ替わったまま時は過ぎ去りー、

2年目もいよいよ終わりを迎えようとしていたー。


転校生の渡海 和之から今までの行動の謝罪と、

未来への決意を聞かされた二人ー。

今年度で学校を去る決意をした和之を見送りー、

そして、いよいよ3年目の春を迎えようとしていたー。


”入れ替わったまま”迎える3年目ー。

二人の歩む未来はー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㊹~苛立ち~

春が近づく中、 バレンタインデーの日に、綾(翔太)への執着から 問題を起こす転校生・渡海 和之ー。 しかし、翔太の親友・哲真や、翔太(綾)の言葉から 和之はようやく自分の非を認め、 謝罪の言葉を口にしたー。 そして、”3度目”の春が訪れたー。 ★前回はこちら↓★ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ★...

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★主な登場人物★


遠藤 翔太(えんどう しょうた)

C組生徒。大人しく、奥手な性格の持ち主。綾と入れ替わってしまう。


星村 綾(ほしむら あや)

C組生徒。可愛らしい雰囲気に、明るい性格の持ち主。翔太と入れ替わってしまう。


神田 哲真(かんだ てつま)

C組生徒。翔太の中学時代からの友人。女子は苦手。


山井 穂乃果(やまい ほのか)

C組生徒。綾の親友。入れ替わりを知ってからも変わらず接してくれている。


★脇役も含めた人物紹介はこちら↓★

<人物紹介>僕とわたしの不思議な青春~登場人物図鑑~

長編入れ替わりモノ 「僕とわたしの不思議な青春」の 登場人物図鑑デス! 連載前に予告として掲載した、 主人公たちのクラス名簿の内容に加え、登場する教員や その他の人物もご紹介しています~! ※ネタバレは控えめ(漫画や小説の最初の方のページに書かれている  人物紹介ぐらいの内容…)デス~!  最初にクラス名...

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体育館では、卒業式が行われていたー。


”来年は、わたしたちの番ー”

翔太(綾)は、卒業生たちが卒業証書を受け取るのを見つめながら

そんな風に思うー。


綾(翔太)の方をチラッと見つめる翔太(綾)ー


来年ーー

この場所にわたしたちはーー

”自分の身体”で立っているのかー、それともー……。


”ーーーもう、入れ替わって2年ーー”

翔太(綾)はそんな風に思いながら

自分の身体を少し、懐かしく思いながら目を閉じるー。


やがてー、卒業式は終わりを迎え、

卒業生らが、体育館から外に出て、

別れを惜しみながら、最後のひと時を過ごしていたー。


「ーー星村さんー。本当にありがとなー。

 楽しかったよー」

カードゲーム部の元部長で、今年卒業の石島 恭一(いしじま きょういち)が

そう言葉を口にするー。


「ーはいー。わたしも楽しかったですー

 また時間がある時に、顔を出してくださいねー」

綾(翔太)が微笑むー。


「ーーはははーそうだなー。またいつか、対戦できたらー」

元部長の恭一は笑いながらそう言うと、

「神田と、足立も元気でな」と、

同じくカードゲーム部所属の翔太の親友・哲真と

クラスメイトのイケメン男子・足立 幸也にもそんな言葉を掛けるー。


「ーー先輩も元気でー。」

哲真が名残惜しそうにそう言うと、幸也も「頑張ってください」と、

そう言葉を口にするー。


「ーーーーーーお~い!法月も挨拶しろよ」

恭一は、同じく3年生のカードゲーム部の部員で

ネガティブな男子・法月 将輝にもそう声を掛けるとー、

綾(翔太)たちと、別れの挨拶を交わすのだったー。


恭一たちと別れて、綾(翔太)と哲真は、ゆっくりと

学校の敷地内を歩いていたー。


桜が舞う中ー、

綾(翔太)が桜の木を見つめるー。


「ーー来年は、わたしたちもー卒業だねー」

綾(翔太)が、揺れる髪を押さえながら微笑むー。


仕草も、どんどん女子らしくなっていく綾(翔太)ー


最初は、”無理して綾のフリをしている”というのが

分かる振る舞いだったー。

でも、今はーーー


「ーーーははーそうだなー。

 あと1年ー、楽しくやっていこうなー」

哲真は、そう言葉を口にすると、

綾(翔太)は、嬉しそうに”うんー”と、そう答えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


春休みー。


「ーーー春休みなのに、わざわざありがとうですわー」


転校生のお嬢様・神宮寺 真莉愛が

そう言葉を口にしながら、お茶を二人に差し出すー。


翔太と綾は、今日も神宮寺邸を訪れていたー。


”人格転移”の研究を趣味で行っている真莉愛の父親・寛治が

再び、二人に色々話を聞いたり、

データを収集したい、と、そうお願いしてきたのだー。


もちろん、寛治も”強制するような形”ではなく、

”二人に時間があればー”という形でお願いしてきていて、

綾と翔太の負担にならないように色々配慮してくれているー。


お互いに話し合いを重ねて、4月に突入した今日、

こうして神宮寺邸を訪れたのだー。


「ーーーふむーーー…」

今日は、入れ替わった時の状況を、改めて聞き取ったり、

脳波や心拍数から”ある調査”を行ったりしたー。


そして、その結果が出たのだろうかー。

書類を手に、寛治がやってくると、

「ひとつ、興味深いことが分かりましたー」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーーー興味深いことー…ですか?」

翔太(綾)がそう言うと、

寛治は頷くー。


持ってきた紙を机の上に置きながら、寛治は言うー。


「ーーここには、

 さっき行った”テスト”の結果が記されているのですがー

 これを見て下さいー」


脳波と心拍数のデータがグラフのように表示されているところを

示す寛治ー。


「ーこれは、わたしたちのー?」

綾(翔太)がそう言うと、寛治は「ええ」と頷くー。


「ーーーー」

翔太(綾)は、綾(翔太)の方を横目で見つめるー。


ここには”入れ替わりを知る人間”しかいないのにー、

今日は、綾(翔太)は、ずっと自分のことを”わたし”と言っているー。


今まで、二人の時や、入れ替わりを知る人間しかいない時は

”僕”と言っていたのに、最近はますますそれが減っていて、

この前、神宮寺邸を訪れた時よりも、さらに”僕”を使う回数が減っているー


”ーーわたしもそうだけど…遠藤くんはーもっとー”

翔太(綾)はそんな風に思うー。


翔太(綾)も、翔太として振る舞っている時間が長くなって、

事情を知る人間の前でも自然と”僕”と言ってしまうことが増えたー。

けれどー、綾(翔太)は、さらにそれが進んでいる気がするー。


そんな心配をしていると、

「ーー二人とも、”自分の名前”を言っている時の方が

 心拍数も、脳波も安定していますー」と、

寛治はそう言葉を口にしたー。


「ーーそ、それはつまりー?」

綾(翔太)が不思議そうに言うー。


先程、二人に対して行われたテストー。

色々な質問をして、脳波や心拍数の変化を確認するテストの際に、

寛治は二人に対して”名前”を聞いたー。

あえて、二人に”自分の名前”と”身体の名前”で、それぞれ2回名乗って

貰ったところー、

二人とも、”身体の名前”を言っている時の方が、

脳波も、心拍数も安定していて、

”元の自分の名前”を言っている時の方が、脳波も心拍数にも

乱れが確認できた、と、寛治はそう説明したー。


「ーー僕は、遠藤 翔太です」

「ーーわたしは、星村 綾です」


綾(翔太)が、それぞれそう自己紹介した時に、

”前者”の方が、心拍数が上がっていて”わずかな動揺”が

見られたというのだー。


「ーーー…ーもしかすると二人とも、”今”に慣れてきているのかも

 しれませんー」


寛治の言葉に、綾(翔太)と、翔太(綾)は、困惑の表情を浮かべるー。


「ーー確かにー…最近、わたしー…いえ、僕ー…

 元の自分の生活があまり想像できなくなってきたというかー

 そんな感じが時々あってー」

綾(翔太)が、そう言葉を口にするー。


「ーーーーわたしも、遠藤くんと同じですー」

翔太(綾)がそう言うと、

寛治は頷くー。


「ー入れ替わったことが原因で異常が起きているー、

 というわけではないと思いますが

 人間はそうー

 例えば引っ越しをしたり、転校をしたり、転職したりー

 そういう”環境の変化”があると、

 無意識のうちにそれに慣れようとしますー。


 ”身体”でも、それと同じようなことが起きているのでしょうー。


 入れ替わって、もうすぐ2年の二人は

 だんだんと、”今”に慣れてきているー

 そういうことだと思いますー」


寛治はそう言うと、「今まで聞いた話を元に

”階段から落ちた時の衝撃”を疑似的に二人の身体に同時に加えるための

方法を今、検討していてー」と、そこまで言葉を口にしたー。


がーーー、

その時だったー。


寛治が突然、激しく咳き込み始めるー。


「ーーお父様ー?」

横にいた真莉愛が不安そうに表情を歪めるー。


「ーーいや、大丈夫だー」

寛治は、真莉愛に対してそう言うと、

まだ少し咳き込みながら、翔太と綾の二人を見つめるー。


「いや、失礼ー

 少し先日から体調を崩していましてねー

 元々数年前からあまり体調が良くなくてー、

 それも、”人格転移”の研究を始めた理由の一つなんですー」


寛治は照れくさそうにそう言うと、

真莉愛が口を開くー


「ー平民の皆さんは、後はわたしが案内しておきますわー

 お父様は今日はもう、お休みになってー」


真莉愛のそんな言葉に、

綾(翔太)と翔太(綾)は、相変わらずの物言いに苦笑いするー。


「ーーこらこら、真莉愛ー

 その言い方はやめなさいー」

寛治はそう苦笑いしながらも、

再び咳き込みながら

「すみませんー。今日はせっかく来ていただいたのにー」と、

頭を下げながら、真莉愛に支えられつつ、

そのまま姿を消したー。


少し待つように真莉愛から言われて、

綾(翔太)と、翔太(綾)は、神宮寺邸の庭先で桜を見つめながら

真莉愛が戻って来るのを待っていたー。


「ーーーお待たせしましたー。

 お父様には、安静にしてもらいましたわー」


真莉愛がそう言いながら戻って来るー。


翔太(綾)が心配そうに、

「お父さんは、大丈夫ー?」と、そう確認すると、

真莉愛は「時々あることですわー。心配なさらなくても大丈夫ー」と、

そう言葉を口にしたー。


「ーーーー」

真莉愛は、少し間を置いてから「ふぅ」と、息を吐き出すと、

二人を見つめながら呟くー。


「それにしても、二人とも大変ですわねー。

 わたしたちにとって、せっかくの”青春”なのにー

 他の人の身体で過ごさないといけないなんてー。


 ーーー同情しますわ」


真莉愛のそんな言葉に、

綾(翔太)は、少しだけ表情を曇らせるー。


”ーーーー…”

せっかくの青春なのにー。


そう、元々”綾”は、自分とは縁のないような

キラキラした青春を送るはずだったのだー。

そんなことを、改めて思う翔太ー。


”ーーわたしがー…ううんー…僕が星村さんのーー…”


”綾”として、最近では特に楽しい高校生活を満喫している

綾(翔太)ー


けれど、翔太(綾)からしてみれば、それはーー


そんなことを考えていると、翔太(綾)が笑いながら

言葉を口にするー。


「ーーー心配してくれてありがとうー」


とー。


「ーでも、神宮寺さんー

 入れ替わって辛いことももちろんあったけどー、

 辛いことばかりじゃなくて、楽しいこともちゃんとあったしー、

 ”入れ替わったから”今までの2年間が台無しだなんて

 思ったことは、一度もなかったよー」


翔太(綾)が微笑むー。


綾(翔太)は、そんな翔太(綾)の言葉にー、

「星村さんー」と、少し安堵したような表情を浮かべるー。


「ーーーふふー…

 それなら良かったですわー」


真莉愛が穏やかな表情で二人を見つめるー。


「ーーー…それにー」

翔太(綾)は、穏やかな表情で言葉を続けたー。


「ーわたしが、遠藤くんと入れ替わってなかったら、

 こうして神宮寺さんの家に来たりすることも

 なかっただろうしー、

 こんな風に神宮寺さんとお話することもなかっただろうからー」


翔太(綾)が、そう呟くと

真莉愛は「ふふふーそうですわねー」と、

少しだけ嬉しそうに微笑んだー。


そしてーーーー

春休みは明けて、翔太と綾は”3年生”になったー


始業式の日ー。

翔太と綾は、桜の木の下で二人、会話を交わしていたー。


「ーーもう、遠藤くんと知り合って2年になるんだねー」

翔太(綾)が、桜の木を見上げながら呟くー。


「ーーーーうんーそうだねー」

綾(翔太)も、2年前を懐かしむようにして笑うー。


「ーーーでも、まさか僕と遠藤くんーー……

 あーーー…」

翔太(綾)は、そこまで言いかけて苦笑いすると、

「ーわたしと遠藤くんが、こんな風に過ごすことになるなんてー、

 最初に遠藤くんと会った時は、全く想像してなかったなぁ…」と、

改めてそんな言葉を口にするー。


「ーあははー…そうだよねー。

 わたしも全然、こんな風になるなんて思ってなかったしー…

 入れ替わったあともすぐ戻れると思ってたしー」

綾(翔太)は、そう言い放つー。


”わたし”と言っても、もうそれを訂正するような素振りも

無くなりつつあってー、

翔太(綾)よりも、”身体”の生活にすっかり慣れているような

感じになっているー。


「ーーー」

翔太(綾)自身も、”僕”と言ってしまうことも増えたし、

そのことは最近は指摘せず、黙って見守っている状態ー。


「ーーこの先、どんな風になったとしても、

 最後の1年間も、楽しく過ごそうねー」

翔太(綾)の言葉に、綾(翔太)も頷くー。


最後の1年ー。

もしも”入れ替わったまま”ならー、

”進路”を決断しなくてはいけないー。


入れ替わったまま生きるかー、

それとも元に戻れるのかー。

その運命の1年


それが、今年なのかもしれないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーあ!綾ちゃん!おはよ~!」

綾(翔太)の前の座席の女子・笹野 翔子が

笑いながら手を振るー。


「ーあれ?ちょっと髪型変えた~?」

翔子が笑いながら言うと、

後ろの座席の野坂 優菜も「あ!ホントだ!かわいい~!」と、

綾(翔太)を見て微笑むー。


大胆に変えたわけではないものの、

”ちょっとした”手を加えた綾(翔太)ー


翔子と優菜が、そんな綾(翔太)の”ちょっとした変化”に気付いて

そのことを口にしているー。


仲良しな女子同士だと、ちょっとした変化でも

そこそこ会話が盛り上がるー。


そんな光景を見つめながら、

翔太(綾)は、翔太の親友・哲真と挨拶を交わしながら、

少しだけ笑うー。


「ーーわたしー…、髪型変わったのー気付かなかったー」

とー。


「ーん? ははー、そりゃ別によくあることだろ?」

哲真が、翔太(綾)にそう言うと、

翔太(綾)は首を横に振ったー。


「ーーううんー

 ーーわたし、前はああいう変化ー、すぐ気付いたのになー」

翔太(綾)の言葉に、哲真は表情を曇らせるー。


「ーーー」

そんな、重い空気を感じ取ったのか、翔太(綾)は

苦笑いすると、

「ーー元女子なのに、おしゃれに疎くなっちゃったのかも」と、

悪戯っぽく笑うー。


「ーーー…星村さんー」

哲真はそれだけ言うと、

翔太(綾)を元気づけようと「大丈夫さ」と、そんな言葉を口にするー。


根拠のない”大丈夫”ー

けれど、哲真にはそれ以外、かける言葉が思い浮かばなかったー。


そうこうしているうちに、担任の若松先生がやってくるー。


「ー3年間わたしの顔を見るのも飽きちゃうかもだけど、

 今年もよろしくね」

にっこりと笑う若松先生ー。


翔太たちのクラスが教師生活”初担任”だった若松先生ー。


3年目にもなって、若松先生も大分”慣れた”様子を見せているー。


「ーーいやいやいや、そんなことないですよ

 今年もよろしくお願いしますー!」

お調子者の男子・栗原 誠一が大げさなリアクションで

言葉を口にするー。


「ーーあははー こちらこそよろしくねー 栗原くんー」

若松先生はそう言うと、

「あー、そうそうー。今年は”一人”、新しく仲間が増えるんだけどー」

と、そう言葉を続けるー。


「ーまた転校生ですかー?」

中性的な雰囲気の美術部の女子・倉守 詩音がそう言うと、

「ーーやってくるのは天使か!?悪魔か!?」

などと、中二病の米沢 海斗が叫ぶー。


すると、若松先生は苦笑いしながらー

「今回は転校生じゃなくてー…

 ”3年C組”から、留年しちゃった子なんだけどー」と、

それだけ言うと、

「ーーー五十嵐(いがらし)くんー」と、

教室の外に向かって、若松先生が言葉を口にしたー。


「ーーー」

教室の入口から、少し軽そうなー、けれども物腰の低そうな男子生徒ー、

五十嵐 慎吾(いがらし しんご)が、中に入って来るー。


「ーー…え~~~っとー」

頭を掻きながら少し気まずそうに言うとー、

「ー卒業できなくて、留年になっちゃった五十嵐ですー」と、

苦笑いしながら自己紹介をするー。


「ーー五十嵐くんは3年C組の生徒だったんだけど、

 ちょっと色々あって、卒業できなかったからー、

 一学年下のC組ー…わたしたちのクラスに入ることになりましたー」


若松先生がそう事情を説明するー。


「ーーーあははーなんだかすみませんー」

若松先生の方を見ながら、照れくさそうにそう言うと、

慎吾は「ーー急に、みんなの輪に加わることになっちゃって、

申し訳ないけどー…よろしくお願いします」と、そう言葉を口に

しながら、頭を下げたー。


「ーーまぁ、一年先輩だけど、気にしないで

 仲良くしてあげてねー」

若松先生がそう言うと、

空いている座席ーー


”昨年度”まで、渡海 和之が座っていた座席を指差すと、

「そこの座席が空いているからー」と、慎吾にそう言葉を口にしたー。


「ーーー(渡海くん)ー」

綾(翔太)は、昨年の転校生・和之のことを思い出しながら

少しだけ複雑そうな表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


離任式が行われー、

今年で離任する先生たちが紹介されるー。


「ーーわたしは、これからも科学を愛して、

 科学のために生きていきますー」


昨年まで理科を担当していた

松原 郁恵先生がそんな言葉を口にするー。


離任式にまで、いつもの薄汚れた白衣姿で現れて、

科学への愛を熱弁したー。


「ーーー離任式まであの格好なんて、すごいなぁー」

苦笑いする綾の親友・穂乃果ー。


松原先生の挨拶が終わると、

その隣にいた英語担当の小日向先生も挨拶をするー。


生涯独身を豪語していた気さくなおじさん、という感じの先生で

翔太たちにとっては2年生になった時から英語の担当になった

先生だったが、1年で離任となったー。


他にも”ベートーベン先生”のあだ名を持つ音楽の先生や

他学年の先生たちも数人、離任したー。


離任式が終わり、その日の放課後を迎えるー。


綾(翔太)は、翔太が小さい頃親しかった女子生徒・伊藤 菜々美と

共に下校していたー。


菜々美は、翔太たちの入れ替わりを知る数少ない一人で、

神宮寺 寛治の”人格転移”の話を翔太たちに伝えてくれるなど

影ながら翔太たちを支えてくれているー。


「ーーそれで、話は進んでるの?」

菜々美が言うー。


「ーーうんーー。

 まだ元に戻れるかは分からないけどー、

 神宮司さんのお父さんも、わたしたちのために色々調べてくれてるー」


綾(翔太)が言うー。


がー、菜々美は立ち止まると不快そうに表情を歪めたー。


「ーねぇ…わたしと二人の時は”わたし”って言うのやめない?」

菜々美の言葉に、綾(翔太)は「えーー…あ、うん、ごめんー」と

言葉を口にするー


去年の文化祭以降、心を閉ざしている菜々美とも、

多少、打ち解けられた気はするー。

が、まだ、”小さい頃”の菜々美とはやっぱり違うー。

菜々美の心は、まだ閉じたままー。


「ーーわたしにも手伝えることがあれば、できる範囲内で

 力になるから」


再び歩き出した菜々美が、気を取り直して

色々な相談を口にすると、

最後にそんな言葉を口にするー。


「ーーあははー…

 なんだか、色々迷惑かけちゃってごめんー。」

綾(翔太)が笑うー。


「ー伊藤さんが居てくれてよかったー

 わたしも、星村さんも、伊藤さんがーー


「ーーーだから!」

突然、菜々美が綾(翔太)の言葉を遮ったー。


心底苛立った菜々美の声に、綾(翔太)は驚くー。


「ーーなんで自分のこと”わたし”って言うの!?

 今は、周りに誰もいないでしょ!?

 ”星村さん”のフリをしなくていいでしょ!?」


感情的にそう言葉を吐き出す菜々美ー。


突然の怒りに、綾(翔太)は戸惑いながらー

「ご、ご、ごめんーでも、わたしー」と、

言いかけて「ぼ、僕ー」と、ようやく元の自分の一人称を口にするー


そんな綾(翔太)の様子に、菜々美は「もういい」と、だけ

言葉を口にすると、そのまま足早に立ち去っていくー。


一人残された綾(翔太)は、

戸惑いの表情を浮かべながら、菜々美の後ろ姿を見つめたー。


㊻へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★3-Cの日常★


「ーーーーーーーー」

腹黒なことばかり考えている”表向き”は優等生な女子生徒・

守屋 智花が、表情を曇らせるー。


生徒会選挙後のいざこざで、翔太(綾)に助けてもらってからも、

やっぱり、腹黒な性格は直らず、今でも心の中では

色々、クラスメイトの文句を言いまくっているー。


「ーーーよろしくー

 あ、”五十嵐先輩”とか、呼ばなくていいからねー?」


留年したことによって、C組の仲間に加わった五十嵐 慎吾の

ほうを見つめる智花ー。


智花は、そんな慎吾の方を見つめながらー

”わたしと、同類のニオイがするんだけどー…”

と、そんなことを心の中で呟くー。


「ーーーーー守屋さん、どうしたの?」

ふと、そんな声が聞こえて、

智花が振り返ると、そこにはクラスメイトの一人、

小柄な報道部部員・岡崎 香奈枝の

姿があったー。


「ーーなんか、化け物を見るような目をしてたけど~?」

笑う香奈枝ー。


そんな香奈枝に対して、智花も少しだけ笑うと、

「ううんーなんでもないーちょっと考え事してただけー」と、

そう誤魔化す言葉を口にしたー。


「あははー一体、どんな考え事してたの~?」

香奈枝のそんな言葉に、智花は愛想笑いを浮かべながら

今一度、慎吾の方を見つめながらー、

少しだけ表情を曇らせたー…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


いよいよ3年生編に突入しました~!☆

最後の1年、どのような結末が待っているのか、

(まだまだ最終回までは時間がかかりますケド…★)

楽しみにしていて下さいネ~!


今日もありがとうございました~!


★関連話★

(こんな話題あったかな?という場合の参考にしてみて下さいネ~!)


智花の生徒会選挙のトラブル⇒第42話

神宮寺邸での話し合い⇒第41話

伊藤 菜々美の過去⇒第37話

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POSTEDApr 26, 2024
ARCHIVEDJun 10, 2026