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ゲイに言い寄られるのは初めて出はなかった。
俺の筋肉と逸物はその手の男達を非常に惹きつけるらしい。
当然、ストレートの俺は全て断ってきた。
大概のやつは俺が低く凄むとこそこそと退散していく。
だが加瀬は……。
「いやぁ、今日桐生さん初めて見た時から絶対ぶち犯すって決めてたんですよね」
と内容と裏腹な爽やかな口調でしかもあろうことか剥き出しの俺の尻にデカい手を伸ばしてきた。
「おい」
とその手を跳ね除ける。
「……お前変態か?だいたいいつ俺が許可したんだよ」
俺が睨み上げても加瀬は、ん?と爽やかな笑顔を崩さない。
「桐生さんが許可するとかしないとか、俺に関係ありますか?」
表情と裏腹の、あまりに自分本位な言葉に俺は咄嗟に言葉が出ない。
なんだ…?こいつは、俺が抵抗してもしなくても関係ないと思っているのか?
……どちらにしろ俺を組み伏せて好き放題犯せると…?
「……知らねえと思うから教えてやるが、俺はミドル級のトップランカーだ」
俺は煮え滾り始めた腹をなんとか抑え込んで低く言う。
加瀬は引くだろうが、それでも一発はぶち込んでやらないと気が済まな……。
「知ってますよ」
朗らかに笑う加瀬の声に一瞬思考が止まり、すぐさま急沸する。
「……あ゛?舐めんじゃねえぞトレーナー風情が」
グッと距離を詰め睨み上げる。
加瀬が相好を崩す。
「いやぁ〜たまらないっすね。んな可愛いチンコぷらぷらさせながらキャンキャンキャンキャン……」
俺の中でブチッ、と堪忍袋の尾が切れる音がした。
グッ、と腰だめに拳を固める。
俺の脂肪なんて欠片も見当たらない、太い筋肉を縄のように縒り合わせた腕がグウッ!!と凶悪に膨れ上がる。
誰に対してふざけた口をきいているのか、はっきりとわからせてやる。
吐こうが許しを請われようが2,3発ぶち込んでやらないと気がすまない。
俺はフッ!と鋭く息を吐くと、遠慮のない本気のフックを叩き込んだ。
肝臓を破裂させるつもりでエグッてやる。
どうせ正当防衛だ。思い切り……。
ド ム ッ …… 。
腕が電流が走ったようにビリビリッ!!と痛いほど痺れる。
何万回と人を、サンドバックを、殴ってきて一度も感じたことがない感触に思考が停止する。
伸び切ることができずに反作用をもろに受けた肘がビキリと軋む。
俺の鍛え上げた拳は、ゴリッ…!とTシャツがバツンッ!と張り付くような加瀬の腹筋に1mmもめり込むこともできず、表面で止まっていた。
完全に思考が止まる。
俺は目を見開き口を閉じられないでいただろう。
加瀬の腹筋は鋼鉄を高密度のゴムで分厚くコーティングしたような、まるで人間と思えぬような感触だった。
分厚すぎる筋肉の鎧に、俺の方がダメージを受けていた。
……なん、だ、この体……。
一発受け止められただけではっきりとわかる、まるで次元の違う格上の雄の肉体。
気付かず細かく震え出した拳を、悪あがきするように押し込もうとしたが、極厚の腹筋はまるでびくともしない。
「わかりましたか?」
頭上から振ってきた加瀬の声に思わず肩が跳ね上がり、隆々たる大胸筋の向こうからがっしりした顎の加瀬の笑みを見上げた。
「暴れようが暴れまいが、俺は構わないですけど」
そう言いながらそのグローブのような手でガシッ!!と易易と俺の肩を掴み切った。
「……ッ!?!?」
ズシッ!!!と信じられない重みをかけられ、思わずたたらを踏んで耐える。
膝が伸ばせない。
メリッ……メリメリッ……!!と俺の肩が悲鳴を上げる。
加瀬はまるで力んだ様子を見せないが、俺の胴回りほどもありそうな豪腕はボコッ!!と太い血管を浮き上がらせ、ゴギュゥゥッッ!!!と上腕二頭筋が皮膚をぶち破れんばかりに充溢していた。
「大人しくなるまで、わからせますよ」
笑みを崩さない加瀬の言葉にゾッ…!と怖気が走った。
ギヂッ…!ミヂッ…!と興奮に更にバルクアップし始めた加瀬の肉体にシャツの繊維が引き伸ばされ、その上背の影に覆われていく。
反射的に両手で俺の肩を掴む加瀬の前腕を掴んだが、ギッチリと筋肉が詰め込まれ極限まで発達したソレは、まるでびくともしなかった。
フッ、と加瀬が笑い、グッ!!!と軽々と俺を引き寄せた。
ドムッ…!!!
「ぶッ……!?!?」
気付けば加瀬の逞しすぎる上背に包まれるように抱きしめられ、顔がその隆々たる大胸筋に押し潰されていた。
「何す、る、………っ……んぅっ……?」
抵抗しようとしたが、Tシャツ越しに加瀬の大胸筋がギュムッ!!とひしめき合う深い狭間に鼻がねじ込まれ、そこに溜まった汗、加瀬の体臭、嗅いだことのないような濃厚過ぎる雄フェロモンとでも言うべきニオイが鼻の奥に突き刺さり、俺は目を剥いた。
抜け出ようにも、ゴギュゥッ!!!と更に分厚い大胸筋を隆起させられ、挟まれた両頬がひしゃげる。
ンゥッ!!!ンンンッ!!!と俺は暴れ、加瀬の胴や背を叩いたが、金属でも流し込まれたような極厚な筋肉には響きもしない。
「んぅッ……ぅ…ぁッ……!!」
ガッ!!と力強く後頭部を掴まれ、グリグリと乱暴に更に強く、雄の胸に押し込められ、俺は噎せ返るような雄の臭いを胸一杯に吸わされ、その濃厚さに脳が痺れるような錯覚を覚えた。
腰がガクガクと揺れ、膝砕けになりそうなのを、加瀬の太い腕がグッ!と回され強く引き寄せられる。
グニッ…と悍ましい感触が俺の腹に押し当てられる。
ズッシリと重く肉の詰まったソレは…。
ソレが加瀬の規格外のサイズのペニスだと気付き、俺の体は固まった。
信じられない太さと長さ。
俺の勃起時を軽く超越する大きさ。
雄としてまるで格の違う肉体。
俺は。俺は……。
抵抗しなくなった俺を加瀬が解放した。
よろよろとなんとか立つ俺に、ぬっ、と加瀬が距離を詰めてくる。
「っ、あっ……!?」
先程これでもかと覚えさせられた加瀬の男性的な匂いが再びふわりと香り、俺はそれを払うようにブンブンと首を振った。
「はは……チンコ反応してますよ」
加瀬の言われるままに自分の股間を見下ろすと、確かに自分の逸物がピクッ!ビクッ!!とその頭をもたげ、膨らみ始めておりギョッとした。
なん…っ…!?男に軽く抱かれただけで……!?
ありえない、ありえない!!
動揺する俺を加瀬は笑って、ぐうっ!とその豪腕を再び伸ばしてきた。
その手に捕まったら、もう終わりだと本能的に思った。
男として、雄として生きてきた自分の全てが、目の前の"格上"の雄によって全て塗り替えられてしまう、と。
それは恐怖だった。
思い切りその腕を払い除けようとするが、今度はびくともしなかった。
うっそりと笑いながらなお近づいてくる加瀬に
「く、来んなッ…!!」
と反射的にアッパーカットを突き上げる。
だが悪夢のように加瀬のガッシリとした顎は俺の拳を易易と受け止め、びくともしなかった。
ビリビリと俺の腕が反動で震える。
顎で受け止めた俺の拳を、加瀬が掴み、グググッ……とゆっくりと有無を言わせぬ力で軽々とねじり下ろした。
「くッ……!?」
信じられない怪力だった。
俺の筋肉でより合わされたような太腕がブルブル震えるほど全力で抵抗しているにも関わらず、簡単に引き離される。
加瀬の腕は、比べるのも哀れなほど、俺の3倍以上太かった。
グウッ…!!と上腕二頭筋と上腕三頭筋がタンクのように膨れ上がり、Tシャツの袖がギチッ!ミヂッ!!と悲鳴を上げる。
「そんな嫌がらないでくださいよ。俺のデカチンでケツ壊れるまでガン掘りしてあげますから」
ニコッ!と爽やかに笑った加瀬に見下され、その瞬間、俺の拳を掴む加瀬の握力が跳ね上がり、メキメキメキメキッ!!!と骨を砕かれんばかりのパワーを感じ、俺は、まるで敵わない格上の雄に良いように弄ばれるという理解したくない現実を分からせられ、それでも受け入れられずパニックになり、わけも分からず空いた手で加瀬を無茶苦茶に殴り始めた。
「う、うわぁぁッッ…!!!」
情けないひっくり返った声を上げながら、ドッ、ゴヅッ、ドムッ、とおよそ人体を殴っているとは思えぬ鈍く、地味な音を立てながら、俺は目の前にそびえる筋肉の壁のような加瀬の腹、胸、顔、と所構わず無茶苦茶に殴りまくった。
加瀬の体は揺れもせず、ミドル級ボクサーにタコ殴りにされているにも関わらず苦笑を浮かべ、俺のもう片方の腕も解放し、棒立ちで俺の打撃を全て受け続けた。
ゴッ、ゴツッ、ゴリッ。
「くッ………はァッ……!!!」
鋼鉄で造形されたような極厚筋肉ボディーに弾き返され、むしろ殴る拳が痛く、擦れたシャツは破れ、加瀬のなめし革のような、筋肉ではち切れんばかりの肌が露出し始めた。
徐々にあらわになる"雄"の剥き出しの姿に、呼吸が速くなる。
メリッ!!メゴッ…!!と更に加瀬の体がバルクアップシていくようだった。
自分より頭1つデカく、肩幅は段違いで厚みは3倍以上あるような筋肉大男にすっぽりと覆われ、むなしく拳を繰り出し続けたが、5分以上のラッシュにも加瀬はまるで無傷、退屈そうに苦笑し、その太い首をバキッ!!ボキッ!!と鳴らすだけで、俺は目の前の圧倒的な雄の存在のこちらを押し潰してくるようなプレッシャーもあいまってあっという間に息が上がってしまった。
「ハァッ……ハァッッ!!!」
ボタボタと汗が垂れ、前傾姿勢のまま加瀬の逞しすぎる肉体に倒れ込みになるのを、慌てて右足を一歩前に出してなんとか耐える。
「気が済みましたか?」
変わらぬ加瀬の声音に、もはや慄く気力もなく呆然と見上げる。
「このシャツもうだめですね…」
特に残念そうでもなく、加瀬が擦り切れたシャツを脱いだ。
ムワッ、と熱気を孕んだ雄の匂いが湧き上がる。