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「んっ…ふぅっ…あとっ…すこしっ…」
そんな小さな声を漏らしながら人気のない街路を行く人影が1つ。
(どうしてこんなことになったの…)
そんなことを思いながら、彼女は行き場のない切迫感を抱えて道を急いでいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここは仙舟「羅浮」。そして彼女の名は符玄。彼女はこの地で物事の吉凶を予見し、仙舟の航路決定や事件の未然防止などの役割を担う「太卜司」にて長を務めている。
この日もいつも通り朝早くから太卜司に出向き、その日の吉凶を占う仕事にとりかかる。占いの結果を伝え、その日の羅浮全体に助言と指示を出すのが太卜司の役割だ。
とりわけ法眼を有し演算と予見に長けた符玄は、自らの占有する空間で集中して卜占に取り掛かる。しかし、今日ばかりは符玄もいつも通りとはいかなかった。というのも、占いで見える結果が予想以上に解釈に迷うものだったからだ。
窮観の陣と法眼を通して符玄が見る情報はあくまでも断片的なものでしかなく、その断片から全体像を想像し、意味を読み解かなければならない。長きにわたって卜占を続けてきた符玄にとってはお手の物だが、内容によっては一筋縄ではいかないものもある。この日はまさにそのパターンであった。
「うん…これはなかなか…」
そんな独り言を呟きながら思索にふける符玄。重大な内容である可能性もあるためもちろん手を抜くわけにもいかないし、間違った情報を伝えてしまえばそれこそ混乱を引き起こしかねない。
そのため、慎重に、時間をかけて情報を読み解いていく。
その符玄の傍らには「龍女」こと白露からもらった薬茶。これに大量の砂糖を加えて飲むのが早朝から仕事をするときのルーティンである。やや苦い薬茶の味わいを砂糖がうまく中和してくれる上、甘いものは疲れた頭と体を癒してくれる。大量の情報を相手にすることで脳にかなりの負荷をかけてしまいがちな符玄にとっては欠かせないアイテムである。
そんな愛用の薬茶での糖分補給をもってしても苦戦してしまう符玄。必然的に飲む量も多くなってしまう。
そうなると、符玄の身体にある変化が訪れる。それは誰しもが覚える感覚であり、符玄も例外ではない。
「んっ……ふぅっ……」
小さな吐息を漏らして身じろぎをする符玄。そう、尿意である。
普段であれば尿意を感じれば何のこともなく用を足しに向かう符玄だが、今はタイミングが悪い。
卜占は相当な集中力を要する作業だ。それだけにひとたび取り掛かればひと段落するまでは休憩すらはばかられる。せいぜい薬茶で栄養と糖分を摂取する程度である。トイレに行くことはもちろん、その場を離脱することはほとんどできない。集中を切らせば、せっかく掴みかけた発見を逃すかもしれないからだ。
もしこの予見が羅浮を揺るがす事態だったとしたら…。そんな可能性がわずかでもある以上、彼女は絶対に手を抜くわけにはいかない。
(まだ…まだ大丈夫…このくらいなら平気よ…)
そう思いつつ、我慢しながらさらに思考を深く潜らせていく。
しかし容赦なく尿意はどんどんと強くなっていく。
だが、符玄は諦めなかった。将軍の座を狙っている符玄にとって、この卜占の任はなによりも大切なもの。その想いの強さが、符玄に我慢を強いてしまう。
幸いにも、卜占に集中している間は集中を維持するため、周囲には人がいない。そのため符玄が今、尿意をこらえているということに気付く者はいない。片手は我慢のため下腹部につい伸びてしまう。
しかし、それでも尿意は確実に符玄の身体を蝕んでいる。そして時間が経つにつれてじわりじわりと迫ってくる。
「んっ……ふぁぁっ……」
(ダメよ……誰もいないとはいえ…こんなはしたない声を漏らすなんてっ……)
そう思いながらも声は漏れてしまう。それだけ強い波が押し寄せてきているということだ。
(こうなったらもうっ…だけどっ…!)
そんな思考が頭をよぎっても、符玄は仕事を続けるしかない。それが自身の選択であり、それを曲げることは符玄自身が許さないからだ。
「ふぅっ……」
符玄はそんな声を漏らしながら、必死に尿意をこらえ続ける。
「んっ……」
小さな吐息が漏れると同時に、符玄の身体がぶるっと震える。
「あっ……んっ……」
符玄はそう微かに呟きながら、内股になって太ももをこすり合わせる。周囲に誰もいないことだけが幸いだ。
しかしそんなことをしても尿意が収まるわけではない。むしろ強まる一方だ。
「んっ……はぁぁっ……」
そんな極限状態でもなんとか我慢を続け、想定以上に時間がかかってしまったが無事に演算を終えたのだった。
しかし、その頃には当然限界間近の符玄。
(もう……これ以上はっ……!)
符玄はようやく椅子から立ち上がり、作業空間から離れようとする。
しかしその瞬間、符玄の身体に異変が起こった。
じゅっ…
「あっ……だめっ……!」
突然、符玄は慌てて両手を押し当て尿意を抑え込む。とてつもない尿意の波が押し寄せ、下着に暖かい感触が広がる。少しだが出てしまった。
羅浮の予見に集中していたため、自身の目前の危機については注意を疎かにしていたのである。
とにかくその場を離れ、トイレへと向かう符玄。だが走ることは危険すぎるためゆっくりと歩いて進むしかない。
(早く…急がないと…オシッコ…)
はやる気持ちと切羽詰まった尿意をなんとか我慢し、歩を進めていく。
「んっ…ふぅっ…あとっ…すこしっ…」
そんな言葉も漏れるが、幸いにも周囲に人の気配はなく、我慢姿を見られる心配もない。途中で何度か強めの波に襲われたが、手で前押さえをすることでなんとかこらえている。
そして、なんとか大惨事を回避し、太卜司の者が使用するトイレの近くへとやってきた。この時間帯は利用するものもほとんどおらず、役人の行列に悩まされるはずもない。
だが、そこであろうことか、ここでさらなる想定外が発生する。
目の前でトイレへと駆け込んでいく1人の少女の姿が符玄の目に入った。見間違うはずもない、自らの部下にしてサボりの常習犯、青雀だ。
それも相当慌てた様子。青雀も相当な我慢をしていたのが窺える。
「ヤバいヤバいっ…!もうちょっとっ…!」
なんて声が微かに聞こえた気がする。よほど余裕がないらしい。
だがそれは符玄も同じこと。自身もすぐに駆け込みたいところだが、ここにある使える個室はたった1つのみ、このまま個室の前で待つとなれば、限界ギリギリまで我慢したみっともない姿を部下に見せてしまうことになる。それは避けたい。
(くっ…もう少しっ…がまんっ…!)
すでに余裕がないにもかかわらず、ここにきて追加の我慢を強いられる符玄。トイレから少し離れたところで待つしかない。
そんな符玄のもとへと、個室から水音が響き渡る…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
シュィィィィーーーーーッ
じょぼぼぼぼーーっ
勢いはそこそこだが、人気がない空間では音が良く響く。もちろん符玄の膀胱にも。
(あぁっ…!この音はっ…!?)
じゅわっ…
たまらず身体が無意識に反応してしまい、わずかだが追加で尿を放ってしまう。さらなる生暖かい感触が下着に広がる。
このままではまずい。本当にここまできて失禁してしまう未来すら想像してしまうほどだ。こんな状況では自身の未来を予見することすらはばかられる。もし最悪の事態など見えてしまった時には…
(はやくっ…はやくしてっ…でてしまうっ…)
必死にこらえてモジモジしながら待ち続ける符玄。そして容赦なく響く気持ちよさそうな水音。
符玄にとってはもはや永遠にも思えるぐらいに続いた放尿音もしばらくすると止み、スッキリした表情の青雀が出てくる。
「ふぅ…危なかったぁ…。つい牌に熱中すると我慢しちゃんだよね…。……ちょっとだけ間に合わなかったし…。」
そんなことを口走っている。口ぶりからしてまたしてもサボっていたことは明白だし、よほどの我慢だったというのは間違いないらしい。
そして、
「さて!じゃあもう一局打とっと♪ 今度はこんな手で…」
そんな独り言を呟きながら立ち去っていく青雀。また牌を打ちに戻っていったのだろう。
普段であればその場でつかまえて説教をするところだが、今回ばかりはそんな余裕はない。青雀が立ち去るのを陰から見届け、大急ぎでトイレへと入っていく。
(オシッコっ…オシッコでちゃうっ…これでやっと…!)
そう思いながらトイレに入っていく。あとは個室に入り、落ち着いて下着を脱いで便器の上にしゃがみ、溜めにため込んだ尿を放出するだけ。
…そう、本来ならそのはずである。いや、そのはずだった。
(…!?こ、この匂い…!?)
限界も限界でトイレに駆け込んだ符玄をまず襲ったのは、ツンと鼻につくアンモニア臭。市街に設置された公共のトイレであればこうした匂いが漂うこともあるが、ここは太卜司の、それも普段はきちんと清掃・管理が行き届いたトイレ。ここでこんな匂いを感じたのは初めてだ。
(これ…まさか…)
おそるおそる片手を鼠径部にあてがったまま慎重に個室のドアを開ける。
(…!やっぱり…)
ドアを開けると、先ほどまでよりはっきりとわかるきつい匂い。
その刺激のせいか、さらに少し出てしまった。
そして視界に入るのはもちろん、彼女のタンクにため込まれた尿を解放するべく必死に待ち望んだ便器。
だがしかし、いつも使う見慣れた光景のはずなのに普段と明らかに違う点がひとつ。どう見ても便器の水が透明ではない。
そう、考えるまでもない。匂いの根源は目の前にある、青雀が流し忘れて立ち去った便器のオシッコである。そういえば確かに流す音は聞こえなかった。牌のことを呟きながら去っていったし、考え事をしながらそのままここを後にしたようだ。
(まったく…あの子ったら…んっ…)
これも普段なら説教案件だが、もうそんなことを考える場合ではない。待ち望んだ便器が、さらにあの気持ちよさそうだった水音の結果が視界にある。
「あの気持ちよさそうな音…このオシッコ…」
つい余計なことを想像して呟いてしまった。尿意を我慢しすぎたせいだ。きっとそうに違いない。
だがその想像が仇となった。
(んぅっ…!?こっ、これ…!?)
いきなり符玄の秘所に押し寄せる強烈な尿意。明白に先ほどまでのおちびりとは違う予感。これは法眼をもってしなくても予見できる。
…出る。
じょっ…!じょわっ…!
じゅいぃぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!!
「あっ…だっ…でてっ…!?」
青雀のオシッコの匂いや刺激、おまけについ想像してしまった放尿のせいでとうとう我慢の限界を迎えた符玄。
だが、まだ符玄は個室に入ったばかり。まだ下着はおろか、タイツすらおろしていない。
白いタイツすら黄色く染まっていくのを見ながら、大慌てで脱ぎ始める符玄。だが、なにせ限界だったのだ。すでに始まってしまった放尿は止まらない。
なんとか脱ぎきるころには少しどころではない被害となってしまった。下着はもちろんのこと、タイツまで大部分がぐっしょり。個室内ではあるが、果たして間に合ったといってよいのだろうか。
しかし、まだまだ放尿は始まったばかりである。
じゅいぃぃぃぃぃーーーーーーーっ!!!
じょぼぼぼぼぼーーーっ!!
激しい音を立てて便器の水たまりを叩くオシッコ。相当な我慢を強いられただけあって、すさまじい音だ。先ほど聞かされた青雀のといい勝負である。
(やっと…これで思う存分…出せる…)
そんな開放感に満ちた思考すら抱いてしまう符玄。失禁する未来すら真剣に想像してしまったことを思えば、真の大惨事は回避できたと言えよう。
じゅいぃぃぃぃぃーーーーーーっ!!
じゅうぅぅぅーーーーーーっ!!!
「はぁ…この開放感…気持ちぃ…」
変なことも呟きながらどんどんと勢いよくオシッコを放っていく符玄。
しかもすさまじいのは勢いだけではない。
(んっ…青雀のも大概だったけど…私のもかなり…いやそれ以上…?)
そんな思考が浮かんでしまうほどに、限界までため込まれた符玄のオシッコは濃い。明らかに自身の秘所から放たれる勢いある線は真っ黄色に染まっているし、流す余裕すらなく青雀のオシッコで満たされていた便器は間違いなく入ってきた時以上に濃い色をしている。
そして匂いもまた、ただでさえキツい匂いがしていた上からこんなに濃いのを放っているのだ。すでに個室内は強烈なアンモニア臭が漂っている。
だがそんな要素すら、今の符玄にとっては我慢したことを示すものであり、それだけ溜め込んだものを解放している快感の根拠でもある。
「こんなになるまで溜め込んで…気持ちいい…」
そんなことを口走りながら、だんだんと勢いが落ちてくる。いよいよ出しきれそうだ。
しかし、ここでさらなるハプニングが符玄を襲う。
あまりの快感ゆえか、それとも我慢して内股をこすり合わせ続けた疲労ゆえか、ふとバランスを崩してしまう。
「へっ…?……きゃっ!?」
そのまま後ろに崩れてぺたんと尻もちをついてしまう符玄。
その拍子に、とっさに体幹を支えようと力も自然と入ってしまう。
するとどうなるか…
じゅうぅぅぅぅぅーーーーーーーっ!!!!!
残っていたオシッコがすさまじい勢いを立てて飛び出してしまう。耐性を崩した状態で、狙いも定まらない体勢で。
「だっ…だめっ!はみでちゃっ…!?」
そう慌てるが時すでに遅し。
びちちちちちっ…!!!
盛大に噴き出した尿線は便器の上を一直線に飛び、正面の壁に大きな音を立てて叩きつけられる。だがもう今更体勢を立て直す余力はない。
…結局符玄はそのままの姿勢で数秒間に渡る放尿を続け、ようやく出し切ったのだった。
「はぁっ…はぁっ…」
息を荒げ、やってしまったという後悔に駆られつつも、尿意を解放したことで押し寄せる快感に浸ってしまう符玄。とっても気持ちよかった。
その後、冷静さを取り戻した符玄が目の前の状況と衣服の惨事を改めて認識し、顔を真っ赤にさせながら後片付けを開始したのは、出し切ってからおよそ10分も経過したころだった…。