~R-18G作品なのでご注意ください~
アインフェリア。
その言葉は、この世界の人々にとっては概ね“希望”と同義である。
弱者が虐げられ、権力が幅を利かせ、不条理が罷り通るこの世の中で、アインフェリア――白い装束に身を包んだ戦乙女たちだけが、力ない人々の味方であった。
しかし、声無き多数の希望であった彼女たちは、暴虐を振るう強大な少数にとっては邪魔者以外の何者でもなかった。
結果、彼女たちは負けた。
裏切られ、追いつめられ、それでもと耐え続けたが、最後には五人揃って敗北した。
ミナミ、フミカ、ユミ、アリス――この四人の末路については、あまり多く語る部分がない。
最後まで続いた強固な抵抗と、それに報復するかのような徹底的な破壊、蹂躙、陵辱、拷問。それらの結果として、先に述べた四人は命を落としている。
ただ一人、アイコだけが生き残った。
しかし、それはアイコにとって安堵ではなく、苦痛と屈辱の日々の始まりを意味していた。
長く続いた戦いを経て、敵がアインフェリアに抱く感情は“最悪”の一言であった。捕虜になったアイコは、嬲られ、犯され、苦しめられ、それでも死ぬことを許されずに、無数の敵たちの“玩具”として扱われていた。
その理由はふたつある。
一つはアイコ自身の身体に強烈な加護がかけられていたこと。アイコ本人ですら解呪できないこの加護は、彼女の肉体の強度を飛躍的に高め――結果として、拷問の果てに訪れるはずだった救いを取り上げていた。
二つ目は、敵の悪辣さ。アイコの加護とて万能ではない。ほんのちょっとした拍子で、アイコが絶命してしまう瞬間が無いわけではなかった。しかし敵は、散々自分たちを苦しめてきていたアインフェリアに対して安息の時を与えるはずがない。彼女たちとの戦いの中で技術が向上し、今では死人を蘇らせる域にまで達した回復術式で、アイコの魂を強引に肉体へと引き戻してしまうのだ。
気丈であったアイコは、丹念に丹念に心を折られていった。敵兵の赤子を孕まされた時には、まだ抵抗の言葉を吐く余裕があった。自分で産んだ赤子を目の前で殺され自ら食うように命じられた時は、餓死寸前まで耐え抜いた。
四肢を落とされ、野犬に食われている時に初めてアイコの口から弱音が吐かれた。大蛇に襲われ、全身の骨を砕かれながら丸飲みにされていく時の悲鳴は、大蛇の腹の中で響いて誰にも聞こえなかった。
触手生物にゆっくりと溶かされながら食べられていく時、アイコの瞳に光はなかった。しかし、そんなほとんど肉のクズのようになった状態からでも蘇生させられて、今度は絶望の顔のまま脳をまさぐられた。
そうして徹底的にアイコの尊厳が踏みにじられ、心が折られ、彼女が少しでも反抗的な言葉を吐けなくなるまで約三ヶ月ほど。
いよいよ、準備が整ったと判断された。
■ ■ ■ ■ ■
(今日はいったい……なにを……)
アイコはうつろな意識の中で考える。いつからだろう。思考を占めるのは“死にたい”という感情だけだった。だが、自分の命を自ら絶つという、人間に与えられた人生で最大の選択権ですら、アイコは自由に行使させてもらえなかった。
空腹は如何ばかりか。どれだけ飢え苦しんでも敵には屈しないと誓っていたのは遙か昔に思える。今では切り落とされた自分の腕や足、半分だけ取り出された脳、そして自分で生んだ赤子や異形の幼体まで、ありとあらゆる物を食べさせられた。
アイコが敵に陵辱を受けていた期間は決して長くない。敵たちは最初はアイコを輪姦することにご執心だったが、いずれそれも飽きてきたのだ。いつまで犯しても折れないアイコの態度が気に食わなかったのかもしれない。
とにかく、アイコは今新たな責め苦を受けるために移動している。とは言っても、彼女自身が歩いているのではない。
吊されて、そのまま運ばれているのだ。
ガコン、とアイコが吊されている器具が揺れる。それによって、アイコは必死に意識を逸らせていた苦痛を思い出し、再び向き合う羽目になる。
「かヒュッ……! ひゅ……ご……ふっ……」
呼吸ができない。息が苦しい。アイコは首に食い込む縄を必死に解こうとするが、当然ながら結び目はアイコの手が届かない場所にある。
そう。アイコは今、首吊りをされながら輸送されているのだ。
つま先が地面に着かない高さにぶら下がり、ギシギシと軋む音を立てる縄の先端に引っかけられている。手足を切り落とされた状態で何日間も吊された経験はあったものの、こうして五体満足のままで吊される経験はアイコも初めてだった。
(くるしい……くるしい……くるしいくるしいくるしいくるしい……)
そのことしか考えられなくなる。
四肢が無かった時には体重が軽くなり、首を吊った状態でも死に至れなくなっていた。
だが、四肢がある今でも状況はそれほど変わっていない。首筋に食い込む縄の圧で頸椎はとっくに折れてしまってもおかしくないのに、アイコは未だに苦痛に喘いでいる。それは彼女の肉体が強化されているからであり、結果的には“死にながら苦しんでいる”状態が永遠に続いていた。
そんな状態のアイコが気づくはずもないが、彼女はいま敵の都の中央通りを運ばれている。吊されている彼女を見る敵国の人間は、口々に彼女を罵り、石でも投げつけそうな勢いだ。
しかし、アイコを輸送する“祖国の英雄”に当たっては困ると考えたのか、幸いにもアイコに投げつけられるのは罵倒の言葉だけ。その代わりに人々は、アイコがこれからどんな目に遭うかを見届けるために、運ばれていく彼女の後をついて行く。
(貧相な身体だ……)
(汚い魔女……)
(あいつに家族が……)
小声で渦巻くアイコへの怨嗟の声。度重なる拷問によってすでに衣服など纏っていないアイコに対して、老若男女問わず欲情などはせず、まるで屠殺場に運ばれていく豚を見るような視線を突き刺している。
そうしてアイコは、都の中央広場へと運ばれてきた。常人であれば都合十回は死んでいるような時間、十回分の死の苦しみを味わって、それでもアイコの意識はクリアなまま。
「カフッ……! がはっ……はぁ……! はぁ……ッ! げほつ! げほっ!」
ようやくアイコに正常な呼吸が戻る。アイコをつり下げていた縄が外され、彼女はそのまま受け身も取れずに下へと落下した。
首元には痛々しい赤い傷。麻縄が食い込み、アイコの柔肌を散々に傷つけたのだ。
必死に縄を緩めているアイコの腕が捕まれる。じたばたと苦しみに喘いでいた足も捕まれる。アイコは抵抗したいが、もう膂力が残っていない。肉体が強化されていても、それに対抗する術式は既に編まれているのだ。アイコに残っているのは“耐久力”の高さだけ。あとは普通のか弱い少女と変わらない。
そうしてアイコは、広場の中央に用意された木の台に括り付けられた。手足を繋ぐのは鉄の鎖。木の台自体簡単な作りだが、それでも全体的に重厚感を漂わせ、拘束された状態のアイコでは決して脱出はできないことを伺わせた。
「な、なに……? 何を、するの……?」
アイコの問いかけに対して、敵が答えたことは一度もない。見た目は同じ人間と大差ないにも関わらず、敵国の人間たちは自国民以外を家畜か葦程度にしか思っていないようだった。
アイコは自分の状況を否が応でも認識させられる。身動きは取れず、自分は木の一枚板の上に寝かされている。まるでまな板の上で捌かれるのを待っているようだった。
そしてこのアイコの所感は、それなりに的を射た内容として現実になる。
敵国の兵士が何かを大声で叫んでいる。アイコではなく、この広場に集まった市民たちに向けてだ。
アイコには、終ぞこの国の言語が理解できなかった。それがまた、アイコの家畜扱いに拍車をかけたのかもしれない。
市民たちは、兵士の声かけに対して大きな歓声で応える。まるで今からここで、前代未聞のショーでも始まるような雰囲気だ。
アイコは恐怖心に駆られて周囲を見渡した。この国の国民全員が集まっているのではないかと錯覚してしまうくらい、多くの人々が集まっている。若い男性や女性はもちろんのこと、老人や子供まで。
そんな観衆の前で、自分は全裸。その事実が、アイコに久しく忘れていた羞恥心を思い出させた。だからといってどうにかなるものではないものの、アイコは自分が全裸で磔にされているという事実を前にして顔を赤らめる、それだけ。
だが、そんな少女らしいささやかな羞恥心などは吹き飛んでしまうような行為が、今から行われるのだ。
■ ■ ■ ■ ■
じゃきり、という音。それは、アイコがこの数ヶ月間で聞き慣れてしまった音だった。
刃物の音。骨まで一瞬で断ってしまうような鋭い刃も、肉を何度も何度も回数をかけて切っていくナマクラも、概ね同じような音をさせる。その音を聞いた瞬間、アイコの背筋が凍った。
目の前に差し出される剣。アイコがこの国の兵士たちと戦ってきた中で、何度も目にしていた物だ。
アイコに剣を突きつけている兵士は何かをがなり立てるが、アイコには意味が分からない。ただ怯えて、その剣でどんなことがされるのかと今までの経験から例を呼び起こしては震えるだけ。
アイコは知る由も無い兵士の言葉。それはこうだ。
『この剣は、ここにいる豚との戦いで無惨にも殺された我らが同胞の物だ。同胞は勇敢に戦ったが、豚の用いる卑劣な魔術の前に殺された。我が国には、同じように殺された同胞が数多く存在する』
そこまで叫ぶと、兵士は手にした剣――見守る民衆にとっては善き戦友であり、友人であり、息子であった男の剣を、彼ら以外にとっては残虐な略奪者であった男の剣を掲げる。
『今日は、この豚に裁きを下す。その先鋒になるのは、我らが友のこの剣だ!』
兵士の言葉を受けて、観衆が沸き立つ。その興奮が冷めぬ間に、兵士はアイコの足下へ移動すると、大きく開かれたその股へ狙いを定めた。
アイコの秘所――何度陵辱拷問を受けて破壊されようとも、幾度と無く強制的な出産をさせられようとも、回復する度になめらかで美しい見た目を取り戻すアイコの秘所。そこに、切っ先が向く。
「あ……う、うそ……?」
度重なる拷問を受けてきたアイコだが、こんな経験は初めてだった。首には麻縄が絡みついたままで巧く動かないが、今からされようとしていることはわかる。
「ま、まって……やめて……」
アイコの懇願など届くわけがない。秘所の膣穴に対して明らかに大きすぎる剣の切っ先が気に留められる様子もない。観衆の声に背中を押されるようにして、兵士は――
――ズブッ……!
アイコの秘所に向けて、狙いを違わずに剣を突き刺した。
「あ、……っがぁぁぁぁぁぁ……ッ!?!?」
アイコの絶叫が広場に響きわたる。観衆は、それを待っていたと言わんばかりに歓声を上げた。
ブヂブヂブヂブヂ……。
剣を挿入される勢いは容赦無い。アイコの膣穴に向けて押し込まれた剣は、彼女の膣内の大切な箇所を全て切り裂きながら奥へ奥へと進んでいく。
「がッ……! っぎぁぁぁあぁぁぁ……ッ!!!」
苦痛の叫び声というのは言語の壁を超えるらしい。アイコの絶叫を聞いて、集まった人々はもっと大きな叫び声を上げる。もっとやれ、もっとだ。そう言わんばかりにはやし立て、それに応えるように剣は深く突き刺さる。
膣道はあっさりと二つに裂かれてしまった。女体の中で最も敏感な部位を切り裂かれた痛みで、アイコは一瞬意識を失う。
だが、そんなことは今までも何度もあった。痛みで意識を失って、ほんの一瞬だけ平穏を得る。だが、それも束の間だ。
ブズリ……!
「ッッッ……!?!?」
すぐさまアイコの意識は、更に強烈な痛みで引き戻される。今まで様々な痛みを受けてきた。殴打、熱傷、粉砕。今回は、剣の切っ先が子宮口へ食い込む痛みだった。
「や、やめ゛て……。お、おねがい……し゛ます……」
自分の言葉が通じているのかは定かではない。けれどアイコには哀願する以外の道は残されていなかった。自分の膣穴深くに剣が突き刺さり、それがさらに奥にまで食い込んでくる。想像もしたくない現実を前にして、最早許しを乞う以外に出来ることなど無い。
もっとも、その言葉が受け入れられるはずもないのだが。
ぐじゅり……ずぶっ……!
「つ゛くッッッ……!!!」
兵士はアイコの言葉など構わずに剣を押し込む。切っ先は膣道を切り裂きながらあっさりと奥へ。弾力に富み、肉体強化の恩恵も受けている子宮口は激しく抵抗した。切っ先を弾き返そうとし、必死に異物の侵入を防ごうとしている。
だが、その程度で剣に敵うはずもなかった
ずぶっ……ズブブブ……ブヂブヂブヂ……ッッッ!!!
「い、やぁぁぁぁぁぁあ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあぁッッッ!!!」
残酷な音をアイコの胎内で響かせながら、剣が子宮深く刺さっていく。もうほとんど、子宮を両断できてしまいそうな勢いだ。
「ガハッ……かふっ……」
アイコの喉元に赤黒い塊がせり上がってくる。体内であふれかえった血液が行き場を失い、口元にあふれてきたのだ。
「げほっ……がはっ……」
アイコが横を向き、木の台の上へ吐血すると、広場には歓声があふれた。
『もっと血を流させろ』
『失われた同胞たちの分まで』
『すべてその女の血であがなうのだ』
そんな声が響きわたる。
アイコの膣穴からは鮮血が溢れ出していた。それでも、普通の少女であれば絶命してもおかしくない傷を受けながら、不幸にもアイコは未だに正気だった。
だからこそ、この饗宴の意味がある。
ここに至って、アイコにも自分がなぜ此処へ連れてこられたのかを理解することが出来た。
つまり、アイコは生け贄なのだ。アインフェリアという存在を憎悪し、復讐したいと願ってやまないこの国の人々に対する生け贄。自分は此処で彼らが満足するまで痛めつけられ、嬲られ、そして殺され続けるのだと、アイコは理解してしまった。
ブズッ……ブヂッ……!
「つ゛……ッッッ!!!」
しかし、拷問のペースはアイコに絶望感を抱かせることすら許さなかった。二本目の剣が刺さる。そんな異物が入るスペースは無いというのに、それでも無理やりに刺し込まれ、そしてアイコの膣穴はそんな処刑道具を受け入れてしまう。
「ガフッ……! がはっ……はぁ……っづぅぅぅ……!」
激痛に叫ぼうにも、喉に血の塊が詰まって叫べないアイコ。そんな彼女に対して、“耐えようとしている”あるいは“反応が薄くなった”と感じた観衆が容赦なく罵倒の言葉や石を浴びせかけた。
『まだまだ、お前に殺された同士は山ほどいるぞ』
いつの間にか、アイコの足下で剣を握る兵士のそばには無数の武器が納められた壷が運ばれていた。剣だけではない、槍も、短刀も、斧すらある。全てアイコたちアインフェリアが殺めてきた命だと言わんばかりに持ち出された武器の一本一本が、これからアイコに突き刺さっていくのだ。
ブヂッ……ズブヂュ……。
「がふっ……が、ぁぁあぁぁぁぁぁぁ……ッッッ!!!」
三本目が突き刺さる。今度は槍だ。刃渡りは剣ほど大きくないが、剣と剣の隙間を縫って深くへするすると刺さっていく。アイコの膣穴には影響を及ぼさず、子宮口にだけダメージを与える。本来赤子を宿し命を育むべきアイコの子宮は、刃物によってズタズタの鱠のようにされてしまっていた。
「はっ……はぁ……かふっ……。ゆる、して……。おね、がい……。ごほっ……げほっ……」
口から血を吐きながら弱々しく懇願するアイコ。その声は誰にも届かず、むしろもっと大声で叫ぶことを要求するように額に向けて石を投げつけられた。
四本、五本。何本も武器が刺されていく。アイコの膣穴は既に赤子が容易に通過できそうなくらいに広げられていて、しかもズタズタに切り刻まれていた。もはや原型は残っていないに等しく、赤い液体でまみれた異物という表現が正しい。
しかし、それでもアイコは生きている。普通の人間であれば明らかに絶命しているであろう痛み、出血量、傷。それら全てを受けても、アイコは未だに一度も死を迎えることなく生存していた。
腹部は剣山のように尖り、その胎内にどれほどの刃物が納められているかを如実に示している。しかし、破けるようなことはない。肌が尖り、浮き上がり、それでも一切の流血がないゴム袋のようになっている。
これもまた、アイコにかけられた加護と敵による回復術の悪辣な相乗効果だった。アイコは今、どれだけ武器を詰め込んでも、激痛に悶えるだけで限界の無い入れ物と化している。
ぐしゅり、ずしゅりと何本も、何度も刃が突き刺さり、アイコはその度に激痛にのたうち回る。あまりに無理に暴れ回るので、拘束されている手首や足首の皮は剥け、左肩の関節などは外れてしまっている始末だ。
それだけ散々に痛めつけられて、アイコは奇怪なオブジェのようになってしまっていた。限界まで拡張され、引き裂かれた膣穴。しかし膣穴は傷つく度に元に戻ろうと回復力を発揮し、刃と癒着していってしまう。結果的にアイコは、まるで子宮から無数の武器を産んだような見た目に成り果てていた。
「かふっ……けふっ……い、たい……ころ、して……し、なせて……」
アイコの言葉は誰にも届かず、ついに最後の一振りが会場へと運ばれてくる。それを見た瞬間、アイコの縛り付けられている台を囲む観衆からは波のような歓声が広がっていった。
「な、なに……?」
その歓声の正体を確かめようとするアイコだが、最早指先一つ、首をわずかにでも動かす体力すら残っていない。何とか身体を動かしてこれから自分に襲いかかってくる苦痛を目の当たりにしようとするが、その動作すら命をすり減らしている。
しかし、今まで何の予告もなく膣穴に射し込まれてきていた他の武器とは違い、最後の一振りはアイコの目の前にギラリとその姿を見せつけられた。
「え………………?」
その見覚えのある刃の紋様、装飾、色――それらを目にして、アイコは思わず絶句した。
ミナミの槍だ。共に戦い、どんな時も勇ましく勇敢で、最期まで諦めなかった大切な仲間。彼女の槍が、今目の前に差し出されている。
「い、いやだ……やめて……そんなの……! ミナミさんの槍だなんて……うそ……!」
先ほどまでぐったりとして力を失っていたアイコは、必死の様子で抵抗を試みる。ミナミの槍、それを自分への拷問へ使われる。不浄の場所へ槍を射し込まれ、自分だけではなくミナミの尊厳まで汚されることを理解したからだ。
言葉は伝わらずとも、表情で言いたいことは伝わる。拷問を担当する兵士は満足そうに笑うと、アイコの股の方へ歩いていく。
ぺちり、ぺちりと槍の腹で腹部を叩かれるアイコ。ここまで入るぞ、これから貫くぞと宣言されているようだ。
「ま、まって……。お願い……お願いします……。他になら何でもしていいから……それだけは……!」
グズリ……。
「んギッ…………!!」
アイコの哀願も届くはず無く、ミナミの槍がアイコの膣穴に深々と刺さっていく。
ずぶりずぶりと、既に刃で満杯の膣穴に更に致命的な傷を与えながら深く進んでいく槍。凡百の武器とは一線を画す切れ味で、アイコの膣穴を苛んでいく。
「がッ……! っぐ、ぅぅぅう……ッッッ!!」
自分の仲間の槍で辱められ、傷つけられていく絶望感がアイコを襲う。しかし、どうすることもできない。激痛に喘ぎ、天を仰ぎ、早く死にたいと願うことしかできない。
グリッ……グリッ……!
「ガフッ……! ごほっ……げほっ……」
そうしてミナミの槍は膣穴をあっさりと通り抜け、刃の山によって鱠に刻まれた子宮口を更にズタズタにした後、アイコの子宮、その一番深い場所まで届いた。刃の切っ先で歪に変形しているアイコの腹部。その中でも一番深くハッキリと、ミナミの槍の切っ先が姿を現している。
「げぉ……ぉぉぇ……」
アイコの口からはもう声も出ず、ただ止めどなく血を吐くだけ。
しかし、それでも責め苦は終わらず、このままの状態で次の拷問が始まるのだ。
(こんど……は……なに……?)
アイコの拘束が解かれて、そのまま引き起こされていく。拘束が解かれたところで、アイコに抵抗できる力が残っているわけではない。機構もわからない仕組みで引きずり起こされていくのを感じているだけだ。
ぐず……ずしゅり……。
「ガハッ……! い、いた゛……ぃ……」
何をされようとしているのかは程なく理解できた。アイコ自身が引き起こされても、彼女が自分の足で地面に立つことは許されていないのだ。彼女の身体を支えるのは、股間に突き刺さる武器の柄たち。特に長い槍が主となり、彼女の痩身をまるで串刺しのように支えている。
そう、串刺しだ。これからアイコは串刺しにされる。身体を支える物は無数の武器だけ。そして首には麻縄がかかったまま。
(や、やだ……やだ……)
これから襲い来る苦痛を予見してアイコはジタバタともがく。けれど、それは単に彼女の膣穴へ刃が深々と刺さっていくのを助長しているだけだ。
そして、刃が刺さっていけば首も絞まっていく。全く逃げ場のない責め苦に襲われるアイコだが、もう既に声も出せない。
そうして、ついに武器の根本が固定されて、アイコが“立”った。
「がふっ……! ごォ……!? ごふっ……!」
身体に徐々に突き刺さっていく武器。膣穴を裂き、アイコの身体がまっぷたつに割れてしまいそうだ。けれど肉体にかかった加護のせいで身体自体が破けることはなく、むしろ誘導されるようにゆっくりと、徐々に首筋の方へ向かって槍が、剣が、無数の切っ先が進んでいく。
観衆たちの大歓声が遠く聞こえる。呼吸困難で意識を失いかけても、膣穴をズタズタにしながら食い込んでくる刃や投げつけられる石の痛みで強引に意識を取り戻される。
何も言えず、悲鳴も上げられず、それでも死ねないまま、アイコはこの状態で三日ほど広場で晒し者にされたのだった。
「………………………………」
そうして三日後。アイコは完全に奇怪な置物と化していた。
膣穴は見る影もなくズタズタであり、しかし再生と合わせて突き刺さる無数の武器と癒着してしまっている。行き場を失った切っ先はアイコの全身を貫かんと暴れ狂っており、しかし加護の加えられた身体を貫通することは出来ずに肌を隆起させるに止まっていた。
そんな中で、唯一アイコの体外に飛び出た切っ先がある。ミナミの槍だ、美しく鋭いその切っ先はアイコの加護もかけられた回復術も破り、彼女の喉から口にかけてを貫いていた。
まさしく串刺し。そしてその切っ先には、無惨に切り刻まれた子宮の残骸がこびりついている。
アイコの串刺し像は数日間放置された後、また次の責め苦のために取り壊されることになった。癒着した武器を引き抜く様子や、身体を貫き通したミナミの槍を抜き取る様子は、見学する市民たちのことを大いに楽しませたという。
■ ■ ■ ■ ■
「………………………………ハッ……ぁ……ごふっ……!」
回復した呼吸にアイコがせき込む。止まっていた心臓が強引に動き出し、死んでいた全身へ血流を送り込む。
あれだけズタズタに破壊されたにも関わらず、アイコは元通りにされていた。肉体の強烈な加護と、敵の操る回復術のせいである。見るも無惨に破壊され原型すら把握できなかった膣穴ですら、まるで処女のように元通りだ。
アイコは再び拘束されている。しかし、今度は先日のような台に縛られている状態でもなければ、首吊りの体勢でもない。広場に設けられた枠組みから、四肢を吊られているような状態だ。
アイコ自身は地面と対面しながら、四肢は背後に回され吊られている。これから屠殺される家畜のような体勢である。アイコも、敵たちも知る由はないが、駿河問いと呼ばれる日本古来の拘束に近い体勢だ。
そして、当然ながらアイコは衣服の類は一切身に着けておらず、愛らしい秘所は観衆に向かって丸見え。吊り下げられたアイコにはそれを覆い隠す手段もなく、ただ少女として最も屈辱的な格好をさせられ続けるだけだ。
『これからこの憎きアインフェリアの豚を、同じ豚の力で痛めつけていく』
先日とはまた異なる兵士が観衆へこれからの趣向を宣言すると、再び歓声が波のように広がっていく。
「やめて……ゆるして……」
アイコは必死に許しを乞うが、その声すらも満足に出せない。無理な体勢の拘束によって、言葉はおろか呼吸すらまともに出来ないのだ。
『豚の中には、魔法に精通した豚がいた。今日はその豚たちの力を用いる』
兵士の言葉と共に、いくつかの道具が台に乗せられて運び込まれてくる。
「…………ッ!?」
その道具――見知った物を目にして、アイコは思わず絶句した。
ひとつは古びた書物。それは、ミナミと同じくアイコの仲間であったフミカとアリスが愛用していた魔法書だった。普段から書物を手にしていたふたりは、この魔導書を携え、召喚魔法を用いて戦っていたのだ。
「そ、そん……な……」
フミカとアリスの能力がどれほど心強かったか、アイコはハッキリと覚えている。彼女たちのおかげで脱することの出来た窮地は枚挙に暇がない。それ故に、彼女たちの能力の恐ろしさも充分に理解できていた。
「やめ……て……おろして……」
今から自分に行われることが恐ろしくなり、アイコは必死に脱出しようともがく。身体を拘束する鉄と縄が食い込み、柔肌を痛めつける。ここに運ばれてきたときから、加護の力が敵によって調整されているようだ。以前なら痛みも傷も生じさせることの無かった事象によって、アイコは傷つけられていっている。
『この本から用いる。私たちの同胞を何人も葬った憎き召喚術で、この豚を痛めつける』
敵の“痛めつける”というのは、アイコの性器に対する言葉であるようだった。戦乙女と呼ばれた少女に対して女性器を晒し、痛めつけ、ズタズタにする。確かに、アインフェリアの尊厳を貶めるには最適な方法のように思えた。
書物を敵の兵士が手に取る。既に内容は解析済みであり、全ては彼らの手中にある。書物が一瞬だけ怪しく輝くと、吊されているアイコの背中にずっしりと嫌な重さがのしかかってきた。
「つ……ぐっ……!?」
振り返りたくない、振り返りたくない。これから何をされるのかなど知りたくない。そう思いつつも、少女特有の柔軟性で振り返っていく自分の首をアイコは止められない。
知ることが恐怖なら、知らないことも恐怖なのだ。
アイコが振り返ると、そこには――
「い、いやぁあああああああああ……ッッッ!!!」
巨大な蜘蛛が、アイコの背中に乗っていた。
八本の脚を巧みに操り、不安定なアイコという足場に鎮座している。アイコがどれだけ暴れても、身をよじろうとも、蜘蛛は一切微動にしない。
このような生物を、生前のフミカとアリスは召喚しなかった。もっと気高く、美しい生き物を召喚していた。彼女たちの能力でさえも、敵によって歪められてしまったことを表していた。
鋭い牙を擦り合わせながらも、しかし蜘蛛はアイコに食らいつこうとしない。それは蜘蛛が、アイコのことを食糧だとは思っていない証拠だった。
かといって平静にいられるわけもなく、背中に乗る異物に対してアイコは精一杯の抵抗を見せる。しかしそれは当然ながら、何ら意味のない抵抗であった。
そして、必死に暴れ回るアイコは気が付いていない。蜘蛛の腹がパンパンに膨れ上がり、今にもこぼれそうなほどに卵をため込んでいることには。
――ずぶりっ……。
「ん、ぎっ……!?」
アイコの動きが止まる。膣穴に挿入された異物を感じて、思わず声を漏らしたからだ。
蜘蛛の腹の先端から延びる管――産卵管が、アイコの膣穴に押し込まれる。本来は愛する男性のモノを受け入れるべき少女の秘密に、得体の知れない化け物が侵入してくる。幾度と無く見知らぬ男たちにあるいは動物に犯されてきたアイコだが、それでも背筋を怖気で満たされるには充分すぎる状態だ。
「や、やめてっ……! ぬい、てっ……!」
腰をねじり、何とか産卵管から抜け出そうとするアイコ。しかし、蜘蛛は足でガッシリとアイコを抱きしめ、抵抗を許さない。
そしてその間にも、産卵管はずるずるとアイコの膣穴を進んでいく。まるで別の生き物のように自由自在に動く産卵管。その管はいとも簡単に膣道を制覇し、子宮口へと侵入していった。
「ギッ……ぃ……! がっ……!」
髪の毛一本も通らないような太さの子宮口をこじ開けられる悪寒にアイコは背筋を震わせる。痛みと言うよりも嫌悪感の方が強い。自分の大切な場所に有機的な異物が侵入してくる感覚。それは、少女の尊厳を踏みにじり、唾を吐きかけている行為に等しかった。
ミリミリッ……ミリメリッ……!
アイコの子宮口が蹂躙されていく。蜘蛛にとって、アイコは母胎ではなく苗床なのだ。故に、卵を産みつけられればそれで問題無いのである。
「い゛、ぅ……づぅぅぅ……ッ!」
アイコの叫び声も虚しく、産卵管は完全に子宮を制圧した。そしてそのことを察した蜘蛛は腹を大きくうねらせて、ゆっくりと卵を産みつけていく。
「や、やだ……やめて……お、ねがい……。蜘蛛の卵なんて……や、だ……かふっ……」
アイコが懇願する最中でも一定のペースで産卵管を通っていく蜘蛛の卵。ゴルフボール程度の大きさがあるソレが産卵管を通って膣穴をこじ開け、子宮口へ無理やり押し入ってくる感覚が、アイコにはハッキリとわかってしまった。
ボドッ……ボドッ……ボコンッ……。
「かふっ……くぅ……うぅぅ……」
そして、アイコの胎内にゆっくりと、しかし着実に卵が産みつけられていく。観衆はアイコがうめき声を上げると嬉しそうに叫ぶ。さらに、詰め込まれた卵によってアイコの腹が膨張し、その薄い肉を押しのけるようにして卵の陰がボコボコと見え隠れすると、もはや狂乱といっても差し支えない騒ぎにまで至っていた。
(お、なか……くるしい……やぶけ、る……)
孕まされたことは片手で数え切れないアイコだが、それでもここまで急激な子宮の膨張を感じたのは初めてだ。死ぬ度に元に戻される身体によって、何度出産を経験したとしてもアイコはすぐに元の肉体へ戻ってしまう。故に固いままの子宮を、無理やりに押し広げられ、卵が全て入りきるまで強引に膨張させられている。
「ごほっ……げふっ……」
そうして三十分ほどかけて、蜘蛛はアイコに卵を産みつけ終わった。アイコの腹部は熟れすぎた果実のように膨らみ、彼女の身体をその重さで苛んでいる。
産卵を終えた蜘蛛はというと、苗床となったアイコに興味を失ったのか、彼女の身体から降りてどこかへ去っていこうとする。しかし、危険な生物をそのまま放置しているわけもなく、すぐさま現れた兵士たちによって殺害されてしまった。そのあっけなさは、無理やり産卵をされたアイコですら怖気を感じざるを得ないものだった。
「ぐる……しぃ……おなか……やぶ、ける……」
アイコに産みつけられた卵の生育は早く、産卵後早々にアイコは腹部の圧迫感と違和感で苦しむことになる。
観衆はというと、アイコの苦しんでいく姿を見逃さないようにと机やイスまで持ち込み、酒盛りを始める始末だ。
しかし、そんな非情な市民たちのことを気にかけている余裕は今のアイコにはない。先ほどまででとうに限界を迎えたと思っていたのに未だに膨張を続ける腹部の圧迫感、そして胎内でうごめく卵の不快感に苛まれ続けているのだ。
ゴロ……ゴロ……。
卵は既に膨らみ、中の幼体は今すぐにでも殻を破って生まれてきそうな勢い。
(や、やだ……。おなかの中で、蜘蛛が生まれるのなんて……やだ……)
そう思って、アイコは何度も何度も下腹部に力を入れる。必死になって卵を産み落としてしまおうと試みているのだ。
しかし、生育しきった大きさの卵はアイコの子宮口を通れない。アイコがどれだけ不格好に息んでも、卵は微動だにする様子を見せなかった。
そして、産卵から数時間後――
パキリ……。
「ひっ…………!?」
アイコの総毛が逆立つ。子宮の中で、卵の殻が割れる音が確かに聞こえてきたのだ。
「や、やだ……で、出てこない、で……。産まれ、ないで……」
必死に懇願しても、既に卵いっぱいに成長した子蜘蛛たちが孵化をやめるわけもなく、次々とアイコの子宮の中で孵る。
それどころか、先に産まれた小蜘蛛は狭い子宮内を自由自在に動き回り、まだ殻を破れていない子蜘蛛たちの孵化を助けているようですらあった。
モゾ……モゾ……。
(い、痛い……気持ち悪い……)
子宮の中で得体の知れない小さな物体たちが暴れ回る感覚がする。肉付きの薄いアイコの腹部は子蜘蛛たちの動きがハッキリと見て取れて、その数がどんどんと増えているのもわかった。
そうしてアイコの子宮が波立ち、全ての子蜘蛛が産まれたのだろうとわかったころ。
「んギッ……!?」
アイコの口から悲鳴が漏れる。子宮口をこじ開けて外に出ようと、子蜘蛛たちがもがき始めたのだ。
「む、むり……! そんなの、む、りっ……!」
子蜘蛛は卵よりも遙かに大きなサイズに成長していた。それ故に、子宮口から這い出てくることは至難の業だ。赤子のように質量があるわけでもない子蜘蛛は、ぴったりと締まったアイコの子宮口をなかなか突破できない。
ミキッ……メキッ……!
「あ゛、ッギィ……ッッッ!!!」
しかし、何匹かの壮健な子蜘蛛が強引に子宮口をこじ開けていく。その痛みと不快感で、アイコは目を白黒させるしかない。
アイコが異形を産み落とそうとしていることがわかったのだろう。観衆たちは口笛を吹き、手を叩き、アイコを、そして子蜘蛛をはやし立てるように賑やかす。それは決して心からの応援などという訳ではなく、嘲りと侮蔑の含まれた声だった。
ミリッ……メリメリ……ッッッ。
アイコの固い子宮口をこじ開け、膣道に爪を突き立てつつ、子蜘蛛が何匹か這いだしてくる。特に健康な数匹の子蜘蛛は、産まれた後すぐに母胎であるアイコの身体を這い回り、彼女に強烈な怖気を覚えさせた。
しかしそんな最中、アイコの胎内ではまた別の変化が起きていた。
「づッ……っぅぅ……!?」
腹部に走る激痛を前にして、アイコが呻く。それが何であるか想像も出来ない。胎内で子蜘蛛が暴れ回っているのか、いやそんな生半可な痛みではないと感じた。
産まれたばかりの子蜘蛛たちは、空腹だったのだ。
壮健な子蜘蛛が膣穴から這いだしている最中、そこまでの力が無い故に子宮から脱出も出来ない子蜘蛛は、空腹に喘いでいた。
産まれてきた卵の殻を食し、産まれた時から虚弱であった同族を食し。それでも空腹が満たされない子蜘蛛たちは、あるモノに目を付けた。
自分たちを包んでいる、アイコの子宮である。
ブチッ……ブチッ……ぐちゅっ……グチッ……。
小さくとも鋭い子蜘蛛の牙がアイコの子宮内膜を食い荒らす。旺盛な食欲を前にして、子宮の内側は一瞬で食い荒らされてしまった。
そうなれば目指すところは、子宮本体、あるいは栄養をたっぷり含んだ卵巣である。子蜘蛛たちは我先にとアイコの“中身”に殺到し、牙を突き立て、空腹を満たしていく。
「ごほっ……い、痛い……! 痛い……! た、食べないで……! やめ、て……! 私の、こと……食べないで……!」
アイコは必死になって胎内へ呼びかけるが、別に子蜘蛛にしてみればアイコに対して親子の情などあるわけもない。柔らかくて食べ応えのある肉。それがアイコの内臓に与えられた評価だ。
(やだっ! 嫌だ嫌だ嫌だ……! 生きてるのに中から食べられるなんて嫌……!)
アイコが身をよじり必死に逃げ出そうとしても意味はない。子蜘蛛たちに子宮が食い荒らされ、徐々に徐々に喉元へ血液がせり上がってくる。
「ごぼっ……ごほっ……げほっ……」
やがてアイコは言葉を発せなくなる。喉元までせり上がってきた血の塊のせいで、声が出せなくなってしまったのだ。
何度も何度も血を吐き、それでも止まることがない。子宮は既に食べ残しのような肉片しか残っておらず、卵巣は子蜘蛛同士の奪い合いで千切り尽くされ、膣穴をさかのぼるように貪った子蜘蛛たちが這いだしてきている。しかしそれと逆方向へと進んでいった子蜘蛛たちもいて、それらはアイコの他の内臓をむさぼり食って、彼女をゆっくりと嬲り殺しにしていくのだ。
(死にたい……死にたい……死にたい死にたい死にたい死にたい……)
アイコはそれだけしか考えられなかった。身体を内から食われていく苦痛と不快感。それに押しつぶされそうになりながら、必死で死にたいと願い続ける。苦しみと痛みから逃げたくて、みんなのところへ行きたくて、必死に願い続ける。
しかし、それが叶うことはない。アイコの身体にかけられた加護は敵によって操られ、回復術式を組み合わされ、彼女の命を長らえさせている。子宮を食い荒らされようが、卵巣を貪られようが、膣を失おうが、内臓をいくら食べられようが、アイコは死ぬことがない。
ブヂッ……ビヂッ……!
やがて子蜘蛛たちは食事に飽きて、“外”へ出ようと試み始めた。アイコの身体の最も薄い部分、子宮のすぐそばにある腹部の肉に内側から食らいつき始めたのである。
「や……べて……。お、な゛か……やぶけ……る……こわれ゛ちゃう……」
今やアイコの胎内に残された子蜘蛛たちは全てがアイコの腹部に集合していた。一心不乱に肉を食い荒らす。否、もはや満腹である子蜘蛛たちは肉を食うことに飽きており、アイコの外に出ようとする一心だ。
そうしてアイコの腹部に赤い内出血の傷跡が広がり、ぶちぶちと小さな穴が空き、それが子蜘蛛たちに牙によるモノだとわかった直後――
ブチッ……ブチブチブチ……ぐばぁ……!
「ごほっ……!?」
アイコの腹部が裂けて、一気に子蜘蛛たちが溢れ出してきた。
「がふっ……ごほっ……ごほっ……」
アイコの全身に子蜘蛛がまとわりつく。観衆から悲鳴が上がり、その悪辣な様子をまるでアイコのせいだとでも言わんばかりに罵倒の言葉が投げかけられた。
しかし、その言葉がアイコに届くことはない。全身を拘束されているアイコにはまとわりつく子蜘蛛を振り払うことすら出来ず、ただなすがままにされるだけ。
そうして、再びアイコは身の毛もよだつ状況のままで放置されることになる。
数日後、敵兵の魔術によって子蜘蛛が一掃された時には、アイコは子蜘蛛の保存食代わりにされた後であり、食い散らかされ、骨が露出し、出来損ないの案山子のような、見るも無惨な状態であった。
それでも、少し手を加えれば元通りになってしまう。次にアイコが意識を取り戻すのは、再び責め苦を負わされるときだ。
■ ■ ■ ■ ■
「もう……嫌だ……殺して……お願い、します……殺して……」
捕虜になってからの間で様々な拷問を受けてきたアイコだが、ここまで受けた拷問はその中でも群を抜いて苦痛に満ちたモノだった。
それは、かつての仲間であったアインフェリアたちの武器や能力を用いて行われている拷問だというのもある。だが同時に、この拷問自体が見せしめであり、敵国におけるショーであるということも一因だった。
敵は国家の威信を賭け、小娘五人程度に多大な犠牲を払ったことを覆い隠すように、必死になってアイコを痛めつけている。そして思惑通り、敵国の市民たちはアイコに対する憎悪を募らせ、次の拷問を待ちかまえ続けているのだ。
前回子蜘蛛を産んでからの蘇生後、アイコは数日間広場で晒し者にされた。全裸のままで粗末な台に拘束されていたのだ。
アイコほどの美少女が全裸で拘束されているというにも関わらず、犯す人間はほとんどいなかった。時たま深夜に浮浪者がやってきてはアイコを犯す程度。しかし、どんなに乱暴に犯されたとしても、アイコにとってはまだ人間的な温かみのある辱めであるように感じた。
昼の間にはアイコの周りにはあまり人が近づかなかった。晒されているとはいえ、忌み物扱いなのだろう。子供が時折イタズラをしにきては、大人に叱られていなくなる。
だが、そんな子供たちのイタズラは幼いが故に苛烈であり、アイコは切れ味の悪い小刀で膣穴をぐりぐりと削るようにほじり回されたり、木の棒が膣に何本収まるか試されたり、そういった様々な辱めを受けた。
そして数日経ち、再び市民が広場に集まっていた。自分の周りを敵兵がぐるぐると歩き回るのを見て、アイコはまた次の見せ物が始まるのだと予感していた。
「あ、あぁ…………」
目の前に見せつけるように差し出される道具――アイコをこれから苦しめる道具が何かは、わかっていた。ミナミ、フミカ、アリスの道具が使われた。ということは――
「そう、ですよね……」
目の前に出されたのは、ユミの用いていた種袋だった。植物を操ることに長けていたユミは、種を急成長させて様々な植物を操ることで戦っていた。その攻撃に散々苦しめられた敵は、ユミを殺害後に奪い取った種の数々を研究し、アイコを苛むための品種を生み出していたのだ。
今日アイコを“担当”するのは、前回とも前々回とも異なる兵士だった。兵士と言うよりは、研究者に近い印象を受ける。彼はにやりと笑うと、アイコに向けて数粒の種を見せた。
「これを、今からお前の中に植えるよ」
敵の研究者が放った言葉がわかったとき、アイコは目を見開いて驚いた。この国に来てから出会った、初めての意思疎通可能な人間だったからだ。
「あっ……ぇ…………い、イヤ! イヤです! お、お願い……お願いします……! もう痛いのも、苦しいのもイヤなんです! お願いですから、許して……助けて……」
相手と意思疎通が出来るというのは、アイコの中で潰えかけていた淡い希望を呼び起こしてしまう。彼となら対話が出来るのではないか。対話が出来るのであれば、必死にお願いすれば慈悲をもらえるのではないか。
しかし、そんなアイコの儚い願いを打ち砕くように、研究者は二回三回と首を振った。
「申し訳ないが、この種がどう動くか気になるからね。――それにキミは、何をしても死なないから好都合だろう?」
別に言語が通ずるからといって意思疎通が出来るわけではない。牛が人語を解したところで、気にせず屠って食すであろう人間が一定数いるように、この研究者もアイコのことを同じ“人間”だとは思っていないのだ。
「ッ…………!」
アイコが息を呑む。薄氷が如き希望はあっさりと踏み抜かれた。
研究者はアイコの足下――相変わらず無垢な色をした秘所が晒されている股の間に移動する。そしてそのまま、無遠慮に彼女の膣穴へ手を突っ込んで見せた。
「ん゛、っぎ……ぃ……ッ!?!?」
剣を射し込まれた時のような衝撃がアイコを襲う。身体が二つに裂かれていくような錯覚。メリメリと膣穴に大人の腕が侵入してくるのだ。
「む、む゛りぃ……ッ! そんなの、はい、らないっ……!」
剣の方がまだ挿入はスムーズだったと錯覚してしまう。刃がない分、研究者の腕はまさしく“掘削”といった具合にアイコの膣穴を掘り進んでいくのだ。
メリッ……ミキッ……メキッ……!
「がふっ……うぅ……っくぅ……!」
膣穴を強引に裂かれ、アイコの口からうめき声が漏れる。しかしそれは苦痛を訴えるためのものではまく、むしろ身体に異物が侵入してきたことによって押し出された空気が、そのままうめき声になったようなものだった。
ぐいっ……ぐぎり……。
研究者の指先は簡単にアイコの子宮口まで届いてしまう。そのまま彼はアイコの子宮口へ二個、三個と手にした種を押し込んでいく。
「や……だ……。やめ、て……。うえ、ない……で……」
ユミの力は、少なくともアイコたちにとって恐ろしい物ではなかった。しかしそれは、あくまでアイコたちが味方であったからだ。敵に対して牙を剥くとき、ユミの力がどんな凶暴性を見せるかは未知数である。
しかし、これから自分の身に起きる恐怖に怯えるアイコの懇願が聞き入れられることなく、研究者はずるずると腕を引き抜く。裂けた膣穴からこぼれた血のせいで真っ赤に染まっている腕を拭きながら、研究者は“すぐに変化が訪れるよ”とだけアイコに告げる。
そして彼の言うとおり、変化はすぐに訪れた。
メリッ……ミキッ……。
「がふっ……ふぅ……。お、おなか……くるし……い……」
アイコの中で種が芽吹いたのだ。身を暖めるための土もない中で、ユミの種はしっかりと発芽した。そしてそれは、急激な早さで成長していく。
葉が出て、すぐに茎を伸ばす。その茎には一面びっしりと鋭いトゲが並んでいて、アイコの子宮内を荒らし回るのだ。
ずるり……ずるり……。
植物は意思を持っていた。しかし、以前アイコの胎内で産まれた子蜘蛛たちほどハッキリした意思ではない。ただ動き、成長すると言うだけの簡単な、植物的な知能。
しかしそれによって、アイコの子宮内はズタズタに切り刻まれていく。こうしてあふれ出た血液が、この植物の栄養になっているのだ。
「い、痛い……! おなか、痛い……!」
アイコは必死に痛みを訴える。そのわかりやすい反応は、観衆たちを大いに賑わせた。今回は研究者の男が通訳となり、アイコの言葉をおもしろおかしく脚色して観客へ伝えているのも一因である。
アイコが痛みに悶えると、観客から合いの手のように叫び声が飛ぶ。アイコへの拷問は、完全にショーになっていた。
子宮の中で植物は急速に成長していく。しかしそれは、子蜘蛛を大量に産みつけられた時のような異常な膨張を伴うものではなかった。
アイコの腹部はせいぜい“ぽっこり”とした程度。それが不気味に蠢いていなければ、懐妊のようなほほえましい解釈も出来たかもしれない。
トゲに覆われた茎――といっても、簡単に折れなさそうな太さの、まさに凶器といった様相の茎がアイコの子宮内で蠢く。
「ぐ、ぅ……う゛っくぅ……」
次は何が起きるのか。苦しみつつもそれを考える余裕が、アイコにはあった。このときまでは。
ずりゅるるる……ずるるる……。
「な、なに゛……?」
アイコの子宮内から緑色の茎が姿を現す。子宮口を強引にこじ開け、膣道をトゲで傷つけながら、茎がアイコの体外に姿を現した。
植物としてある意味では当然の行動である。この植物は、“開花”しようとしているのだ。
ずる……ぐいっ……。
「や、やめ……て……。そ、れ……きもち、わるい……」
植物はひときわ太い茎四本をアイコの体外へ脱出させると、その茎をアイコの身体やアイコが拘束されている台へ巻き付けた。
そのままゆっくり、ゆっくりと、アイコの身体から植物は這い出ようとしてくる。子宮の中に、既につぼみが実っているからだ。
「げぅ……ごふっ……お、おなか……ひき……抜かれる……!?」
そう。引き抜かれるのだ。
アイコの子宮には植物の茎のトゲがしっかりと食い込んでいる。植物自体も子宮内の体積いっぱいにまで成長していて、子宮口から離脱できるサイズではない。
そのせいで、植物がアイコの身体から離脱するためには、子宮ごと引きずり出すしかなくなっているのだ。
「ぐぇ……ッ! ぅ……ぇ……ぇ……」
アイコの口から言葉が出なくなってくる。生きたまま内臓を引き抜かれる不快感を前にして、呂律が回らないのだ。
アイコは本能的に下腹部へ力を込めた。自分の身体で大切な部分を奪われないように、懸命に守ろうとする。
しかし、膣道は既に茎によって制圧済みだ。子宮を抜き取りやすいように、ぐいぐいと無理な拡張を繰り返されている。四本の茎がアイコの膣穴を拡張し、まるで正方形のような状態になっていた。
ずる……ずぃる……ずる……。
不気味な音を立てながら、身体の中からゆっくりと引き抜かれていく子宮。すでに膨張しきっているソレは、まるで赤子を産み落とすときのような苦しみをアイコへ与えた。
(しぬっ……死んじゃう……おなかの中、空っぽになって死んじゃう……ッ!)
身体に絡みつく茎が、膣穴を押し広げるトゲがアイコを苛む。既に膣穴は裂けてしまっていて見るも無惨な姿。先ほど研究者が無理に腕を突っ込んだ際の傷に沿うようにパックリと開かれている。
そしてその奥に、子宮が見えてきた。
アイコの子宮。今の身体では汚れを知らなかったはずのその部位は、小さな子宮口を強引に押し広げられ、中から茎が顔をのぞかせている。
ずる……ずるる……ずりっ……ずる……。
(イヤだ……イヤだ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……嫌……ッ!!!)
アイコが次の瞬間に訪れる苦痛を想像して首を何度も振り、歯を食いしばった次の瞬間――
ずるるるるるる……ずっぽ……ん……ッ!
「がふっ……ぅ……ぅぅ……」
アイコの子宮が、彼女の胎内から引き抜かれてしまった。
赤々としたアイコの子宮――いわば、子宮脱といった状態だ。膣道が裏返り、ヒダヒダとした部分が空気中に投げ出されている。そして子宮はまるで情けないペニスのようにこぼれ落ちており、その狭い子宮口の穴は今まさに茎によってぐいぐいと押し広げられている。
「づ、っぎぃぃ……ッ! い、だい……! 身体、さけ……こわれ……りゅ……ッ!」
アイコの叫びも虚しく、子宮口がメキメキという音を立てて破壊されていく。そして子宮口から漏れ出てきた細い茎たちはアイコの膣壁に食い込み、そのトゲで敏感かつ繊細な膣壁を切り刻む。
そうしたほうが多く流血し、多くの栄養を得られることを知っているからだ。
そして最後に、こじ開けられた子宮口からつぼみが現れた。その後あまり時間を置かず、ゆっくりと花開いていく。
アインフェリアの制服のように白い花弁だった。
それが徐々に、アイコから吸い上げた血で染まるように赤く変わっていく。そしてその血が栄養であると言わんばかりに、さらに花は大きく育っていく。
「――これが、我が国の勝利を記念する大輪の花です」
研究者が自慢げに叫んだ言葉が、アイコには遠く聞こえていた。
とある国の広場には花畑がある。
広場の中心を埋め尽くすような赤い花畑。かつて、遙か昔に起きた戦争の犠牲者を忘れないことを記念したというその花は、国民の目を楽しませ、心を癒していた。
手入れも必要なく、水やりも必要なく、ただひとりで咲いて、一年を通して美しい花をつける。その花畑を国民は、祖国の永遠の繁栄を約束するものであるとして疑わなかった。
その花畑の中心、根本。花の栄養が何であるか、花がどこに根付いているのか。それを知る者は、もうこの国には残されていなかった。