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DESCRIPTION
部屋の中は静寂に包まれ、窓の外から漏れる微かな光が、薄暗いカーテン越しに揺らめいていた。昼と夜の狭間にいるかのような曖昧な時間の中で、彼女の息遣いだけが部屋を満たし、静かな緊張感を漂わせていた。壁にかけられた時計の針が、時間の流れを忘れさせるような、静かな規則性を刻む。しかしその音さえ、二人の間に漂う親密さを壊すことはできなかった。
ベッドの上で四つん這いになった彼女の姿が、薄明かりの中でかすかに揺れる。汗が彼女の肌を伝い、純白のワンピースににじんでいく。薄暗い部屋の中、彼女の姿はまるで神秘的な儀式に挑む巫女のようだ。外の世界など存在しないかのように、彼と彼女の間には静寂と濃密な空気が漂っていた。この空間は彼女が求めた、誰にも邪魔されない最もプライベートで神聖な場所だった。
「……医者や助産師なんて、いらない……あなただけに見ててほしいの……」
彼女がそう言ったのは、臨月に入る少し前の夜だった。二人でベッドに横たわり、暗がりの中で囁くように話をしていたとき、彼女はその言葉を口にした。その声には決意だけでなく、どこか歪んだ興奮の色が混じっていた。
彼は一瞬躊躇したが、理性を押し流すような陶酔感が彼を支配した。彼女の出産――そのもっとも神聖でプライベートな瞬間を独り占めできるという考えに、彼は惹きつけられた。
「もちろんだよ……君のすべてを、僕だけに見せてくれるんだろう?」
彼は彼女の手を握り、優しく微笑んだ。その微笑みには、愛情と同時に、共に背徳的な興奮を分かち合うという暗黙の合意が込められていた。彼女もまた、彼の反応に安心し、深い満足感を覚えていたのだった。
強まった陣痛が、彼女の意識を回想から現実へと引き戻した。彼女は痛みを逃そうと腰を持ち上げ、ゆらゆらと揺らす。白い布地越しに、膨らんだ腹部の輪郭が透けて見える。それほどに、その体温は上昇していた。
強まる陣痛が、彼女を再び現実へと引き戻した。背中を反らすようにして腰を持ち上げ、膨らんだ腹部を小刻みに揺らす。その動きに合わせてワンピースの布地が張り詰め、彼女の汗に濡れた肌の輪郭が透けて見えた。
「……ねぇ、お願い……暑いの……服、脱がせて……」
彼女は陣痛の合間にかすれた声でそう言うと、慎重に体を起こし、彼の前に立ち上がった。彼はすぐに彼女の肩に手を置き、その視線を妊娠によって張りつめた腹部へと向けた。目の前にあるその膨らみは、生命そのものの神秘と重みを余すところなく体現していた。
張り詰めた皮膚には、紫がかった妊娠線が幾重にも刻まれ、命の重みを証明していた。彼女の呼吸に合わせて胸が上下し、そのたびに下腹部がわずかに収縮して痛みを伝えてくるのがはっきりと見て取れる。
湿った服を脱がせる彼の手は慎重そのものだった。ワンピースが肩から滑り落ちると、彼女の下着姿が露わになる。大きく膨らんだ腹部は、へそから恥骨まで膨隆し、汗が細かい粒となって鈍く光る。張り詰めた皮膚の表面には命を育む証のように紫がかった妊娠線が走っていた。彼女の深い呼吸に合わせて胸が上下し、腹部もわずかに揺れる。その度に、彼の胸に言いようのない高揚感が湧き上がる。
「すごい……君、ほんとうに頑張ってる……」
彼の遠慮の無い視線に気づいた彼女の顔が一瞬赤らむが、すぐに目を閉じ、彼に体を任せるように軽くため息をついた。
彼は次に、ブラジャーのホックに手をかけた。彼女が小さく頷くのを見て、ゆっくりと外す。大きく張った乳房が解放されるように現れた。その熱っぽい膨らみには表面の血管がうっすらと浮かび上がる。乳首は敏感に硬くなってつんと突き出し、乳輪は濃く熟れて、広がっている。
乳首の周りには、汗とともに微かに黄色味がかった乳汁がにじみ、乳輪の周囲に乾いた跡が残っている。乳房の肌を濡らすその乳汁に彼が気づいた瞬間、彼女の顔には羞恥の赤みがさっと広がった。
「……いや、見ないで……」
彼女は腕を交差させて重々しく垂れ下がる乳房を隠そうとする。しかし、彼がそれをそっと押し留めた。その動きに戸惑いを見せつつも、彼女は彼の真剣な目を見て動きを止める。
「なんで?……すごく、綺麗だよ」
彼の言葉は、驚くほど穏やかで、そして確信に満ちていた。彼女の表情はわずかに和らいだが、自身の乳房から滲む乳汁を見降ろすと、再び頬が熱く染まる。
「……だって、こんな……」
彼女は、うわずった声で視線を泳がせる。「……こんなの、見られたら……恥ずかしいよ……」
彼はそんな彼女の目をのぞき込む、その視線は真っ直ぐで真摯だ。
「恥ずかしくなんかない。君は命を育んでるんだよ。……神秘的なぐらいだ」
「神秘的って……口がうまいんだから。でも、ほんとに……?」
彼女は言葉を飲み込みながらも、その目を信じるように見上げた。その視線には、ほんの少しの期待が宿っている。
「思うよ。全部、君だからこそ美しいんだ。それに……これは赤ちゃんを迎える準備なんだろ?俺たちの赤ちゃんを」
彼の穏やかな声が彼女の胸に響く。
彼の言葉に、彼女はくすっと笑みを漏らした。少し緊張が解けたようで、頬の赤みがわずかに薄れる。
「……ほんと、あなたってずるいよね。そんなふうに言われると、恥ずかしいけど、なんだか悪くないかもって思っちゃう」
彼女は恥じらいを隠せないまま鼻を鳴らしたが、視線を外しつつ、組んだ腕をそっと解く、そして思いついたように胸に手を添え、そっと両腕で寄せるように抱えた。その動きによって、谷間が強調され、乳房がさらに丸みを帯びて持ち上がる。案の定彼の視線が集中し、彼女の胸の奥でくすぐったいような感情が湧き上がる。
「見すぎだよ……」
自分で挑発しておきながら羞恥心が勝ってしまった彼女はすぐに腕をほどく。するとその動きに合わせて乳房の先端から淡い黄色味を帯びた乳汁がつっと垂れ落ちる。その光景に彼が目を見開いたのを察した彼女は、再び顔を真っ赤にする。
「うう~っ、おっぱいが漏れ出しちゃってるの、見られちゃった……」
彼女は両頬を手で覆う。その様子に微笑みながら、彼は口を開いた。
「ふふっつ綺麗だよ……どんな姿も、全部君だって思うと愛おしい。」
その一言が、彼女の中にあった羞恥心を溶かし、代わりに甘く、どこか疼くような感情を呼び起こす。
「じゃあ、最後の一枚も、脱がせてもいい?」
その問いに、彼女はごくりと唾を飲む。
「……うん、お願い。」
彼は彼女の足元に跪き、そっと手を伸ばす。その指先が彼女の太ももの付け根に触れると、彼女の体が微かに震えた。ショーツの端をつまみ、慎重に、けれど迷いのない手つきで布を下ろしていく。汗ばみ湿ったショーツが肌に少しだけ張り付いているのを感じながら、彼は丁寧に膝まで滑らせ、やがて足元で小さく折りたたまれるように丸められる。
露わになった彼女の肌は熱を帯び、光を反射して艶やかだった。赤みが増した外陰部は、生命を迎える準備を整えるかのようにふっくらと膨らみ、産婦特有の湿り気をまとって輝いている。柔らかく光る陰唇の間には、粘性のあるおりものがわずかに糸を引き、その様子が彼の視線を釘付けにした。
「……ここから、本当に赤ちゃんが……出てくるんだな」
彼の声はかすかに震えていたが、その響きには敬意と抑えきれない興奮が入り混じっていた。その声が耳に届いた瞬間、彼女は胸の奥が締め付けられるような感覚を覚えた。彼の視線が自分の最も繊細な部分に注がれていることが分かりすぎて、内ももに力が入ってしまう。膝を寄せたくなる衝動に抗い、居心地悪そうに腰をくねらせる。
「……そんなに見ないでよ、なんだか……変な気持ちになるから……」
彼女の声はかすかに震え、小さく笑うように逃げ場を求めていたが、彼の真剣な眼差しに向き直ると、その言葉は次第に力を失っていく。
「目を離すなんて無理だよ。それにほら、変な気持ちになるのを我慢する必要なんてないんだ。もっと開放して?」
彼の言葉は真剣で、少し熱を帯びている。それを聞いた彼女の体は、無意識に反応して硬直した。羞恥心と安堵、そして興奮が同時に彼女を満たし、胸元に手を置いて深呼吸を繰り返す。
「もう……あなた、ほんとに……」
彼女は呆れたようにため息をつきつつも、彼の視線を拒むことはしなかった。それどころか、微かに足を開き、挑発するような目線を送る。ほんの数センチの動きが彼の喉を鳴らせ、沈黙の中に生まれる緊張感が二人を包む。
直後、痛みがその官能的な緊張感を消し去る。彼女の体が硬直し、腹部が再び鋭く張り詰める。息が乱れ、浅い呼吸がかすかに震える声となって漏れ出す。
「んん……!また来た……!あっ、痛い……!結構、強くなってきた……っ」
声が自然と漏れる。彼女は反射的に腹部を押さえながら前かがみになったが、その時、突然、膣口にぬるりとした温かな感覚が広がった。
「……っ!?」
驚きの声をあげる間もなく、膝から太ももを伝う液体が、彼女の足元で水音を立てて勢いよく弾ける。
驚きと羞恥の間で揺れる目が一瞬彼を見た後、自分の足元へと落ちる。羊水は湿った音を立てながらも床に広がり、水溜まりを作っていった。
「……これ……破水……?なんだか、本当に……お漏らしみたいな感じ……」
彼女は消え入りそうな声でつぶやきながらも、膣口からじわじわと流れ続ける羊水の感覚を鮮明に感じ取っていた。
「破水だ……いよいよだね」
その言葉には緊張と興奮が込められており、彼自身も抑えきれない感情を抱えているのが見て取れた。目の前で彼女の体が新たな命を迎える準備をしている。その神聖で原始的な瞬間に、自分が立ち会っているという感覚が、彼の心を満たしていた。
彼女は目を閉じ、深い呼吸をしようと試みるが、痛みとともにさらに羊水が溢れ出る感覚に意識が引き戻される。その部分は湿り気を増し、次第に重たくなるようだ。
「……はぁ……はぁ……始まるんだね、本当に……」
その声にはわずかな怯えと不安が入り混じっていた。だが、目を開けた彼女の瞳には、強い覚悟と決意が宿っている。彼女は唇を軽く噛みしめながら、再び足元に広がる水溜まりに目を落とし、そして彼の方へ視線を向けた。
「これから……最後まで、全部見ていて。あなただけに、見てほしい……」
彼女は苦しげな表情の中にも、確固たる決意を持ってそう囁いた。彼は彼女の側に膝をつき、その全身に視線を注ぎながら、熱を帯びた目でその瞬間を見つめ続けた。
*
破水を境に部屋の中の空気は一層張り詰めていた。彼女の身体は陣痛に伴い、微かな痙攣を起こす。彼はその様子を冷静に見つめながら、事前に用意していた吸水シートを手に取り、素早くベッドの上に広げた。
「よし……。ほら、ここに、横になって」
彼女は、彼の手を借りてゆっくりとベッドに腰掛け、腹の重さに苦しげな表情を浮かべながらも、クッションにもたれかかるように仰向けになる。彼女が足を広げるとその動きに伴い、腫れ上がった外陰部が照明の下で露わになる。朱色に染まったそれが、まるで命を押し出そうとするかのように脈打っていた。
「……見てほしい、とは思うんだけど……やっぱり、すごく恥ずかしい……」
かすれた声で彼女が呟くと、彼はそっと彼女の脚に触れ、安堵させるように軽く押し返す。
「でも、見せてくれるんだろう?君のすべてを……」
その言葉に、彼女はかすかに笑みを浮かべたものの、すぐに表情が一変した。
「……あぁ……っ……来る……」
彼女の顔は一瞬にして苦悶に歪んだ。その声は掠れ、震えながら吐き出される。彼は彼女の手を取り、汗で湿った指を優しく握り締めた。瞳は涙で潤み、焦点を定められないまま天井を仰いでいる。体全体が小刻みに震え、彼女の苦しみが見ているだけで伝わってくる。
「ああ゛っ、痛いぃ、んっ……!うぅう~っ」
彼女の胸は荒い息遣いに合わせて激しく上下する。肌は緊張で張り詰め、薄い血管が汗ばんだ表面に浮かび上がる。陣痛に耐えながら体を仰け反らせるたび、胸元の柔らかな起伏が揺れる。張り詰めた乳房の先には汗が滲み、彼女の苦痛と努力を物語る。
「傍に、傍に居てぇ~……う゛ぅっ、ん゛ぅ~!」
彼女は彼の手を求めて掴み、その指を強く握り締めた。彼女の脚は時折痙攣し、つま先が丸まる。外陰部は赤黒く腫れ上がり、膣口は次第に薄く開いていく。陣痛のたびに羊水がじわりと溢れ出し、彼女の臀部を伝い吸水シートに染み込んでいった。
「わかってる、ずっと傍にいる……君が命を産み出す瞬間を、俺は逃さない……」
彼の温かい声が耳元に届くと、彼女の背中が少し緩む。だが次の瞬間、また新たな痛みが体を貫いた。背筋が反り、ベッドに押し付けられる腰が激しく震え、汗が滑るように流れ落ちる。
「……ぁあ……!幸せ。うぅっ、痛いっ……でも、あなたがいるから……んぅっ、幸せ……」
彼女は涙を浮かべながら呟き、唇を震わせる。愛する彼のために痛みに耐えているという状況は、彼女を陶酔させ、耐えがたい痛みの中で彼女を支えていた。彼女は一瞬目を閉じて深呼吸を試みたが、すぐにまた新たな陣痛が彼女を襲った。
深い呼吸を繰り返しながら、彼女の視線が彼に向けられる。震える声で、彼女は言葉を続けた。
「ねぇ……」瞳が彼を求めるように揺れる。「……私、頑張ってるよね?」
彼は深い愛と敬意の込もった目で彼女を見つめ、頷いた。
「うん、君は本当にすごいよ……とても頑張ってる。誰よりも美しいよ」
彼の言葉に彼女は一瞬笑みを浮かべたが、またすぐに陣痛が襲い、苦痛が表情を塗りつぶす。彼女の視線は彼にしがみつくようで、次第にその目はまた閉じられた。
「……あのね……もっと頑張るから……ご褒美が欲しいの……」
その言葉に彼は一瞬驚き、優しく問いかける。
「ご褒美?」
彼女は唇を引き結び、耐えながらも小さな声で囁いた。
「……キス……して……」
彼はすぐに彼女の顔にそっと手を添え、深い感情を込めて唇を近づけた。
「もちろん……君がこんなに頑張ってるんだから……」
彼の唇が彼女に触れると、彼女の体は陣痛の波に飲み込まれながらも、その瞬間だけは彼との繋がりに包まれる。
「……んぅっ……もっと……」
彼女はさらに彼を求め、唇を重ねる。その静寂は一瞬だった。再び激しい陣痛が襲い、彼女の体は大きく震えた。
「……あぁっ……また……くる……っ!」
彼女は急に彼の身体にしがみ付き、痛みに耐えるように強く抱き締めた。彼の腕はさらに力を込め、彼女をしっかりと支えた。
「うぅっ……あぁっ……!もう、無理ぃっ……っ!」
「大丈夫、君はすごいよ。もう少し、あと少しだから……」
その言葉に彼女は最後の力を振り絞り、全身を強張らせていきむ。背中が反り返り、身体全体が引き裂かれるような感覚の中でも、彼の温もりを頼りに進んでいった。
*
「……んっ、次……いくから……っ」
彼女は彼の腕に支えられながら、次第に力強さを増していく陣痛の波と戦っていた。衝動のまま、彼女はベッドの縁に足をかけ、もう一度深く息を吸い込む。
「ああ゛っ……ぐっ、う゛あああああっ……!」
彼女の叫びが部屋中に響き渡る。腹部の奥から湧き上がる圧力は一瞬の猶予も与えず、赤子をきばり出せと彼女に命じてくる。しかし、彼女は少しずつ停滞を感じ始めていた。体の奥深くに「何か大きなもの」の存在感はある。だが、それはなかなか動こうとしないのだ。あと何回いきめば出てくるのか……
「もう出したいぃ…!こんなに力を入れてるのに、なんでぇ……!……早く、早く出てきてぇ……ッ!」
再び全身に力を込めるが、圧迫感と痛みは増すばかりで、解放の瞬間は訪れない。体の中で何かが膨らみ続け、もうすぐそこにあるはずの出口にたどり着かない。そのもどかしさは、次第に彼女の意識を支配していく。体は限界を超えそうだが、それでも赤子はまだ先にいる。その進まない感覚は、耐えがたい焦燥感と苦しみを一層強くさせた。
「ん゛んっ……出てこない、出てこない……なんで……!お願い、動いてよ……ッ」
彼女の声には焦りと絶望が混じり、胸の奥に不安が広がる。彼はその表情を見逃さず、彼女の手をしっかりと握りしめた。
「大丈夫、そう焦らないで、俺に似てのんびり屋さんなんだろう、ほら、深呼吸して、赤ちゃんに酸素を送るんだ」
彼の言葉を受け、彼女は少しずつ自分を取り戻すように彼を見つめた。痛みでこわばった体をなんとか動かし、彼の手に支えられながら深呼吸を試みる。肺に空気を送り込むたび、腹部の圧迫感と張り詰めた痛みが彼女を揺さぶる。唇を強くかみしめ、苦しさと戦いながら息を吸い込む。
「ふぅ……っ……あぁ……」
吐き出すたびに喉が震え、息は途切れ途切れに漏れ出た。だが、彼の優しい視線を感じながら、彼女は必死に呼吸を整えようとする。
「……んぅ……はぁ……っ……」
痛みの波は依然として押し寄せてくるが、深呼吸のたびに、彼の手が自分を支え、何とかやり過ごせるような安心感が広がっていく。
「のんびり屋さん……そうかもしれない……でも……」
強い波が再び押し寄せ、彼女は汗に濡れた額を彼の肩に押し当てる。言葉は途切れ途切れで、喉の奥から絞り出すように話し続けた。
「ずっと痛いの……ねぇ……あ゛っ……!のんびりしてる……間に……私……壊れちゃうかもしれないよぉ……っ」
彼女の声はまだ切迫感に包まれていたが、どこか甘さが含まれていた。媚びるような響きが混ざり合った声が、痛みの中でも彼にすがりつこうとするかのようだ。
彼は彼女の額に汗で濡れた髪をかき上げ、優しく唇を押し当てた。温かいキスが彼女のこわばった顔を一瞬だけ緩ませる。
「壊れるなんてことないよ。俺がちゃんと支えてるから……でも、少し体勢を変えてみようか。赤ちゃんが進みやすくなるはずだ」
彼の優しい声が耳に届き、彼女は荒い呼吸を整えながら、汗に濡れた髪を振り払うように顔を上げる。疲労で重たい瞼を押し上げ、かすかな頷きとともに体を動かす決意を固めた。彼の腕に手を預けながらゆっくりと上体を起こすと、膨らんだお腹が重力に引かれるように揺れ、下腹部にずしりとした圧迫感が走る。彼女は唇をきつく噛みしめ、震える声を漏らした。
「はぁ…っ……くぅ……っ」
彼に支えられながら、彼女は両脚を慎重に動かし、ベッドの端まで体をずらす。背中を反らしたその姿勢は、膨らんだ腹部をさらに前に押し出し、汗が滑るように肌を伝い落ちていく。次の動作を取るための一瞬の安堵も束の間、新たな陣痛が容赦なく彼女を襲った。
「あ゛あっ、く、くうぅっ……!」
太ももが反射的に震え、閉じようと力が入るが、すぐに脱力して震え始める。羊水がまた新たに流れ出し、足の付け根から滴り落ちる音が響く。
腹部を両腕で抱えるようにしてうずくまる彼女の体を支え、彼の声がその不安を包み込む様に響く。
「焦らなくていいよ。ゆっくり深呼吸して」
彼女は彼の言葉に従い、痛みの合間を縫うように呼吸を整える。その肩がわずかに落ち、しばらくの間、荒い呼吸だけが部屋の静けさを埋める。額に貼りついた髪が、汗で濡れた肌の上で重たげに揺れた。彼はそんな彼女をじっと見つめ、そっと背中を撫でながら再び促す。
「落ち着いたかな……?足元に気をつけながら、一歩ずついこう」
彼女は深く頷き、彼の腕を握り直して立ち上がった。足元がおぼつかず、膝が震えるたび、彼は片手を彼女の腰に回して支える。彼女は荒い呼吸を繰り返しながらゆっくりとしゃがみ込み、両膝を曲げて蹲踞の体勢を取った。膝を深く曲げると同時に、お腹の重さが腰に圧し掛かり、体が沈み込むように見えた。
「……ふぅっ、ふぅっ……」
両腕を膝の間に置き、肩を上下させながら息を整える。再び彼女の視線が彼を捉えたとき、その目には疲労と苦痛、そしてそれに抗うための強い意志が入り混じっていた。
「すごい……」
彼はその光景に目を奪われ、息を飲んだ。彼女の背筋は張り詰め、その乳房は深い呼吸に合わせて上下し、汗が乳首を伝い、静かに滴り落ちる。腰を低く落とすことで骨盤がさらに広がり、膣口がその圧力に応じて自然に開く。陰唇の奥の深い陰りから血や羊水が混ざった分泌液がトロリと流れ出し、彼女の足元に溜まっていた。その姿に、彼は胸が熱くなるのを止められなかった。
「その体勢も……よく見えるね。大胆で……魅力的だ」
彼の興奮を隠さない言葉に、彼女は息を乱しながらも薄く笑みを浮かべた。
「……確かに、ちょっと……んっ……大胆すぎるかもね……」
彼の視線に、緊張と羞恥心が交錯し、体の奥底で燃え上がる奇妙な興奮を感じ取る。彼の視線が、ただの観察者ではなく、自分と共にこの瞬間を共有していることを思い出させる。
「それから、これもやってみようか」
彼は彼女の背後に回ると、慎重に手を伸ばし、優しく彼女の乳房に触れた。
「ひゃっ……なに……?」
「乳頭刺激だよ。陣痛を促進するんだ。いいでしょ?」
そうつぶやく彼の声は楽しげだ。乳房を優しく手のひらで包み、乳頭だけでなく乳房全体をリズミカルにやや引き上げるようにして刺激していく。
乳頭に指先が触れると、彼女の体がびくりと反応する。ただでさえ少し高揚しているのに、妙な感覚になってしまう。
彼の指は丁寧に、ゆっくりと乳頭を撫で、軽く押すような動きで刺激を加えた。その動きは夜のベッドで行われるものとほとんど変わらず、甘い疼きすら感じてしまいそうだ。陣痛の痛みが増してくると、当然そんな感覚に身を任せているわけにはいかないのだが、それでもわずかな官能が集中を乱していく。
「ううっ……これ、本当に効果あるの?エッチな気分になっちゃいそう」
「まだなってなかったの?俺は君が出産を始めてからずっと興奮してるけど?」
そういって彼は彼女の背中に腰を押し付ける。ズボンを押し上げる熱い勃起を感じ彼女は頬を染める。
「……もう……私が苦しんでる姿に興奮するなんて、変態すぎるよ……」
そういいながらも、彼女は背筋がゾクゾクとするような興奮を感じる。彼は自分の最もプライベートで、とりつくろえないこの姿に、ちゃんと興奮してくれているのだ。
「悪い、悪い。でも君の力強い姿は、本当に美しいんだ。それに、俺がはらませた子供を、俺が君を愛したその場所から産んでくれるんだって思うと……」
彼は彼女の耳元にささやく。その言葉に彼女の胸は高鳴る。今から自分は、彼の遺伝子を継ぐ赤子を生み出すために苦痛と困難を乗り越えるのだ。これは彼の精液を注ぎ込まれ、彼の所有物となった証、キスマークなど及ばない究極のマーキングなのだ。その瞬間を、彼が性的興奮とともに受け入れてくれるなら、それはどんなセックスよりも深いつながりではないか。
「んっ」
乳房への刺激が甘くピリピリとした感覚をもたらし、彼女は思わず声を漏らす。下腹部にむず痒いような疼きが広がり、今までとは別の熱を持つ。
「うふふ、私も、あなたのこと言えないかも……」
しかし官能的な感覚は長くは続かなかった。次の波と共に、腹部が硬く張りつめていくのを彼女は感じる。乳頭刺激の効果が出始めたのか、子宮の収縮も先ほどより強い気がする。
「ああ…っ……さっきより……強く……なってきた……かもっ!」
彼女が息を切らしながら告げると、彼は彼女の耳元で静かに「そのまま、深く息をして……僕の手に身を委ねて」と囁いた。その言葉に彼女はゆっくりと深呼吸を繰り返す。
「ふーっ、ふーっ……んん゛っ、あああっ……」
陣痛の痛みが強まる中で、彼の手が彼女の胸を優しく愛撫し、乳首の根本付近を軽くつまんで刺激する。その動きに誘われたのか、染み出した乳汁がしずくを垂らす。彼女は羞恥と性的な感覚をわずかに感じたが、それにかまける余裕は無かった。乳房への刺激のほとんどは痛みとなって下腹部へと伝わり、子宮の収縮を強めていく。
「はぁ……っ、んっ、あっ!あああっ……!う゛あああああっ……!!」
陣痛の痛みが増すとともに、彼女の声が大きくなり、背中が大きくのけぞる。彼の手の中で乳房が柔らかくつぶれ、乳汁が迸る。
「ん゛っ……!ううっ……はっ!はっ……!」
子宮の収縮が加速し、何かが体内で移動しているような感覚が彼女を襲う。陣痛の痛みに耐えながらも彼女は必死に呼吸を繰り返す。その息遣いに合わせて彼女の腹部が波打つように動く。
「だいぶ強くなってきたね」
彼は、彼女の表情と声色が、どこか野性的で本能的なものに近づいてきたのを感じる。彼女は彼の声掛けに、乳頭刺激を繰り返すその腕にしがみつき、なんども頷く。
「うんっ、ん……今、いきんだら……っ、いけるかもっ!」
そう呟いた彼女は、再び深く息を吸い、陣痛の波の頂点に合わせて身体を前に押し出した。
「ん……っ!んん゛ーっ!」
両脚に力を込め、腰を震わせて踏ん張りながら、彼女は体を通り抜ける陣痛の波に全力で応えた。その瞬間、内側で赤ん坊がゆっくりと前に進んでいるのを、彼女は確かに感じ取った。赤ん坊の頭が深部から骨盤の間を押し広げるたびに、体の奥深くで熱い圧迫感がじわじわと広がる。
「あぁ……っ、動いてる……!ううっ、動いてるぅ~!」
彼女はその生々しい感覚に驚きと歓喜が入り混じった声を漏らした。体の奥で扉がゆっくりと押し開かれ、そこから炎のような熱が溢れてくるような、肉体の底から湧き上がる感覚だった。いきむたびに、重みが下りてくる感覚が全身に響き、彼女は自分の体が新しい命を外に送り出しているという手応えを、少しずつ自覚していった。
「ねぇ……見て……?……赤ちゃんが……ほんとに……んんっ……下りてきてる……っ……!」
彼女は震える声で彼に問いかけ、再び力を込めていきんだ。
彼はその言葉に誘われ、乳頭刺激をやめると、彼女の前に回り込んで、その下腹部をじっと覗き込む。会陰部は熱く腫れ、陰唇は膨らみきっている。陰核も血流のためか膨張を始め、包皮から顔を覗かせつつある。彼女の全身の感覚がそこに集中しているのがはっきりとわかり、彼はごくりと唾を飲み込む。
「ああ、よく見えるよ。君の身体が開いて……もうすぐ見えてきそうだ……」
彼の言葉を聞きながら、彼女は自分の感覚にさらに意識を集中させた。波のように押し寄せる収縮が来るたびに、彼女の腹部はまるで岩の塊のように固くなり、内側で何かが裂けるような圧力が骨に響いた。彼女の膝は震え、足の指先まで汗が滲み出している。肩や胸は大きく上下し、体中が熱を帯びて光って見える。額から滴り落ちる汗が頬を伝い、冷たい床に染み込んでいく。
「う゛っ……あ゛あ゛あ゛っ……!」
喉から絞り出された声は荒々しく、獣じみた響きを帯びた。顔は苦痛と力の入れ過ぎで赤く染まり、彼女の眉は強く寄せられ、目はかすかに涙で潤んでいる。しかし、苦悶に歪んだその顔には、どこか歓喜の色も微かに浮かんでいる。彼女の膣口はさらに広がり、ついに赤ん坊の頭が膣の奥から押し出される感覚が訪れる。皮膚が引き伸ばされ、陰核はさらに露出し、赤く膨れ上がる。
「あぁぁ……!下がってる……っ……頭がぁ……」
彼女は、赤ん坊の頭が骨の間をこじ開ける感覚を、確かに感じた。会陰部は張り裂けそうなほどに膨らみ、内側からの圧力が一層強まり、彼女の下腹部全体に広がる熱と痛みが混じり合った。
彼が目を見開き、劣情に鼻息を荒くする。濡れた黒い髪がゆっくりと、しかし確実に姿を現したのだ。
「見えてきたよ、赤ちゃんの頭が……髪の毛が見える」
彼の声には驚きと興奮が入り混じり、彼女はその言葉に応えるように、必死にいきむ。膣口から見える頭は、白い粘液と血液で湿り、少しずつその面積を広げていく。だが、それと同時に、彼女の会陰部全体に焼けるような灼熱感が広がり、皮膚が今にも破れんばかりの痛みに襲われる。彼女は怯みそうになりながらも、押し寄せるいきみの衝動に耐え切れず、力を込め続ける。
「んん゛んんんっ……! うあ゛あ゛ああぁ……!……熱いっ」
彼女の声は途切れ途切れに漏れ、深い痛みが波のように押し寄せてくる。下腹部全体に走る圧迫感に耐えながら、彼女は息も絶え絶えで全身を震わせた。地面に強く踏み込んだ脚は限界まで張り詰め、汗が顔や首筋を伝って滝のように流れ落ちる。皮膚が艶めき、筋肉が硬直する中、会陰部は痛々しいまでに引き伸ばされ、膣口からわずかに見える黒髪がさらに押し出され、頭皮が光を反射してちらりと覗いていた。
「う゛ああぁっ……あああっ!……んぐっ……ううっ!」
激痛に顔を歪ませ、視界がかすみ意識が遠のく瞬間、痛みの波が引いていく。赤ん坊の頭が一瞬後退し、膣の奥へと押し戻されてしまうのを、彼女の正面で見ている彼が伝えた。
「ああ、また引っ込んでいったよ。陣痛の間だけ顔を出すんだね」
彼の声は優しく、励ましの意図がこもっていたが、それが逆に彼女のもどかしさを掻き立てた。広がりを一瞬で閉じる膣口、その感覚が早く産み落としたいという本能を強く刺激する。赤ん坊の頭が自分の産道を押し広げるたびに、彼女の存在の全てがその感覚に支配されるようで、焦燥が胸を焦がしていく。
「うう~……引っ込まないで……、……ちゃんと産ませてよぉ~」
苦しいはずなのに、身体を裂くような痛みと、意識を揺さぶるようないきみの衝動をなぜか求めてしまう。
身もだえする彼女を見て、彼はクスリと笑みをこぼす。
「すごいもどかしそうな顔だね。エッチしたくてたまらなくなってるときの表情に似てる気がする」
彼の冗談めかした言葉に、彼女は疲労と高揚によって染まっていた頬をさらに赤くする。
「そうなの……そうかも……いきむと、ぐーって進んでくる感じが、なんか良くって……」と、はにかみながらつぶやく。言葉を紡ぐたびに彼女の瞳が熱を帯びる。
「動かなくて……詰まってる感じが……もどかしいのも、そうなんだけど」
彼女は眉をわずかに寄せ、顔を赤らめながら、彼に視線を送った。
「いきむたびに……あなたに見られながら……赤ちゃんが進んでいくのが……」
とても興奮する__とは恥ずかしくてまだ言えず、再び陣痛が近づくのを感じた彼女は、そこで口を閉ざす。一つ呼吸すると、腰をほんの少し浮かせては、足の裏でしっかりと床を踏みしめた。その表情には焦燥と期待が入り混じる。
「早くぅ……感じたい……っ……あ、来る……っ、来るぅ……う゛あぁぁ……!」
待ち望んでいた感覚が再び彼女の体を駆け巡り、彼女は体を強張らせ、震える脚に力を込め、さらに深く息を吸い込んだ。その震えが膣から骨盤の奥深くまで浸透し、全身を駆け巡る。熱に包まれた体が、じりじりと会陰を引き伸ばし、じわじわと胎児の頭が下りてきているのが痛いほど鮮明に感じられる。彼女は、限界まで張り詰めた感覚に耐えようと、自然に深い呼吸を繰り返し、全身に力を込めた。
「あ、あ゛あっ……!くぅぅっ……!感じる、感じる……っ、進んでる……っ!」
彼女は汗に濡れた額をくしゃくしゃにし、彼の視線を意識しながら、うわ言のようにかすれた声でつぶやいた。膣口の感覚がさらに張り詰め、内側から突き破るような圧力が一層増していく。狭い出口に胎児がぐいぐいと押し込まれ、膣口全体が大きく盛り上がる。
「あつ……!熱いぃ……っ!おまたが、熱くて、痛いっ……ああ゛っ!」
必死に訴えるように彼女は声を絞り出し、苦しげな喘ぎが漏れる。それは苦痛の叫びであり、同時に児頭が進んだことへの歓喜の嬌声でもあった。再び、陣痛の波に合わせて力を込めると、膣口からさらに多くの黒髪が見え始め、今度は後退せず、確かにその場所を守っているのが感じ取れた。
「う……あ゛あっ、く……来てる……、また、来てるぅ……」
彼女は声を漏らしながら再び背筋を強張らせる。次の陣痛の波がすぐに襲いかかり、肉が張り裂けそうな圧力と共に内側から押し広げられる感覚が、一気に全身を焼き尽くすように駆け上がっていった。
「……裂け、裂けそうっ……!でも、あと少し……っ、お゛、お゛ぉぉ!」
低く苦しげな唸り声が喉の奥から漏れ、彼女は一心にいきみ続ける。太ももに力を込めると、湿った胎児の頭が徐々に出口に押し込まれる感覚が強まっていく。滑るように湿った感触と共に、胎児の頭皮が見え始めるたび、彼女の全身が震えるように応えた。狭い出口を押し開こうとする児頭の圧迫が増すたび、会陰の皮膚が焼けるように痛む。
「もうすぐだよ。赤ちゃんの頭、ちゃんと見えてるよ」
彼女は熱い涙を浮かべ、眉を深く寄せたまま懸命に耐えながらも、すぐそばにいる彼の視線を感じ取っていた。その視線に触れられるたび、意識の端に潜む羞恥心と欲望が、苦痛と快感の境界を揺るがし、どこかぞくぞくとするような感覚が広がる。
「あああっ……!うあぁぁぁ……っ!」
彼女の身体は、陣痛が訪れるたびに大地そのもののように震え、揺れた。内側から溢れる圧力と、彼女の意識を塗り替えるような熱が膣を焼く。それでも、引き裂かれるような感覚に耐えていると、膣口の縁が徐々に引き伸ばされ、児頭を押し戻さなくなっていく。透明で粘り気のある分泌液が、膣口を潤して児頭の進行を助けつつ、会陰や太ももに伝って流れ落ち、床に糸を引く。
「あぁっ……!もう少し……っ、もう少し、もう少しぃ……っ!」
彼女は自分に言い聞かせるように呻き、再びいきみを続けた。圧迫と熱、痛み、そして陶酔が臨界に達する。体が極限まで引き伸ばされ、ひとつの塊が彼女の奥から押し出されようとする。その苦痛に意識が遠のきそうになるたび、上書きするように快感が脳を蕩けさせ、彼女の意識をつなぎ止める。限界を超えた高揚感に晒されながら、彼女はその感覚の先に待つものを追い求めてしまう。
その表情に、彼は興奮を抑えきれないまま囁いた。「その顔……すごく気持ちよさそうだ。とても、綺麗だよ……」
痛みと快感に翻弄される彼女の顔は、眉が深く寄せられ、目が固く閉じられたまま苦しそうに歪んでいる。けれど、その中に浮かぶ一瞬の恍惚が彼の視線を釘付けにしていた。瞼がわずかに震え、唇から漏れる切なげな吐息に彼の心が揺さぶられる。その表情は彼の性的興奮を頂点に到達させるのに十分だった。
「あぁ……はぁ……っ……」
肉体を引き裂かれるような痛み、背中に突き抜ける怒責感、そして今、自分の最もプライベートな姿を最愛の人にさらけ出しているという官能的な陶酔。産婦の気絶を避けるため、脳が分泌する快楽物質と興奮物質が、これらの感覚を圧倒的な高揚感と快感で包んでいく。
「……あなたが見てるから……すごく、気持ちいいの……」
気持ちいい。出産の瞬間を最愛の人に見せつけ、その姿に興奮してもらうのはとてもとても気持ちいい。二人の間に漂う空気が、ますます濃密になり、互いの視線が絡み合った。
そして、次の瞬間、彼女の体が再び強烈な陣痛の波に襲われる。
子宮からこみ上げる衝動に従い、彼女は全力でいきむ。すると、会陰の皮膚が最大限に引き伸ばされ、焼け付くような激痛とともに、ググっと動いた児頭が完全に膣口に挟まる。
「っく……ぁあぁぁッ……!」
会陰の皮膚がさらに引き伸ばされ、焼けるような痛みに思わず息を詰める。児頭の輪郭が膣口から飛び出し、湿り気によって滑らかな艶を放っている。頭の最も大きな部分が膣口に押し出されているため、狭い穴は限界まで拡がり、頭皮によってミチミチと押し広げられているのだ。最上級になった圧迫感と痛みに呼応するように、背筋を昇る快感が脳を揺さぶる。快楽と苦痛のせめぎあいの中で、彼女は叫ばずにはいられなかった。
「い、いま、いま……っ、頭が……で、出てる……!」
膣口に少しでも力をかけた瞬間、焼き鏝を押し付けられたような熱に身体がブルブルと震えてしまう。彼女の会陰部は最大限に薄く引き伸ばされ、表面には白い線が浮かび上がっている。次に思い切り息んだら今度こそ裂けてしまうかもしれない。それでも彼女は、次の陣痛が来たその瞬間が、この出産の最も激しく、官能的な瞬間だと悟っていた。
「あなた、あぁ、あなた……!」
彼女が懇願するように彼を呼ぶ。
「うん、うん、見てる……君の全部を」
彼の声も震えていた。目の前の光景に圧倒され、膝立ちのまま、彼女の膣口に視線を注いでいる。その瞳は純粋な驚きと欲望、愛情に満ちていた。
彼女は、膝を震わせながら腰を持ち上げ、彼に対して赤ん坊の頭が挟まった膣口をぐっと突き出す。陣痛の大波を予感した彼女の瞳には、歪んだ欲望と愛情が宿る。
「……あなたの赤ちゃん……うぅ……産むとこ見てて……ッ……!」
彼女は虚空を掴むように指先を握りしめ、全身でいきむ。彼の視線が、膣口に釘付けになるのを感じながら、彼女は自らの身体が新しい命を送り出す衝動に全てを委ねた。
「お゛っ、おお゛ッ……!」
顔を真っ赤にしてその部分を見つめる彼の目の前で、粘液を垂らす彼女の膣口が、少しずつ少しずつ児頭を吐き出していく、児頭と膣の隙間から少量の羊水がちょろちょろと流れ落ちる中、髪の毛だけでなく、胎児の頭皮が膣口にしっかりと見えてくる。
「すごい、君の中から、赤ちゃんが……」
彼はそのあまりの光景に、顔を恍惚と歪めながら、感嘆の声を漏らす。
「ん゛っ、ふーーッ、ふーーッ、……もっと、興奮してぇ……!ん゛ぅッ!ふうぅ゛っー!」
彼女の懇願に、彼は息を詰めたまま、かすれた声で返す。
「……興奮するなっていう方が無理だよ。こんなに……すごい瞬間を見せてくれるなんて、もう、手を触れなくても、」
指先を震わせ、ズボンの前がさらに膨らむのを感じながら、彼は彼女から目を離せなかった。
「う゛あああっ……!ん゛う゛っ……で、りゅッ……っあ゛、あかちゃんでりゅッ!お゛お゛お゛っーー!」
本能が頂点に達した彼女は、我慢できず、思いっきりいきむ。全身が最後の力を振り絞るように震えたかと思えば、膣口が一気に広がり、赤ん坊の頭が勢いよく飛び出した。首と肩の間に溜まっていた羊水が勢いよく吹き出し、彼の手や顔にまで飛び散る。
「う゛ぅぅ、お゛、おぉぉ、頭っ……出たぁ……」
一気に飛び出した児頭の衝撃に、彼女の身体は小刻みに揺れる。完全に飛び出した児頭は、彼女にぶら下がるようにゆらゆらと揺れている。生々しい光景の前に、彼のペニスは限界に達しつつあった。
「ヤバい……エロすぎる」
彼は声にならない感嘆を漏らしながら、その腰をブルリと震わせる。その様子に気づいたのか否か、彼女は、なおも彼の興奮を煽ろうとする。
「う゛ぅ……ほら、見て……見てッ、あなたの赤ちゃん……おまんこから……出てる……!」
愛する女性の性器が限界まで広がり、そこから自身の赤子の頭が出ているという光景は、彼の愛情と興奮を混然一体のものにし、理性を超えた本能的な興奮に包まれる。彼は息を荒げながら、さらに体を前に乗り出した。その行動が彼自身の限界を引き寄せることを、彼自身はすでに理解していた。
「あっ」
そう小さく叫ぶと同時に、彼の体はついに頂点に達し、ペニスが強く脈打った。腰をびくりびくりと震わせながら、彼は体を駆け上る快感に押し流される。ズボンの中に熱い感覚が広がっていく。
恍惚に揺蕩う彼の前で、彼女もまた次の段階へと移行していた。児頭の重みが膣口を引っ張り、内部の熱さと圧迫感が彼女の体内に残る感覚を強調している。それでも、まだ肩と身体全体が残されているという現実が、彼女にさらなる試練を課していた。
「う゛っ……くぅぅ゛っ……!!」
くぐもった声を耳にした彼は、快感の余韻から思考を引き戻す。その手が震えながらも彼女の太ももに触れ、赤子を支えるように慎重に近づいていく。彼女の膣口の周囲は赤く膨れ上がり、わずかに裂けた小さな傷から血が滲んでいた。
「うっ……ん゛んっ……!赤ちゃんの体……動いてる……っ!」
彼女の身体の中から出たばかりの赤子の頭部は、羊水をポタポタと垂らしながら、少しずつ動いている。彼女の膣がヒクヒクと動くたび、赤子の頭は揺れる。
「は、はっ、あなたっ、あなたぁっ……もう……もう少しで……全部出るっ……!」
膣内を回旋する赤子が、彼女の感覚を塗り替えていく。「ふっ……ふっ……!」と短い呼吸でいきみを逃すが、もう早く出してしまいたいという衝動が、児の体の重みが次第に外へ引き出される感覚が彼女の神経を興奮させる。
「……も、もう……我慢……できないっ」
震える声で呟きながら、彼女は彼の顔を見上げた。その視線に浮かぶのは愛と信頼、そして切羽詰まった懇願の色だった。
「お願い……あなたの、手で……っ、引き抜いて、ほしいの……」
ぼんやりと虚空を掴むように動いた彼女の手が、彼の肩を掴む。彼は脳髄にこびりついた蕩けるような感覚を振り払おうと軽く頭を振り、深く頷いた。
「……分かった。俺が、君の赤ちゃんを取り上げる」
彼女はその言葉に僅かに頷き、肩を上下させながら呼吸を整えた。
「う゛あぁぁっ……!きたぁっ!」
陣痛が彼女の身体を支配する。その瞬間、彼は膣口に浮かぶ赤子の肩にそっと触れ、引き抜くタイミングを見計らった。
「ん゛あ゛っ……い、今……っ、肩が……抜ける……ッ!」
彼女が全身を使っていきむのに合わせ、彼は赤子の身体を慎重に引き抜き始めた。膣口が限界まで広がり、ずるりという生々しい感触が彼女の体を貫き、快感が混じった開放感として波及していく。
「んぁあっ!気持ちいいっ……!」
彼女の甘い叫びが部屋に響く。赤ん坊の身体全体が一気に滑り落ち、膝の間にいる彼の腕の中へと飛び込んだ。彼女の膣からは堰を切ったように羊水が流れ落ち、臍の緒が垂れ落ちる。
「生まれた!赤ちゃんが産まれたよ!」
赤子の小さな身体を慎重に受け止めた彼は、その新たな命をまるで宝物を扱うように抱きしめ、そっと赤子の背中に手を回した。その姿を見届けると、彼女は張り詰めていた糸が切れたように力を失い、へたり込んだ。
「ふぅっ……はぁっ……はぁっ……」
彼女は浅黒く濡れた胸を上下させながら、苦しげな吐息を繰り返した。腕を支えに体を起こそうとするも、震える足と膝が言うことを聞かず、彼の肩に頼るように崩れ落ちた。その顔は汗と涙に濡れ、しかしどこか達成感に満ちた表情を浮かべていた。
彼はそんな彼女を抱き支えながら、耳元で囁くように言った。「赤ちゃんは元気だよ……大丈夫だ。すごいよ、本当に頑張った」
彼女はその声に応えようとしたが、言葉は喉元で詰まり、ただ彼の胸に顔を埋めて息を吐いた。そのままの姿勢でしばらく静寂が訪れ、二人の間には赤子の小さな啼き声だけが響いていた。
少しずつ彼女の荒い呼吸が穏やかになっていくと、彼は赤子をそっと彼女の胸元に寄せた。「ほら……君が命をかけて産んだ子だよ」と優しく促すと、彼女は薄く開いた瞼を持ち上げ、自分とまだ臍の緒で繋がる赤子を見つめた。
「……私、本当に……産めたんだ……あなただけに、見てもらいながら」
彼女の声は掠れていたが、その言葉には計り知れない安堵と達成感が含まれていた。
彼はその言葉に微笑み、「君は強かった。本当に……僕にとって誇らしいよ」と優しい声で称賛した。その言葉に彼女は少し笑みを返しながらも、視線を彼の顔に移した。その顔にはどこか不思議な熱を帯びた表情が浮かんでいるのが分かった。
「ねぇ……あなた……ずっと興奮してたでしょ?……ズボン、苦しくない……?」
彼女は小さく首を傾げ、彼の膝に手を這わせた。その声には照れといたずらな響きが含まれている。
彼は一瞬言葉を失ったように目を逸らしたが、次第に照れくさそうに苦笑を浮かべた。
「……実はさ……赤ちゃんが……頭を出した瞬間に……抑えきれなくて……触れずに……出ちゃったんだ……」
彼の告白を聞いた彼女は驚いたように瞳を見開いたが、次第にその驚きは笑みに変わり、彼の肩に寄りかかるようにして小さく笑った。
「……そう……それだけ興奮してくれたんだね……」
彼女の言葉には恥じらいが混じりつつも、底知れない満足感がにじんでいた。
「君が命を懸けて頑張る姿……それに、赤ちゃんが出てくるところを見たら……抑えられなくて……」
彼の言葉は誠実で、まるで告白のようだった。彼女はその声に微かに震えるような興奮を覚えた。
彼女は疲れた体を預けるようにして彼の胸にそっと倒れ込む。そして、彼の鼓動を耳元で感じながら、小さな声で呟いた。
「……出産で気持ちよくなっちゃうなんて、あなたって本当に変な人。でも……嬉しいよ。私が……あなたの赤ちゃんを産む瞬間を……そう感じてくれて」
彼は彼女の肩を優しく抱きしめると、少し意地悪そうに微笑んだ。「君も……興奮してたじゃないか。痛みだけじゃなくて……セックスの時より甘い声、出してたよ」
彼女の顔はさらに赤く染まり、目を逸らしながら赤子の小さな顔をそっと撫でた。
「……だって、あんなの……興奮しないわけないよ……」
彼女は微笑みながら、恥じらうように小さな声で続けた。
「だって……あなたに孕ませてもらった赤ちゃんが、わたしのおまんこから出てくるんだよ?そんなの……セックスと同じだもん……それをあなたが見て、興奮して、射精までしてくれるなんて……こんなエロいこと、他にある?」
汗と血、羊水の匂いが混じる部屋の中で、赤子の小さな泣き声が響いた。二人はその声に耳を澄ませながら、互いの体温を感じていた。
「……これからも、一緒だ。俺たち三人で」
彼は小さく呟き、愛情を込めて彼女の頭を撫でた。「君も赤ちゃんも……俺のすべてだ」
彼女は満ち足りた表情でその言葉を受け止めたが、ふと、思わせぶりな笑みを浮かべて彼を見あげる。「でも、三人で終わり?」
首をかしげる彼に、彼女は少し恥ずかしそうに目を逸らすが、やがてその瞳をのぞき込んで微笑む。
「ねぇ、あなた……次も……お願いね。この子がもう少し大きくなったら……また、あなたの赤ちゃんを産みたいの」