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DESCRIPTION
クラウストラムの地下深くに、石牢がある。
普段、ほとんど使われる場所ではない。
だが今、その独房のひとつに、灯りが点っている。
そこにやってきたのはメイド服を身に纏った一人の少女だ。
館に仕える精霊のしもべのひとり、エマである。
髪の毛と同じ色の鳶色の瞳に緊張したような、やや不安げな感情を浮かべ、灯りの点った房の前に立つ。
懐から一本の鍵を取り出すと、頑丈な鉄扉を開けて中に入っていく。
魔法の灯りに照らされた六畳間ほどの大きさの独房の中には、調度品のようなものは何もない。
ただ奥側の壁から、囚人を縛りつけておくための鎖が伸ばされているだけだ。
そして今、その鎖には何者かが繋がれている。
それは人ではない。
部屋に入ってきたエマよりも幾分か小柄な体躯。
脚は短く、体はやせ細っているが腹だけはぼってりと膨らんでいる。
黄緑色の不健康で不潔な体表。
形の歪んだ醜悪な顔。
黄色く濁った白目と黒い紡錘形をした虹彩を持った凶々しい瞳でエマのことを睨みつけている。
大きく裂けた口にはやはり黄色く濁った乱杭歯が並んでおり、絶え間なく涎を垂らしながらシューシューと呼吸音をたててエマのことを威嚇している。
低級な障魔の一種、ゴブリンだ。
独房にこもったゴブリンの放つ濃厚で不快な悪臭に顔をしかめながらも、エマはゴブリンの届かぬギリギリのところまで近づいた。
[[rb:大地と樹木の精霊 > ドライアド]]の顕現であるエマにとって、大地を、生き物を汚す存在である[[rb:腐れる地の精霊 > ゴブリン]]は、まったく相反する存在といっても過言ではない。
そんなゴブリンと一対一で相対して彼女は一体、何をしようとしているのだろうか。