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極擽道
(F/F)
己の手の中で、それが必死に酸素を求めてもがいているのを、"柘榴(ざくろ)"はただ見つめている。
風呂桶いっぱいに溜めた水にぶくぶくと泡が広がり、水面をボコボコと膨らませても、柘榴はその頭を水に沈め続ける。
やがて泡が立たなくなり、その身体が小刻みに震え始めてようやく、柘榴は髪を掴んで頭を引き上げてやる。
「ぶはぁっ!!!はぁはぁっ!!」
六十秒ぶりに酸素のある世界へと引き上げられた女は、ぐずぐずの顔で口をぱくぱくとさせている。
もう許して。とか、ごめんなさい。とか、言う通りにします。とか。
多分そういうことを言おうとしている。
でも、言葉はいらない。
柘榴はまた、女の頭を湯船に沈める。
柘榴は暴力が嫌いだ。でも、暴力は相手を服従させるのに最も効果的な方法なのだ。
だから仕方なく、こうして使っている。
「南方ぁ。お前は頭が良いだろ。だったらどうするべきかは分かってるはずなんだよ。私の側につくのか、それとも向こうにつくのか」
水に沈めた女の耳元で柘榴は囁く。
「まさかお前が向こう側にいこうと思ってるなんてさ、私は思いもしなかったんだ。悲しいよ。私は」
柘榴はまた、女の顔を水から引き上げる。
涙とか鼻水とか唾液とか。そういうものが全部、女の顔を汚している。
「また一緒に仕事しようよ。ねぇ」
柘榴は南方の髪を掴みながら、化粧は崩れ、不気味な面のような顔となった顔を覗き込む。
「く、組長…」
柘榴が南方を洗い場に放り捨てると、廊下に正座させ、並べてある女どもが弱々しい声を上げる。
「"瀧奈"。こいつらは任せるよ」
柘榴はそう言って立ち上がる。
そばにいた"瀧奈"が、羽織を柘榴に着せ、柘榴の背に彫られた"牛を喰らう孔雀と牡丹の鮮やかな刺青"が隠れる。
「ようやっと出番ですか」
瀧奈はクイと丸いサングラスを指で押し上げた。
180の長身に、後ろで束ねられた長い髪。手脚も長く細く引き締まった肉体からは凶暴性が常に滲み出ている。
瀧奈は拷問が好きだ。
拷問のために仕事をしていると言っても過言ではない。
だからこそ危険だ。
やり過ぎることもよくある。
瀧奈は元々、"大陸"でとあるマフィアに仕えていた。
そこでは今よりもずっと、"やり過ぎて"いたようだ。
だがここは"大陸"ではない。
やり過ぎは許されない。
やり過ぎればお縄だ。
「やり過ぎるなよ」
柘榴はそう言って、南方の事務所を出た。
事務所の戸を閉めるが早いか、事務所からはすぐに悲鳴が響き渡った。
瀧奈のお仕置きタイムだ。
極道の世界から男が消えて数十年。
極道は女が取り仕切る世界となった。
頭の良さと強さこそがものいう世界。
故に、この世界は若い女たちばかりである。
柘榴も若くして今の座に上り詰めた。
とはいえ、上に立ってからも苦労ばかりだ。
少し前に大きな勢力争いが勃発し、柘榴もその中心にいる。
既に死者は9名。逮捕者が4名出ている。
柘榴としてはこれ以上、抗争を悪化させたくはないのだが、この抗争を上手く利用してさらに権力を得ようとも考えている。
だがそう簡単にはいかない。だから、柘榴は禁断の手に打って出た。
癒着している地元警察との取引だ。
取引が成立すれば、地元警察をさらに引き込むことができ、ほかの組を丸め込むことができる。
取引成立のため、地元警察が求めてきたのは、瀧奈の引き渡しである。
柘榴も、瀧奈のその手綱をいつ握れなくなるかなど分かったことではない。
柘榴からしても、瀧奈の引き渡しは悪い話ではなかった。
だから、今日、あらかじめ警察に南方の事務所に瀧奈がいることをリークしておいた。
瀧奈は今、南方たちを暴行している。そこを、現行犯で逮捕させるのだ。
柘榴は事務所に戻り、畳の上であぐらをかき、煙草を吸う。
これで抗争は終わるし、さらなる力も得られる。
犠牲となった瀧奈には悪いが、抗争とはこういうものだ。
ふぅ。と柘榴が煙を吐いたその時。
外から何か呻き声が聞こえたかと思うと、ガラッと戸が開いた。
事務所内がどよめく。
「お前っ──」
事務所に現れた女の姿を見た柘榴も口をぽかんと開け、煙草を落としてしまう。
瀧奈だ。
組員が即座に瀧奈を取り押さえようとするが、すぐにねじ伏せられた。
動きも、力も、全てが人間離れしている。
瀧奈は土足のまま、座敷に上がった。
「お前…仕事は──」
水面下で行ってきた取引が瀧奈に漏れたとは思えない。
これは何かの間違いだ。
柘榴は冷静さを装いながら、ガラスの灰皿を手に取る。
「仕事?南方の連中ならすぐ解放しましたよ」
「珍しいこともあるんだね…?それで?なにをそんなに取り乱してる」
「取り乱してるのはそっちでしょう?」
瀧奈が手を伸ばす。
何百人も犯してきた大きな手。
柘榴は咄嗟に灰皿を振り上げるが、瀧奈のデカい手に手首を掴まれ、そのままぽーんと放り投げられた。
宙を舞った柘榴はテーブルの上に落下し、ソファを突き飛ばした。
「柘榴組長。そんなに私が邪魔でしたか?」
瀧奈は、土間に転がった柘榴を見下ろし、くすりと笑う。
「お前…な、何の話を…」
「とぼけないで下さいよ」
瀧奈が戸の方を見る。
外から、ぞろぞろと見覚えのない女たちが入ってきた。
首や腕にびっしりとタトゥーの入った長身の女や片眼の白い金髪の女…どいつも明らかに普通の空気を纏っていない。
「"大陸時代"の仲間です」
「お前、何考えて…」
「これからは好きにやらせてもらいますよ」
「ここは大陸じゃないよ…?」
柘榴は起き上がり、武器になりそうなものを探るが、ない。
「分かってますよ。だから別にあなたを殺しませんよ。ただ、極道の柘榴という人間は殺させてもらう」
瀧奈は煙草を咥えた。
「ふ、ふざけるなっ!!」
柘榴が瀧奈に掴み掛かる。
だが、鳩尾に一発、重いのが打ち込まれ、柘榴の口から唾液が溢れ出し、柘榴はその場にうずくまる。
「極道は、勇ましく死ねれば本望。逆に…みっともない姿で死ぬことが最も辛い死に方だと言いますね」
瀧奈が屈み、うずくまる柘榴に煙を吐きかける。
「けほっ!!はぁはぁっ…なんのつもりだ…」
大陸時代の友人たちとやらが、柘榴を取り囲む。
全員から、異様なほどの血生臭さを感じる。
「組長には、この世界で最も辛い方法で死んでもらいます」
瀧奈が言った直後、柘榴は頭に何かを被せられ、視界が真っ黒になった。
◯
車で別の場所へと運ばれたのち、柘榴は冷たいコンクリート剥き出しの床にゴミのように放り捨てられた。
衣服は全て剥ぎ取られ、両腕は後ろで縛られ、両足首もダクトテープでぐるぐる巻きにされている。
タトゥーまみれの女がバケツをひっくり返し、床で転がる柘榴に液体をぶっかけた。
「ぶはっ!!?なんだっ!?油っ…!?」
全身を一瞬にしてヌルテカにコーティングしたそのヌルヌルとしたものをぺろりと舐め、柘榴は顔を歪ませる。
「火でもつけて炙ろうって?」
「まさか…そんな野蛮なことしませんよ」
瀧奈はそう言って屈み、柘榴の太ももに向かってそっと指を伸ばす。
「ねぇ姉貴…」
瀧奈の黒い爪が、太ももにぴとっと触れる。
びくんっと柘榴の脚が震える。
「噂で聞きましたよ。姉貴ってかなり敏感なタチだって」
「く、くだらない話を…!!陵辱でもするのか…?」
「するのはもっと楽しいことです。私、考えたんですよ。敏感な柘榴の姉貴をずっと擽り続けたらどうなるか…。どれほど滑稽だろうかと」
「はぁっ?」
柘榴は思わず眉を吊り上げた。
残忍な元妹分が何を言っているのかまるで分からなかった。
「なにをっっ──んむぅっ!!?」
突然、視覚からタトゥーまみれのデカい手が伸びてきたかと思うと、それは柘榴の鼻と口を塞いだ。
突然、呼吸口を奪われた柘榴は目をぎょろりと剥いてもがく。
口を塞いでいるタトゥー女がそのまま柘榴を引っ張り、自分の股の間に柘榴の頭を挟んだ。
「くすぐりの刑といえば子供間でのお仕置きだ。でも…どうです?大人が本気で寄ってたかって一人を擽り続けたら…それはもう生き地獄になる」
瀧奈は己の白くて大きな手の指を開き、伸ばし、曲げた。
見かけによらず、しなやかな指をしている。
女たちが無力な柘榴を取り囲み、血生臭くも妖艶な手指たちを伸ばしてくる。
「んん"っ!?」
柘榴は無意識に身を捩った。
たかが指の何が怖い?
擽りが怖いのか。
そんなわけない。あんなものは子供の遊びに過ぎない。
それなのに──。
コショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショ!!
「む"ぅっ!!?ぶふふふふふふっっ!!?んぅぅぅふふふふふふふっ!!?」
女たちの無数の爪がコショコショと滑らかに柘榴の鮮やかな表皮を這い回り、柘榴の腹は勝手に震えて勝手に笑い声が漏れる。
柘榴はぐねっぐねっと魚のように身を捩るが、艶やかな爪の先は表皮に吸い付いたように離れず、コショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショコショと動き回り続ける。
「ぶふふふふふふっ!!?あめぇっ!!!あ"めろぉぉっ!!っっふふふふほほほほほほほっっ!!?んぉほほほほほほひひひひっ!!?」
やめろ。触るな。殺すぞ。そう言いたくても言葉にならず、顔も勝手に笑顔に変形する。
怒りが込み上げているはずなのに、顔は笑っている。
プライドと体力がジワジワと犯されて行くのを感じる。
「苦しいでしょう?擽りは立派な拷問方法ですからね。大陸時代…よく使っていたんですよ」
瀧奈はくすくすと笑いながらその長い指を柔らかくうねらせ、爪の先で横っ腹をコショコショと引っ掻く。
普段の暴力性からは想像もできないほど、滑らかな指さばきだ。
「ぶくくくくくくっっ!!?くくっっ!!?くふふふふふふっっ!!?はぎなぁぁぁっ!!っっふふふふふふっ!!?くぅぅうふふふふふふふっ!?」
爪や指先が、柘榴の誇りである彫り物の表面をコショコショコショコショと蹂躙し続ける。
それだけでもはらわたが煮えくりかえる思いなのに、やはり柘榴は身を捩り、笑ってしまう。
「ぶはぁっ!!?はぁはぁはぁっ!!けほっ!!」
ようやく鼻と口が解放され、爪や指が肉体から離れると柘榴は鼻の穴を大きく膨らませ、必死になって酸素を取り込んだ。
「いいですね。いい顔をしている」
「瀧奈…お前…こんなことしてタダで済むと…」
柘榴が瀧奈を睨むと──。
「うるさいよ」
タトゥー女が柘榴の閉じられたヌルヌルの腋の下に両手を差し込み、クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュ!!っとこねくり回した。
「にゃう"っ!!?ゃぁははははははははははははははははははははははははははははは!!?ぎゃはっ!?ぎゃははははははははははははっ!!?」
ヌルヌルの腋の下に差し込まれた手がクチュクチュと動き、手のひらや指の腹、爪がクチュクチュと神経を擦って刺激する。
柘榴は腰を浮かせ、腹を捩らせ吠えた。
「姉貴。此度の抗争…姉貴には退いてもらいたいんです」
瀧奈は、床で笑い転げる柘榴を見ながら、煙草を咥えた。
「あはははははっ!!?ふ、ふざけっっるなぁっ!!っっははははははははははははははっ!!?ぃひひひひひ!!?」
タトゥー女の長い指がクチュクチュと音を立てて腋の下を抜き差しするたび、柘榴の顔が崩壊していく。
「いまなんて言った?」
タトゥー女がそう言ったかと思うと、女は腋の下に差し込んでいる指の関節をワシッと折り曲げ、爪を立ててそのままこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!っと腋の下を引っ掻いた。
「だはっ!!?だっひゃはははははははははははははははははははははははははははははははっ!!?はーっっはははははははははははははははははは!?くそっ!!?なっ!?なぁぁぁあはははははは!?」
爪先っちょが腋の下の敏感な神経を捉えたままガシガシこちょこちょと動き、柘榴に耐え難いくすぐったさを刻み込む。
柘榴は威厳もなにもない無様な笑い顔を浮かべ、魚のようにぴちぴち跳ねる。
「お前に拒否権はないよ。お姉さん」
タトゥー女はそう言いながら、腋の下に差し込んでいる長い指を器用に操って爪のみで神経をくすぐり掻きむしる。
ガシガシガシガシ!!
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!!
「ぐぁはははははははははははははははははははははははははっ!!?やめっ!!?さっぎから誰にっっ向かってぇっ!!っっへへへへへはははははははははははは!?」
吠えても吠えても、全てくすぐったさで甲高い声に変換される。
腋の下に走り続ける、爪の感触とくすぐったさが、柘榴の心身を掻き乱していく。
「瀧奈ぁっ!!!てめぇっっ!!っっはははははははははははははははははははははははは!!?にひっ!?いひっ!!?いひひひひはははははははははっ!!?」
指の関節が折れ曲がり、爪がガシッガシッとヌルヌルの脇を引っ掻くタイミングで柘榴の顔もふにゃっふにゃっと弛緩する。
「そう怖い顔しないでくださいよ。おい。姉貴をもっと笑わせて差し上げろ」
瀧奈が命じると、柘榴を取り囲んでいた女三人が手を伸ばした。
指先の丸っこい指、先の丸く尖った形をした細い指、太さもあるが長さも兼ね揃えた指──それらがヌルヌルの柘榴の胸と腹部、脇腹に吸い付いた。
「なっ!?おい待てっ!!はぁはぁっ!!まだっ──」
柘榴が息を整えるのを待つこともなく、見るからにくすぐったそうな指どもはこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょーっと胸、腹部、脇腹を這い回った。
「ひっ!!?だぁぁぁぁあはははははははははははははははははははははは!?やめっっ!!?触んじゃっっっ!!?ねぇぇへへへへへはははははははははははははははは!!?」
柘榴は甲高いメスの悲鳴を上げ、激しくびちびちと跳ねて身体を捻る。
背面が露わになると、その背面にまで爪が這い回り、こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと歩き回る。
上半身の至る所に他人の指や爪の感触が染み渡り、気が狂いそうだった。
「おとなしく…瀧奈の言うこと…聞いときなよお姉さん」
タトゥーがぎこちない日本語で言って、また腋の下に手を差し込み、クチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュクチュとこねくり回す。
「ぎひひひひひはははははははははっっ!!?うるさぃぃぃっ!!っっひひ!?ひっ!!?ひははははははははははははははははははははは!!?」
胸は長い爪でワシャワシャと掻き回され、腹部も爪で塗られた油が泡立つほどゴチョゴチョゴチョゴチョとくすぐりまくられる。
刺青まみれの柘榴の上半身に次々と、くすぐられ痕が刻まれていく。
柘榴は、横っ腹を爪でこちょこちょされれば背筋を伸ばして呻き、不意打ちで乳首をカリカリこちょこちょされると顔をとろけさせてみっともない笑い声を漏らす。
あまりに笑い過ぎて、息がまともにできない。
「どうですか。そろそろキツくなってきたでしょう」
瀧奈が、バケツの中のオイルに手を突っ込み、くちゅくちゅと手に塗り込んでから、またゆっくりと柘榴に近づいてくる。
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!
ワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャワシャ!!
「いぎひひひひひはははははははははははははははははははは!!?かはっ!!?こんなものぉぉっっ!!!こんなものぉぉぉっっ!!いひひひひははははははははーっ!!?」
柘榴は目を血走らせ、勇ましく吠える。口からはだらだらぁっと唾液が垂れ落ちる。
上半身をこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょと好き放題に這い回る他人の爪や指先が柘榴の顔をさらに崩壊させていく。
「そうですか…」
瀧奈は苦笑し、屈み込むとそのオイルまみれの大きな手で柘榴の脇腹を掴んだ。
「ぬぅっ!!?」
長い親指が、脇腹のコリッと部位を即座に捉え、ギュムッと押す。
「ギャウッっっ!!?」
鈍くて濃厚なくすぐったさが注入され、柘榴は跳ねた。
「はっ!!?な、なにをっっ!!?」
「マッサージですよ姉貴」
瀧奈はニヤリと笑うと、ガッシリと脇腹を捕まえたまま、親指だけを筋肉に食い込ませ、グニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュグニュ!!っと神経の塊を揉み込んだ。
「くぇあっっ!!?あああああああああああああああああああああああああああああ"っ!!?ちょっ!!?待っっっまぁぁぁああああははははははははははははははーっ!!?」
柘榴は腰をグンッと浮かせたまま、身体を硬直させて天井に向かって濁った悲鳴を吐き出した。
「脇腹のある一点の奥には…ツボと呼ばれる敏感な神経の集合体があるんです。それをこうやって指の腹でクチュクチュコリコリとマッサージすると…堪らない」
瀧奈はぶつぶつと言いながら、長い親指を器用に操り、グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリ!!っと今度は指先でツボをえぐった。
「ぬわぁ"っっ!!?ぁぁぁああああああはははははははははははははははははははは!!?やめ"ろ"っ!!だぎなぁぁぁぁあああっっ!!!やめろぉぉぉおおおおお!!!」
柘榴は舌を垂らし、ぶんぶんと首を振り回す。そうするとタトゥー女がその頭を押さえつけた。
「じっとしていろ」
女は大きな両手で柘榴の小さな顔を押さえたまま、あろうことか柘榴の唇に己の唇を密着させ、舌を吸い上げた。
「んぅっ!!?んぅぅぅぅっっっ!!?」
残り少ない空気が体内からさらに奪い上げられる。
そんな中でも、瀧奈は親指の先っちょで脇腹のツボとやらをグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグリっ!!!っとほじくり回していく。
「ぶむぅっっ!!?くるじっっ!!?んぅっっ!!?んぅぉぉおおおおおおおおおおっっ!!?おおおおおおおおおおおおお"っ!!?」
脇腹への鈍くて重いくすぐりの刺激に加えて、腹部や胸への爪によるこちょこちょが染み込んできて、柘榴は白目を剥いて口からぶくぶくと泡を吹いた。
もはや柘榴には、組長としての威厳どころか極道としての威厳もない。
意識がぼうっと遠のいていく。
「起きろよ。姉貴」
瀧奈の手が、他の女たちの手が、お腹に密集し、爪を立てて腹筋をゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!っとくすぐりリンチした。
「くぁっっ!!?あえっ!!?なっ!!?んぁぁぁあああははははははははははは!!?ぎゃわぁぁぁぁあははははははははははははははは!?」
敏感な腹部に猛烈なくすぐったさと爪の感触を注がれ、瀧奈は強制的に覚醒させられる。
「誰が寝て良いって言いました?」
瀧奈はサディスティックに言いながら、腹筋に塗り込んである油を泡立てるようにワシワシワシャワシャワシャワシャワシャワシャと腹筋をくすぐり殺していき、他の長い指どもは腹筋の周りや腹斜筋をくすぐってくる。
「かははははははは!?くるじっ!!?わがっだ!!わがっだがらっっ!!!やめっ!!?っっはは!?ははははははははははははははははははははははははっ!!?」
強制的に横隔膜が震わされ、腹筋が酷使され、腹筋が攣りそうだ。
それでも、拷問を愛する狂気の女はその黒い爪を止めない。
「返事が聞こえないですよ」
瀧奈と女たちは下腹部に爪を集め、モジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョ!!っとこしょぐり倒してきた。
「うわぁぁぁぁあああああああああああああっっ!!?っっはは!?はははははははははは!?やめ"っっ!!そごはっっ!!やめ"っっ!!?っっへへへへははははははははは!!?」
下腹部には特に敏感な神経が集まっているのか、より強烈なくすぐったさが柘榴を襲った。
あれだけ朦朧としていた意識が、もうはっきりと鮮明なものに戻っている。
黒や青、白などのカラフルな爪がモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョモジョ!!!っとオイリーな下腹部を削るようにくすぐり続ける。
「かへへへへへへへっ!!?っっ!!?くるじっっ!!?くはっっ!!?ははっ!!?止めっっ!!!止めろぉぉぉっっっ!!!かははははははははははは!!?」
もはや暴れる体力もほとんど残っていない柘榴は舌を垂らしたままふるふると力なく首を振る。
一斉に、爪の感触が下腹部から消えた。
「はぁはぁっっ!!!けほっ!!けほっっ!!!おぇっ」
柘榴は天井を見上げ、何度か咳き込む。
喉と口の中はカラカラだ。
上半身にはたっぷりと女たちの爪の痕が刻まれている。
「さっきの話、考えてくれましたか」
瀧奈はオイルまみれだった手をタオルで拭きながら問う。
この問いに対する答えが自分の運命を左右することなど柘榴にも分かっていた。
だが、ここで折れて瀧奈に飼い慣らされるくらいなら死んだ方がマシだ。
「はぁはぁっ!!脅しに屈するような…女に見えてたのか…やりたいことあるなら…私の答えに任せるんじゃなく…無理にでも貫き通せよ瀧奈…」
「ふふ。そうですね。そうじゃないと…柘榴の姉貴じゃない」
瀧奈が笑ったかと思うと、突然、柘榴の視界が暗くなった。
タオルを顔に被せられたのだ。
「じゃあ…くすぐり殺しますね」
瀧奈が言うと──。
「んぶっ!!?んぉぉ"っ!!?ぶほぉっ!!?ぐるじっ!?瀧奈ぁっ!!お前っっ!!?」
タオルに、水がボタボタと垂らされ、生地が顔に張り付く。
呼吸をするたび、濡れた生地によって呼吸口が塞がれる。
「ひと思いに殺すとでも?来島柘榴を殺せるのに…一瞬でやるなんて勿体無い。それに…はめられた分のお返しをたっぷりしないと」
柘榴はビチビチと跳ねるが、タトゥー女が顔にしっかりと濡れたタオルを押し付けているため、タオルが剥がれ落ちることはない。
「柘榴の姉貴。そういえば姉貴は…この辺りには彫ってないんですよね」
瀧奈がちょんちょんっと足のあたりを突く。
「それって…ここが弱いから…でしょう?」
瀧奈が、足の甲のあたりを爪でなぞり下ろした。
ぞくぅっと怖気を含んだくすぐったさが足に走る。
「むぅっ!!?」
柘榴のこめかみからダラダラと冷や汗が垂れる。
足の裏。
そこは──。
気づけば足首が曲がり、柘榴の足の裏は勝手に床の方を向いていた。
「おい。ここを抑えとくから…足をやれ」
瀧奈は柘榴の太ももの辺りに座り込み、両足首をがっちりと押さえ込んだ。
女たちの手によって足裏に油をべちゃっべちゃっと塗り込まれる。
「ぎひひひひっっ!!?くひっ!!?いひひひひひひはははははは!!?」
ただ油を塗られているだけでもとてつもなくくすぐったい。
笑うたびにタオルが呼吸口に張り付いて苦しい。
こんな状態で足裏を本気でくすぐられたら──。
「にぎひひっっ!?くぅっ!!?やめっっ!!?た、たぎなっっ!!わがった!!わかっだよっ!!お前のっっ!!条件を飲むからっっ!!はぁはぁっ!!もう一度話っっをっっ!!んむぅっ!!?」
柘榴の口が、タオルの上から手で塞がれる。
「しーっ。もう選択肢はないよお姉さん」
タトゥー女の声がした。
「ほら。もう始まる」
女が言った直後。
「んぅぅぅぅっ!!?」
無数の硬くてツルツルとした爪の感触がヌルヌルの足裏に突き立てられた。
足指がきゅうっと折れ曲がり、足裏に皺が寄る。
「んんんんぅぅっっ!!!んーっ!!ん"ーっっ!!!」
足の裏をこちょこちょされ続けて死ぬなんてこれほどみっともない死に方はない。
それだけは嫌だ。今になって柘榴は己の選択を後悔する。
「姉貴ぃ。今まで世話になったな」
足裏に突き立てられた爪に僅かに力がこもる。
「んーっ!!んーっ!!!!」
柘榴は必死に首を振る。
「それじゃあ…堪能しろよ?」
「んぉぉおおおーっ!!!」
柘榴の悲痛な叫びがタオルに吸い取られて消えた時。
足の裏に突き立てられた無数の指と爪が、ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!っと貪るような手つきで暴れ出した。
「んぉぉ"ぉぉぉぁぁぁぁあああああああっ!?んぉぉぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああっ!!?はぁっ!!はぁっ!!はぁぁぁあははははははははははははははーっ!!?」
頭の中が一瞬にして真っ白になり、そして即座にくすぐったさでいっぱいになる。
爪。爪。爪。爪。爪。爪が足の裏の神経をゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョと貪り犯していく。
「ごほほほほほっっ!!?お"っ!!?おほほほほほほほっっ!?やめっっ!!?ゃぇでっ!!!やえでぇぇぇぇっっっ!!!!ぐほほほほほほほほはははははははははは!!?」
顔を覆うタオルに涙や唾液が染み込む。
柘榴は足指をぐねぐねとくねらせてせめてもの抵抗を試みるが、女たちの細い指は足指の間にまで入り込んできて、こちょこちょとコネ回してくる。
「ほへへへへへへへはははははははははははははははははははははは!!?あっ!!?あっっ!!?じぬっっっ!!?あっっ!!?」
低酸素状態での猛烈なこちょこちょ地獄により、柘榴の意識がまたしても途絶えかけると──。
「寝るなって」
土踏まずを人差し指と中指の爪でガシガシッ!!
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!!っと削りくすぐられた。
「ぶもぉっ!!?おほほほっ!!?おぇへへへへへへへっっ!!?おほほほっ!!?おほほほほっ!!?おぉぉぉほほほほほほほほほほ!!?」
鋭利で濃密なくすぐったさが土踏まずを灼き、柘榴の意思が覚醒する。
覚醒した柘榴を待っているのはもちろん、無数の爪による足の裏徹底くすぐり地獄だ。
ガシガシ!!
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!!
ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!
「ぶぇへへへへへへははははははははははっっ!!?あっっ!!?ゆるじっっっ!!?でっ!!?やめっっ!!?ぇへへへへへへへははははははは!?ごほっっ!!?こほっっ!!?」
気絶さえ許されない無限の地獄。
足の裏が燃えるようにくすぐったい。
くねくねと動かし過ぎて攣りかけている足指を掴まれ、ぐんと足裏を反らされる。
「んんっ!!?」
身動きの取れない状態で、足裏の伸び切った表面のスジをまた爪たちがゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョとくすぐり犯した。
「おぇ"へへへへへへへへへへへへ!!?おほほっ!!?ほほっ!!?っっっ!!?くるじっっ!!?じぬっっ!!?っっほほほほはははははははははははははははーっ!!?」
びんびんに伸ばされた筋や神経は敏感になっており、なぞられるだけで発狂モノだ。
あまりのこそばゆさに柘榴は数度、気絶と覚醒を繰り返した。
その度に、おしっこが漏れた。
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ!!
ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!
土踏まずと踵のキワ、母指球、足指の間、いたるところを爪たちがこちょこちょと嬲っていく。
「っっっっ!!?はえへへへへへへへっっ!!?わだじのっっっ!!!おぇっ!!げほぉっっ!!!まげだぁぁぁぁああああはははははははは!!もうくすぐりっっ!!くすぐりはぁぁああああああ!!」
足裏に注がれ続ける爪の感触とくすぐったさに精神が崩壊し狂い死にそうになった時、ようやく柘榴はこちょこちょから解放された。
柘榴は死体のように床に伸びた。
くすぐられ過ぎた足の裏が燃えている。
まだ今の足裏をその目で見てはいないが、足の裏はきっと真っ赤で、もう素肌剥き出しで歩くことは不可能だろうと思う。
まさか、こちょこちょの刑で自分がここまで破壊されるとは思ってもいなかった。
「さて。最後は"えみ"で死んでもらおうか」
「はっ!?」
瀧奈が信じられないことを言ったので、柘榴は目を開けて瀧奈を見た。
「ま、まだこれ以上なにを…」
涙やヨダレや鼻水、オイルに水でぐちょぐちょに崩れた顔で柘榴は問う。
「トドメだよ姉貴。"笑水(えみ)"というのは…対象をたっぷりとくすぐって感度をバグらせたあと、水を溜めた桶の中に閉じ込め、最後に水にくすぐったい電流を流す処刑方法だ。閉じ込められた者は…あらゆる体液をぶちまけて笑い死ぬ」
まだ地獄は終わっていない。
それを知らされた瞬間、柘榴はまた失禁した。
「はぁはぁっ!!瀧奈ぁっ!!!お前っ…」
柘榴の両脇を女たちが抱えて無理やり身体を持ち上げる。
部屋に、棺桶のようなものが運ばれてきた。
中には水が浸されており、電流を流すための電極らしきものも数本、確認できた。
「やめろっっ!!やめっっ…!!瀧奈っ!!もう許してぇぇ」
柘榴は何故か笑いながら言った。笑顔を浮かべていれば許してもらえると本能がそう判断したのだ。
「許すよ。この中に入ったらな」
瀧奈はそう言って指を鳴らした。
柘榴の身体が軽々と持ち上げられ、桶に入れられる。
柘榴には抵抗する体力など残っていない。
「やめてっっ!!やめっっ!!!」
水が、柘榴の身体を浸す。顔は浸からないから、窒息はしないが経験─。
女二人が、棺桶に蓋をする。
「ひっ!?ちょっ!?」
蓋は即座に電動ドライバーで止められ、柘榴の力では開けられない。
「やめてっ!!でんきっ!!流さないでぇっ!!もういやっ!!こちょぐったいのはぁっ!!」
柘榴は狂ったようにバタバタと棺桶を叩く。
「姉貴ぃ。せいぜいみっともない姿…晒さないように頑張れよ」
瀧奈の声がした直後。
「ぬぁぁぁぁぁああああああああああああああ"っ!!?あめっ!!?やめっ!!?やっっ!!?いやぁぁぁぁあはははははははははははははははははは!?」
水にくすぐり電撃が流され、柘榴の全身を這い回った。
まるで、見えない数千もの指どもに神経を直接こちょこちょとされているような猛烈な刺激が柘榴を襲い、股間からはオシッコや愛液、乳首からはミルクが止まらない。
狭い棺桶の中ではろくに暴れることもできず、柘榴はただひたすらにその死のこちょこちょ電撃を浴び続ける。
「あわ"ぁぁぁぁあははははははははははははははははははははははは!!?だしでっっ!!こごがらっっっ!!?あひっ!!?ひゃぁぁぁあはははははははははははははははははははーっ!!!?」
馬鹿みたくオシッコを漏らし続けながら、柘榴は狂ったように暴れ、鳴き、うめき続けた。
こうして、極道 柘榴は死んだ。
数時間後、あらかじめ瀧奈が密告しておいた悪徳警察官たちによって柘榴は発見される。
その時の柘榴は、おしっこの混じった悪臭漂う水の中で、ぴくぴくと痙攣しているみっともない姿だったとか。
⭐︎極道ファイル⭐︎
来島 柘榴(28)
来島会の組長。
本名は北村香苗。
瀧奈による叛逆に遭ったあとは、南方組組員暴行の容疑で逮捕。
刑務所内ではくすぐりリンチに遭い続けているという。