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ヒーロー変性マンキニシャワー

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 ヒーローシティは文字通り、ヒーロー本部がある都市として世界中に知られている。この世にはびこる様々な悪事に対応すべく、日夜ヒーロー達が研鑽し、また休息をとる場所である。

 そのため、都市自体も要塞化している。都市全体を強固なシールドでかため、セキュリティも万全。ヴィランの侵入は不可能と言われているほどである。

 科学技術の発展にも様々な寄与をしており、人々のために活動している不夜城。決して眠らない都市として、経済的にも重要な拠点だ。


「ヒーロースタンヴァルド、ただいま帰還しました!」


 本部のヒーロー課に所属する虎のヒーロー、スタンヴァルドは凛々しい相貌ではきはきとあいさつを述べた。

 凹凸際立つ筋肉を覆う青いヒーロースーツが特徴の彼は、派遣任務から帰って来たばかりだった。その報告のため、こうして本部を訪れたのである。


 黒いスポーツサングラス越しに見つめているのは彼の上司、スタンヴァルドが所属するヒーロー二課をまとめるリーダーでもあり、自身も凄腕のヒーローとして名高いシャチのオルタナヴィアである。本部のヒーロー課をまとめられる実力と言えば、どれだけすごいかがわかるだろう。

 シャチは虎が送った報告書を眺めながら、にんまりと口角を上げた。体のごつさに全く似合っていない小さな目はかわいらしいと課でも評判だ。暖かく迎え入れられて、サングラスの奥で虎がほっこりと目を細めた。


「よくやったな。敵戦力が想定より強かったようだが、お前なら問題なかったようだ。現場の機動隊もほめていたぞ」

「恐縮です! 危ない場面もありましたが、すべて問題なく処理できたと思っております。こうして無事リーダーの顔が見れて安心しました」

「それ、俺の顔がかわいいって意味で言ってるか?」

「はい! ……あ、いえ、違います! 自分は決して、リーダーの丸っこい頭のフォルムがかわいいと思っているわけではなく……っ!」

「……どうやらスタンヴァルドは元気が有り余っているようだ。この後手合わせしようか。お前がどれくらい強くなったか見せてもらいたいからな」

「お手柔らかにお願いします……」


 下手を打ったと尻尾や髭をしおれさせてスタンヴァルドは自身の軽率さを呪った。判断も返事も早いのが現場での彼の強みなのだが、コミュニケーションという場では短所だ。気を付けていても、今回みたいなうっかりが出てしまう。


 周りの同僚たちもあきれた目で彼らを見ているだけで、どうやら悪をさばいてきたヒーロースタンヴァルド自身に救いはないようだった。


 ヒーローとして先輩であり、凶悪犯罪に立ち向かってきた腕っぷしの強いオルタナヴィア相手にどれだけ立ち回れるのか。おそらくかなり痛めつけられる、それを確信して虎の耳が伏せた。


「……そのあとおごってください」

「しょうがねえな。というか、お前もちゃっかりしてるよ」

「リーダーがそんな無用な鍛錬をするとは思っていないので、どうせそのつもりだったんでしょう?」

「んなわけねえだろ。なんでお前の成功をわざわざ祝わねえといけねえんだよ」


 とか言いながらシャチは小さい目を不機嫌そうに歪めて、尻尾で床を打つ。

 実は報告に来る前に同僚から、今日は飲み会があると事前に聞いていたのだ。その証拠に、二課のヒーローたちは全員早上がりだ。六課まであるヒーロー課によって、この都市には過剰ともいえる戦力がある。そのおかげで全員の早上がりが認められたのだ。


 単独任務は危険が大きい。その解決祝いにと、オルタナヴィアが提案したと虎は聞いている。本来ならまだ日が浅いスタンヴァルドを一人で行かせたくはなかったようだが、他のヒーローとの都合がつかなかったせいだ。

 そのお詫びの意味もあるのだろう。このシャチはなぜかぶっきらぼうにふるまうのだが、面倒見の良さは同じ課の全員が知っていた。


 本部に所属できるくらいにはスタンヴァルドは優秀だ。

 しかし、周りが優秀すぎるせいでかわいい後輩として扱われていることに、この虎はちょっとだけ不満を覚えている。


(おれだって、もう一人前なんだけどなぁ)


 そんなジト目に何を勘違いしたのか、シャチはごまかすように窓の外に視線を移すと、そこには灰色の曇天が広がっていた。


「雨が降りそうだな。おかしいな、天気予報では晴れだったんだが」

「確かにそうですね。この都市はバリアに囲まれていて、中の環境は完全管理されてるのに。都市内部の空調システムに不備でも起こったんですかね」

「かもな。まあそういうのは技術班の仕事だ。俺らは現場解決の祝いに、繰り出すぞ!」

「やっぱり祝いじゃないですか。リーダーってなんでそんな変なところで素直じゃないんですか?」

「……元気が有り余ってるなぁスタンヴァルド? その減らず口を叩けないようにしてやるから、そのあと飲めばいい。ついでに脳みそもアルコールで消毒できるな」

「あー……まーた余計なことを言ってしまった」


 周りでは、同僚がすでに待ち構えている。どうやらシャチと虎のじゃれあいを見るために仕事を切り上げてきたようだ。そのあとに飲み会があるとくれば、余興のつもりということだろう。

 現場では頼れるヒーロースタンヴァルドも、こうなってしまえばただの新米に逆戻りだ。人々から希望の星として祭り上げられていても、二課ではまだ若輩なのだから。

 

 ヒーロー都市ではヒーロースーツ自体が一種の身分証明書だ。オルタナヴィアも白いラインが走る赤いスーツに身を包んでおり、あたりのヒーローもすべてスーツ姿だ。彼らにとってスーツは制服であり、科学技術の粋を集めて作られた兵器は、選ばれた人にしか着用を許されない憧れである。

 彼らはこれに身を包むことによって、あらゆる能力が使えるようになる。人知を超えた怪力に脚力、果てにはオペレーターの補助さえあれば分析機能すら持ち得ている。人体という神秘を最高に高める技術によって、ヒーローは世界最強の名を冠することができた。


 兵器による戦いの行きつくところは、結局人力だった。どれだけ硬く強い機械だろうと、ヒーローからすれば紙よりもたやすく破れてしまうのだから。


 ゆえに、彼らはその制服に恥じぬ活動を求められる。

 彼らがこのヒーロースーツを脱いだ時はすなわち、ヒーローをやめるときだろう。

 もっとも、そんなことは万に一つも起こりえない。彼らは死ぬときでさえ、ヒーローであり続けると誓ったのだから。


****


「マンキニ❤❤❤マンキニ❤❤マンキニさいっこおぉおぉぉ❤❤❤マンキニヒーローちんぽいぐいぐうぅうぅ❤❤❤俺はヒーローを辞め❤❤❤新たにマンキニヒーローオルタナヴィアとして❤❤再スタート射精んほおおぉおぉぉ❤❤❤」

「マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニぃいぃ❤❤❤そしてヒーロースタンヴァルド❤❤❤これよりマンキニヒーロースタンヴァルドとして❤❤マンキニ射精のすばらしさを世界に広めていきます❤❤マンキニ❤マンキニ❤❤んぅうぅぅいぐいぐうぅうぅうぅぅ❤❤❤❤」


 画面の中で、巨体二人が雨の中で踊っていた。

 Vの字にしか布面積がない衣装を身につけ、鍛え上げた肉体を誇示している。


 だが、その方法は誰が見ても狂っているとしか言いようがない方法だった。

 がに股になった彼らは鼠径部に手の側面を当て、マンキニという奇怪な叫び声と共に股間から一気に引き上げる。これを繰り返しながら、ヒーローたちは射精し続けた。


「マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニシャちんぽたまらん❤❤ああ、すっげぇ❤❤洗脳❤洗脳だこれぇ❤❤んでもぉ❤マンキニ射精気持ち良すぎて逆らえんん❤❤❤脳みそが洗われるううぅうぅ~~~~❤❤だべぇ❤❤❤マンキニ❤マンキニ❤もっとマンキニ射精してぇええぇ~~❤❤❤❤」


 黒と白の体にスーツと同じ赤のマンキニ。ヒーローオルタナヴィアは巌のような体で永遠にマンキニを繰り返す。

 スリットから伸びる巨根はマンキニからはみ出しており、幾度もの射精で白く汚れ切っていた。それでもなお、シャチの一物からは真っ白な精液が吐き出されている。それだけでも、彼が感じる快楽が尋常ではないのがわかる。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニちんぽ最高❤ヒーロースタンヴァルド❤マンキニ射精に完全敗北して❤マンキニヒーローに生まれ変わりました❤❤この射精を❤世界中に❤届けたい❤これがおれの正義だぁあぁ~~❤んぎもぢいいいぃいぃぃ❤❤❤❤」


 黄色い体に青いマンキニを着た虎は、オルタナヴィアに負けないくらいごつい体で嬉々としてマンキニを繰り返す。

 でれでれに緩んだ顔を真っ赤にして、ずれたサングラスの隙間から崩れた笑みが見える。だが、そんな表情と対比して、がに股になった足腰は筋肉が盛り上がってパンパンに膨れ上がっていた。普段からの鍛錬が、彼らをより無様なマンキニヒーローに仕立て上げていた。


「マンキニ❤❤マンキニ❤❤リーダー❤さっきの鍛錬では不覚を取りましたが❤マンキニなら負けませんよ❤❤見てくださいおれのマンキニ❤❤マンキニ❤❤きれっきれでさいっこぉじゃないですか❤❤❤❤」

「なにをぅ若造がよぉ❤❤んなのはなぁ、俺みたいに現場をたくさん経験してから言いやがれ❤❤見ろ❤この俺のマンキニ❤❤ぶっとい手足でするマンキニが❤さいっこぉに無様だろお?❤❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤」


 先ほどまでよきヒーローであった彼らはその面影をすべてなくし、向かい合ってマンキニポーズを披露しあった。

 体格の違いはあれど、どちらも筋骨隆々な雄である。まるで鏡合わせのように、完璧なタイミングでポージングを繰り広げていく。


 下卑た笑顔で胸を張るオルタナヴィアは筋肉で膨らんだ胸を激しく揺らし、マンキニのひもが左右にずらしていく。むちっと食い込んだ紐からあふれんばかりのおっぱいを見て、スタンヴァルドが舌なめずりをした。


「んっふうぅぅ❤❤リーダーの雄臭マンキニ姿やっばぁ❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤さすがリーダー❤❤❤マンキニおっぱいがたまんねぇですぅ❤❤あ、ああぁ❤❤やっぱりおれではまだ勝てないのかぁ❤❤❤」

「そういうお前も❤っほおぉん❤❤鍛え上げたいい体じゃねえか❤❤マンキニ姿がすごく映えてるぞ❤❤本部のヒーローにふさわしいマンキニ姿だ!❤❤」

「ありがとうございます!❤❤マンキニ❤マンキニ❤日頃の鍛錬もすべて❤立派なマンキニヒーローになるため❤❤これからも、精進していきますから❤❤いろいろ教えてくださいリーダー!❤❤」


 美しい師弟関係をマンキニポージングで確認しあい、二人は耽溺していく。

 もはやしゃべる時間ももったいないとばかりに、口から出るのは「マンキニ」ただ一つ。汗ばんだ巨体が必死に無様な格好を誇示して、快楽をむさぼっていた。


『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 そして、マンキニに取りつかれたのは彼ら二人だけではない。

 周りには屈強な雄たちが何人もマンキニで射精を繰り広げている。それらすべて、スタンヴァルドの祝いにやってきた二課のヒーローたちだった。


『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 雨の中行われる、マンキニコールの大合唱。筋肉を隆起させてマンキニポーズを続けるむくつけき雄たち。誰もが鍛え上げた雄の極致のような体をもつが、変態射精には逆らえない。むしろ、筋肉があればこそ長時間マンキニができてしまう。

 彼らはすべて、シャチのようにマンキニがすべてという価値観へと変わっている。変態射精にいそしむ上官を止めるどころか、尊敬すらして真似するのだ。


『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 オルタナヴィアの周囲は密林がごとくの肉密度で、汗とザーメンにまみれた雄の距離が近い。もはや性癖すらねじ曲がった彼らは互いの変態筋肉をおかずに、より一層のマンキニ射精に邁進する始末だった。


「お前らぁ❤❤❤あそこにカメラがある❤きっと司令も見ているはずだ❤飲み会は中止して、これからマンキニヒーローへの転向届を射精で示すぞ❤❤❤❤」

『了解しましたリーダー❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 この異常事態において、ヒーロー本部の司令室が気づいていないわけがない。

 オルタナヴィアはこれが異常だと理解したうえでマンキニヒーローとして突き進む決意を固めた。たった数分の間で、マンキニは彼にとってそれだけのウエイトを占めるにいたったのだ。


 リーターであるシャチを中心に横に広がるヒーローたち。全員が屈強でたくましく、まさに出来上がるのは肉の壁だ。肉壁は色とりどりのマンキニから無様な勃起をカメラに見せつけ、卑猥なポーズを行った。


『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 一糸乱れぬ統率力で、寸分のぶれもない綺麗なマンキニポージング。ヒーローとして活動していた頃でさえ、ここまでのシンクロはなかった。

 ――――そう『画面の向こう』にいる者は思った。


 濡れた体でマンキニを続けるヒーローたち。

 その一人、シャチの隣にいる虎のちんぽから白濁がびゅるっと漏れて、鉄筋のような太ももが大きく震えた。


「マンキニ❤❤――っほおぉ❤❤」

「スタンヴァルド❤てめえ気を抜くんじゃねえ❤❤司令が見てんだぞ❤❤きばってマンキニしやがれ❤❤❤」

「はっ!❤失礼しました!❤若輩ちんぽがマンキニで気持ちよくなってしまいました❤❤」

「マンキニが気持ちいいのは当然なんだよ❤❤だからこそ、こうやって司令にお伺いをたてるんだ❤❤おれらをマンキニヒーローとして認めてくださいってな❤❤おらっいくぞお前ら❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤」

『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』

「ちんぽきばれよてめえら❤❤射精はまだだぞ❤❤マンキニ射精することしか頭にない変態ヒーローでも❤タイミングってもんがある❤❤まずは金玉ぱんぱんにする運動からだ❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニポーズが脳にきくぅ❤❤」

『はいっリーダー❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニポーズが脳に効きます❤❤』

「馬鹿っ❤そこまで真似しなくていい❤❤」


 狂っている。それが、画面の向こうでの感想だった。

 大の男、それもヒーローとして活動してきた屈強な猛者たちが、マンキニで気持ちよくなって射精するだけでも不可解なのに、それを大真面目に認めてもらおうとしている。

 異質であるという認識を持ったうえでの行動。彼らはもう壊れてしまっていた。


 オルタナヴィアは数々の難事件に出向し、解決に導いてきた敏腕だ。そんな彼でさえ、抵抗らしい抵抗もできずに変態へと洗脳された。

 今では鼻の穴を広げた好色な顔で、股間を見せびらかす変質者へと落ちている。


 どうしてこうなった。雨が降ってから幾度となく発した問いを、画面を見つめる『彼』は繰り返していた。


 そんな絶望など届くわけもなく、でかく頼りがいのあったシャチは汁で輝く体を見せつけながら叫んだ。どう見ても変質者でしかありえない格好を誇らしげに、これこそがヒーローだと胸を張って。

 変態は言う。


「司令❤❤マンキニ❤マンキニ❤我らヒーロー本部二課のヒーロー一同は❤ただいまをもちまして❤マンキニヒーローへと転職いたします❤❤」

『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』

「見てください❤この素晴らしいマンキニ姿を❤これこそが新しいヒーローの形❤鍛えた体を見せびらかすマンキニ❤正義を貫く意志を示すがちがち勃起ちんぽ❤セックスよりずっと気持ちがいいポージング❤❤これ以上ヒーローにふさわしい衣装はありません❤❤」

『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』

「どうか司令も俺らと一緒にマンキニヒーローになりましょう❤❤世界を守るためにも❤司令のような素晴らしいヒーローにはマンキニがふさわしい!❤❤……そうだろお前らぁ!❤❤」

『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤――――その通りですリーダー❤❤我らの司令にはマンキニがふさわしい❤❤いや、マンキニ以外ありえません❤❤』

「マンキニ❤マンキニ❤司令も一度味わえばわかります❤❤この素晴らしさを知ってしまえば❤正義はこのためにあったのだと理解できます❤❤この俺のようにっ❤❤❤マンキニィイィイィィ❤❤❤❤❤」


 オルタナヴィアは力強く引き上げた手を肩の上まで伸ばし、マンキニの肩ひもを引っ張ることで自身の股間にきつく食い込ませた。おかげでスリットにめりこむマンキニがちんぽを直角にする光景が鮮明に映る。

 これを見せつけることで、説得できる。そんな妄想を信じた狂人のたわごとが止まらない。


「おおうぅうぅうぅぅう~~~~❤❤❤❤マンキニくるうぅうぅ❤❤見てください司令❤俺のマンキニちんぽ❤」


 くいっくいっと腰を突き出して、先走りをまき散らす。体格に見合った立派なちんぽが、根元をマンキニで押さえつけられて震えていた。


「司令は昔、俺がヒーローに向いているとほめてくださったことを覚えていますか❤❤あの時の言葉を胸に研さんを積み❤こぉんな立派な勃起ちんぽマンキニヒーローになりました❤❤今の俺があるのは司令のおかげです❤」


 ちんぽのでかさなどヒーローには全く関係ない。そんな常識すら雨に洗い流され、オルタナヴィア一同は腰を誇らしげに突き出すのだった。

 経験を積んだものも、新進気鋭と言われたスタンヴァルドも。いきり立った股間を見せることに何も羞恥を感じていないようだ。


「ですので司令も❤ああっ❤早く司令もマンキニヒーローになりましょう❤❤世界のために❤世界はマンキニヒーローを求めているのです❤❤❤今、俺が変態化の先輩としてお手本を見せします❤❤これを見ればきっと、司令もマンキニヒーローになりたくなるはずです❤❤」


 やがてシャチが肩ひもを離すと、ばちんと小気味良い音がする。

 準備が整った。そう言わんばかりに掌を股間にあてがう。


「っしゃぁお前ら、金玉の準備はできたかぁ?!❤❤❤」

『はいリーダー❤二課のヒーロー一同❤いつでもマンキニ射精できます❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』

「マンキニヒーロー二課の初合同マンキニだ❤❤真っ先に無様洗脳されたヒーローとして、みっともねえ真似さらすんじゃねえぞっ❤❤❤❤」

『かしこまりました❤マンキニ❤マンキニ❤』

「……すぅ、一同、構えっ❤❤❤」


 筋肉で覆われた腹から高らかな宣言が響く。悪を前にしても決してくじけなかったオルタナヴィアの咆哮が、淫蕩にねじくれまがって曇天にとんだ。


 ヒーローたちが深々と腰を下ろし、掌を固定する。常人であればきつい自重も、たくましいヒーローにとっては苦にもならない。むき出しの太ももは筋肉で膨らんでおり、雫が流れて凹凸を描く。

 誰もかれもが真剣な顔でカメラを、否、『画面の向こう』を見ている。そこにいるであろう人に向かって最高のマンキニを届けるため、彼らはちんぽをひくつかせた。


 先ほどから射精し続けたちんぽはいまだ硬く。血管を張り詰めて破裂寸前のようだ。あとほんの少しの刺激で、彼らは射精するだろう。


 そして、そのほんの少しの刺激を与える号令を、オルタナヴィアは叫んだ。


「――――――マンキニっ❤❤❤❤❤」

『マンキニっ!!❤❤❤❤』

 

 示し合わせたかのような狂いのないタイミングで、全員の手がVを描く。

 それは一瞬のことで、気づいた時には掌が腰少し上で止まっている。ちんぽに触れてもおらず、快楽という単語とは無縁の行為にしか見えない。


 だがすぐ後で、むしろ動作の終了と同時に。


 ――――全員が射精した。


「おぅんっほおぉおぉおぉぉおぉぉぉぉぉ~~~~~~❤❤❤❤マンキニ射精きたああああぁ~~~~❤❤❤❤」

 

 先ほどまでの真剣な顔は何だったのかと疑いたくなるほど、崩れた顔でシャチがのけぞった。巨根からは真っ白で太いザーメンがびゅるびゅる噴きあがり、雨にぶつかりながら頭上すら超えていく。

 あまりの快楽に足腰が震えているが、気合と尻尾だけで支えているようだ。よく見れば、スリットからはじけた潮がマンキニを飛び越しているのがわかる。


「んぎもぢいぃ❤ぎもぢいいぃいぃいぃいぃぃぃぃぃ~~~~❤❤❤❤マンキニ射精最高❤マンキニ最高っ❤マンキニこそが正義いいぃいぃ❤❤❤❤」


 度を越した快楽にアヘ顔を決め、いかつかったシャチは眼球をひっくり返す。カメラを見ることもできず、ただ終わらない射精に腰を揺らすだけ。


 シャチの後ろに控えるヒーローたちも似たようなもので、全員が無様なアヘオホ顔で射精の快楽に酔っていた。どれだけ性機能が亢進すればこれだけの大量射精ができるのか。無様極まりないヒーローたちだが、人生で最高の快楽を味わっているのは間違いなかった。


 そんな中でも真っ先にマンキニポーズを構えるオルタナヴィアは、やはりリーダーとして胆力に満ちた雄だ。おもらしを続けるちんぽ付近に手を置き、また部下たちを叱咤する。


「いぃ、いっぎに畳みかけろぉ❤❤マンキニヒーローに洗脳された俺たちをぉっほぉ❤司令にしっかりと見てもらうんだぁあぁ~❤❤マンキニ❤マンキニ゛ぃぃ❤❤❤」

『かじごまりまじだぁ❤❤マンキニぃ❤おっほ❤❤マン゛キニっ❤❤マンキニぃぃ~❤❤』


 もはや射精中ということもあり、さっきまであった規律正しい動きはてんでバラバラだ。シャチ自身も快楽に浸り、よだれをすする余裕さえない。

 それでも、後ろに目でもあるかのようにオルタナヴィアは部下の不備を見逃さない。


「スタンヴァルドぉ❤❤てめえ、なんで手を止めてやがる❤❤ヒーローはコンビネーションも大事だってぇ❤いつも言ってんだろがぁ❤❤❤」

「はっ!❤その通りですリーダー❤❤しかし、今っ手を動かすと❤軟弱ちんぽがお漏らしてしまいます❤❤❤」

「馬鹿野郎っ!!❤❤漏らすためにやってんじゃねえか❤❤マンキニヒーローはちんぽからザーメン出してなんぼだろっ!❤❤洗脳されたくせに、んなこともわかんねえのかっ❤❤❤」

「し、しかしっ❤自分だけ先輩方とタイミングが合わないなどっ❤司令に情けないところをお見せするわけにはいきませんっ❤❤おれの恥は二課の恥だって、いつも言ってたじゃないですか❤❤」

「――――ばーか❤❤」


 ずっと前を向き変態な己を貫いてきたオルタナヴィアが、首を曲げた。ヒーローとして司令に訴えることよりも、部下に笑いかけることを選んだのだ。


 口調こそぶっきらぼうだが根がやさしいことを、『画面を見ている彼』は知っている。部下にも慕われ、現場でも慕われ、まさにヒーローに向いているといったのは他ならぬ『彼』だから。

 顔を背けたせいでカメラには映っていないが、その表情が昔のようにしょうがないなと笑っているものであるなんて――――見なくても『彼』にはわかった。


 続いて発せられた言葉がどんなに狂っていて、どんなに意味不明であったとしても。

 あのシャチは、ヒーローオルタナヴィアなのだ。


「確かに言ったが、同時にこうも言ったよなぁ❤困ったときは先輩を頼れって❤❤だろスタンヴァルド❤❤」

「は、はい……❤❤」

「お前らぁ❤❤」腹の底から、シャチが叫ぶ。「俺らのかわいい弟分がもうすぐにでも射精しちまいそうだ❤❤お前らなら合わせられるよなぁ?❤洗脳されて射精することしか考えられなくなった頭なら❤朝飯前だ❤そうだろ?❤❤」

『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤その通りですリーダー❤マンキニヒーローちんぽは、すでにザーメン発射準備を完了済みです❤❤❤いつでもいけますっ!❤❤』

「いい返事だっ!❤いくぞぅ❤胸を張ってマンキニっ❤ちんぽを見せつけてマンキニっ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニヒーロー見参っ❤❤❤」

『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 彼らは理解不能なポージングを繰り返す。まるで壊れた機械のように。

 そのポーズにどんな必要性があるのか、それは彼らにしかわからない。誇らしげにする意味も、快楽を感じる理由も、『彼』にはわからない。


「マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤いいぃ~ぐ❤いぐいぐいっぐうぅ❤マンキニしながらまた射精するぅ❤お前ら準備はいいかぁ?❤❤」

『はっ❤マンキニヒーロー二課❤射精に問題ありません❤❤❤』

「スタンヴァルドもいいか?❤❤」

「はいっ❤お手数おかけじまじたぁ❤❤でも、もう、ちんぽ限界ぃいぃ~~❤❤」

「たく、かわいいデカちんぽびくびくさせやがって❤これが終わったらまた鍛え直してやる❤❤おーし❤たまった分だけ気持ちよくぶっぱなそうなぁ❤おっほ❤マンキニちんぽ❤発射準備ぃ~❤❤」

『了解っ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 動きだけはきれがあり統率もあるくせに、顔は全員がとろけて同じものなど一つもない。ヒーローにあるまじき顔でVを描き続ける、敗北者のなれの果て。汗水たらしていても疲労など全く見えず、ただ快楽を求めて動くだけ。


 むき出しの肌や毛皮から浮かぶ筋肉の雄々しさを見せつけて。

 怒張して血管を浮かべるいきり立ったちんぽを見せつけて。

 ヒーロースーツを変形させたマンキニを誇らしげに見せつけて。


 ――――彼らはまた射精した。


『マンキニぃ~~~~❤❤❤❤❤❤❤』


****


「……何が、起こっているんだ」


 本部にある司令室で一部始終を見ていた『彼』こと、司令官ヒーローアガラリオラはかすれた喉を震わせた。

 乾いて張り付いた舌を何とかはがしたところで、出せたのは呆然とした声だけ。そしてそれはこの場にいる全員の代弁に他ならなかった。


 本当に突然だった。予定にはない雨が降ったかと思えば、人々が、とりわけヒーローたちが狂ってしまった。先ほどのように変態的な格好をして、股間を見せつける狂人へと変わり果ててしまったのだ。


 前線から退いたとはいえ、強靭な肉体を誇る竜。赤い鱗にアイボリーの内皮を筋肉の起伏が強い肉体で誇示する彼こそ、このヒーロー本部を束ねる頂点である。首から下を黒いスーツで覆い、凹凸を走るラインは彼の鱗と同じ赤い色。

 オルタナヴィアより年は取っているのだが、種族柄と屈強な肉体も相まって、彼の実年齢を初見で当てるのは困難だろう。実際は経験豊富な大ベテランである。

 そんな赤い竜の英雄は画面越しにかつての教え子と顔を合わせ、そして、現状の理解不能さに頭を抱えてしまう。


 ヒーローシティは鉄壁だ。すぐさまアガラリオラが確認をとっても、外部からの不審な侵入やハッキングなどは見当たらない。出てきた痕跡はすべて内部からのものだ。平和の象徴の中で悪事を働かれるなど、あってはならないことだった。


『マンキニ❤❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤』


 画面から響く敗北した二課の合唱が、彼をさいなむ。新人だった頃から面倒を見ていたオルタナヴィアの変わり果てた姿に、胸を痛めずにはいられなかった。

 

 だが、そんな弱音を吐くほど、彼はもろくはない。すぐさま切り替えて、司令室に集まったオペレーターたちに指示を飛ばした。


「『雨』の解析結果は出たか?」

「はい。技術開発研究所の所長によると、これは情報の集合体とのことです」

「情報?」

「詳しくは自分にも……。ただ、甘いものを食べれば甘いと認識するように、あれは人々にそういう認識をさせる情報源だそうです」

「……そうか」


 説明を聞いてもいまいちぴんとこなかったが、そういうものだと理解するしかない。現に、オルタナヴィア含め二課のヒーローたちはその情報によって狂わされたのだから。


 彼らがおかしくなった原因について、ヒーロー本部は『雨』だけではなく様々な要因を考えた。むしろ、当初は雨などというものが洗脳に関与しているとは誰も想像だにしていなかったのだ。

 だが、現場の状況などを加味してみれば、どういうことか、あり得る可能性は『雨』しか残っていなかった。そして今、ヒーローたちを支えるヒーロー技術開発研究所からその裏付けの意見がでてしまった。


「やはりあれを浴びることは相当のリスクがあると考えることに変わりない。対処法についての意見はあるか?」

「……いえ、新技術のためまだ解明が進んでいないようです。ひとまず、既存の対応で様子見するしかないと、コメントを頂いています」

「だろうな……。何かわかったことがあれば速やかに情報共有を行え。これ以上犠牲を出してはならん。他のヒーローたちは持ち場についたか?」

「はい。一課、三課のヒーローたちは天候管理場への突入準備を済ませ、合図待ちです。四課と五課は都市に仕掛けられたハッキング元の調査を。六課は不測の事態に備えてここ本部で待機してます」

「よし。確認だが、この『雨』は天候管理場から出ているもので間違いないのだな?」

「はい。ドローンによる調査の結果、『雨』を降らせる雲は間違いなく天候管理場から出ています。ただ、天候管理場との通信はつながらず、監視カメラの映像を受信できておりません。中の状況は全くの不明です。また、通信状態からジャミングによる妨害があると考えられます」

「わかった。……聞こえたなジャラード。突入するとこちらからの援護は受けられなくなる。今のうちに聞きたいことがあるなら聞いてくれ」


 赤い竜の通信に応えたのは、低く落ち着いた声だった。


『特にはない。この『雨』によって戦力を削られたとはいえ、三課のヒーローを回してくれているおかげで戦力は潤沢だ。すぐさま制圧してみせる。お前は二課や、街のことを心配してやれ』

「簡単に言ってくれる。ただまあ、気は楽になったさ」


 画面に映し出されたのは純白のヒーロースーツを着た男。その顔をガスマスクで覆っているため一見しただけでは種族がわかることはないが、長いマズルと尻尾、それにシカのような角から龍であるとあたりをつけることができるだろう。

 ヒーロージャラードは自身の深い青のすべてをスーツで覆い、完全防護体制で事件に臨んでいた。


『ふん。何がマンキニだ。下種な真似でヒーローをこけにしおって。犯人が誰かはわからんが、見つけ次第張り倒してくれる』

「犯人がいるのかはわからんが、交戦になる確率は高い。注意してくれ。お前の腕は疑っていないが、今回は三課の指揮権も渡してある。焦って失敗するなよ」

『誰に言っているんだ?』

「お前だよ、お前」


 ヒーローの中でも古株であり、司令のアガラリオラと同期でもあるジャラードは経験と腕前を買われて本部のヒーロー一課のトップを任せられている。司令と軽口を交わせる数少ないヒーローということでもあり、アガラリオラの顔から少し緊張感が取れていた。

 

「現状の対策は完全に後手に回っている。有効な対策が見つからない以上、突入した中に雨雲が充満していたらお前もすぐああなるんだぞ」

『問題ない。経皮吸収の可能性も考えて、ガスマスクに加え、スーツで皮膚すべてを覆っているんだ。これでだめなら、どのみち本部の装備では対応不可。どこにも逃げ場などないことになる。つまり、お前もああなるってことだ』

「……ごめんだな」

『私もだ』


 軽口を言い合っているが、追い詰められているということを二人とも理解している。

 どの課もこの『雨』によって戦力を削られ、三課のリーダーも外にいたためマンキニヒーローに洗脳されている。画面を切り替えれば、一人マンキニに耽溺する白虎の姿が見えることだろう。


 今の戦力は最大より四割削られている。それだけのヒーローが、すでに洗脳されているのだ。

 だからこそ、ジャラードや無事なリーダーの元で部隊を再編成し、任務に当たらせた。敵の規模すら把握できていない中、これが多いのかすらアガラリオラには判断できない。手探りの中、経験を頼りに最善と思われることを何とかやってのけた。


『たとえ私が失敗しても、情報だけは何としても送る。そこから打開してくれ。お前も、そのために六課を温存してあるのだろ?』

「これが陽動の可能性も捨てられないからな。この洗脳ですべて処理するつもりなのか、それともただの目くらましで、本命がどこかにあるのか。それすらも今の我らにはわからない」

『しかもご丁寧にハッキング元は都市内だと分かるようになっている。どう考えても誘われているな』


 『雨』の投下と同時に、ヒーロー本部にサイバー攻撃が仕掛けられた。それは大した精度ではなく、技術オペレーターたちによって事なきを得た。『雨』という新技術に比べれば、お粗末ともいえる練度である。

 本部ではこれを時間稼ぎ、つまり、『雨』の分析を遅らせるためであると判断した。場所の割り出しにもあっさり成功したこともあり、現場では罠であるという意見が強い。


「それでも、現場に行くしかないんだ。我らには選択肢がない。マンキニなんてふざけた洗脳も考えれば、愉快犯である可能性もある。そういうやからは、わざと現場に証拠を残すことが多い」

『ゲーム感覚でヒーローを試すヴィランの例を挙げれば枚挙にいとまがないからな。その挑戦に乗ってやろうではないか。だから今は情報がいる。任せておけ。何があっても、お前の役に立ってみせるさ』

「それでも俺はこう言うぞ。……絶対無事に帰ってこいよ、ジャラード」

『言われなくてもそのつもりだ。そもそもヒーローとは事件現場に突入することがほとんど、事後にしか現れない正義の味方なのだ。だから、こんなことはいつも通り。肩の力を抜いておけ、眉間にしわが寄ってるぞ。司令の顔が険しいと下が不安になる』

「……わかっているつもりなんだがな。どうにも俺は顔に出やすいんだ」

『それがお前のいいところでもある。人の好さが顔からにじみだしているからな。だからこそみんなお前を司令として認めている』

「お前もか?」

『…………今更なことを言わせるな。情報の追加がないなら切るぞ。これでも死地に行く身なので忙しいんだ』

「ああ、健闘を祈る」

『まあ……お前以外の司令など、私には考えられない。それだけだ』


 あまり素直ではないジャラードがぶっきらぼうに通信を閉じれば、竜は深いため息をつく。現場に行けないもどかしさが、この竜を不安にさせてしかたがないのだ。

 指揮にも慣れたつもりだったのだが、やはり、こういう時は前線を見たい。素早い情報こそ、今最も求められているものだからだ。すべてを守るためにも、彼はできる限りのことを行いたかった。

 

「……信じるしかできないというもの、もどかしいものだな」


 気楽に動ける身分でない焦燥を言葉一つで呑み込んで、顔を上げる。

 前を見据える眼光はいつものように鋭く、本部を支える大黒柱として立つ頼もしい司令官であった。


「洗脳されたと思われる二課、およびその他ヒーローたちのスーツ権限の一時停止は終わったか?」

「はい。そちらは第二司令室が担当しております。これで彼らは本部などへの移動や、スーツによる身体能力強化の恩恵を受けられません。もっとも、そのせいでマンキニ状態からの変形も不可能になりましたが……」


 六課まであるヒーローたちを援護するために、本部では第三までの司令室を設置している。もしものために全員出動しても手を回せるようにしていたのだが、そんなときなど来てほしくなかったと、竜は沈鬱なため息をはいた。


「まさかスーツの変形機能をこんな風に使われるとは、誰も思わなかっただろうな。こればかりはしょうがない。情報漏洩に配慮して、第二司令室は彼らの情報は監視しておいてくれ。本来なら救助したいところなのだが、今は人手が足りないうえにこの『雨』の中に繰り出すリスクがある。不審者の接触などあれば、直ちに報告するように、聞こえているな第二司令室」

『かしこまりました。不審者の情報が浮かび次第、ご連絡いたします』

「それと、四課、五課の任務遂行経過はどうだ?」

「今のところ空振りばかりです」答えたのは同じ部屋のオペレーターだ。「罠でもなく、ただがらんどうになった部屋があるばかりで、めぼしいものは何も見つかっておりません。『雨』に当たらないように細心の注意を払っているおかげか、特に洗脳の予兆もありません」


 そもそもここはヒーロー本部を擁する最先端都市。建物への移動は地下通路なども完備されているため、危険がわかってさえいれば対処はたやすいのだ。


「はあ。やはり、ただの陽動か。それにしては、どこにも動きがないのもおかしい話なのだが……。念のため、第三司令室に都市中の防衛機構に異変がないか定期的に確認するように指示を出しておいてくれ。些細なことでもいい、一瞬の判断ミスが致命的になることを忘れないように」

「はっ! ……それと司令、六課のリーダーオーダーハントから通信要請がかかってきております。対応しますか?」

「わかった。こちらで出よう……アガラリオラだ」

『司令っ! なにとぞ、自分にも出撃許可をっ!』


 単刀直入というにはあまりに前のめりな発言に、アガラリオラは一瞬虚を突かれてしまった。言葉の隙間を縫うように、オーダーハントは畳みかける。


『二課が壊滅し、三課のリーダーが戦闘不能になった今、自分を遊ばせておく必要なんてありません! おれらだってやれます! だから、現場に行かせてください!』

「やる気があるのはいいことだが、お前らにはお前らにしかできない仕事がある。耐えるのもヒーローの務めだと教えたはずだ、オーダーハント」

『ですが……っ!』


 アガラリオラの脳裏には、血気盛んに吠える狼の姿がありありと浮かんでいた。

 青が混じるきれいな灰色にきりりとした相貌は黙ってさえいればクール系の美形なのだが、ひとたび口を開けばこれだ。やる気と熱意だけで構成されているとはジャラードの評だが、この竜もおおむね同意している。

 リーダーの中では最年少であり、少し先急ぐ癖がある。慎重な対応が求められる現環境にそぐわないと判断され、そのため待機に選ばれたことに本人は気づいていないようだった。


『ジャラードさんやマスキュリオンさんも頑張っているのに、自分だけここで見ているだなんてできません! おれらはヒーローです! 困っている人がいるなら、いち早く駆け付けるべきです!』


 マスキュリオンは五課のリーダーだ。アガラリオラは任務を逆にしたほうがよかったのではないかといったん思考し、すぐさま棄却した。オーダーハントだけではなく、六課は新設されたばかりの課ということもあり、全員がリーダーに似てせわしない。慎重な対応が求められる現場では相性が悪いだろう。


「オーダーハント。私がなぜおまえを残しているのかわかるか?」

『……不測の事態に備えてかと。敵の目的が不明瞭ですから、ヒーロー全員が出動してもし何かあれば、本部は機能停止に追い込まれます』

「そこまでわかっていてもなお、おれの言葉が必要か?」

『それでも……自分はじっとなんてしていられませんっ!』

「お前は優秀だ。だからわかるだろう。今焦ったヒーローを現場投入することのリスクを」

『…………っ』


 本来なら、ここは叱るべきところだと理解している。だが、アガラリオラはこのヒーローには甘かった。


「手柄を立てたい気持ちも、誰かを助けたいという気持ちも、痛いほどよくわかる。おれも通った道だからな。ジャラードに聞いてみるといい、昔のおれも、お前と似たようなやんちゃだったよ」

『司令も、ですか?』

「意外か? 誰にだって若いときはあるんだぞ。だから焦るなオーダーハント。おれがお前を必要としないことなど、絶対にない。それが今回でなくとも、だ。必要だからこそ六課が作られたんだ。お前は、自分にできることをしっかりと考えて待っていろ。大事な時に役に立たないことほど、情けないことはないぞ」

『かしこまりました。……少し頭が冷えました。こんな忙しいときに、お手数おかけしてすいません』

「構わん。言っただろ? 似た者同士だと。実際おれも許されれば現場に突撃したいくらいだからな」

『ははっ、じゃあお互い様ですね。そんなことを聞いちゃうと、現場に出せなんてわがまま言えないじゃないですか。それでは六課は待機を継続。何かあれば、すぐに出動できるよう準備しておきます』

「頼んだぞ」


 通信を切った竜は大きくため息を吐く。気持ちがわかるがゆえに、オーダーハントの焦燥が痛いほど伝わってくるのだ。

 それだけひっ迫した事態ということだ。アガラリオラは床を尻尾で打ち据え、気合を入れなおした。これ以上、不安を感染させてはならない。


『大変だなぁ司令も。あいつは待てができない犬だから、とどめておくにも骨が折れる』

「マスキュリオンか。通信が開いているとは思わなかった」

『緊急回線だよ。いいだろ、実際やべえんだから。一応オペレーターには許可を取ってあるから𠮟責はなしにしてくれよ?』

「どうやらおれは司令として相当舐められているようだ」

『冗談。あんたを馬鹿にするやつがいたら俺がぶっ飛ばしてやるよ。がーっはっはっはっ!』


 真っ赤なスーツを筋肉で押し上げたガスマスクのヒーローが笑っているようだが、通信画面では表情が読めない。それでも、この豪快な黒獅子なら本当に笑っているだろうというのは容易に想像がついた。


 五課のリーダーマスキュリオン。尊敬するヒーローにアガラリオラの名を上げながらも、傲岸不遜な態度を崩さない堂々とした男だ。

 オルタナヴィアと違い、赤いスーツに黒いラインが肉体の起伏を強めている。そんな彼はつまらなさそうに掌を振った。


『目標ポイントのすべてを四課との合同で調査を終えた。今は五課全員の集合を確認。洗脳の予兆もなしで、誰一人欠けてねえ。そして調査結果は聞いての通りなんもなし。どうする司令? こちらもジャラードさんに合流するか、犬のように待機するか』

「街の様子はどうだった?」

『あー……そっちはやばかったな。この『雨』のせいで洗脳されちまってて、俺らが出歩いてても、どうしてマンキニじゃないんだろう、なんてひそひそしてやがる。一応無事な奴は家に避難しておくように指示は出しておいたが、この調子じゃ民意が牙をむきそうだ』

「そうか、そんな中活動ご苦労だった。それなら洗脳されたヒーローの回収をお願いしたい。ジャラードが成功し『雨』さえ止めば、彼らを治療しておきたいんだ」

『了解。最悪オルタナヴィアたちを抱え込んで情報を抜くことが目的かもしれねえからな。こっちでも注意しとく』

「頼んだ。彼らの位置情報に関しては、オペレーターに頼んで常時更新しておく。もし他に不測の事態あれば――」

『わーってるよ。すぐさまそちらを優先。結局のところ、俺らは現場待機ってわけだ』

「全くお前は。指示くらいちゃんと最後まで聞いてくれ。四課も同様だ。クロックパンプ、安全な場所で待機し、何かあればすぐ連絡するように」

『かしこまりました』


 続いて画面に現れたのは巨大な青いスーツの男。ガスマスクの形から、長く平べったい口を持っていることがわかる。


『四課リーダークロックパンプ。司令の指示を確認。これより待機にはいります。ご入用の際はすぐさまご連絡を』

「ちなみに、そっちでは変わったことがあったか?」

『特には。すべての報告はオペレーターにあげております。それ以上のことはございません。任務中に洗脳された四課のヒーローはゼロ、調査結果もゼロです。司令の手を煩わせる時間が惜しい現状ですから、通信を切断します。それでは』

「あ、ああ……」


 相も変わらずの無機質な対応に、竜はいまだに慣れていない。マスキュリオンのようななれなれしい態度との温度差もあるが、このワニのヒーローは人一倍反応が淡泊なのだ。

 それでも、頼れるヒーローであることに変わりはない。アガラリオラはすぐさま頭を切り替え、状況を整理する。


「ハッキング場所に何もなかった? だとしたらこれに何の意味が……本当にただの時間稼ぎか? いや、おれの勘が違うと言っている、これは……それなら……」


 ――――それならこれは、ヒーローを誘い出すための罠だ。


 そんな結論を導き出せたのはアガラリオラの経験がなせる業だ。確証などなくとも、彼はこの勘でいくつもの現場を乗り越えてきた。その天啓を信じないわけにはいかない。竜はすぐさま四課と五課に対する通信を開き、叫ぶ。


「全員、直ちに撤退! 至急本部まで戻り、オーダーハントと待機してくれ!」

『四課了解』

『五課了解。やっぱ罠ってことかぁ』


 素早く返答したヒーローたちが駆け抜ける。常に冷静なクロックパンプはもとより、軽口をたたくマスキュリオンにさえ油断などあるはずがない。

 だから、これが失敗するということは、相手の方が一枚上手だったというだけ。

 そのことを示すかのように、一人のオペレーターが声を張り上げた。


「司令! 五課の進行方向には二課のオルタナヴィアさんが、四課には三課のワイドストロークさんがいます!」

「なんだと! 近づいてきていた……いや、『帰還を読まれていた』のか!!」

『っはん、ってことはだ司令。あのチェックポイントは俺らの行動を読みやすくするためにあったってわけだ』

『マスキュリオンに同意です。おそらく敵は洗脳したヒーローたちと私たちが会敵するように仕組んでいたと考えられます。オルタナヴィアとどうやってやり取りをしていたのかはわかりませんが、そこに敵へとつながるラインがあると想定されます』

『つまり、できれば捕まえたい。が、あんな洗脳済みでスーツの機能も封印されたヒーローたちを使って、俺らを負かす何かを仕込んできた。そうじゃなかったら向かわせる意味がねえ。おい、オペレーター。オルタナヴィアたちがいる付近に不審なものはあるか?』

「い、いえ、とくには見当たりません。現場では例のポージングで盛り上がっている彼らしかいません」

『っとくれば何か兵器を持ってきてるってこともねえし、おとりって線もねえ。本当に丸腰か? スーツの機能が停止されてるなんて、とっくに気づいてるだろうに』

『それでも何か勝ち目を作ってきたのは明白。警戒を、マスキュリオン』

『言われなくてもするさ。司令にあんな変態な格好を見せるなんて、死んでも嫌だね!』

『どうしましょう司令、相手はスーツの恩恵もないただの男性集団ですが、万が一ということもあります』


 この二人のリーダーはアガラリオラと同じことを一瞬で考えだした。すべてのヒーローの頂点、本部でリーダーを務めるにはこれくらいの能力が必要なのだと、彼らは行動で示す。

 竜は頼もしいと思うと同時に、いやな予感がぬぐえなかった。まだ自分は敵の術中にいる。そんな予感が背中を冷たい手で撫でるのだ。

 

 スーツの力で移動速度を高めているヒーローたちが会敵するまであとわずか。

 徐々に速度を落としているのが座標からもわかるが、今は一分一秒を争うかもしれない状況だ。意を決してアガラリオラは口を開く。


「そもそもだ、『雨』だけでは都市のすべてを洗脳できないことなど、敵もわかっているはず。だから、建物の内部でも使える何かが必ずある。そして、それに関しての情報を我らは何一つとして持っていないんだ。危ない橋は渡らないに限る」


 帰還を読んでいたことといい、この敵はヒーローをかなり研究している。

 わずかな隙すら見せてはならない。


「総員迂回経路を取れ! 一つの課で対応することなく、各課から数名を斥候にしろ。クロックパンプとマスキュリオンは本部にて待機。斥候からの情報を確認し次第、行動に移す。斥候は各リーダーが決めてくれ。会敵するより早く、迅速に行動するように!」

『『了解!』』

「オペレーターはオルタナヴィアやワイドストロークたちの通信履歴を調べ、指示を出したものを探れ! また、カメラの映像から接触したものがいなかったか再度確認するように!」

『かしこまりました!』


 二人のリーダーはまるで事前に決めていたかのように、素早く指示を飛ばす。おそらくそう言われることも予想していたのだろう。歴戦のヒーローは司令官候補でもある、この程度は造作もない。

 斥候に任命されたヒーローが離脱し、前へ。残ったヒーローが大きく迂回していくことを座標とカメラから確認し、竜はほっと一息つく。

 この間わずか数秒。人命救助にも駆り出される彼らにとって、一秒を惜しむのは当然のこと。そしてこの一秒が明暗を分けるのだ。


 アガラリオラの指示は完ぺきだった。

 得体のしれない『情報』という武器を前に、隙を見せることなく探りを入れる手腕。鋭い勘を信じ、洗脳済みヒーローに背後を取られることを避けたタイミング。もしこの勘が無ければ、二つの課は逃げようもなく会敵していたことだろう。

 

 ヒーロー本部司令官にふさわしいふるまいに、司令室にいた誰もが竜を信じた。この人さえいれば大丈夫だと、現場のヒーローたちでさえ思っただろう。


 ――――その視界が、真っ白に塗りつぶされるまでは。


「な、なんだ……っ! 何がどうなっている!」

「オルタナヴィアさんとワイドストロークさんが急に光りだしました! カメラからの視界確保は困難! あたり一帯が光りに包まれています! ですが、ヒーローたちのガスマスクには一定以上の光量を遮断する機能があり、作戦に支障は……」

「ではなぜ、『彼らは足を止めている』!!」


 座標で確認できる点は微動だにしない。光の中、ただ立ちすくんでいるようにしか、アガラリオラには見えなかった。

 アガラリオラの采配をもってしても逃れられない不吉な手は、ついにヒーローたちの足首を捕まえたのか。そんな馬鹿なことが起こっていいはずがないと、背筋に走る寒気をごまかすように竜は叫ぶ。


「クロックパンプ! マスキュリオン! 聞こえているか! 応答しろ! 現状を報告してくれ!」


 不測の事態を前に微動だにしないなどありえない。視界が確保されているというのなら、すぐさま物陰に潜んでいるはずだった。 

 どれだけ竜が願っても、座標が動くことはなかった。それは光が収まっても変わらず、カメラ映像の中で、ヒーローたちは呆然とするだけだった。


 ガスマスク越しでその表情をうかがい知ることはできないが、竜に最悪の想像を抱かせるには十分すぎる。


「誰か応答しろ!」

『ま、ま、ま……』


 それはリーダーではなく、斥候として前に出ていたヒーローのものだった。

 画面の中の数人は、すでにあの格好を――変態でしかないマンキニを着ていた。

 ガスマスクを脱ぎ捨ててスーツを卑猥に変形させ、ヒーローにふさわしい屈強な体を見せつけるようにがに股で腰を突き出して。

 聞きたくもない言葉を叫ぶ。


『マンキニィイイィイィィィィッ!!❤❤❤❤』


 高らかにとろけた声を張り上げ、ヒーローはポージングを繰り返した。鼠径部にあてた手をVの字に往復させ、勃起ちんぽを揺らして悦に浸る。

 まさに一瞬で、ヒーローは陥落したのだ。


「おまえたち、何をしている! 何があった?!」

『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』青いマンキニを着た牛がよだれをまき散らしながら叫ぶ。『はっ、司令❤我らはあの光によって洗脳され❤敗北いたしました❤❤マンキニヒーローのすばらしさを教えていただいたのです❤❤マンキニこそ❤ヒーローが着るべき衣装❤これほど誇り高く無様なものはありません❤❤』

『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』緑のマンキニを着たサメが追従して。『その通りです司令❤❤おれたちはマンキニ❤ひーろぉ❤マンキニっ❤マンキニぃいぃ❤❤マンキニちんぽから射精することこそ❤正義だと洗脳されてしまいました❤❤これより❤自分たちはマンキニヒーローとして❤正義のためにおもらし射精いたします❤❤』

『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』別の画面では赤いマンキニを着た熊が射精しながら。『マンッキニイィイイィイっほおぉおぉぉ❤❤❤❤マンキニきぼっちいぃいぃ❤こんなにちんぽが気持ちいいことが❤悪いはずがありません❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニヒーローさいこぉ❤マンキニ射精最高っ❤雄である以上❤ちんぽには逆らえませんっ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』


 理解不能な事態に竜の胸中を絶望という単語が駆け抜ける。光だけで人が洗脳されるなどあっていいことではない。

 しかし、彼はヒーローたちの大黒柱ゆえ、決して膝を折るわけにはいかなかった。ふがいなさに慟哭するのは、今ではない。すべてが終わった時だ。


 斥候から離れていたクロックパンプたちがまだスーツを着用していることに一縷の希望を託し、赤い竜は自身を奮い立たせるように声を張り上げた。


「おれは無事だ! つまりこれは『カメラ越しには効果がない』ということ! おそらくフィルターなどには弱いはずだ! 至急クロックパンプたちのガスマスクの視界を遠隔で暗視ゴーグルに切り変えろ! これ以上、あの光を直接見せてはならん!」

「は、はい! かしこまりました!」

「クロックパンプ! マスキュリオン! お前たちがまだヒーロースーツを着ていることを信じて命じる! 大至急撤退するんだ! マンキニなどという下品なものに、惑わされるな!」

『あ、あぁ……司令ぃ……』


 まるで風前の灯火のような声を上げるのは、先ほどまで呵呵大笑としていたマスキュリオンだ。気を抜けば蕩けてこぼれていきそうな、そんな危うい声で獅子はすがった。


『あの光を見たら、俺、マンキニも悪いもんじゃねえって……思い始めちまって……❤んなの、絶対に嘘だってわかってるのにぃ❤感情が制御できねえんだ❤これが正しいって❤マンキニこそ、ヒーローの正しい服装だって❤』

「おれが断言する。そんなものはヒーローでは断じてない! お前が憧れるのはおれだろう?! おれを信じろマスキュリオン!! おれはそんなふしだらな衣装を認めない! そしておれは、お前を信じている! お前はこんなところで負けるヒーローではない!」

『そうだ……司令が俺を、信じてくれてんだ。ふがいねえまね……なんて、できねえよなぁ!』

「お前もだ、クロックパンプ! お前はいつも冷静で正しいヒーローだ! 自分の理性を信じるんだ! いや、お前が信じられなくてもいい、おれが信じる! ヒーロー本部司令官として、お前の活躍をおれは知っている。お前もこんなものに負けやしないと胸を張って断言できる!!」

『…………』

「クロックパンプ! 聞こえているか、応答しろ!」

『は、はいっ! 司令……❤迂回経路の計算を失敗して、申し訳ありません……。まさか、これほどまで遠くに洗脳が届くとは……。マンキニを、着たいという感情が❤すごく❤湧き上がってきます❤ですが……まだ、私はやれます!』


 間一髪だった。迂回を指示していなければ、今頃彼らはすべて洗脳されていただろう。一撃必殺の技を前にしては、どんな警戒など無意味だった。竜の機転が、現場のヒーローたちを救ったのだ。


 まだ勝機はある。アガラリオラは声でしか鼓舞できないふがいなさに尻尾を床に叩きつけながらも、必死に叫んだ。

 

「クロックパンプ、マスキュリオン。すぐさま本部に撤退し、メンタルチェックを受けろ! 今お前たちを失うわけにはいかん! また、お前たちはリーダーとして、部下の様子確認を怠らないでくれ。洗脳が進んでいそうなヒーローがいれば、オペレーターに報告するように!」

『四課了解』

『五課了解。……ちぃ、司令にかっこ悪いとこみせちまったなぁくそ』


 考えなくてはならないことは山のようにある。竜の目が今度はオペレーターに向けられた。


「今洗脳されたヒーローたちのスーツ機能の停止を頼む。だが、先ほどの光はオルタナヴィアたちから発していた、スーツの機能は停止したのではなかったのか?」

「そ、そのはずですが、しかし……確認したところ、再起動しているようです! おそらく遠隔操作によるハッキングかと思われます……」

「そんな馬鹿なことがあるのかっ?!」


 科学技術の最先端を行くヒーロー本部の兵器がハッキングされるなどあっていいことではない。対策は完全であり、どんなヴィランも手出しできないはずだった。


「強制シャットダウンは受け付けるか?」

「先ほどから試していますが、不可能です……。こちらの操作を全く受け付けないようになっています」

「そうか……くそっ。どういうことだ。あの『雨』にそこまでの機能があるとでもいうのか……。それならオルタナヴィアたちの通信履歴は解析できたか?」

「はいっ、そちらは問題なくできました! ですが、特に不審な点はなかったため、ログの調査を切り上げ、映像から接触者について調べています!」

「そうか……だが、本来あんな機能などヒーロースーツにあるはずがない。スーツ機能をハッキングした際に、機能を追加したのかもしれない。そちらの線から解析をしてくれ。必要なら科学技術研究所にバックアップを頼み、ハッキング対策と並行して……待て、待て待てっ!」

「どうなさいましたか、司令?!」


 最悪の想像に、脳みそが理解を拒んでいる。だが、竜はその先に行かねばならなかった。


「いや、普通に考えれば洗脳装置などそんな一朝一夕でつけられる機能なはずがない……。だとするなら、『これはもともと備わっていた』ということか? そんなことがあるとするならば……」


 今まで得たわずかな情報を組み立てる。司令として、ヒーローを守るためにはどんな些細な情報も見逃していないつもりだった。

 あとはそれを分析すれば、おのずと敵の正体が見えてくるはずだ。

 アガラリオラは思考を回し、回し、その仮説をかためていく。


「天候管理所はどこの管轄だ?」

「科学技術研究所です」

「ヒーロースーツのメンテナンスを担当しているのは?」

「科学技術研究所です……」

「さきほど、オルタナヴィアたちの通信に不審なところはないと言ったな。通信自体がないのではなく、不審がない。それは科学技術研究所からの着信だったのではないか?」

「その通りです……科学技術研究所の所長が、オルタナヴィアさんとワイドストロークさんに連絡を入れていました。てっきり、洗脳状態の確認かと思い、私は何も……」

「よい。盲点だった。おれも見逃していたんだ、誰の責任でもない。だが、これではっきりした」


 オペレーターたちも竜の考えに気づいたのだろう。全員が真っ青な顔をしている。

 オルタナヴィアたちのスーツをハッキングできたのは、オペレーターたちがクロックパンプたちの方に注力していたからだ。ハッキングという手段が明らかになった今、無事なヒーローたちのスーツに手出しすることは難しくなった。

 それでも、ヒーローの命ともいえるスーツが敵の術中にあるだけで、かなり動きが制限されたのは間違いない。アガラリオラはヒーローたちの無事を祈るように、硬く拳を握り締めた。


「オペレータ各位、残りのヒーローたちを全力でサポートしてくれ! このままではヒーローという存在が負けてしまうかもしれない。だが、みんなは誰よりもヒーローを間近で見てきた存在だ。おれたちが絶対に負けないなんて、言うまでもなく知っているだろう」


 司令室を静寂が包む。頷く必要もないほど、誰もが知っていることだから。

 ヒーローは負けない。負けさせない。彼らにだって裏方としての意地がある。


 その決意を見渡して、竜は破顔した。上に立つものとして、彼は決してふがいない顔をさらさない。


「おれらが戦い続けられるのは、君らのおかげだ。ヒーローが君らの手助けを必要としている。ここはヒーロー本部、ヒーローたちが集う正義の象徴だ。決して負けられない。だから、もうひと踏ん張りしてくれ! おれらで、勝つぞっ!」

『はいっ!!』


 科学技術研究所が敵と知り、落ちてきた士気を高めるために竜は吠える。だが、これは竜の本心でもあった。前線に出たい彼は裏方として働くオペレーターを尊敬しているし、それは向こうも同じ。彼らは互いに尊重しあい、任務にあたっている。


「全司令室、またこれを聞く全ヒーローに伝令! これより仮想敵に科学技術研究所所長をすえる! 第二司令室のオペレーターたちはスーツのハッキング対策を行い、第三司令室は通信環境の安定を頼む! 科学技術研究所は我らの命綱だった。ゆえに、ヒーロースーツの機能や通信設備に深い造形がある。これから決してそれらを好きにさせないように全力を尽くしてくれ! 都市環境の監視やヒーローの補佐任務と並行することになるが、頼む、ここが踏ん張り時だと頑張ってくれ」

『かしこまりましたっ!』

『了解いたしました』

『っしゃあ、やってやろうじゃねえか』


 三つすべての司令室、さらにはすべてのヒーローから勢い良く返事をもらい、それが竜の足腰に力を与えてくれる。まだ負けたわけではない。勢いそのままにアガラリオラは通信を入れ、待機していた犬に向かって吠えた。


「現状は把握しているな? 六課の出番だ! 科学技術研究所に行き、所長を連れてこい! 力づくでも構わん、責任はおれがとる! 何としてでも、話を聞かねばならない!」

『了解しました! 通信の傍受により状況は把握できております! このオーダーハントにお任せください! いくぞ皆! 先輩方の無念を、我々が晴らすのだっ!』

「もし科学技術研究所が敵なら、おそらく向こうも罠を張って待ち構えているに違いない! それに、スーツの機能をハッキングしてくる可能性がある。こちらも対策するが、万が一のためスーツに頼り切った行動を極力控えるように! 絶対に油断するな! お前たちだけが頼りだ!」

『はい! はい! 司令の信頼を我々は裏切りません! 絶対にです! 朗報をお待ちください! うおーーっ! おれはやるぜーっ!』


 決して負けられないと息巻く竜は、モニターに映る情報を逃さぬよう目を皿のようにして注視していく。

 だから、先ほどから更新されない情報を視界に映しては、心配せざるを得なかった。


「……ジャラード」


 敵はガスマスクを貫通して洗脳し、さらにスーツ機能までもハッキングできる存在だ。対策を講じなければ一瞬で洗脳されてしまう。

 いまだ連絡が付かない同僚にこれらの情報を伝えられないことが悔しくてたまらない。いくらジャラードがベテランとはいえ、万が一ということは十分にあるのだ。


 それでもアガラリオラは信じることしかできない。現場から遠のいて、今日ほど自分の無力さを痛感したことはなかった。時間を巻き戻せればどんなにいいだろうと夢物語を描こうにも、肩にのしかかる責任が逃避を許さない。


 司令として、自分にできることを。それしかできないならせめて、現場の役に立つことを。

 竜は覚悟を決めると、通信を入れる。それは、洗脳されたオルタナヴィアたちへだった。


「オルタナヴィア、ワイドストローク。聞こえているか、アガラリオラだ」

『マンキニ❤マンキニ❤はい、こちらマンキニヒーローオルタナヴィア❤聞こえております、マンキニっ!❤』

『マンキニ❤マンキニ❤同じくこちらマンキニヒーローワイドストローク❤通信状況は良好です❤マンキニっ!❤』


 画面に映るシャチと白虎のヒーローは赤と黄色のマンキニ姿を嬉々として披露する。今この二人をヒーローたらしめているのは、頭につけたインカムだけ。首から下は変態でしかない。

 その洗脳前を知っているため、アガラリオラは直視に耐えないといわんばかりに眉をしかめた。

 だが、マスキュリオンたちが安全に離脱するには、こうして時間を稼ぐしかない。そう判断し、一縷の望みを託して問いかけた。


「おれは仲間を洗脳しろという指令を出したつもりはない。そのくせお前らはおれを司令と呼び敬っている。どういうつもりだ?」

『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤ただのヒーローである司令が怒るのも重々承知の上❤ですが、マンキニこそヒーローが着るべき衣装です❤おれらは世界をより正しくするために、すべてのヒーローにマンキニのすばらしさを伝える義務があります❤❤❤』

『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤その通りです司令❤しょせん我らも雄❤ちんぽを気持ちよくしてくれるものには勝てません❤❤そしてそれはヴィランも同じ❤奴らも悪事を働くよりも素晴らしい快楽を与えることで、我らは正義を成せるのです❤❤』

「……その言い草だと、ヒーローのみならず世界中をそんなもので満たそうとしているように聞こえるが」


 馬鹿げていると一蹴したい願望を何とか抑えながら竜が問うと、二人はさらに口角を上げる。誇らしげに胸を張り、ちんぽを突き出し、変態ポージングをしながらも彼らに恥はない。


『それこそがマスターの望む未来❤』

『世界中をマンキニ洗脳で満たし、平和を実現する❤❤』

『おれらヒーローはその先兵に選ばれたのです❤なんてありがてぇんだぁ!❤❤❤』

『洗脳の実験体として変態マンキニヒーローにされたおかげで、ずっとちんぽがきもちいぃぃ~❤❤』

『これから変態マンキニヒーローの名に恥じぬよう努力し、ケツマンコなども鍛え上げていかねえと❤❤これからの時代、ホモセックスもできねえヒーローに価値はないっ❤❤』

『マスターの望む未来のために❤我らはもっと変態にならねばならぬ❤❤』

『『マスター万歳❤マンキニ洗脳万歳❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』』


 それはただの世界征服だろうと、アガラリオラはこみあげる吐き気を何とか飲み込んだ。あの二人は自分たちこそ正義の味方であると、疑うことすらできない。いきり立ったちんぽからは止まることない先走りを垂らし、振り子のように揺らしてVの字を描くことを正義だと信じている。

 その後ろでは二課のヒーローたちがマンキニポージングで呼応し、大合唱となって空間を揺らしていく。

 誰もが筋骨隆々とした雄であり、先ほどから『雨』と汗によって濡れた体を見せびらかしながら射精にいたる。悪を討つための肉体は、変態ポーズをするためだけに成り下がっていた。


『『『『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』』』』


 竜が酩酊を起こしたように頭を抱えるが、これがまぎれもなく現実だった。

 ヒーローたちは本気でこんな変態そのもののポージングに酔っている。それがヒーローとしてトップに立つアガラリオラにとって耐えがたい屈辱だった。


「一応聞くが、そのポーズを辞めろと言ったら聞くか?」

『マンキニ❤マンキニ❤いくら司令のご命令でも、それだけは不可能です❤❤❤』

『マンキニ❤マンキニ❤我らはマスターのオナホ❤最も優先すべきはマスターの命令ですので❤❤』

『司令もマンキニヒーローになれば我らの言わんとすることがわかるはずです❤❤マスキュリオンらもじきに知ることになるでしょう❤マンキニ❤マンキニ❤』


 それを避けるためにこの二人と通話している竜としては、断固として受け入れられない未来だった。


 敵の思惑も把握できたため、後は時間稼ぎをするだけだ。しかしやはり、直視に耐えない光景を見せられてしまえば、どうしても憔悴してしまう。人の心を踏みにじる洗脳という悪意に嫌悪を募らせていると、やっと待ち望んだ連絡が竜の耳に届いた。


『こちら四課クロックパンプ。全員危険域と思わしき場所からの離脱に成功しました。ここからならあの光も届くことはありません。もうすぐ本部に到着いたします』

『五課も同様に離脱完了だ。だが、部下たちの中には光の影響で錯乱に近い状態になっている者もいる。自身の正義が揺らいじまってる。くそっ、やっかいな攻撃だぜ』

『こちらもです。今はオペレーターからの説得によって自我を保っておりますが、危うい均衡と言えるでしょう』

「了解した。離脱ご苦労だった。本部ではすでにメンタルチェックの用意ができている。兆候があるものに対しては、こちらで個別に精神分析が得意なオペレーターと通信をつなごう。なにかあればすぐに連絡を入れるようにしておく」

『司令? 応答願います。こちら四課。危険域と思わしき場所からの離脱に成功しました。こちら四課……』

「もしもし? なんだ、通信が不調なのか……?」


 そんなことあるわけがなかった。ここはヒーロー本部のある都市であり、最先端の技術の結晶が詰まっているのだ。天候管理所のような密室でのジャミングならいざ知らず、この都市にそのような不純物を設置するなどできるわけがない。

 次の瞬間には、アガラリオラをはじめとする司令室の面々から血の気が引く。虎口を脱したかと思われたが、実際はまだ敵の罠の中だったのだ。


「オペレーター! 通信状況はどうなっているっ?!」

「ジャックされており、こちらからの応答はありません! おそらく科学技術研究所の個別ラインからのハッキングかと思われます!」

「……くそ、間に合わなかったかっ!」


 通信は現場のヒーローたちにとって命綱だ。幅広い情報を拾い上げるオペレーターがいて初めて、ヒーローたちは全力を出せる。

 オルタナヴィアたちにマスターの正体について言及しなかったのは、こちらの情報アドバンテージを守るためだったというのに、無意味なことだったようだ。

 竜は悔しそうに歯を噛みしめながら、それでもヒーローを守るために叫ぶ。


「やはりヒーローというものを熟知しているな。完全に先を読まれているっ! 畜生っ!」


 本部に近づいていた彼らを迎えに行くための人手はもうない。オーダーハントは科学技術研究所に向かっており、今更呼び戻しても間に合わないだろう。タイミングから見て、おそらく出動させたことも感づかれているはずだ。


「オーダーハントに至急連絡を。敵対行動がばれたと伝えろ。通信回復を最優先目標に設定し、クロックパンプたちへは本部の警備員を回して連絡手段を確保――」

『クロックパンプ、マスキュリオン、いったん止まれっ!』

「これは、おれの声……っ?!」


 通信に飛び込んできたのはまごうことなくアガラリオラの声。司令の指示ということもあり、二つの課は本部手前で足を止めてしまった。


「『合成音声』か、小癪な真似を……っ!! 通信状況はっ?!」

「第三司令室総出でかかっているようですが、まだ回復までに時間がかかります!」

「頼む……できるだけ早く……そうでないと……」

『どうしたのですか司令。本部はもう目の前ですが?』

『なんだなんだ、また何か厄介ごとか?』


 信頼高い司令官からの指示が通信機から聞こえてきたのだ。二人は疑うこともなく、周囲を警戒しながら応答を続けた。


『本部のシステムが科学技術研究所によりハッキングを受けている。今はまだ凌いでいるが、通信障害も起こりメンタルケアができる状態ではない。本部への帰還はキャンセルし、四課と五課は合流するように。こちらのシステムが落ち着くまで、二つの課を再編成し、まだ行動できる者と本部に帰還する者に分けておいてほしい。互いの現在位置はそっちで把握して、至急行動に移ってくれ』

『やーっぱ科学研かぁ。五課了解、というわけでクロックパンプ、お前今どこだよ』

『四課了解。本部近く……座標を送信します。ここにある本部が所持するセーフハウスがあります。そこで合流しましょう』

『おっ、その通信は生きてんのか。ここならすぐに合流できそうだ』

「待て……!」


 アガラリオラが介入できないうちに、事態はより悪い方向へと進んでいく。だが、獅子と鰐のヒーローは自らが虎口に近寄っているという自覚はない。アガラリオラというヒーローへの信頼が、彼らを敗北へと導いてしまう。


「通信状況は!」こらえきれず竜の口が吠える。「明らかに敵の狙いは彼らの合流だ! それを阻止する方法がなければ……!」

「第三指令室総出で回復に当たっています! もうそろそろかと!」

「指令!」別のオペレーターが声を張り上げる。「各課ともに、迎えに寄こした警備員たちから猛烈に遠ざかっていきます! ヒーローの身体能力に追いつくのは不可能かと!」

「撤退して本部に帰還しろ! オルタナヴィアたちとかち合えば強制的に洗脳される! 今のところ、雨と光にさえ気を付けていれば、問題は――」

『こちらアガラリオラ。四課、五課緊急連絡だ!』

「今度はなんだ……!」


 忌々しい合成音声が指令室に流れると、赤い竜は歯をむき出しにする。何もできない焦燥感に流されるような精神はしていないが、かといって、安心できるだけの材料は何もないのだ。音声から得られる情報を一言一句逃しはしないと、アガラリオラは牙の隙間から熱した吐息を漏らし、雑念を排しようと努めた。


『こちらのシステムをハッキングされ、ゴーグルの内側に洗脳光の照射を確認した! おかげで六課に甚大な被害が出ている! 念のためゴーグルを外し、最大限の注意を払って行動してくれ!』


 その言葉は明らかな罠だ。今ゴーグルを外すことは、無防備になるということに他ならないのだから。

 だが、それが罠だと分かるのは、指令室にいるメンバーのみ。次々とゴーグルを外していくヒーローたちの映像を前に、懸命に挽回しようとしているのだが、事態は刻一刻と変化していくだけ。


「……彼らの合流予定地点の周囲に、他のヒーローはいるか?」


 人の上に立つ身として、焦燥をさらすわけにはいかないと。竜は間をおいてから低く問いかける。


「いえ、指令が彼らを足止めしてくださったおかげで、オルタナヴィアさんたちの行動は少し遅れているようです。セーフハウスにさえ入ってしまえば、問題はないはずです」

「なら、その間に通信を回復させ、彼らにゴーグルの着用を指示してくれ。この音声は裏を返せば、ゴーグルさえあれば洗脳されないということだからな。その間、警備員の指揮はおれが執る。オペレーターたちはそれぞれの任務に注力してくれ」

「はいっ! 全力を尽くします!」


 アガラリオラは自身にできることを最大限の力で行う。それしかできないのだから、くじけている時間などない。

 彼の肩にはヒーローの未来が乗っているのだ。しゃんと立つ堂々とした姿は、それだけで指令室の光となる。


「オルタナヴィアたちが洗脳を行ったことで、クロックパンプたちも気づいているはずだ。自らの課の中に洗脳者が出た場合、連鎖的な洗脳が起こるだろうことに」

「おそらくは……リーダーたちの状況判断能力は、確かなものですから」

「それなら、ゴーグルを外したことの危険度を彼らは理解している。今はそれに賭けるしかない。おれらは今できることに最善を尽くすぞ!」

「はいっ!」

「今まで得た情報をまとめ、外部のヒーロー支部に伝達! 本部の指令室が対応に追われている今、敵が洗脳に使う手口の解明を任せたい。また、増援が必要になる可能性を考え、いつでも動けるように待機要請をしてくれ!」


 それは保険でもある。もし本部が陥落したとしても、支部に情報がいきわたればヒーローは負けないと希望をつなぐためだ。それでもアガラリオラは常に最悪を想定しつつ、そんな未来が起こらないように最善を尽くそうとあがいている。


 指令室はヒーローたちの命綱だ。と言えば聞こえはいいが、実際は前線で戦う彼らに寄り添うことしかできない部屋でもある。大人になったとはいえ、もとより気が短いアガラリオラにとって、このもどかしさはいつまでたっても慣れることはないものだった。


「六課の様子はどうだ?」

「科学技術研究所に到着しました。今は周囲の様子を手分けして見回っています。また、六課のサポートは第一司令室が担当してします」

「わかった。何か異変があればすぐに報告してくれ。オーダーハントには、決して無茶な突撃はしないか、注意しておくように」

「はいっ!」


 今やオーダーハントたち六課は頼みの綱だ。彼らから得られる情報が、今後の情勢を左右するかもしれない。

 いまだ音沙汰のないジャラードが気がかりだが、信じるしかないのだと自分を律して、竜は司令官として背筋を正す。


 冷静を装いながら画面を見つめていると、ついに、ワニと獅子が邂逅する。

 セーフハウスにやってきた十数人のヒーローたちは、洗脳されていない同胞の顔に安心感を向けていた。

 ゴーグルを外したことで、彼らの瞳に映る緊張がよく見える。当然彼らは一瞬の油断が命取りになると分かっている。だからこそ、合流後の行動も的確だった。


『部下への注意は怠らないように、マスキュリオン。急にあの光を撃たれてはたまったものではありませんから』

『んなのわかってるよ。そっちで危険人物はどれほどいる?』

『おそらく数名……オペレーターからの呼びかけが途絶えた今、葛藤が強くなっている様子です』

『こっちも大体そんなもんだ。ヴィランを拘束するための部屋はあるが……こっちで監視するのがめんどうだな。オペレーターとの通信ができないのはやっぱいてえな。通信できてりゃ、内部カメラで様子を見てくれるだろうに』

『本部からの連絡が来るまでの間、監視する方法も考えないといけませんね』


 雨の影響がない地下のセーフハウスはヒーローたちが準備を整える中継点として活用されている。地下通路の一角にある普通の部屋のようにしか見えないが、実はさらに地下があり、ヒーローたちの隠れ家として使用できるようになっている。

 いくつも部屋はあるため光を浴びないようにすることはたやすいが、監視するとなれば途端に難易度は跳ね上がる。ゴーグルが無い今、洗脳者を見ることだけでも一苦労なのだ。

 そして、洗脳者をまとめておくことでマンキニヒーローこそ正しいのだと共通認識ができてしまえば、もはや手元に爆弾を置くことと同義になってしまう。それは悪手だと彼らは理解しているため、声掛けができる範囲で隔離という条件も付いてしまう。


 それでも彼らはてきぱきと洗脳深度によって隊員をふるい分け、再編成をしていく。監視していたオペレーターたちが納得できるものを最速で行い、すぐさま行動可能な四五課合同チームが出来上がる。

 危険状態のヒーローたちを縛ってから一ヵ所に集め、他のヒーローたちが背中を向けながら声をかける。単純だが今できる最善を尽くしたと、指令室で映像を見ているアガラリオラも不満はない。


『マスキュリオン』獅子と肩を並べたワニが口を開く。『指令の通信を覚えていますね』

『ああ、当然だ。あの様子じゃ、六課が壊滅だろうな』

『つまり、私たちに科学技術研究所への調査依頼が回ってくる可能性が高い』

『……どっちが行く?』


 現状を把握し次の手をすでに頭の中で描いている彼らは、当然のように会話を続けていく。

 科学技術研究所の調査は彼ら合同課に割り振られるとするならば、当然それを指揮するリーダーが必要だ。つまり彼らは、洗脳被害者を本部に引き連れてメンタルケアを受けるために先導する者と動けるヒーローたちを引き連れて調査に向かう者、ワニと獅子のどちらが引き受けるのかと相談していた。


『貴方は手柄を司令に見せびらかしたいでしょうし、譲りますよ』

『はんっ! 見せびらかさなくたって、俺の優秀さを司令はよーくご存じだよ。っま、もらえる手柄はもらっておくさ』

『では次に司令から連絡が入ったときには、そのように進言しましょう。私は本部に戻り、洗脳の予兆が見られる課員にメンタルケアを受けさせ……』

『俺が無事な奴らを引き連れて研究所を調査する、で行こうぜ』

『了解しました。ただ、六課も壊滅したとなれば、半分のヒーローが寝返ったということになります。その状態で調査を命じられるかは不透明ですが』

『それはまあジャラードさんの結果次第だな。もし駄目なら……退路確保か本部防衛が仕事になるだろう。司令は絶対に守らねえといけねえし』

『……貴方の司令大好き思考は置いておくにしても、それに意義はありません。なにせ、指令は全ヒーローのトップなのですから』


 それを聞いているアガラリオラは複雑そうに視線を下げる。気持ちは嬉しいが、前線を張ってもらっている手前、ここで尻尾を巻いて逃げるのは彼の矜持に反するのだ。本来ならだれよりも前に出たいという気概を持っている彼にとって、司令室は狭すぎる。


「……そんなことにならないように頑張らねばな。セーフハウスの保護はできているか?」

「はい。全システムをロックして、指令室以外からの操作を封じています。もとからヒーロー本部管轄の建物ですから、問題ないはずです」

「よし、それなら今のうちに通信の奪還と、近場のヒーロー支部から応援を募ってくれ。そろそろ敵のデータも採れたことだ、外部のヒーローを呼んでも問題ないだろう」

「わかりました。いくつかの支部より臨時でヒーローを回してくれると返信が来ております。渡した情報はまだ解析途中ですが、その脅威は十分伝わっているはずです」

「歴戦のヒーローが一瞬で洗脳される。そんなものがあっていいはずないからな」


 セーフハウスに逃げ込めたとはいえ、状況が依然不利なことに変わりはない。頼みの綱であったゴーグルを外したままであり、一瞬の油断が命取りになるのだから。


『情報を整理しましょう』


 そんなことは彼らもわかっている。だが、常に冷静なワニは先を見据えていた。


『今仮想敵は科学技術研究所の所長となっていますが、これに異議はありません。ヒーローを知り尽くした手腕の数々、そしてスーツのハッキングだけでなく洗脳手段の組み込みまでを考えれば、十中八九間違いないでしょう。仮に所長が根源でなかったとしても、何らかのつながりがあるのは確定かと想定できます』

『しかもシステムのハッキングときてる。こうなりゃ、最初のダミーのハッキングは俺らを動かすためだけじゃなく、システムに爆弾を仕込む何らかの準備だった可能性が高いな。相当入念に準備してやがるぜ』

『ではそれを踏まえて聞きましょう。マスキュリオン、貴方はヒーローの中に裏切り者がいると思いますか?』


 その言葉が流れた瞬間、司令室にも緊張が走った。現状後手に回って対処に追われているオペレーターたちにはそんなことを考える余裕がなかったゆえに、クロックパンプの提示した視点は衝撃的だった。


 数人が司令へと不安そうな視線を向ければ、アガラリオラは神妙に頷いて落ち着くように指示をするだけ。彼は元からその可能性を十分吟味していたが、口にしなかっただけなのだ。

 なぜなら――――


『俺はいないと考える』

『なぜですか?』

『仮に俺らを秘密裏に洗脳できる手段があるとするならば、こんな事件を起こす必要が無いからだ。こっそり勢力を広げて、指令を洗脳して終わればいいだけの話だろ。今頃司令なら他の支部に情報を回している。情報ってのはばれちまうと効果が薄れるんだ、そんな危険を冒してまで事件を起こすとするなら、それ相応の理由が必要だ』

『例えば、洗脳後の変容が大きいため、隠し切れないとかでしょうね。人を洗脳するというのは並大抵のことではできません。ましてや我々はヒーロー、対策も履修済みです』

『だからあんな変態的な洗脳なんだと思うぜ。あそこまで人格を歪めねえと、効果が無い。ってことは、誰かが洗脳されればすぐばれるし、ヒーローの中に裏切り者は作れねえ』

『そして持続力がないのでしょう。オルタナヴィアたちを見ている限り、記憶まで操作されているわけではありませんでした。つまり、ヒーローとしての意志さえしっかりしていれば、いつか解けるかもしれません』

『快楽を付随させてる理由ってそこだよな。洗脳への依存度を高めて、効果を長持ちさせようって魂胆が透けて見えてる。だから、さっきから『雨』が降ってやがるんだ。これが止めばあいつらが元に戻る可能性がある……これで満足か?』

『はい。マスキュリオンが同じ結論でいてくれて、助かりました』

『ったく、お前もリーダーなんだから、部下への説得は自分でしろよ』


 通信も使わず部下たちが聞こえるように会話を持ち掛けたのは、彼らを安心させるため。洗脳に抗う部下たちへ声掛けが必要としているのはクロックパンプもわかっているが、励ましなどを苦手としているため、マスキュリオンと共に現状を整理することで彼らに希望を見せた。

 これによって、洗脳にむしばまれているヒーローたちが自我を分厚くすることができる。マスキュリオンはその意図を察して、ワニの話に乗ったのだった。

 

 アガラリオラもおおむね似たような結論を持っている。それでも竜が口を開かなかったのは、混乱を避けるためでしかない。

 そのことをマスキュリオンたちも理解していることを確認して、竜はほっと胸をなでおろした。


「司令っ! 第三指令室が通信の回復に成功しました! これでリーダーたちと交信できるはずです!」

「よくやった! ゴーグルやスーツのハッキング対策はどうだ?」

「そちらも第二指令室から問題なしと報告が上がっています」


 これでやっと彼らに連絡を入れ、作戦を遂行することができる。ゴーグルの着用さえできれば、洗脳への対策は万全だ。

 そう勇んだアガラリオラだったが、それはほんの少し、タッチの差で遅かった。


 窓の外に異変が起きたのは、司令官の指示が届く数秒前のこと。この差がすべての明暗を分けたのだった。


「なんだっ! 外に煙が……オルタナヴィアたちか?!」

「い、いえっ! オルタナヴィアさんたちはまだたどり着いていないはずです! これは……」

『発煙筒っ?! 誰がこんなものを!』


 答えは現場のヒーローが驚愕を以て教えてくれた。セーフハウスにある窓から近くに置かれた発煙筒がもくもくと煙を流し続ける光景が映る。それは地下街を覆い隠し、ヒーローたちを取り囲んだ。


「これは……民間人です。付近にいた民間人がセーフハウスに発煙筒を投げ付けたようです」

「洗脳済みの民間人か……! だが、ただの発煙筒だ。セーフハウスの窓はすべて特殊加工されている、この程度なら…………いや待てっ! まずいっ!」


 アガラリオラが気づいたのと、リーダーたちが気づいたのは同時だった。


『全員、すぐにゴーグルを着用するように!』

『お前らっ! 今すぐゴーグルを着けろ!』


 とっさにゴーグルを取り出せたのは獅子とワニだけであり、その声が課員たちへと届く前に――――


 ――――スプリンクラーが発動してしまった。


『ぐおおおおおぉおぉ❤❤❤❤』


 地下は火災対策を徹底している。防火扉はもとより、スプリンクラーも完備だ。そして、ヒーローたちを洗脳するのは『雨』という情報。

 その結果が、洗脳されていくヒーローたちの断末魔だ。『雨』はスプリンクラーに仕込まれていたのだ。


『んおおぉん❤駄目だっ❤マンキニっ❤洗脳される❤❤❤ちんぽ気持ちよくしたいしたいしたいいぃいぃ~❤❤❤』

『マンキニが、染みこむうぅうぅ❤❤❤ヒーローはマンキニを着るべき❤そうだ、そうだったんだああああぁ❤❤マンキニ❤マンキニいいぃ❤❤❤』


 一人、また一人と『雨』に打たれたヒーローがマンキニ姿に変わっていく。勃起させたものを見せびらかしながら、鍛えた体で卑猥なポーズを取って気持ちよくなってしまう変態へと。


『お前ら、落ち着け! まずはゴーグルを着けて皮膚を保護しろ! さっきの光と同じように、この情報ってやつは何かかませれば無効化できるんだ!』


 そんなマスキュリオンの声など誰にも届いていないようで、狂乱の声はますます激しくなるばかり。濡れた肢体から白濁が何本も飛んで、狂った嬌声を響かせる。

 黒獅子のそばにいたサイのヒーローは灰色の巨躯に黄色のマンキニを身に着け、アヘ顔を決めながら必死にポージングをしていた。むちむと実ったおっぱいを揺らしながら何度も射精し、がに股の足元を白く汚し続けている。


『ルーヴァルデイン! お前もヒーローだろうが!』

『申し訳ありませんリーダー❤❤マンキニ❤マンキニ❤❤❤マンキニちんぽきもちいぃいぃ~❤❤洗脳されで❤ヒーローとして終わってしまうというのにっ❤ちんぽが❤んひぃ❤気持ち良すぎて止められませんんんんん❤❤❤』

『アンテリバル!』次に呼んだのは黒いマンキニを付けた虎のヒーローで。『ヒーロースーツの変形機能を使用するな! ゴーグルを着けろ!』

『マンキニ❤マンキニ❤❤マンキニ❤❤❤マンキニ❤❤❤❤マンッ❤キニイイイィィィ❤❤❤申し訳ありません❤すでにおれはマンキニヒーロー❤ちんぽの気持ちいい方が正義なのです❤❤マンキニ❤❤❤勃起ちんぽこそ❤正義の証いいぃいぃ❤❤❤❤』


 すでにセーフハウスの中は隆々とした男たちの変態ポージング会場に変わっている。

 これこそが正義だと信じた慣れの果てたちは、自身のちんぽを気持ちよくすることしか考えられず、射精の瞬間を嬉々として迎える変態だ。マンキニから飛び出す勃起はどれも限界まで張り詰めており、血管を浮かべて天を突いている。


 敵がゴーグルを外したのは、光による洗脳を通らせる意味もあったが、皮膚を露出させる意味もあったのだと、ようやく彼らは理解した。それが致命的に遅かったことを理解しながらも、アガラリオラは止まれなかった。


「遠隔でスプリンクラーを停止できるか?!」

「すぐに!」


 セーフハウスのセキュリティはしっかりと管理できているため、『雨』はすぐさま止んだ。

 だが、洗脳されたヒーローたちは戻ることはなく、濡れた体で何度もマンキニポーズをしながら悦に浸る。一瞬の隙を突かれて、二つの課は壊滅していた。


 それでも希望を見捨てないのがヒーローだ。

 マスキュリオンはゴーグルをつけた同胞、クロックパンプに近づいて叫ぶ。


『畜生! ここはもう駄目だ、俺らだけでも今すぐ本部に撤退するぞクロックパンプ!』

『え、ええ……』

『お前までどうした?! お前はちゃんとゴーグルを着けてんだろうが! なに洗脳されかかってんだよ!』

『すみません、マスキュリオン……実は、先ほどの光で洗脳された後遺症が出て……今、とてもマンキニが……着たいのです……!』

『はぁ?! お前、まさか……さっきの分担の話は、自分がメンタルケア受けたいからってことだったのかよ!』

『はい、リーダーへの信頼が揺らぐと洗脳が進むだろうと判断し、部下の前では言えませんでしたが、かなり……浸食されていると思われます』


 こうしてマンキニに耽溺している姿を見るだけでも混ざりたくなるほど、クロックパンプの状態は深刻だった。今までは意志の力で押さえつけていたが、世界がマンキニに染まってしまえば、興奮がワニの体をなぶってしまう。


「クロックパンプ!」


 それを見ていたアガラリオラがすぐさま通信を入れ、ワニに喝を飛ばす。同時にオペレーターへと指示を出し、洗脳に抗っているヒーローのケアを行った。


『し、司令……❤ああ、司令のマンキニ姿が見たいと、思ってしまいます……❤マンキニこそ、ヒーローの着るべき……』

「衣装などでは、断じてない!」


 洗脳を脳からはじき出そうとするかのような大声が、ヘッドホンから響き渡った。


「そこまで耐えたお前の意志を信じろ! お前はまだヒーローだ! そのような洗脳に負けることなど、おれが許さん!」

『そうだぜクロックパンプ! 今は撤退して、ケアを受けろ! このままだと俺らもあいつらと同じになっちまうだろうが!』


 マスキュリオンの言葉は正しい。そして、判断も正しい――いや、正しかったと言える。

 ここまで的確だった獅子のたった一つの間違いは、クロックパンプを連れて行こうとしたこと。そのために背後でマンキニヒーローになった元同僚たちに背を向けてしまったことだった。


「……っ! マスキュリオン、後ろだ!」

『ちぃ、しまった……!』


 アガラリオラの言葉ですぐさま自身の間違いに気づいたが、もう遅い。

 いくらマスキュリオンがリーダーになるほど優秀なヒーローだったとしても、ここはすでに二つの課のほとんどが洗脳された、いわば敵の巣窟と化している。そんなところで隙を見せればどうなるのかなど、火を見るよりも明らかなことだった。


『アンテリバル……てめえ……!』


 マスキュリオンは殴りかかった元同僚に鋭い視線を向ける。


『すみませんリーダー!❤しかし、すべてのヒーローはマンキニヒーローになるべきなのです!❤❤この気持ちよさを一緒に❤味わいましょう❤そして正義を成すのです❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤❤』


 虎の拳は獅子に当たらなかったものの、ガスマスクを打ち据えてゴーグルごと歪ませた。

 だが、それだけでマスキュリオンが詰んだことをアガラリオラは理解した。

 光は隙間さえあれば、どこからでも入り込むのだから。


『……司令』

「マスキュリオン! お前だけでも撤退するんだ! 今すぐ!」


 声を荒げる竜に対して、獅子は申し訳なさそうな声音で返すだけ。

 マンキニヒーローに囲まれた今、逃げ場などないことはすでにわかっている。それでも竜は喉が枯れるほどの勢いで叫ぶしかできないのだ。


『悪い、失敗しちまった。……あーあ、司令に俺の情けねえ恰好を見せるなんて死んでも御免だったのによ』


 そして、光がすべてを覆いつくした。


「マスキュリオン――――っ!」


 多くのマンキニヒーローが放つ洗脳光は部屋を埋め尽くし、竜の叫びさえ飲み込んでいく。隙間からの洗脳では不十分なのではないか、そう希望にすがって呼びかける竜であったが現実は残酷だ。

 光が収まった後に残されたのは、マンキニを着た変態ヒーローのみだった。


『マンキニィイ~~~~❤❤❤❤』


 赤いマンキニを着た黒獅子が高らかに叫び、鼠径部でVの字を描きながら笑う。何度も、何度も、ちんぽをいきり立たせながら。


『ちんぽおぉおぉ❤ちんぽ気持ちいいいぃ❤ちんぽたまんねえぇ❤マンキニちんぽでフル勃起ぎんも゛いいぃいいぃいぃ❤❤❤❤❤』

「マスキュリオン……」

『よう司令っ❤俺わかっちまったんだ❤マンキニヒーローこそ、最高のヒーローだってな❤❤こうしてちんぽおっ立てて射精してこそ、ヒーローは正義を成せるんだ❤❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』


 邪魔だと言わんばかりに歪んだガスマスクを投げ捨て、整った顔をさらすマスキュリオン。だが、好色に鼻の舌を伸ばしたままマンキニポージングに明け暮れる姿に、精悍さはかけらも感じない。

 真っ赤なマンキニから伸びる勃起は赤黒くたくましい。その鈴口から垂れる雫がポーズのたびに振り子のように揺れるせいで、より滑稽さを演出していた。


『見てくれ司令っ❤❤俺の変態マンキニポージング❤❤お゛っっほぉ❤司令に見られると思うと❤ちんぽたまんねえぇ❤❤これが正義❤これがヒーローなんだ❤❤ああぁ❤正義のマンキニポージングきもちいぃいぃ❤❤❤』


 課のリーダーとして誰よりもカメラの前に立つ黒獅子は、分厚くたくましい筋肉のすべてでマンキニを繰り返す。どれだけ傷ついても立ち上がる足腰は今、快楽に耐えるためだけに使われていた。


 きつい中腰を難なく行うことで、太ももの筋肉が一層太く張っている。手を引き上げるたびに胸を張ることで、分厚い胸筋がマンキニの紐を左右に開いていく。そこにそびえる乳首も立ち上がっていて、黒い毛皮の下から赤色をのぞかせていた。


『マンキニ❤マンキニ❤お゛~きもちっ❤マンキニ❤マンキニ❤無様洗脳さまさまだな❤❤こんなに気持ちがいい正義を教えてもらったんだ❤これからはしっかり変態ホモマンキニヒーローとして働かねえとな❤❤』

「マスキュリオン……おれが、そんなものを認めないこと、お前ならわかるだろう……」

『ああ❤そうだな❤司令がそう言いたくなる気持ちもわかるぜ❤だがな、悪い司令❤俺は洗脳されちまったんだわ❤マンキニヒーローが最高の正義だって❤こうしてマンキニポーズをしながら、ちんぽをおっ立てる❤それ以外考えられねえんだ❤マンキニ❤マンキニぃいいぃぃ❤❤❤❤』

「自分が洗脳されていると分かっているなら、どうしてだ……マスキュリオンっ!」

『んなのぉ❤ちんぽが気持ちいいからに決まってるじゃねえかよ❤❤男なんてちんぽの奴隷なんだから❤ちんぽ気持ちよくされちまったら勝てるわけがねえ❤❤❤』


 その言葉を肯定するように、獅子のちんぽからはとめどなく先走りが溢れ、床に透明なしみを作っている。全く触れていないにも関わらず、それはだんだんと濁ってすらいた。

 普段アガラリオラが見るマスキュリオンは、いつだって勝気で生意気な顔だ。それが今や、赤らんだ下品なものになっていて、口端からこぼれる唾液をすすることすら忘れてマンキニに耽溺している。


『司令だって❤オナニー中にシコシコ止められるか?❤無理だよなぁ❤それと一緒なんだ❤俺らマンキニヒーローは❤ずーっとシコシコしてる感覚なんだ❤洗脳で性欲のリミッターが外されちまって、常識的な判断ができねえ❤そんな中でシコシコするのが正義って言われちまったら、受け入れるしかねえだろ❤❤こうして洗脳が頭になじんでぇ❤❤マンキニヒーローになっちまうんだぁ❤❤❤マンキニマンキニぃぃ❤❤』


 もはや何を言っても届かない。アガラリオラは認めるしかなかった。

 マスキュリオンは洗脳に負け、新しい価値観を受け入れたのだ。


 はへ❤はへ❤と情けない吐息を漏らす黒獅子の巌のようにどっしりと構えた体とは対照的に、眼球は小刻みに揺れながらまぶたの裏へと登っている。勢いあるマンキニポーズのせいで金玉の一つがこぼれてぶら下がるが、そんなことなどどうでもいいと言わんばかりに、鼠径部をなぞり続けた。


『お゛っほおぉぉ~❤司令に見られながらマンキニシコシコきも゛ぢいいぃ❤❤金玉茹るっ❤はへっ❤こんな気持ちいいの❤うまれではじめでだああぁ❤❤マンキニ洗脳最高❤司令も❤俺と一緒にマンキニしようぜ❤そしたら絶対に気に入るからよっ❤❤』

「誰が……!」

『指令と一緒にマンキニ❤してぇ❤あぁ~❤司令のマンキニ姿を想像するだけで❤ちんぽギンギンになっちまう❤❤司令ぃ❤新人の俺を教えた時みてえに❤一緒にマンキニ訓練しようぜ❤マンキニ❤マンキニ❤司令のようなヒーローこそ、マンキニヒーローになるべきなんだ❤❤』

『ええ、その通りです❤❤』


 同じくマンキニ洗脳されたヒーロークロックパンプが獅子を肯定しながら隣に並ぶ。リーダーとして課の総意を伝えるべく、率先してマンキニポーズを取っていた。


『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニヒーロークロックパンプ❤洗脳に敗北し、マンキニ射精が大好きな変態ヒーローに転向いたしました❤マンキニっ!❤』

「クロックパンプ……」

『今は頭がすっきりしております❤抗うことなどせず、早く屈しておけばよかったのです❤❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤んっふぅ❤マンキニ❤』

「お前はゴーグルをつけていたはずだろうが……」

『申し訳ありません❤あまりにシコシコした過ぎて❤自分で外してしまいました❤いかなる時でも冷静沈着なヒーローであろうとしましたが❤ちんぽにはっ❤勝てませんでしたぁ~❤❤❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』


 余計なことを言わない性格に変わりはないが、性癖が終わってしまったワニの元ヒーローは延々とポージングを繰り返す。スリットから伸びる太ちんぽは雄弁で、こんな変態行為が気持ちいいと叫んでいた。

 緑の外皮にベージュの内皮、そしてそれをVに横断する青のマンキニ。全身スーツから解放されたガチガチな肉体は汗で艶やかにてかり、肉体の隆起を強調する。


 これで四課と五課はすべてのヒーローが敗北した。

 オペレーターたちの説得もむなしく彼らは快楽に負け、股間を見せつけながらマンキニを行う変態になってしまった。

 リーダーを先頭に並ぶ雄々しい肉体たち。筋肉の塊であり、誰もが正義のために鍛えた人類の盾となるべき存在だった。

 だが、その正義自体が変えられた結果、彼らはただの変態でしかなくなった。


『宣誓っ❤❤我々四課一同はぁ❤変態洗脳に敗北し❤淫乱変態ホモのマンキニヒーローになることを誓いますぅ❤❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤❤』

『『『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤❤』』』

『宣誓っ❤❤我々五課一同はっ❤変態洗脳に敗北し❤淫乱変態ホモのマンキニヒーローになることを誓います❤❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤❤』

『『『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤❤』』』


 四課と五課に所属する十数人以上のたくましいヒーローたち全員が、マンキニ姿でちんぽを勃起させている。限界まで張り詰めた一物は血管を根のように広げた鉄心だ。一目見ただけで、最大限までいきり立っているのがわかってしまう。

 どうやらマンキニポーズだけでなく、無様な敗北宣言にも興奮しているようで、彼らの一物はすでに粘液でコーティングされてぬるぬるになっていた。


『マンキニ❤マンキニ❤おおぉ❤マンキニ❤んっふぅ❤マンキニポーズが脳にきくぅ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤んー……マンキニっ❤❤❤❤』


 先ほどから洗脳に抗っていたせいだろう、ワニちんぽは今にも射精しそうなほど硬く、先走りの濃さも獅子より上だ。

 普段の無機質な目は興奮で茹り、真っ赤な下品顔で鼻水を垂らしながら快楽のためにポージングを続けている。誰よりも高らかにマンキニと叫び、屈強な肉体にふさわしい声量を放つワニは、まるで別人のような変質者になっていた。

 これがあの淡白なクロックパンプだと、変性を追っていたアガラリオラですら信じられない。人は快楽のためならこんなにも無様になれるのだと、胸が締め付けられる思いだった。


 だが、そんな司令官の痛みなど知る由もなく、獅子とワニはマンキニのすばらしさを見せようと必死だ。一心不乱にVの字を描き、そのたびにちんぽを揺らしている。


『クロックパンプ❤もっと喋れよ❤せっかく司令が❤俺らのマンキニ敗北射精を見てくれるんだぞ❤❤❤無様にならねえともったいねえだろ❤❤』

『マンキニ❤マンキニ❤とは言いますが❤おほぉ❤マンキニポーズは至高のポーズ❤ヒーローのための変態ポージングです❤ですから、これ以上何をすればいいのか不明瞭です❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニポーズさいこおおぉぉ❤❤❤』

『ったくしょうがねえな❤お前の言い分もわからなくはねえし❤いっちょマンキニヒーローとしての初仕事と行きますか❤お前ら、準備は良いな!❤』

『『『はいっ!❤五課一同マンキニポージングの準備は万端です❤マンキニ❤』』』

『マスキュリオン❤マンキニ❤何を❤マンキニ❤するつもりでしょう❤マンキニ❤』

『決まってんだろ❤俺らの最高な射精を見せつけて❤司令にもマンキニヒーローの良さを理解してもらうんだよ❤❤❤』


 何を見てもアガラリオラがそれを認めることは絶対にないのだが、洗脳で脳みそが茹ったマスキュリオンは気持ちがいい射精をすれば説得できると信じている。オルタナヴィアと同じように竜への敬意があるからこそ、彼らは無様な行為を加速させることができるのだ。それが竜の望まないものだとしても、言葉はもう届かない。


『わかりました❤それでは四課全員に命令❤これからマンキニヒーローとして、新たな任務に向かいます❤❤全員マスキュリオンに協力するように❤❤』

『『『四課了解❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』』』


 筋肉で膨らんだワニの号令に、変態となった四課のヒーロー全員が嬉しそうにマンキニポージングで答えた。もはや、彼らは自身がマンキニヒーローであることをかけらも疑っていない。


『じゃあ俺に続けよクロックパンプ❤マンキニっ❤』

『わかりました❤マンキニ❤マンキニ❤』

『マンキニヒーローたちの見せる統率のすばらしさはオルタナヴィアらが示してくれたからな❤俺らはいかにちんぽが気持ちいいかを示すんだ❤❤司令だって男だ❤ちんぽには逆らえねえはずだろ❤❤❤』

『その通りですマスキュリオン❤現に私もちんぽに敗北し❤マンキニヒーローになったのですから❤❤冷静さや経験など、ちんぽの前ではぁ❤無力っ❤❤❤❤』

『よしっ❤まずは上澄みヒーローザーメンを一発❤司令の前でぶっ放すぞ❤❤五課全員っ❤高速マンキニポーズ開始❤❤❤❤真っ先に無様洗脳されたオルタナヴィアたちに負けないくらいの❤さいっこうに濃い雄臭ザーメンを指令にプレゼントするんだ❤❤❤』

『『『了解っ❤五課一同、高速マンキニポーズ開始します❤』』』

『四課全員も高速マンキニポーズ開始❤我ら四課初のマンキニ射精です❤司令の前で情けない射精などできないと、気を引き締めてガチガチフル勃起で挑みなさいっ❤❤司令が、私たちをマンキニヒーローにしてよかったと、そう思えるような射精をするのです❤』

『『『了解っ❤四課一同、高速マンキニポーズ開始します❤』』』


 竜について好き勝手しゃべった獅子とワニがポージングを開始すれば、後ろに控えるヒーローたちもそれに続く。

 高速と名付くだけあり言葉の区切りが短く、絶え間なく伸ばした掌を往復運動するポーズを、部屋に集まったたくましいヒーロー全員が行い始めた。


『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤❤』

『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤❤』

『『『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤❤❤』』』


 先のマスキュリオンの言葉を借りるなら、これは射精直前のオナニーのようなものだ。シコシコする手を止めずに絶頂まで一直線に突き進む、ザーメンを出すためだけの行為。

 この速度ではさすがに少しのずれは見受けられるものの、彼らのマンキニと発するタイミングは大体同様で、十分呼吸が合っていると言える。感じる快楽も強いのか、ヒーロー全員の顔がゆでられたかのような赤に染まり始めていた。


『ふぅー❤お前らっ速度を上げていくぞ❤❤マンキニで金玉にザーメンフルチャージだ❤❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤』

『『『了解です❤五課のマンキニヒーロー全員❤金玉にザーメンフルチャージ中です❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤』』』

『四課ぁっ❤後れを取らないように❤❤マンキニポーズはヒーローの基本っれすぅ❤決して崩れたマンキニにならないよう……注意っ、しなさい❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤』

『『『了解ですっ❤四課マンキニヒーロー❤細心の注意を払ってマンキニします❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤』』』


 筋骨隆々の雄たちが集まって行う変態行為、そこで一番後れを取っているのはクロックパンプだった。

 元から絶頂が近かったワニにとってこの高速マンキニポーズは刺激が強すぎる。もはや精巣は渋滞を起こして射精を懇願しているのに、リーダーとして情けない射精はできないと、ちんぽを律してマンキニを繰り返していた。


『まっ……マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤んふっ❤んっっふぅー❤❤マンキニっっっっ❤❤❤❤』


 緑の顔はすでに誰よりも赤く熟れていた。鼻水は両の穴からこぼれ、黒目はカメラではなく天井に向けてひっくり返っている。噛みしめた牙の隙間からマンキニコールを絞り出し、なんとか部下たちを先導しているような状態だ。

 血管が浮いたごん太ちんぽはワニの人生で一番張り詰めて、ピュッピュッと汁を漏らしている。ヒーローとして研鑽してきたクロックパンプにとって、自分のちんぽがここまでパンパンになるとは今まで知らなかったに違いない。もし誰かが指先だけでも触れてしまえば、すぐさま決壊してザーメンをまき散らすだろう。


『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤ま、んきにぃいぃぃ❤❤❤四課、マンキニザーメンでっ❤金玉は満たせましたかっ?❤❤❤』

『『『はいっ❤四課一同❤マンキニヒーローザーメンで金玉は満タンですっ❤❤』』』

『よ、よろしいぃぃ❤❤マンキニっ❤では、これから、金玉でザーメンを煮詰めるマンキニポオオオォォズ❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤』

「なぜ、そこまでして……」

『司令っ❤私は四課のリーダぁ❤彼らの見本として❤マンキニヒーローの模範を示す者ですっ❤❤そんな私が、誰よりも早くザーメンをおおぉっほおぉ❤漏らすなど❤許されません❤❤❤』


 洗脳されたとはいえ、クロックパンプは冷静なヒーローの鏡だ。それはマンキニヒーローになっても変わらず、こうして真っ赤で鼻水をすする余裕もない無様顔でも、このワニはクロックパンプなのだ。


『んっふううぅぅぅ❤❤❤』射精しないようちんぽに力を入れた結果、鼻水を噴きながら。『司令はおそらくっ❤マンキニヒーローが本当に正義を守れるのかをっほぉ❤心配していると❤推測されます❤ですからっ❤我らがこうして❤ちんぽを気持ちよくすることで正義を成せると❤見せることが❤正しいマンキニヒーローであると判断し❤こうして❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニちんぽにヒーローザーメンを溜めているのです❤❤❤』


 洗脳によって歪んだ認知の下であったとしても、クロックパンプはヒーローについて考えてくれている。それがどれだけおぞましいのかを理解したうえで受け入れ、アガラリオラを巻き込もうとしていた。


『その通りだぜ司令❤❤』そして、それはマスキュリオンも同じだ。『司令も洗脳されちまえばわかるはずだ❤マンキニヒーローのすばらしさ❤ちんぽを気持ちよくすることで❤世界はより平和になる❤ならヒーローが率先してそれをしねえと駄目なんだ❤俺たちこそ、正義の象徴なんだからな❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤』


 情けないがに股マンキニポーズを繰り返す屈強な黒獅子は、こぼれた片金玉をぶらぶら揺らしながら得意気にアヘ顔を決めた。その自由になった金玉から汗と先走りの混ざった雫がこぼれ、毛皮を袋に張り付かせる。そのため、でかい玉の形をはっきりと浮かび上がらせていた。


『おっほおおぉぉ❤金玉にザーメン溜まるううぅ❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤んほぉ、正義っ❤これこそがヒーローの求める正義いいぃいぃ❤❤鍛えた体でマンキニ❤金玉揺らしてマンキニ❤悪を貫く正義の勃起ちんぽマンキニ❤❤❤❤』

『正義気持ちいいですううぅっ❤ヒーローとは滅私奉公だと思っていましたが❤これならヒーローも救われます❤ヒーローを含めた全世界の人たちのためにマンキニ❤全世界の人たちのちんぽを気持ちよくするためにマンキニ❤これこそ世界を幸せにするマンキニいいいぃぃぃ❤❤❤』

『『ああ~❤❤❤マンキニ気持ちいいいぃいぃ~~~~❤❤❤❤』』


 アガラリオラが司令室で拳を握り締めていることなど露知らず、黒獅子とワニは汗だくになりながら高速マンキニポーズに浸る。にやついて崩れた顔面を体液で汚し、蛍光灯の明かりを下品に照り返しているのだが、そんなことよりもマンキニポーズに忙しい。


 筋骨隆々な雄たちの全力マンキニポーズのせいで、セーフハウスの中は雄の臭気とマンキニの号令に満ち、もはや異世界へと変わり果てていた。

 ヒーローたちは漏れなくすべてちんぽから雄臭い蜜をトロトロ零し、アヘ顔だけでなくパンパンに膨れた亀頭も下品に光り輝いている。

 こんなものがヒーローのなれの果てなのかと、アガラリオラがこみあげる吐き気を抑えている間も、彼らは一心不乱に快楽を追っていた。


『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤五課の野郎どもっ❤そろそろマンキニヒーロー金玉から❤くっせぇ雄ザーメンぶっ放すぜ❤❤❤』

『『『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤はっ❤五課一同❤金玉の中でザーメンが煮え立っています❤いつでも射精できますっ❤❤❤』』』

『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤四課ヒーローたちもっほぉおぉ❤き、金玉破裂しゅるっ❤射精ぃぃ❤射精じまずよおおぉおぉ❤❤はひぃいぃ❤❤』

『『『マンキニマンキニマンキニマンキニ❤四課一同❤ちんぽがもう限界です❤❤❤射精できます❤❤❤』』』


 セックスよりも強い快楽だと洗脳された者が口々に言うマンキニポーズを高速で行い続けた結果、二つの課のヒーローたちは誰もが限界だった。

 赤く熱した鉄心のようなちんぽからは先走りのおもらしがとめどなくあふれ、赤く熟れたリンゴのような顔からは汗などの体液が滴っている。彼らは性感帯に触れることなく、ただポージングだけで射精しようとしていた。


『よーしっ❤ラストの追い込みマンキニだぁ❤❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤オルタナヴィアたちよりも、絶対に濃いザー汁出すぜぇ!❤❤❤』

『四課もぉ❤続くようにいいぃ❤❤先走った射精はっ❤んふぅ❤マンキニヒーローとして恥ずべきことだと❤理解するように❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤』


 部屋の中に汗やよだれが飛び散って、彼らの変態行為は佳境へと至る。首から下は画一的なポージングでぶれもないが、表情を崩した顔はのけぞったりと、アヘオホ忙しい。マスキュリオンなどはたてがみを振り回しながら、必死に射精しないように耐えている。


『おほぉっおほぉっ❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤来たぁ❤きたきたきたきたぁああぁ❤❤❤❤マンキニヒーローザーメン❤❤限界を超えたフルチャアアアァジ❤❤❤❤』

『洗脳後初のマンキニ射精いいぃぃ❤❤最高の射精がくるくるくるううぅぅ❤❤❤マンキニマンキニマンキニマンキニ❤煮詰まったマンキニヒーローザーメンで❤脳みそぶっ飛ばしまああぁ~~しゅ❤❤❤❤』


 だが、それも限界が見えていた。どれだけヒーローの意志が強かろうと、快楽を与え続ければいずれ爆発する。雄の体を持つ者として、避けられない結末だ。

 その証拠に、ヒーローたちのちんぽは何度も収縮を繰り返し、射精の時を今か今かと待っていた。まだ誰も射精していないのが奇跡であり、常人ならとっくに潮まで噴いている。

 彼らが今まで耐えられていたのはヒーローだから、ヒーローだからこそ、洗脳によってブーストされた快楽を浴びても耐えられたのだ。


 そしてようやく、彼らのちんぽが開門する。


『んっほぉ、金玉限界いいぃ~❤❤❤五課射精準備開始ぃ❤❤❤』

『同じく金玉暴発寸前んんん~~❤❤四課ぁ❤射精準備開始いいぃ~❤❤』


 二つの課のリーダーが許可を出せば、彼らの行動は迅速だ。

 高速マンキニポーズでは少しずれた呼吸も、射精を前にして完璧に調和させた。脳みそに刻まれた洗脳と、ヒーロー活動によって培われた技術を以て。


 彼らは同時に射精する。


『『『――――マンキニッ❤❤❤❤❤』』』


 指先を伸ばした手が鼠径部の上で止まった瞬間、すべてのちんぽから一斉に白濁が撃ちあがる。

 十数本もの白が重力から逆行し、放物線を描きだす。ブビュルブビュルと濁った音すら幻聴で聞こえてきそうなほど、彼らの射精は濃く太かった。


『お゛お゛ぉぉっほおおぉおぉおぉぉおぉぉ~~~~~~❤❤❤❤❤❤いーぐっ❤いぐうぅうぅうぅぅぅ❤❤❤金玉もってがれる゛ううぅうぅぅ❤❤❤❤』

『ふへっふへええぇぇ❤❤しゅごしゅぎるうぅうぅうぅ❤❤❤マンキニ射精こそ正義いいいぃぃ~~❤❤こんなの逆らえるわけがありませんっ❤ぎもぢ゛っいっひいぃいぃ❤❤❤❤』


 黒獅子やワニだけでなく、ヒーローたちの全員が一斉に舌を突き出したまま顔をのけぞらせ、アヘオホとわめきたてる。まるで汚いシンクロナイズドスイミングのような行動だが、やはり、統率は洗脳前より格段に上がっていた。


 全員の射精は頭上をはるかに超え、セーフハウスの天井にぶつかるものまである。長身巨躯が多いヒーローたちのために作られた部屋でさえ、彼らのザーメンには狭すぎた。


『んぎもぢいぃいぃ❤❤』未だ衰えない白濁を漏らす獅子が。『見てくれ司令いいぃいぃ❤❤これが❤マンキニヒーローザーメンっだああああぁぁ❤❤❤』


 背筋をそることでカメラへ射精ちんぽを見せつけたまま、マスキュリオンは吠える。包皮から顔を出す赤ちんぽを誇示しながら、絶頂で回らない頭を懸命に動かした。


『し、司令はぁ❤今までヒーロー活動してきて❤こ~んな濃厚雄臭ザーメンっ❤出したことねえだろっ❤❤そいつはヒーローとして駄目なんだ❤❤ちんぽを気持ちよくするのが正義なんだからよ❤黄ばんでどろどろなザーメンくらい❤びゅ~びゅ~出せるようにならねえとな❤❤❤』

『そ、そそそそのおぉとおりですうぅううぅ❤❤❤んはあぁ❤ちんぽ❤ちんぽきもぢいぃいいぃぃ❤❤❤わ、私は今までぇ❤オナニーすらまともにしていなかった❤駄目ヒーローでしたがぁ❤❤これからは、んほおおぉ❤心を入れ替えて❤マンキニ射精もホモセックスも❤しっかりできる淫乱変態ホモヒーローを目指しまぁあぁす❤❤❤』

 

 クロックパンプの宣言に続いて、他のヒーローたちもこぞって変態になることを誓いだす。マンキニで射精することが心底誇らしいとでも言わんばかりの態度で、びゅるびゅると特濃精液を吐き出し続けていた。

 室内だというのに白濁の雨が彼らに降り注ぐ。もはや誰のザーメンかもわからないものを浴びながらも、彼らは嬉しそうに味わって筋肉で受け取るだけ。無様も快楽な彼らにとって、ぶっかけはご褒美でしかない。


 その中でもやはり、リーダーである二人は目立っていた。前に出た陣形もあるが、やはり肉体美が圧倒的なのだ。どこを切り取って見ても、二人の筋肉は限界までパンプし、雄々しさを詰め込めるだけ詰め込んだ人類の極致である。

 そんな肉体を無様と白濁で汚しながら、セーフハウスの防音など貫通して外に聞こえるくらいにわめきたてている。


『おほっおほぉ❤ザーメン出る出るううぅうぅ❤これが正義❤これがヒーローだ❤❤見てくれ司令っ❤俺のっ、淫乱変態ホモヒーロー射精おおぉっほぉ❤❤』

『正義❤これこそが正義❤ちんぽが気持ちいいことこそ正義❤洗脳が染みこんで❤ああぁ❤変態ホモ行為が大好きになってしまうのたまりません~❤❤❤おもらしザーメンびゅっびゅ~~~~❤❤❤』


 最初こそあれだけ余計なことを言わなかったクロックパンプだが、洗脳が馴染んだ今、自身を変態に見せようと淫語をすらすらと語っている。もはや変性は不可逆で、このワニは変態であることに執心していた。


 時間経過とともに射精の勢いは失われていくものの、ちんぽが震えるたびにどぷっと漏れるザーメンは濃い。

 快楽が強すぎるせいだろう、あれだけ不動を体現していた屈強な足腰が同調してけいれんして、リーダーの後ろに控えていた幾人かのヒーローがへなへなと崩れ落ちていく。


『はへぇ……マンキニ射精きもひぃいぃ~~❤❤❤』

『ちんぽぉ……気持ちいいいいぃ❤これが正義ぃ❤最高の正義だぁ❤❤❤』

『おっふぅ❤おっおぉおぉんっほおぉおぉ……❤❤❤もっどぉ❤もっとマンキニ射精で❤正義執行しだいいいぃ❤❤』


 汗やらザーメンやらで汚れた床にへたり込みながら、勃起ちんぽをゆるゆるとしごき続けるヒーローたち。尿道に溜まった最後の一滴まで搾り取ろうと、締まりのない顔でアヘアヘとしこっていく。

 彼らの脳みそはオーバーヒートを起こしており、高速ポーズからの解放はいくら屈強なヒーローでもきつかったようだ。


 それはリーダーも変わらない。二人は一応立ててはいるが、カメラに向けた表情は知性などかけらもなく蕩けた情けないものだった。


『はへぇ❤はへぇ❤❤マンキニ射精やべえぇ❤❤こんな、気持ちがいいなんて❤思わなかったぜ❤洗脳されてても、わかるわけがねえ❤❤』

『まったくです❤やはりちんぽには❤勝てるわけがありません❤ちんぽ最高❤マンキニ射精最高っ❤❤洗脳されてよかったですぅ~~❤❤❤んっふぅ❤』


 ヒーローたちを導く課のトップたちは、鼻水をこぼしながら黒目をひっくり返して笑っていた。だらりと垂れ下がった舌からよだれを滴らせ、品性を失った下品顔をさらすだけ。


 常人の数倍長く続いた射精を見れば、彼らがいかに性欲に支配されているのかがよくわかる。それでも尚、ちんぽは萎える気配もなく、体は次の射精を求めていた。


 だが、いくら同時にぶっ放して気持ちよくなったところで、それはオルタナヴィアと同じ行動であり、大好きな司令を説得するためには弱いとマスキュリオンは考えている。変態洗脳されたとはいえ、根底にある司令への敬愛は何も変わらないのだ。


 そんな黒獅子の出した結論は、もっとヒーローらしいところを見てもらう必要があるということだった。


『――――全員マンキニちんぽ待機っ❤❤❤❤』


 聞きなれない言葉をマスキュリオンが叫ぶと、すぐさま両手を頭の後ろに組み、腰を突き出してちんぽをカメラへと差し向けた。がに股中腰で射精の余韻に浸っていたマンキニ姿のヒーローたちも一斉に続き、全員が腋を見せたまま固まった。

 十本以上ある射精済みのちんぽはザーメンの残滓をぶらぶらとさせていて、鉄のように硬いまま。ちんぽを気持ちよくする事が正義であると洗脳された彼らにとって、萎えたものを見せつけるのは正義に反する行いなのだ。


『お、ほぉぉ……あんだけ出したってのに❤ちんぽガチガチ過ぎていってぇ❤❤❤んふぉ❤気を抜くと腰ヘコしちまいそうだ❤❤』

『はひぃ❤射精したばかりなのいいぃ❤❤ちんぽが今にも❤暴発しそうですぅ❤❤ワニちんぽビンビン❤ワニちんぽビンビン❤❤❤おっおっおっ❤❤ふへへへえぇぇええぇ~❤❤❤』

『クロックパンプのアヘ顔やべえな❤最高にヒーローしてるぜ❤❤司令もそう思うよな❤❤』

「……何のつもりだ」

『俺らは変態ホモのマンキニヒーローに洗脳されちまったが、ヒーローであることには変わりねえんだ❤❤だから、見ていてくれよ❤俺らのヒーロー活動をよ❤』


 竜が問いただす前に、マスキュリオンは一人でさっとセーフハウスの扉を開け放つ。

 外には発煙筒を投げ込んだ一般人らが集まっており、変態そのものに変容したヒーローたちに嬉しそうな視線を向けていた。これこそヒーローだと安堵する声さえ司令室に届いている。洗脳された民意は変態を受け入れているのだと、竜は不甲斐なさに尻尾で床を打つが、その怒りは当然獅子には届かない。


 市民の現状を見せつけた獅子は即座に先ほどのリーダーとしての位置に戻り、腋見せがに股ポーズで待機して並んだ。そして、赤黒くグロテスクな射精限界勃起ちんぽを市民に見せつけながら、堂々と叫ぶ。


『市民の皆様っ❤❤❤❤皆様のおかげで、俺らヒーロー本部四課、並びに五課のヒーローたちは変態ホモ行為こそ正義だと洗脳され❤❤❤マンキニヒーローへと転向することにしたぞおぉ❤❤』


 マンキニ衣装から片金玉をはみ出したまま獅子は胸を張れば、それに応える市民の拍手が司令官の精神に歪な反響を残す。洗脳し敗北したヒーローを称える言葉が数多く飛び交い、ヒーローたちはそれに応えるためにちんぽをブルンブルンと振ってマンキニ合唱を開始する。


『『『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』』』


 これが今のヒーローシティだ。変態になったヒーローとそれを崇める市民たちの地獄。悪夢なら今すぐ覚めてほしいとアガラリオラが祈ったところで、現実は変わらなかった。


『だが、司令は新参者のマンキニヒーローが果たして正義を執行できるのか心配している❤そこで俺らがしっかりヒーローとして活動しているところを❤司令に見てもらうつもりだ❤❤発煙筒を投げ入れたのは誰だっ?❤❤』

『おれですっ!』

『よしっ❤こっちにこい❤お前のおかげで俺らは淫乱変態ホモのマンキニヒーローになれたんだ❤感謝を込めて、手コキさせてやる❤❤クロックパンプもいいよな❤』

『もちろんです❤❤もうこのワニちんぽが限界で❤誰でもいいからシコシコしてほしいくてたまらないんですぅ❤❤❤早く早く早くぅ❤爆発寸前のワニちんぽシコシコしてくださいいぃぃ~~❤❤❤』

『おほぉ❤変態過ぎてちんぽにくるぜクロックパンプ❤❤やる気十分じゃねえか❤じゃあ他のやつらもヒーロー活動を開始しろ❤❤俺らの正義を司令に見せつけるんだ❤❤❤』

『『『了解しました❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤』』』


 もはや体になじんだマンキニポーズでヒーローたちが応えれば、地下街は淫獄へと変わる。

 市民たちはヒーローと絡み合い、ホモセックスやマンキニポーズをおかずにしたりと、いたるところで性行為を謳歌し始めた。


 ルーヴァルデインと呼ばれたサイのガチムチヒーローは、数人の市民の前でマンキニポーズを行い、むっちりと膨らんだ腹と四肢、それにいきりたつちんぽを見せつけている。

 黄色いマンキニからそびえる射精済みちんぽがあまりに雄臭いようで、市民たちは嬉しそうにスマホのカメラを向けていた。


『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニヒーロールーヴァルデイン❤ガチガチちんぽ揺らして参上だ❤❤さあさあ❤んぐぉおぉ❤市民たちよ❤おれのちんぽを使って気持ちよくなってくれえええぇ~~❤❤❤』

『ルーヴァルデインさん❤ずっとファンでした❤ザーメンまみれのちんぽと記念撮影してもいいですか❤❤』

『ああもちろんだ❤マンキニ❤マンキニ❤おれのちんぽは市民のためのマンキニちんぽ❤愛する市民のためならば❤敗北射精済み勃起ちんぽをネットにさらすことなど造作もないわぁ❤❤マンキニ❤マンキニ❤❤』


 それから市民たちは次々とサイのちんぽに顔を近づけて、記念撮影をしていく。ルーヴァルデインの気持ちよさそうなアヘ顔がスマホに保存されるが、それこそがヒーローだと、マンキニポーズで感謝の言葉を述べている始末だ。 

 そんなサイはシャッター音にすら興奮しているようで、ザーメンをとろとろと吐き出している。さらにマンキニポーズだけでなく自らのガタイと勃起ちんぽを誇示する体勢を取っては、市民にどスケベファンサを繰り返していた。


『マンキニ❤マンキニ❤おんっおぉ❤み、見られるのたまらぁん❤❤マンキニヒーローのちんぽ❤誰かシコシコしてくれぇ❤❤ザーメンまみれで❤今ならぐじゅぐじゅだぞぉおぉ❤マンキニ❤マンキニ❤』


 マンキニポーズで悦に浸っているのは、ルーヴァルデインだけではない。

 虎のアンテリバルは同僚のヒーローと並んでマンキニを行い、どちらが早く射精するか市民の賭けの対象となっている。

 クロックパンプのよき部下である黄色トカゲのヒーローは市民にちんぽをしごいてもらうことで、潮まで噴いている。


 そんな卑猥な行為をヒーロー活動と定義され、市民は喜んで享受する。

 地下街を過熱させる洗脳者の異常な価値観の中心には、黒と緑のリーダーがいた。


『お、おぉぉ❤❤マンキニ❤マンキニ❤リーダーたちのマンキニちんぽはどうだぁ?❤❤』

『すごすぎだろっ❤片手じゃ握りきれないくらいぶっとくて、血管ばきばきでエロすぎる❤❤』

『ふへぇ❤そうでしょうとも❤私たちはマンキニヒーローを導く淫乱変態ホモリーダーですから❤んっほぉ❤それに見合った勃起ちんぽは持たなくてはね❤❤マンキニ❤マンキニ❤』


 並んだ黒獅子とワニはがに股腋見せ待機ポーズのまま、間から背中越しに手を伸ばす市民に手コキされている。前面を隠さないのはカメラからよく見えるようにという配慮なのだろう。マンキニと叫びながら腰ヘコ運動する姿が、司令室の大画面に映った。


『マンキニ❤マンキニ❤おっおっおっおおおぉおぉ❤❤市民の手こきが❤ちんぽにきくぅ❤❤正義って気持ちいいぃ❤❤マンキニ腰ヘコ止まんねぇ❤へこへこ❤へこへこ❤』

『おっ、すっげえびくびくしてる❤射精した雄臭ヒーローちんぽグチャグチャ鳴ってるのやばすぎるだろ❤❤こんなちんぽでよく普通のヒーローやってたよな❤❤』

『ええ❤全くその通りです❤マンキニへこへこさいこぉ❤洗脳されなければ、私たちはちんぽを気持ちよくする正義に気づけないままでした❤❤へこへこ❤へこへこ❤あ、ああぁ❤カリ首の段差❤もっといじってくださいぃ❤』

『本当だよな❤ちんぽを気持ちよくすることこそ正義なのに❤俺たちって今まで何してたんだか❤ちんぽさえ気持ち良ければ世界は平和になるのにな❤❤へこへこ❤おほおぉぉ❤俺は裏筋が弱いんだ❤優しくひっかいてくれぇえぇ❤❤』


 筋肉で膨らんだヒーローより一回り以上小さい市民の手が、ちんぽにまとわりついたザーメンを泡立たせる。赤黒い巨根はまた射精しようとビンビンで、絶えず汁を漏らしていた。

 もはやアヘ顔が常時固定化されたマスキュリオンたちは、腰ヘコ運動すらもシンクロしている。がっちりと分厚い体をがに股で落としながら、市民の手をオナホのように使って快楽を得ていた。


『やっぱヒーローと言えばマンキニヒーローだよなぁ❤❤市民の手こき気持ちいいか?❤』

『当然だろ❤俺らマンキニヒーローは❤オナニーや男女のセックスより❤マンキニポーズとホモセックス、そして市民へのご奉仕が最高の快楽になるように洗脳されてんだ❤』

『おかげでもうオナニーなんてできません❤市民の皆さんへのご奉仕とマンキニポーズ❤これだけが正義を成すために必要なことです❤マンキニ❤マンキニ❤❤』

『さすがマンキニヒーローだ❤じゃあこの後はおれのちんぽも気持ちよくしてくれよ❤』

『わかってるって❤俺たちはマンキニヒーローを率いるリーダーだぜ❤ちんぽへのご奉仕は任せとけよ❤変態おっぱいで市民ザーメンをぴゅっぴゅっさせてやる❤マンキニへこへこきもちっ❤おっおおぉ❤裏筋やばぁ❤❤おっほぉまたいぐうぅ❤❤』

『ヴィランと戦うために鍛えたムチムチおっぱいで❤サンドイッチパイズリしてあげますからね❤ふへへ❤司令もぉ❤ちゃんと私たちのヒーロー活動を見ていてくださいね❤❤んふぅいぐいぐいぐうぅうぅ❤❤』


 市民に手こきされながらちんぽを突き上げる獅子とワニ。

 もはや敗北した今こそ幸福だと笑い、これこそが新しいヒーローだと突き付ける。


 狂った価値観を迎合した快楽は途方もなく、二発目のザーメンも全く衰えない勢いで、二人の頭上を越えていった。


『『マンキニぃ~~~~~❤❤❤❤❤❤』』


****


 マスキュリオンたちが敗北射精を楽しんでいる間、アガラリオラが何もしていないわけはなかった。

 司令室にはびこる陰鬱とした雰囲気を吹き飛ばすべく、竜は即座に声を張り上げ、マンキニ合唱の音声をかき消すくらいの勢いで指示を飛ばした。


「…………オペレーター、今すぐ六課を呼び戻すんだ!」

「はい……!」


 これで大半のヒーローが敗北したのだ。今更六課が科学技術研究所の制圧に成功したところで、事態が好転するとは思えなかった。

 それどころか、マスキュリオンの時のように洗脳されたヒーローが襲い掛かってくる可能性がある。科学技術研究所の手先と挟み撃ちに合う危険性を加味すれば、撤退しかありえない状況だった。


「六課が戻り次第、ヒーローシティから撤退する! 全支部に通達! これよりヒーローシティ本部を放棄するっ! 仮の本部設置に関しては規定事項を参照するように!」

「で、ですが、ジャラードさんたちがまだ……!」

「ここまで何の音さたもないんだ、おれは正直絶望的だと見ている。一課と三課に関してもあきらめるしかないだろう……!」


 あのジャラードが失敗したなど、アガラリオラは当然認めたくはない。だが、状況を判断すれば、それしか考えられないのだ。


「六課が戻ってくる間に、撤退準備を進めろ! ヴィランの手に渡してはならない情報はすべて破棄しておくんだ! これ以上、ヒーローという存在を汚させてはならん!」


――お前は目を離すとすぐ前線に行きたがるのだから困る。そういうのは私に任せておけばいいというのに。お前は司令室に座って、私をサポートすればいいんだ。そうすれば、どんな悪にだって負けないだろう。


 ふと、昔ジャラードに言われた言葉が竜の脳裏によみがえる。アガラリオラが司令官になってからも、あの龍はいつも気にかけてくれた。

 いつのまにか掌に爪が食い込むほど強く握っていたようで、少し血がにじんでいる。

 それだけの怒りを抑え込みながらも、アガラリオラは司令としての自分を見失わない。今できるのは撤退だと、思考の片隅はいつだって冷静だった。

 だからこそ、彼はヒーローにとっての希望の光であり、本人だけが気づいていないのだ。


 それから資料の整理やヒーローの個人情報の抹消など、彼らは本部を廃棄するにあたって必要な行動を迅速に行った。その間、マスキュリオンたちの高速マンキニポーズが流れていくが、もはやオペレーターたちも沈鬱な顔をするだけであり、手を休めることはなかった。


「マスキュリオン、クロックパンプ……ふがいない司令ですまない……!」

 

 洗脳に犯されたヒーローを救うこともできず、竜はつぶやいた。

 敗北してしまった二人に送る悔恨の視線は気づかれることもなく、今のワニと獅子は市民のちんぽをパイズリしながらヒーロー活動に勤しんでいる。アガラリオラが見てくれていると信じている二人だが、あまりの痛ましさに竜は直視に耐えないとばかりに目を伏せていた。


 だが、いつまでも顔を伏せているのは司令官としてあるまじきことだ。

 竜は毅然と面を上げ、オペレーターたちを鼓舞し続ける。


「オーダーハントたちの現在地は」

「そろそろ本部に到着します! 民間人たちとの遭遇も避けるようなルートを計算したため、少し時間はかかっていますが、安全に退避できています!」

「よし、そのまま気を抜かずに進めてくれ。洗脳されたヒーローをヴィラン認定し、シティにある対ヴィラン用のセキュリティを向けて六課をサポートしてくれ」

「……よろしいのですか? 自動防衛装置は殺傷力があります。マンキニで肌面積の多くなった彼らにはかなり効くかと思いますが……」

「構わん。大事なのは今無事な六課を守ることだ。放棄状況は?」

「支部へのデータ転送を第二、第三指令室総出で行っています。また、書類などに関しては職員たちが規定事項を参照し、重要度の高いものから順に処理しています」

「わかった。自分の部署の処理が終わった職員から避難通路を通って退避するように。警備員たちは職員の誘導を行い、速やかな撤退を心がけてくれ」

「はいっ! ですが、司令はどうされるのですか? 我らオペレーターはオーダーハントさんたちと撤退する予定ですが、司令は今すぐにでも撤退すべきではないでしょうか」


 司令官としての役目は本部を放棄することでほとんど終わっていた。いつかのために備えたマニュアル通りに行動するのなら、アガラリオラの指示はもう不要なのだから。

 それでも、竜は首を縦に振れなかった。振れるわけがない。


「おれに、お前たちを置いて逃げろというのか……」

「アガラリオラさんは責任感の強い人ですから、この状況に対しても責任を感じていると思います。ですが、貴方はヒーローにとって必要な人です!」

「だがわかっているはずだ! すでにほとんどのヒーローが寝返っている! こうなれば残るは本部の襲撃しかない! 例え六課が戻ってきたとしても、逃げることは難しいだろう! なら、おれも戦力として加わり、六課と協力したほうが成功率も上がる!」

「それで上がる成功率は微々たるものです! 数の暴力を前にしては、誤差じゃないでしょうか!」

『そうですよ司令!』


 一人で逃げることを渋る竜の耳に、大声が飛び込んできた。通信画面には六課リーダーオーダーハントが、真剣な顔でアガラリオラを射抜いていた。


『司令は司令官です! 全ヒーローのトップ! おれはアガラリオラさんやジャラードさんに憧れてヒーローを目指したんです! きっとそんなヒーローはたくさんいます! 司令はヒーローの希望なんです!』

「だが、お前を意味もなく科学技術研究所に送ったことで、後手に回ってしまった。読み違えたのだ、おれは。だからこそ、自分で責任を取らねばならない!」

『それは結果論です!』最年少のリーダーは怖い者知らずだ。『実際所長がヴィランだったことを突き止めたのも司令です! それが無ければ、もっと早くに本部は陥落してました! おれは、おれは……司令を守るために体を張れます! みんなだってそうです! だから司令は逃げて、次は絶対にヒーローを勝たせてください!』

「……ははっ」


 むき出しの感情を浴びて、竜は自虐気味に笑う。食い入るように画面から見つめてくる目が、昔の自分と重なってしょうがなかった。


「本当に、お前はおれの若い頃にそっくりだよ……」

『そ、そうなんですか?!』

「ああ、おれも昔、当時の司令官に食ってかかったことがある。あの時はかなり大目玉を食らってしまったし、同僚からも驚かれたよ。はあ……」


 若い世代は着実に育っている。それを実感して、アガラリオラは笑みがこぼれた。

 未来のヒーローに期待が持てるなら、自分がすべきことをしよう。それは司令官として、アガラリオラとして、未来へとつなぐ大事な仕事だ。


「司令官からの命令だ、絶対無事に帰還するように。……先に行くぞ、オーダーハント」

『はい! はい! 司令の期待を、我々は裏切りません! うおー! 六課進めー! 我々だけが残された希望なのだ! 絶対! 絶対に一人でも多く逃がすぞ!』


 頭ではアガラリオラもわかっている。ヒーローの象徴である自分が洗脳されてしまえば、支部にいるヒーローたちの士気にも関わるだろうということが。それくらい司令官という立場、アガラリオラというヒーローに対する信頼は強いのだ。


 実際、いくつかの支部より放棄指示を引き継ぐというメッセージが入っている。通信越しに指示を担当することでアガラリオラを撤退させようという、懇願にも近いメッセージだ。

 彼らは皆、オーダーハントと同じ気持ちだった。


「我々第一、第二、第三司令室はそれぞれ別の支部からの指示を仰ぎます。すでに通信網はプロテクトを万全にかけていますから、問題はありません。司令は退避する職員の先導をすべきです」

「…………そうだな。オーダーハントとも約束をした」


 それでも、竜は自分を責めずにはいられない。自分のような無能がむざむざと逃げたところでなんになると、牙を砕くほどの強さで噛みしめる。

 竜が首を回してみれば、司令室の全オペレーターがアガラリオラの撤退を希望しているのがわかってしまう。頭の冷静な部分ではそれが正しいと理解しているというのに、感情は少しでもあがきたいと、せめて一矢報いたいとわめいている。


 だが、アガラリオラはヒーローのトップ、司令官だ。

 さまざまな経験を積んだ司令官は、感情に振り回されるような判断を決してしない。


「……では」感情を裏切る言葉は舌にくっついてしまいそうなほど乾いていて。「おれはこれから退避する職員を先導し、ヒーローシティの外で支部のヒーローを待つ。…………すまない」

「了解です! これより各司令室は支部より指示を仰ぎ、放棄作業を継続します。司令……ありがとうございました」

「…………必ず、全員で撤退するように」


 アガラリオラがここで出来ることはもう何もなくなった。後ろ髪を強く引かれる思いではあるが、踵を返し、司令室を後にしようと一歩踏み出した。


 これで司令だけは助かる。オペレーターたち、ひいては支部のヒーローたちが安堵したその時。

 無力感に歯噛みする竜の耳に、今最も聞きたくない声が飛び込んできた。


『――――なんだお前❤まだ普通のヒーローなんぞやっているのか?❤』

 

 思わず足を止めた竜が司令官の席にある画面へと目を向ければ、そこには深い青の鱗を持つ龍が映っていた。

 長い間鍛え続けた巌のような肉体は筋肉の凹凸がすさまじく、綺麗な鱗と相まって作り物めいた雄々しさで構成されている。すべらかな薄いベージュの内皮とごつごつとした青の鱗はヒーローの間でも有名であり、人体の極致だとささやかれているほど。

 頭に生えた鹿のような角はどんな戦いにあっても折れることなく、彼の強さの象徴として語り継がれている。胸や腋には黄色の体毛を茂らせ、少し動くだけで雄臭さを醸していた。


 そんな彼、ジャラードは真っ赤なマンキニ姿と勃起ちんぽでその肉体美を貶めながら、カメラに向けてやれやれと首を振る。


『個別通信から失礼するぞ❤これで私の姿も見えているだろう❤マンキニっ❤』

「ジャラード……やはりお前も……」

『悪いなアガラリオラ❤私もかなり前から淫乱変態ホモのマンキニヒーローに洗脳されていたのだが❤マスターたちとのホモセックスが忙しく、連絡を忘れていた❤何があっても情報を送ると息巻いていたが❤ちんぽを優先してしまったというわけだ❤私もマンキニヒーローだからな❤ちんぽには逆らえん❤❤』

「マスター……つまり天候管理場が当たりだったわけか」

『ああその通りだ❤我ら一課三課のヒーローたちはマスター直々に洗脳していただき、全員が立派なマンキニヒーローになったのだ❤それからマスターの部下、つまりは科学技術研究所の職員たちのオナホとしてヒーロー活動をしていた❤❤もちろんその時の活動は記録してあるから後で見るといい❤人生で一度しかない、ヒーロージャラード敗北射精の瞬間だ❤❤』


 ジャラードの黄色の陰毛はどろどろに汚れて張り付いており、もはや何度射精したのかも分からないほどザーメンまみれになっている。綺麗な鱗もほとんどが汚されており、汗と精でくすんでいる。腋毛や胸毛もしっとりと汗で湿っていることから、淫乱なヒーロー活動で相当の体力を消耗してきたのがわかってしまった。


『マンキニヒーローは良いぞアガラリオラ❤❤我らヒーローはちんぽで団結すべきだったのだ❤そうすればどんな悪にも負けず、正義を執行できる❤❤我々がもっと早く気付いていれば❤マスターに敗北することはなかった❤❤』

「そんなふざけたこと、おれが認めるわけがないだろうが!」

『ああその通りだ❤お前の気持ちもわかる❤私の中にも、そのことに対する憤怒がわずかながらにある❤❤どうやら私は、自分が思っている以上にヒーローを愛していたようだな❤❤』

「だがお前は、マンキニヒーローなんてものになった!」

『ああその通りだ❤私の憤怒などしょせんちんぽの前では無力❤ちんぽを気持ちよくされれば抗えるはずがないのだ❤❤憤怒よりも射精❤これは雄として当然のことだろう❤❤雄とは射精するためだけに生きている生き物だとマスターは言っていた❤❤だから❤これから私はマンキニヒーローとして、ちんぽを気持ちよくする正義を執行するのだ❤❤❤ん~マンキニいぃぃぃぃ~❤❤❤』


 びしっとマンキニポーズでVの字を描けば、クールだった顔がでろりと蕩けた。長い付き合いの竜だが、ジャラードがこんなに情けない顔をしているところを初めて見た。

 今でこそ司令官としてアガラリオラを推しているジャラードだが、若い頃はかなりライバル視していたため、決して苦難にあえぐ顔を見せてはくれなかった。お互い落ち着いてからも、上に立つものとしての威厳を守るために動揺を出すことは控えている。

 アガラリオラは司令官として、ジャラードは一課のリーダーとして。彼らはヒーローたちの模範となるべく、常に正しくあろうとしていたのだから。


 そんな青く凛々しい龍は今、マンキニポーズをしながら顔を下品に崩している。もはや当たり前となったがに股で、シュッシュッと鼠径部をなぞった。


『マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤ふっはぁ❤ホモ童貞卒業ちんぽがビンビンに感じているぞぉおぉ❤❤マンキニヒーローの先達として言わせてもらうが❤すべてのヒーローはマンキニヒーローになるべきなのだ❤マンキニ❤マンキニ❤❤』

「お前のそんな姿を見たくはなかったな……」

『直にお前もそうなる❤マスターは私とお前を特に気に入っているからな❤❤そもそも今回の事件を起こしたのも❤マスターがヒーローシティをホモ専用発展シティにするためなのだ❤❤我らはマンキニヒーローとして、ヴィランもヒーローも関係なく❤ちんぽを気持ちよくするために働く未来がくるぞ❤❤❤』

「大した世界征服だ。それができるとは思えんがな」


 負け惜しみでも言わないと、竜は胸中で煮えたぎる激情を制御しきれない。昔から切磋琢磨してきたジャラードの敗北姿を前に、さすがのアガラリオラも打ちひしがれてしまう。

 どうやらジャラードは個別のラインを使って通信をかけているため、オペレーターたちからの報告が聞こえない。……とまで考えて、自分はもう指示を放棄したのだと思い至り、早く逃げようと元ライバルから視線を引きはがそうとする。

 せっかく彼らが稼いでくれた時間を、無駄にすることこそ失礼だ。


『……というかお前、悠長に私と会話しているが、報告が上がってきていないのか?❤なるほど、司令室の指示を他の誰かに任せたようだな❤お前が指示を人に任せることがあるならば……撤退する時か❤』

「だからどうした。現状を判断すれば、本部の廃棄は免れないだろう。科学技術研究所の所長がここを退廃の園にしたいのなら、そのあとに好きにすればいい」


 激情が荒れ狂おうとも、今更挑発に乗るような竜ではない。支部にも優秀なヒーローたちがいる。彼らが指示を担当してくれるなら、安心して任せることができる。


『なあアガラリオラ❤先の発言だが、マスターは私たちを特に気に入ってくれている❤たとえここをホモ専用発展シティに変えたとしても、我らはヒーローとして活動していいと許可してくれたのだ❤』

「そうか、あいにくおれは御免だ。おれらはもう、理想とするヒーロー像を違えている」

『ああ、お前がそう言うのもわかる❤だが、私はお前とマンキニヒーローになりたいのだ❤昔みたいに、現場で共闘するのも悪くあるまい❤❤』

「それはできない相談だ。じゃあなジャラード、今度はお互いまともな状態で会えるよう努力しよう」


 慣れ親しんだ声で不義理を吐く雑音が竜の頭蓋を不快に揺さぶる。盟友の壊れる姿を見ていられないと、これ以上の通信は時間の無駄だと打ち切って執務室へと急いだ。

 アガラリオラの執務室は司令官専用ということもあり、処分しなければならないものが数多く存在している。科学技術研究所の所長に渡してはならないものもあるため、自らの手で廃棄しなければならなかった。


 生体認証でドアを開け、足を踏み入れるとアガラリオラは目を疑った。

 そこには決していてはならない人が存在していたのだから。


「ああ、遅かったなアガラリオラ❤お前を待っている間、三回ほど射精してしまった❤❤さて、これはお互いまともな状態か?❤❤」


 司令官専用であり誰も入ることができないはずの執務室には、マンキニ姿のジャラードがいた。

 竜が何度確認しても、先ほど映像で見たままの無様な姿になった盟友が執務室の椅子に腰かけている。一瞬アガラリオラは立体映像を疑ったが、鱗を流れる汗の鮮明さは生々しすぎるために認めざるを得なかった。


「呼び出す手間が省けたな❤あの通信は本来、お前を呼び出すためのものだったのだ❤」

「なぜお前が……! ここはおれの執務室だぞ! それに、どうやってここまで……!」

「私は熟練のヒーローだぞ❤本部に備えてある数多くの秘密通路はほとんど把握している❤その中でばれずに行動するくらい、たやすいことだ❤私との通信時に、きちんと背景を見ておけばよかったというのに❤まあ、合成で適当な地下街を当てはめていたから、無駄だろうがな❤」

「ここは生体認証……だが、科学技術研究所の所長が前もって準備していれば、どうとでもなる、か……」

「ああ❤マスターはこの日のために入念に準備していたのだ❤執務室に入るくらい造作もない❤❤」

「だが、一課と三課の人数が同時に行動すれば、いくらなんでも……いや待て、お前……単独行動か?」

「もちろん❤私の部下には別の仕事を割り振ってある❤私がここに来たのは、アガラリオラ❤お前をマンキニヒーローに誘うためだ❤❤逃げられてはたまらんからな❤こうしてマスター直々の命令として、私が出てきたのだ❤❤」


 撤退準備として、アガラリオラはスーツにバイザーと、『雨』や『光』を遮断する装備を整えている。例えジャラードが殴りかかってきても、時間さえ稼げば警備員たちで取り押さえることができるはずだと計算していた。


 ここには極秘の資料も数多く、尻尾を巻いて逃げ出してしまっては今後の作戦に支障が出る可能性が高い。アガラリオラは被害が出ないようドアを閉めてから、龍を無視して司令室に通信を入れた。


「こちらアガラリオラ、緊急事態だ。本部内に敵勢力を確認。至急警備員を回してくれ――――」

『し、司令官っ! 急いで撤退してください! 司令官だけでも、早く!』

「……どうした?」

『六課が襲撃を受けました! 一課と三課のヒーローたちです! 今は交戦中ですが、オルタナヴィアさん率いる二課が加勢に向かっており、激戦が予想されます! また、四課と五課のヒーローたちが避難通路を抑えに向かっています! 今は火災用ゲートを下ろして妨害していますが、長くはもちません!』

「そうか……だがシティのセキュリティがある。決して不利な状況で戦おうとはせず、セキュリティを利用して戦うようにオーダーハントたちを誘導してくれ。『雨』にも対処できる六課とは違い、マンキニ装備の彼らはガスなどにも弱いはずだ。鎮圧用ガスなどで対処するために、セキュリティの遠隔操作を担当するオペレーターを割り振って作業に当たるように……なんてこと、おれが言う必要はないか」

『いえ、了解しました! 支部長にも進言しておきます。オーダーハントさんたちには科学技術研究所の鎮圧用に持ちだした装備があります。負けることはないかと思いますが、マスキュリオンさんたちのこともありますから……』

「ああ、決して気を抜かず、慎重に対処してくれ」


 警備員たちは避難通路の確保と誘導に手を取られている。マスキュリオンたちが向かっている以上、ここでジャラードを鎮圧できるだけの人手を回してしまえば、撤退作業に支障がでる。

 今は四課と五課よりも早く撤退を済ませるべきだ。そのために必要なことを、司令官は冷静に計算した。


「一応確認するが、一課と三課のヒーローは全員確認できているか?」

『いえ、ジャラードさんだけは見当たりません……!』

「それなら問題ない。ジャラードは執務室にいる」

『えっ! それはどういう……!』

「おれを迎えに来たのだそうだ。執務室を遠隔でロックし、おれの指示があったとしても絶対に開けないようにしてくれ」

『待ってください! 司令一人では危険です!』

「本部のど真ん中で、洗脳光を放つヴィランを野放しにできない。おれが時間を稼ぐ。六課が戻りしだい本部を完全防護体勢に移行し、誰も入れないようにしてからオペレーターたちは六課と共に撤退するように」

『それでは司令が逃げられませんっ!』

「この状況、おれはもう詰んでいる。非洗脳者かどうかの区別がつけられない以上、おれは洗脳されたものとして扱い、司令の座から抹消し権限をはく奪しておいてほしい。そして、撤退時に権限を凍結、マスターなるものが司令の権限を決して使えないように本部を守ってくれ」

『……了解、しました』

「それとオーダーハントに伝えてほしい。約束を守れなくて悪かったと」


 力なくつぶやいたオペレーターとの通信を切り、アガラリオラは悠然と座っている龍へと視線を向けた。


「これで満足か? おれを孤立させるために、わざわざこんな所で待ってたんだろう」

「ああ、実にいい手際だった。やはり司令にふさわしいのはお前だ❤」

「今のお前に言われても嬉しくはないな」

「そうだろうな❤だが、お前はこれからマンキニヒーロー司令官として、この街を導いていくんだ❤新しい自分を受け入れたほうがいい❤」

「そのためにわざわざおれだけを狙ったのか。ご苦労なことだ」


 オルタナヴィアもマスキュリオンもジャラードも、洗脳されてなおアガラリオラを司令官へと推している。そして、自分の身一つで時間が稼げるのなら、この竜はためらわずに差す出すことができる。


 竜は手慣れた動作で棚からカップを取り出し、コーヒーを淹れる。『雨』が降ってから怒涛の展開が続いていたせいで、こうして落ち着いた時間を取るのが随分と久しぶりに感じていた。

 

 部屋は隔離され、もはや出ることは叶わない。いくらヒーローが人外のりょ力を誇るとはいえ、ここはそのヒーローたちの本部、その心臓ともいえる執務室だ。多少暴れた程度で逃げられるとは、ジャラードも思っていなかった。


「お前も飲むか?」

「もちろん。ガムシロップとミルクを忘れるなよ」

「わかってる。大体おれはブラック派だから、ここにあるのは全部お前が自分で持ってきたものだぞ。おかげで一部の職員から、おれの方が甘党だと思われてる」

「別にいいだろうが。誰が甘党でも。見た目で判断するなど、私はヒーローとしてどうかと思うがな」

「マンキニ姿のお前に言われたら、他のヒーローもびっくりするだろうな」

「ふっ、違いない」


 そして差し出された二つ分のカップから、香ばしい匂いが立ち登り部屋の雰囲気を落ち着かせていく。

 アガラリオラがこの部屋を使うようになって生まれた日課のような光景だが、そこに笑顔はない。彼らはもう立場を違えている。


「まさか拳ではなくコーヒーをもらうとは、お前も丸くなったな」

「今さらお前を殴ったところで、何も変わらないだろうが。おれがお前を倒して執務室を出たところで、時間を稼がれて終わりだ。お前がそうやすやすとやられてくれるとは思えないし、マスキュリオンあたりに加勢されるのがわかりきってる。むしろ、こうやってお前の足止めをしている方が本部にとって一番だろうな」

「互いの実力はお互いが一番把握しているからな。戦いの癖も何もかも、私たちは知り尽くしている」

「長い付き合いだからな……」


 たとえジャラードを倒したとして、アガラリオラが満身創痍になっているのは想像に難くない。そんな状況で逃げ切れるとは思えない上に、六課の足を引っ張る可能性の方が高い。オーダーハントは決して竜を見捨てない故に、共倒れも考えられるのだ。

 マスキュリオンの例を見ればわかる通り、一撃ですら致命傷になるうる状況ではアガラリオラの方が圧倒的に不利だ。もしこの竜が洗脳されてしまえば、本部の撤退作戦は壊滅するだろう。


 だから、アガラリオラは自分にできることをしている。今すべきことは、この龍を足止めし撤退をスムーズに進行させる、それだけだ。


 ジャラードのアガラリオラを手に入れるという目的はすでに達成されている。洗脳されていないという証明は難しく、汚染を食い止めるためにアガラリオラ自身が自分を切り捨てたのだから。

 もしアガラリオラが洗脳されたうえでのうのうと支部に身を寄せれば、それこそマスターの世界征服の駒になってしまう。


 そんなことを、この竜は絶対に許せなかった。

 

「自分で淹れたくせに、飲まないのか?」


 全く手の付いていないコーヒーを見ながら、龍は問うた。


「いつもの癖で淹れてしまったが、ガスマスクをしていたことを忘れていた。外して即座に洗脳されたくないんでね。飲んでいいぞ」

「ガムシロップとミルク」

「ほらよ」


 招かざる客人へとぞんざいに投げて渡してから、アガラリオラは書類棚を漁りだす。


「機密書類を整理する。さすがにこれくらいは許されるだろ?」

「いいだろう。私が命令されたのはお前の確保だけだ。その書類がいかに大事かはヒーローであった私は理解している……こういうのを最後の良心とでもいうのだろうな」

「…………」


 洗脳されねじ曲がったとしてもジャラードなのだと、書類をシュレッダーにかけながらアガラリオラは内心で歯噛みする。いっそのこと完全なる別人になってしまえば、罪悪感も少しは減っていただろうに。


 すでに立場を違えたふたりの間に、沈黙が舞い降りる。竜が書類やデータを整理している間、耐えきれずに口を開いたのは龍の方だった。


「お前、そこまでマンキニヒーローになるのは嫌か?」

「当然だろうが。お前も洗脳される前はそうだっただろ」

「まあな。だが、なってみて初めて気づく良さがある。尿道が破裂しそうなほどの射精をした瞬間、私はこのためにヒーローになったのだと思い知ったのだ❤❤」


 そこで龍は飲み終えたカップを机に置いて立ち上がる。すっかり汗はひいていたが、ぼさぼさになった黄色の体毛のまとまりにその残滓が残っている。そこに精液も混ざっているのは明白で、ガスマスク越しではあるが竜は鼻をつまみたい衝動にかられた。


 鍛え上げた肉体を竜の前に差し出して、ジャラードはにやりと笑う。

 青い鱗に黄色い体毛、そして真っ赤なマンキニ。ヒーロースーツは白であったはずなのだが、確かに赤の方が鮮烈でより滑稽だった。


「オルタナヴィアやワイドストローク、さらにはクロックパンプやマスキュリオンのマンキニ射精を見て❤まだヒーローなどというものにこだわっているのか❤まったくお前は、怒ると視野が狭くなる癖は変わらないな❤司令官として悪い癖だと、あれほど私が忠告しただろうに❤❤❤」

「ヒーローは今も昔もおれの中心だ。それを足蹴にするようなやつに、何を言われても響かないな。書類整理の邪魔だ、どいてくれ」

「仕方がない❤本来なら力づくでお前を洗脳した方が良いのだろうが❤お前とは昔馴染みだ❤マンキニヒーローの素晴らしさを理解したうえで洗脳してやったほうが、マンキニヒーロー司令官としてすぐ馴染めるはずだ❤だから今度はこの私が、お前に最高のマンキニ射精を見せてやろう❤❤❤」

「お断りだ……なっ!」


 ジャラードがマンキニに耽溺している隙を突いて、アガラリオラは思いっきり蹴り上げた。そのまま流れるような体術を叩きこみ、龍を床へと鎮める。

 竜の行動に躊躇は一切なく、これまでのうっ憤を晴らすような勢いだ。そんなものを受ければ、さすがのジャラードも耐えられない。呻く龍はようやく、自分が愚かなことしたのだと悟る。


「お前……まさか、最初から……」

「当然。ヒーローは最後まであきらめないなんて、常識だぞ。……ああでも、お前はもうヒーローじゃなくて、マンキニヒーローだったな」


 悠長にコーヒーを淹れたのも、書類整理をしながら背中を向けたのも、すべてジャラードを安心させるため。抵抗の意志がないと思わせるためだ。

 そうすれば性欲に支配されたこの龍は勝手に隙をさらしてくれる。今まで多くのマンキニヒーローを見てきたアガラリオラには確信があった。


「おれもイラついていてな、手加減できなかった。動けないとは思うが、念のため拘束させてもらう」

「まったくお前は……ごほっ、短気なのは相変わらずか」

「そんなこと、お前が一番知ってるだろうが」

「そう、だったな……お前は昔から短気で、諦めの悪さはヒーローでトップだった……」


 これで洗脳の危機は去った。その上機密情報の死守も完了している。

 的確に仕事を終えた竜は、通信を入れた。


「司令室、聞こえているか。これまでの会話はすべて聞こえていたはずだ」

「通話を繋げたままだったのか……」

「これでおれが洗脳されていないと判断できるなら、扉のロックを解除してくれ」


 自身の会話内容を筒抜けにさせることで、身の潔白も証明している。アガラリオラはどんな状況においても、活路を見出そうとあがくヒーローだ。本人がどれだけ前線を希望しても、彼を司令官にと推す声が多いのはそのためだった。


 だが、その声に応える者は誰もいなかった。


「……たとえ全員が撤退し司令室に誰もいなかったとしても、支部と繋がるはずだ。権限も一部は支部が遠隔操作で担当しているだろうに」


 嫌な予感が胸をかすめるが、そんなことこの状況になった時点ですでに覚悟を決めている。


 勝手に執務室の扉が開いた時、アガラリオラは自分の考えが正しいことを知った。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニいいいぃいっぃぃぃ~~~~❤❤❤❤」


 青の混じった綺麗な灰色の毛皮を持つ狼が、ショッキングピンクのマンキニを着て廊下に立っていた。トレードマークでもある元気でやかましい声を張り上げて、体全部を使ってマンキニポーズに精を出している。


「オーダーハントっ! どうしてお前がここに。撤退したのではなかったのか?」

「マンキニ❤マンキニ❤はいっ! 我々六課はオペレーターの皆さんと共にシティからの逃走に成功いたしました! 我々は! 司令のご期待に応えたのです!」

「それで、お前だけおれを助けに戻ってきたのか……」

「その通りです! マンキニ❤おれは絶対に司令を置いていくことはできませんでした! その結果、こうして洗脳されてしまいましたが! マンキニ❤ 司令もマンキニヒーローになるのなら! ご一緒できて本望です! マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」

「あの通信でおれの無事は確認できていたが、状況を判断すればお前はおれを置いて行くべきだった。そういうところは似なくてよかったというのに……」


 立場が逆なら、昔のアガラリオラは絶対に同じことをしていた。その確信があるからこそ、強く言うことはできなかった。


 アガラリオラの時間稼ぎは成功し、オペレーターたちを逃がすことに成功したが、本部は陥落し、竜は一人取り残された。

 つまり、完全に詰んだということだ。


 その証拠にオーダーハントの後ろには、新たな司令官を迎え入れようとすべてのリーダーたちがマンキニポーズで待ち構えている。


「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」


 オルタナヴィアもワイドストロークもクロックパンプもマスキュリオンも。

 全員がマンキニ勃起しながら下卑た顔でアガラリオラを見つめている。尊敬に情欲を植え付けられた彼らにとって、今やアガラリオラは性欲の対象としても最高の司令でもあった。


「マンキニ❤」赤のマンキニを着た二課のリーダーオルタナヴィアが。「しゃあっ❤ようやく司令とマンキニできるんですね❤❤この時を待ち望んでました❤これからもご指導ご鞭撻のほど❤よろしくお願いしマンキニ❤❤」


「マンキニ❤」黄色いマンキニを着た三課のリーダーワイドストロークが。「やはり我らの司令はアガラリオラしかおらぬ❤❤司令のマンキニ姿を想像するだけで、ちんぽが❤マンキニ❤たぎってしまう❤マンキニいぃ~❤❤」


「マンキニ❤」青いマンキニを着た四課のリーダークロックパンプが。「私たちがなぜ負けたのか❤司令もすぐにわかるでしょう❤やはりどんなに鍛えても❤ちんぽには勝てませんからぁ❤ん~マンキニマンキニマンキニいぃぃぃ❤❤❤」


「マンキニ❤」赤いマンキニを着た五課のリーダーマスキュリオンが。「がはは❤司令もただのヒーローなんてやめて❤俺らみてえな淫乱変態ホモヒーローになろうぜ❤俺の処女マンコは司令のために取っといてあるからよ❤初体験、しようぜ❤」

 

 誰もかれもがぎらついた目で竜を狙っている。それはリーダーたちだけではなく、通路いっぱいにひしめくマンキニヒーローたちもそうだ。

 すでに本部は陥落し、残されたのはアガラリオラのみ。完全な孤立無援となってしまった。


「……ふう、こうなってしまえばどうにもならなさそうだな。オペレーターたちが撤退できたことを喜ぶべきか」


 ジャラードが受けた命令からもわかる通り、この竜の囮としての性能は高い。それはここにリーダーたちが集まっていることからも明白だった。アガラリオラは執務室に閉じこもることで、自分を犠牲に本部の職員たちを救ったのだ。


 などと頭ではわかっているが、この竜は諦めの悪い男だ。すでに拳は握られ、豪気な肉体から放たれる覇気がたるんだマンキニ脳のヒーローたちへと吹きすさぶ。

 元部下に暴力を振るうことに胸は痛むが、竜が感情に振り回されることは決してない。ここで少しでも被害を与えることで、目をひくことで、外に逃げた数少ないヒーローたちの負担を減らすことが、今できる最善だった。


「だが、おれはヒーローシティ最後のヒーローとして、徹底的にあがくとしよう!」


 負け戦を前にしても、竜は牙をむいて笑った。

 ヒーローアガラリオラは決して諦めないのだから。


****


 ヒーローシティがマンキニヒーローシティに名前を変えてから、この街の常識もがらりと変わった。

 マンキニヒーローたちは常にがに股マンキニポーズで街を巡回し、市民の要請に応えてちんぽを気持ちよくする変態集団へとなり果てた。乞われれば口だけではなくアナルすらも差し出し、精液をところかまわずまき散らしている。

 そのため、ほとんどのヒーローが股間から泡やら精液やらをこぼしており、街の雄臭イメージアップに貢献していた。彼ら自身も屈強であるために、雄臭さを煮詰めた存在と化している。むしろ、市民の性欲を煽るためなら、彼らは喜んで筋肉を見せつけてくれるだろう。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」


 ドームに包まれた都市の空をサイのマンキニヒーロー、ルーヴァルデインが飛ぶ。

 がに股のまま移動できるよう開発された空飛ぶスケボーのような器具、フローティングボードが街中を飛び交う光景も日常だ。マンキニヒーローたちは空を行きながら、マンキニの合唱で街を賑わせていた。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤今日もマンキニヒーローシティは異常なしっ❤❤マンキニ❤おおぉう❤マスターが管理するようになってから、この街は本当に素晴らしくなった❤いつでもちんぽが気持ちいいぃぃ~~❤❤❤太陽に向かってマンキニヒーローザーメン発射ああぁ~~~❤❤❤」


 サイちんぽからどぴゅどぴゅと白濁が撃ちあがれば、自然の摂理に従って地面へと堕ちていく。だが、市民たちは精の塊が降ってこようとも気にすることはなく、それどころか上を見ることもしない。マンキニヒーローの射精は、もはや日常の一部でしかないのだ。


 そしてそれは、マンキニヒーローの本部となった場所も変わりない。

 元々有事に備えて広く作られた通路では、フローティングボードに乗ったマンキニヒーローたちががに股のまますれ違うことも可能だ。ちんぽをいきり立たせたヒーローたちが行きかう本部は都市のどこよりも雄臭い。一歩足を踏み入れれば、様々な淫液にまみれた筋骨隆々の雄たちがひしめいている光景が広がっている。


「それではマンキニヒーロー会議を始める」


 その一角にある会議室では、マンキニヒーローの今後を決める話し合いが開かれていた。リーダー以上しか参加できないこの会議は、すべてのマンキニヒーローたちの指針を決める大事な場だ。

 そのため、広い部屋でがに股浮遊する七人のヒーローたちが、マンキニポーズのまま真剣な顔を突き合わせていた。


「まずは、都市全体における洗脳状況の確認からだが、五課の尽力により都市に住む人たちすべての洗脳が終わった。それにより、マスターからお褒めの言葉をいただいている」

「言葉だけじゃなくって褒美ももらってるぜ❤」


 司令の言葉に黒獅子が補足を投げる。市民の洗脳は五課の仕事であり、マスキュリオンはそれを完璧に成し遂げたのだ。


「褒美として、司令を五課の肉便器に貸し出してくれるってさ❤がっはっはっ❤この会議が終わったら、俺とたっぷりセックスしような❤❤マンキニっ❤❤マンキニっ❤❤」

「仕事を頑張った部下には褒美をやらないといけないからな。おれの体でいいのなら安いものだ」


 マスキュリオンはこれからのことを想像してたぎってきたのか、鼻の穴を膨らませながらマンキニポーズを繰り返す。どれだけでも精液が出せるように改造された金玉は握りこぶし以上の大きさになっており、両玉がマンキニからはみ出してぶらぶらと揺れていた。

 マンキニヒーロー全員が精力増強手術を受けているが、肥大化処置をするかは人それぞれだ。そんな中で、マスキュリオンのデカ金玉はがに股マンキニポーズをより無様にすると、市民から好評だった。


 逆に白虎のワイドストロークなどは、マンキニに納まる大きさが至高であり、そびえるちんぽを際立たせるには金玉が邪魔だという信念がある。そのため、ワイドストロークの金玉はしっかり収納されており、ちんぽだけに視線を集中させることができるようになっている。

 黒デカ金玉のマスキュリオンと白ちんぽのワイドストロークと言えば、シティでも指折りのセックスシンボルだった。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤おっほおぉぉ~~❤わりぃ❤一発出すわ❤マンキニマンキニマンキニマンキニマンキニ❤マンキニいいいぃぃぃぃ❤❤❤❤」


 舌ピンのけぞりアクメを決めた黒獅子のちんぽから、ドバドバとザーメンが迸る。噴火と表して差し支えないほどの勢いは、易々と天井に当たり、向かいにいたオルタナヴィアに降りかかる。


「お゛んおぉおぉ?!?!❤❤雄臭ぇ❤デカ金玉のザーメンえぐすぎだろぉがよ❤❤うんまぁ❤おっおっおっおおぉぉ❤❤すっげ❤まだ出るのかよ❤うちのスタンヴァルドにも見習わせてえもんだ❤うへへ❤❤❤」


 大口開けて降り注ぐザーメンを飲むシャチは、おいしそうに咀嚼しながら緩んだ顔で笑った。それからもったいないとばかりに体に付着したものまで丁寧に掬い、指をしゃぶりながら堪能していく。


「マスキュリオン」

「わーってるって❤一発出したら落ち着いたし、お゛っお゛っ❤続けていいぜ❤」


 だがこんな有様では会議が続けられない。司令は一言たしなめてから、次の報告を読み上げた。


「次に、六課の増員についてだが、マンキニヒーロー養成所からの卒業生を当てるつもりだ。しかし、さすがに全員新人となるのは問題だ。そこで一課から数名、経験のあるヒーローを移動することになっている」


 事件の時にオーダーハント以外のヒーローは逃げてしまったため、今の六課はリーダーのみという異常事態になっている。それを解消すべく、元ヒーロー養成所から人員を補強しようという話だ。

 本部にあるヒーロー養成所ということで、そこにいる卵たちは優秀な者が多い。事件で彼らのほとんどもマンキニヒーロー見習いになったことで、ちんぽを気持ちよくすることが正義だと洗脳されてしまっている。


「オーダーハント、悪いが新人ばかりということもあって任務に出せるのはまだ先になる。しばらくは市民のちんぽに奉仕することを優先してくれ」

「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤了解しました!!!❤おれは❤六課が再興するだけでも満足です❤❤マンキニ!❤❤❤」

「うっせぇ……」


 思わずマスキュリオンが耳をふさぐほどの音量で、ピンクのマンキニ狼は吠えながらポーズを繰り返す。マンキニヒーローになってからというもの、オーダーハントの声量は良くも悪くも目立っており、元気が有り余っているのがよくわかる。

 射精時に上げる嬌声が誰よりもうるさい男なのだ。おかげでオーダーハントにヒーロー活動をさせる時は室外にしてほしいと、市民からの陳情が来ているほどだった。


 ちなみに、狼の金玉は元からでかいため、たまにポロリと零れることがある。それでも大きすぎると走るのに邪魔で、小さいと情けないからと現状維持のままである。


「オーダーハント、また声量で苦情が来るぞ。オホ声遠吠えも悪くはないが、時と場所を選べるようになってくれ。お前はこれからまたリーダーとして活動するんだ、模範になることを意識するように」

「……りょ、了解しました❤マンキニ❤」


 耳を伏せてシュンとしながらも、しっかり胸を張ってポージング。少し皮の被った極太ちんぽも、反省の意味で先走りをとろりと垂らした。

 それを確認した司令が次の議題へと進もうとしたとき、高らかに掛け声が響く。


「マンキニ❤」オルタナヴィアが挙手の代わりにマンキニポーズを行って。「でも、マンキニヒーロー養成所の卒業生がすべて六課に流れちまえば、他の課の人手不足は解消できないですよ。ただでさえ、マンキニヒーローシティの噂は広まってて、発展目当てのホモちんぽたちがたくさん来てるっつうのに」

「一理あると進言します」クロックパンプが冷静な顔でマンキニをしながら。「我々もちんぽを気持ちよくする世界征服のために日夜活動をしていますが、やはり、市民の皆様に奉仕をしたいと望む部下もいます。各課での任務が違うため比較はできませんが、四課でいうのなら支部への潜入調査などで街にいないことが多いです。そのために市民からちんぽを気持ちよくしていただけないのは、部下たちの士気に関わると警鐘を鳴らします」


 陥落したヒーローシティだが、それでも需要がなくなったわけではない。

 それどころか、屈強な元ヒーローたちが常にちんぽに奉仕してくれるようになった退廃の楽園として有名になっており、観光客が倍増している。風紀の乱れは著しいが、前よりも盛況になっているのは間違いなかった。


 ヴィランが管理する都市ではあるが、やはり、正義の味方だったものを犯したいと考えるヴィラン予備軍は世界各地にいる。彼らが集まったことで、この街はヴィラン組織としても無視できない規模に成長していた。


 そんなちんぽたちのお世話をするのもマンキニヒーローたちだ。マスターの客人として紹介されてしまえば、彼らはどんな要求も受け入れてアヘってしまう。そして、それこそが正義だと認識しているのだから、救いようがない状況だった。


「それもそうだが」ワイドストロークがマンキニを引っ張りながら。「最も優先すべきはマンキニヒーロー活動だとマスターも言っていただろう。我らはヴィランではない、ヒーローだ。ちんぽを気持ちよくする活動は正義であり、そこに貴賤はない。だが、固執してばかりではヒーローとしてどうかと思うぞ」

「そうだぜ」マスキュリオンがちんぽからザーメンを掬って舐めながら。「俺らはヒーロー。淫乱変態ホモではあるが、決してちんぽの付属品じゃねえんだ。射精するだけじゃヒーローにはなれねえ。マンキニ射精を広めてこそのヒーローだろうが。そこはお前の統率で何とかならねえのかよ」

「真理ですが、やはりマンキニヒーローにとってちんぽを気持ちよくできるかは死活問題です。潜入中の性欲を解消するために、彼らがどれほど頑張っているか。リーダーである私は訴える必要があります。」

「ふむ、どちらも一理ある」


 司令が発言すれば、全員の視線は赤い体へと向かう。がに股のまま、竜はすました顔で会話を誘導していく。マンキニ洗脳されていても、リーダーたちの竜への信頼はみじんも揺らいでいなかった。


「もちろん、対策も考えている。今はマスターのご助力を得て、収容所にいるヴィランをマンキニヒーローにできないか実験している。ジャラード」

「わかった」青い龍がマンキニをしながら会話を受け継いだ。「これはホモ受けしそうな見込みのあるヴィランを洗脳し、マンキニヒーローにする計画となっている。六課に部下を送った後、空いた席に彼らを座らせる予定だ。この『ヒーロー化計画』に参加するヴィランについては、配った資料に記載してあるから目を通しておいてくれ」


 マンキニポーズで両手が使えない彼らの前に、ホログラムで情報が開示される。そこにある顔はどれもヴィランらしく凶悪だが、経過を追うにしたがって蕩けた情けないものへと変わっていた。

 そして、そんな非人道的な行為を目の当たりにして、非難はどこからも上がらない。正義を執行する上でマスターの意見は最重要であり、異議を唱えるという発想すらないのだ。


「まずは戦闘経験があり、即戦力になりそうなやつをピックアップした。指名権は私に一任されているが、司令の目も通っている。また、今後有用そうな人材はマンキニヒーロー養成所に送ることを予定しているため、人材は今後増える見込みだ」

「なるほど、わかりました。この情報があれば、四課の皆も納得するでしょう」

「それならよかった」竜は破顔して。「今後、マンキニヒーロー養成所とヴィラン収容所は一課の管轄とし、見込みのある人材への教育を担当することになった」

「まったく、前線に行ける課のリーダーだというのに、やってることは後進育成。お前と変わらんな」

「お前もいい歳なんだから、そろそろこういうのもいいだろ」

「ふん、だが一課の本分は都市防衛だ。また支部からヒーローどもがちょっかいをかけて来た時は、私が出るぞ」

「はいはい、それはもう好きにしてくれ」


 ヴィラン都市として認定されたマンキニヒーローシティを、ヒーローたちは取り戻そうと狙っている。そして、それを阻むのは元ヒーローであるマンキニヒーローたち。

 洗脳された彼らは自身の植え付けられた正義のために、元同胞と戦うことも辞さないのだ。それどころか、捕まえたヒーローを洗脳してマンキニヒーローにすることが、世界のためであると信じ切っている。


 だから、ワイドストロークがマンキニしながら自身の仕事を報告する時も、自信満々に胸を張れるのだ。


「それに加えて、マンキニヒーローシティの外からヒーローやそれに準ずる有能な人材を誘致し、洗脳する仕事を、三課が担当している。我の部下たちは様々な場所に潜入し、たくましい雄たちとスケベセックスをしながら、マンキニヒーローの素晴らしさを説いているのだ。誘致した人材は三課の新人として扱っていたが、これからはマンキニヒーロー養成所へと送ることをジャラードとも協議済みだ」

「ああ、いくらマンキニヒーロー養成所とはいえ、新入生が来ないなど話にならんのでな。いまだ我らの正義が理解されない世界では、新人を呼ぶのも一苦労だ」

 

 彼らが傾倒する正義は洗脳で植え付けられたものであり、本人たちもそれを理解している。だというのに、ちんぽを気持ちよくされることに逆らえず、悪逆こそ正義と思い込んでいた。

 それが世界をむしばむことだと昔の自分が言うこともわかったうえで、新しい価値観が正しいのだと認識している。

 なぜなら、ちんぽが気持ちいいから。それだけが、彼らの正義だ。


「マンキニっ❤❤」すでに先ほどの忠告を忘れてオーダーハントが元気よく。「それなら、司令室のオペレーターはどうなるのでしょうか? 洗脳前のおれが全員逃がしてしまったので、皆さんのご迷惑になっているはずですが……」

「そうだな、それも火急の案件だ。今はマスターの部下たちが担当してくれているが、彼らの本分は研究員。早く専属のオペレーターを入れなければならない。それについては、マスターのヴィラン時代の知り合いを呼び寄せる手はずとなっている。ヒーロー達に妨害されて合流が遅れているが、オルタナヴィアからの報告では問題なく進んでいるそうだ」

「おう! オペレーター候補の護衛は二課の仕事だからな。途中報告は受けてるぜ。マスターの元手下だけあって、どいつもこいつもど変態でいいちんぽだそうだ。毎晩乱交してるおかげで士気も悪くねえし、安心していいぜ。到着後は任務完了をねぎらう意味も込めて、二課全員で歓迎乱交する予定だから、暇があったら来てくれよ」

「わかりました! それなら新人たちの顔見せもかねてお邪魔しようと思います」

「では、次の報告だが……」


 それからいくつかの議題が飛び交い、確認事項が共有されていく。都市の要である彼らには、常に考えなければならない議題が数多く存在しているのだ。

 もちろん、話してばかりではない。息抜きと称してたまに射精しているせいで、会議室の床はザーメンまみれになっていた。


「……こんなところか、みんな長い間ご苦労だった」


 議長を務めた司令――アガラリオラがリーダーたちに笑いかける。

 孤立してから鬼神もかくやという働きをしたアガラリオラだが、数の暴力によって捕まり、結局はこうしてマンキニヒーローの司令官として働くよう洗脳されてしまった。

 今では前も後ろもどっぷり雄の味に浸り、ホモセックスを日常とする変態たちのトップに落ち着いている。ちんぽを気持ちよくする正義に傾倒し、たびたび街頭ビジョンでマンキニポーズやホモセックスを配信するようになった成れの果てだ。


 赤い鱗は歳を感じさせないくらいに艶がよく、肉体の隆起も相まって実年齢には絶対見えない相貌をしている。とくにマンキニヒーローになってからは、人目を意識したケアをしているため以前より若返っていると評判だった。

 手足が動くたびに筋肉が膨れ上がり、これまではスーツに押し込められていた肉体が解放感に盛り上がっている。初めてこの竜のマンキニ配信が街頭に映った時、よこしまなファンたちがこぞって撮影しに来たのは伝説になっていた。


 そんな平均的な男性の倍以上はあろうかという腕まわりは、しっかりと鼠径部に添えられている。マンキニヒーローを束ねる者という意味が込められた七色のマンキニに、この肉体美はミスマッチが過ぎた。


「それでは最後に、全員でマンキニ射精を行いマスターへの忠誠を示そう。お前たち、準備は良いか?」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」


 返事の代わりにマンキニポーズで応えたリーダーたちを一瞥して、竜もまた追従する。

 脳みそに刻み付けられたポーズは快楽と連動して、期待に震えた七本のちんぽがぶるりと汁をこぼす。会議中に何度も射精した後とあって、竜以外の六本のちんぽからはとろとろと粘液が滴っていた。


 アガラリオラだけは議長として会議を進行させなければならず、ずっと射精を我慢していた。おかげでスリットから伸びる勃起は赤く張りつめており、太い血管を稲妻のように走らせて雄々しさを強調している。

 すました顔をしていても性欲は竜を苛んでおり、会議中は絶えず浅ましい腰ヘコ運動をしていた。べちんべちんとちんぽが腹筋を叩く音がずっと響いていたものの、それは他のリーダーも変わらない。マンキニポーズをしていないときの彼らも、アガラリオラに合わせておちんぽドラミングをしていたのだから。


 だが、これでようやく射精ができる。アガラリオラは鼻の穴を広げて下品な呼吸を漏らす。んふっんふっ、と発情丸出しの表情へと変わり、我慢できないと口唇を何度も舐め上げる。

 これが司令官の今。ヒーローとしての能力を肥大化した性欲の発散に捧げる変態だ。


「それではマンキニポーズ、構えっ!❤❤❤」

「「「マンキニ❤」」」


 フローティングボードの上で、腰を落として構えるヒーローたち。正義のために鍛えた体は、マンキニのために鍛えたと同義だ。どっしりとした足腰は筋肉の塊であり、誰もが丸太のような太ももを張り詰めさせている。


 全員のボードは徐々に間隔を狭め、ぶつからないぎりぎりまで接近する。筋肉で膨らんだ鉄壁の肉体から発せられる臭気が中央で凝縮され、ヒーローたちの鼻腔を刺激した。

 アガラリオラが視線を下ろせば、そびえる七本のちんぽが射精を待ち望んでひくついているのが見える。張り出した胸を持っているため、自分のちんぽの全長は望めないが、先端から汁をこぼしている様子は確認できた。


 いつの頃からか、会議終わりのマンキニはこうして肉薄するのが慣例になっていた。

 近づくことで彼らの様子がよく分かり、全員が発情臭を漂わせて相互に興奮させる性の循環が生まれる。マンキニポーズを取っていなければ、腰ヘコ運動でおちんぽドラミングする雄が出ていたことだろう。


「マンキニポーズ、開始っ❤❤」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」


 そして始まる、元ヒーロートップたちのマンキニポーズ。

 この世界すべてのヒーローを並べてみても、彼らの肉体は特別だ。日々の研鑽によって生まれた筋肉のキレは深く、鼠径部で腕を上げ下げするだけで隆起がはっきりとわかる。

 肩の筋肉も異様に発達しているため、盛り上がった丘陵がマンキニのストリングスをはさむほどだ。日夜戦うために鍛えた体は、それ自体が兵器と言っていいだろう。

 

 そんな七人が必死にVを描きながら、マンキニコールを響かせる様は滑稽としか言いようがない。さらに本人たちは大真面目で、快楽を感じてちんぽを震わせているのだから、他のヒーローから憐れまれるのは当然でしかなかった。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」

「ちんぽを震わせてマンキニ❤胸を張ってマンキニ❤おマンコをうずかせてマンキニ❤マンキニこそ❤ヒーローの基本❤❤すなわち❤我らリーダーは基本に忠実でなければならない❤❤それを忘れないように❤マンキニっ!!❤❤❤」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」

「特に、お゛おっおん❤❤オーダーハントはっ❤これから六課のリーダーとして❤新人たちの模範にならねばならん❤❤マンキニ訓練をっほおぉ❤怠らないようにっ❤❤❤」

「マンキニっ!!!!!❤❤❤❤もちろんです司令❤❤司令のご期待を❤おれは❤裏切りませんっ❤❤必ず六課のみんなを立派なマンキニヒーローにして❤任務を❤果たしてみせますっ❤❤❤マンキニ❤❤❤❤❤」

「だから、うっせえっての……❤❤」

 

 隣にいるマスキュリオンが顔をしかめるが、マンキニポーズは止まらない。

 肉薄したせいで唾なども飛んでいるが、それに対しての文句が出てくることはなかった。全員がキスやクンニを通して体を重ねた穴兄弟であり、唾液どころか愛液の味も知っているのだ。今更過ぎるエチケットでしかなく、むしろ喜んですらいた。


 マンキニポーズを開始してから、会議室の空調は切られている。そのため締め切った部屋は暑苦しさを増していて、彼らの鱗や毛皮に汗が滴っていく。オイルよりずっと卑猥に筋肉を輝かせる体液をまとい、彼らはポーズを決めながらちんぽに快楽を叩きこむ。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤お゛おおぉ~~❤❤マンキニがちんぽにくるぞおぉおぉ❤❤んぎもぢいぃ❤マンキニヒーローになっでから❤ちんぽがこんなにも硬いっ❤❤マンキニ❤マンキニ❤」


 レインボーマンキニから鉄のように硬くしたドラゴンちんぽを勃起させ、アガラリオラは眼球を裏返す。

 洗脳されてからというもの、毎日の活動にやりがいを感じている。もとから前線に行くことを希望していたため、市民のちんぽにご奉仕できる今こそ、竜は自身が望むヒーロー活動ができていると納得していた。

 司令官としての人気故に、公衆便所としても引く手あまたで。ひとたび外に出ればすぐにまわされて、ぼろクズのようにアヘる肉塊に落ちるまで使われた後、路上に放置されてしまう。

 さすがに仕事に支障が出るため、見回りの回数は多くないのだが、それでも竜は満足していた。


 けばけばしいマンキニに身を包み、体すべてを使ってちんぽのために働く。植え付けられた価値観と相まって、アガラリオラは人生の絶頂期にいるのだと胸を張ってマンキニを繰り返していく。

 

「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤こんな素晴らしい活動をっほぉ❤教えてくれたマスターに感謝のマンキニっ❤❤洗脳していただけた感謝のマンキニ❤❤これからもマスターのために働き❤マンキニヒーローとしてマンキニし続けよう❤❤マンキニ❤マンキニ❤まんっきにいいぃぃ❤❤❤」


 快楽に脳が茹れば、歪な価値観がさらに染みこんでいく。昔のヒーローだった自分に何の価値も見いだせず、快楽を貪ってマンコ肉や乳首を肥大化させていくことが必要な訓練だったのだと、愚かな自分を悔いてすらいる。


「マスターは最後まで無駄な抵抗をし❤機密情報やオペレーターを逃したおれを見捨てずに司令官にしてくださった❤❤その恩情に❤応えねばならん❤❤このドラゴン勃起ちんぽに誓って❤❤萎えることない忠誠を約束するのだ❤マンキニマンキニマンキニマンキニマンキニマンキニ❤❤」


 デカパイにある突起は散々弄られて成長しており、ぷっくりと乳輪ごと膨れて赤く色づいている。淫乱なトグルスイッチは少しいじられるだけで射精できるほどの感度を手に入れて、しゃぶられる時を今か今かと待っていた。


 ヒーローだった時には使ったことのないスリットも、立派な性感帯だ。指一本でも入れば、敗北アクメで潮を噴いてしまう。仮に洗脳が解けたとしても、真っ当な生活などできないくらいにアガラリオラは、ひいてはマンキニヒーロー全員の体は開発されている。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤各リーダー❤マンキニ点呼開始❤❤」

「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤一課リーダージャラード❤マンキニ勃起びんびん❤びんびんびんびんちんぽっ❤❤❤ちんぽっ❤ドラゴンちんぽはいつでも準備びんびんちんぽで万端だ❤くっふぅう❤下品単語がマンコに効くなぁ❤❤ホモ覚醒させてくれたマスターのために❤最高の射精を約束しよう❤マンキニ❤❤」


 深い青に赤いマンキニを着た龍は、胸毛をもさもさ揺らしながら緩んだ笑みで宣言する。

 すっかり淫乱変態ホモになったジャラードは長年の親友でもあったアガラリオラとセックスすることが多く、本部の淫乱ドラゴンズと呼ばれている。

 全身が鱗で覆われてごつごつとはしているがむっちりとしたアガラリオラと、黄色の体毛豊かで腋マンコの需要も高いジャラードは、シティの外に輸出しているエロコンテンツでも売り上げ上位を叩きだしていた。


 そんな二人は最近引っ越しを済ませ、同棲を開始した。ヒーロー活動一筋だった彼らは長い間独り身だ。元より引退したら老後は一緒に暮らすかと酒の席で何度か話していた二人だが、この度洗脳されたことで、ついにその機会がやってきた。

 当然引退したわけではないが、敗北をいいきっかけだととらえたのだろう。休日になると普通の恰好をした赤と青のドラゴンズが、やいのやいの言いながら庭先で土いじりをしている光景を見ることができるはずだ。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤二課リーダーオルタナヴィア❤マンキニ勃起で金玉フルチャージ!❤おれが真っ先に無様洗脳されちまったせいで❤こんなことになっちまって❤罪悪感でちんぽびんびんっ❤❤やっぱり気持ち良すぎて逆らえねえ❤❤洗脳してくれたマスターに❤感謝のマンキニ射精準備❤❤マンキニ❤❤」


 黒と白の体に赤いマンキニを着たシャチは、泣き笑いのような中途半端な表情に崩れながらも弾んだ声で宣言する。

 自分のせいでヒーローが負けたのだと理性は叱咤しているが、その理性も洗脳で与えられた価値観を迎合してすぐに納得してしまう。ただ、心の奥底にある大事な部分が必死に叫んでいるようで、二度と負けないためにと訓練に精を出すようになっていた。

 それが結局マンキニヒーローの強さにつながっているのだが、オルタナヴィアにとって負けないことが大事であり、それがヒーローであろうがマンキニヒーローであろうが変わらない。

 今のシャチにとって、ヒーローとはマンキニヒーローなのだから。


 彼の部下も同様であり、おかげで二課は本部の中でも屈指の武闘派として名高くなった。あの新米だったスタンヴァルドも、支部のヒーロー相手に大立ち回りができるほど成長し、今では最前線に配属されるほどだ。

 シャチにしてみれば今でも可愛い部下なのだが、スタンヴァルドはその評価を覆して頼れるマンキニヒーローになるために、日夜訓練に励んでいる。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤三課リーダーワイドストローク❤❤我こそ何もできずに敗北し❤この街をドスケベシティに変えた軟弱者❤❤初心に戻って精進し、今度こそマンキニヒーローとして活躍してみせる❤❤フリーおマンコ❤フリーマンキニ❤機会をくれたマスターに感謝のマンキニ❤マンキニ❤」


 白い体に黄色いマンキニを着た白虎は、アヘりそうな表情を何とか抑えて真剣な顔を作って宣言する。

 自分にも他人にも厳しいワイドストロークは戦闘訓練を増やしたのはもちろん、休日だろうとセックスボランティアに参加して訓練に励んでいる。おかげで生殖器の使い過ぎでドクターストップがかけられてしまい、おマンコ禁止令を出されていた。

 そんな中でも手こきやパイズリなど生殖器を使わない方法を鍛え上げ、本部の中でも屈指の色狂いと評判になっている。ワイドストロークの手にかかれば、誰であれ三こすり半になるともっぱらの噂だ。


 最近では初心に返るため前の上司であったジャラードに師事を乞い、二人でマンキニ訓練しているところを良く目撃されている。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤四課リーダークロックパンプ❤シコシコしたさに自分から敗北しに行った過去を反省し❤立派にちんぽを鍛え上げました❤おかげで空気オナホに腰ヘコするだけで射精するようになりました❤ふへ❤ふへ❤ちんぽの気持ちよさを教えてくれたマスターに❤ワニちんぽびゅーびゅー射精を捧げます❤マンキニ❤」


 緑の体に青いマンキニを着たワニは、鼻水をこぼしながらニタニタと笑って宣言する。

 無表情が標準だった過去とは違い、赤らんだ下品顔を良く見せるようになった結果、四課の部下からも親しみやすくなったと評判だ。

 ヒーロー時代はオナニーすらもしていなかった反動か、マンキニヒーロークロックパンプは下品すぎるドスケベに進化した。淫語はもちろん、汚い音をたててのフェラなども好むようになり、自らザーメン排出アクメを街頭ビジョンに流したいと司令に提案するほどだ。

 それが好評であったため、司令含めたリーダーたちの排泄アクメシリーズは世界中でオナネタとして親しまれている。

 

 エロコンテンツはマンキニヒーローシティの資金源の一つだ。クロックパンプはその才能を見込まれて、四課は潜入調査の他にエロ企画部との合同開発を任されることになった。おかげでマンキニヒーローのAV男優として有名なのは、そのほとんどが四課のヒーローたちだ。

 根が生真面目すぎるワニは部下たちと共に、毎日市民のちんぽに訴求できるエロを探索している。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤五課リーダーマスキュリオン❤司令とセックスさせてくれたマスターに感謝のマンキニ❤❤おっほおっほおおぉぉ❤❤デカ玉ぶらぶらマンキニ最高だぜっ❤おらっ❤おらっ❤淫乱変態ホモにふさわしい金玉ンキニポーズだ❤❤司令っ❤俺に興奮してくれぇ❤❤マンキニ❤」


 黒い体に赤いマンキニを着た獅子は、こぶし大の金玉を揺らしながら得意気に宣言する。

 金玉が肥大化したせいで元から持っていたジーパンなどを全部処分する羽目になったが、本人はこれがマンキニヒーローとして最高の格好だと自負している。

 マスキュリオン自身の人気もあって、マンキニヒーローたちの中には金玉を膨らませる者も多い。そのため、黒獅子主体でデカ金玉ンキニヒーローショーが開催されることもある。並んでマンキニポーズを取るヒーローの後ろから手を伸ばし、デカ金玉を揉む握手会のようなイベントの評判は良好だった。


 また、たびたびアガラリオラの新居に遊びに行くことがある。というよりかは、入り浸っていると言っていいだろう。これじゃ二人暮らしなのか三人暮らしなのかわからん、とジャラードに肩をすくめさせているくらいだ。

 洗脳によって尊敬を恋慕に捻じ曲げられた、とは本人の談だが、オルタナヴィアに言わせればツンデレからツンが消えただけとのこと。

 本人も自覚していなかった恋心を発芽させられた黒獅子は、現状に幸せを覚えている。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤六課リーダーオーダーハント❤この中では一番の若輩者ではありますが❤❤熱意ならだれにも負けません❤❤マンキニヒーローの素晴らしさを世に広めるために❤これからも❤全力で❤マンキニをしていきます❤❤マスター❤司令❤六課の存続を許可してくれて❤ありがとうございますのマンキニ❤うおー❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニいいいいぃ❤❤❤❤」


 灰色の体にピンクのマンキニを着た狼は、遠吠えしながらあらん限りの力で宣言する。

 六課の人員はリーダーを残して逃げ出したせいで、彼一人だけの課とも言えない状態だった。そんな中でも六課再興のために走り回り、マンキニヒーロー養成所の臨時教官や他の課の任務に着いていき勉強し直すなど、最大限の努力をしてみせた。

 最初こそオペレーター不足も加味し、六課の統廃合なども視野に入っていた。こうして新人をもらえるようになったのは、ひとえにオーダーハントの熱意のたまものだった。


 落ち着きのなさにさえ目をつむれば十分有能な人材であり、リーダーたちにとって可愛い後輩だ。アガラリオラも可愛がっており、オーダーハントも兄のように慕っている。

 そんな二人に向けるマスキュリオンの複雑そうな顔を、ジャラードやオルタナヴィアはニヤニヤしながら酒の肴にしていたりもする。セックスに対しての垣根は皆無だが、人間関係の悩みは洗脳されても消えたりはしないのだ。


「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤よし❤全員金玉にマンキニヒーローザーメンをチャージできたな❤❤マンキニヒーロー司令官アガラリオラ❤以下リーダーたち❤これより我らを洗脳し敗北させてくれたマスターに対し❤感謝のマンキニ射精を捧げる❤❤マンキニ❤」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」


 赤い体に虹色のマンキニを着た竜は、堂々とちんぽを勃起させながら宣言する。

 輸出されるエロコンテンツの人気はうなぎのぼりで、この竜はもはやマンキニヒーローシティだけでなく世界中のセックスシンボルとなった。司令官として従事してきたアガラリオラの経歴をかすめ取るような所業だが、当の本人はヒーロー活動ができて満足気だ。

 それこそがマンキニヒーローだと思っているのだから、嘆く必要などどこにある。例え逃げ出したヒーローやオペレーターが心を痛めていようとも、それは竜には届かない。


 司令官としての能力は健在で、一科学者でしかなかったマスターの右腕として働くことでシティの周囲へ着実に勢力を広げている。

 世界中のちんぽを気持ちよくすれば平和になる。それがねじ曲がったアガラリオラの持つ信念、そのために、今日も元気に射精するのだ。正義の名の下に。


「ちんぽを気持ちよくしていただきありがとうございます❤❤❤マンキニ❤❤❤」

「「「ちんぽを気持ちよくしていただきありがとうございます❤❤❤マンキニ❤❤❤」」」

「淫乱変態ホモにしていただきありがとうございます❤❤❤マンキニ❤❤❤」

「「「淫乱変態ホモにしていただきありがとうございます❤❤❤マンキニ❤❤❤」」」

「マンキニヒーローにしていただきありがとうございます❤❤❤マンキニ❤❤❤」

「「「マンキニヒーローにしていただきありがとうございます❤❤❤マンキニ❤❤❤」」」


 誰もが間抜けな顔で快楽のために無様なポーズを繰り返す。どれだけ汗をかこうとも、疲労を感じようとも、無様であろうとも、すべてちんぽのために正当化される。

 合唱の隙間にこぼれるアヘオホとした声が快楽の強さを物語り、膨らんだ鼻から性欲たぎった呼吸が汽笛のように鳴り響く。体内で欲望を燃やして走る蒸気機関車は射精するまで止まれない。


「マンキニちんぽを近づけろぉ❤❤❤我らリーダーのザーメンを一つにすることで❤❤マンキニヒーローの結束を示すぞ❤❤高らかに❤マンキニ❤気持ちよく❤マンキニ❤正義の❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」」」


 ヒーローたちは腰を突き出し、びくん、びくんと震える七本のちんぽをできる限り近づける。どれも太くたくましい雄々しさの権化であり、筋骨隆々とした肉体にふさわしい造形だ。

 そして、垂れる糸も七本分。ボードに繋がるほど濃い粘液は釣り糸を思わせ、竿を揺らしてちんぽを吊り上げようとする姿は変態ホモそのものだ。

 射精をしていないアガラリオラ以外のちんぽには白濁がまとわりついており、膨らんだ血管と赤黒い肉、それらを彩る白のコントラストは雄性の凝縮だ。放たれる魅力もすさまじく誰もが口内に唾を溜め、思う存分しゃぶりたいと欲望が走り出す。

 オーダーハントやオルタナヴィアなどは、舌先で空気をペロペロ舐めるようなしぐさをしながら、アヘアヘと笑って興奮に溺れていた。


「ち、ちんぽしゃぶりてぇ❤❤❤」シャチがおちょぼ口から舌を突き出しながら。「ちんぽ❤ちんぽ❤❤ちんぽしゃぶって口マン中出しされてええぇぇぇ❤❤口マンコの中でザーメンブレンドして❤ザーメンうがいでくちゅくちゅして❤ごっくん❤❤仕事終わりにザーメンきめるのたっまんねえんだよなぁ❤マンキニっ❤❤」

「おれは鼻の穴に突っ込まれたいです❤❤」ふごふご狼がよだれを垂れ流しにしながら。「口も鼻も❤全部にちんぽほしいぃ❤❤ザーメン鼻提灯作って❤市民の皆さんにぃ❤喜んで欲しいですうぅ❤マンキニっ❤❤❤」

「おほぉ❤それは素晴らしいですね❤❤」ど変態になったワニがニタニタしながら。「私も❤ふへ❤この前、ザーメン鼻提灯を付けたまま❤のけぞりマンキニを披露しましたよ❤❤もうっ❤すんごい気持ちよくってへぇ❤❤市民の前で、嬉ションまで❤んっ❤しちゃいましたぁ~~❤❤マンキニマンキニぃ❤❤」


 完全に終わってしまった性癖を楽しそうに話すヒーローたち。それでも手は休まず、ちんぽは爆発しそうなほどいきり立てている。

 マンキニヒーローとして、ポーズ中に自分の射精を管理できるようになるのは基本だ。それもリーダー格ともなれば、常人がオナ猿に成り下がるほどの性欲を持ちながらも、雑談までできるのだ。


「まったくお前らは❤」だが、龍がそれをたしなめる。「今はマスターに捧げる感謝マンキニの途中だぞ❤雑念を入れるなど、言語道断だろうが❤こうしてマンキニ❤だけに集中マンキニ❤するのが礼儀だろうがマンキニ❤」

「っま、いいじゃねえかよジャラードさん❤」取り持つのは黒い獅子。「マスターは俺らがドスケベマンキニヒーローになることを❤望んでんだろ❤こうして変態性欲をっほぉ❤見せつけるのも❤感謝を示す一つの方法だと❤俺は思うぜ❤マンキニ❤マンキニ❤」

「マスターはお優しいからな❤そういうことに、してやろう❤それに❤私もザーメン鼻提灯は嫌いじゃないからな❤❤この前も❤アガラリオラと共に顔射してもらったとき❤二人で鼻面をこすり合わせて❤どちらが大きい提灯を作れるか競ったが❤確かに漏らしそうになるほど気持ちよかった❤❤マンキニ❤」

「普通に死ぬほどうらやましいやつっ❤❤❤❤司令っ❤今度は俺と鼻面キスしようぜっ❤❤マンキニマンキニマンキニっ❤❤」


 マスキュリオンが目を輝かせながら竜へ視線を向けるが、アガラリオラはもはやそれどころではなかった。

 口端から舌をはみだし、眼球は天井を向いている。伸びた鼻面には鼻水が乗っており、議長だった頃の精悍さは消失していた。

 それでもマンキニだけはしっかりと行っていて、起伏の強い肉体にキレのあるポーズがなおのこと表情との落差を演出している。


「んほぉ❤ふへっふへえぇ❤❤ちんぽが気持ちいいぃいぃ❤確かにこれこそが正義だ❤雄とは❤ちんぽを気持ちよくするためだけに生きる生き物❤❤マスターは正しい❤❤だからこそ❤ヒーローは負けたのだ❤ヒーローは全員❤マンキニヒーローになるべきなのだぁ❤❤マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤」

「あーあ、司令ぶっ飛んじまってるわ❤やっぱマンキニヒーローって❤脳みそにザーメンしか詰まってねえもんな❤そういうところも可愛いぜ❤❤」

「進行のために射精をしてなかったせいだな❤それでも射精を耐えるとは、さすがマンキニヒーロー司令官だ❤❤私ならおもらし射精をしていたな❤❤」

「ふへっふへっ❤マンキニヒーロー司令官になれて❤最高だぁ❤ちんぽさえ気持ち良ければ❤世界は平和になる❤これこそ真理❤真理のマンキニ❤ちんぽ❤きもぢいいぃぃぃぃ❤❤❤❤マンキニ❤」

 

 頭が馬鹿になってもマンキニを繰り返す竜を、リーダーたちは口々に誉めそやす。彼こそマンキニヒーローを導く男だと、無様アヘ顔マンキニ姿のアガラリオラこそ、司令官にふさわしいと。

 

 会議室の外に漏れ聞こえそうなほどのマンキニ大合唱によって、彼らの射精欲は際限なく高まり続けていく。どれだけでも射精できる変態性欲を持つ雄に、最高のおかずであるリーダーたちをあてがっているのだ。

 互いが互いのおかずでありオナホでもある彼らは、むせかえるようなフェロモンを嗅ぐとどうしても発情してしまう。事実、会議中の射精が息抜きにもならないくらい、彼らの金玉はパンパンだった。


 アガラリオラは自身の限界を、すなわちヴィランであるマスターへの感謝が最高点に達したことをちんぽで理解する。


「か、感謝がちんぽに溜まるううぅぅ❤❤海綿体のすべてに❤マスターへの感謝が詰まっていく❤❤痛いくらいの感謝でちんぽびんびん❤❤変態勃起は感謝のしるし❤正義の証のフル勃起❤❤❤ぎもぢいぃ❤おっふぅうぅ❤マンキニ❤マンキニ❤」

「「「マンキニ❤マンキニ❤マンキニ❤変態勃起は感謝のしるし❤」」」


 蒸されたサウナのような雄密度の中、マンキニポーズはラストスパートだ。その空気を感じ取り、リーダーたちも竜に続くために雑談を封印してポーズに集中していく。

 山のように盛り上がった体躯が一部の乱れもない統率されたマンキニを繰り広げる。紐を左右にずらすほどでかいおっぱいを弾ませて、片手が回りきらないほどでかいちんぽを躍らせて。

 彼らは最高に無様な姿をさらし、射精を希ってあがき続ける。


「感謝ああああぁ❤❤❤おほぉ❤おっほぉぉぉ❤❤感謝の射精❤準備❤❤❤射精❤射精いいぃいぃぃ❤❤❤変態ホモマンキニヒーローよ❤永遠なれ~~~~❤❤❤」

「「「変態ホモマンキニヒーローよ❤永遠なれ~❤❤」」」

「いくぞ❤❤いくっ❤ちんぽから❤司令官ザーメンでっるううぅうぅぅ❤❤❤❤マンキニヒーローザーメン❤❤発射~~~~❤❤❤❤」

「「「マンキニヒーローザーメン❤❤発射~❤❤❤」」」


 これが元ヒーローのトップだった者たち。誰よりもたくましい肉体を持ち、誰よりも強い意志をきらめかせていたはずの、世界の守護者だった人たち。

 そんな彼らの尿道を一斉に白濁が駆け上がる。脳には膨大な多幸感が生まれ、全員の顔がひょっとこアヘ顔に崩れて上を向く。

 今まで生きてきた幸福をすべて集めても、マンキニには敵わない。この瞬間のために、彼らは世界を裏切り変態ホモになったのだ。


「「「マンキニぃ~~~~~~❤❤❤❤❤」」」


 七人分のザーメンが、頭上を越えて高らかに飛ぶ。

 マンキニヒーローシティは、今日も平和だ。


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POSTEDJun 28, 2024
ARCHIVEDJun 10, 2026