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【Free public article】 Grimm Glitter short story "Flowy dress Aoi Rampage" / グリムグリッター掌編 「フリフリ・アオイ・ランペイジ」 (Short story & illustration)

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【Free public article】 Grimm Glitter short story "Flowy dress Aoi Rampage" / グリムグリッター掌編 「フリフリ・アオイ・ランペイジ」 (Short story & illustration)
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 悲鳴、喧噪。あわただしく駆け回る人々の中に、アスファルトを砕きながら、かわいらしいストラップシューズが降り立った。

「えーっと……こ、これから、皆さんを駆除しますね」

 ストラップシューズの主は、少々ぎこちない声でそう宣告する。ただ降り立っただけで数十名を押しつぶしたあの恐ろしいストラップシューズは、ビルよりも巨大な少女の纏う衣装の一部だった。

「あぁ、葵……すごくいいわ……かわいいわよ……!」

 その巨大な少女の背後から、ビリビリと大気を震わせうわずった声が轟く。音圧だけでビルのガラスを叩き割るその声の主は、巨大少女よりもはるかに巨大な少女であった。

 彼女は香。この世界の支配者にして、この巨大少女、葵の親友だ。今日は机の上に転送してきた縮小都市で、その親友を使ったお人形遊びにふけっている。

「そ……そうかなぁ? こんなの、私には似合わないって……」 

 本来、葵という少女はこんな可愛らしい服を着るような性格ではない。持っている服の中では制服が一番かわいい、というくらいは服に無頓着で、とてもコスプレを嗜むような趣味ではないのだ。ではなぜ、そんな彼女がこんなフリフリした衣装に身を包むことになっているのかといえば、香との賭けの勝敗に従った結果であるらしい。先にイった方が、我慢できた方の言うことを何でも聞く、というルールで葵は香に巨大化を許し、下半身を咥えられ、その舌で何回もイかされてしまったのだ。

 そんなわけで、葵は今、香の趣味に従って服を着せられ、髪の毛にエクステまでつけられて縮小都市に降り立つ運びとなったのである。

「恥ずかしがってる葵もかわいいわ。その服で街を滅茶苦茶にしてくれたら、もう最高よ……!」

「えー……そうかなぁ……?」

 葵はもじもじと太ももをすり合わせ、なかなか一歩目を踏み出そうとしない。いつもなら信じられないほどのミニスカートで、しかも巨大化して町を歩き、小人たちになんの恥ずかしげもなく下着を見せつけている葵であったが、いざ女の子らしい衣装に身を包んでみると恥じらいが出てくるようだ。

「負けたほうが勝ったほうに従う、そういう約束でしょう? 私は、その服で暴れまわるあなたが見たいのよ」

「はーい……」

 葵は足を持ち上げると、散り散りに逃げていく人々の上に踏み下ろす。葵からすればほんの一歩ではあったが、しかしその一歩は足元の小人たちが数十秒かけて稼いだ距離に一瞬で追いつき、そして運のなかった数十名が乗り捨てられた車とともにその下に消える大破壊をもたらす。その感触に、葵は小さく「んっ」と声を漏らした。

「ふふ、壊して気持ちよくなっちゃうなんて……いけない子ね」

「そ、それは、香が……!」

 葵はスカートの上から股を抑えて異議を唱える。確かに彼女の下着のクロッチには、すでにじんわりと新しいシミができていた。香に巨大化プレイの快感を教え込まれて以来、巨大化して町を破壊することと性的興奮がすっかり結びついてしまっているのだ。

「でも……それじゃあいつもと変わらないわよね」

 香は口元に指をあてて、葵の蹂躙劇を吟味する。お人形さんみたいな葵が街を破壊しながら気持ちよくなる姿は、香にとってそそるものではある。けれどあともう一押し……せっかくだから、葵が普段やらないことをさせてみたい、と香は思う。

「そんな、私がいつも街を壊して気持ちよくなってるみたいな……」

 言いかけたものの、葵は普段の自分の行いを思い出してみて、その言葉を引っ込めざるを得なかった。

「なってるでしょ?」

「はい、なってます……」

 湯気が出るんじゃぁないかと思えるほどに真っ赤に茹で上がる葵。葵の言うように事の元凶は香であるものの、葵はもはやサイズ差なしでは興奮することができない身体になり果てている。

「だから、普段の葵がしなさそうなシチュエーションをやってみたいのよ」

「私が、やらなそうな……」

 葵はごくりと唾をのむ。

「そうね……たとえば、普段の葵は、小人さんに優しすぎると思うの」

 いつもの葵は、小人を使って遊ぶ時に小人のことを愛しく思っているように見える。肉体的にはともかく、精神的にはあまり相手を追い詰めたり、残酷な真似をしないのが、葵の巨大化プレイの特徴だった。

「それは、良い事じゃないの?」

「もちろん、良い事よ? 葵も気持ちいいし、小人さんも愛されて幸せ。それはそれで、いいんだけれど……」

香の口角が、にんまりと歪む。

「悪い葵も、見てみたいのよ」

「わ、わるい私……」

「そう。たとえば……小人さんを罵りながら踏み潰しちゃったりとか」

「罵りながら……!?」

 そんなの、悪い子すぎる!! とでも言いたげな葵の表情に、香は思わず吹き出してしまう。この純真さが葵という少女の魅力でもあるのだけれど。

「ええ。きっと気持ちいいわよ。悪い子を演じるのもね」

「わ……わかった。やってみるね……」

 葵は暫しの間目を閉じ、頭の中で考えられ得る限りの悪い自分をイメージしてみる。普段の香や、アリスがたまーにやっているような、小人さんをからかうような感じで……。

 しばしの逡巡の後、葵はゆっくりと目を開く。どうやら覚悟を決めたようだった。

「えっと……チビ虫の皆さーん! 皆さんは、駆除対象になりましたー!」

 ずしん! 大通りを逃げていく人々の真上に、容赦なく足を踏み下ろす。何の抵抗もなく彼らの体はぷちゅりと潰れ、厚みを失って葵の靴底にへばりつくことになった。

「私はこんなにゆーっくり歩いているのに、皆さん足が遅すぎませんかー?」

 葵は丁寧に、丁寧に、一歩また一歩と、ストラップシューズで群衆をぺったんこに押しつぶしていく。

「そんなだから、駆除されちゃうんですよ? ちゃんと鍛えてますか?」

 葵は先頭を逃げていた集団に追いつくと、その頭上にストラップシューズを掲げた。葵からは見えないが、その靴底には数多の小人がぺったんこに折り重なってへばりついている。その目に見えた末路は、大の大人が腰を抜かしてしまうに十分な威力があった。

 しかし、頭上にかざされたその足は、すぐには降ってこなかった。

「あれー? どうしました? もしかして……怖くて動けなくなっちゃったんですかぁー?」

 葵はクスクスと噛みしめるように笑って見せ、地面すれすれまでに下ろした足をゆらゆらと揺らして見せる。

 彼女の足の下では暴風が吹き荒れ、哀れな小人たちは葵の足が触れてもいないのにゴロゴロと転がされる羽目になった。それだけにとどまらず、葵の足がぶつかった街路樹は力なく押し倒され、足の下から逃れたはずの人を下敷きにしてしまう。まるで嵐のような破壊が、ただ足をゆらゆらと動かすだけで巻き起こされていた。

 気まぐれで、体の一部をほんの少し動かしただけで災害を起こせる。その全能感が葵の背中をぞくりと伝う。

「さあ、力比べですよー……」

 葵はプレス機のように、ゆっくり、ゆっくりと足を下ろしていく。きっとこの足の下では、無駄と分かっていながらも葵の足を押し返そうと必死になっている小人さんたちがいるに違いない。

「ほらほら、頑張って! 女の子一人、支えられないんですか?」

 もちろん、無理に決まっている。葵だって、さすがに自分の200倍も巨大な女の子に踏み潰されたらただでは済まない。ちょっとかわいそうだな……と思いつつも、葵はロールプレイに徹して、そのまま体重をかけていった。

「んっ」

 ぷちっ。彼らの潰れるわずかな感触が、いつもよりも鋭敏に感じられた気がした。すごくいけないことをしている。そんな背徳感が、葵の興奮を一層高めているのだ。

「あは! 潰れちゃったね……!」

葵は足を上げて靴の裏を振り返り、そこに折り重なるように張り付いた沢山の小人を見て朗らかに笑って見せた。

「ああ、いい……葵、いいわよ……!!」

 普段は優しいはずの葵が行う残虐行為に、香はすっかりとろけてしまっていた。本来の凛とした顔はどこへやら、だらしなく歪んだ口からよだれをたらしながら、うっとりと葵を見つめている。街が置いてある机の下から、クチュクチュといやらしい水音が響いてくる。

「えへへ……私も、ちょっと興奮したかも」

「つ、次は……電車を襲いなさい。ほら、そこ……」

 香の、ビルのように巨大な指が街中を走る高架を指し示す。縮小転送に伴う停電のためだろうか、線路の上には10両編成の電車が立ち往生していた。きっとその中には、恐怖に震える小人たちが何百人も詰まっているに違いない。

「あは……いいね……!」

 葵は新たな獲物に向かって、一直線に歩みを進める。その間にあるビルを蹴倒し、小さなものは足を高く持ち上げて上から踏みつぶしながら。

 香にとっては人形ほどのサイズしかない小さな葵が引き起こす圧倒的な大破壊。その倒錯したサイズ感に、香はますます興奮する。

「えへへ……つかまえた!」

 艶やかに輝く、黒絹の手袋に覆われた葵の手。その手が今、明らかに間違ったサイズで電車に襲い掛かり、そしてその車両ごと握りしめる。もし同じサイズであれば誰しも触れてみたいと願う、触れればそのすべらかな感触に心を奪われてしまうであろうその手は、信じられないほどの力で電車のフレームを歪ませ、そして何十トンもある車体を簡単に持ち上げてしまった。突然重力の方向が入れ替わった車内は大騒ぎだ。街を壊していた巨大な少女がこちらに向かってきたかと思えば、よりによって自分たちの乗っている電車を獲物に選んだというのだから。

「ふふ……ふへへ……よくできました。電車を襲う葵……すごく様になっているわよ」

 香は巨大な指で、テーブルの上の小さな巨大少女をよしよしと撫でる。

「もう、香ったら……恥ずかしいってばぁ……」

 人々を踏み潰し、ビルを蹴り倒し、電車をオモチャのように持ち上げる巨大な少女。その巨大な少女がまるで人形か何かのように、さらに巨大な少女に愛でられるその様は、町の人々から見れば絶望そのものだった。たとえこの小さな巨大少女が自分たちを踏み潰しそこなうことがあっても、その先に待ち受ける未来はきっと、あの超巨大な少女による滅亡だけだ。そんな人々の絶望をよそに、巨大少女たちはいちゃいちゃとじゃれ合っている。なんたる理不尽、なんたる不均衡か。

「それで……どうするの?」

「そうね……中の様子を報告して……」

 葵は香に言われるがまま、車窓をのぞき込んでみる。当然ながら、葵に掴まれた先頭車両の中は大混乱……ではなく、思いのほか静かだった。窓いっぱいに広がる葵の瞳に覗き込まれ、恐怖で動けなくなっているようだ。中には、葵と目が合っただけで失禁して崩れ落ちてしまうものまでいる。巨大な生き物に見つめられるというのは、人間の奥深くに刻まれた原初の恐怖に訴えかけるのだろう。

「みんな怖くて動けないみたい」

 視線だけで人を磔にできる自分の力を再認識して、葵は頬を赤らめる。

「ふふ……かわいい。目が合っただけでこんなになっちゃうなら……こうしたらどうなっちゃうのかな……?」

 電車の中でおびえる人々を愛しく思うと同時に、葵の中にちょっとした加虐心が芽生える。一種のキュートアグレッションであることは間違いないが、電車の中の人々からするとその愛情は恐怖以外の何物でもなかった。

「あーん……」

 葵は口を大きく開けると、先頭車両の人々に向かってその口内を見せつけた。わざとらしく甘えた声で、大岩のような歯と怪物のような舌を見せつけながら。

 葵の吐息が車窓へと吹き付けられ、窓ガラスを白く曇らせる。車内はあっという間に葵の息のにおいに満たされ、車内の人々に捕食への恐怖を思い出させた。

 今度こそ車内は阿鼻叫喚の騒ぎに陥り、曇って中が見えないながらも中の人々の慌てぶりが葵の手に振動として伝わってくる。

「なんてね。あは!」

 葵は電車を口元から離して、再び窓から中を覗いてみる。男の子も女の子も、みんな涙で顔をぐしゃぐしゃにゆがめて、その場に崩れ落ちていた。葵にとってはほんの冗談のつもりでも、彼らにとってはとても笑えたことではなかったわけだ。あまりにも不釣り合いな状況に、葵は思わずにんまりと目を細める。

「ねえ香! 次は……どうしよっか?」

 本人たちの意志を差し置いて、彼らの頭上で楽し気にその後の処遇の話し合いが始まる。電車の中の人々は文字通り、葵の持ち物となり果てているようだ。

「そうね……すぐに潰しちゃうのはもったいないわ。せっかくだし、一緒に散歩してみたらどうかしら」

「お散歩、いいですね! それじゃあ、みんな、いくよー!」

 どうやら、電車は葵の持ち物からペットに格上げされたらしい。それがいい事か悪いことかは、なんとも言い難いけれど。

 その手に電車をぶらぶらさせながら、ずしん、ずしんと葵が歩みを進める。もちろん、その行く手にあるもの全てを破壊しながら。葵の手に握られてミシミシと軋む車両の中、彼らは葵の足が自分の仲間たちを踏み潰し、ビルを崩して生き埋めにしていく様子をただただ見ている事しかできなかった。

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今回も掌編をレヴァリエさんに書いていただきました。

有料記事ではイラストの全体図、差分を閲覧することができます。

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POSTEDJun 5, 2026
ARCHIVEDJun 5, 2026