「フッフッフ~ン、イイハンノウスルジャナイカ? さーう"ぁんとデモハンノウハニンゲントオナジナンダナ?」
「んふぅひひひひ、う、るさぁっあっあっはははははははははは……!! ははうぅ、うひぃひひひひひひひ……!!」
「へぇ、凄い……こんな生物の再現もできるんですね」
「ふふ、勿論スペックはかなり下げてるんやけどな。皮だけを整えた猿真似レベル……でも必要なのはその毛並みやからこれでええんやで?」
私は目の前の光景に只々関心していた。
今マリーをくすぐり犯しているのは背中に翼を持ち正足の様な手足を持つ生物。
簡単に言うのならハーピー、ギリシャ神話に出てくる翼を持つ女性だ。
勿論魔術で簡単に再現できる様な生物ではない、幻獣を作るにはそれ相応のリソースが必要だ。
しかし真衣羅さんは様々なスペックを落とす事によって見た目だけも再現したのだ。
そして、今の状況なら猿真似レベルが正解だ。
マリーを押さえつけるには最低限の力があればいい、その上で毛並みだけは再現されているのでそのくすぐったさは想像を絶するものがあるだろう。
「ホラホラ、ワキバラカララワヲあたしノハネデ、コチョコチョコチョ~♪ クスグッタイカ? クスグッタイダロ? あたしノてくにっくデワライモダエロ~♪」
「くひぃ、んひ、ひひひひひひひ……だ、れがぁ、あんた、なんかにぃ、ひゃひゃひゃひゃひゃひゃ……!! ん、んぁっひひひひひひひひひ……!!」
「へぇ、言葉責めもしっかり……真衣羅さんが教えたんですか?」
ハーピーは意外にもしっかりと言葉を喋っていた。
それも自分で考えて的確な言葉を選んでいる。
相手に刺さる言葉、というのは難しいものだ。
怒らせるだけでは被虐心を煽れない、明確に責められていると自覚させされるがままになるしかない、と心にダメージを与えるのは意外に手こずる。
「合成する時に脳を頭のいい動物にしたんや。それでうちが一緒に人をくすぐって教え込んだんやで」
「真衣羅さんもくすぐったりするんですか? てっきりモンスターに任せっきりかと……」
「教え込むのはうちの仕事なんやで? 何なら趣味でもあるし?」
「へ、へぇ~……そうなんですかぁ~」
やべ、ちょっと興味が湧いてしまった。
今回はそういう仕事じゃない、今回はそういう仕事じゃない、よし。
「くひ、ひひひっこ、の……やめ、やめな、さぁはははははははは……!!」
「あ、あぁそうだ、あの服、水着ですよね? どうしたんですか?」
「ん~? 似合いそうなの見繕ったんや布面積が少ない方があの子の羽根が効果的に効くんやで? 本当は全裸でもよかったんやけど……それだと王妃様を召喚した意味が無いやろ?」
ニコニコ微笑むその姿に、私は少しだけ違和感を覚えた。
しかしその違和感を考察する事はしてはいけない、こんな聖杯戦争に来ることになったのだから何かしらの歪みがある筈だからだ。
誰にも言えない性癖を解き放てる場所、それがこの聖杯戦争の主目的だろう。
マリー・アントワネットを見つめる真衣羅さんの眼はとても楽しそうで、何処か狂気じみた物を感じる。
それは勿論私にも言えるのだろう、だが問題は無い、そういう場所なんだから。
「あぁそうやった……ピア、も少し強めにこそぐってもええで? 今が3割やから……5割くらいの加減でこそばしたってや」
「ン? ソウカ? ナラマイラサマノタメニチョットホンキダスゼ~コチョコチョコチョコチョ~!」
「んひぃ!? ふひゃ!? あっあっははっはっはっはっはっはっはっはっはっ!? あ、ああっ!? きゅ、うにぃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!?」
「おぉ、成程」
ハーピー(ピアという名前らしい)が少し本気を出すとマリーが思いっきり笑い出す。
それもその筈だ、今までの責めはかなり弱く、皮膚を撫でる様な責めが多かった。
その状況から少しでもくすぐったさを跳ね上げれば上がり切った感度であの様に笑い悶える事になるだろう。
今まで睨むようにこちらを見ていたマリーの余裕が一気に崩れた、これを真衣羅さんは狙っていたのだろう。
「ふひゃひゃっあああっあはははははははははは!? くす、くすぐっっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、やはぁはははははははははは!?」
「ええ反応やなぁ、でもこれで5割……本気の本気を出されたらどうなってまうんやろなぁ?」
そう、これで本気ではない。
たった半分の強さでも一切耐える事ができてない、なのに相手はまだ半分程余裕がある。
その絶望感が彼女の心を折りにかかる。
くすぐられるだけで、こんな状況になっている自分、そしてそれがまだまだ序盤であるという絶望。
「コノテイドノクスグリデコンナニワラッテルノカ? オマエクスグラレルノニヨワスギルダロ?」
「うるっさぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! こん、な……ていどでぇっひひひひひひひひひひひひ、んうぁああっははははっはっはっはっはっはっ!?」
勿論、彼女にもプライドがあるのだろう。
しかしどんなに力んでも、どんなに我慢しようとしても効果は無い。
それこそ無様に笑い悶えるしかなく、ハーピーの言う通りくすぐられるのに弱い自分を曝け出すしかない。
「ぐっひぃひひひひひひひひひひ!! ゆる、さなぁっははははははははは!! ぜったいにぃ、ゆるしゃにゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
それは何て屈辱(甘美)なのだろう。
民に、国に、沢山の明るい愛を受け続けた王妃が今は仄暗い地下室で人知れず凌辱を受けている。
汚されていく彼女の『栄光』に思わずほくそ笑んでしまう、ああしかし、これが見たかったのだ。
「アハハ、ユルスユルサナイモナインダゾ? オマエハモウマイラサマノタメニクスグラレルダケダゾ?」
「せやねぇ、もう助からないんやろなぁ?」
「いひぃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!? な、なにをいってぇへへへへへへへへへ!?」
汚される『栄光』に夢中になっていて気が付かなかったが真衣羅さんは何か仕込んだ様だった。
傍から見ただけでは特に何かが起こったようには見えないが、彼女は私以上の魔術師だ。
その彼女が何かを仕込んでいるのなら仕込んでいるのだろう、くすぐられながらではサーヴァントも上手く探知できない筈だろうし。
「んふ、気になる? 気になるやろなぁ? でもお楽しみはちょいと後で……今はその子と遊んで、後に何が起こるか楽しみにしとってや?」
「そん、にゃっひゃひゃひゃひゃひゃ!! たのしみなんてぇ、ないいいいっひひひひひひひひひひ!! こんな、のぉ、たのしくなあっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
くすぐられてる側はそれは楽しくないだろう。
しかしそんな事はこちらは関係ない、そういう状況に彼女は置かれているのだ。
弄ばれるだけの玩具、こちらの欲望を満たすだけの人形、サーヴァントに敬意を持つ人間なら確実に怒りを覚えるこの状況。
「あっははっああああ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やだぁ! もう、や、だぁははははっはっはっはっはっ!!」
ひたすら笑い悶えるマリーを気遣う者はここには居ない。
今まさに処刑中の彼女に救いはないのだから。